JP2004002693A - 射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体 - Google Patents

射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体 Download PDF

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Tsuyoshi Maruyama
丸山 剛志
Hiroyuki Tanimura
谷村 博之
Kenichi Okawa
大川 健一
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Abstract

【課題】透明性と耐衝撃性に優れる射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体を提供する。
【解決手段】下記の要件(a)および要件(b)を満たす射出成形用プロピレン系重合体。
(a)20℃キシレン可溶部(CXS)が5〜20重量%である。
(b)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したCXSの分子量分布(Mw/Mn)が6以上である。
また、上記の要件(a)および要件(b)を満たす射出成形用プロピレン系重合体からなる射出成形体。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体に関するものである。さらに詳細には、透明性と耐衝撃性に優れる射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂は、剛性、加工安定性、成形性等に優れ、また、安価であることから、食品容器、医療容器、雑貨、コンテナ、家電用外装部品、自動車用部品等の用途に幅広く用いられている。そして、これらの用途において、耐衝撃性を改良する方法としては、従来から、ポリプロピレン系樹脂にポリエチレンや、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のゴム状弾性物質をブレンドする方法が知られていた。しかし、上記のゴム状弾性物質をブレンドする方法は、透明性が損なわれることがあり、また、組成によっては形状が扱いにくくなり、ペレット化して用いることができないため、ブレンド操作の際に支障をきたすことがあった。
【0003】
また、特開平10−7727号公報には、べたつきがなく、柔軟性、透明性に優れた低結晶性のポリプロピレン樹脂として、MFRが0.1〜1000g/10分であり、23℃におけるキシレン溶解量(CXS)が0.5〜5.0重量%であり、溶解曲線の主吸熱ピーク温度が153〜163度であり、クロス分別クロマトグラフ(CFC)による80℃以下の溶出量が0.01〜3.0重量%であり、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が92.0〜98.0%であるポリプロピレン樹脂が記載されている。しかし、上記公報に記載のポリプロピレン系樹脂の耐衝撃性については、用途によっては、不充分なことがあった。上述のような状況において、プロピレン系樹脂の透明性と耐衝撃性の改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−7727号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、透明性と耐衝撃性に優れる射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み、鋭意検討の結果、20℃キシレン可溶部(CXS)が一定の範囲にあり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したCXSの分子量分布(Mw/Mn)が一定の範囲にある射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体が、上記課題を解決できることを見出し、本発明の完成に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
下記の要件(a)および要件(b)を満たす射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体に係るものである。
(a)20℃キシレン可溶部(CXS)が5〜20重量%である。
(b)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したCXSの分子量分布(Mw/Mn)が6以上である。
以下、本発明につき、詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)は5〜20重量%であり、好ましくは5〜15重量%であり、より好ましくは6〜15重量%である。20℃キシレン可溶部が5重量%未満の場合、射出成形体の耐衝撃性が不充分なことがあり、20重量%を超えた場合、剛性が悪化することがある。
【0009】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したCXSの分子量分布(Mw/Mn)は、6以上であり、好ましくは6〜15であり、より好ましくは6〜12である。CXSの分子量分布(Mw/Mn)が6未満の場合、透明性と耐衝撃性が不充分なことがある。
【0010】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体の230℃におけるメルトフローレイト(MFR)は0.5〜500g/10分であり、射出成形時の流動性の観点から、好ましくは10〜100g/10分であり、より好ましくは22〜80g/10分であり、さらに好ましくは25〜50g/10分である。
【0011】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体とは、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンの共重合体である。炭素数4〜20のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられ、好ましくは、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1であり、これらのα−オレフィンは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンの共重合体としては、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ヘキセン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体等が挙げられ、好ましくはプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体である。
【0013】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体として、好ましくは結晶性プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンの結晶性を有する共重合体である。
【0014】
プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンの結晶性を有する共重合体としては、例えば、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性プロピレン−ブテン−1共重合体、結晶性プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体、結晶性プロピレン−ヘキセン−1共重合体、結晶性プロピレン−エチレン−ヘキセン−1共重合体等が挙げられ、好ましくは結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性プロピレン−ブテン−1共重合体、結晶性プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体である。
【0015】
プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンの結晶性を有する共重合体におけるエチレンおよび/または炭素数4〜20のα−オレフィンの含有量は、通常、0.01〜15重量%であり、剛性の観点から、好ましくは0.01〜10重量%であり、より好ましくは0.01〜5重量%である。
【0016】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体の製造方法としては、公知のプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。好適な方法としては、例えば、特開平7−216017号公報に記載の立体規則性触媒の存在下に、公知のスラリー重合法、溶液重合法、オレフインモノマーを媒体とする液相重合法、気相重合法を適用する方法であり、そして、ここで用いられる電子供与性化合物は、通常、固体触媒成分中に含まれるチタン原子1モルに対し0.01〜500モルであり、好ましくは0.01〜100モルであり、特に好ましくは0.01〜50モルである。
【0017】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体の極限粘度[η]としては、通常、0.5〜4dl/gであり、成形性の観点から、好ましくは1〜3dl/gであり、より好ましくは1〜2dl/gである。
【0018】
また、本発明の射出成形用プロピレン系重合体には、必要に応じて、ポリエチレン、ポリブテン−1、スチレン系樹脂、エチレン/α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム等のポリオレフィン系重合体を添加しても良い。
【0019】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体には、必要に応じて、他の添加剤、例えば、酸化防止剤、中和剤、耐侯剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、銅害防止剤等を添加してもよい。
【0020】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体に、上記の必要に応じて添加されるポリオレフィン系重合体や添加剤を混合する方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、射出成形用プロピレン系重合体と必要に応じて添加される前記のポリオレフィン系重合体や各種添加剤を、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の混合機を用いて混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練して均一にする方法が挙げられる。
【0021】
本発明の射出成形用プロピレン系重合体からなる射出成形体は、透明性と耐衝撃性が要求される用途で使用することができ、特に好ましい用途としては、食品容器、医療容器、コンテナ、雑貨、衣装ケースである。
【0022】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例の各項目の物性は、下記の方法に従って測定した。
(1)極限粘度([η])(単位:dl/g)
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5dl/gの3点について還元粘度を測定した。極限粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法、即ち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。溶媒としてテトラリンを用い、温度135℃で測定した。
【0023】
(2)冷キシレン可溶部(CXS)(単位:重量%)
試料5グラムを沸騰キシレン500ミリリットルに完全に溶解させた後、20℃に冷却し、4時間放置した。その後、これを析出物と溶液とにろ別し、ろ液から溶媒を除去し、残存物を減圧下70℃で乾燥した。乾燥させた残存物の重量を測定し、含有量を算出した。
【0024】
(3)エチレン含有量(単位:重量%)
高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁「(i)ランダム共重合体」の項に記載の方法に従ってIRスペクトルを用いて測定した。
【0025】
(4)融点(Tm;℃)
示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC VII型)を用いて測定した。測定条件は、あらかじめ試片10mgを窒素雰囲気下におき220℃で5分間溶融させた後、5℃/分の降温速度で50℃まで降温して結晶化させた。その後5℃/分で昇温させて、得られた融解吸熱カーブの最大ピークの温度を融点とした。
【0026】
(5)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の条件で測定した。また、検量線は標準ポリスチレンを用いて作成した。
機種:ミリポアウォーターズ社製 150CV型
カラム:Shodex M/S 80
測定温度:145℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン
サンプル濃度:5mg/8ml
本条件でNBS(National Bureau of Standards)のStandard Reference Material 706(Mw/Mn=2.1のポリスチレン)を測定したところ、分子量分布(Mw/Mn)として2.1が得られた。
【0027】
(6)メルトフローレイト(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に従い、230℃で測定した。
【0028】
(7)耐衝撃強度(FWI、単位:kg・cm)
後述する射出成形により得られた直径220mm、厚み1.2mmの円盤状の射出成形体の中心点から約6cmのところを中心に、直径65mmの円板に打ち抜いたものを試験片とした。この試験片を23℃、50%RHで48時間以上状態調節したのち、直径1/2インチの撃芯に一定の高さから、固定した試験片に重錘を落下させ、50%が破壊した時ののエネルギー値(kg−cm)を求める落錘衝撃強度で評価した。FWIの値が大きいほど、耐衝撃性に優れる事を示す。
【0029】
(8)曲げ弾性率(FM、単位:MPa)
JIS K7203に従って測定した。試験片には、後述する射出成形により得られたものを使用し、試験片厚み:6.4mm、スパン長さ:100mm、荷重速度:2.5mm/分、測定温度:23℃の条件で曲げ弾性率を測定した。曲げ弾性率は剛性の指標であり、曲げ弾性率の値が大きいほど、剛性に優れることを示す。
【0030】
(9)透明性(ヘイズ、単位:%)
JIS K7150に従って測定した。試験片には、後述する射出成形により得られた直径220mm、厚み1.2mmの円盤状の射出成形体の中心点から約6cmのところを3cm×3cmの正方形に切削したものを使用した。ヘイズ値が高いほど、目視では試験片に霞がかかったように白っぽく見え、透明性が低いことを示す。得られた射出成型品の物性を第1表に示した。なお、表中の物性は、上記の方法に従って測定した。
【0031】
参考例1
(1−1)固体触媒成分(A)の合成
攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モル、フタル酸ジイソブチル2.8モル、およびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液51Lを、反応容器内の温度を5℃に保ちながら5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後5℃で1時間、室温でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.2Kg/Lになるようにトルエン量を調整した後、105℃で1時間攪拌した。その後、95℃まで冷却し、フタル酸ジイソブチル47.6モル加え、95℃で30分間反応を行った。反応後固液分離し、トルエンで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにトルエン量を調節後、フタル酸ジイソブチル3.1モル、n−ジブチルエーテル8.9モル及び四塩化チタン274モルを加え、105℃で3時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行った。スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにトルエン量を調節後、n−ジブチルエーテル8.9モル及び四塩化チタン137モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン70Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体触媒成分(A)11.4Kgを得た。固体触媒成分(A)はチタン原子1.83重量%、フタル酸エステル8.4重量%、エトキシ基0.30重量%、ブトキシ基0.20重量%を含有していた。また、固体触媒成分(A)を実体顕微鏡で観察したところ、微粉の無い良好な粒子性状を有していた。
【0032】
(1−2)結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP1)の重合
(a)予備重合
充分に精製したヘキサンを2.5L攪拌機付反応器に添加し、系内を充分に窒素で置換したのち、トリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)、ノルマルプロピルメチルジメトキシシラン(以下nPMDMSと略す)および前記参考例1(1−1)で得た固体触媒成分(A)をnPMDMS/Ti=0.175(モル/モル)、TEA/Ti=3.50(モル/モル)添加し、5〜15℃を維持しながらプロピレンを30分にわたって連続的に添加して、予備重合体スラリーを得た。
【0033】
(b)本重合
攪拌機付き1100L気相流動層重合槽を用いて、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部のエチレン濃度0.9vol.%、水素濃度を1.7vol.%に保持できるように、プロピレン、エチレンおよび水素を供給する条件下で、上記予備重合体スラリー、TEA(製造されるポリマーに対して100〜350ppmになるように供給する)、nPMDMS(nPMDMS/Ti=2.37(モル/モル))を供給しながら連続気相重合を行い、樹脂粉である結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP1)を得た。得られた結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP1)は、エチレン含有量が2.3重量%、CXSが7.4重量%、極限粘度[η]が1.14dl/g、融点Tmが145.0℃であった。
【0034】
参考例2
(2−1)結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP2)の重合
参考例1の(1−2)(a)予備重合において、nPMDMSをターシャリーブチルノルマルプロピルジメトキシシラン(以下tBnPDMSと略す)に変更し、その供給量を、tBnPDMS/Ti=0.07(モル/モル)に変更し、(b)本重合において、nPMDMSの供給量をnPMDMS/Ti=5.72(モル/モル)に変更し、気相部のエチレン濃度を2.06vol.%、水素濃度を2.16vol.%に変更した以外は、参考例1と同様にして樹脂粉である結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP2)を得た。得られた結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP2)は、エチレン含有量が4.9重量%、CXSが10.7重量%、極限粘度[η]が1.25dl/g、Tmが137.4℃であった。
【0035】
参考例3
(3−1)固体触媒成分(B)の製造
攪拌機付きの200LSUS製反応容器を窒素で置換した後、ヘキサン80L、テトラブトキシチタン6.55モルおよびテトラエトキシシラン98.9モルを投入し均一溶液とした。次に濃度2.1モル/Lのブチルマグネシウムクロリドのジイソブチルエーテル溶液50Lを、反応容器内の温度を20℃に保ちながら4時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後20℃でさらに1時間攪拌した後、室温で固液分離し、トルエン70Lで3回洗浄を繰り返した。次いで、スラリー濃度が0.4Kg/Lになるようにトルエンを抜き出した後、n−ジブチルエーテル8.9モルと四塩化チタン274モルの混合液を加えた後、更にフタル酸クロライド20.8モルを加え110℃で3時間反応を行った。反応終了後、95℃でトルエンで3回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、フタル酸ジイソブチル3.13モル、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、105℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、95℃でトルエンで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで2回洗浄を行った。次いで、スラリー濃度を0.4Kg/Lに調整した後、n−ジブチルエーテル8.9モルおよび四塩化チタン109モルを加え、95℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離し同温度でトルエン90Lで3回洗浄を行った後、さらにヘキサン90Lで3回洗浄した後減圧乾燥して固体媒成分(B)12.8Kgを得た。固体触媒成分(B)はチタン原子2.1重量%、マグネシウム原子18重量%、塩素原子60重量%、フタル酸エステル7.15重量%、エトキシ基0.05重量%、ブトキシ基0.26重量%を含有し、微紛のない良好な粒子性状をしていた。
【0036】
(3−2)結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP3)の重合
(a)予備重合
充分に精製したヘキサンを2.5L攪拌機付反応器に添加し、系内を充分に窒素で置換したのち、トリエチルアルミニウム(以下TEAと略す)、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン(以下CHEDMSと略す)および前記参考例3(3−1)で得た固体触媒成分(B)をCHEDMS/Ti=0.2(モル/モル)、TEA/Ti=4.0(モル/モル)添加し、5〜15℃を維持しながらプロピレンを30分にわたって連続的に添加して、予備重合体スラリーを得た。
【0037】
(b)本重合
攪拌機付き1100L気相流動層重合槽を用いて、重合温度80℃、重合圧力1.8MPa、気相部のエチレン濃度1.19vol.%、水素濃度を1.83vol.%に保持できるように、プロピレン、エチレンおよび水素を供給する条件下で、上記予備重合体スラリー、TEAを供給しながら連続気相重合を行い、樹脂粉である結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP3)を得た。得られた結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP3)は、エチレン含有量が2.5重量%、CXSが7.8重量%、極限粘度[η]が1.19dl/g、Tmが148.8℃であった。
【0038】
参考例4
(4−1)結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP4)の重合
参考例1の(1−2)(a)予備重合において、nPMDMSをtBnPDMSに変更し、その供給量をtBnPDMS/Ti=0.5(モル/モル)に変更し、TEA/Tiを5.0(モル/モル)に変更し、また、(b)本重合において、nPMDMSをCHEDMSに変更し、その供給量をCHEDMS/Ti=28.5(モル/モル)に変更し、気相部のエチレン濃度を1.0vol.%、水素濃度を5.59vol.%に変更した以外は、参考例1と同様にして樹脂粉である結晶性プロピレン単独重合体(PP3)を得た。得られた結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP3)は、エチレン含有量が2.1重量%、CXSが1.8重量%、極限粘度[η]が1.22dl/g、Tmが151.0℃であった。
【0039】
参考例5
(5−1)結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP5)の重合
参考例1の(1−2)(a)予備重合において、nPMDMSをtBnPDMSに変更し、その供給量をtBnPDMS/TEA=0.1(モル/モル)に変更し、TEA/Tiを5.0に変更し、また、(b)本重合において、nPMDMSをtBnPDMSに変更し、その供給量をtBnPDMS/Ti=1.21(モル/モル)に変更し、気相部のエチレン濃度を1.22vol.%に変更し、水素濃度を6.44vol.%に変更した以外は、参考例1と同様にして樹脂粉である結晶性プロピレン単独重合体(PP5)を得た。得られた結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP5)は、エチレン含有量が2.5重量%、CXSが3.5重量%、極限粘度[η]が1.08dl、Tmが148.3℃であった。
【0040】
実施例1
(1−1)射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物
前記参考例1で得られた結晶性プロピレン−エチレン共重合体(PP1)100重量部に対して、酸化防止剤としてフェノール系化合物(ペンタエリスリトール テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX1010:チバ・スペシャルティケミカルズ社(株)製))0.05重量部、さらに中和剤としてステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合した。得られた混合物を40mm径の単軸押出機(田辺製作所(株)製)を用いて、設定温度200℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練してペレットにした。
【0041】
(1−2)射出成形体
下記の装置を用いて、前記の溶融混練して得られたペレットを射出成形して、射出成形体を得た。
装置:住友重機製 ネスタールサイキャップ110t
成形温度:220℃
金型設定温度:50℃
【0042】
(1−3)物性測定
得られた射出成形体を用いて、前記の方法に従って、透明性(ヘイズ)、耐衝撃強度(FWI)と曲げ弾性率(FM)を測定した。得られた測定結果を表1に示した。
【0043】
実施例2
実施例1で用いたPP1を参考例2で得られたPP2に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、ペレットを得、得られたペレットを射出成形し、得られた射出成形体の測定結果を表1に示した。
【0044】
実施例3
実施例1で用いたPP1を参考例3で得られたPP3に変更した以外は、実施例1と同様の方法によってペレットを得、得られたペレットを射出成形し、得られた射出成形体の測定結果を表1に示した。
【0045】
比較例1
実施例1で用いたPP1を参考例4で得られたPP4に変更した以外は、実施例1と同様の方法によってペレットを得、得られたペレットを射出成形し、得られた射出成形体の測定結果を表1に示した。
【0046】
比較例2
実施例1で用いたPP1を参考例5で得られたPP5に変更した以外は、実施例1と同様の方法によってペレットを得、得られたペレットを射出成形し、得られた射出成形体の測定結果を表1に示した。
【0047】
【表1】
Figure 2004002693
【0048】
本発明の要件を満足する実施例1〜3は、透明性と耐衝撃性に優れたものであることが分かる。これに対して、本発明の要件を満足しない比較例1および2は、耐衝撃性が低く、透明性が悪いものであることが分かる。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によって、透明性と耐衝撃性に優れた射出成形用プロピレン系重合体およびそれからなる射出成形体を得ることができる。

Claims (2)

  1. 下記の要件(a)および要件(b)を満たすことを特徴とする射出成形用プロピレン系重合体。
    (a)20℃キシレン可溶部(CXS)が5〜20重量%である。
    (b)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したCXSの分子量分布(Mw/Mn)が6以上である。
  2. 請求項1記載の射出成形用プロピレン系重合体からなる射出成形体。
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