JP2004002326A - 速崩壊性固形製剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】適度な硬度と速やかな崩壊性を有し、かつ、製造工程におけるα−グルコシダーゼ阻害剤の損失の小さい、α−グルコシダーゼ阻害剤含有速崩壊性固形製剤を提供する。
【解決手段】α−グルコシダーゼ阻害剤、糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および結晶セルロースを含有してなる速崩壊性固形製剤。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、口腔内の唾液または少量の水の存在下において速やかに崩壊する固形製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
速崩壊性固形製剤については、例えば以下の報告がなされている。
a)活性成分、b)平均粒子径が30μm〜300μmの糖または糖アルコール、c)崩壊剤およびd)セルロース類を含有してなる速崩壊性固形製剤が報告されている(特許文献1参照)。
(i)医薬活性成分、(ii)糖類および(iii)5重量%以上7重量%未満のヒドロキシプロポキシル基を有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有してなる速崩壊性固形製剤が報告されている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
国際公開第WO00/78292号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第WO00/06126号パンフレット
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
糖尿病治療薬として有用なα−グルコシダーゼ阻害剤を含有する速崩壊性固形製剤に関し、適度な硬度と速やかな崩壊性を有し、かつ、製造工程におけるα−グルコシダーゼ阻害剤の損失の小さい、優れた速崩壊性固形製剤の提供が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、α−グルコシダーゼ阻害剤を含有する速崩壊性固形製剤について検討した結果、糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および結晶セルロースを組み合わせて用いることによって、適度な硬度と速やかな崩壊性を有し、かつ、製造工程におけるα−グルコシダーゼ阻害剤の損失の小さい、優れた速崩壊性固形製剤が得られることを初めて見い出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1)α−グルコシダーゼ阻害剤、糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および結晶セルロースを含有してなる速崩壊性固形製剤;
2)口腔内速崩壊性固形製剤である前記1)記載の製剤;
3)錠剤である前記1)記載の製剤;
4)固形製剤100重量部に対して、糖類を40〜95重量部含有する前記1)記載の製剤;
5)固形製剤100重量部に対して、ヒドロキシプロピルセルロースを0.01〜20重量部含有する前記1)記載の製剤;
6)固形製剤100重量部に対して、崩壊剤を0.5〜15重量部含有する前記1)記載の製剤;
7)固形製剤100重量部に対して、結晶セルロースを0.5〜40重量部含有する前記1)記載の製剤;
8)α−グルコシダーゼ阻害剤がボグリボースである前記1)記載の製剤;
9)糖類の平均粒子径が30ないし300μmである前記1)記載の製剤;
10)糖類が糖アルコールである前記1)記載の製剤;
11)糖アルコールがD−マンニトールである前記10)記載の製剤;
12)崩壊剤がクロスポビドンである前記1)記載の製剤;
13)さらに甘味料を含有する前記1)記載の製剤;
14)甘味料がアスパルテームである前記13)記載の製剤;
15)糖類、崩壊剤および結晶セルロースの混合物にα−グルコシダーゼ阻害剤およびヒドロキシプロピルセルロースの水溶液を噴霧しながら造粒することを特徴とする、前記1)記載の速崩壊性固形製剤の製造法;
16)糖類、崩壊剤および結晶セルロースの混合物にα−グルコシダーゼ阻害剤およびヒドロキシプロピルセルロースの水溶液を噴霧しながら造粒することによって得られる速崩壊性固形製剤;
などに関する。
【0006】
本発明で用いられるα−グルコシダーゼ阻害剤は、アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなどの消化酵素を阻害して、澱粉や蔗糖の消化を遅延させる作用を有する薬剤であればよい。該α−グルコシダーゼ阻害剤としては、例えばボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテートなどが挙げられる。なかでも、ボグリボースが好ましい。
これらのα−グルコシダーゼ阻害薬は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
α−グルコシダーゼ阻害剤の速崩壊性固形製剤中の含量は、α−グルコシダーゼ阻害剤の種類、投与量により異なるが、固形製剤100重量部に対して、例えば0.01〜60重量部、好ましくは0.01〜20重量部である。
とりわけ、α−グルコシダーゼ阻害剤がボグリボースである場合、速崩壊性固形製剤中の含量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.05〜2重量部である。
【0007】
本発明で用いられる糖類としては、糖、糖アルコール、あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
ここで、糖としては、例えばブドウ糖、果糖、乳糖、蔗糖、トレハロースなどが挙げられる。これらの糖は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。糖は、好ましくは乳糖である。
糖アルコールとしては、例えばD−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなどが挙げられる。これらの糖アルコールは、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。糖アルコールは、好ましくはD−マンニトールである。
糖類は、好ましくは糖アルコールであり、さらに好ましくはD−マンニトールである。
【0008】
本発明で用いられる糖類の平均粒子径(例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置、SYMPATEC社:HELOS&RODOSなどにより測定)は、例えば1〜300μm、好ましくは30〜300μm、さらに好ましくは35〜200μmである。
このような平均粒子径を有する糖類は、市販品(フロイント産業(株)の乳糖造粒粉末ダイラクトーズRおよびダイラクトーズS;メグレジャパンのタブレトースおよびフローラック100;東和化成工業(株)のマンニットSおよびマリンクリスタル;メルク社の1.05980;セルスタージャパンのMannidex;旭化成工業(株)のトレハロースP;東和化成工業(株)のソルビトールDP−50MおよびアマルテイMR−50;加藤化学の純果糖Sなど)として入手することができる。
特に、平均粒子径が5〜30μmの糖類は、市販品(メグレジャパンのグラニュラック230およびソルボラック400;東和化成工業(株)のマンニットP、キシリトールPおよびアマルテイMR−100;日研化学(株)のエリスリトール(微粉)など)として入手することができる。
本発明において好適に用いられる「1〜300μm(好ましくは30〜300μm)の平均粒子径を有する糖類」は、平均粒子径200μm以上の糖類を公知の方法にしたがって粉砕したものであってもよい。ここで、粉砕は、カッターミル、ジェットミル、ハンマーミルなどを用いて行うことができる。例えば平均粒子径が200〜500μmの糖類は、市販品(メグレジャパンのサッシェラック80;旭化成工業(株)のトレハロースGおよびキシリトールXC;日研化学(株)のエリスリトール;サンエイ糖化の無水結晶ぶどう糖TDA―Sおよび含水結晶ぶどう糖TDHなど)として入手することができる。また、平均粒子径が500μm以上の糖類は、市販品(メグレジャパンのプリズマラック40;加藤化学の純果糖;東和化成工業(株)のアマルテイMR−20およびソルビトールDP―10Mなど)として入手することができる。
本発明において用いられる糖類は、平均粒子径の異なる2種以上の糖類を適宜の割合で組み合わせたものであってもよい。
このような組み合わせの具体例としては、平均粒子径30〜90μm未満(好ましくは35〜80μm)の糖類と平均粒子径が90〜500μm(好ましくは90〜300μm)の糖類との組み合わせなどが挙げられる。この際、前者1重量部に対して、通常、後者を0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部用いることが好ましい。
ここで、組み合わせて用いられる糖類の種類は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
平均粒子径の異なる2種以上の糖類を適宜の割合で組み合わせる場合の特に好適な具体例としては、平均粒子径が30〜90μm未満のD−マンニトールと平均粒子径が90〜300μmのD−マンニトールとの組み合わせが挙げられる。
糖類の速崩壊性固形製剤中の含量は、糖類の種類により異なるが、固形製剤100重量部に対して、例えば40〜95重量部、好ましくは50〜90重量部である。
【0009】
本発明で用いられるヒドロキシプロピルセルロースの具体例としては、HPC−SSL、HPC−SL、HPC−L(日本曹達製)などが挙げられる。
ヒドロキシプロピルセルロースの速崩壊性固形製剤中の含量は、固形製剤100重量部に対して、例えば0.01〜20重量部、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部である。
本発明で用いられるヒドロキシプロピルセルロースの代わりに、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(TC−5E、TC−5M、TC−5R、TC−5S、SB−460SH−50、65SH−50(信越化学工業(株))、ポリビニルピロリドン(Kollidon25、Kollidon30、Kollidon90(BASF(ドイツ)製))、アラビアゴム末、ゼラチン、寒天、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルメロースナトリウム、アルファー化でんぷん、部分アルファー化でんぷん、プルラン等を用いてもよい。
【0010】
本発明で用いられる崩壊剤としては、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。これらの崩壊剤は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
崩壊剤の具体例としては、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム(FMC−旭化成)、カルメロースカルシウム(五徳薬品)やカルボキシメチルスターチナトリウム(松谷化学(株)、木村産業(株))、ヒドロキシプロポキシル基含量が5〜16重量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース[LH11,LH21,LH31,LH22,LH32,LH20,LH30、LH32,LH33(いずれも信越化学工業(株)製)]などが挙げられる。
ここで、クロスポビドンは、1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーと称される架橋された重合物であればいずれでもよく、通常分子量 1,000,000以上のクロスポビドンが用いられる。クロスポビドンは、市販品[クロス−リンクト(架橋)ポビドンおよびコリドンCL (BASF(ドイツ)製);ポリプラスドンXL,XL−10およびINF−10 (ISPInc.(米国)製)など]として入手することができる。
崩壊剤は、好ましくはクロスポビドンである。
崩壊剤の速崩壊性固形製剤中の含量は、固形製剤100重量部に対して、例えば0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0011】
本発明で用いられる結晶セルロースの具体例としては、セオラスKG801、セオラスKG802,アビセルPH101,PH102,PH301,PH302,PH−F20、アビセルRC−A591NF(いずれも旭化成工業(株)製)等が挙げられる。結晶セルロースとしては、微結晶セルロースと呼ばれているものも含まれる。
結晶セルロースの速崩壊性固形製剤中の含量は、固形製剤100重量部に対して、例えば0.5〜40重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0012】
本発明の速崩壊性固形製剤は、発明の効果に支障のない限り、製剤技術分野において慣用の添加剤を適当量含んでいてもよい。
このような添加剤として、例えば賦形剤、酸味料、発泡剤、甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤などが挙げられる。
賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギコデンプン、コメデンプン、有孔デンプン等のデンプン類;無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。なかでもトウモロコシデンプンが好ましい。
賦形剤の速崩壊性固形製剤中の含量は、固形製剤100重量部に対して、例えば0.5〜55.0重量部、好ましくは1.0〜30.0重量部である。このような範囲を選択することにより、適度な硬度と速やかな崩壊性を有する速崩壊性固形製剤を得ることができる。
酸味料としては、例えば(無水)クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などが挙げられる。酸味料の速崩壊性固形製剤中の含量は、固形製剤100重量部に対して、例えば0.01〜7.0重量部、好ましくは0.03〜2.0重量部である。
発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
甘味料としては、例えばサッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、アセスルファムカリウムなどが挙げられる。なかでもアスパルテームが好ましい。甘味料の速崩壊性固形製剤中の含量は、固形製剤100重量部に対して、例えば0.01〜5.0重量部、好ましくは0.02〜3重量部である。
香料としては、例えばレモン油、オレンジ油、メントールなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。なかでもステアリン酸マグネシウムが好ましい。
着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。なかでも黄色三二酸化鉄が好ましい。
安定化剤としては、エデト酸ナトリウム、トコフェロール、シクロデキストリン等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えばクエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
上記した添加剤の粒子径は、口腔内でのザラツキ感を生じにくい500μm以下であることが好ましい。
また、前記添加剤のなかでも、甘味料を用いることにより、本発明の速崩壊性固形製剤の服用性を改善することができる。具体的には、該固形製剤の服用時に感じる粉っぽさやザラツキ感を低減することができる。
【0013】
本発明の速崩壊性固形製剤の剤形としては、例えば錠剤(舌下錠を含む)、カプセル剤、顆粒剤、トローチ剤などの経口剤;坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤など)などの非経口剤が挙げられる。なかでも、錠剤が好ましい。該錠剤の形状は、特に制限されず、錠剤の形状の具体例としては、丸形、キャプレット形、ドーナツ形、オブロング形などが挙げられる。また、錠剤は積層錠、有核錠などであってもよい。
【0014】
本発明の速崩壊性固形製剤は、好ましくは口腔内速崩壊性固形製剤であり、さらに好ましくは口腔内速崩壊性錠剤である。
本発明の速崩壊性固形製剤の口腔内崩壊時間(健康な成人男子及び女子の口腔内の唾液で製剤が完全に崩壊するまでの時間)は、固形製剤の形状、大きさなどによって異なるが、好ましくは5〜90秒、さらに好ましくは5〜60秒程度である。また、本発明の速崩壊性固形製剤の硬度(錠剤硬度計による測定値)は、好ましくは10〜200N、さらに好ましくは10〜150N程度である。
本発明の速崩壊性固形製剤は、毒性も低く、哺乳動物(例、ヒト,マウス,ラット,ウサギ,イヌ,ネコ,ウシ,ウマ,ブタ,サル等)に対し、経口的または非経口的に安全に投与することができる。
なお、本発明の速崩壊性固形製剤は、通常、口腔内の唾液の存在下で速やかに崩壊するが、口腔内で崩壊させることなく服用してもよいし、水と一緒に服用してもよい。また、本発明の速崩壊性固形製剤を予め水で分散した液を服用してもよい。
本発明の速崩壊性固形製剤の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状等により、適宜選択することができる。
例えば本発明の速崩壊性固形製剤を成人糖尿病患者(体重50kg)に投与する場合、1日あたりの投与量は、活性成分であるα−グルコシダーゼ阻害剤として、通常0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜500mgであリ、この量を1日1ないし数回に分けて投与することができる。
とりわけα−グルコシダーゼ阻害剤としてボグリボースを用いる場合、本発明の速崩壊性固形製剤の1日あたりの投与量は、ボグリボースとして、通常0.1〜2mg、好ましくは0.1〜1mgである。とりわけ、本発明の速崩壊性固形製剤を、ボグリボースの1回あたりの投与量が0.2〜0.3mgとなるように、1日3回、食前に経口投与することが好ましい。
また、α−グルコシダーゼ阻害剤としてアカルボースを用いる場合、本発明の速崩壊性固形製剤の1日あたりの投与量は、アカルボースとして、通常10〜500mg、好ましくは20〜200mgである。とりわけ、本発明の速崩壊性固形製剤を、アカルボースの1回あたりの投与量が50〜100mgとなるように、1日3回、食前に経口投与することが好ましい。
【0015】
本発明の速崩壊性固形製剤は、例えば糖尿病(例、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病等);耐糖能不全(IGT);高脂血症(例、高トリグリセライド血症、高コレステロール血症、低HDL低血症など);高インスリン血症;糖尿病性合併症(例、網膜症、腎症、神経障害、大血管障害など);冠動脈および脳血管障害;高アンモニウム血症;肥満;シンドロームXをもたらす高血圧、内臓肥満およびインスリン抵抗性;骨減少症や骨粗しょう症などの骨代謝障害;脂肪肝、肝炎、便秘、下痢、腸炎などの消化器系疾患;ダンピング症候群;糖原病などの予防および治療に用いることができる。
【0016】
糖尿病の判定基準については、1999年に日本糖尿病学会から判定基準が報告されている。
この報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dL以上、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dL以上、随時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dL以上のいずれかを示す状態である。また、上記糖尿病に該当せず、かつ、「空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dL未満および75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dL未満の両方を満たす状態」(正常型)でない状態を、「境界型」と呼ぶ。
【0017】
また、糖尿病の判定基準については、1997年にADA(米国糖尿病学会)から、1998年にWHOから、判定基準が報告されている。
これらの報告においても、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dL以上か、あるいは75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dL以上を示す状態である。
また、上記報告によれば、耐糖能異常とは、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dL以上200mg/dL未満を示す状態である。さらに、ADAの報告によれば、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dL以上126mg/dL未満の状態をIFG(Impaired Fasting Glucose)と呼ぶ。一方、WHOの報告によれば、該IFG(Impaired Fasting Glucose)のうち、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dL未満である状態のみIFG(Impaired Fasting Glycemia)と呼ぶ。
本発明の速崩壊性固形製剤は、上記した判定基準により決定される糖尿病、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)およびIFG(Impaired Fasting Glycemia)の予防および治療に用いることができる。さらに、本発明の速崩壊性固形製剤は、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)またはIFG(Impaired Fasting Glycemia)から糖尿病への進展を防止することができる。
【0018】
本発明の速崩壊性固形製剤が有する糖尿病治療効果(例、血糖低下作用など)は、例えば該製剤の投与前後に、投与対象の静脈血血漿中のグルコースまたはHb(ヘモグロビン)A1cの濃度を測定し、得られる濃度を投与前後で比較することにより評価できる。ここで、HbA1cとは、糖化ヘモグロビン(glycosylated hemoglobin)を意味し、血中グルコース濃度に対応して徐々に生成される。よって、HbA1cは、糖尿病患者における急激な血糖変化に影響されにくい血糖コントロール指標として重視されている。本発明の速崩壊性固形製剤は、優れたHbA1c低下効果を有する。
【0019】
本発明の速崩壊性固形製剤は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、抗血栓剤、骨粗鬆症治療剤、抗痴呆剤、勃起不全改善剤、尿失禁・頻尿治療剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。これらの併用薬剤は、低分子化合物であってもよく、また高分子の蛋白、ポリペプチド、抗体であるか、あるいはワクチン等であってもよい。この際、本発明の速崩壊性固形製剤および併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の速崩壊性固形製剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の速崩壊性固形製剤1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0020】
なお、糖尿病治療剤としては、インスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1等)など)、インスリン抵抗性改善剤(例、塩酸ピオグリタゾン、(マレイン酸)ロシグリタゾン、GI−262570、レグリキサン(Reglixane)(JTT−501)、ネトグリタゾン(Netoglitazone)(MCC−555)、YM−440、KRP−297、CS−011、FK−614、WO99/58510に記載の化合物(例えば(E)−4−[4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイミノ]−4−フェニル酪酸)、ラガグリタザール(Ragaglitazar)(NN−622)、AR−H−039242、BMS−298585、EML−16336、テサグリタザール(Tesaglitazar)(AZ−242)、バラグリタゾン(Balaglitazone)(NN−2344)、ONO−5816、BM−13−1258、LM−4156、MBX−102、LY−519818、MX−6054、LY−510929等)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン等)、インスリン分泌促進剤[スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール等)、レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物等]、GLP−1受容体アゴニスト[例、GLP−1、NN−2211、AC−2993(exendin−4)、BIM−51077、Aib(8,35)hGLP−1(7,37)NH等]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド等)、フォスフォチロシンフォスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸等)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−100、P32/98、LAF237、NVP−DPP728等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552,AJ−9677、BMS−196085、AZ40140等)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤等)、SGLT(sodium−glucose cotransporter)阻害剤(例、T−1095等)等が挙げられる。
【0021】
糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、SNK−860、CT−112等)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT−3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例えば4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾールなど)等)、神経再生促進薬(例、Y−128等)、PKC阻害剤(例、LY−333531等)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン等)等が挙げられる。
【0022】
抗高脂血症剤としては、コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、セリバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩)等)、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224に記載の化合物、例えばN−[[(3R,5S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−7−クロロ−5−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロ−4,1−ベンゾオキサゼピン−3−イル]アセチル]ピペリジン−4−酢酸など)、トリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート等)等が挙げられる。
降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサンタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン等)、クロニジン等が挙げられる。
抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット等)、β3アゴニスト(例、CL−316243、SR−58611−A、UL−TG−307、SB−226552、AJ−9677、BMS−196085、AZ40140等)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL−15849等)等が挙げられる。
【0023】
抗血栓剤としては、例えばヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium)など)、ワルファリン(例、ワルファリンカリウムなど)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban)など)、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase)など)、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidinehydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelatehydrochloride)など)などが挙げられる。
骨粗鬆症治療剤としては、例えばアルファカルシドール(alfacalcidol)、カルシトリオール(calcitriol)、エルカトニン(elcatonin)、サケカルシトニン(calcitonin salmon)、エストリオール(estriol)、イプリフラボン(ipriflavone)、パミドロン酸二ナトリウム(pamidronatedisodium)、アレンドロン酸ナトリウム水和物(alendronate sodium hydrate)、インカドロン酸二ナトリウム(incadronatedisodium)等が挙げられる。
抗痴呆剤としては、例えばタクリン(tacrine)、ドネペジル(donepezil)、リバスチグミン(rivastigmine)、ガランタミン(galantamine)等が挙げられる。
勃起不全改善剤としては、例えばアポモルフィン(apomorphine)、クエン酸シルデナフィル(sildenafil citrate)等が挙げられる。
尿失禁・頻尿治療剤としては、例えば塩酸フラボキサート(flavoxate hydrochloride)、塩酸オキシブチニン(oxybutynin hydrochloride)、塩酸プロピベリン(propiverinehydrochloride)等が挙げられる。
併用薬剤は、好ましくはインスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、ビグアナイド剤、インスリン分泌促進剤(好ましくはスルホニルウレア剤)などである。
【0024】
上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。2種以上の併用薬剤を用いる場合の好ましい組み合わせとしては、例えば以下のものが挙げられる。
1)インスリン分泌促進剤(好ましくはスルホニルウレア剤)およびビグアナイド剤;
2)インスリン分泌促進剤(好ましくはスルホニルウレア剤)およびインスリン抵抗性改善剤;
3)インスリン抵抗性改善剤およびビグアナイド剤。
【0025】
本発明の速崩壊性固形製剤が併用薬剤と組み合わせて使用される場合、両成分の投与量は、それらの成分の反対効果を考えて安全な範囲内で低減できる。特に、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進剤(好ましくはスルホニルウレア剤)およびビグアナイド剤は通常の投与量よりも低減できる。したがって、これらの剤により引き起こされるであろう反対効果は安全に防止できる。それに加えて、糖尿病合併症剤、抗高脂血症剤、降圧剤の投与量は低減でき、その結果これらの剤により引き起こされるであろう反対効果は効果的に防止できる。
【0026】
本発明の速崩壊性固形製剤は、例えばα−グルコシダーゼ阻害剤、糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および結晶セルロースを、必要に応じて例えば賦形剤、酸味料、甘味料、滑沢剤、着色剤などの添加剤と共に混合し、ついで圧縮成形することによって製造することができる。
混合(または練合)は、自体公知の方法にしたがって、例えばバーチカルグラニュレーターVG10(パウレック社製)、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)、流動層造粒乾燥機LAB−1型(パウレック社製)などを用いて行われる。
圧縮成型は、自体公知の方法により、例えば単発錠剤機(菊水製作所製)、ロータリー式打錠機(菊水製作所製)などを用いて行うことができる。圧縮成型(好ましくは打錠)の際の圧力は、通常1.5〜30kN/cmである。
本発明の速崩壊性固形製剤は、好ましくは糖類、崩壊剤および結晶セルロースを必要に応じて賦形剤、甘味料などの添加剤と共に混合し、得られる混合物に、α−グルコシダーゼ阻害剤およびヒドロキシプロピルセルロースと必要に応じて酸味料、甘味料、着色剤などの添加剤とを溶媒(例、水、アセトン、エチルアルコール、プロピルアルコールあるいはこれらの混合液)に分散または溶解した液を噴霧しながら造粒し、得られる造粒物に賦形剤、滑沢剤などの添加剤を加えて、圧縮成形することによって製造される。前記溶媒としては、水が好ましく、さらに、造粒の際の噴霧液としては、「α−グルコシダーゼ阻害剤およびヒドロキシプロピルセルロースの水溶液(必要に応じて酸味料、着色剤、甘味料などの添加剤を含んでいてもよい)」を用いることが好ましい。
このようにして得られる速崩壊性固形製剤は、製造工程におけるα−グルコシダーゼ阻害剤の損失が小さく、α−グルコシダーゼ阻害剤の含量均一性に優れる。したがって、該速崩壊性固形製剤は、単一製剤(例えば、1個の錠剤)あたりのα−グルコシダーゼ阻害剤含量のばらつきが少なく、保存安定性に優れ、かつ安定した薬効を奏する製剤として有用である。
【0027】
上記のようにして得られる速崩壊性固形製剤に、必要に応じて、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性を目的とするコーティングを行ってもよい。
コーティングは、コーティング基剤を用いて自体公知の方法にしたがって行われる。
該コーティング基剤としては、例えば糖衣基剤、水溶性フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティング基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げられる。
糖衣基剤としては、白糖、エリスリトールが用いられ、さらに、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2種以上を併用してもよい。
水溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE〔オイドラギットE(商品名)、ロームファルマ社〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プルランなどの多糖類などが挙げられる。
腸溶性フィルムコーティング基剤としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL(商品名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポリマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポリマーS〔オイドラギットS(商品名)、ロームファルマ社〕などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物などが挙げられる。
徐放性フィルムコーティング基剤としては、例えばエチルセルロースなどのセルロース系高分子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS〔オイドラギットRS(商品名)、ロームファルマ社〕、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)、ロームファルマ社〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際に、例えばマクロゴール6000、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ポリソルベート80等の可塑剤、酸化チタン、三二酸化鉄等のような遮光剤を用いてもよい。
また、速崩壊性固形製剤に、識別性のためのマーク、文字さらには分割用の割線を付してもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例および実験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
なお、実施例および比較例で用いられる製剤添加剤(例、D−マンニトール、クロスポビドン、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、黄色三二酸化鉄、無水クエン酸、エリスリトール、軽質無水ケイ酸)としては、第十四改正日本薬局方あるいは医薬品添加物規格適合品を用いた。
【0029】
【実施例】
実施例で得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、下記試験法によって評価した。
(1)硬度
錠剤連続計測システム(WHT−1、ジャパンマシナリー(株)製)を用いて硬度を測定した。試験は10錠で行い、その平均値を示した。
(2)崩壊時間
錠剤6錠を用い、日局(14局)に記載の崩壊試験法にて、水、補助盤なしにて、錠剤が完全に崩壊するまでの時間を測定した。
【0030】
実施例1
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)510.5g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66g、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gおよびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))15gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))3.3gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水194gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン20g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.5gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、7.5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ33.2Nおよび0.3〜0.4分であった。
【0031】
実施例2
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)508.8g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66g、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gおよびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))15gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))4.95gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水195gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン20g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.5gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ25.4Nおよび0.3分であった。
【0032】
実施例3
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)508.4g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66g、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gおよびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))39gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.4gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水203gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物435.7gに、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))4.4gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、6kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ25.5Nおよび0.3分であった。
【0033】
実施例4
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)493.5gおよびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))39gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))17.4g、無水クエン酸(ADMファー・イースト(株))1.65gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水369gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物184.4gに、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))11g、アスパルテーム(味の素(株))0.4g、結晶セルロース(旭化成工業(株))22g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))2.2gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ42.1Nおよび0.4〜0.6分であった。
【0034】
実施例5
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)507.2g、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))15g、アスパルテーム(味の素(株))1.2g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.4gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水196gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン20g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.5gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、7.5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19K、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ32.5Nおよび0.5分であった。
【0035】
実施例6
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)507.2g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66g、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33g、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))15gおよびアスパルテーム(味の素(株))1.2gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.945g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.4gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水196gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。同じ製造方法にて3回造粒を行い、造粒末を得た。次に、得られた造粒物を全て、パワーミル(昭和化学機械工作所、P−3S)を用い、スクリーンサイズ(1.2mmφ)にて整粒し、整粒物を得た。
整粒物1762gに、トウモロコシデンプン67.2g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))18.5gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、7.5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ26.0Nおよび0.4分であった。また、錠剤の口腔内崩壊時間(錠剤1錠が口腔内の唾液のみで崩壊するまでの時間を、健康な成人男子3名により測定した場合の平均値)は19.7秒であった。
【0036】
実施例7
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)461.0g、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))13.6g、アスパルテーム(味の素(株))1.0g、結晶セルロース(旭化成工業(株))60gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))30gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.824g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.2gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.4gを含む精製水178gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。同じ製造方法にて3回造粒を行い、造粒末を得た。次に、得られた造粒物を全て、パワーミル(昭和化学機械工作所、P−3S)を用い、スクリーンサイズ(1.2mmφ)にて整粒し、整粒物を得た。
整粒物1573gに、トウモロコシデンプン60.5g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))16.5gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり150mg、10kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ7.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ25.9Nおよび0.4〜0.5分であった。
また、錠剤の口腔内崩壊時間(錠剤1錠が口腔内の唾液のみで崩壊するまでの時間を、健康な成人男子3名により測定した場合の平均値)は19.3秒であった。
【0037】
実施例8
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)461.0g、アスパルテーム(味の素(株))1.0g、結晶セルロース(旭化成工業(株))60gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))30gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.8g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.2gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.4gを含む精製水178gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))33.4g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.6gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり150mg、10kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19K、錠剤サイズ7.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ25.4Nおよび0.4分であった。
【0038】
実施例9
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)507.2g、アスパルテーム(味の素(株))1.2g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.4gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水195.9gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物573.4gに、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))36.4g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))6.2gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、7.5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19K、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ26.6Nおよび0.3〜0.4分であった。
【0039】
実施例10
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)461g、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))13.6g、結晶セルロース(旭化成工業(株))60gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))30gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.8g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.2gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.4gを含む精製水176.4gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン20.2g、アスパルテーム(味の素(株))0.9g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.5gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり150mg、10kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19K、錠剤サイズ7.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ22.3Nおよび0.3〜0.4分であった。
【0040】
実施例11
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)461g、結晶セルロース(旭化成工業(株))60gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))30gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.8g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.2gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.4gを含む精製水176.4gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))33.5g、アスパルテーム(味の素(株))0.9g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.7gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり150mg、10kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19K、錠剤サイズ7.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ22.0Nおよび0.3〜0.5 分であった。
【0041】
実施例12
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)507g、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))15.0g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.4gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水193.1gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン20.0g、アスパルテーム(味の素(株))1.0g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.5gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、7.5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19K、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ23.5Nおよび0.3〜0.4分であった。
【0042】
実施例13
D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)507g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66gおよびクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達(株))5.4gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水193.1gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物524.5gに、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))33.4g、アスパルテーム(味の素(株))1.0g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))5.7gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、7.5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19K、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
得られた錠剤の硬度および崩壊時間は、それぞれ24.7Nおよび0.4分であった。
【0043】
比較例1
ヒドロキシプロピルセルロースを用いない以外は実施例1と同様にして錠剤を製造した。
すなわち、D−マンニトール(メルクジャパン(株):1.05980,平均粒子径45μm)513.8g、結晶セルロース(旭化成工業(株))66g、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))33gおよびトウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))15gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボース0.9gおよび黄色三二酸化鉄(Anstead社)0.75gを含む精製水191gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物587.4gに、トウモロコシデンプン22.4g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))6.16gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり220mg、7.5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
【0044】
比較例2
国際公開第WO00/06126号パンフレットの実施例3に記載された方法と同様にして、錠剤を製造した。
すなわち、ボグリボース0.6g、エリスリトール(日研化学(株))410.4g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株)、LH−33)120.0g、結晶セルロース(旭化成工業(株))30.0g、クロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))30g、無水クエン酸(ADMファー・イースト(株))6.0g、およびアスパルテーム(味の素(株))1.2gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、精製水を噴霧し造粒した。乾燥後、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))1.8gを配合し、ロータリー式打錠機を用いて、1錠当たり200mg、5kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト19KAWC、錠剤サイズ8.5mmφ)して、錠剤を得た。
【0045】
比較例3
国際公開第WO00/78292号パンフレットの実施例5に記載された方法と同様にして、錠剤を製造した。
すなわち、D−マンニトール(東和化成工業(株):マンニットS)289g、結晶セルロース(旭化成工業(株))40g、トウモロコシデンプン(日本コーンスターチ(株))40gおよび軽質無水ケイ酸(ワイ・ケイ・エフ(有))1.2gを流動造粒乾燥機(パウレック社,LAB−1型)に仕込み、ボグリボースを0.4g、食用黄色5号(三栄源エフ・エフ・アイ(株))10mgを含む精製水120gを噴霧し、造粒、乾燥工程を経て造粒物を得た。
造粒物352gにクロスポビドン(アイエスピー・ジャパン(株))19g、軽質無水ケイ酸0.38g、ステアリン酸マグネシウム(太平化学産業(株))7.6g、アスパルテーム(味の素(株))1.14gを加え、混合末を得た。
この混合末を1錠当たり200mg、10kN/cmで打錠(菊水製作所,コレクト12HUK、錠剤サイズ9.0mmφ)して、錠剤を得た。
【0046】
実験例
実施例及び比較例で得られた錠剤について、製造工程における薬物損失量を下式により算出した。結果を[表1]に示す。
薬物損失量(%)=100 − (薬物回収率)
ここで、薬物回収率は、下式により算出した。
薬物回収率(%)=(At×Ws)÷(As×S×2)
すなわち、錠剤10錠を移動相100mLにて溶解し、遠心分離後の上清をフィルター濾過し、高速液体クロマトグラフィーにて、ピーク曲線下面積(At)を測定した。別にボグリボースを40(0.2mg錠の場合)または60mg(0.3mg錠の場合)を精秤(Ws mg)し、移動相100mLにて溶解後、さらに移動相で20倍希釈後、高速液体クロマトグラフィーにて、ピーク曲線下面積(As)を測定した。At、Asより、錠剤1錠当たりのボグリボース含量を算出し、錠剤1錠当たりのボグリボース配合量(Smg)に対する比率を算出し、薬物回収率とした。
検出器:蛍光光度計(励起波長:350nm,蛍光波長:430nm)
移動相:アセトニトリル・pH6.5のリン酸ナトリウム緩衝液混液(2:1)
発蛍光液:タウリン6.25g及び過ヨウ素酸ナトリウム2.56gを水に溶解し1000mLとする。
カラム:Unishi QNH、5μm、内径4.6mm、長さ15cm(ジーエルサイエンス)
流量:保持時間が約20分になるように調整する。
発蛍光試液の流量:移動相の流量と同じ
反応コイル用恒温槽温度:100℃
冷却コイル用恒温槽温度:15℃
Figure 2004002326
[表1]に示されるように、比較例1〜3の錠剤における薬物損失量は6.0%以上であったのに対し、実施例1〜7の錠剤における薬物損失量は3.6%以下であり、製造工程における薬物の損失が小さかった。すなわち、本発明の速崩壊性固形製剤は、工業的規模での生産に適する優れた製剤であることが示された。
【0047】
【発明の効果】
本発明の速崩壊性固形製剤は、薬剤の嚥下が困難な患者、高齢者および小児の服用しやすい糖尿病治療薬として有用である。
また、本発明の速崩壊性固形製剤は、適度な硬度と速やかな崩壊性を有する。
さらに、本発明の速崩壊性固形製剤は、製造工程におけるα−グルコシダーゼ阻害剤の損失が小さく、α−グルコシダーゼ阻害剤の含量均一性に優れる。したがって、本発明の速崩壊性固形製剤は、単一製剤(例えば、1個の錠剤)あたりのα−グルコシダーゼ阻害剤含量のばらつきが少なく、保存安定性に優れ、かつ安定した薬効を奏する製剤として有用である。

Claims (16)

  1. α−グルコシダーゼ阻害剤、糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、崩壊剤および結晶セルロースを含有してなる速崩壊性固形製剤。
  2. 口腔内速崩壊性固形製剤である請求項1記載の製剤。
  3. 錠剤である請求項1記載の製剤。
  4. 固形製剤100重量部に対して、糖類を40〜95重量部含有する請求項1記載の製剤。
  5. 固形製剤100重量部に対して、ヒドロキシプロピルセルロースを0.01〜20重量部含有する請求項1記載の製剤。
  6. 固形製剤100重量部に対して、崩壊剤を0.5〜15重量部含有する請求項1記載の製剤。
  7. 固形製剤100重量部に対して、結晶セルロースを0.5〜40重量部含有する請求項1記載の製剤。
  8. α−グルコシダーゼ阻害剤がボグリボースである請求項1記載の製剤。
  9. 糖類の平均粒子径が30ないし300μmである請求項1記載の製剤。
  10. 糖類が糖アルコールである請求項1記載の製剤。
  11. 糖アルコールがD−マンニトールである請求項10記載の製剤。
  12. 崩壊剤がクロスポビドンである請求項1記載の製剤。
  13. さらに甘味料を含有する請求項1記載の製剤。
  14. 甘味料がアスパルテームである請求項13記載の製剤。
  15. 糖類、崩壊剤および結晶セルロースの混合物にα−グルコシダーゼ阻害剤およびヒドロキシプロピルセルロースの水溶液を噴霧しながら造粒することを特徴とする、請求項1記載の速崩壊性固形製剤の製造法。
  16. 糖類、崩壊剤および結晶セルロースの混合物にα−グルコシダーゼ阻害剤およびヒドロキシプロピルセルロースの水溶液を噴霧しながら造粒することによって得られる速崩壊性固形製剤。
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