JP2003535801A - 過酸化水素の製造方法およびそれに使用される組成物 - Google Patents
過酸化水素の製造方法およびそれに使用される組成物Info
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Abstract
Description
て、その使用液が或る種の溶媒混合物を含むものに関する。本発明は更に、過酸
化水素の製造において使用液として有用な上述のような溶媒混合物を含む組成物
に関する。
の方法において、任意に置換されたアントラキノンおよび/又はテトラヒドロア
ントラキノンから選択され、適当な有機溶媒混合物に溶解したもの、すなわち、
いわゆる使用液が水素化され対応するヒドロキノンが形成される。ついで、この
ヒドロキノンは酸素(通常、空気)を用い酸化されてキノンに戻され、同時に過
酸化水素が形成される。この過酸化水素はついで、水を用いて抽出され、他方、
キノンは使用液と共に水素化工程に戻される。
ogy”,第4版、1993、Vol.13,pp.961−995,Kirk-Othmer
に記載されている。
し得る使用液のための溶媒混合物を使用する必要がある。従って、この使用液中
の溶媒混合物には、1種又はそれ以上のキノン溶媒および1種又はそれ以上のヒ
ドロキノン溶媒が含まれる。
3328128、No.4800073およびNo.4800074;更に英国
特許No.1524883に記述されている。 多くの場合、プラントにおける生産能力は、使用液中の水素化に利用可能なキ
ノンの量、又は沈殿を生じさせることなく生成することができるヒドロキノンの
量により制限される。この問題は使用液中のテトラヒドロアントラキノンの量が
多い場合は特に重要である。
ヒドロアントラキノンの溶解性が改良された溶媒の組合せに基づいた使用液の開
発が切望されている。
望を満たす使用液を提供し得ることが見出された。
のヒドロキノン溶媒を含む使用液にて、アントラキノンおよび/又はテトラヒド
ロアントラキノンから選択される1種又はそれ以上のキノンの交互水素化および
酸化を含むアントラキノン法に従った過酸化水素の製造方法に関するもので、こ
の場合、上記の少なくとも1種類のキノン溶媒はイソズレン(1,2,3,5−
テトラメチルベンゼン)を15ないし100重量%、好ましくは約20ないし約
80重量%、最も好ましくは約25ないし約70重量%含むものである。
の基本的に無極性の有機溶媒、好ましくは炭化水素から実質的になり、他方、上
記の少なくとも1種類のヒドロキノン溶媒は、最も好ましくは1種又はそれ以上
の極性有機溶媒からなり、好ましくは基本的に非水溶性のものであって、好まし
くはアルコール、尿素、アミド、カプロラクタム、エステル、りん含有物質およ
びピロリドンから選択されるものである。
が向上し、それにより使用液中のキノン溶媒の総量を減少することが可能となり
、代わってヒドロキノン溶媒の量を増加させ、それによりキノンおよびヒドロキ
ノンの双方の溶解性を増大させることができるということが見出された。
,4,5−テトラメチルベンゼン)を含むものであってもよく、その場合のイソ
ズレンとズレンの合計量はキノン溶媒の総量に対し、約30ないし約100重量
%の範囲内であることが適当であり、より好ましくは約35ないし約80重量%
の範囲内とする。ズレンの沈殿を避けるため、その含量は高すぎるものであって
はならず、好ましくはキノン溶媒の総量に対し約25重量%を超えないこと、最
も好ましくは約20重量%を超えないようにする。使用液中におけるイソズレン
とズレンとの重量比は約1.5:1ないし約5:1の範囲が好ましく、最も好ま
しくは約2:1ないし約4:1の範囲とする。
含むものであってもよく、その好ましい例として、1種又はそれ以上の芳香族炭
化水素、脂肪族炭化水素又はナフテン系炭化水素を挙げることができ、その内で
最も好ましいものは芳香族炭化水素である。特に適当なキノン溶媒に含まれるも
のとして、ベンゼン、アルキル化又はポリアルキル化ベンゼン(例えばtert
−ブチルベンゼン、トリメチルベンゼン)、アルキル化トルエン又はナフタレン
(例えばtert−ブチルトルエン、メチルナフタレン)などを挙げることがで
きる。
含量は、使用されるヒドロキノン溶媒の種類に依存して決定される。多くの場合
、キノン溶媒の適当な含量は、使用液全体に対し、約25ないし約65重量%の
範囲、好ましくは約40ないし約60重量%の範囲である。多くの場合、キノン
溶媒とヒドロキノン溶媒との重量比は、約0.6ないし約4の範囲が適当であり
、好ましくは約1.5ないし約3の範囲である。イソズレンの好ましい含量は約
8ないし約52重量%の範囲、好ましくは約11ないし約42重量%の範囲であ
る。
媒を含み、このヒドロキノン溶媒が極性有機溶媒から選択されるものであるが、
基本的に水に溶解しないものが望ましい。この好ましいヒドロキノン溶媒の例と
して、アルコール、尿素、アミド、カプロラクタム、エステル、りん含有物質お
よびピロリドンを挙げることができ、更に、アルキルホスフェート(例えばトリ
オクチルホスフェート)、アルキルホスホナート、アルキルシクロヘキサノール
エステル、N,N−ジアルキルカルボナミド、テトラアルキル尿素(例えばテト
ラブチル尿素)、N−アルキル‐2‐ピロリドン、および高沸点アルコール(好
ましくは、炭素原子数8−9のもの(例えばジイソブチルカルビノール))など
が含まれる。好ましいヒドロキノン溶媒の例として、アルキルホスフェート、テ
トラアルキル尿素、環状尿素誘導体およびアルキル置換カプロラクタムを挙げる
ことができる。好ましいヒドロキノン溶媒の1つの群が、米国特許No.480
0073およびNo.4800074に記載されており、これにはオクチルカプ
ロラクタムのようなアルキル置換カプロラクタムおよびN,N’−ジアルキル置
換アルキレン尿素のような環状尿素誘導体が含まれている。他の好ましいヒドロ
キノン溶媒の例は、ジイソブチルカルビノールおよびテトラブチル尿素であり、
これらは密度が低いという点で有利である。
ましく、最も好ましくは約18ないし約35重量%の範囲である。
ンは好ましくはアルキル置換されていることが好ましく、最も好ましくは僅か1
個のアルキル基で好ましくは2−位にてアルキル置換されていることが望ましい
。好ましいアルキル置換基の例としては、アミル、例えば2−tert−アミル
又は2−イソ−sec−アミル、エチル、tert−ブチルおよび2−ヘキセニ
ルを挙げることができる。更に、少なくともエチル置換アントラキノンおよび/
又はテトラヒドロアントラキノンが含まれることが特に好ましい。水素化される
べき使用液は異なるアルキル置換アントラキノンおよびテトラヒドロアントラキ
ノンの混合物を含むことが好ましい。より好ましくは、エチル置換および少なく
とも1個の他のアルキル置換、最も好ましくはアミル置換アントラキノンおよび
/又はテトラヒドロアントラキノンの混合物を含むことが望ましい。好ましくは
、アントラキノンおよびテトラヒドロアントラキノンの約50モル%ないし約1
00モル%が、最も好ましくは60モル%ないし約90モル%が1個のエチル基
で置換されていることが望ましい。更に、アントラキノンおよびテトラヒドロア
ントラキノンの約50モル%未満が、最も好ましくは10モル%ないし約40モ
ル%が1個のアミル基で置換されていることが望ましい。
にして操作することが望ましいことが見出された。なぜならば、これにより水素
化の向上が図られ、活性キノンの分解物への損失を少なくすることができるから
である。水素化されるべき使用液中のテトラヒドロアントラキノンのアントラキ
ノンに対するモル比は、1:1を超えることが望ましく、好ましくは約2:1な
いし約50:1の範囲、最も好ましくは約3:1ないし約20:1の範囲とする
。或る場合においては、僅か約9:1未満のモル比で操作することが適当である
が、アントラキノンの殆どない使用液を使用することも可能である。
のテトラヒドロアントラキノンのアルキルアントラキノンに対するモル比は、異
なる基で置換されたアントラキノンについて同一程度であることが望ましい。各
基についてのモル比の差異は、約2.5倍未満であることが好ましく、更に約1
.7倍未満であることが最も好ましい。
からなるが、幾分かのα−テトラヒドロアントラキノンが存在していてもよい。
じる。例えば、アントラヒドロキノンは更に反応しテトラヒドロアントラヒドロ
キノンとなり、これが酸化工程においてテトラヒドロアントラキノンに変換され
、その含量が従って使用液中にて増加する。このことは、本発明の方法の開始の
際において、最初の使用液はテトラヒドロアントラキノンを含まないか、或いは
ほんの僅かに含むだけでよいことを意味する。なぜならば、操作の過程において
テトラヒドロアントラキノンが上述のように自動的に形成されるからである。ア
ントラキノンおよびテトラヒドロアントラキノンの濃度が所望の値に達したとき
、直ちに使用液の少なくとも1部が通常、処理されテトラヒドロアントラキノン
の脱水素化が行われ、アントラキノンに戻される。
ノン、オキサントロン、アントロンおよびジアントロンなどが直接的又は間接的
に生成される。これら化合物の幾つか、例えばエポキシドなどは、アントラキノ
ンに変換され、戻される。これら化合物の他のもの、例えばジアントロンなどは
、活性使用液の不可逆的損失を構成する。しかし、テトラヒドロアントラキノン
のアルキルアントラキノンに対するモル比を上述のような特定の範囲に維持させ
た場合、この必要としない副生成物の形成を抑制し得ることが見出された。
ドロアントラキノンよりも密度が小さいエチル置換テトラヒドロアントラキノン
の溶解量を増大させる。従って、低い密度の使用液中で水素化に利用可能なキノ
ンの高い濃度と組み合わせることが可能となり、それにより使用液の単位容積当
たりの過酸化水素の製造能力を増大させることができる。水素化されるべき使用
液中のアントラキノンおよびテトラヒドロアントラキノンの合計量は約15ない
し約28重量%の範囲が好ましく、最も好ましくは約17ないし約25重量%の
範囲であり、他方、密度は、20℃で測定した場合、約910ないし約980k
g/m3であることが好ましく、最も好ましくは約930ないし約970kg/
m3の範囲とする。
00℃、好ましくは約40ないし約75℃、更に絶対圧約100ないし約150
0kPa、好ましくは約200ないし約600kPaで接触させることにより行
われる。水素化の程度(使用液1m3当りのヒドロキノンのモル数として)は、
約350ないし約800であることが好ましく、より好ましくは400ないし約
650の範囲とする。
金、銀又はこれらの混合物から選択される金属であってもよい。この内、好まし
い金属はパラジウム、白金および金であり、更にパラジウム又はパラジウムを少
なくとも50重量%含有する混合物が特に好ましい。この活性触媒は、遊離型、
たとえば使用液にパラジウムブラックを懸濁させたもの、又はスラリー又は固定
床の形で使用される粒子のような固形支持体上に堆積させたものであってもよい
。しかし、例えば、米国特許No.4,552,748およびNo.5,063
,043に記載されているように、一体的支持体上に堆積させた活性金属の形で
触媒を使用することが特に好ましい。この場合の支持体材料として好ましいもの
としては、シリカ又は酸化アルミニウムが挙げられる。
又は数工程において再生させ、それにより水を取り除き、テトラヒドロアントラ
キノンのアルキルアントラキノンに対する比を所望の値に維持させ、又、水素化
工程又は酸化工程から生じた幾つかの望ましくない副生成物を活性成分に変換さ
せ、更に他の望ましくない副生成物を除去するようにする。この再生工程として
は、ろ過、水分の蒸発、多孔質吸着剤および酸化アルミニウムに基づく触媒によ
る処理などを含んでもよい。
気による酸化および水による抽出などを、文献に記載された従来の方法で行って
もよい。
して有用な組成物にも関する。この組成物は、少なくとも1種のキノン溶媒に溶
解させた1種又はそれ以上のアントラキノンおよび/又は1種又はそれ以上のテ
トラヒドロアントラキノンと、少なくとも1種のヒドロキノン溶媒とを含むもの
であって、上記の少なくとも1種のキノン溶媒は、イソズレンを15ないし10
0重量%、好ましくは約20ないし約80重量%、最も好ましくは約25ないし
約70重量%含む。この組成物の任意的又は好ましい形態については、上記の製
造方法で記述したものと同様である。
囲を制限するものと解釈されるべきではない。
ン溶媒中で測定した:
ン法でテストした。これらの使用液は更に典型的な分解生成物を含むものであっ
た。この双方の使用液はヒドロキノン溶媒としてのテトラブチル尿素と、2−エ
チルおよび2−アミル置換アントラキノンおよびテトラヒドロアントラキノン(
2−エチルと2−アミルとのモル比は1:1を超えるものであり、これを一定に
維持した)とを含有してなるものであった。
商標) AB、すなわち、芳香族炭化水素と主にC10+C9のアルキルベンゼン
(約85%)との正則(regular)混合物からなり、他方、使用液Bでは
キノン溶媒が40重量%のShellsol(商標) ABと、60重量%のイ
ソズレン(約69重量%のイソズレンと、約22重量%のズレン混合物と、約9
重量%の他のC10芳香族炭化水素とを含む工業グレードのイソズレン)とからな
るという点である。
含量は、使用液中での過酸化水素の高い濃度が達せられるべく、できるだけ多く
なるように維持した。しかし、使用液におけるβ−テトラヒドロエチルアントラ
キノンの沈殿および/又はそのヒドロキノン型は、それを制限する要因となった
。以下の表に更なるデータを示す。
。
ないし約5:1の範囲である請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
以上のジイソブチルカルビノール又はテトラブチル尿素を含む請求項1ないし5 のいずれかに記載の方法。
トラキノンに対するモル比が1:1を超える請求項1ないし6のいずれかに記載
の方法。
モル%ないし約100モル%が1個のエチル基で置換されている請求項1ないし 7 のいずれかに記載の方法。
として有用な組成物であって、アントラキノンおよび/又はテトラヒドロアント
ラキノンから選択される1種又はそれ以上のキノンであって、少なくとも1種類
のキノン溶媒に溶解したものと、少なくとも1種類のヒドロキノン溶媒とを含ん
でなり、上記の少なくとも1種類のキノン溶媒がイソズレンを15重量%および 更にキノン溶媒の総重量の約25重量%を超えない量のズレンを 含むことを特徴
とする組成物。
Claims (10)
- 【請求項1】 少なくとも1種類のキノン溶媒および少なくとも1種類のヒ
ドロキノン溶媒を含む使用液にて、アントラキノンおよび/又はテトラヒドロア
ントラキノンから選択される1種又はそれ以上のキノンの交互水素化および酸化
を含むアントラキノン法に従った過酸化水素の製造方法であって、上記の少なく
とも1種類のキノン溶媒がイソズレンを15ないし100重量%含むことを特徴
とする方法。 - 【請求項2】 上記の少なくとも1種類のキノン溶媒がイソズレンを約20
ないし約80重量%含む請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 該使用液がイソズレンを約25ないし約70重量%含む請求
項1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 上記の少なくとも1種類のキノン溶媒が更にズレンを含み、
イソズレンとズレンとの総重量が該キノン溶媒の約30ないし約100重量%で
ある請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。 - 【請求項5】 上記の少なくとも1種類のキノン溶媒が更にズレンを含み、
該ズレンの含量が該キノン溶媒の総重量の約25重量%を超えない請求項1ない
し4のいずれかに記載の方法。 - 【請求項6】 該使用液中のイソズレンとズレンとの重量比が約1.5:1
ないし約5:1の範囲である請求項4又は5記載の方法。 - 【請求項7】 上記の少なくとも1種類のヒドロキノン溶媒が1種又はそれ
以上のジイソブチルカルビノール又はテトラブチル尿素を含む請求項1ないし6
のいずれかに記載の方法。 - 【請求項8】 水素化すべき使用液中のテトラヒドロアントラキノンのアン
トラキノンに対するモル比が1:1を超える請求項1ないし7のいずれかに記載
の方法。 - 【請求項9】 アントラキノンおよびテトラヒドロアントラキノンの約50
モル%ないし約100モル%が1個のエチル基で置換されている請求項1ないし
8のいずれかに記載の方法。 - 【請求項10】 アントラキノン法に従った過酸化水素を製造する際の使用
液として有用な組成物であって、アントラキノンおよび/又はテトラヒドロアン
トラキノンから選択される1種又はそれ以上のキノンであって、少なくとも1種
類のキノン溶媒に溶解したものと、少なくとも1種類のヒドロキノン溶媒とを含
んでなり、上記の少なくとも1種類のキノン溶媒がイソズレンを15ないし10
0重量%含むことを特徴とする組成物。
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