JP4567340B2 - 被覆製剤の製造方法 - Google Patents
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Description
1)インスリン感受性増強剤と、α−グルコシダーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、ビグアナイド剤、スタチン系化合物、スクアレン合成阻害剤、フィブラート系化合物、LDL異化促進剤およびアンジオテンシン変換酵素阻害剤の少なくとも一種とを組み合わせてなる医薬が報告されている(特許文献1参照)。
2)インスリンセンシタイザー、ビグアナイド抗過血糖薬および製薬上許容し得る担体を含む医薬組成物が報告されている(特許文献2参照)。
3)チアゾリジンジオン、塩酸メトフォルミンおよび製薬上許容し得る担体を含み、チアゾリジンジオンが塩酸メトフォルミンの表面上に製剤化(formulate)された医薬組成物が報告されている(特許文献3参照)。
4)チアゾリジンジオン、塩酸メトフォルミンおよび製薬上許容し得る担体を含み、チアゾリジンジオンと塩酸メトフォルミンとが、それ自身の製薬上許容し得る担体内にそれぞれ分散された医薬組成物が報告されている(特許文献4参照)。
5)(a)活性成分として塩酸ピオグリタゾンまたはその製薬上許容し得る塩を含む第一層と、(b)該第一層で少なくとも一部が囲まれ、活性成分としてビグアナイドを含む核とからなる核製剤(core formulation)が報告されている(特許文献5参照)。
6)ビグアナイド含有核の少なくとも一部を覆う塩酸ピオグリタゾン含有第一層を含み、該核および第一層の一方または両方が多糖類などの放出制御剤中に分散された核製剤(core formulation)が報告されている(特許文献6参照)。
すなわち、本発明は、
1)粘度の低いコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの水分散液でコーティングすることを特徴とする、被覆製剤の製造方法;
2)前記1)記載の製造方法により得られた被覆製剤;
3)粘度の低いコーティング基剤の5%水溶液が20℃において35mPa・s以下の粘度を有する前記1)記載の製造方法;
4)粘度の低いコーティング基剤がヒドロキシプロピルセルロースSL、ヒドロキシプロピルセルロースSSLまたはポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマーである前記1)記載の製造方法;
5)活性成分を含有する核を、粘度の低いコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの水分散液でコーティングする前記1)記載の製造方法;
6)活性成分が糖尿病治療薬である前記5)記載の製造方法;
7)糖尿病治療薬がビグアナイド剤である前記6)記載の製造方法;
8)ビグアナイド剤が塩酸メトフォルミンである前記7)記載の製造方法;
9)活性成分が高脂血症治療薬である前記5)記載の製造方法;
10)高脂血症治療薬がHMG−CoA還元酵素阻害薬である前記9)記載の製造方法;
11)塩酸ピオグリタゾンでコーティングされた被覆製剤を製造するに際し、粘度の低いコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの水分散液を用いてコーティングを行うことを特徴とする、該被覆製剤からの塩酸ピオグリタゾン溶出性の改善方法;
12)試験液としてpH2.0の塩酸・塩化カリウム緩衝液を用い、37℃、100rpmで回転バスケット法による溶出試験を行った際に、15分後に50%以上の塩酸ピオグリタゾンを溶出する、前記1)記載の製造方法により得られた被覆製剤;
13)試験液としてpH2.0の塩酸・塩化カリウム緩衝液を用い、37℃、50rpmでパドル法による溶出試験を行った際に、15分後に50%以上の塩酸ピオグリタゾンを溶出する、前記1)記載の製造方法により得られた被覆製剤;
などに関する。
さらに、本発明の製造法によれば、塩酸ピオグリタゾンでコーティングされた被覆製剤を簡便に製造することができるため、本発明の製造法は前記被覆製剤を大量生産する場合の工業的な製法として有用である。
また、本発明において用いられる水分散液は、水溶液および水懸濁液のいずれであってもよい。
水分散液における塩酸ピオグリタゾンの濃度は、例えば1〜25%(W/W)、好ましくは1〜15%(W/W)である。このような濃度を採用することが、コーティングの作業性および得られる被覆製剤における塩酸ピオグリタゾンの含量均一性などの点から好ましい。
ここで、粘度の低いコーティング基剤とは、例えばその5%(W/V)水溶液が20℃において35mPa・s以下(好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは25mPa・s以下)の粘度を有するコーティング基剤を意味する。該コーティング基剤の粘度は、水溶液中のコーティング基剤の濃度、測定温度などの測定条件が異なる場合には、異なる値であってもよい。このように測定条件が異なる場合には、5%(W/V)水溶液の20℃における粘度に換算した値が前記した粘度の範囲内である限り、本発明の「粘度の低いコーティング基剤」に含まれる。
「粘度の低いコーティング基剤」としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース(グレード:SL、SSL(商品名);日本曹達(株));ヒドロキシプロピルメチルセルロース(グレード:MW、E、EW(商品名);信越化学(株))(グレード:E−3(商品名);日本曹達(株));ヒドロキシプロピルセルロース(グレード:SSL、日本曹達(株))とヒドロキシプロピルメチルセルロース(グレード:E−3)のプレミックス品(グレード:SSM(商品名)、日本曹達(株));ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー[KollicoatIR(商品名)、BASF,ドイツ]などが挙げられる。
上記したコーティング基剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。また、上記した各種コーティング基剤から選ばれる1種以上と粘度の高いコーティング基剤の1種以上とを適宜の割合で組み合わせて得られるコーティング基剤混合物が、「その5%(W/V)水溶液が20℃において35mPa・s以下の粘度を有するコーティング基剤」である場合には、該混合物も本発明の「粘度の低いコーティング基剤」として用いることができる。ここで、「粘度の高いコーティング基剤」としは、例えばその5%(W/V)水溶液が20℃において35mPa・sより高い粘度を有するコーティング基剤を意味し、その具体例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(グレード:L(商品名);日本曹達(株))(グレード:Klucel EF、Klucel LF(商品名);Aqualon(米国));ヒドロキシプロピルメチルセルロース(グレード:R(商品名);信越化学(株));などが挙げられる。
粘度の低いコーティング基剤は、好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロースSL(5%水溶液の20℃における粘度:約24mPa・s;および/または2%水溶液の20℃における粘度:3.0〜5.9mPa・s)、ヒドロキシプロピルセルロースSSL(5%水溶液の20℃における粘度:約8mPa・s;および/または2%水溶液の20℃における粘度:2.0〜2.9mPa・s)、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー[KollicoatIR(商品名)、BASF,ドイツ](5%水溶液の20℃における粘度:約18mPa・s)などである。
本発明の分散液は、さらに、コーティング添加剤を含有していてもよい。該コーティング添加剤としては、例えば酸化チタン、タルク、三二酸化鉄などの遮光剤および/または着色剤;ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベート類などの可塑剤;クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸;乳糖、D−マンニトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースカルシウム、クロスポビドンなどが挙げられる。
本発明の分散液における粘度の低いコーティング基剤の濃度は、例えば1〜30%(W/W)、好ましくは1〜25%(W/W)、さらに好ましくは2〜25%(W/W)である。このような濃度を採用することが、コーティングの作業性および得られる被覆製剤における塩酸ピオグリタゾンの含量均一性などの点から好ましい。
本発明の分散液におけるコーティング添加剤の濃度は、例えば0.2〜35%(W/W)、好ましくは0.2〜30%(W/W)、さらに好ましくは0.5〜15%(W/W)である。このような濃度を採用することが、コーティングの作業性および得られる被覆製剤における塩酸ピオグリタゾンの含量均一性などの点から好ましい。
賦形剤としては、例えばトウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファ−化デンプン、有孔デンプン等のデンプン類;乳糖、果糖、ブドウ糖、D−マンニトール、ソルビトール等の糖・糖アルコール類:無水リン酸カルシウム、結晶セルロース、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ等が用いられる。該崩壊剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末などが挙げられる。該結合剤の使用量は、固形製剤100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、さらに好ましくは0.5〜40重量部である。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。
着色剤としては、例えば食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄などが挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、アミノ酸塩などが挙げられる。
界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコールなどが挙げられる。
安定化剤としては、例えばトコフェロール、エデト酸四ナトリウム、ニコチン酸アミド、シクロデキストリン類などが挙げられる。
酸味料としては、例えばアスコルビン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
香料としては、例えばメントール、ハッカ油、レモン油、バニリンなどが挙げられる。
流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素などが挙げられる。
上記した添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
このように、本発明の核として、活性成分を含有する核を用いることにより、1)塩酸ピオグリタゾンまたは活性成分の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)塩酸ピオグリタゾンまたは活性成分の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)塩酸ピオグリタゾンまたは活性成分の二次的な作用(例、体重増加作用、ケトーシス、アシドーシス)の低減効果などの優れた効果が得られる。
糖尿病性合併症治療薬としては、例えばアルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット(SNK−860)、CT−112等)、神経栄養因子(例、NGF、NT−3、BDNF等)、神経栄養因子産生・分泌促進剤[例、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例えば4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−(3−(2−メチルフェノキシ)プロピル)オキサゾールなど)]、PKC阻害剤(例、LY−333531等)、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン等)が挙げられる。
降圧剤としては、例えばアンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサンタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、エホニジピン等)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L-27152、AL 0671、NIP-121など)、クロニジン等が挙げられる。
利尿薬としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
抗血栓薬としては、例えばヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium)など)、ワルファリン(例、ワルファリンカリウムなど)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban)など)、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase)など)、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidine hydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride)など)などが挙げられる。
活性成分は、好ましくは糖尿病治療薬であり、さらに好ましくはビグアナイド剤であり、特に好ましくはメトフォルミンまたはその塩(好ましくは塩酸メトフォルミン)である。
また、活性成分としては、高脂血症治療薬も好ましく、該高脂血症治療薬は、さらに好ましくはHMG−CoA還元酵素阻害薬である。なかでも、シンバスタチンなどが好ましい。
本発明の核における活性成分の量は、例えば本発明の核100重量部に対して、例えば0.1〜100重量部、好ましくは1〜99重量部である。
ここで、混合は、例えばV型混合機、タンブラー混合機などの混合機を、造粒は、例えば、高速攪拌造粒機、流動造粒乾燥機などを用いて行われる。また、圧縮成形は、単発錠剤機、ロータリー式打錠機などを用い、通常5〜35kN/cm2の圧力で打錠することにより行われる。
また、塩酸ピオグリタゾンと本発明の核に含まれる活性成分との配合安定性が悪い場合には、活性成分を含有する核を前記したコーティング基剤などでコーティングしてもよい。
ビグアナイド剤を含有する放出持続型製剤としては、
(1)セルロースアセテート(好ましくはアセチル含量が39.3〜40%のセルロースアセテート)、ポリエチレングリコール(好ましくはポリエチレングリコール400など)およびトリアセチンを含む半透膜コーティング(該半透膜コーティングは、穴または孔を有していてもよい)でコーティングされたビグアナイド剤含有錠剤;
(2)ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208および結晶セルロースを含む徐放化組成物とビグアナイド剤とを混合後、圧縮成形して得られる錠剤などが好ましい。
また、コーティングは、得られる被覆製剤100重量部に対して、本発明の核が通常50〜99重量部、好ましくは70〜99重量部、さらに好ましくは70〜98重量部となるように行われる。
さらに、本発明の製造方法によって得られる「塩酸ピオグリタゾンでコーティングされた被覆製剤」(以下、本発明の被覆製剤と略記することがある)に、被覆製剤の製剤強度の向上、苦味の改善、耐光性の向上や着色等を目的とするコーティングを行ってもよい。該コーティングは、例えば前記したコーティング基剤などを用いて公知の方法にしたがって行うことができる。
また、本発明の被覆製剤中の塩酸ピオグリタゾンの量は、例えば被覆製剤100重量部に対して、通常0.01〜30重量部、好ましくは0.5〜25重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。
本発明の被覆製剤は、塩酸ピオグリタゾンの溶出性(特に生体内投与直後あるいは溶出試験開始後15分以内における溶出性)などの製剤特性において優れ、例えば糖尿病(例、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病等)、高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症等)、耐糖能不全[IGT(Impaired Glucose Tolerance)]、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症等)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害等]、肥満、骨粗鬆症、悪液質(例、癌性悪液質、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液疾患性悪液質、内分泌疾患性悪液質、感染症性悪液質または後天性免疫不全症候群による悪液質)、脂肪肝、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、腎臓疾患(例、糖尿病性ネフロパシー、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、末期腎臓疾患等)、筋ジストロフィー、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害(例、脳梗塞、脳卒中)、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、高インスリン血症、高インスリン血症における知覚障害、腫瘍(例、白血病、乳癌、前立腺癌、皮膚癌等)、過敏性腸症候群、急性または慢性下痢、炎症性疾患[例、アルツハイマー病、慢性関節リウマチ、変形性脊椎炎、変形性関節炎、腰痛、痛風、手術外傷後の炎症、腫脹の緩解、神経痛、咽喉頭炎、膀胱炎、肝炎(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、肺炎、膵炎、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎等]、内臓肥満症候群、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化症等)などの予防・治療剤として有用である。
本発明の被覆製剤は、上記した各種疾患の2次予防(例、心筋梗塞などの心血管イベントの2次予防)および進展抑制(例、耐糖能不全から糖尿病への進展抑制、糖尿病患者における動脈硬化進展抑制)にも有用である。
また、本発明の被覆製剤が活性成分を含有する核を用いて得られる場合、該被覆製剤は、活性成分の有効量を含有していることが好ましい。例えば、活性成分がビグアナイド剤(好ましくは塩酸メトフォルミン)である場合の有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、125〜2550mg/日、好ましくは250〜2550mg/日である。また、活性成分がHMG−CoA還元酵素阻害薬(好ましくはシンバスタチン、アトルバスタチンカルシウム、フルバスタチンナトリウム)である場合の有効量は、成人(体重60kg)1人あたり、1〜100mg/日であり、好ましくは5〜80mg/日である。
このように、併用薬剤を用いることにより、1)本発明の被覆製剤または併用薬剤の作用の増強効果(薬剤作用の相乗効果)、2)本発明の被覆製剤または併用薬剤の投与量の低減効果(単独投与時と比較した場合の薬剤投与量の低減効果)、3)本発明の被覆製剤または併用薬剤の二次的な作用(例、体重増加作用、ケトーシス、アシドーシス)の低減効果などの優れた効果が得られる。
塩酸ピオグリタゾンでコーティングされた被覆製剤を製造するに際して、本発明の製造法を採用することにより、塩酸ピオグリタゾン溶出性(特に生体内投与直後あるいは溶出試験開始後15分以内における溶出性)に優れた被覆製剤を得ることができる。
「試験液としてpH2.0の塩酸・塩化カリウム緩衝液を用い、37℃、100rpmで回転バスケット法による溶出試験を行った際に、15分後に50%以上の塩酸ピオグリタゾンを溶出する、本発明の製造方法によって得られた被覆製剤」は、前記した本発明の被覆製剤と同様に、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒトなど)に対して、経口的に安全に投与することができ、対象疾患、投与量なども前記した本発明の被覆製剤と同様である。
「試験液としてpH2.0の塩酸・塩化カリウム緩衝液を用い、37℃、50rpmでパドル法による溶出試験を行った際に、15分後に50%以上の塩酸ピオグリタゾンを溶出する、本発明の製造方法によって得られた被覆製剤」は、前記した本発明の被覆製剤と同様に、哺乳動物(例、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、ヒトなど)に対して、経口的に安全に投与することができ、対象疾患、投与量なども前記した本発明の被覆製剤と同様である。
以下の実施例、参考例および比較例で用いられる製剤添加剤(例、D−マンニトール、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール6000、酸化チタン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、カルボキシメチルセルロースカルシウム)としては、第十四改正日本薬局方適合品を用いた。また、クエン酸トリエチル、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、エチルセルロース水分散液としては、医薬品添加物規格(1998)適合品を用いた。
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:8mPa・s)26.4g、ポリエチレングリコール6000 1.32g、酸化チタン 2.64gおよび塩酸ピオグリタゾン 16.5gを水297gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例1で得られた錠剤300gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり260.9mgの被覆製剤を得た。
実施例2
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:24mPa・s)24g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水344.7gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例2で得られた錠剤250gを投入し、給気温度75℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり381mgの被覆製剤を得た。
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:8mPa・s)24g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水344.7gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例2で得られた錠剤250gを投入し、給気温度75℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり382mgの被覆製剤を得た。
実施例4
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(グレードMW、信越化学工業(株))(5%水溶液の20℃における粘度:21mPa・s)24g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水310gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例2で得られた錠剤250gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり382mgの被覆製剤を得た。
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(グレードEW、信越化学工業(株))(5%水溶液の20℃における粘度:12mPa・s)24g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水344.7gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例2で得られた錠剤250gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり382mgの被覆製剤を得た。
実施例6
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(商品名:KollicoatIR)(BASF,ドイツ)(5%水溶液の20℃における粘度:18mPa・s)24g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水200gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例2で得られた錠剤250gを投入し、給気温度75℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり380.5mgの被覆製剤を得た。
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:24mPa・s)48.0g、ポリエチレングリコール6000 2.4g、酸化チタン4.8gおよび塩酸ピオグリタゾン30.0gを水540gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例4で得られた錠剤250gを投入し、給気温度90℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり459mgの被覆製剤を得た。
実施例8
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(商品名:KollicoatIR(BASF,ドイツ)(5%水溶液の20℃における粘度:18mPa・s)48.0g、ポリエチレングリコール6000 2.4g、酸化チタン4.8gおよび塩酸ピオグリタゾン30.0gを水540gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例4で得られた錠剤250gを投入し、給気温度90℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり461mgの被覆製剤を得た。
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(商品名:Kollicoat IR)(BASF,ドイツ)(5%水溶液の20℃における粘度:18mPa・s)18.0g、酸化チタン1.8g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:L-HPC 31、信越化学(株))3.6gおよび塩酸ピオグリタゾン11.3gを水207gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例5で得られた錠剤30錠及び参考例3で得られた錠剤240g(約800錠)を投入し、給気温度95℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行った。得られる錠剤の外観から、参考例5で得られた錠剤を核とする、1錠当たり479mgの被覆製剤を選択した。
実施例10
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:8mPa・s)24.0g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15.0gを水350gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)にGlucophage XR錠(商品名)(塩酸メトフォルミンを500mg含有する徐放錠)(ブリストルマイヤーズスクイブ社製)30錠及び参考例3で得られた錠剤250gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行った。得られる錠剤の外観から、Glucophage XR錠を核とし、1錠当たり塩酸メトフォルミン500mg/塩酸ピオグリタゾン16.53mgを含有する被覆製剤(1錠当たりの重量:1.086g)を選択した。
ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー(商品名:KollicoatIR(BASF,ドイツ)(5%水溶液の20℃における粘度:18mPa・s)36.0g、酸化チタン3.6gおよび塩酸ピオグリタゾン22.5gを水300gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)にGlucophage XR錠(商品名)(塩酸メトフォルミンを500mg含有する徐放錠)(ブリストルマイヤーズスクイブ社製)30錠及び参考例3で得られた錠剤250gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行った。得られる錠剤の外観から、Glucophage XR錠を核とし、1錠当たり塩酸メトフォルミン500mg/塩酸ピオグリタゾン16.53mgを含有する被覆製剤(1錠当たりの重量:1.082g)を得た。
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度: 24mPa・s)24g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水350gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、シンバスタチンを活性成分として含有するリポバス錠20(商品名、萬有製薬(株),長径14.0mm、短径7.5mm、重量400mg)30錠および参考例9で得られた錠剤250gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行った。得られる錠剤の外観から、1錠当たりシンバスタチン20mg/塩酸ピオグリタゾン17.78mgを含有する被覆製剤(1錠当たりの重量:449mg)を得た。
実施例13
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:24mPa・s)72g、ポリエチレングリコール6000 3.6g、酸化チタン 7.2gおよび塩酸ピオグリタゾン 45gを水1050gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例10で得られた錠剤30錠および参考例9で得られた錠剤250gを投入し、給気温度80℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行った。得られる錠剤の外観から、1錠当たりシンバスタチン15mg/塩酸ピオグリタゾン 16.25mgを含有する被覆製剤(1錠当たりの重量:349mg)を得た。
実施例14
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードSL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:24mPa・s)72g、ポリエチレングリコール6000 3.6g、酸化チタン 7.2gおよび塩酸ピオグリタゾン 45gを水1050gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例11で得られた錠剤30錠および参考例9で得られた錠剤250gを投入し、給気温度80℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行った。得られる錠剤の外観から、1錠当たりアトルバスタチンカルシウム21mg/塩酸ピオグリタゾン 16.93mgを含有する被覆製剤(1錠当たりの重量:349mg)を得た。
D−マンニトール2176gおよびトウモロコシデンプン918gを流動造粒乾燥機(FD−3S、パウレック社製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース102gを含む水溶液1700gを噴霧しながら造粒し、乾燥工程を経て造粒物を得た。得られた造粒末3012gに結晶セルロース160.2gおよびステアリン酸マグネシウム32gを加え、混合した。得られる混合末を打錠機(コレクト19K、菊水製作所製)(錠剤サイズ:8.5mmφ、打錠圧9KN/杵)で打錠し、1錠当たり244mgの錠剤を得た。
参考例2
乳糖2470g、トウモロコシデンプン315gおよびカルメロースカルシウム 157.5gを流動造粒乾燥機(FD−3S、パウレック社製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース94.5gを含む水溶液1575gを噴霧しながら造粒し、乾燥工程を経て造粒物を得た。得られた造粒末2868gにカルメロースカルシウム 89.3gおよびステアリン酸マグネシウム 17.9gを加え、混合した。得られた混合末を打錠機(コレクト19K、菊水製作所製)(錠剤サイズ:長径12mm、短径7mm、打錠圧15KN/杵)で打錠し、1錠当たり350mgの錠剤を得た。
乳糖1976g、トウモロコシデンプン252gおよびカルボキシメチルセルロースカルシウム126gを流動造粒乾燥機(FD−3S、パウレック社製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース75.6gを含む水溶液1260gを噴霧しながら造粒し、乾燥工程を経て造粒物を得た。得られた造粒末2294gにカルボキシメチルセルロースカルシウム71.4gおよびステアリン酸マグネシウム14.3gを加え、混合した。得られた混合末を打錠機(コレクト19K、菊水製作所製)(錠剤サイズ:9mmφ、打錠圧7KN/杵)で打錠し、1錠当たり300mgの錠剤を得た。
参考例4
参考例2で得られた錠剤 400gをフィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に仕込み、エチルセルロース水分散液(商品名:アクアコート、旭化成(株))148.2gにタルク2.2g、クエン酸トリエチル13.3g、黄色三二酸化鉄0.36gおよび水231.1gを加えたコーティング液を用いて、給気温度90℃でコーティングを行い、1錠当たり391mgの錠剤を得た。さらにヒドロキシプロピルメチルセルロース47.3g、ポリエチレングリコール6000 9.5g、酸化チタン6.3gおよび三二酸化鉄0.09gを水473gに溶解した液を用いて、上記と同様の条件でコーティングを行い、1錠当たり416mgの錠剤を得た。
参考例2で得られた錠剤 400gをフィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に仕込み、エチルセルロース水分散液(商品名:アクアコート、旭化成(株))74.1gにタルク1.1g、クエン酸トリエチル6.7g、黄色三二酸化鉄0.18gおよび水115.6gを加えたコーティング液を用いて、給気温度58℃でコーティングを行い、1錠当たり381mgの錠剤を得た。さらにヒドロキシプロピルメチルセルロース47.3g、ポリエチレングリコール6000 9.5g、酸化チタン6.3g、三二酸化鉄0.09gを水473gに溶解した液を用いて、上記と同様の条件でコーティングを行い、1錠当たり429mgの錠剤を得た。
参考例6
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:42mPa・s)26.4g、ポリエチレングリコール6000 1.32g、酸化チタン 2.64gおよび塩酸ピオグリタゾン 16.5gを水297gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例1で得られた錠剤300gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり262.1mgの被覆製剤を得た。
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:42mPa・s)24g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水344.7gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例2で得られた錠剤250gを投入し、給気温度75℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり382mgの被覆製剤を得た。
参考例8
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(グレードR、信越化学工業(株))(5%水溶液の20℃における粘度:40mPa・s)24g、ポリエチレングリコール6000 1.2g、酸化チタン 2.4gおよび塩酸ピオグリタゾン 15gを水270gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例2で得られた錠剤250gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり381.2mgの被覆製剤を得た。
乳糖41160g、トウモロコシデンプン5250gおよびカルメロースカルシウム2625gを流動造粒乾燥機(FD−WSG−60、パウレック社製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース1575gを含む水溶液31510gを噴霧しながら造粒し、乾燥工程を経て造粒物を得た。得られた造粒末47910gにカルメロースカルシウム1491gおよびステアリン酸マグネシウム298.2gを加え、混合した。得られた混合末を打錠機(コレクト19K、菊水製作所製)(錠剤サイズ:7mmφ、打錠圧5.7KN/杵)で打錠し、1錠当たり105mgの錠剤を得た。
参考例10
シンバスタチンを活性成分として含有するリポバス錠5mg(商品名、萬有製薬(株),重量100mg)を乳鉢で粉砕した後、シンバスタチン15mg相当量の粉砕末300mgを9.0mmφ、R面の杵・臼を用い、万能試験機(島津製作所 UH-10A型)(打錠圧9.5KN/杵)で打錠し、30錠の錠剤を得た。
参考例11
アトルバスタチンカルシウムを活性成分として含有するリピトール錠5mg(商品名、山之内製薬、錠剤重量約72mg)を乳鉢で粉砕した後、アトルバスタチンカルシウム21mg相当量の粉砕末300mgを9.0mmφ、R面の杵・臼を用い、万能試験機(島津製作所 UH-10A型)(打錠圧9.5KN/杵)で打錠し、30錠の錠剤を得た。
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:42mPa・s)48.0g、ポリエチレングリコール6000 2.4g、酸化チタン4.8gおよび塩酸ピオグリタゾン30.0gを水540gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、参考例4で得られた錠剤250gを投入し、給気温度90℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行い、1錠当たり459mgの被覆製剤を得た。
ヒドロキシプロピルセルロース(グレードL、日本曹達(株))(5%水溶液の20℃における粘度:42mPa・s)48.0g、ポリエチレングリコール6000 2.4g、酸化チタン4.8gおよび塩酸ピオグリタゾン30.0gを水700gに分散させ、コーティング液を得た。
フィルムコーティング装置(ハイコーターミニ、フロイント社製)に、シンバスタチンを活性成分として含有するリポバス錠20(商品名、萬有製薬(株),長径14.0mm、短径7.5mm、重量400mg)30錠および参考例9で得られた錠剤250gを投入し、給気温度70℃で、前記コーティング液を用いてコーティングを行った。得られる錠剤の外観から、1錠当たりシンバスタチン20mg/塩酸ピオグリタゾン 16.23mgを含有する被覆製剤(1錠当たりの重量:445mg)を得た。
前述の実施例で得られた被覆製剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(37℃、pH2.0)900mLを用いた回転バスケット法(100rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表1に示す。
[表1]塩酸ピオグリタゾンの溶出率(%)
時間 15分 30分 45分 60分
実施例10 60.6 77.4 84.3 88.3
実施例11 71.2 78.1 84.7 86.9
表1に示したように、本発明の製造方法により得られた被覆製剤は、優れた塩酸ピオグリタゾン溶出性を示した。
前述の実施例および比較例で得られた被覆製剤について、0.3M 塩酸・塩化カリウム緩衝液(37℃、pH2.0)900mLを用いたパドル法(50rpm)により、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表2に示す。
[表2]塩酸ピオグリタゾンの溶出率(%)
時間 15分 30分 45分 60分
実施例7 62.0 76.5 83.5 86.2
実施例8 80.6 89.4 91.5 91.5
比較例1 29.9 44.2 55.8 65.3
表2に示したように、本発明の被覆製剤は、優れた塩酸ピオグリタゾン溶出性を示した。
前述の実施例および比較例で得られた被覆製剤について、試験例2と同様にして、塩酸ピオグリタゾンの溶出性を評価した。結果を表3に示す。
[表3]塩酸ピオグリタゾンの溶出率(%)
時間 15分 30分 45分 60分
実施例12 66.2 92.5 97.9 98.8
比較例2 33.8 68.6 83.2 90.6
表3に示したように、本発明の被覆製剤は、優れた塩酸ピオグリタゾン溶出性を示した。
さらに、本発明の製造法によれば、塩酸ピオグリタゾンでコーティングされた被覆製剤を簡便に製造することができるため、本発明の製造法は前記被覆製剤を大量生産する場合の工業的な製法として有用である。
Claims (12)
- 下記:
(a)5%水溶液の20℃における粘度が24mPa・sおよび/または2%水溶液の20℃における粘度が3.0〜5.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース;
(b)5%水溶液の20℃における粘度が8mPa・sおよび/または2%水溶液の20℃における粘度が2.0〜2.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース;ならびに
(c)5%水溶液の20℃における粘度が35mPa・s以下であるポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー
からなる群より選ばれるコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの水分散液でコーティングすることを特徴とする、被覆製剤の製造方法。 - 請求項1記載の製造方法により得られた被覆製剤。
- コーティング基剤がヒドロキシプロピルセルロースSLまたは、ヒドロキシプロピルセルロースSSLである請求項1記載の製造方法。
- 活性成分を含有する核を、下記:
(a)5%水溶液の20℃における粘度が24mPa・sおよび/または2%水溶液の20℃における粘度が3.0〜5.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース;
(b)5%水溶液の20℃における粘度が8mPa・sおよび/または2%水溶液の20℃における粘度が2.0〜2.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース;ならびに
(c)5%水溶液の20℃における粘度が35mPa・s以下であるポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー
からなる群より選ばれるコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの水分散液でコーティングする請求項1記載の製造方法。 - 活性成分が糖尿病治療薬である請求項4記載の製造方法。
- 糖尿病治療薬がビグアナイド剤である請求項5記載の製造方法。
- ビグアナイド剤が塩酸メトフォルミンである請求項6記載の製造方法。
- 活性成分が高脂血症治療薬である請求項4記載の製造方法。
- 高脂血症治療薬がHMG−CoA還元酵素阻害薬である請求項8記載の製造方法。
- 塩酸ピオグリタゾンでコーティングされた被覆製剤を製造するに際し、下記:
(a)5%水溶液の20℃における粘度が24mPa・sおよび/または2%水溶液の20℃における粘度が3.0〜5.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース;
(b)5%水溶液の20℃における粘度が8mPa・sおよび/または2%水溶液の20℃における粘度が2.0〜2.9mPa・sであるヒドロキシプロピルセルロース;ならびに
(c)5%水溶液の20℃における粘度が35mPa・s以下であるポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー
からなる群より選ばれるコーティング基剤を含有する塩酸ピオグリタゾンの水分散液を用いてコーティングを行うことを特徴とする、該被覆製剤からの塩酸ピオグリタゾン溶出性の改善方法。 - 試験液としてpH2.0の塩酸・塩化カリウム緩衝液を用い、37℃、100rpmで回転バスケット法による溶出試験を行った際に、15分後に50%以上の塩酸ピオグリタゾンを溶出する、請求項1記載の製造方法により得られた被覆製剤。
- 試験液としてpH2.0の塩酸・塩化カリウム緩衝液を用い、37℃、50rpmでパドル法による溶出試験を行った際に、15分後に50%以上の塩酸ピオグリタゾンを溶出する、請求項1記載の製造方法により得られた被覆製剤。
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