JP2003534951A6 - ポリマー材料でできた背部層を含む印刷用ブランケットの製造方法および同方法により得られるブランケット - Google Patents

Abstract

本発明は、印刷用ブランケットの製造方法に関する。このブランケットは、外側のリトグラフ層、および背部すなわち該リトグラフ層とは反対面にポリマー材料でできた層を含むタイプのものである。上記方法は、整流可能な材料でできたポリマー層を実現し、ブランケットの厚さを均一化する整流作業を該層に施すことを特徴とする。本発明は、印刷機の分野で有用である。

Description

【０００１】
本発明は、印刷用ブランケットの製造方法、および外側のリトグラフ層と、該リトグラフ層とは反対面に付加されたポリマー材料でできた層とを備えるタイプの印刷用ブランケットに関する。
【０００２】
公知のブランケットは、一般に、整流かつ研磨されたリトグラフ層を有する。この整流は、ブランケットの厚さを均一化することを目的とする。表面の浮き彫りを滑らかにするために、および印刷品質に関連する要求を重んじるために、整流は研磨のステップが後に続くことを余儀なくされる。この研磨作業は、整流段階のときに得られる厚さの精度を低下させるという難点がある。成形によって得られる滑らかな表面を有するブランケットも公知である。これらのブランケットは、優れた印刷品質を得ることを可能にするが、厚さのより大きな公差を有するという難点を呈する。
【０００３】
本発明は、上述したこれらの難点を緩和する方法およびブランケットを提供することを目的とする。
【０００４】
この目的を達成するために、本発明による方法は、整流可能なポリマー材料でできた背部層を実現し、ブランケットの実現の後でこの層を整流することを特徴とする。
【０００５】
本発明によるブランケットは、ブランケットの背部のポリマー材料でできた層が、整流される層であることを特徴とする。
【０００６】
この整流は、印刷品質を保持し、かつ改善さえしながら、現行技術のブランケットに比して改善された厚さの精度を得ることを可能にする。
【０００７】
本発明の一特徴によれば、リトグラフ層は、整流かつ研磨された層である。
【０００８】
本発明の他の特徴によれば、ブランケットは、成形または圧延（calendering：カレンダー加工）によって得られる滑らかな表面を有するブランケットである。
【０００９】
本発明の他の特徴によれば、ブランケットは、巻棒または織り格子タイプの補強材を備える。
【００１０】
例としてのみ与えられた添付の概略的な図面を参照して以下に行われる説明的な記載において、本発明はよりよく理解され、かつ本発明の他の目的、特徴、詳細、および利点がより明らかになるであろう。
【００１１】
本発明による多層印刷用ブランケットは、背部、すなわちリトグラフ層のある面とは反対面上にある層が整流可能なポリマー材料で実現されること、および、印刷品質を保持し、あるいはさらに改善さえしながら、整流してブランケットの厚さをより均一にするという特性を有する。
【００１２】
本発明は、リトグラフ層が整流され、ついで研磨されるブランケットに使用することができる。製造に関連した整流により、ブランケットの厚さを非常に厳密に較正することが可能となる。しかしながら、この整流は、それだけでは申し分のない印刷品質を得るのに必要な表面形態を得ることができない。この難点を改善するため、整流の後に研磨を続いて行うが、この研磨は整流の精度を少しだけ損なう。本発明にしたがって、背部にポリマー層を予め備え、リトグラフ層の整流および研磨の後でポリマー層を整流することで、これらの作業により引き起こされる欠点が印刷品質を変えることなく修繕される。
【００１３】
背部のポリマー層の整流により、成形によって得られるより滑らかな表面を有するブランケットの厚さを調整することも可能となり、このため優れた印刷品質が得られる。
【００１４】
一般に、本発明は、良好な印刷品質を保証するリトグラフ表面を実現するのに用いられる手段に依存せずに、厚さが均一化されなければならないあらゆるブランケットに適用できる。より均一なブランケットの厚さは、ブランケットの耐用期間を延ばすとともに、ブランケットにかかる機械的応力を制限する、低減された胴張りの高さを可能にし、かつ印刷にとっての弱点の潜在的な出現も遅延させる。
【００１５】
本発明はまた、整流しないブランケットに比して、２倍の精度利得、すなわち、現行技術に相応する約＋／−０．０２ｍｍに対し＋／−０．０１ｍｍの厚さの全公差を得ることを可能にする。
【００１６】
本発明は、ブランケットの厚さの均一化のほかに、ブランケットの全厚の低減も得ることを可能にする。実際に、ブランケットが達成すべき種々の機能を分け、それらの機能を特定の層に与えることで、組織層、圧縮性層、およびリトグラフ層を組み合わせることによりブランケットの最適な構造を確立することができる。巻棒または糸または織り格子を使用することにより、複数の組織を代替することが可能であり、厚さの低減も得ることができることがわかる。たとえば、アラミド型の糸の巻棒の使用により、少なくとも組織の襞の相対厚を節減することが可能である。その利得は、少なくとも０．５ｍｍである。
【００１７】
本発明によるブランケットの特定構造の他の利点は、機械の安定性、特に曲がる傾向のあるブランケットの変形の排除である。
【００１８】
巻棒がブランケットの圧縮性に寄与する補強材の組織を代替する場合、組織を除去しても圧縮性を維持でき、結果的に背部のポリマー層を圧縮性にできる。
【００１９】
本発明はまた、大部分が１．７ｍｍ〜２．００ｍｍの厚さを有する既知のブランケットの破壊抵抗を保持しながらも、１．００〜１．３０ｍｍのほぼ均一な厚さのブランケットを達成することが可能である。
【００２０】
本発明は、内側から外側にかけて、以下の層：わずかに圧縮性のあるポリマー層、アラミドの巻棒または経糸方向の等価物、主要な圧縮性層、たとえば緯糸および経糸方向の柔軟性のある単繊維（monofilament：モノフィラメント）、およびリトグラフ層を含むブランケットの実現が可能である。
【００２１】
第１の変形形態では、安定組織は、場合によっては繊維によって強化された強固なポリマー層と代えることができ、第２の変形形態では、圧縮性層（単数または複数）は、ブランケットの平面への延伸繊維の組み入れにより異方性となる。この場合、安定層を省くことができ、追加厚が低減される。
【００２２】
図１ないし図６は、厚さが低減されている、本発明によるブランケットの６つの有利な実施形態の構造を示している。これらの図に関して、参照符号１はわずかに圧縮性のあるポリマー層を、参照符号２は巻棒を、参照符号３は圧縮性層を、参照符号４は安定組織または強化された強固な層を、参照符号５はリトグラフ層を、および参照符号６は稠密ポリマー（compact polymer）層を示している。
【００２３】
図１に示したブランケットは、内側から外側にかけて、わずかに圧縮性のあるポリマー層１、巻棒２が中に組み入れられている圧縮性層３、安定組織または強化された強固な層４、およびリトグラフ層５を備える。このブランケットは、約１．２ｍｍの厚さを有する。図２によるブランケットでは、図１のブランケットに比して稠密ポリマー層６が取り除かれており、これにより、ブランケットの厚さを約１．１ｍｍにまで低減することが可能となっている。図３は、巻棒２がブランケットの背部のポリマー層１に組み入れられ、稠密ポリマー層６が同様に取り除かれているブランケットを示している。このブランケットの厚さは、約１．２ｍｍである。図４のブランケットは、図３のブランケットと一致しているが、巻棒２が圧縮性層の高い部分で圧縮性層に組み入れられているという違いがある。このブランケットの厚さは１．１ｍｍである。図５に示したブランケットは、圧縮性のあるポリマー層１および稠密ポリマー層６が省かれているという理由のために、約１ｍｍのより少ない厚さを有し、組立体（ensemble）２が圧縮性層３の高い部分で圧縮性層３に組み入れられている。最後に、図６は、背部の圧縮性層３の高い部分で組み入れられている巻棒を有する、圧縮性層３、異方性圧縮性層７、およびリトグラフ層５を備えるブランケットを示している。このブランケットの厚さも約１ｍｍである。
【００２４】
本発明の範囲において、ブランケットのリトグラフ層の表面に、微細粒子、たとえばガラス超微粉あるいはポリマー粉末またはセラミック粉末を埋め込むことが有利であることがわかる。特有の微小な粗さおよび微不均一性を有する特定の転写表面も得られる。ガラス超微粉を用いる場合、光沢が広がるといった優れた特性が得られる。背部層がポリマー材料で実現されるのであれば、その背部層の表面に粒子の埋め込みを行うこともできる。この埋め込みにより、有利なその表面の摩擦係数を低減することが可能である。
【００２５】
図７は、この埋め込みを実施するのに有利な方法および設置を示している。この図によれば、押出しダイ９の下流で、表面に粒子が埋め込まれなければならないポリマー層を、１０で示されるブランケット枠体とともに圧延機（calender）の２つのシリンダ１１および１２間に通す。処理すべき表面１３と接触することになる圧延機のシリンダ、すなわち下側シリンダ１２は、その下部を、たとえば粉末形態をした微粒子が入った槽１５内に浸す。シリンダプランジャーがこの槽を通過することにより、シリンダ表面上に１７で示される粒子１７のフィルムが形成され、このシリンダは、回転しながらこれらの粒子をポリマー層８の表面１３に運んで埋め込む。シリンダプランジャーの表面の粗さは、運ばれる粒子の量のパラメータのうちの１つをなす。シリンダの調節温度および圧延機の圧力は、埋め込まれる粒子の量調節の重要な他の２つのパラメータである。この槽は、圧延機のシリンダプランジャーの表面上にむらのない堆積を保証するために振動運動により動かされ得る。ブランケットの表面に堆積され、かつ埋め込まれる粒子の量を定めるために、シリンダプランジャーのかき取り装置（scraping device）も予め備えられ得る。
【００２６】
実施の変形形態では、本明細書に記載した埋め込みは、予め押し出され、および必要な場合には、赤外ランプのようなそれ自体公知の手段によって表面を単に再加熱し、表面が再加熱されたポリマー層とともにブランケットを図７の圧延機のシリンダ間に通過させることにより整流されたポリマーフィルムの表面上になされる。
【００２７】
変形形態では、圧延機の２つのシリンダ間の接触ゾーン内を通過するときに、シリンダプランジャーにより運ばれ、ブランケットの表面の熱ポリマーフィルムと接触して凝固する、液体生成物またはペースト状あるいは捏粉状の生成物または液体生成物のフィルムを堆積することも考えられる。
【００２８】
本発明の別の特徴によれば、種々の層の構成について、溶媒の使用を伴わない、層の材料および組み合わせ手段を用いるので、人間や環境に何の危険性ももたらさないブランケットを得ることができる。ブランケットの種々の層は、コロナ処理、イオン化処理、または火炎処理により、互いに接着をもたらされ得る。
【００２９】
特に、本発明の請求の範囲で用いられるエラストマーは、熱網状化（thermal reticulation）剤を含有しないという特性を有する。このエラストマーは、適合されたレオロジーにより熱可塑性を有し、種々の層は、ブランケットの全体または一部が組み立てられた後、放射によって網状化され得る。
【００３０】
用いる材料は、高温で流動状になる能力を有しており、したがって、特に押出しにより良質の薄フィルムを作成することが可能となる。
【００３１】
本発明にしたがったブランケットで使用できるエラストマーおよび補強材の例として、他のポリマーと結合したＴＰＵ型エラストマー配合物、ＰＰ（ポリプロピレン）、ＰＡＮ（ポリアクリロニトリル）、およびＰＶＣ（ポリ塩化ビニル）に基づいたタイプの動的加硫のエラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー配合物、オレフィン共重合体、および官能基化されたオレフィンのエラストマーの配合物、アクリロニトリル系エラストマー、ＥＰＤＭ（エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー）またはＣＳＭ（クロロスルホン化ポリエチレン）、アラミド型の繊維または糸の補強材、ポリエチレンまたはポリプロピレン型の繊維または糸の補強材、ポリエステル型の繊維または糸の補強材、あるいはそのような繊維または糸の混合物が挙げられる。
【００３２】
溶媒を用いず、したがって環境や人に危険性のない、本発明で用いられる材料は、完全な接合を形成するのにその熱可塑性、ひいては高温での単なる再加熱で溶融するその特性を利用するので、管状ブランケットを実現することが可能となる。
【００３３】
したがって、たとえば、押出しにより得られたリトグラフ層から、適当な長さに切断して、その両端をベベリング（bevele）した後で、この層を支持体のスリーブに巻きつけ、ベベリングされた両端を重ね合わせ、それを加熱することで、管状リトグラフ層を達成することができる。このリトグラフ層は、放射により網状化され得り、万一の場合には、整流および研磨され得るであろう。この場合、支持体のスリーブは、リトグラフ層が置かれるブランケット層であり得る。圧縮性層は、その層を形成する材料に予め組み入れられた膨張性微小球により、両端の組み合わせの際にこの層の拡張を確実にする追加の実現可能性を有することで同様に実現される。圧縮性層になるように充てられた押出しフィルムは、有利には、その圧縮性層に異方性を与えるために、押出し時に平面に延伸される繊維を含む。延伸繊維を含む押出しフィルムは、補強または安定層の役割、あるいは紙の排出量を制御する役割も果たし得る。
【００３４】
本発明は、多数の利点をもたらす。ブランケットの背部のポリマー層の整流により、ブランケットの厚さが、より厳密かつ均一になる。このことは、ブランケットの性能に直に影響を及ぼす。実際、制御された厚さは、圧力の質、およびブランケットの寿命を改善する。滑らかな、さらには非常に滑らかな印刷表面をもたらす印刷の優れた品質が保持され得る。このような滑らかな表面により、詳細部を正確に印刷することが可能であり、「シャープな」印刷、あるいはさらに「ハイファイ」印刷が得られる。滑らかな表面は、確率系（stochastic system）の利用を可能にする。この滑らかな表面は、現行技術のブランケットの０．８〜１．５μの値に対し０．４μ以下の非常にわずかな粗さ（プロフィルメータで測定された平均粗さ：Ｒａ）を特徴とし得る。非常に滑らかな印刷表面を得たいと望む場合の、たとえば印刷表面の研磨による厚さの一様性の劣化、および、あまり強力でない研磨、したがってあまり滑らかではない表面で満足されている既知のブランケットに対してなされた妥協が、本発明により提供されるような、背部の層の整流により排除され得る。ブランケットの厚さの低減により、振動の低下が得られ、ブランケットの細い固定溝用にシリンダを考案することを可能にし、ひいては高速での巻きつけの際のバウンドを最小化することを可能にする。薄ブランケットは、さらに以下の利点：輪転機（rotative：rotary press）での紙スクラップの低減、刷新の引張システムの利用の実現可能性、固定溝へのブランケットの巻きつけを容易にする折り畳みの柔軟性、およびその溝のさらに近くで可能な印刷、を有する。本発明はさらに、薄ブランケットの実現のために、薄ブランケットが、原価で最も重要なポストを占める材料の量が少なくて済むという点でコストの低減を保証する。本発明は、廃棄物量の低減も達成することができる。実際、あまり厚くないブランケットは、除去すべき廃棄物の量がさほど多くないことを意味している。最後に、リトグラフ層、または背部の層の表面に粒子を埋め込むので、所望の微不均一性の表面を得ることができ、かつ／または支持体上のブランケットの摩擦を低減することができる。わずかな摩擦係数が、印刷機のシリンダへのブランケットの取り付けを容易にするのに非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明によるブランケットの６つの実施形態の断面図である。
【図２】本発明によるブランケットの６つの実施形態の断面図である。
【図３】本発明によるブランケットの６つの実施形態の断面図である。
【図４】本発明によるブランケットの６つの実施形態の断面図である。
【図５】本発明によるブランケットの６つの実施形態の断面図である。
【図６】本発明によるブランケットの６つの実施形態の断面図である。
【図７】本発明によるブランケットの実施方法を示す概略図である。

Claims (15)

1. 外側のリトグラフ層、および背部すなわち該リトグラフ層とは反対面にポリマー材料でできた層を備えるタイプの印刷用ブランケットの製造方法であって、整流可能な材料でできた前記ポリマー層を実現し、ブランケットの厚さを均一化する整流作業を前記層に施すことを特徴とする方法。
2. 整流かつ研磨されたリトグラフ層を備え、前記厚さを均一化する整流作業は、研磨作業の後で行われることを特徴とする、請求項１に記載の製造方法。
3. 請求項１または２のいずれか一項に記載の方法から得られる、外側のリトグラフ層、および背部にポリマー材料でできた層を備えるタイプの印刷用ブランケットであって、前記背部層は、整流可能なポリマー材料でできており、整流される層であることを特徴とするブランケット。
4. 前記リトグラフ層は、整流かつ研磨される層であることを特徴とする、請求項３に記載のブランケット。
5. 前記ブランケットは、成形または押出しにより得られる滑らかな表面を有するリトグラフ層を備えたブランケットであることを特徴とする、請求項３に記載のブランケット。
6. 前記ブランケットは、巻棒、糸、または織り格子タイプの補強材を備えることを特徴とする、請求項３または５のいずれかに記載のブランケット。
7. 前記巻棒は、アラミド型の糸でできていることを特徴とする、請求項６に記載のブランケット。
8. 前記背部のポリマー層は、圧縮性があることを特徴とする、請求項７に記載のブランケット。
9. 前記リトグラフ層は、表面に粒子の埋め込みを含むことを特徴とする、請求項３ないし８のいずれか一項に記載のブランケット
10. 前記背部層は、表面に埋め込みを含むことを特徴とする、請求項３ないし９のいずれか一項に記載のブランケット。
11. 前記粒子は、ガラス超微粉であることを特徴とする、請求項９または１０のいずれかに記載のブランケット。
12. 前記ブランケットの種々の層は、溶媒の使用を伴わない手段によって、有利には、コロナ処理、イオン化処理、および火炎処理によって互いに固定されることを特徴とする、請求項３ないし１１のいずれか一項に記載のブランケット。
13. エラストマー層は、熱網状化剤を含有せず、熱可塑性であることを特徴とする、請求項１２に記載のブランケット。
14. 前記ブランケットは、スリーブの形態をしていることを特徴とする、請求項１３に記載のブランケット。
15. 前記ブランケットは、両端が斜めにカットされ、重ね合わされ、適当な熱により組み合わされた層から得られることを特徴とする、請求項１４に記載のブランケット。

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