JP2003525840A - アポリポタンパク質a−1アゴニストおよび異常脂肪血障害を治療するためのその使用 - Google Patents

アポリポタンパク質a−1アゴニストおよび異常脂肪血障害を治療するためのその使用

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JP2003525840A JP2000513548A JP2000513548A JP2003525840A JP 2003525840 A JP2003525840 A JP 2003525840A JP 2000513548 A JP2000513548 A JP 2000513548A JP 2000513548 A JP2000513548 A JP 2000513548A JP 2003525840 A JP2003525840 A JP 2003525840A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、ヒトApoA−1の構造および薬理特性を模擬するペプチドおよびペプチド類似体を提供する。これらのペプチドおよびペプチド類似体は異常脂肪血と関連したさまざまな障害を治療するのに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
1. 本発明は、異常リポタンパク血症に関連する疾患、例えば、高コレステロール
血症、心臓血管疾患、アテローム性動脈硬化症、再発狭窄症、および敗血症性シ
ョックのような他の疾患を治療するためのアポリポタンパク質A−I(ApoA
−I)アゴニスト組成物に関する。 2.発明の背景 循環コレステロールは、血液中で脂質を輸送する脂質・タンパク質複合組成物
粒子である血漿リポタンパク質によって運ばれる。低密度リポタンパク質(LD
L)および高密度リポタンパク質(HDL)は、主要なコレステロール担体であ
る。LDLは、生体中において肝臓(ここで、コレステロールが食物源から合成
されるかまたは取り出される)から肝外組織へコレステロールを送達する役割を
担っていると考えられる。「逆コレステロール輸送」という用語は、肝外組織か
ら、コレステロールが異化および除去される肝臓へ、コレステロールを輸送する
ことを意味する。血漿HDL粒子は、組織コレステロールのスカベンジャーとし
て作用し、逆輸送過程における主要な役割を果たすと考えられる。 血清コレステロールの増加を冠状動脈性心疾患に関連づける証拠は、決定的な
ものである。例えば、アテローム性動脈硬化症は、動脈壁中へのコレステロール
の蓄積によって特性付けられる進行の遅い疾患である。アテローム性動脈硬化病
巣に沈着する脂質は主として血漿LDLに由来するという考え方を支持する有力
な証拠がある。従って、LDLは「悪玉」コレステロールとして一般に知られる
ようになった。これとは対照的に、HDL血清レベルは、冠状動脈性心疾患と逆
相関関係にある。実際に、HDLの高血清レベルは、ネガティブな(negat
ive)危険因子と見なされる。血漿HDLのレベルが高いと冠状動脈疾患が防
止されるだけでなく、実際にアテローム性動脈硬化斑の退縮を誘発しうるという
仮説が立てられている(例えば、Badimon et al.,1992,C
irculation 86(Suppl.III):86−94を参照された
い)。このため、HDLは、「善玉」コレステロールとして一般に知られている
。 2.1.コレステロール輸送 脂肪輸送系は、2つの経路:すなわち、腸から吸収されるコレステロールおよ
びトリグリセリドのための外因性経路と、肝臓および他の非肝臓組織から血流中
に入るコレステロールおよびトリグリセリドのための内因性経路と、に分割する
ことができる。 外因性経路では、食物脂肪は、キロミクロンと呼ばれるリポタンパク質粒子中
にパッケージ化される。このキロミクロンは、血流中に入ってそれらのトリグリ
セリドを脂肪組織(貯蔵するため)および筋肉(酸化させてエネルギーを供給す
るため)に送達する。キロミクロンの残りの部分(コレステリルエステルが含ま
れる)は、肝細胞上にのみ見出される特異的受容体によって循環系から除去され
る。次に、このコレステロールは、細胞代謝のためにまたは血漿リポタンパク質
として肝外組織へ再循環させるために再び利用可能となる。 内因性経路では、肝臓は、大きな超低密度リポタンパク質粒子(VLDL)を
血流中に分泌する。VLDLのコアは、ほとんど、肝臓で合成されたトリグリセ
リドから成り、そのほかに、より小量のコレステリルエステル(肝臓で合成され
るかまたはキロミクロンから再循環される)を含む。VLDLの表面上には、2
種の主要タンパク質、すなわち、アポタンパク質B−100およびアポタンパク
質Eがディスプレイされる。VLDLが脂肪組織のまたは筋肉の毛細管に達する
と、そのトリグリセリドが抽出されて、新しい種類の粒子が生成する。この粒子
は、サイズが減少してコレステリルエステルが富化されるが、中間密度リポタン
パク質(IDL)と呼ばれるその2種のアポタンパク質は保持される。 ヒトでは、IDL粒子の約半分は循環系から迅速に除去される(それらが形成
されてから2〜6時間以内)。なぜなら、それらのコレステロールを抽出して新
しいVLDLおよび胆汁酸を形成する肝細胞にIDL粒子が強く結合するからで
ある。肝臓に吸収されないIDL粒子は、循環系中に、より長く残存する。やが
て、アポタンパク質Eは、循環粒子から解離し、その結果、該粒子は、それらの
唯一のタンパク質としてアポタンパク質B−100を有するLDLに変化する。 主として、肝臓は、コレステロールの大部分を吸収して分解し、コレステロー
ル代謝の最終産物である胆汁酸を生成する。コレステロール含有粒子の吸収は、
肝細胞上に高濃度で存在するLDL受容体によって媒介される。LDL受容体は
、アポタンパク質Eとアポタンパク質B−100の両方に結合し、IDLとLD
Lの両方に結合してそれらを循環系から除去する役割を担っている。しかしなが
ら、LDL受容体に対する親和力は、アポタンパク質Eの方がアポタンパク質B
−100よりも大きい。その結果、LDL粒子は、IDL粒子よりもはるかに長
い循環寿命を有する。すなわち、LDL粒子は、平均で2日半にわたり循環した
後、肝臓および他の組織に結合する。LDL(「悪玉」コレステロール)の血清
レベルが高いことは、冠状動脈性心疾患と明確に関連づけられる。例えば、アテ
ローム性動脈硬化症では、循環LDLに由来するコレステロールが動脈の壁に蓄
積することにより、血液の流れを妨害する嵩高いプラークが形成され、結果とし
て、血餅を生じて動脈が遮断され、心臓発作または拍動を引き起こす。 最終的には、LDLから放出される細胞内コレステロールの量によって、細胞
コレステロール代謝が制御される。VLDLおよびLDLに由来する細胞コレス
テロールの蓄積は、3つのプロセスを制御する。第1に、こうした蓄積が起こる
と、コレステロールの生合成経路における中心的な酵素であるHMGCoAレダ
クターゼの合成を停止させることによって、細胞コレステロールの合成が抑制さ
れる。第2に、LDL由来のコレステロールが流入すると、コレステロールを貯
蔵小滴中に沈着するコレステリルエステルに変換する細胞酵素であるACATを
活性化させることによって、コレステロールの貯蔵が促進される。第3に、細胞
内にコレステロールが蓄積すると、新しいLDL受容体の細胞合成を妨害するフ
ィードバック機構が作動する。従って、代謝の要求に合わせて負荷をかけすぎる
ことなく十分なコレステロールを取り込めるように、細胞はLDL受容体のそれ
らの補体を調節する。(レビューに関しては、Brown & Goldste
in,The Pharmacological Basis Of Ther
apeutics, 8th Ed., Goodman & Gilman,
Pergamon Press,NY,1990,Ch.36,pp.874−
896を参照されたい)。 2.2.逆コレステロール輸送 要するに、末梢(非肝)細胞は、VLDLおよびLDLに由来するプレフォー
ム型ステロールの局所合成と吸収とを組み合わせて、それらのコレステロールを
獲得する。これとは対照的に、逆コレステロール輸送(RCT)は、肝外組織へ
再循環させるために、または改変された形または胆汁酸のような酸化された形で
胆汁として腸中に分泌するために、末梢細胞コレステロールを肝臓に戻すことの
できる経路である。RCT経路は、ほとんどの肝外組織からコレステロールを除
去する唯一の手段であり、生体中のほとんどの細胞の構造および機能を維持する
うえで極めて重要である。 RCTは、主に3つのステップ:すなわち、末梢細胞の種々のプールからコレ
ステロールを最初に除去するステップであるコレステロール流出ステップと、(
b)レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用に
よりコレステロールをエステル化し、流出したコレステロールが再び細胞中に流
入するのを防止するステップと、(c)肝細胞中へのHDLコレステリルエステ
ルの吸収/送達を行うステップと、から成る。RCT経路は、HDLによって媒
介される。HDLは、高密度であることによって特性付けられるリポタンパク質
粒子に対する一般的な用語である。HDL複合体の主な脂質成分は、種々のリン
脂質、コレステロール(エステル)、およびトリグリセリドである。最も目立つ
アポリポタンパク質成分は、HDLの機能特性を決定するA−IおよびA−II
である。更に、少量のアポリポタンパク質C−I、C−II、C−III、D、
E、Jなども観測されている。代謝RCTカスケード中のリモデリング状態にも
よるが、HDLは、上記の成分の種々の混合物として多種多様な異なるサイズで
存在することができる。 RCT経路に関与する中心的な酵素は、LACTである。LACTは、主に肝
臓で産生され、HDL画分と会合して血漿中を循環する。LACTは、除去を目
的として、細胞由来のコレステロールを、HDL中に隔離されるコレステリルエ
ステルに変換する。コレステリルエステル運搬タンパク質(CETP)およびリ
ン脂質運搬タンパク質(PLTP)は、循環HDL集団の更なるリモデリングに
寄与する。CETPは、LACTによって形成されたコレステリルエステルを、
他のリポタンパク質、特に、ApoB含有リポタンパク質、例えば、VLDLお
よびLDLに移動することができる。PLTPは、レシチンをHDLに供給する
。HDLトリグリセリドは、細胞外肝臓トリグリセリドリパーゼにより異化可能
であり、リポタンパク質コレステロールは、いくつかの機構を介して肝臓により
除去される。 各HDL粒子には、ApoA−Iの少なくとも1つのコピー(通常、2つ〜4
つのコピー)が含まれる。ApoA−Iは、急速に開裂して243個のアミノ酸
残基を有する成熟ポリペプチドを発生させるプロタンパク質として分泌されるプ
レプロアポリポタンパク質として肝臓および小腸により合成される。ApoA−
Iは、主に、プロリンであることの多いリンカー部分で区切られた異なる22ア
ミノ酸リピート6〜8個から成り、いくつかの場合、数個の残基から構成された
ストレッチから成る。ApoA−Iは、脂質との3つのタイプの安定な複合体:
すなわち、プレβ1HDLと呼ばれる、脂質の少ない小さな複合体と、プレβ2
HDLと呼ばれる、極性脂質(リン脂質およびコレステロール)を含有する平た
い円盤状粒子と、球状HDLまたは成熟HDL(HDL3およびHDL2)と呼
ばれる、極性および非極性脂質の両方を含有する球状粒子と、を形成する。循環
集団中の大部分のHDLは、ApoA−IとApoA−II(第2の主要なHD
Lタンパク質)の両方を含んでおり、本明細書中ではHDLのAI/AII−H
DL画分と記す.しかしながら、ApoA−Iだけを含むHDLの画分(本明細
書中ではAI−HDL画分と記す)は、RCTにより効果的であると思われる。
AI−HDL画分は抗アテローム性であるという仮説は、特定の疫学的研究によ
って支持される。(Parra et al.,1992,Arteriosc
ler.Thromb.12:701−707; Decossin et a
l.,1997,Eur.J.Clin.Invest.27:299−307
)。 細胞の表面からのコレステロールの運搬(すなわち、コレステロールの流出)
に対する機構については分かっていないが、脂質の少ない複合体であるプレβ1
HDLは、RCTに関与する末梢組織から運搬されるコレステロールに対する好
ましい受容体であると考えられる。(Davidson et al.,199
4,J.Biol.Chem.269:22975−22982;Bielic
ki et al.,1992,J.Lipid Res.33:1699−1
709;Rothblat et al.,1992,J.Lipid Res
.33:1091−1097;およびKawano et al.,1993,
Biochemistry 32:5025−5028;Kawano et
al.,1997,Biochemistry 36:9816−9825を参
照されたい)。細胞の表面からコレステロールを補う過程の間、プレβ1HDL
はプレβ2HDLに迅速に変換される。PLTPは、プレβ2円盤の形成速度を
増大させる可能性があるが、RCTにおけるPLTPの役割を示唆するデータは
不足している。LACTは、円盤状および球状のHDLと優先的に反応し、レシ
チンまたは他のリン脂質の2−アシル基をコレステロールの遊離ヒドロキシル残
基に転移し、コレステリルエステル(HIL中に保持される)およびリゾレシチ
ンを生成する。LACT反応には、アクチベーターとしてApoA−Iが必要で
ある。すなわち、ApoA−Iは、LCATに対する天然の補因子である。コレ
ステロールを、HDL中に隔離されるそのエステルに変換すると、細胞中へのコ
レステロールの再流入が防止され、結果として、コレステリルエステルが除去さ
れることになる。AI−HDL画分(すなわち、ApoA−Iは含まれるがAp
oA−IIは含まれない画分)中の成熟HDL粒子に含まれるコレステリルエス
テルは、ApoA−IとApoA−IIの両方を含有するHDL(AI/AII
−HDL画分)に由来するコレステリルエステルよりも効果的に、肝臓によって
除去および処理されて胆汁に変換される。この原因の一部分として、AI−HD
Lがより効果的に肝細胞膜に結合することが考えられる。HDL受容体が存在す
るという仮説が立てられ、更に、最近、スカベンジャー受容体SR−BIがHD
L受容体として同定された(Acton et al.,1996,Scien
ce 271:518−520; Xu et al.,1997,Lipid
Res.38:1289−1298)。SR−BIは、ステロイド産生組織(
例えば、副腎)中および肝臓中で最も多く発現される(Landshulz e
t al.,1996,J.Clin.Invest.98:984−995;
Rigotti et al.,1996,J.Biol.Chem.271
:33545−33549)。 CETPは、RCTで主要な役割を果たすとは思われないが、その代わりに、
VLDLおよびLDL由来の脂質の代謝に関与する。しかしながら、CETP活
性の変化またはそのアクセプターであるVLDLおよびLDLは、HDL集団を
「リモデリング」するという役割を果たす。例えば、CETPの不在下において
、HDLは、排除されない増大粒子になる。(RCTおよびHDLに関するレビ
ューについては、Fielding & Fielding,1995,J.L
ipid Res.36:211−228; Barrans et al.,
1996,Biochem.Biophys.Acta.1300:73−85
;Hirano et al., 1997, Arterioscler.
Thromb. Vasc. Biol.17(6):1053−1059を参
照されたい)。 2.3.異常リポタンパク血症に対する現在の治療法 血清コレステロールおよびトリグリセリドを低減させるために、現在、多数の
治療法が利用可能である(例えば、前述のブラウン& Goldsteinの文
献を参照されたい)。しかしながら、いずれの方法にも、効力、副作用、および
患者集団の適性に関して、それぞれに特有な欠点および制限がある。 胆汁酸結合樹脂は、腸から肝臓への胆汁酸のリサイクルを阻害する薬剤のクラ
スであり、具体的には、コレスチラミン(Questran Light(登録
商標)、Bristol−Myers Squibb)および塩酸コレスチポー
ル(Colestid(登録商標)、The Upjohn Company)
が挙げられる。経口投与した場合、これらの正に帯電した樹脂は、腸中において
負に帯電した胆汁酸に結合する。樹脂が腸から吸収されることはありえないので
、樹脂は、胆汁酸を伴って排泄される。しかしながら、このような樹脂を使用し
た場合、せいぜい、血清コレステロールレベルが約20%低下するにすぎず、し
かも、胃腸の副作用、例えば、便秘症および特定のビタミン欠乏症を併発する。
更に、樹脂が他の薬剤に結合するため、樹脂摂取の少なくとも1時間前または4
〜6時間後、他の経口薬を服用しなければならない。従って、心臓病患者の薬剤
療法が複雑になる。 スタチンは、コレステロール減少剤であり、コレステロール生合成経路に関与
する中心的な酵素であるHMGCoAレダクターゼを阻害することによってコレ
ステロール合成をブロックする。スタチン、例えば、ロバスタチン(Mevac
or(登録商標), Merck & Co.,Inc.)およびプラバスタチ
ン(Pravachol(登録商標), Bristol−Myers Squ
ibb Co.)は、胆汁酸結合樹脂と併用される。スタチンは、血清コレステ
ロールレベルおよびLDL血清レベルを著しく減少させ、アテローム性冠状動脈
硬化症の進行を遅らせる。しかしながら、血清HDLコレステロールレベルは、
中程度にすぎないが増加する。LDL減少作用の機構には、VLDL濃度の低下
とLDL受容体の細胞発現の誘発の両方が関与し、結果として、LDL産生の低
下および/またはLDL異化の増大が起こるものと考えられる。肝臓および腎臓
の機能不全などの副作用は、これらの薬剤の使用と関連づけられる(Physi
cians Desk Reference,Medical Economi
cs Co., Inc.,Montvale,N.J.,1997)。最近、
FDAは、稀ではあるが急を要する家族性高コレステロール血症患者を治療する
ために、アトルバスタチン(Parke−Davisにより開発されたHMGC
oAレダクターゼ阻害剤)(Warner Lambert)の市販を承認した
(1995,Scrip 20(19):10)。 ナイアシンすなわちニコチン酸は、栄養補給食品および抗高脂質血症薬として
使用される水溶性ビタミンB複合体である。ナイアシンは、VLDLの産生を減
少させ、かつ効果的にLDLを低減させる。場合により、ナイアシンは、胆汁酸
結合樹脂と併用される。ナイアシンは、適切な用量で使用した場合、HDLを増
大させることができるが、このような高用量で使用した場合、重度の副作用によ
りその有用性は制限される。 フィブレートは、高コレステロール血症とも関連づけることのできる種々の形
態の高脂質血症(すなわち、血清トリグリセリドの増大)を治療するために使用
される脂質減少薬剤のクラスである。フィブレートは、VLDL画分を減少させ
、HDLを中程度に増大させると思われるが、これらの薬剤が血清コレステロー
ルに及ぼす作用は様々である。米国において、フィブレートは、抗高脂血症薬と
して使用することが認められているが、高コレステロール血症薬としては認可さ
れていない。例えば、クロフィブレート(Atromid−S(登録商標),
Wyeth−Ayerst Laboratories)は、VLDL画分を減
少させることによって血清トリグリセリドを低減させる働き(その機構は分かっ
ていない)をする抗高脂血症薬である。特定の患者の小集団で血清コレステロー
ルを減少させることは可能であるが、薬剤に対する生化学的反応は様々であり、
必ずしも、好ましい結果がどの患者に現れるかを予測できるわけではない。At
romid−S(登録商標)が冠状動脈性心疾患の予防に有効であることは実証
されていない。化学的および薬理学的関連薬剤であるジェムフィブロジル(Lo
pid(登録商標), Parke−Davis)は、脂質調節薬であり、血清
トリグリセリドおよびVLDLコレステロールを中程度に減少させ、HDLコレ
ステロール、すなわち、HDL2およびHDL3サブ画分ならびにApoA−I
およびA−IIの両方(すなわち、AI/AII−HDL画分)を中程度に増大
させる。しかしながら、特に患者集団が異なると、脂質応答は様々に変化する。
更に、既存の冠状動脈性心疾患の病歴または徴候のない40〜55歳の男性患者
で冠状動脈性心疾患の防止が観測されたが、これらの知見がどの程度まで他の患
者集団(例えば、女性、より老年および若年の男性)に適用できるかは明確でな
い。実際のところ、冠状動脈性心疾患であることが立証された患者では、効力は
まったく観測されなかった。毒性などの重度の副作用、例えば、悪性疾患、(特
に、胃腸癌)、胆嚢疾患、および冠状動脈以外の原因による死亡率の増加は、フ
ィブレートの使用と関連付けられる。これらの薬剤は、高LDLまたは低HDL
が唯一の脂質異常である患者には必要でない(Physician’s Des
k Reference,1997,Medical Economics C
o.,Inc.Montvale,N.J.)。 閉経後の女性の中程度の高コレステロール血症に対して、経口エストロゲン代
償療法を適用することも考えられる。しかしながら、HDLを増加させるとそれ
に伴ってトリグリセリドも増加する可能性がある。エストロゲン療法は、もちろ
ん、特定の患者集団(閉経後の女性)に限定され、しかも、悪性新生物、胆嚢疾
患、血栓閉塞疾患、肝細胞腺種、高血圧症、ブドウ糖不耐症、および高カルシウ
ム血症の誘発などの重度の副作用を伴う。 従って、血清コレステロールを低減しHDL血清レベルを増加させて、冠状動
脈性心疾患の予防および/または既存の疾患、特にアテローム性動脈硬化症の治
療を行うのに有効であるより安全な薬剤の開発が必要である。 2.4.目標物としてのApoA−I コレステロールを安全に低減させるための現用の薬剤の中には、HDLレベル
を増大させ、RCTを刺激するものはまったくなく、ほとんどは、コレステロー
ル輸送経路に作用して、コレステロールの食物摂取、再循環、および合成、なら
びにVLDL集団を調節するものと考えられる。 コレステロールの流出および除去を刺激する薬剤を探索することが望ましく、
RCTにおいていくつかの有望な目標物、すなわち、LACT、HDL、その種
々の成分(ApoA−I、ApoA−II、およびリン脂質)、PLTP、なら
びにCETPが存在するが、どの目標物が、所望のリポタンパク質プロフィルお
よび予防効果を得るのに最も有効であるかは分かっていない。RCTにおいて、
いずれかの成分1つが変化させると、最終的に、循環リポタンパク質集団の組成
およびRCTの効率が影響を受ける。 in vivoで得られたデータに基づくいくつかの系統の証拠から、HDL
およびその主要タンパク質成分であるApoA−Iが、アテローム性動脈硬化症
を予防し、場合によりプラークを退縮させることが示唆される。従って、これら
の魅力的な目標物は治療に役立てることができると考えられる。第1に、ヒトに
おいて、血清ApoA−I(HDL)濃度とアテローム形成との間には、逆相関
関係がある(Gordon & Rifkind,1989,N.Eng.J.
Med.321:1311−1316; Gordon et al.,198
9,Circulation 79:8−15)。実際に、ヒトにおいて、HD
Lの特定の小集団が、アテローム性動脈硬化症の危険率の低減と関連付けられた
(Miller,1987,Amer.Heart 11.3:S89−597
; Cheung et al.,1991,Lipid Res.32:38
3−394;Fruchart & Ailbaud,1992,Clin.C
hem.38:79)。 第2に、動物実験から、ApoA−I(HDL)の予防的役割が支持される。
コレステロールを摂取したウサギをApoA−IまたはHDLで処置したところ
、プラークの発生および進行が軽減した。(Koizumi et al.,1
988,J.Lipid Res. 29:1405−1415; Badim
on et al., 1989, Lab. Invest.60:455−
461; Badimon et al., 1990, J. Clin.
Invest. 85:1234−1241)。しかしながら、その効力は、H
DLの供給源に依存して変化した(Beitz et al.,1992,Pr
ostaglandins,Leukotrienes and Essent
ial Fatty Acids 47:149−152; Mezdour
et al., 1995, Atherosclerosis113:237
−246)。 第3に、トランスジェニック動物を関与させた実験から、ApoA−Iの役割
の直接の証拠が得られた。マウスに転移させたApoA−Iのためのヒト遺伝子
の発現は、食事性アテローム動脈硬化症について大動脈の損傷の発症に対して防
御する素因を遺伝的に与えた(Rubinら、1991,Nature 353
:265−267)。このApoA−IトランスジーンはApoE欠失マウスお
よびApo(a)トランスジェニックマウスにおいてアテローム動脈硬化症を抑
制することもまた示された(Pasztyら、1994,J.Clin.Inv
est.94:899−903;Plumpら、1994,Proc.Natl
.Acad.Sci.USA 91:9607−9611;Liuら、1994
,J.Lipid Res.35:2263−2266)。同様の結果が、ヒト
ApoA−Iを発現するトランスジェニックラビット(Duverger,19
96,Circulation 94:713−717;Duvergerら、
1996,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.1
6:1424−1429)およびアテローム動脈硬化症を防御するヒトApoA
−Iレベルが上昇し、そしてバルーン血管形成術後の再狭窄が阻害されたトラン
スジェニックラット(Burkeyら、1992,Circulation,S
upplement I,86:I−472,Abstract No.187
6;Burkeyら、1995,J.Lipid Res.36:1463−1
473)において、観察された。 AI−HDLはAI/AII−HDL画分よりもRCTにおいてより効果的で
あるようである。ヒトApoA−IまたはApoA−IおよびApoA−II(
AI/AII)で形質転換したマウスによる研究から、HDLのタンパク質組成
がその役割に顕著に影響する、すなわちAI−HDLの方がAI/AII−HD
Lよりも抗アテローム誘発性であることが示された(Schultzら、199
3,Nature 365:762−764)。ヒトLCAT遺伝子を発現する
トランスジェニックマウスに関連した類似の研究で、LCAT活性の適度の上昇
がリポタンパク質コレステロールレベルを顕著に変化させること、およびLCA
TがApoA−Iを含有するHDLに対して顕著な優先性を有することが証明さ
れている(Franconeら、1995,J.Clinic.Invest.
96:1440−1448;Berardら、1997,Nature Med
icine 3(7):744−749)。これらのデータはLCATの活性化
およびRCTの刺激におけるApoA−Iの顕著な役割を支持するものであるが
、その他の研究からさらに複雑なシナリオが証明されている。すなわち、細胞コ
レステロールの流出をモジュレートするHDLの主要成分はリン脂質である(F
ournierら、1996,J.Lipid Res.37:1704−17
11)。 アテローム動脈硬化症に対する防御におけるHDL、すなわちApoA−Iお
よびこれに結合するリン脂質の両方の潜在的な役割の面から、組み換え産生され
たApoA−Iを利用するヒトの臨床試験がUCB Belgiumによって開
始され、終了され、そして再開された模様であり(Pharmaproject
s,Oct.27,1995;IMS R&D Focus,June 30,
1997;Drug Status Update,1997,Atheros
clerosis 2(6):261−265;Congress,”疾病予防
におけるHDLの役割(The Role of HDL in Diseas
e Prevention)”,Nov.7−9,1996,Fort Wor
thにおけるM.Eriksson;Lacko & Miller,1997
,J.Lip.Res.38:1267−1273;およびWO94/1381
9も参照されたい)、そしてBio−Techによって開始され終了された(P
harmaprojects,April 7,1989)。敗血症性ショック
を治療するために、ApoA−Iを使用する試験も試みられた(Opal,”敗
血症の治療戦略としての再構築HDL(Reconstituted HDL
as a Treatment Strategy for Sepsis),
”IBC’s 7th International Conference
on Sepsis,April 28−30,1997,Washingto
n,D.C.;Gouniら、1993,J.Lipid Res.94:13
9−146;Levine,WO96/04916)。しかし、ApoA−Iの
製造および使用に関しては、薬剤としての理想から遠ざけるような多くの落し穴
がある。例えば、ApoA−Iは大きなタンパク質であるので製造するのは困難
で費用がかかり、保存中の安定性、活性な製品の送達およびin vivoでの
半減期に関して、多くの製造上および再現性の問題を克服しなければならない。 これらの欠点の見地から、ApoA−Iを模倣するペプチドを調製する試みが
行なわれてきた。ApoA−Iのキィとなる活性はこのタンパク質の独特の二次
構造特性の多数の反復の存在、すなわちクラスAの両親媒性αヘリックスによっ
てもたらされたもの(Segrest,1974,FEBS Lett.38:
247−253)なので、ApoA−Iの活性を模倣するペプチドの設計のため
の大部分の努力はクラスA型の両親媒性αヘリックスを形成するペプチドの設計
に焦点が当てられた。 クラスA型の両親媒性αヘリックスは陽性荷電アミノ酸残基が疎水性−親水性
界面に集まり、そして陰性荷電アミノ酸残基が親水性面の中心に集まっている点
において独特である。さらに、クラスAαヘリックスペプチドは疎水性角が18
0°未満である(Segrestら、1990,PROTEINS:Struc
ture,Function and Genetics 8:103−117
)。ApoA−I模倣体の設計のための初期の新規な戦略は天然に生起するアポ
リポタンパク質の一次構造ではなく、むしろペプチド類似体の配列中にこれらの
独特のクラスAヘリックスの特徴およびApoA−Iドメインのいくつかの特性
を取り込むことに基づいていた(例えば、Davidsonら、1996,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 93:13605−13610;
Rogersら、1997,Biochemistry 36:288−300
;Linsら、1993,Biochim.Biophys.Acta Bio
membranes 1151:137−142;Ji and Jonas,
1995,J.Biol.Chem.270:11290−11297;Col
letら、1997,Journal of Lipid Research,
38:634−644;Sparrow and Gotto,1980,An
n.N.Y.Acad.Sci.348:187−211;Sparrow a
nd Gotto,1982,CRC Crit.Rev.Biochem.1
3:87−107;Sorci−Thomasら、1993,J.Biol.C
hem.268:21403−21409;Wangら、1996,Bioch
im.Biphys.Acta 174−184;Minnichら、1992
,J.Biol.Chem.267:16553−16560;Holvoet
ら、1995,Biochemistry 34:13334−13342;S
orci−Thomasら、1997,J.Biol.Chem.272(11
):7278−7284;およびFrankら、1997,Biochemis
try 36:1798−1806、を参照されたい)。 研究の1つにおいて、Fukushimaらは等しい親水性および疎水性面を
有する両親媒性αヘリックス(「ELKペプチド」)を形成させるために、周期
的に配列され、完全にGlu、LysおよびLeu残基で構成される22残基ペ
プチドを合成した(Fukushimaら、1979,J.Amer.Chem
.Soc.101(13):3703−3704;Fukushimaら、19
80,J.Biol.Chem.255:10651−10657)。このEL
KペプチドはApoA−Iの198−219断片と41%の配列相同性を共有し
ている。定量用限外ろ過、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーおよび円二
色性による研究から、このELKペプチドはリン脂質と効果的に結合してApo
A−Iのいくつかの物理的および化学的特性を模倣することが示された(Kai
serら、1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:
1137−1140;Kaiserら、1984,Science 223:2
49−255;Fukushimaら、1980,上記;Nakagawaら、
1985,J.Am.Chem.Soc.107:7087−7092)。Yo
koyamaらはこうした研究から、LCAT活性化のための決定的な因子は単
純に十分大きな両親媒性構造の存在にあると結論した(Yokoyamaら、1
980,J.Biol.Chem.255(15):7333−7339)。こ
の22残基ペプチドの二量体がモノマーよりも密接にApoA−Iを模倣するこ
とが後にわかった。これらの結果を基礎として、ヘリックスブレーカー(Gly
またはProのいずれか)で中間で区切られた44残基体がApoA−Iの最小
の機能性ドメインに相当することが示唆された(Nakagawaら、1985
,上記)。 別の研究には「LAPペプチド」と称されるモデル両親媒性ペプチドが関与し
た(Pownallら、1980,Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA 77(6):3154−3158;Sparrowら、1981,In:
Peptides:Synthesis−Structure−Functio
n,Roch and Gross,Eds.,Pierce Chem.Co
.,Rockford,IL,253−256)。天然のアポリポタンパク質の
断片との脂質の結合の研究に基づいて、いくつかのLAPペプチドを設計し、L
AP−16、LAP−20およびLAP−24と命名した(それぞれ16、20
および24アミノ酸残基を含有する)。これらのモデル両親媒性ペプチドはアポ
リポタンパク質と配列相同性を共有せず、アポリポタンパク質と結合するクラス
A型両親媒性ヘリックスドメインとは異なる様相で組織された親水性面を有する
ように設計された(Segrestら、1992,J.Lipid Res.3
3:141−166)。これらの研究から、著者らはモデル両親媒性ペプチドに
脂質結合特性を与えるためには最少で20残基の長さが必要であると結論した。 配列中の別の位置にプロリン残基を1つ有するLAP20の変異体の研究で、
脂質の結合とLCAT活性化との間には直接の関係があるが、ペプチドのヘリッ
クス化能力のみではLCAT活性が導かれないことが示された(Ponsinら
、1986,J.Biol.Chem.261(20):9202−9205)
。さらに、このペプチドの中央部に近いヘリックスブレーカー(Pro)の存在
はリン脂質表面との親和性およびLCATを活性化する能力を減退させた。LA
Pペプチドのあるものはリン脂質と結合することが示された(Sparrowら
、上記)が、脂質の存在下でどの程度のLAPペプチドがヘリックス状にあるか
についての論争が存在している(Buchkoら、1996,J.Biol.C
hem.271(6):3039−3045;Zhongら、1994,Pep
tide Research7(2):99−106)。 SegrestらはApoA−Iのヘリックスと何ら配列相同性を共有しない
18から24アミノ酸残基で構成されるペプチドを合成した(Kannelis
ら、1980,J.Biol.Chem.255(3):11464−1147
2;Segrestら、1983,J.Biol.Chem.258:2290
−2295)。その配列はクラスA交換性アポリポタンパク質の両親媒性ヘリッ
クスドメインに疎水性モーメント(Eisenbergら、1982,Natu
re 299:371−374)および電荷分布(Segrestら、1990
,Proteins 8:103−117;米国特許第4,643,988号)
の点で模倣するように特別に設計された。18残基ペプチドの1つ、「18A」
ペプチドはモデルクラスAαヘリックスとなるように設計された(Segres
tら、1990,上記)。これらのペプチドおよび「18R」ペプチドのような
逆荷電分布を有する別のペプチドによる研究で、活性のために電荷分布が重要で
あることが矛盾なく示された。逆電荷分布を有するペプチドは18AクラスA模
倣体に比較して減少した脂質親和性および脂質の存在下でのより低いヘリックス
含有量を示した(Kannelisら、1980,J.Biol.Chem.2
55:11464−11472;Anantharamaiahら、1985,
J.Biol.Chem.260:10248−10255;Chungら、1
985,J.Biol.Chem.260:10256−10262;Epan
dら、1987,J.Biol.Chem.262:9389−9396;An
antharamaiahら、1991,Adv.Exp.Med.Biol.
285:131−140)。 ある程度成功したものとして提案されたアポリポタンパク質と配列相同性を共
有しないその他の合成ペプチドとして、18Aペプチドの二量体および三量体(
Anantharamaiahら、1986,Proteins of Bio
logical Fluids 34:63−66)、GALAおよびEALA
ペプチド(Subbaraoら、1988,PROTEINS:Structu
re,Function and Genetics 3:187−198)お
よびIDペプチド(Labeurら、1997,Arterioscleros
is,Thrombosis and Vascular Biology 1
7:580−588)、そして18AM4ペプチド(Brasseurら、19
93,Biochim.Biophys.Acta 1170:1−7)が含ま
れる。 ヒトApoA−Iのヘリックスの配列に基づいた22アミノ酸残基を含有する
「共通」ペプチドもまた設計された(Anantharamaiahら、199
0,Arteriosclerosis 10(1):95−105;Venk
atachalapathiら、1991,Mol.Conformation
and Biol.Interactions,Indian Acad.S
ci.B:585−596)。この配列はヒトApoA−Iの仮定上のヘリック
スの各位置の最も優勢な残基を同定することによって構築された。上記のペプチ
ドのように、このペプチドによって形成されるヘリックスは親水性−疎水性界面
に集まった陽性荷電アミノ酸、親水性面の中心に集まった陰性荷電アミノ酸を有
し、疎水性角は180°未満である。このペプチドの二量体はLCATを活性化
する効果がいくらかはあるが、モノマーは脂質結合特性が弱い(Venkata
chalapathiら、1991,上記)。 主として上記のペプチドのin vitro研究に基づいて、ApoA−Iの
機能を模倣するペプチドを設計するための一連の「基準」が生まれた。顕著なこ
とは、脂質親和性およびLCAT活性化のためには、親水性−疎水性界面に集ま
った陽性荷電アミノ酸および親水性面の中心に集まった陰性荷電アミノ酸を有す
る両親媒性αヘリックスが必要なことである(Venkatachalapat
hiら、1991,上記)。Anantharamaiahらはαヘリックスの
疎水性面内に位置する共通22残基ペプチドの13番位置の陰性荷電Glu残基
がLCAT活性化に重要な役割を持つことをも示した(Anantharama
iahら、1991,上記)。さらに、Basseurは最適の脂質−アポリポ
タンパク質複合体の安定性のためには180°未満の疎水性角(pho角)が必
要であり、そして脂質二重層の端部のまわりにペプチドを有する平円盤状粒子の
形成の説明がつくことを示した(Brasseur,1991,J.Biol.
Chem.66(24):16120−16127)。RosseneuらもL
CATの活性化のために180°未満の疎水性角が必要であることを主張した(
WO93/25581)。 しかし、今日までのこうした「基準」にもかかわらず、ApoA−Iと同様に
活性なペプチドを設計または製造したものはいない。最良のものでも本明細書に
記載したLCAT活性化アッセイによって測定してApoA−Iの活性の40%
未満である。文献中に記載されたペプチド「模倣体」のいずれも薬剤として有用
であると証明されていない。 前記の観点から、ApoA−Iの活性を模倣し、製造するのが比較的簡単でし
かも安価である、安定なApoA−Iアゴニストの開発の必要がある。しかし、
効果的なApoA−I模倣体を設計するための「基準」は解明されておらず、ま
たApoA−Iの機能を有する有機分子を設計するための原理も未知である。 3.発明の概要 本発明はApoA−Iの活性を模倣し、天然分子の活性に近いか若しくはそれ
を超える比活性、すなわち活性単位(LCATの活性化/質量単位)を有する、
両親媒性αヘリックスを形成する能力があるApoA−Iアゴニストに関する。
特に、本発明のApoA−Iアゴニストは(脂質存在下で)両親媒性ヘリックス
を形成し、脂質と結合し、プレβ様若しくはHDL様複合体を形成し、LCAT
を活性化し、HDL画分の血清レベルを上昇させ、そしてコレステロールの流出
を促進するペプチドまたはペプチド類似体である。 本発明は、部分的には、ApoA−Iの機能を模倣するペプチドの、出願人ら
の設計および発見に基づいている。本発明のペプチドはApoA−Iのヘリック
ス反復から誘導された22アミノ酸共通配列の推定上のヘリックス構造および両
親媒性特性に基づいて設計された。驚くべきことに、本発明のペプチドは文献中
に記載されたApoA−Iから誘導されたペプチドについて報告されたものより
も十分高い比活性を有する。実際、本発明のいくつかの実施形態では天然Apo
A−Iの活性の100%まで到達し、一方本明細書に記載するスーパーアゴニス
トはApoA−Iの比活性を超えるものである。 本発明の一態様はまた、部分的には、Segrestの共通22−merのア
ミノ酸残基14−17がLCAT活性化の喪失なしに欠失し得るという本発明者
等の発見に基づいている。場合によっては、アミノ酸残基の欠失はLCAT活性
化を増大させる。本発明の別の態様において、共通配列の他の残基を欠失させて
活性を増大させることもできる。更に、ある実施形態においては、欠失をアミノ
酸残基の変更と組み合わせて用いることができる。好ましい実施形態において、
Segrestの共通22−merペプチドからの4残基の欠失を、残基5、9
及び13の疎水性ロイシンへの変更と組み合わせて使用する。 (脂質存在下で)ヘリックスを形成し、脂質と結合し、複合体を形成し、そし
てLCAT活性を増大させる特定の両親媒性ペプチドの構造、調製および使用に
ついて記載する実際の例によって、本発明を説明する。代表的な実施形態の構造
および活性に基づいて、出願人は変更されたまたは変異した形態を設計するため
に使用することができる一連の「基準」を創案した。これらの形態も本発明の範
囲内である。 本発明は活性成分として(ペプチドまたはペプチド−脂質複合体のいずれかの
)こうしたApoA−Iアゴニストを含有する医薬製剤、ならびにこうした製剤
の調製方法、およびリポタンパク質不全症(例えば、心血管疾患、アテローム動
脈硬化症、代謝性症候群)、再狭窄またはエンドトキセミア(endotoxe
mia)(例えば敗血性ショック)に関連する疾病を治療するための使用に関す
る。 3.1.省略語 本明細書で使用する、遺伝子にコードされたL−鏡像体アミノ酸のための省略
語は通常のものであり、以下の通りである: 遺伝子にコードされたアミノ酸のD−鏡像体のために使用する省略語は1文字
記号と同記号の小文字である。例えば、「R」はL−アルギニンを表し、「r」
はD−アルギニンを表す。 3.2.定義 本明細書で使用する以下の用語は以下の意味を有するものとする。 「アルキル:」は、飽和分枝、直鎖または環状炭化水素ラジカルを称する。典
型的なアルキル基として、限定するわけではないが、メチル、エチル、プロピル
、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、
ヘキシル、などが含まれる。好ましい実施形態において、アルキル基は(C1−
C6)アルキルである。 「アルケニル:」は、1以上の炭素−炭素二重結合を有する不飽和分枝、直鎖
または環状炭化水素ラジカルを称する。このラジカルは二重結合(群)について
cisまたはtransのいずれの立体配置でもよい。典型的なアルケニル基と
して、限定するわけではないが、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテ
ニル、イソブテニル、tert−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが含ま
れる。好ましい実施形態において、アルケニル基は(C1−C6)アルケニルで
ある。 「アルキニル:」は、1以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和分枝、直鎖
または環状炭化水素ラジカルを称する。典型的なアルキニル基として、限定する
わけではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ペンチニル
、ヘキシニルなどが含まれる。好ましい実施形態において、アルキニル基は(C
1−C6)アルキニルである。 「アリール:」は、共役π電子系を有する不飽和環状炭化水素ラジカルを称す
る。典型的なアリール基として、限定するわけではないが、ペンタ−2,4−ジ
エン、フェニル、ナフチル、アントラシル、アズレニル、クリセニル、コロネニ
ル、フルオロアンテニル、インダセニル、イデニル、オバレニル、ペリレニル、
フェナレニル、フェナントレニル、ピセニル、プレイアデニル、ピレニル、ピラ
ントレニル、ルビセニルなどが含まれる。好ましい実施形態において、アリール
基は(C5−C20)アリールであり、(C5−C10)が特に好ましい。 「アルカリール:」は、末端炭素に結合した水素原子の1つがアリール部分分
子で置換された、直鎖アルキル、アルケニルまたはアルキニル基を称する。典型
的なアルカリール基として、限定するわけではないが、ベンジル、ベンジリデン
、ベンジリジン、ベンゼノベンジル、ナフテノベンジルなどが含まれる。好まし
い実施形態において、アルカリール基は(C6−C26)アルカリールであり、
すなわち、アルカリール基のアルキル、アルケニルまたはアルキニル部分分子が
(C1−C6)で、アリール部分分子が(C5−C20)である。特に好ましい
実施形態において、アルカリール基は(C6−C13)アルカリールであり、す
なわち、アルカリール基のアルキル、アルケニルまたはアルキニル部分分子が(
C1−C3)で、アリール部分分子が(C5−C10)である。 「ヘテロアリール:」は1以上の炭素原子がN、P、O、S、As、Se、S
i、Teその他などの別の原子で置換されたアリール部分分子を称する。典型的
なヘテロアリール基として、限定するわけではないが、アクリダルシン、アクリ
ジン、アルサントリジン、アルシンドール、アルシンドリン、カルバゾール、β
−カルボリン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、
インドール、インドリジン、イソアルシンドール、イソアルシノリン、イソベン
ゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソホスホインドール、イソホスフ
ィノリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソキサゾール、ナフチリジン、ペ
リミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、ホスホインドー
ル、ホスフィノリン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピ
ラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾ
リン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、セレノフェン、テルロフェン、チ
オフェンおよびキサンテンが含まれる。好ましい実施形態において、ヘテロアリ
ール基は5−20員ヘテロアリールであり、5−10員ヘテロアリールが特に好
ましい。 「アルクヘテロアリール:」は、末端炭素原子に結合した水素原子の1つがヘ
テロアリール部分分子で置換された、直鎖アルキル、アルケニルまたはアルキニ
ル基を称する。好ましい実施形態において、アルクヘテロアリール基は6−26
員アルクヘテロアリール、すなわち、アルクヘテロアリールのアルキル、アルケ
ニルまたはアルキニル部分分子が(C1−C6)で、ヘテロアリールが5−20
員ヘテロアリールである。特に好ましい実施形態において、アルクヘテロアリー
ルは6−13員アルクヘテロアリールであり、すなわち、アルキル、アルケニル
またはアルキニル部分分子が5−10員ヘテロアリールである。 「置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、
ヘテロアリールまたはアルクヘテロアリール:」は、1以上の水素原子が別の置
換基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール
、ヘテロアリールまたはアルクヘテロアリールを称する。好ましい置換基として
、−OR、−SR、−NRR、−NO、−CN、ハロゲン、−C(O)R、−
C(O)ORおよび−C(O)NRが含まれ、ここで各Rは独立して水素、アル
キル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルカリール、ヘテロアリールまた
はアルクヘテロアリールである。5.発明の詳細な説明 本発明のApoA−Iアゴニストは、ApoA−Iの機能および活性に非常に
近いものである。それらは(脂質の存在下で)両親媒性のヘリックスを形成し、
脂質を結合し、プレーβ様またはHDL様の複合体を形成し、LCATを活性化
し、血清中HDL濃度を増大させ、コレステロールの流出を促進する。このペプ
チドの生物学的機能は、脂質存在下での該ペプチドのヘリックス構造またはヘリ
ックス構造体への変換と相関関係にある。 本発明のApoA−Iアゴニストは、in vivoでの使用前に再調製され
得る、あるいは再製剤化され得る安定なバルク剤形または単回投与剤形(例えば
凍結乾燥物)に調製できる。本発明は、医薬製剤、ならびに高脂血症、高コレス
テロール血症、冠動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、および敗血症性ショ
ックを引き起こす内毒素血症のような他の症状の治療におけるそのような製剤の
使用を包含する。 本発明は、実施例により説明されるが、そこでは、本発明のApoA−Iアゴ
ニストがLCATの活性化に極めて有効であり、そのことによりRCTを促進す
る。本発明のApoA−Iを動物モデルにおいてin vovoで使用すると、
血清中HDL濃度が増大する。 本発明を、以下のサブセクションにおいてさらに詳細に述べる。サブセクショ
ンでは次のことについて記載する:ApoA−Iペプチドアゴニストの組成およ
び構造;構造的および機能的な特性決定;バルク製剤および単回投与製剤の調製
方法;および使用方法。5.1 ペプチドの構造および機能 本発明のApoA−Iアゴニストは、概して、脂質の存在下で両親媒性αヘリ
ックスを形成でき、かつApoA−Iの活性に非常に近いペプチドまたはその類
似体である。このアゴニストは、その主な特徴として、15〜29個のアミノ酸
残基、好ましくは22個のアミノ酸残基からなる「コア」ペプチド、またはペプ
チド内の少なくとも1つのアミド結合が置換アミド、アミドの同配体(isos
tere)もしくはアミド疑似体で置き換えられている該コアペプチドの類似体
を有する。 本発明のApoA−Iアゴニストは、活性にとって重要であると思われるVe
nkatachalapathi ら , 1991, Mol. Confo
rmation and Biol.Interactions, India
n Acad.Sci.B:585−596の22−merの共通配列(PVL
DEFREKLNEELEALKQKLK;配列番号75;以後、「Segre
stの共通22−mer」または「共通22−mer」と呼ぶ)の一次配列中の
特定のアミノ酸残基を変える及び/又は欠失させることにより、天然のApoA
−Iの活性に近い、あるいはある実施形態においてはそれを上回る活性を示す合
成ペプチドが得られる、という本出願人らの驚くべき知見に一部基づくものであ
る。本発明の1つの態様において、共通22−merの4個のアミノ酸残基(例
えば残基14−17)を欠失させてLCAT活性化が可能な18merを形成さ
せる。別の更なる態様において、4個の他の残基を欠失させる。いくつかの態様
において、活性化に重要と考えられる3個の荷電アミノ酸残基(Glu−5,L
ys−9及びGlu−13)を、Leuなどの疎水性残基で置換する。 いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、本発明のApoA−Iア
ゴニストにより形成されるヘリックスは、文献に記載されているApoA−I疑
似ペプチドによって形成されるα−ヘリックスよりも、天然のApoA−Iの両
親媒性ヘリックス領域(これは脂質との結合、コレステロールの流出およびLC
AT活性化を生じるのに重要である)の構造的および機能的特性に近いものであ
り、そのため、これらの他のペプチドよりも有意に高いApoA−I様活性を示
すペプチドを生じると思われる。事実、本発明のApoA−Iアゴニストの多く
はApoA−Iの活性に近く、幾つかの実施形態ではそれを上回っているのに対
して、現在までの文献に記載されている最良のペプチドApoA−I疑似体であ
るペプチド18AM4(EWLEAFYKKVLEKLKELF;配列番号24
6)(Corinjnら, 1993,Biochim.Biophys.Ac
ta 1170:8−16;Labeurら,Oct.1994,Arteri
osclerosis:Abstract No.186および187)および
N−アセチル化C−アミド化ペプチド18AM4(配列番号239)(Bras
seur,1993,Biochim.Biophys.Acta1170:1
−7)は、本明細書中に記載のLCAT活性化アッセイにより測定した場合に、
それぞれApoA−Iの活性の4%未満および11%未満しか示さない。 本発明の例示的態様において、本発明のApoA−Iアゴニストを構成するコ
アペプチド(またはその類似体)は、以下の構造式(I)を有する: X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X11−X
12−X13−X14−X15−X16−X17−X18 (式中、 XはPro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Asn(N)、Gln
(Q)またはD−Pro(p)であり; Xは脂肪族アミノ酸であり; XはLeu(L)であり; Xは酸性アミノ酸であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; Xは塩基性アミノ酸であり; Xは酸性アミノ酸であり; XはLeu(L)またはTrp(W)であり; X10はLeu(L)またはTrp(W)であり; X11は酸性アミノ酸またはAsn(N)であり; X12は酸性アミノ酸であり; X13はLeu(L)、Trp(W)またはPhe(F)であり; X14は塩基性アミノ酸またはLeu(L)であり; X15はGln(Q)またはAsn(N)であり; X16は塩基性アミノ酸であり; X17はLeu(L)であり;そして X18は塩基性アミノ酸である。 構造(I)のコアペプチドは、一部、指定クラス(designated c
lasses)のアミノ酸で規定される。各種の指定クラスの定義は、構造(I
)の変異型または改変型の具体例の説明と関連させて下記に示す。 構造(I)のコアペプチドにおいて、アミノ酸残基X間の「−」という記号
は一般に主鎖の構成的結合機能を表わす。したがって、「−」という記号は通常
、ペプチド結合またはアミド結合[−C(O)NH−]を表わす。しかし、本発
明は、1つ以上のアミド結合が場合によってはアミド以外の別の結合、好ましく
は置換アミド、またはアミドの同配体によって置換されているペプチド類似体を
包含する、と理解すべきである。したがって、構造(I)中の各種のX残基は
一般にアミノ酸として記載され、本発明の好ましい実施形態はペプチドとして例
示されるが、当業者であれば、非アミド結合を有する実施形態において、本明細
書中で用いられる「アミノ酸」または「残基」なる用語は構造的にアミノ酸の側
鎖と類似する基を有する他の二官能性部分を意味するものと理解するであろう。 置換アミドとしては一般に、式−C(O)NR−[式中、Rは(C〜C
アルキル、置換(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、置換(C
〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、置換(C〜C)アルキ
ニル、(C〜C20)アリール、置換(C〜C20)アリール、(C〜C
20)アルカリール、置換(C〜C20)アルカリール、5〜20員ヘテロア
リール、置換5〜20員ヘテロアリール、6〜26員アルクヘテロアリールおよ
び置換6〜26員アルクヘテロアリール]の基が挙げられるが、これに限定され
ない。 アミドの同配体としては一般に、−CHNH−、−CHS−、−CH
−、−CH=CH−(シス型およびトランス型)、−C(O)CH−、−
CH(OH)CH−および−CHSO−が挙げられるが、これらに限定され
ない。そのような非アミド結合を有する化合物およびそのような化合物の製造方
法は当業界では周知である[例えば、Spatola,March 1983,
Vega Data Vol.1,Issue 3;Spatola,1983
,“Peptide Backbone Modifications” In
: Chemistry and Biochemistry of Amin
o Acids Peptides and Proteins,Weinst
ein,ed.,Marcel Dekker,New York,p.267
(概説);Morley,1980,Trends Pharm.Sci.1:
463−468;Hudsonら,1979,Int.J.Prot.Res.
14:177−185(−CHNH−、−CHCH−);Spatola
ら,1986,Life Sci.38:1243−1249(−CH−S)
;Hann,1982,J.Chem.Soc.Perkin Trans.
I.1:307−314(−CH=CH−、シス型およびトランス型);Alm
quistら,1980,J.Med.Chem.23:1392−1398(
−COCH−);Jennings−Whiteら,Tetrahedron
.Lett,23:2533(−COCH−);欧州特許出願EP45665
号(1982),カナダ特許第97:39405号(−CH(OH)CH−)
;Holladayら,1983,Tetrahedron Lett.24:
4401−4404(−C(OH)CH−);およびHruby,1982,
Life Sci.31:189−199(−CH−S−)を参照]。 さらに、1つ以上のアミド結合が、ペプチドの構造および活性に有意に干渉し
ないペプチド疑似成分またはアミド疑似成分で置換されていてもよい。好適なア
ミド疑似成分は、例えばOlsonら,1993,J.Med.Chem.36
:3039−3049に記載されている。 構造(I)のコアペプチドの重要な特徴は、脂質の存在下で両親媒性α−ヘリ
ックスを形成するそれらの能力である。両親媒性とは、α−ヘリックスが、その
長軸に沿って配向している向かい合った親水性面と疎水性面とを有すること、す
なわち、ヘリックスの一方の面には主に親水性の側鎖が突き出しており、反対の
面には主に疎水性の側鎖が突き出していることを意味する。図1Aおよび1Bは
、例示の概念化した両親媒性α−ヘリックスの向かい合った親水性面と疎水性面
の2種の説明図を示すものである。図1Aは、Schiffer−Edmund
sonのヘリックスホイールの図(SchifferおよびEdmundson
,1967,Biophys.J.7:121−135)である。このホイール
において、ヘリックスの長軸はこの頁に対して垂直である。N−末端から始まっ
て、連続したアミノ酸残基(丸で示す)が円の周囲の周りに100°の間隔で放
射状に配されている。したがって、アミノ酸残基n+1は残基nから100°の
位置に位置し、残基n+2は残基n+1から100°の位置に位置し、…となっ
ている。この100°間隔の配置により1ターン当たり3.6個の残基があるこ
とになり、これは概念的したα−ヘリックスにおいて典型的に見られるものであ
る。図1Aでは、ヘリックスの向かい合う親水性面と疎水性面を明確に見ること
ができる(親水性アミノ酸は白丸で表わされ、疎水性アミノ酸残基は陰影入りの
丸で表わされている)。 図1Bは、図1Aの概念化した両親媒性ヘリックスのヘリックスネット(ne
t:網目)の図を示すものである。(Lim,1978,FEBS Lett.
89:10−14)。典型的なヘリックスネットの図において、α−ヘリックス
は、その親水性面の中心に沿って切って平らにしたシリンダー(cylinde
r:円柱状体)として表わされる。したがって、疎水性面の中心は、ヘリックス
の疎水性モーメント(Eisenbergら,1982,Nature,299
:371−374)によって求めた場合、この図の中心にあり、この頁の面から
浮かび上がるようにして配向している。切って平らにする前のヘリックスシリン
ダーの図を図1Cに示す。このシリンダーを別の面に沿って切ることにより、そ
の同じ両親媒性ヘリックスの別の部分を見ることができ、該ヘリックスの特性に
ついての別の情報が得られる。 構造(I)のコアペプチドによって形成されるα−ヘリックスの、脂質存在下
における両親媒性の性質を図2に示す。図2AはSchiffer−Edmun
dsonのヘリックスホイールの図を示すものであり、図2Bは疎水性面を説明
するヘリックスネットの図を示すものであり、図2Cは親水性面を説明するヘリ
ックスネットの図を示すものである。図2A、2B、2Cのそれぞれにおいて、
親水性残基は白丸で表わし、疎水性残基は陰影入りの丸で表わし、そして親水性
又は疎水性のいずれかとなり得る残基を一部斜線入りの丸で表す。後記で構造(
I)のペプチドの改変型または変異型に関連してさらに詳細に述べるように、あ
る特定のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基で置換して、該ペプチドによって形成
されるヘリックスの親水性面および疎水性面がそれぞれ完全に親水性アミノ酸お
よび疎水性アミノ酸で構成されなくてもいいようにしてもよい。したがって、本
発明のコアペプチドによって形成される両親媒性α−ヘリックスについていう場
合、「親水性面」という用語は、ヘリックスの、全体として正味の親水性特性を
有する面を意味する、と理解すべきである。「疎水性面」という用語は、ペプチ
ドの、全体として正味の疎水性特性を有する面を意味する。 どのような特定の理論にも束縛されるものではないが、構造(I)のコアペプ
チドによって形成される両親媒性ヘリックスの特定の構造的および/または物理
的特性が活性にとって重要であると考えられる。これらの特性としては、α−ヘ
リックスの両親媒性度、全体の疎水性度、平均疎水性度、疎水性および親水性角
、疎水性モーメント、平均疎水性モーメント、ならびに正味の電荷が挙げられる
。 図2Aのヘリックスホイールの図は構造(I)のコアペプチドの両親媒性の性
質を視覚化する通常の手段であるが、両親媒性度(疎水性度の非対称の程度)ば
通常、ヘリックスの疎水性モーメント(μ)を算出することによって定量化で
きる。特定のペプチド配列についてのμの算出方法は当業界では周知であり、
例えばEisenberg,1984,Ann.Rev.Biochem.53
:595−623に記載されている。特定のペプチドについて得られる実際のμ
は、そのペプチドを構成するアミノ酸残基の総数に依存する。したがって、長
さの異なるペプチドについてμを直接比較するのは概して有益ではない。 異なる長さのペプチドの両親媒性は平均疎水性モーメント(〈μ〉)によっ
て直接的に比較することができる。平均疎水性モーメントはμHをヘリックス中
の残基数で割ることによって求めることができる(すなわち、〈μ〉=μ
N)。通常、μをEisenbergの標準化共通疎水性度スケール(nor
malized consensus hydrophobicity sca
le、Eisenberg,1984,J.Mol.Biol.179:125
−142)で測定したとき0.55から0.65の範囲を示すコアペプチドが、
本発明の範囲内にあるものとみなされ、〈μ〉が0.58から0.62の範囲
のものが好ましい。 ペプチドの総合的な、もしくは合計の疎水性度(H)は、そのペプチド その式でNはペプチド中のアミノ酸残基の数であり、Hはi番目のアミノ酸残
基の疎水性度である)を用いて便利に計算することができる。平均疎水性度(〈
〉)はその合計の疎水性度をアミノ酸残基数で割ったものである(すなわち
、〈H〉=H/N)。通常、μをEisenbergの標準化共通疎水性
度スケール(Eisenberg,1984,J.Mol.Biol.179:
125−142)を用いて測定したとき−0.150から−0.070の範囲を
示すコアペプチドが、本発明の範囲内にあるものとみなされ、平均疎水性度が−
0.130から−0.050までの範囲のものが好ましい。 両親媒性ヘリックスの疎水面の合計疎水性度(H pho)は疎水角(hyd
rophobic angle)に落ち込む疎水性アミノ酸残基の疎水性度を合
計することによって得られ、それは次に定義するとおりである(すなわち、 面中の疎水性アミノ酸の総数である)。疎水面の平均疎水性度(〈H pho
)はH pho/Nで示され、その式でNは上述の定義のとおりである。通
常、〈Hopho〉をEisenbergの共通疎水性度スケール(Eisen
berg,1984,同上、Eisenberg,1982,同上)を用いて測
定したとき0.90から1.20の範囲を示すコアペプチドが、本発明の範囲内
にあるものとみなされ、〈H pho〉が0.950から1.10までの範囲の
ものが好ましい。 疎水角(pho角)は、通常、ペプチドがSchiffer−Edmunds
onヘリックスホイール構造をとるように配置された場合に疎水性アミノ酸の最
長の連続的な一続きによってカバーされる角もしくは弧と定義される(すなわち
ホイール上の連続した疎水性残基数に20°をかけたものである)。親水性角(
phi角)とは360°とpho角との差である(すなわち、360°−pho
角)。当業者であればphoおよびphi角が、部分的にはそのペプチドのアミ
ノ酸残基数に依存していることが理解できるであろう。例えば、図5Aおよび5
Bをみれば、Schiffer−Edmundsonのヘリックスホイールの1
ターンに沿ってはめ込むことのできるアミノ酸は18個にすぎないことがわかる
。より少ないアミノ酸ではそのホイールの中に隙間をもたらし;より多くのアミ
ノ酸ではそのホイールの特定の位置が2個以上のアミノ酸残基で占められること
になる。 構造(I)のコアペプチドのような18個を超えるアミノ酸残基を有するペプ
チドの場合には、疎水性アミノ酸残基の”連続的”一続きとは、2個以上のアミ
ノ酸によって占められるホイールに沿った位置で少なくとも1個のアミノ酸が疎
水性アミノ酸であることを意味する。 典型的には、120°から160°の範囲のpho角を有する18個以下のア
ミノ酸で構成されるコアペプチドは本発明の範囲に含まれるものとみなされ、1
30°から150°の範囲のpho角が好ましい。18個以上のアミノ酸を含有
する態様は、典型的には160°から220°の範囲のpho角を有し、180
°から200°のものが好ましい。 構造(I)のコアペプチドの構造的および/または物理的特性をいくつか図3
および4に示す。図3Bは本発明の典型的なコアペプチドであるペプチド210
(PVLDLFRELLEELKQKLK;配列番号210)のヘリックスネッ
トダイアグラム(helical net diagram)を示し、その図は
ヘリックスの親水性面に沿う電荷の分布を示している。図3Bではヘリックスシ
リンダーを疎水性面の中心に沿って切断し平らにしたものである。Segres
tのコンセンサス22量体中(残基5、9及び13)(図3C)の親水性残基と
置換した3つの疎水性ロイシン(L)残基には影を付けてある。図3Bにみられ
るとおり、陽性に荷電したアミノ酸残基はヘリックスの最後のC末端の1ターン
でクラスター化されている(C末端はそのページの上部である)。特定の理論に
結びつけられることは意図していないが、C末端の塩基性残基のクラスター(残
基14、16及び18)が、電荷(NH )−ヘリックスダイポール静電的相
互作用によって安定化されるものと考えられている。また、安定化はリジン側鎖
とヘリックスコアとの疎水性相互作用によっても行われると考えられている(G
roebkeら,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.
A.93;4025−4029; Espositoら,1997,Biopo
lymers 41:27−35参照)。 陽性に荷電したC末端クラスター(残基14、16及び18)を除いては、陰
性荷電は親水性面の残りの部分に分布しており、1ターンあたりに少なくとも1
個の陰性荷電(酸性)アミノ酸残基があり、その結果ヘリックスの親水性面に沿
って陰性荷電の連続的な一続きが生じる。 図4Bは、典型的なコアペプチド4(配列番号4)によって形成される両親媒
性ヘリックスの疎水性面を図示したヘリックスネットダイアグラムを示している
。図4Bでは、ヘリックスシリンダーを親水性面の中央に沿って切断し平らに拡
げている。コアペプチドの疎水性面は、最後のC末端のターン、そこでは塩基性
残基が支配的であるが、そのターンを除いては1ターンあたり2個の疎水性残基
からなっている。NMRで調べた結果、類似体22merペプチド(PVLDL
FRELLNELLEALKQKLK;配列番号4)のアミノ酸残基3,6,9
,および10はヘリックスのN末端付近で疎水性クラスターを形成していること
が示されている。Phe−6はこのクラスターの中心にあり、その疎水性クラス
ターの安定化に重要な役割を果たしていると考えられている。 特定の理論に結びつけられることは意図していないが、残基3,6,9,およ
び10によって形成される疎水性クラスターは脂質結合およびLCAT活性化を
行うために非常に重要であると考えられている。両親媒性ペプチドは その疎水
性面を脂質部分のアルキル鎖に対して向けることによってリン脂質と結合するも
のと予測される。この高度に疎水性のクラスターが、本発明のコアペプチドに認
められる強力な脂質との親和性に寄与しているものと考えられる。脂質との結合
はLCAT活性化の前提条件であるので、この疎水性クラスターがLCAT活性
化にも必須であると考えられる。 芳香族残基はしばしばペプチドおよびタンパク質を脂質につなぎ止めるために
重要であるとされている(De Kruijff,1990,Biosci.R
ep.10:127−130; O’neilとDe Grado, 1990
, Science 250:645−651;Blondelleら,199
3,Biochim.Biophys.Acta 1202:331−336)
。さらに、疎水性クラスターの中心に位置するPhe−6もまた構造(I)のコ
アペプチドを脂質につなぎ止めるために重要な役割を果たすものと考えられてい
る。 本発明のコアペプチドと脂質との相互作用によってペプチド−脂質複合体が形
成される。図11Aに示すとおり、得られる複合体のタイプ(共ミセル(com
icelle)、ディスク、小胞状、もしくは多層状)は脂質:ペプチドのモル
比によって変わるが、共ミセルは通常は脂質:ペプチドのモル比が低いときに形
成され、ディスク状および小胞状もしくは多層状の複合体は脂質:ペプチドのモ
ル比が増加するにつれて形成される。この様な特徴は両親媒性ペプチドについて
(Epand,The Amphipathic Helix,1993)およ
びApoA−Iについて(Jones,1992,Structure and
Function of Apolipoproteins,第8章,pp.
217−250)、既に報告されている。また、脂質:ペプチドのモル比は複合
体の大きさおよび組成をも決定する(後記第5.3.1節を参照せよ)。 構造(I)のコアペプチドによって形成されるαヘリックスの長軸は全体とし
てカーブした形状となっている。典型的な両親媒性のヘリックスでは、親水性お
よび疎水性面の水素結合の長さは、ヘリックスの疎水性側が凹形となるように変
わることが見出されている(BarlowとThornton,1988,J.
Mol.Biol.201:601−619; Zhouら, 1992,J.
Am.Chem.Soc.33:11174−11183; Gesellら,
1997,J.Biomol.NMR 9:127−135)。特定の理論に結
びつけられることは意図していないが、ヘリックスの疎水性面の総合的な湾曲形
はおそらくディスク状複合体の結合に重要なものであろうと考えられる−−湾曲
したヘリックスはペプチドがディスク状の粒子のエッジのまわりにより良く”は
め込まれる”ことができ、それによってペプチド−ディスク複合体の安定性を増
大させる。 ApoA−Iの一般的に受け容れられている構造モデルにおいては、両親媒性
のαヘリックスはディスク状HDLのエッジのまわりに充填される(図8B参照
)。このモデルにおいてば、ヘリックスはその疎水性面を脂質のアシル鎖に対し
て向けた状態で整列しているものと考えられている(Brasseurら,19
90,Biochim.Biophys.Acta 1043:245−252
)。このヘリックスは逆平行様式に配置されており、ヘリックス間の協調効果が
ディスク状HDL複合体の安定性に寄与していると考えられている(Brass
eurら,同上)。HDLディスク状複合体の安定性に寄与している1つの因子
として、酸性残基と塩基性残基の間のイオン性相互作用が存在してそれが分子間
塩架橋を形成すること、もしくは隣接する逆平行のヘリックス状の残基間の水素
結合が提案されている。このモデルでは、ペプチドは単一なものとしてはみなさ
れておらず、少なくとも2つの他の近接するペプチド分子と相互作用しているも
のとして考えられている(図8B)。 また、分子間水素結合、もしくは酸性残基と塩基性残基との間の塩架橋の形成
はヘリックスのそれぞれiの位置およびi+3の位置であるが、それらがヘリッ
クス構造を安定化すると一般的には考えられている(Marguseeら,19
85,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84(24):889
8−8902)。1個の陽性電荷は、1ターン離れた酸性残基と塩架橋を形成す
ることによってヘリックスの安定性に潜在的に寄与する残基7に位置する。 構造(I)のコアペプチドの別の重要な特徴としては、そのペプチドが脂質と
結合する際にみられるように疎水性面を同じ方向に向けて逆平行様式に整列した
場合に分子間水素結合をお互いに形成する能力、およびヘリックスのN末端およ
びC末端の近傍で分子内水素結合もしくは塩架橋を形成する能力である。構造(
I)のコアペプチドが逆平行様式で脂質と結合する際に、密に充填してイオン的
相互作用によって分子内および/または分子間塩架橋および/または水素結合を
形成する能力があることは本発明のコアペプチドの重要な特徴であると考えられ
る。 脂質のない状態において、そのコアペプチドが、好都合な分子間ペプチド−ペ
プチド相互作用を形成する能力を有することもまた適切なものであると考えられ
る。本発明のコアペプチドは、部分的にはその高い〈μ〉、〈H〉、および
疎水角のために自己会合性である(後記の表Iを参照せよ)。自己会合現象はp
H、ペプチド濃度、およびイオン強度に依存し、単量体から数種の多量体の形状
までの数種の会合状態を作り出すことができる(図10A)。ペプチド凝集体の
疎水性コアは脂質と疎水性相互作用を生ずるために好都合である。ペプチドが非
常に低い濃度であっても凝集する能力は、そのペプチドの脂質への結合に好都合
であろう。ペプチド凝集物のコアの中ではペプチド−ペプチド相互作用も生じ、
脂質−ペプチド相互作用と競合している可能性がある。 上述の特性に加えて、疎水性残基の総数、荷電残基の総数、およびペプチドの
正味の電荷などのその他のパラメーターも同様に活性には重要であると考えられ
る。 構造(I)のコアペプチドの好ましい物理的および構造的特性の要約を下記の
表Iに示す: 本発明のコアペプチドによって形成される両親媒性のαヘリックスの特性は、
クラスA両親媒性αヘリックス、特にSegrestの18AのクラスAαヘリ
ックス及びコンセンサス22量体ペプチドとは著しく異なる。これらの相異は典
型的なコアペプチド210(配列番号210)とともに図3−5に示している。 図4A−4Cから、ペプチド210の疎水性面はSegrestの18Aペプ
チド又はコンセンサス22量体の疎水性面に比べはるかに大きな疎水性を有して
いることが認められる。とりわけ、9および13の残基(図4Bで影を付した領
域)はペプチド210(配列番号210)中の疎水性Leu(L)残基であり、
これに対して18Aペプチド(配列番号244)及びコンセンサス22量体(配
列番号75)中では荷電した残基である。Segrestの18A及びコンセン
サス22量体ペプチド中のこれらの2個の荷電した残基を疎水性のLeu(L)
残基と置換すると、そのヘリックスの両親媒性、疎水性、pho角、およびその
他の特性に顕著な相異をもたらす。 ペプチド210(配列番号210)およびSegrestの18Aペプチド(
配列番号244)およびコンセンサス22量体ペプチド(配列番号75)の物理
的および構造的特性の比較は下記の表IIに示している: これらの特性の相異によって活性の顕著な相異が生ずる。本明細書に記載のア
ッセイ法で、Segrestの18Aペプチド(配列番号244)及びコンセン
サス22量体ペプチド(配列番号75)が、天然のApoA−Iと比較してそれ
ぞれ5%及び10%のLCAT活性化しか示さないのに対し、同じアッセイ法で
ペプチド210(配列番号210)は天然のApoA−Iと比較して46%の活
性化を示す。ペプチド210のN末端アセチル化及びC末端アミド化型であるペ
プチド193(配列番号193)は、同じアッセイ法で96%のLCAT活性化
を示す。 構造(I)のコアペプチド中の一定のアミノ酸残基はペプチドの活性を著しく
損なうことなく、多くの場合にはむしろ増強するように他のアミノ酸残基と置換
することができる。また、構造(I)のコアペプチドに変更を加えた、もしくは
変異させた形のもので、その構造中の少なくとも1個の定められたアミノ酸残基
を別のアミノ酸残基で置き換えたものも本発明に包含される。本発明のコアペプ
チドの活性に影響を及ぼす非常に重要な特徴の1つは、脂質の存在下での上述の
両親媒性およびその他の特性を示すαヘリックスの形成能であると考えられ、本
発明の好ましい実施形態においては、アミノ酸の置換は保存的、すなわち置換に
よって新たに入るアミノ酸残基がもとのアミノ酸残基と類似の物理的および化学
的特性を有するものであることであると考えられる。 保存的な置換を行うアミノ酸を定めるために、主としてアミノ酸の側鎖の物理
化学的特性によってアミノ酸を2つの主要なカテゴリー、つまり親水性および疎
水性に都合良く分けることができる。これら2つの主要なカテゴリーはさらに、
アミノ酸側鎖の特性をより明確に定義するサブカテゴリーに分類することができ
る。例えば、親水性のアミノ酸のクラスはさらに酸性、塩基性および極性アミノ
酸に分けることができる。疎水性のアミノ酸のクラスはさらに無極性および芳香
族アミノ酸に分けることが出来る。構造(I)を定義するアミノ酸の各カテゴリ
ーの定義は下記のとおりである: 「親水性アミノ酸」とは、Eisenbergら(J.Mol.Biol.,
179(1984)125−142)の標準化コンセンサス疎水性スケール(n
ormalized consensus hydrophobicity s
cale)に従ってゼロ未満の疎水性を示すアミノ酸をいう。遺伝的にコードさ
れる親水性アミノ酸としては、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、G
lu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)及びA
rg(R)が挙げられる。 「酸性アミノ酸」とは、側鎖pK値が7未満の親水性アミノ酸をいう。酸性ア
ミノ酸は、典型的には、水素イオンの欠失により、生理学的pHにおいて負電荷
をもつ側鎖を有する。遺伝的にコードされる酸性アミノ酸としては、Glu(E
)及びAsp(D)が挙げられる。 「塩基性アミノ酸」とは、側鎖pK値が7よりも大きい親水性アミノ酸をいう
。塩基性アミノ酸は、典型的には、ヒドロニウムイオンとの結合により、生理学
的pHにおいて正電荷をもつ側鎖を有する。遺伝的にコードされる塩基性アミノ
酸としては、His(H)、Arg(R)及びLys(K)が挙げられる。 「極性アミノ酸」とは、生理学的pHにおいて電荷をもたない側鎖を有する親
水性アミノ酸であって、2つの原子が共有する電子対がそのうちの1つにより近
づいている結合を少なくとも1つ有するものをいう。遺伝的にコードされる極性
アミノ酸としては、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)及びThr(T
)が挙げられる。 「疎水性アミノ酸」とは、Eisenbergら(J.Mol.Biol.,
179(1984)125−142)の標準化コンセンサス疎水性スケールに従
ってゼロより大きい疎水性を示すアミノ酸をいう。遺伝的にコードされる疎水性
アミノ酸としては、Pro(P)、Ile(I)、Phe(F)、Val(V)
、Leu(L)、Trp(W)、Met(M)、Ala(A)、Gly(G)及
びTyr(Y)が挙げられる。 「芳香族アミノ酸」とは、少なくとも1つの芳香環又はヘテロ芳香環をもつ側
鎖を有する疎水性アミノ酸をいう。該芳香環又はヘテロ芳香環は、1以上の置換
基を含有していてもよく、このような置換基としては、−OH、−SH、−CN
、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−NO、−NH、−NHR、−N
RR、−C(O)R、−C(O)OH、C(O)OR、−C(O)NH、−C
(O)NHR、−C(O)NRR(ここで、各々のRは、独立に、(C−C
)アルキル、置換(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、置換(
−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、置換(C−C)アル
キニル、(C−C20)アリール、置換(C−C20)アリール、(C
26)アルカリール、置換(C−C26)アルカリール、鎖員数5〜20の
ヘテロアリール、置換された鎖員数5〜20のヘテロアリール、鎖員数6〜26
のアルクヘテロアリール又は置換された鎖員数6〜26のアルクヘテロアリール
である)などが挙げられる。遺伝的にコードされる芳香族アミノ酸としては、P
he(F)、Tyr(Y)及びTrp(W)が挙げられる。 「非極性(nonpolar)アミノ酸」とは、生理学的pHにおいて電荷を
もたない側鎖を有する疎水性アミノ酸であって、2つの原子が共有する電子対が
これらの各原子により概して等しく保持される結合を有する(すなわち、側鎖が
極性でない)ものをいう。遺伝的にコードされる非極性(apolar)アミノ
酸としては、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gl
y(G)及びAla(A)が挙げられる。 「脂肪族アミノ酸」とは、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸をいう
。遺伝的にコードされる脂肪族アミノ酸としては、Ala(A)、Val(V)
、Leu(L)及びIle(I)が挙げられる。 アミノ酸残基Cys(C)は、他のCys(C)又は他のスルファニル含有ア
ミノ酸とジスルフィド結合を形成する点で、通常のアミノ酸とは異なる。Cys
(C)残基(及び−SH含有側鎖を有する他のアミノ酸)の、ペプチド中におい
て還元された遊離−SH型又は酸化されたジスルフィド結合型で存在する能力に
よって、Cys(C)がペプチドに全体として親水性を与えるか疎水性を与える
かが決まる。Cys(C)がEisenberg(Eisenberg,198
4、上掲)の標準化コンセンサススケールに従って0.29の疎水性を示す場合
には、本発明の目的に照らし、上記の一般的な分類とは異なって、Cys(C)
は極性親水性アミノ酸とされるものと理解すべきである。 当業者には明らかなように、上述のカテゴリーは相互に排他的なものではない
。従って、2以上の物理・化学的特性を示す側鎖を有するアミノ酸は、複数のカ
テゴリーに含まれる可能性がある。例えば、極性の置換基でさらに置換された芳
香族部分をもつ側鎖を有するアミノ酸、例えばTyr(Y)は、芳香族疎水性の
特性及び極性若しくは親水性の特性の両方を示すことができ、従って、芳香族及
び極性の両方のカテゴリーに含まれ得る。あらゆるアミノ酸の適切な分類は、特
に本明細書の詳細な開示に照らせば、当業者には明らかであろう。 「ヘリックス破壊」アミノ酸と称されるある種のアミノ酸残基は、そのヘリッ
クス内の内部に含まれると、α−ヘリックスの構造を破壊する性質を有する。こ
のようなヘリックス破壊特性を示すアミノ酸残基は当技術分野で周知であり(例
えば、Chou and Fasman,Ann.Rev.Biochem.4
7:251−276を参照されたい)、Pro(P)、Gly(G)及び潜在的
には全てのD−アミノ酸(L−ペプチドに含まれる場合;逆に、L−アミノ酸は
、D−ペプチドに含まれると、ヘリックス構造を破壊する)が挙げられる。これ
らのヘリックス破壊アミノ酸残基は上述のカテゴリーに含まれるが、これらの残
基は、ヘリックス内部のアミノ酸残基の置換には用いるべきでなく、ペプチドの
N末端及び/又はC末端の1〜3個のアミノ酸残基を置換するためだけに用いる
べきである。 上述のカテゴリーでは遺伝的にコードされるアミノ酸について例示したが、ア
ミノ酸置換は遺伝的にコードされるアミノ酸に制限される必要はなく、ある一定
の実施形態ではそうでないことが好ましい。実際に、構造(I)の好ましいペプ
チドの多くは、遺伝的にコードされていないアミノ酸を含有する。従って、天然
の遺伝的にコードされるアミノ酸に加えて、構造(I)のコアペプチド中のアミ
ノ酸残基は、天然の非コードアミノ酸及び合成アミノ酸で置換してもよい。 構造(I)のコアペプチドの有用な置換を与える一定の一般的なアミノ酸とし
ては、β−アラニン(β−Ala)、及び3−アミノプロピオン酸、2,3−ジ
アミノプロピオン酸(Dpr)、4−アミノ酪酸などの他のオメガ−アミノ酸;
α−アミノイソ酪酸(Aib);ε−アミノヘキサン酸(Aha);δ−アミノ
吉草酸(Ava);N−メチルグリシン又はサルコシン(MeGly);オルニ
チン(Orn);シトルリン(Cit);t−ブチルアラニン(t−BuA);
t−ブチルグリシン(t−BuG);N−メチルイソロイシン(MeIle);
フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシ
ン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);4−クロロフェニルアラニン(P
he(4−Cl));2−フルオロフェニルアラニン(Phe(2−F));3
−フルオロフェニルアラニン(Phe(3−F));4−フルオロフェニルアラ
ニン(Phe(4−F));ペニシラミン(Pen);1,2,3,4−テトラ
ヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Tic);β−2−チエニルアラニン(
Thi);メチオニンスルホキシド(MSO);ホモアルギニン(hArg);
N−アセチルリジン(AcLys);2,4−ジアミノ酪酸(Dbu);2,3
−ジアミノ酪酸(Dab);p−アミノフェニルアラニン(Phe(pNH
);N−メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモフェ
ニルアラニン(hPhe)及びホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(
Hyp)、ホモプロリン(hPro)、N−メチル化アミノ酸及びペプトイド(
N−置換グリシン)が挙げられるが、これらに限定されない。 上述のカテゴリーに従う、遺伝的コードアミノ酸及び一般的非コードアミノ酸
の分類は、下記の表3にまとめられている。表3は単に説明のためのものであり
、本明細書に記載のコアペプチドを置換するのに使用することのできるアミノ酸
残基の限定的なリストではないことを理解すべきである。本明細書において特に
記載されていない他のアミノ酸残基も、観察されるそれらの物理的及び化学的特
性に基づいて、本明細書に記載の定義の下で容易に分類することができる。 ほとんどの場合において、構造(I)のコアペプチドのアミノ酸はL体のアミ
ノ酸で置換されるであろうが、置換はL体のアミノ酸に限定されない。従って、
「変異」型又は「改変」型という定義には、L−アミノ酸が同一のD−アミノ酸
(例えば、L−ArgからD−Argへの置換)又は同じカテゴリー若しくはサ
ブカテゴリーのD−アミノ酸(例えば、L−ArgからD−Lysへの置換)へ
置換される場合、及びその逆の場合も含まれる。実際に、動物被験体への経口投
与に適した好ましい実施形態では、ペプチドは少なくとも1つのD体アミノ酸で
構成されることが有利であり得る。このようなD−アミノ酸を含有するペプチド
は、口腔、腸又は血清中での分解に対して、L−アミノ酸のみで構成されるペプ
チドよりも安定であると考えられる。 上記のように、D−アミノ酸は、α−ヘリックスL−ペプチドの内部に含まれ
ると、α−ヘリックス構造を破壊する傾向がある。結論として、D−アミノ酸は
内部L−アミノ酸を置換するのに使用すべきでなく、D−アミノ酸置換は、ペプ
チドのN末端及び/又はC末端の1〜3個のアミノ酸に限定されるべきである。
好ましくは、N末端及び/又はC末端のアミノ酸のみがD−アミノ酸で置換され
る。 上記のアミノ酸残基分類を、構造(I)のコアペプチドのSchiffer−
Edmundsonヘリックスボイール(helical wheel)及びヘ
リックスネットダイアグラム表示(helical net diagram
presentation)、並びに本明細書に記載された望ましい特性の詳細
な説明とともに用いることにより、ヘリックスの両親媒性その他の特性を実質的
に保持し、従って本発明の範囲内であると考えられる構造(I)のコアペプチド
の改変型又は変異型を容易に得ることができる。 本発明の好ましい実施形態では、構造(I)のコアペプチドの改変型又は変異
型は、構造(I)に従って親水性又は疎水性残基を固定化し、少なくとも1つの
非固定化残基を他のアミノ酸、好ましくは、保存的に、すなわち同じカテゴリー
又はサブカテゴリーの他のアミノ酸で置換することにより得る。塩基性及び/又
は疎水性クラスターを構成する残基を構造(I)に従って固定化し、少なくとも
1つの非固定化残基を、好ましくは保存的に置換することもできる。 他の好ましい実施形態では、構造(I)のコアペプチドの改変型又は変異型は
、構造(I)に従ってヘリックスの親水性表面内に位置する親水性アミノ酸残基
を固定化し、少なくとも1つの非固定化アミノ酸残基を他のアミノ酸、好ましく
は同じカテゴリー又はサブカテゴリーの他のアミノ酸で置換することにより得る
。図2Aを参照すれば、残基1、4、7、8、11、12、14、15及び18
が、構造(I)のコアペプチドにより形成される両親媒性ヘリックスの親水性表
面内に位置することがわかる。これらの残基のうち、残基1以外の全てが親水性
であり、残基1は親水性又は疎水性のどちらかであり得る。従って、1つの好ま
しい実施形態では、残基4、7、8、11、12、14、15及び18が構造(
I)に従って固定化され、残基1、2、3、5、6、9、10、13、16及び
17の少なくとも1つが、同じカテゴリーの他のアミノ酸、好ましくは同じサブ
カテゴリーの他のアミノ酸で置換される。あるいは、残基1も構造(I)に従っ
て固定化し、残基2、3、5、6、9、10、13、16及び17の少なくとも
1つを上記のように置換する。 特に好ましい実施形態では、C末端塩基性クラスター(残基14、16及び1
8)も構造(I)に従って固定化し、残基2、3、5、6、9、10、13及び
/又は17だけを置換する。 他の特に好ましい実施形態では、疎水性クラスター(残基3、6、9及び10
)も構造(I)に従って固定化し、残基2、5、13、16及び/又は17だけ
を置換する。 さらに他の特に好ましい実施形態では、塩基性クラスター及び疎水性クラスタ
ーの両方を固定化し、残基2、5、13及び/又は17だけを置換する。 本発明の他の好ましい実施形態では、本発明のコアペプチドの改変型又は変異
型は、ヘリックスの疎水性表面内に位置する疎水性アミノ酸残基を固定化し、少
なくとも1つの非固定化アミノ酸残基を他のアミノ酸残基、好ましくは同じカテ
ゴリー又はサブカテゴリーの他の残基で置換することにより得る。 図2Aを参照すれば、残基2、3、5、6、9、10、13、16及び17が
、疎水性表面内に位置することがわかる。これらのうち、親水性である残基16
以外の全てが疎水性である。従って、1つの好ましい実施形態では、残基2、3
、5、6、9、10、13及び17が構造(I)に従って固定化され、残基1、
4、7、8、11、12、14、15、16及び18の少なくとも1つが、他の
アミノ酸残基、好ましくは同じカテゴリー又はサブカテゴリーの他のアミノ酸で
置換される。 特に好ましい実施形態では、C末端塩基性クラスター(残基14、16及び1
8)も固定化し、残基1、4、7、8、11、12及び/又は15だけを置換す
る。 他の実施形態では、構造(I)のペプチドの改変型又は変異型は、ヘリックス
の親水性又は疎水性表面内に存在する全アミノ酸残基を固定化し、好ましくは保
存的に、他方の表面内に存在する少なくとも1つのアミノ酸残基を他のアミノ酸
残基で置換することによって得る。疎水性クラスター及び/又は塩基性クラスタ
ーを構成する残基もまた、上記のように、構造(I)に従って任意で固定化して
もよい。 本発明の他の実施形態では、構造(I)の改変型又は変異型は、少なくとも1
つのアミノ酸を非保存的アミノ酸で置換することにより得る。当業者であれば、
このような置換が実質的に上記のヘリックスの両親媒性及び/又は構造的特性を
変更すべきでないことを認識するであろう。従って、一定の場合には、1以上の
アミノ酸対を置換してヘリックスの全体的特性を保存することが望ましい。適切
なアミノ酸置換を選択する上でのさらなる手引きは、表Xに掲げられたペプチド
配列により与えられる(後述の第8.3節を参照されたい)。 本発明のさらに他の実施形態では、構造(I)のコアペプチドのN末端及び/
又はC末端における最初の第1〜4アミノ酸残基は、α−ヘリックス2次構造の
領域に安定性を付与することが知られている1以上のアミノ酸残基又は1以上の
ペプチドセグメント(「エンド−キャップ」残基又はセグメント)で置換される
。このようなエンド−キャップ残基及びセグメントは当技術分野において周知で
ある(例えば、Richardson and Richardson,198
8,Science 240: 1648−1652; Harperら、19
93,Biochemistry 32(30): 7605−7609; D
asgupta and Bell,1993,Int. J.Peptide
Protein Res.41: 499−511; Sealeら、199
4,Protein Science 3: 1741−1745; Doig
ら、1994,Biochemistry 33: 3396−3403;Zh
ouら、1994,Proteins 18: 1−7; Doig and
Baldwin,1995,Protein Science 4: 1325
−1336; Odaertら、1995,Biochemistry 34:
12820−12829; Petrukhovら、1996,Bioche
mistry 35: 387−397; Doigら、1997,Prote
in Science 6: 147−155を参照されたい)。あるいは、構
造(I)の最初の第1〜4のN末端及び/又はC末端アミノ酸残基を、エンド−
キャップ残基又はセグメントの構造及び/又は特性を模倣したペプチド模倣体部
分で置き換えることができる。適切なエンド−キャップ模倣体は当技術分野で周
知であり、例えば、Richardson and Richardson,1
988,Science 240: 1648−1652; Harperら、
1993,Biochemistry 32(30): 7605−7609;
Dasgupta and Bell,1993,Int.J.Peptid
e Protein Res.41: 499−511; Sealeら、19
94, Protein Science 3: 1741−1745; Do
igら、1994,Biochemistry 33: 3396−3403;
Zhouら、1994,Proteins 18: 1−7; Doig a
nd Baldwin,1995,Protein Science 4: 1
325−1336; Odaertら、1995,Biochemistry
34: 12820−12829; Petrukhovら、1996,Bio
chemistry 35: 387−397; Doigら、1997,Pr
otein Science 6: 147−155に記載されている。 構造(I)は18個の特定のアミノ酸残基位置を含有するが、本発明のコアペ
プチドは18個よりも少ないアミノ酸残基を含有してもよいものと理解すべきで
ある。実際に、14−15個程度のアミノ酸残基しか含有しない構造(I)の末
端切断型又は内部欠失型であっても、構造(I)のコアペプチドにより形成され
る両親媒性ヘリックスの全体的な特徴及び特性を実質的に保持するものであれば
、本発明の範囲内であると考えられる。 構造(I)のペプチドの末端切断型は、構造(I)のN末端及び/又はC末端
から1以上のアミノ酸を欠失させることにより得る。構造(I)の内部欠失型は
、構造(I)のペプチドの内部から1以上のアミノ酸を欠失させることにより得
る。欠失する内部アミノ酸残基は、連続残基であっても、そうでなくてもよい。 当業者であれば、構造(I)のコアペプチドから内部アミノ酸残基を欠失させ
ることによって、ヘリックスの親水性−疎水性界面の平面が欠失箇所で100°
回転することが分かるであろう。このような回転によって、得られるヘリックス
の両親媒性の特性が有意に変化するため、本発明の好適な実施形態では、ヘリッ
クスの長軸全長にわたる親水性−疎水性界面の平面の配列が実質的に保持される
ようにアミノ酸残基を欠失させる。 このことは、1つの完全なヘリックスターンが欠失するように十分な数の連続
または非連続アミノ酸残基を欠失させることで簡便に達成できる。理想化された
α−ヘリックスには1ターン当たり3.6個残基が含まれる。従って、好適な実
施形態では、3〜4個の連続または非連続のアミノ酸残基のグループを欠失させ
る。3アミノ酸または4アミノ酸のいずれを欠失させるかは、欠失させる最初の
残基のヘリックス中における位置に依存する。両親媒性ヘリックス中の任意の特
定の出発点から、1つの完全なヘリックスターンを構成する連続または非連続ア
ミノ酸残基の適切な数を決定することは、十分に当業者の能力の範囲内のことで
ある。 ヘリックスを安定化させる上で構造(I)のコアペプチドのC末端にある塩基
性クラスターが重要であると推定され、かつ脂質結合およびLCAT活性化を行
う上で疎水性クラスターが重要であるため、本発明の好適な実施形態では、塩基
性および疎水性のクラスターを含んでなる残基は欠失させない。従って、好適な
実施形態では、残基14、16および18(塩基性クラスター)並びに残基3、
6、9および10(疎水性クラスター)は欠失させない。 構造(I)のコアペプチドはまた、一方もしくは両方の末端で、またはペプチ
ドの内部にて、ペプチドの構造および/または機能に関する特性を実質的に妨害
しない別のアミノ酸残基、また、ある実施形態ではこれらの特性を強化する別の
アミノ酸残基で伸長することができる。実際に、19、20、21、22個また
はそれ以上もの数のアミノ酸残基を含む伸長コアペプチドは、本発明の範囲内に
あると考えられる。好ましくは、このような伸長ペプチドは、構造(I)のペプ
チドの正味の両親媒性および他の特性を実質的に保持するであろう。当然のこと
ながら、アミノ酸をペプチド内部に付加すれば、疎水性−親水性界面の平面が挿
入箇所で上述の内部欠失の場合と同様に回転することは明らかであろう。従って
、内部欠失に関する上述の考察は、同様に内部付加にも当てはまる。 1つの実施形態では、コアペプチドを、Nおよび/またはC末端で最低でもヘ
リックスターン1個分伸長させる。好ましくは、このような伸長によって、脂質
の存在下ではヘリックスの二次構造(例えば、上述の末端キャップアミノ酸およ
びセグメント)が安定化するであろう。 特に好適な実施形態では、構造(I)のコアペプチドをC末端で塩基性アミノ
酸残基(好ましくはLys(K))1個分伸長させる。 また、ApoA−Iアゴニストの「ブロック」体(即ち、Nおよび/またはC
末端が、N末端の−NHまたはC末端の−C(O)OHと反応可能な基によっ
てブロックされたApoA−Iアゴニストの形態)も本発明の範囲内に含まれる
。18以下のアミノ酸残基を含む本発明のApoA−IアゴニストのNおよび/
またはC末端の電荷を(N−アシル化ペプチドアミド/エステル/ヒドラジド/
アルコールおよびその置換体を合成することで)除去すると、アゴニストの未ブ
ロック体の活性に等しいアゴニスト、また、ある実施形態ではその活性を超える
アゴニストが得られることが判明している。例えば、ペプチド210(配列番号
210)が天然のApoA−Iと比較して46%のLCAT活性化を示すのに対
し、このペプチドのN末端及びC末端をブロックした型であるペプチド193(
配列番号193)は、同じアッセイ法において96%のLCAT活性化を示す。
22個のアミノ酸を含有するある実施形態では、NまたはC末端をブロックする
ことで、未ブロック体よりも活性の低下したApoA−Iアゴニストが得られる
。しかしながら、22個以上のアミノ酸から構成されるApoA−Iアゴニスト
のNおよびC末端の両方をブロックすれば、活性が回復すると予測される。従っ
て、本発明の好適な実施形態では、18個以下のアミノ酸を含有するコアペプチ
ドのNおよび/またはC末端のいずれか(好ましくは両末端)をブロックするの
に対し、18個以上のアミノ酸を含有するペプチドのNおよびC末端は両方とも
ブロックするか、または両方ともブロックしない。典型的なN末端ブロッキング
基としては、RC(O)−(式中、Rは−H、(C−C)アルキル、(C
−C )アルケニル、(C−C)アルキニル、(C〜C20)アリール、
(C〜C26)アルクアリール(alkaryl)、5〜20員ヘテロアリー
ルまたは6〜26員アルクヘテロアリール(alkheteroaryl)が挙
げられる。好適なN末端ブロッキング基としては、アセチル、ホルミルおよびダ
ンシルが挙げられる。典型的なC末端ブロッキング基としては、−C(O)NR
Rおよび−C(O)OR(式中、各Rは独立に上記の通りである)が挙げられる
。好適なC末端ブロッキング基としては、各Rが独立にメチルである基が挙げら
れる。特定の理論に拘束させるつもりはないが、このような末端ブロッキング基
は、脂質の存在下でα−ヘリックスを安定化させると考えられる(例えば、 Venkatachelapathiら,1993,PROTEINS: St
ructure,Function and Genetics 15:349
−359を参照)。 ApoA−Iの天然の構造には、一斉に脂質に結合するように働くと考えられ
る8個のヘリックス単位が含まれる(Nakagawaら,1985,J.Am
.Chem.Soc.107:7087−7092; Anantharama
iahら,1985,J.Biol.Chem.260:10248−1026
2; Vanlooら,1991,J.Lipid Res.32:1253−
1264; Mendezら,1994,J.Clin.Invest.94:
1698−1705; Palgunariら,1996,Arteriosc
ler.Thromb.Vasc.Biol.16:328−338; Dem
oorら,1996,Eur.J.Biochem.239:74−84)。従
って、本明細書に記載のコアペプチドの二量体、三量体、四量体およびそれ以上
の高次の重合体(「多量体」)より構成されるApoA−Iアゴニストも本発明
に含まれる。このような多量体は、縦列反復配列、分枝網状構造体、またはこれ
らの組み合わせの形態であってよい。コアペプチドは、互いに直接結合してもよ
く、1つ以上のリンカーで隔てられていてもよい。 多量体を含んでなるコアペプチドは、構造(I)のペプチド、構造(I)の類
似体、構造(I)の突然変異体、構造(I)の末端切断体もしくは内部欠失体、
構造(I)の伸長体および/またはこれらの組み合わせであってよい。コアペプ
チドは、頭−尾型(即ち、N末端をC末端へ)、頭−頭型(即ち、N末端をN末
端へ)、尾−尾型(即ち、C末端をC末端へ)、またはこれらの組み合わせの型
で結合することができる。 本発明の一つの実施形態では、多量体は、2、3、4および約10個までのコ
アペプチドの縦列反復配列である。好ましくは、多量体は、2〜8個のコアペプ
チドの縦列反復配列である。従って、一実施形態では、本発明のApoA−Iア
ゴニストは、以下の構造式: (II) HH−[−LL−HH−]−LL−HH (式中、 各mは独立に0〜1の整数であり、好ましくは1であり、 nは0〜10の整数であり、好ましくは0〜8であり、 各「HH」は独立に構造(I)のコアペプチドもしくはペプチド類似体、また
は本明細書に記載のこれらの突然変異体、末端切断体、内部欠失体もしくは伸長
体を表し、 各「LL」は独立にリンカーを表し、 各「−」は独立に共有結合を表す) を有する多量体を含んでなる。 構造(II)では、リンカーLLは、2個のペプチドを互いに共有結合し得る
任意の二官能性分子であってよい。従って、適切なリンカーは、官能基がペプチ
ドのNおよび/またはC末端に共有結合可能な二官能性分子である。ペプチドの
NまたはC末端への結合に適した官能基は、このような共有結合を形成するのに
適した化学的性質と同様に、当該技術分野で周知である。 リンカーは、多量体の所望の特性に応じて、柔軟、硬質または半硬質であって
よい。適切なリンカーとしては、例えば、ProまたはGly等のアミノ酸残基
、または約2〜約5、10、15もしくは20またはそれ以上のアミノ酸を含有
するペプチドセグメント、HN(CHCOOH(式中、nは1〜12の
整数である)等の二官能性有機化合物などが挙げられる。このようなリンカーの
例、並びにこのようなリンカーおよびこのようなリンカーを組込んだペプチドの
作製方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Hunigら,1974,C
hem.Ber.100:3039−3044; Basakら,1994,B
ioconjug.Chem.5(4):301−305を参照)。 本発明の好適な実施形態では、縦列反復配列は、1個のプロリン残基によって
内部で区切られている。このため、コアペプチドがそのNもしくはC末端にてプ
ロリンで終結している場合(例えば、構造(I)のXがPro(P)もしくは
D−Pro(p)の場合)には、構造(II)のmは好ましくは0である。コア
ペプチドがNもしくはC末端プロリンを含まない場合には、LLは好ましくはP
ro(P)またはD−Pro(p)であり、mは好ましくは1である。 本発明のある実施形態では、一定の条件下で1個以上のヘリックスセグメント
(HH)を放出し得る開裂可能なリンカーを使用するのが望ましい。適切な開裂
可能なリンカーとしては、プロテアーゼによって認識されるアミノ酸配列を有す
るペプチド、エンドヌクレアーゼによって開裂されるオリゴヌクレオチド、およ
び化学的手段(例えば、酸性、塩基性もしくは他の条件下)によって開裂可能な
有機化合物が挙げられる。好ましくは、開裂条件は、多量体ApoA−Iアゴニ
ストを構成するヘリックスセグメントおよび/または非開裂リンカーを変性また
は分解しないような比較的穏和なものである。 選択的に開裂し得るペプチドリンカーおよびオリゴヌクレオチドリンカー、並
びにリンカーを開裂する手段は周知であり、当業者には直ちに明らかであろう。
選択的に開裂し得る適切な有機化合物リンカーは、当業者には明らかであり、例
えば、WO94/08051並びにこれに引用されている参考文献に記載のもの
が挙げられる。 好適な実施形態では、使用するリンカーは内在性の循環酵素に対する基質であ
るペプチドであり、これにより多量体ApoA−Iアゴニストのinvivoに
おける選択的開裂が可能になる。リンカーの開裂に適した内在性の酵素としては
、例えば、プロアポリポタンパク質A−Iプロペプチダーゼが挙げられる。適切
な酵素、並びにこのような酵素の基質として働くペプチドセグメントは、当該技
術分野で周知である(例えば、Edelsteinら,1983,J.Biol
.Chem.258:11430−11433; Zanis,1983,Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA 80:2574−2578を参照
)。 上述したように、本発明のコアペプチドの重要な特徴は、逆平行の状態で配置
された場合に分子間水素結合または塩橋を形成する能力である。従って、本発明
の好適な実施形態でば、構造(II)のヘリックスセグメント(HH)が逆平行
の状態に並んで、かつ脂質の存在下にて分子間水素結合もしくは塩橋を形成する
よう、十分な長さと柔軟性を有するリンカーを使用する。 十分な長さと柔軟性を有するリンカーとしては、限定するものではないが、P
ro(P)、Gly(G)、Cys−Cys、HN−(CH−COOH
(式中、nは1〜12であり、好ましくは4〜6である)、HN−アリール−
COOHおよび炭水化物が挙げられる。 あるいは、天然のアポリポタンパク質は、逆平行ヘリックスセグメント間の協
同的結合を許容するため、一次配列において天然のアポリポタンパク質(例えば
、ApoA−I、ApoA−II、ApoA−IV、ApoC−I、ApoC−
II、ApoC−III、ApoD、ApoEおよびApoJ)の隣接ヘリック
スを結合するペプチドセグメントに相当するペプチドリンカーは、コアペプチド
を結合するのに簡便に使用することができる。これらの配列は当該技術分野で周
知である(例えば、Rosseneuら,“Analysis of the
Primary and of the Secondary Structu
re of the Apolipoproteins”, Structur
e and Function of Lipoproteins,Ch.6,
159−183,CRC Press, Inc., 1992を参照)。 逆平行ヘリックスセグメントの縦列反復配列間に分子間水素結合または塩橋を
形成し得る他のリンカーとしては、ペプチドの逆ターン(例えば、β−ターンお
よびγ−ターン)、並びにペプチドのβ−ターンおよび/またはγ−ターン構造
を模倣する有機分子が挙げられる。通常、逆ターンは、1本のポリペプチド鎖に
逆平行β−シートまたは逆平行α−ヘリックス構造の領域が含まれるよう、ポリ
ペプチド鎖の方向を逆転させるペプチドのセグメントである。β−ターンは通常
4個のアミノ酸残基から構成され、γ−ターンは、通常3個のアミノ酸残基から
構成される。 多くのペプチドのβ−ターンのコンホメーションおよび配列は、当該技術分野
で十分に記載されており、例としては、限定するものではないが、タイプI、タ
イプI’、タイプII、タイプII’、タイプIII、タイプIII’、タイプ
IV、タイプV、タイプV’、タイプVIa、タイプVIb、タイプVIIおよ
びタイプVIIIが挙げられる(Richardson,1981,Adv.P
rotein Chem.34:167−339; Roseら,1985,A
dv.Protein Chem.37:1−109; Wilmotら,19
88,J.Mol.Biol.203:221−232; Sibandaら,
1989,J.Mol.Biol.206:759−777; Tramont
anoら,1989,Proteins:Struct.Funct.Gane
t.6:382−394を参照)。 β−ターン等の短鎖ペプチドターンの特異的なコンホメーションは、主として
、ターン中における一定のアミノ酸残基の位置に依存する(通常は、Gly、A
snまたはPro)。一般に、タイプIのβ−ターンでは、ターンの位置1〜4
はいずれのアミノ酸残基でも可能である(但し、Proが位置3に存在すること
はない)。タイプIおよびタイプIIのターンとも、Glyは位置4を優先的に
占め、Proは位置2を優先的に占める。Asp、Asn、SerおよびCys
残基は位置1に存在することが多く、その側鎖は残基3のNHに水素結合するこ
とが多い。 タイプIIのターンでは、GlyおよびAsnは位置3に存在することが最も
多い。これは、GlyおよびAsnであれば、必要なバックボーンの角度が最も
容易に得られるためである。理想的には、タイプI’のターンはGlyを位置2
および3に有し、タイプII’のターンはGlyを位置2に有する。タイプII
Iのターンは一般にほとんどのアミノ酸残基を有することができるが、タイプI
II’のターンは通常位置2および3にGlyが必要である。タイプVIaおよ
びVIbのターンは、通常cisペプチド結合と内部残基としてのProを有す
る。タンパク質およびペプチド中に含まれるβ−ターンの個々のタイプおよび配
列の概説については、Wilmotら,1988,J.Mol.Biol.20
3:221−232を参照されたい。 多くのペプチドのγ−ターンのコンホメーションおよび配列も、当該技術分野
で十分に記載されている(例えば、Roseら,1985,Adv.Prote
in Chem. 37:1−109; Wilmer−Whiteら,198
7,Trends Biochem.Sci.12:189−192; Wil
motら,1989,J.Mol.Biol.203:221−232;Sib
andaら,1989, J.Mol.Biol.206:759−777;
Tramontanoら,1989,Proteins: Struct.Fu
nct.Genet. 6:382−394を参照)。これら全てのタイプのβ
−ターンおよびγ−ターン構造並びにその対応配列、並びに後から発見されるペ
プチドのβ−ターンおよびγ−ターン構造並びに配列は、特に本発明の範囲内と
する。 あるいは、リンカー(LL)は、ペプチドのβ−ターンまたはγ−ターンの構
造を模倣する有機分子または成分を含んでいてもよい。このようなβ−ターンお
よび/またはγ−ターン模倣成分、並びにこのような成分を含有するペプチドを
合成する方法は、当該技術分野で周知であり、特に、GiannisおよびKo
lter,1993 Angew.Chem.Intl.Ed.Eng.32:
1244−1267; Kahnら,1988,J.Molecular Re
cognition 1:75−79;並びにKahnら,1987,Tetr
ahedron Lett.28:1623−1626に記載のものが挙げられ
る。 本発明のさらに別の実施形態では、多量体は分枝網状構造体の形態である(例
えば、図7参照)。このような網状構造体は、3個以上のヘリックス単位を一つ
の結合基に結合させる多官能性結合基を使用することにより簡便に得られる。こ
のように、分枝網状構造体は、ペプチドのNおよび/またはC末端に共有結合可
能な官能基を3個、4個またはそれ以上有する分子を利用する。適切な結合基と
しては、例えば、ヒドロキシル、スルファニル(sulfanyl)、アミノ、
カルボキシル、アミドおよび/またはエステル官能基を有する側鎖を有するアミ
ノ酸残基、例えば、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)
、Asn(N)、Gln(Q)、Lys(K)、Arg(R)、Orn、Asp
(D)およびGlu(E)、またはこのような官能基を含む他の有機分子が挙げ
られる。 1個の結合基に結合したヘリックスセグメントは、末端を介して結合する必要
はない。実際に、ある実施形態では、ヘリックスセグメントは、逆平行の状態に
並ぶように(即ち、ヘリックスのいくつかはN末端を介して結合し、他のものは
C末端を介して結合するように)1個の結合基に結合する。 ヘリックスセグメントは、結合基に直接結合できるか、または上述のような1
個以上の二官能性リンカー(LL)によって結合基から離れていてもよい。 図7Aおよび7Bを参照すれば明らかなように、各多官能性結合基がノードを
構成する場合には、分枝網状構造体を、該網状構造体を形成する「ノード」の数
について記載することができる。図7Aおよび7Bでは、ヘリックスセグメント
(即ち、本発明のコアペプチド)を円柱で表し、多官能性結合基(またはノード
)を丸(●)で表し、丸から延びる線の数で多官能性結合基の「次数(orde
r)」(または官能基の数)を示している。 網状構造体中のノードの数は、通常ヘリックスセグメントの所望の総数に依存
し、典型的には約1〜2である。当然のことながら、所望のヘリックスセグメン
トの数が決まっている場合には、より次数の高い結合基を有する網状構造体の方
が少ないノードを有することは明らかであろう。例えば、図7Aおよび7Bを参
照すると、7個のヘリックス単位を有する三次網状構造体(即ち、三官能性結合
基を有する網状構造体)はノードを3個有するのに対し(図7A)、7個のヘリ
ックス単位を有する四次網状構造体(即ち、四官能性結合基を有する網状構造体
)はわずか2個のノードを有する(図7B)。 網状構造体は均一の次数(即ち、全てのノードが、例えば三官能性または四官
能性の結合基である網状構造体)であってもよく、または次数が揃っていなくて
もよい(例えば、ノードが、例えば三官能性および四官能性の結合基が混在した
ものである網状構造体)。当然のことながら、均一な次数の網状構造体であって
も、結合基は同一である必要はないことは理解すべきである。例えば、2、3、
4個またはそれ以上の異なる三官能性結合基を有する三次網状構造体を使用して
もよい。 線状の多量体と同様、分枝網状構造体を含んでなるヘリックスセグメントは同
一である必要はないが、同一であってもよい。 このような次数の揃っていない分枝網状構造体の例を図7Cに示す。図7Cで
は、ヘリックスセグメント(即ち、本発明のコアペプチド)を円柱で表し、多官
能性結合基を丸(●)で表し、丸から延びる線の数で多官能性結合基の「次数」
(または官能基の数)を示している。ヘリックスセグメントをつなぐ線は、上述
したように二官能性リンカー(LL)を表す。分枝網状構造体を形成するヘリッ
クスセグメントは、上述したようにコアペプチドの縦列反復配列であってもよい
。 一つの具体例では、本発明の分枝網状構造体は式: (III) X−Nya−X(ya−1)−(−Nyb−X(yb−1)
(式中、 各Xは独立にHH−(−LL−HH−)−LL−HHであり、 各HHは、独立に構造(I)のコアペプチドまたはその類似体、または本明細
書中に記載のこれらの突然変異体、末端切断体、内部欠失体もしくは伸長体であ
り、 各LLは独立に二官能性リンカーであり、 各mは独立に0〜1の整数であり、 各nは独立に0〜8の整数であり、 NyaおよびNybは各々独立に多官能性結合基であって、yおよびy
それぞれNyaおよびNyb上の官能基の数を表し、 各yまたはyは独立に3〜8の整数を表し、 pは0〜7の整数であり、 各「−」は独立に共有結合を表す) で表される。 好適な実施形態では、分枝網状構造体は「Lys−樹構造(Lys−tree
)」を形成する、即ち、多官能性結合基が1個以上のLys(K)残基である網
状構造体である(例えば、図7D参照)。 一つの具体例では、本発明の「Lys−樹構造」分枝網状構造体は式: (式中、 各Xは独立にHH−(−LL−HH−)−LL−HHであり、 各HHは、独立に構造(I)のコアペプチドまたはペプチド類似体、または本
明細書中に記載のこれらの突然変異体、末端切断体、内部欠失体もしくは伸長体
であり、 各LLは独立に二官能性リンカーであり、 各nは独立に0〜8の整数であり、 各mは独立に0〜1の整数であり、 Rは−ORまたは−NRRであり、 各Rは独立に−H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(
〜C)アルキニル、(C〜C20)アリール、(C〜C26)アルク
アリール、5〜20員ヘテロアリールまたは6〜26員アルクヘテロアリールで
ある) で表わされる。 5.1.1. 構造および機能の分析 本発明のコアペプチドまたはペプチド類似体の構造および機能、並びにこのよ
うなコアペプチドから構成されるApoA−Iアゴニスト(上述のような多量体
形態を含む)の構造および機能は、活性なアゴニストまたはApoA−I模倣体
を選別するためにアッセイすることができる。例えば、コアペプチドまたはペプ
チド類似体は、脂質の存在下でα−ヘリックスを形成する能力、脂質に結合する
能力、脂質と複合体を形成する能力、LCATを活性化する能力、コレステロー
ルの流出を促進する能力などについてアッセイすることができる。 ペプチドの構造および/または機能を分析する方法およびアッセイは、当該技
術分野で周知である。好適な方法を後述の実施例に示す。例えば、後述の第7節
に記載する円二色性(CD)アッセイおよび核磁気共鳴(NMR)アッセイを使
用して、ペプチドまたはペプチド類似体の構造(特に、脂質の存在下でのらせん
度)を分析することができる。脂質に結合する能力は、後述の第7節に記載する
蛍光分光法アッセイを使用して判定できる。LCATを活性化するペプチドおよ
び/またはペプチド類似体の能力は、後述の第8節に記載するLCAT活性化を
用いて容易に判定できる。後述の第9、10および11節に記載するin vi
troおよびin vivoアッセイを使用して、半減期、分布、コレステロー
ルの流出およびRCTに対する作用を評価することができる。 通常、下記の表IVに列挙した特性を示す本発明のコアペプチドおよび/また
はペプチド類似体は、活性であるとみなす。 後述の実施例に示すように、高度のLCAT活性化(38%以上)を示すコア
ペプチドは、通常、小型の脂質単層小胞(lipidic small uni
lamellar vesicle; SUV)の存在下では有意なα−ヘリッ
クス構造をとり(22個以上のアミノ酸残基を含有する未ブロックのペプチドと
18個以下のアミノ酸残基を含有するブロックされたペプチドの場合には60%
以上のヘリックス構造であり、18個以下のアミノ酸を含有する未ブロックのペ
プチドの場合には40%以上のヘリックス構造である)、LCAT活性化を殆ど
示さないか、または全く示さないペプチドは、α−ヘリックス構造を殆どとらな
い。しかしながら、脂質の存在下で有意なヘリックス構造を示すペプチドであっ
ても、LCATに有意な影響を与えない場合もある。 同様に、有意なLCAT活性化を示すコアペプチドは典型的には脂質に結合す
るが、脂質結合を示すペプチドであってもLCAT活性化に有意な影響を与えな
い場合もある。 そのため、当業者であれば、脂質の存在下でα−ヘリックスを形成し、脂質に
結合する本明細書に記載のコアペプチドの能力が活性にとって重要である一方、
多くの場合においてこれらの特性で十分とは言えないことも理解できるであろう
。従って、好適な実施形態では、本発明のコアペプチドを一連のスクリーニング
にかけ、有意な薬理活性を示すコアペプチドについて選別を行う。 第一の段階では、後述の第7節に記載するCDアッセイを用いて、脂質の存在
下でα−ヘリックスを形成する能力についてコアペプチドをスクリーニングする
。次いで、脂質の存在下(約5μMの濃度、約30の脂質:ペプチドモル比)で
、少なくとも40%がヘリックスであるペプチド(18個以下のアミノ酸を含有
する未ブロックのペプチド)または少なくとも60%がヘリックスであるペプチ
ド(18個以下のアミノ酸を含有するブロックされたペプチドおよび22個以上
のアミノ酸を含有する未ブロックのペプチド)を、後述の第7節に記載する蛍光
アッセイを用いて、脂質に結合する能力についてスクリーニングする。当然のこ
とながら、蛍光Trp(W)またはNal残基を含むコアペプチドに限って、蛍
光によって脂質結合をスクリーニングする。しかしながら、蛍光残基を含まない
ペプチドの場合でも、脂質の存在下でらせん度が増加すれば脂質へ結合すること
は明らかである。 次いで、SUVの存在下(0.5〜10μMのペプチド、1〜50の範囲の脂
質:ペプチドモル比)で脂質結合を示すコアペプチドを薬理活性についてスクリ
ーニングする。当然のことながら、スクリーニング対象の薬理活性は、ApoA
−Iアゴニストの所望の用途に依存するものである。好適な実施形態では、本明
細書に記載の方法においてLCATを活性化するペプチドが特に有用であるため
、LCATを活性化する能力についてコアペプチドをスクリーニングする。天然
のヒトApoA−Iと比べて少なくとも約38%のLCAT活性化を示すコアペ
プチド(後述の第8節に記載するLCAT活性化アッセイを用いて判定)が好適
であり、50%、60%、70%、80%または90%以上のLCAT活性化を
示すコアペプチドが特に好適である。 5.1.2 好ましい実施様態 本発明のApoA−Iアゴニストは、好ましい実施様態の方法によってさらに
定義することができる。 1つの好ましい実施様態では、ApoA−Iアゴニストは、構造(I)、また
はそのN末端アシル化および/またはC末端アミド化もしくはエステル化型によ
る、22個のアミノ酸残基ペプチドである。 他の好ましい実施様態では、ApoA−Iアゴニストは、構造(I)、または
そのN末端アシル化および/またはC末端アミド化もしくはエステル化型による
、18個のアミノ酸残基ペプチドであって、ここで: XはAla(A)、Val(V)またはLeu(L)であり; XはAsp(D)またはGlu(E)であり; XはArg(R)、Lys(K)またはOrnであり; XはAsp(D)またはGlu(E)であり; X11はGlu(E)またはAsn(N)であり; X12はGlu(E)であり; X14はArg(R)、Lys(K)、OrnまたはLeu(L)であり; X16はArg(R)、Lys(K)またはOrnであり;および/または X18はArg(R)、Lys(K)またはOrnであり、 そしてX、X、X、X、X、X10、X13、X15およびX17
先に構造(I)で定義されたとおりである。 他の好ましい実施様態では、ApoA−Iアゴニストは、構造(I)、または
そのN末端アシル化型および/もしくはC末端アミド化型もしくはエステル化型
による、18個のアミノ酸残基ペプチドであって、ここで、X11がAsn(N
)である場合にばX14はLeu(L)であり、X11がAsn(N)以外のも
のである場合にはX14はLeu(L)以外である。本発明のこの態様に従う特
に好ましい実施態様は、これらのペプチド、又はそのN末端アシル化型及び/若
しくはC末端アミド化型若しくはエステル化型であって、ここで、構造(I)中
の様々なXは先の段落において定義されたとおりである。本発明のこの態様に
従う特に好ましい例示的な実施態様は、ペプチド209(PVLDLFRELL
NELLQKLK,配列番号209)、ならびにそのN末端アシル化型及び/若
しくはC末端アミド化型若しくはエステル化型である。 さらに他の好ましい実施様態では、ApoA−Iアゴニストは、構造(I)に
従うペプチドの改変型もしくは変異型、またはそのN末端アシル化型および/も
しくはC末端アミド化型もしくはエステル化型であって、ここで: XはAsp(D)でなく; XはGly(G)でなく; X10はGly(G)でなく; X12はLeu(L)でなく;および X13はGly(G)でない。 さらに他の好ましい実施様態では、本発明のApoA−Iアゴニストは、以下
に挙げるペプチドの群: (N末端および/またはC末端保護化型又は非保護化型のいずれか)から選択さ
れる。 さらに他の好ましい実施様態では、ApoA−Iアゴニストは、以下に挙げる
ペプチドの群: (N末端および/またはC末端保護化型又は非保護化型のいずれか)から選択さ
れる。 さらに他の好ましい実施様態では、該ApoA−Iアゴニストは構造II、I
IIおよび/またはIVによる多量体型であり、ここで各HHは、構造(I)、
またはそのN末端アシル化および/もしくはC末端アミド化もしくはエステル化
型によるペプチド、または本明細書に記載の構造(I)による任意の好ましいペ
プチドである。 さらに他の好ましい実施様態では、ApoA−Iアゴニストを構成するコアペ
プチドは、以下のペプチド: のいずれでもない。 最後の好ましい実施様態では、ApoA−Iアゴニストは、元来のヒトApo
A−Iと比較して38%より低いLCAT活性化活性しか発現しない表X(第8
.3節、後掲)に掲げたペプチドのいずれでもない。5.2 ApoA−Iペプチドアゴニストの合成および精製 事実上あらゆる公知のペプチド調製技法を用いて、本発明のコアペプチドを調
製することができる。例えば、従来の段階的溶液(step−wise sol
ution)または固相ペプチド合成を用いて、または遺伝子組換え技法により
、前記ペプチドを合成することができる。5.2.1 化学合成 従来の段階的溶液または固相合成を用いて、コアペプチドを調製することがで
きる(例えば、Chemical Approaches to the Sy
nthesis of Peptides and Proteins,Wil
liams et al.,Eds.,1997,CRC Press,Boc
a Raton Florida,および当該文献中に引用されている文献;S
olid Phase Peptide Synthesis: A Prac
tical Approach,Atheron & Sheppard,Ed
s.,1989, IRL Press,Oxford,England、およ
び当該文献中に引用されている文献を参照のこと)。 あるいは、本発明のペプチドは、例えば、Liu et al.,1996,
Tetarhedron Lett.37(7):933−936; Baca
,et al.,1995,J.Am.Chem.Soc.117:1881−
1887; Tam,et al.,1995,Int.J.Peptide
Prot ein Res.45: 209−216; Schnolzer
and Kent,1992,Science 256: 221−225;
Liu and Tam,1994,J.Am.Chem.Soc.116(1
0): 4149−4153;Liu and Tam,1994,Proc.
Natl.Acad.Sci.USA 91: 6584−6588;Yama
shiro and Li,1988,Int.J.Peptide Prot
ein Res.31: 322−334に記載されたセグメント濃縮により、
調製することができる。これは、特にグリシン含有ペプチドの場合に当てはまる
。本発明のペプチドを合成するのに有用な他の方法は、Nakagawa et
al.,1985,J.Am.Chem.Soc.107: 7087−70
92に記載されている。 N−および/またはC−末端ブロッキング基を含有するApoA−Iアゴニス
トは、有機化学の標準的な技法を用いて調製することができる。例えば、ペプチ
ドのN末端をアシル化する方法、またはペプチドのC末端をアミド化もしくはエ
ステル化する方法は、当分野において周知である。N末端および/またはC末端
で他の修飾を行う方法は、当業者であれば容易に思いつくであろう。例えば、末
端ブロッキング基を付着するのに必要であれば、任意の側鎖官能基を保護する方
法がある。 薬学的に許容可能な塩(対イオン)は、イオン交換クロマトグラフィーまたは
当分野で周知である他の方法により、都合よく作成することができる。 タンデム多量体形態の本発明の化合物は、合成中の適切な段階でペプチド鎖に
リンカーを加えることにより、都合よく作成することができる。あるいは、ヘリ
ックスセグメントを合成し、各セグメントをリンカーと反応させることができる
。実際的な合成方法は、リンカーの組成に依存する。適切な保護化方法および化
学は周知であり、当業者にとってみれば明らかであろう。 分岐網状構造体の本発明の化合物を、3量体樹脂および4量体樹脂、ならびに
Tam,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:
5409−5413およびDemoor et al.,1996,Eur.J
.Biochem.239: 74−84に記載された化学法を用いて都合よく
合成することができる。高次または低次の分岐網状構造体を合成する方法および
合成樹脂の改良(または異なるコアペプチドヘリックスセグメントの組合せを含
む)は、ペプチド化学および/または有機化学の分野における当業者の能力の範
囲内である。 ジスルフィド結合の形成が望ましい場合、該形成は、穏やかな酸化剤の存在化
において一般に行われる。化学酸化剤を使用してもよいし、または該化合物を単
に大気中の酸素に暴露してこれらの結合を行わせてもよい。当分野ではさまざま
な方法が公知であり、例えばTam et al.,1979,Synthes
is 955−957; Stewart et al.,1984,Soli
d Phase Peptide Synthesis,2d Ed.,Pie
rce Chemical Company Rockford,IL; Ah
med et al.,1975,J.Biol Chem.250: 847
7−8482;およびPennington et al.,1991 Pep
tides 1990 164−166,Giralt and Andreu
,Eds.,ESCOM Leiden,The Netherlandsに記
載された方法が挙げられる。更に他の方法は、Kamber et al.,1
980,Helv.Chim.Acta 63: 899−915に記載されて
いる。固相支持体上で行う方法は、Albericio,1985,Int.J
.Peptide Protein Res.26−92−27に記載されてい
る。これらの方法のうち任意のものを用いて、本発明のペプチドにジスルフィド
結合を形成することができる。5.2.2. 組換え合成 また、前記ペプチドが遺伝子によりコードされたアミノ酸から全て構成されて
いる場合、または前記ペプチドの一部がそのように構成されている場合、通常の
遺伝子組換え工学技法を用いて該ペプチドまたは当該部分を合成することもでき
る。 組換え産生法では、該ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を、適切な
発現ビヒクル(即ち挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要なエレメント
、または、RNAウイルスベクターの場合は、複製および翻訳に必要なエレメン
トを含むベクター)の中に挿入する。つぎにこの発現ビヒクルを、該ペプチドを
発現する適切な標的細胞にトランスフェクトする。つぎに、使用する発現系によ
って、発現したペプチドを、当分野で確立された方法により単離する。幾つかの
組換えタンパク質およびペプチド産生方法が、当技術において周知である(例え
ば、Sambrook et al.,1989,Molecular Clo
ning A Laboratory Manual,Cold Spring
Harbor Laboratory,N.Y.; およびAusubel
et al.,1989,Current Protocols in Mol
ecular Biology,Greene Publishing Ass
ociates and Wiley Interscience,N.Y.を
参照のこと。これらの各々は、本明細書中に参考としてその全体が組み込まれる
)。 産生効率を上げるために、該ポリヌクレオチドを、酵素切断部位により分割さ
れるペプチドからなる複数ユニットをコードするように設計することができる。
または、ホモポリマー(反復ペプチドユニット)またはヘテロポリマー(異なる
ペプチドが共につながっている)を、このように遺伝子操作することができる。
得られたポリペプチドを(例えば適当な酵素を用いた処理により)切断し、ペプ
チドユニットを回収することができる。これにより、1つのプロモーターにより
駆動されるペプチドの収量を増やすことができる。好適な実施態様において、ポ
リシストロン性ポリヌクレオチドを、各コード領域がcap依存性翻訳調節配列
(例えば内部リボソーム入り込み部位(IRES))に機能しうる形で結合され
ている複数のペプチドをコードする1つのmRNA(すなわちホモポリマーまた
はヘテロポリマー)が転写されるように設計することができる。適当なウイルス
発現系で使用する場合、mRNAによりコードされる各ペプチドの翻訳は、転写
産物の内側に向けて、例えばIRESにより指令される。従って、ポリシストロ
ン性構築物は、単一の大きなポリシストロン性mRNAの転写を指令し、次いで
このポリシストロン性mRNAは複数の個々のペプチドの翻訳を指令する。この
方法は、ポリタンパク質の産生および酵素処理の必要がなく、1つのプロモータ
ーにより駆動されるペプチドの産生量を有意に増大させる。 種々の宿主発現ベクター系を使用して、本明細書中に記載されたペプチドを発
現させることができる。これらには、適切なコード配列を含む組換えバクテリオ
ファージDNAまたはプラスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌など
の微生物;適切なコード配列を含む組換え酵母または菌類発現ベクターで形質転
換された酵母または糸状菌類;適切なコード配列を含む組換えウイルス発現ベク
ター(例えばバキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;適切なコード配列を
含む組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルスもしく
はタバコモザイクウイルス)または組換えプラスミド発現ベクター(例えばTi
プラスミド)で感染させた植物細胞系;または動物細胞系が含まれるが、これら
に限定されない。 発現系の発現エレメントの強度および特異性は異なる。使用する宿主/ベクタ
ー系によって、任意の数の好適な転写および翻訳エレメント(構成的プロモータ
ーおよび誘導プロモーターを含む)を、発現ベクターに使用することができる。
例えば、細菌系においてクローニングを行う場合は、バクテリオファージλ、p
lac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター)の
pLなどの誘導プロモーターなどを使用することができる。昆虫細胞系において
クローニングを行う場合は、バキュロウイルスポリヘドロンプロモーターなどの
プロモーターを使用することができる。植物細胞系においてクローニングを行う
場合は、植物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば熱ショックプロモーター
;RUBISCOの小サブユニットのプロモーター;クロロフィルa/b結合タ
ンパク質のプロモーター)または植物ウイルス(例えばCaMVの35S RN
Aプロモーター;TMVのコートタンパク質プロモーター)由来のプロモーター
を使用することができる。哺乳動物細胞系においてクローニングを行う場合、哺
乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えばメタロチオネインプロモー
ター)または哺乳動物ウイルス(例えばアデノウイルス後期プロモーター;ワク
シニアウイルス7.5Kプロモーター)を使用することができる。発現産物の複
数のコピーを含む細胞系を作製する場合、SV40−、BPV−およびEBV−
をベースとするベクターを、適当な選択マーカーと共に使用することができる。 植物発現ベクターを使用する場合、本発明のペプチドをコードする配列の発現
は、任意の数のプロモーターにより駆動することができる。例えば、CaMVの
35S RNAおよび19S RNAプロモーター(Brisson et a
l.,1987,Nature 310: 511−514)またはTMVのコ
ートタンパク質プロモーター(Takamatsu et al.,1987,
EMBO J.6: 307−311)などのウイルスプロモーターを使用する
ことができる。あるいは、RUBISCOの小サブユニット(Coruzzi
et al.,1984,EMBO J.3: 1671−1680; Bro
glie et al.,1984,Science 224: 838−84
3)または熱ショックプロモーター(例えば、大豆hsp17.5−Eまたはh
sp17.3−B(Gurley et al.,1986,Mol Cell
.Biol.6: 559−565))などの植物プロモーターを使用すること
もできる。これらの構築物を、Tiプラスミド、Riプラスミド、植物ウイルス
ベクター、直接的なDNA形質転換、マイクロインジェクションおよびエレクト
ロポレーションなどを用いて植物細胞内に導入することができる。これらの技法
の概要については、例えば、Weissbach & Weissbach,1
988,Methods for Plant Molecular Biol
ogy, Academic Press, NY, Section VII
I,pp.421−463; およびGrierson & Corey,19
88, Plant Molecular Biology,2d Ed.,B
lackie,London, Ch.7−9を参照されたい。 本発明のペプチドを産生させるのに使用することができる1つの昆虫発現系に
おいて、外来遺伝子を発現させるベクターとして、Autographa ca
lifornica 核多角体病ウイルス群(AcNPV)が使用される。該ウ
イルスはSpodoptera frugiperda細胞中で増殖する。コー
ド配列を、該ウイルスの必須でない領域(例えば多角体遺伝子)にクローニング
し、AcNPVプロモーター(例えば該多角体プロモーター)の制御下に置くこ
とができる。コード配列を首尾良く挿入することにより、多角体遺伝子が不活性
化され、非閉塞(non−occluded)組換えウイルス(即ち多角体遺伝
子によりコードされるタンパク質コートを持たないウイルス)が産生される。つ
ぎに、これらの組換えウイルスを使用してSpodoptera frugip
erda細胞を感染させ、この感染細胞中で該挿入遺伝子を発現させる(例えば
Smith et al.,1983,J.Virol.46: 584; S
mithの米国特許第4,215,051号を参照のこと)。この発現系のさら
なる例は、Current Protocols in Molecular
Biology,Vol.2,Ausubel et al.,eds.,Gr
eene Publish.Assoc.& Wiley Interscie
nceに記載されている。 哺乳動物宿主細胞において、いくつかのウイルスベースの発現系を使用するこ
とができる。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、コード配列を
アデノウイルス転写/翻訳調節複合体(例えば後期プロモーターおよび3部に分
かれたリーダー配列)に連結させることができる。つぎに、このキメラ遺伝子を
in vitroまたはin vivo組換えによりアデノウイルスゲノム中に
挿入することができる。該ウイルスゲノムの非必須領域(例えばE1またはE3
領域)への挿入により、感染宿主内で生存可能で且つペプチドを発現することが
できる組換えウイルスが得られる(例えばLogan & Shenk,198
4,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)81: 3655−3
659)。あるいは、ワクシニア7.5Kプロモーターを使用することができる
(例えばMackett et al.,1982,Proc.Natl.Ac
ad.Sci.(USA) 79: 7415−7419; Mackett
et al.,1984,J.Virol.48: 857−864; Pan
icali et al.,1982,Proc.Natl.Acad.Sci
.79: 4927−4931を参照のこと)。 本発明のペプチドを産生させるための他の発現系は、当業者にとっては自明で
あろう。5.2.3 ペプチドの精製 本発明のペプチドは、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー
、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、アフィニティー・クロマトグ
ラフィー等などの当業界で公知の技法により、精製することができる。特定のペ
プチドを精製するために使用する実際の条件は、合成方法、および正味電荷、疎
水性、親水性などの要因に一部依存し、当業者にとっては自明であろう。多量体
として分岐したペプチドを、例えばイオン交換クロマトグラフィーまたはサイズ
排除クロマトグラフィーにより精製することができる。 アフィニティークロマトグラフィー精製のために、該ペプチドに特異的に結合
する任意の抗体を使用することができる。抗体の産生のために、種々の宿主動物
(ウサギ、マウス、ラットなどを含むがこれらに限定されない)を、ペプチドを
注射して免疫することができる。側鎖官能基または側鎖官能基に結合したリンカ
ーにより、該ペプチドを好適な担体(例えばBSA)に結合させることができる
。宿主の種に応じて、種々のアジュバントを使用して、免疫応答を増加させるこ
とができる。アジュバントとしては、フロイントの(完全および不完全)アジュ
バント、鉱物ゲル、例えば水酸化アルミニウム、界面活性物質、例えばリソレシ
チン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン
、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、および潜在的に有
用なヒトアジュバント(例えばbacilli Calmette−Gueri
n,BCG)およびCorynebacterium parvumが挙げられ
るが、これらに限定されない。 ペプチドに対するモノクローナル抗体は、連続培養細胞系による抗体分子を産
生する任意の技法を用いて調製することができる。このような技法としては、K
ohler and Milstein,1975,Nature 256:
495−497、またはKaprowskiの米国特許第4,376,110号
に最初に記載されたハイブリドーマ技法(これらは本明細書中に参考として組み
込まれる)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kosbor et al.,1
983,Immunology Today 4:72; Cote et a
l.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 80
: 2026−2030);およびEBV−ハイブリドーマ技法(Cole e
t al.,1985,Monoclonal Antibodies and
Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc., pp
.77−96(1985))が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、
適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子由来の遺伝子を、適切な生物学的活性
を有するヒト抗体分子由来の遺伝子とつなぎ合わせることにより「キメラ抗体」
を産生するために開発された技術(Morrison et al.,1984
,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81: 6851−6
855; Neuberger et al.,1984,Nature 31
2: 604−608; Takeda et al.,1985,Natur
e 314:452−454,Boss,米国特許第4,816,397号;C
abilly、米国特許第4,816,567号(これらは本明細書中に参考と
して組み込まれる))を使用することができる。あるいは、「ヒト化」抗体を調
製することができる(例えばQueenの米国特許第5,585,089号、本
明細書中に参考として組み込まれる)。あるいは、一本鎖抗体の産生について記
載された技術(米国特許第4,946,778号)を、ペプチド特異的一本鎖抗
体を産生するように適合させることもできる。 特異的結合部位の欠失を含む抗体断片は、公知の技法により作製することがで
きる。例えば、このような断片には、F(ab’)断片(抗体分子のペプシン
消化により産生することができる)およびFab断片(F(ab’)断片のジ
スルフィド結合を還元することにより産生することができる)が含まれるが、こ
れらに限定されない。あるいは、目的のペプチドに対して所望の特異性を有する
モノクローナルFab断片を速やか且つ簡単に同定できるようなFab発現ライ
ブラリー(Huse et al.,1989,Science 246: 1
275−1281)を構築することができる。 所望のペプチドに特異的な抗体または抗体断片を、例えばアガロースに結合さ
せることができ、この抗体−アガロース複合体を、イムノクロマトグラフィーに
使用して本発明のペプチドを精製する。Scopes,1984,Protei
n Purification: Principles and Pract
ice, Springer−Verlag New York, Inc.,
NY, Livingstone, 1974, Methods in E
nzymology:Immunoaffinity Chromatogra
phy of Proteins 34: 723−731を参照のこと。 5.3 医薬製剤および治療方法 本発明のApoA−Iアゴニストは、動物、特にヒトを含む哺乳動物における
任意の障害を治療するのに使用でき、このためには血清HDL濃度の上昇、LC
ATの活性化、およびコレステロール流出およびRCTの促進が有用である。こ
のような症状には、高脂血症、特に高コレステロール血症、およびアテローム硬
化症などの心臓血管疾患(アテローム硬化症の治療および予防を含む);再狭窄
(例えば、バルーン式血管形成などの医療処置の結果発達するアテローム硬化性
プラークの予防または治療);ならびに内毒血症(これはしばしば敗血症性ショ
ックを生じる)などのその他の障害、が挙げられるがこれらに限定されない。 上記症状を治療するために、ApoA−Iアゴニストは単独で、または他の薬
剤での治療と組み合わせて使用できる。このような治療には、関与する薬剤の同
時投与または連続投与が含まれるが、これらに限定されない。 例えば、高コレステロール血症またはアテローム硬化症の治療において、Ap
oA−Iアゴニスト製剤は、現在使用されている1つ以上のコレステロール低下
用治療薬(例えば、胆汁酸樹脂、ナイアシン、および/またはスタチン)と共に
投与できる。このような組み合わせた養生法は、特に有利な治療効果を生み出し
うる。なぜなら、それぞれの薬剤は、コレステロール合成および輸送において異
なる標的に対して作用し(すなわち、胆汁酸樹脂はコレステロール再利用(re
cycling)、カイロミクロンおよびLDL集団に影響し;ナイアシンはV
LDLおよびLDL集団に主に影響し;スタチンはコレステロール合成を阻害し
てLDL集団を減少させる(そしておそらくLDL受容体発現を高める))、そ
の一方でApoA−IアゴニストはRCTに影響を及ぼし、HDLを高め、LC
AT活性を高め、コレステロール流出を促進するからである。 別の実施態様において、ApoA−Iアゴニストは、繊維(fibrate)
と共に用いて、高脂血症、高コレステロール血症、および/または心臓血管疾患
(アテローム硬化症)を治療しうる。 また別の実施態様において、本発明のApoA−Iアゴニストは、内毒素によ
って引き起こされる敗血症性ショックを治療するために現在使用されている抗菌
剤および抗炎症剤と組み合わせて使用できる。 本発明のApoA−Iアゴニストは、ペプチドまたはペプチド−脂質複合体と
して製剤化でき、これは、ApoA−Iアゴニストを循環系に送達するための様
々な手法によって患者に投与できる。製剤および治療養生法の例を以下に記載す
る。 5.3.1 活性成分としてのApoA−Iアゴニストおよびペプチド/脂質複
合体 ApoA−Iアゴニストペプチドは、第5.2節およびその小節に記載されて
いる技法によって合成または製造できる。長期の貯蔵寿命を有する安定した調製
物は、ペプチドを凍結乾燥させる(これにより、再製剤用のバルクを調製するか
、または患者に投与する前に滅菌水もしくは適切な滅菌緩衝溶液で再度水和して
再構築できる個別のアリコートまたは用量単位を調製する)ことによって作られ
る。 特定の実施態様において、ApoA−Iアゴニストは、ペプチド−脂質複合体
の形で製剤化して投与することが好ましい。このアプローチは、複合体が(特に
複合体がHDL(特に前−β−1または前−β−2HDL集団)と同様の大きさ
および密度である場合に)循環系における半減期が増大されているため、いくつ
かの利点を有する。ペプチド−脂質複合体は、以下に記載するいくつかの方法の
いずれによっても便宜的に調製できる。長期の貯蔵寿命を有する安定した調製物
は、凍結乾燥によって作製することができ、以下に記載する同時凍結乾燥法が好
ましいアプローチである。凍結乾燥されたペプチド−脂質複合体は、医薬再製剤
用のバルクを調製するため、または患者に投与する前に滅菌水もしくは適切な滅
菌緩衝溶液で再度水化して再構築できる個別のアリコートもしくは用量単位を調
製するために使用できる。 ペプチド−脂質小胞体または複合体を調製するために、当業者に周知の様々な
方法が使用できる。この目的のために、リポソームまたはプロテオリポソームを
調製するための多くの既存の方法を使用できる。例えば、ペプチドを適切な脂質
と同時超音波処理(浴槽または針を用いる超音波処理器を使用)して、複合体を
形成できる。あるいはまた、ペプチドを前もって形成された脂質小胞体と組み合
わせて、ペプチド−脂質複合体の自発的形成を促してもよい。さらに別の代替的
方法として、界面活性剤透析(detergent dialysis)法によ
ってペプチド−脂質複合体を形成してもよい(例えば、ペプチド、脂質および界
面活性剤の混合物を透析して、界面活性剤を除去し、ペプチド−脂質複合体を再
構築または形成する)(例えば、Jonasら、1986,Methods i
n Enzymol.128:553−582を参照)。 上記アプローチは許容可能であるが、各方法はコスト、収率、再現性および安
全性の点でそれぞれ特有の製造上の問題を有している。本出願人は、HDLと同
様の特徴を有するペプチドまたはタンパク質−リン脂質複合体を調製するための
簡易な方法を開発した。この方法は、ApoA−Iペプチド−脂質複合体を調製
するために使用でき、以下の利点を有している。(1)ほとんどまたは全ての含
有成分が設計された複合体を形成するために使用されるので、他の方法に共通す
る出発材料の無駄がない。(2)貯蔵中に非常に安定な凍結乾燥化合物が形成さ
れる。得られた複合体は使用直前に再構築できる。(3)得られた複合体は通常
、形成後および使用前にそれ以上精製する必要がない。(4)毒性化合物(コー
ル酸塩などの界面活性剤)を回避できる。さらに、製造方法を容易にスケールア
ップすることができ、GMP製造に適している(すなわち、内毒素を含まない環
境)。 好適な方法において、ペプチドおよび脂質は、それぞれの成分を同時に可溶化
し、凍結乾燥によって完全に除去できる溶媒系において組み合わされる。この目
的のためには、両親媒性ペプチドおよび脂質の両方の同時可溶度を確実にするた
めに、溶媒対は注意深く選択しなければならない。1つの実施態様において、粒
子に取り込まれるタンパク質またはペプチドは、水性溶媒、有機溶媒または溶媒
混合物(溶媒1)中に溶解できる。(リン)脂質成分は、溶媒1と混和性である
、水性溶媒、有機溶媒または溶媒混合物(溶媒2)中に溶解して、2つの溶液を
混合する。あるいはまた、ペプチドおよび脂質を、同時溶媒系(すなわち、混和
性溶媒の混合物)に取り込むことができる。得られる複合体が適切な物理的およ
び化学的特性(つまり、必須ではないが通常HDLと同様の大きさ)を有するよ
うに、ペプチド(タンパク質)対脂質の適切な割合をまず実験的に決定する。得
られた混合物を冷凍し、凍結乾燥させる。場合によって、凍結乾燥し易くするた
めに、混合物に追加溶媒を添加しなければならない。この凍結乾燥物は、長期に
わたって貯蔵可能であり、安定したままである。 以下に記載する実施例において、ペプチド210(配列番号210)およびリ
ン脂質を、メタノールに別々に溶解し、組み合わせ、凍結乾燥の前にキシレンと
混合した。ペプチドおよび脂質の両方を、2つの溶媒の混合物に添加してもよい
。あるいはまた、メタノールに溶解したペプチドの溶液は、キシレンに溶解した
脂質溶液と混合できる。ペプチドの塩析を避けるために溶媒系から塩を取り除く
ことに注意しなければならない。結果得られた、メタノール/キシレン中で同時
可溶化されたペプチドおよび脂質を含む溶液を凍結乾燥して粉末を形成する。 凍結乾燥物を、再構築して、ペプチド−脂質複合体の溶液または懸濁液を得る
ことができる。これに関して、凍結乾燥粉末は、水溶液で適切な容量まで(通常
静脈内注射に便利な5mgペプチド/ml)再度水化される。 好ましい実施態様において、凍結乾燥した粉末は、リン酸緩衝食塩水または生
理食塩溶液で再度水化される。混合物は、攪拌またはボルテックスして再度水化
し易くする必要があるかもしれない。多くの場合、再構築ステップは、複合体の
脂質成分の相遷移温度と同じかまたはそれより高い温度において行わなければな
らない。数分の内に、再構築脂質−タンパク質複合体がはっきりと調製される。 結果的に得られた、再構築された調製物のアリコートを特徴決定して、調製物
中の複合体が所望のサイズ分布(例えば、HDLのサイズ分布)を有しているか
確認した。これに関してはゲル濾過クロマトグラフィーが利用できる。以下に記
載する実施例では、Pharmacia Superose 6 FPLCゲル
濾過クロマトグラフィー系を使用した。使用した緩衝液は、50mMリン酸緩衝
液中に150mM NaClを含有した(pH7.4)。典型的なサンプル容量
は、5mgペプチド/mlを含有する20〜200mlの複合体である。カラム
流速は0.5ml/分である。既知の分子量およびストークス直径(Stoke
s’diameter)を有する一連のタンパク質、ならびにヒトHDLを標準
として用いてカラムを検定した。タンパク質およびリポタンパク質複合体を、2
54または280nmの波長の光の吸収または拡散によってモニターした。 本発明のApoA−Iアゴニストは、様々な脂質(飽和、不飽和、天然および
合成の脂質および/またはリン脂質を含む)と結合できる。適した脂質としては
、小アルキル鎖(small alkyl chain)リン脂質、卵ホスファ
チジルコリン、ダイズホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコ
リン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコ
リン1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、1−パルミト
イル−2−ミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ステア
ロイルホスファチジルコリン、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチ
ジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン・ジオレオホスファチジルエタ
ノールアミン、ジラウロイルホルファチジルグリセロール・ホスファチジルコリ
ン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジル
イノシトール、スフィンゴミエリン、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロ
ール、ジホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロ
ール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチ
ジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイル
ホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファ
チジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジ
ミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスフアチジルセリン、脳
ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエ
リン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、ガラクトセレブ
ロシド、ガングリオシド、セレブロシド、ジラウリルホスファチジルコリン、(
1,3)−D−マンノシル−(1,3)ジグリセリド、アミノフェニルグリコシ
ド、3−コレステリル−6’−(グリコシルチオ)ヘクシルエーテル糖脂質、お
よびコレステロール、ならびにこれらの誘導体が挙げられるがこれらに限定され
ない。 本出願人は、本発明のApoA−Iアゴニストがスフィンゴミエリンと結合し
た場合、前−β−様粒子の全HDLが除去されることを発見した。従って、本発
明の好ましい実施態様において、ApoA−Iアゴニストは、スフィゴミエリン
との複合体として投与される。 5.3.2 処置方法 本発明のApoA−Iペプチドアゴニストまたはペプチド脂質複合体は、循環
において生物学的利用能が確実に得られる任意の適切な経路で投与されうる。こ
れは、非経口投与経路(静脈内(IV)、筋内(IM)、皮内、皮下(SC)お
よび腹腔内(IP)注射が挙げられる)によって最も確実に得られる。しかし、
その他の投与経路を用いてもよい。例えば、胃腸管を介した吸収が、例えば口腔
粘膜、胃および/または小腸の苛酷な環境において活性成分の分解が無いかまた
は分解を最小にする適切な製剤(例えば、腸溶性被覆)が使用されるのであれば
、経口投与経路(摂取、頬および舌下経路が挙げられるがこれらに限定されない
)によって達成できる。あるいはまた、膣式投与または直腸式投与などの粘膜組
織を介した投与を利用して、胃腸管における分解を回避するか最小にできる。さ
らに別の代替例として、本発明の製剤は、経皮的に(transcutaneo
usly)(例えば、経皮的に(transdermally))、または吸入
によって投与できる。受容者の症状、年齢、およびコンプライアンスに応じて好
ましい経路が異なることが理解されよう。 ApoA−Iアゴニストまたはペプチド脂質複合体の実際の使用用量は、投与
経路によって異なり、100mg/l〜2g/lの循環血漿濃度が得られるよう
に調整されなければならない。本明細書中に記載した動物モデル系で得られたデ
ータによれば、本発明のApoA−IアゴニストはHDL成分と会合し、ヒトに
おける推定半減期が約5日であった。従って、1つの実施態様において、Apo
A−Iアゴニストは、週に1度0.5mg/kg〜100mg/kgの用量の注
射で投与できる。別の実施態様において、所望の血清値を、約0.5mg/kg
/時間〜100mg/kg/時間で連続注入または間欠注入することによって維
持しうる。 種々のApoA−Iアゴニストの毒性および治療効力は、細胞培養物または実
験動物において、LD50(集団の50%に対して致命的となる用量)およびE
50(集団の50%に対して治療上有効な用量)を標準的な薬学方法によって
決定できる。毒性と治療効果との用量比は治療指標であり、LD50/ED50
比として表すことができる。高い治療指標を示すApoA−Iペプチドアゴニス
トが好ましい。 5.3.3 医薬製剤 本発明の医薬製剤は、in vivoでの投与および送達に適した製薬上許容
される担体中にApoA−Iペプチドアゴニストまたはペプチド−脂質複合体を
活性成分として含む。ペプチドは酸性および/もしくは塩基性の末端および/も
しくは側鎖を含みうるので、ペプチドは遊離酸もしくは遊離塩基のいずれかの形
態、または製薬上許容される塩の形態で含まれうる。 注射可能な調製物としては、水性または油性ビヒクルに活性成分が含まれる滅
菌懸濁液、溶液またはエマルジョンが挙げられる。組成物は、懸濁剤、安定剤お
よび/または分散剤などの調合剤も含んでもよい。注射用の製剤は、例えば、ア
ンプルまたは多用量容器に入れられた単位用量形態で提供され、さらに添加物を
含んでいてもよい。 あるいはまた、注射可能な製剤は、粉末形態で提供されて、使用前に適切なビ
ヒクル(発熱物質を含まない滅菌水、緩衝液、デキストロース溶液などが挙げら
れるがこれらに限定されない)で再構築してもよい。これに関連して、ApoA
−Iアゴニストは凍結乾燥されてもよく、または同時凍結乾燥したペプチド−脂
質複合体を調製してもよい。貯蔵調製物は、単位用量形態で供給されてよく、i
n vivoでの使用前に再構築できる。 持続した送達のために、活性成分を貯蓄調製物(depot prepara
tion)として製剤化して、移植、例えば、皮下、皮内、または筋内注射によ
る投与のために使用できる。従って、例えば、活性成分は、適切な高分子または
疎水性材料(例えば、許容される油中でエマルジョンとして)またはイオン交換
樹脂と共に製剤化してもよいし、またはわずかに(sparingly)可溶な
誘導体(例えば、ApoA−Iアゴニストのわずかに可溶な塩形態)として製剤
化してもよい。 あるいはまた、経皮吸収のために活性成分をゆっくりと放出する接着性ディス
クまたはパッチとして製造される経皮送達系も使用できる。これに関連して、浸
透増強剤を使用して、活性成分の経皮浸透を容易にしてもよい。本発明のApo
A−Iアゴニストまたはペプチド−脂質複合体をニトログリセリンパッチに取り
込ませることによって、虚血性心臓疾患および高コレステロール血症を患う患者
に対して使用する際に特定の利点が得られる。 経口投与のために、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、ゲル化前トウモ
ロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、もしくはヒドロキシプロピル・メチル
セルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水
素カルシウム)、界面活性剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、も
しくはシリカ)、崩壊剤(disintegrant)(例えば、ジャガイモデ
ンプンもしくはナトリウムデンプングリコレート)、または湿潤剤(例えば、ラ
ウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤と共に、従来の手段によ
って調製された錠剤またはカプセルの形態にされてもよい。錠剤は、当該分野で
周知の方法によって被覆されてもよい。経口投与のための液体調製物は、例えば
、溶液、シロップまたは懸濁液の形態にされてもよいし、または乾燥製品として
提供されて使用前に水もしくはその他の適切なビヒクルで構築されてもよい。そ
のような液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘
導体または水素添加食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、
非水性ビヒクル(例えば、扁桃油、油性エステル、エチルアルコール、もしくは
分留植物油)、および防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル−p−ヒドロキシ
ベンゾエートまたはソルビン酸)などの製薬上許容される添加物と共に従来の手
法によって調製され得る。調製物は、緩衝塩、香味料、着色剤および甘味料を適
量含んでいてもよい。経口投与用の調製物は、活性化合物の制御された放出を得
るように適切に製剤化されることができる。 頬投与のために、組成物は、従来の手法によって製剤化された錠剤またはロゼ
ンジの形態にされうる。直腸および膣の投与経路のために、活性成分は、溶液、
(維持性浣腸のための)坐剤、または軟膏として製剤化されてもよい。 吸入による投与のために、適切な推進薬(例えば、ジクロロジフルオロメタン
、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もし
くはその他の適切なガス)を使用して、圧縮パックまたは噴霧器から供給される
エアロゾールスプレーの形態で活性成分を適宜送達してもよい。圧縮エアロゾー
ルの場合、弁を設けて投与用量単位を決定して、一定量を送達できる。例えば吸
入器または注入器において使用するゼラチンなどのカプセルおよびカートリッジ
は、化合物および適切な粉末基剤(ラクトースまたはデンプンなど)の粉末混合
物を含んで製剤化され得る。 組成物は、所望であれば、活性成分を含む単位用量形態を1つ以上含むパック
またはディスペンサー器で供給されてもよい。パックは、例えば、発砲パックな
どの金属またはプラスチック箔からなっていてもよい。パックまたはディスペン
サー器には、投与指示書を付けてもよい。 5.4 その他の使用 本発明のApoA−Iアゴニストは、in vitroアッセイにおいて血清
HDLを測定するために使用できる(例えば、診断目的のため)。ApoA−I
アゴニストは、血清のHDL成分と会合するため、アゴニストをHDL集団につ
いての「マーカー」として使用できる。さらに、アゴニストは、RCTにおいて
有効なHDLの亜集団についてのマーカーとして使用できる。これに関連して、
アゴニストは患者の血清サンプルに添加または混合できる。適切な時間のインキ
ュベーションの後、取り込まれたApoA−Iアゴニストを検出することによっ
てHDL成分をアッセイできる。これは、標識されたアゴニスト(例えば、放射
標識、蛍光標識、酵素標識、染料など)を使用して、またはアゴニストに特異的
な抗体(もしくは抗体断片)を使用したイムノアッセイにより達成できる。 あるいはまた、標識されたアゴニストを、画像処置(例えば、CATスキャン
、MRIスキャン)に使用して、循環系を可視化したり、RCTをモニターした
り、脂肪線条(fatty streak)、アテローム硬化病巣など(コレス
テロール流出においてHDL活性であると考えられる場所)でのHDLの蓄積を
可視化できる。 6.実施例:ApoA−Iのペプチドアゴニストの合成 表X(以下の第8.3節)に記載のペプチドを、以下の小節に記載にように合
成し、特徴決定した。ペプチドは、以下の第7節および第8節に記載のように構
造的分析および機能的分析も行った。 6.1 コアペプチドの合成 Merrifieldの技法(Merrifield,1969,J.Am.
Chem.Soc.85:2149−2154)に従って、0.25 mmol
p−アルコキシベンジルアルコール樹脂(HMP樹脂)(Wang,1973
,J.Am.Chem.Soc.95:1328−1333)およびFmoc化
学を用いてペプチドを合成した。全ての合成を、Applied Biosys
tems ABIモデル430A自動ペプチド合成器(Perkin−Elme
r,Foster City,CA)で行った。それぞれの結合サイクルのため
の溶媒和および活性の時間は、以下の表Vに示す。 各結合ステップ間で、樹脂をNMPで洗浄した。1合成サイクルのプロトコー
ルを以下の表VIに示す。 Fmoc−β−(1−ナフチル)アラニンを除く全てのアミノ酸を、上記のよ
うに結合した。Fmoc−β−(1−ナフチル)アラニンは手動操作で結合した
。手動結合のために、1mmol Fmoc−β−(1−ナフチル)アラニンお
よび1mmol2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3
−テトラメチルロニウム・テトラフルオロボレート(TBTU)を5ml NM
Pに溶解し、ペプチド−樹脂と混合した。 その後、2mmolのN−エチルジイソプロピルアミンを添加し、混合物を2
時間振盪し、ペプチド−樹脂を10ml NMPで6回洗浄した。Kaiser
検査(Kaiser,1970,Anal.Biochem.34:59577
)を用いて結合効率をモニターし、必要に応じて結合を繰り返した。ナフチルア
ラニンの結合後、残りの合成は上記したように自動的に行った。 6.2 ペプチドアミドの合成 表X(下記の8.3節)に示されているように、Fmoc−Rinkアミドハ
ンドル4−(2’,4’−ジメチルフェニル)−Fmoc−フェノキシメチル(
Rink,1987,Tetrahedron Lett.28:3787−3
790)を含むRinkアミド樹脂と、上記の6.1節に記載した合成プロトコ
ルを用いてペプチドアミドを合成した。 6.3 N−末端アシル化ペプチドの合成 表X(下記の8.3節)に示されているように、上記の6.1節および6.2
節に記載されたようにして調製した樹脂結合ペプチドを適当なアシル化剤に曝す
ことによってN−末端アシル化型のペプチドを調製した。 N−末端アシル化ペプチドを得るために、15mlの無水酢酸溶液(NMP中
、10%v/v)をそれぞれ1gの樹脂結合ペプチドに加え、混合物を5分間振
とうし、樹脂をろ過によって回収した。回収した樹脂をNMP(15ml)で3
回、エタノール(15ml)で3回洗浄した。 6.4 切断および脱保護 合成後、上記の6.1節、6.2節および6.3節に記載したペプチドを樹脂
から切断し、92.5%トリフルオロ酢酸(TFA)/3.75%アニソール/
3.75%ドデカチオール(v/v/v)を含む切断溶液で脱保護した。切断を
生じさせるために、10mlの切断溶液を0.25mmolのペプチド樹脂に加
え、室温で1.5時間撹拌した。樹脂をろ過により除去し、切断/脱保護したペ
プチドをジエチルエーテルで沈殿させ、エーテルで洗浄して減圧乾燥した。 Trp(W)を含むペプチド、ならびにペプチドアミドについての切断カクテ
ルには、86.5%のTFA、4.5%のHO、4.5%の1,2−エタンジ
チオール、4.5%のアニソールおよび3%のフェノールが含まれていた。 6.5 精製 6.4節の切断した粗ペプチドを逆相HPLCで精製した。各ペプチドの純度
を、種々の分析技術(分析HPLC、キャピラリー電気泳動)によって確認した
。長さ70cm、内径75μmの溶融シリカキャピラリー(Thermo Se
paration Products)上でキャピラリー電気泳動を行った。2
種の異なる緩衝液系:緩衝液1(20mM Na、pH9.2)およ
び緩衝液2(10mM NaHPO、pH2.5)中で25℃、15kV、
運転時間35分にて分離を行った。250×21mmのNucleosil 7
C18またはNucleosil 7C4カラム(MachereyおよびNa
gel,ドイツ)上で、流量8ml/分にてHPLC分離を行った。TFAの0
.1%水溶液(溶媒A)とTFAの0.1%アセトニトリル溶液(溶媒B)の混
合物を用いて勾配溶離を行った。用いた勾配は各ペプチドの要求に合うように調
整した。 6.6 特性付け 6.5節に記載した精製ペプチドの質量およびアミノ酸分析を、それぞれ下記
に示したような質量分析法およびアミノ酸分析法によって確認した。配列決定に
はエドマン分解を用いた。 6.6.1 LC−MS 質量測定には標準的な市販の3段階4重極 (triple stage q
uadruple)質量分析計(モデルTSQ700;Finnigan MA
T、San Jose CA、USA)を用いた。質量分析計の大気圧イオン化
源への試料導入には圧搾空気補助型エレクトロスプレー(pneumatica
lly assisted electrospray)(ESI)インターフ
ェースを用いた。インターフェース噴霧器は4.5kVの陽電位で作動させた。
スチールキャピラリーの温度は200℃に保持し、マニホールドは70℃に保持
した。このイオン蒸着プロセスにより発生した陽イオンは質量分析計のアナライ
ザーに入った。マルチプライヤー(multiplier)を1000Vに調節
した。質量分析計のアナライザーコンパートメントは4E−6であった。収集は
すべて分解能1u未満で行った。 シリンジポンプ(モデル140B)、UV検出器(モデル785A)およびオ
ーブン/インジェクター(モデル112A)からなるABI(Applied
Biosystems)マイクロ口径システムを用いて精製ペプチドの直接注入
によりペプチドを分析した。溶媒系は、0.1%TFAをそれぞれ含む水(溶媒
A)およびアセトニトリル(溶媒B)からなっていた。勾配または無勾配条件の
いずれかでペプチドを注入し、Aquapore C18カラムから溶出した。
流量は典型的には300μl/分であった。各ペプチドの濃度は約0.03mg
/mlであり、その20μl(例えば30pmol)を注入した。 4重極1を4sにおいてm/z 500−1500からスキャンすることによ
りフルスキャンMSを得た。データをαDECステーションを用いて取得し、F
innigan MAT(BIOWORKS)により提供されたソフトウェアパ
ッケージを用いて処理した。 6.6.2 アミノ酸分析 ABI(Applied Biosystems)420アミノ酸アナライザ
ーにてアミノ酸分析を行った。このシステムは3つのモジュール:加水分解およ
び誘導体化装置、逆相HPLCならびにデータシステムからなる。ペプチド試料
を多孔質ガラススライド上に加え(3回を3組)、その後気相条件下で加水分解
した(155℃、90分)。HCL除去後、得られたアミノ酸をPITC(フェ
ニルイソチオシアネート)を用いてPTC−AA(フェニルイソカルバモイル−
アミノ酸)に転換した。HPC試料ループに移送した後、得られた混合物を勾配
モード(溶媒A:50mmol酢酸アンモニウム(NHAc)を水に溶かした
溶液、pH5.4、;溶媒B:32mmolの酢酸ナトリウム(NaOAc)を
アセトニトリル水溶液に溶かした溶液)を用いて温度制御の条件下でAquap
ore C18カラムにて分画した。HPLCデータはApplied Bio
systemsによって提供されたソフトウェアパッケージにより処理した。A
pplied Biosystemsによって供給されたペプチド標準に対して
定量化を行った。 6.7 分岐ネットワーク(branched network)の合成 テトラマーコアペプチジル樹脂およびトリマーコアペプチジル樹脂をDemo
orら,1996,Eur.J.Biochem.239:74−84に記載さ
れたようにして合成する。次いで、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂に結合
したままのテトラマーおよびトリマーコアマトリックスを以前に記載されたよう
にコアペプチドの自動合成用の開始ペプチジル樹脂として用いた。 種々のアミノ酸組成のヘリックスセグメントを含む分岐ネットワークは直交(
orthogonal)合成および当技術分野で周知の保護方法を用いて合成す
ることができる。 7.実施例:アポA−Iペプチドの構造および脂質結合分析 上記の第6節に記載したようにして合成した精製ペプチドの構造特性および脂
質結合特性を、円偏光二色性(CD)、蛍光分光法および核磁気共鳴(NMR)
によって測定した。 7.1円偏光二色性 本実施例は、緩衝液中で遊離状態の本発明のコアペプチドおよび脂質の存在下
での本発明のコアペプチドのらせん性の程度を測定するための好ましい方法を記
載する。 7.1.1 実験方法 遠UV円偏光二色性スペクトルを熱電式セルホルダーおよび試料チェンジャー
を備えたAVIV62DS分光計(AVIV Associates,Lake
wood,NJ,USA)を用いて190〜260nm間(0.5nmまたは0
.2nm刻み)で記録した。装置は(+)−10−ショウノウ酸で較正した。各
試料について、それぞれ10cm、5cm、1cmおよび0.1cmの経路長の
石英Suprasilセルを用いて10−7M〜10−4Mのペプチド濃度に対
して1〜3スキャンを集めた。バンド幅は1.5nmに固定し、スキャンスピー
ドは波長1ステップあたり1sに固定した。報告したデータは少なくとも2個ま
たは3個の別個の測定値の平均である。 バックグラウンドを引き算(substraction)した後、スペクトル
を残基あたりのモル楕円率(molar ellipticity)(θ)(度
cm−2dmol−1)に変換した。 ペプチド濃度をアミノ酸分析により測定
し、またペプチドが発色団(トリプトファン、ダンシル、ナフチルアラニン)を
含む場合、Perkin Elmer λ17UV/可視分光光度計による吸収
光度分析によっても測定した。 遊離の非結合ペプチド(5mMのリン酸緩衝液中5μM、pH7.4)、ペプ
チド−SUV複合体(20:1 EPC:Chol.、Ri=30およびRi=
50)、ペプチド−ミセル複合体(1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−sn−
グリセロ−3−ホスファチジルコリン、Ri=100)、ならびに2,2,2−
トリフルオロエタノール(TFE)の存在下での遊離の非結合ペプチド(5μM
のペプチド、90容量% TFE)についてのCDスペクトルを得た。 Nを吹き込みながら脂質をリン酸緩衝液に5分間かけて分散させ、その後、
浴超音波処理器で超音波処理する(1.5時間)ことによりSUVを得た。調製
物の均質性をFPLCでチェックした。 脂質(6mMの1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−sn−グリセロ−3−ホ
スファチジルコリン、Avanti Polar Lipids、 AL)をリ
ン酸緩衝液にNを吹き込みながら5分間かけて分散させ、撹拌することにより
ミセルを得た。 ペプチド−SUV複合体を得るために、SUVをペプチド(5mMのリン酸緩
衝液中5μM、pH7.4)にリン脂質−ペプチドモル比(Ri)30または5
0で加えた。 ペプチド−ミセル複合体を得るために、ミセルをペプチドにRi 100で加
えた。 スペクトルはすべて37℃で記録した。温度の関数としてのペプチド210(
配列番号210)の安定性(緩衝液中で遊離状態のもの、およびミセル状態のも
の)を一連の異なる温度でスペクトルを記録することにより測定した。 ペプチド210(配列番号210)のらせん性の程度も濃度の関数として測定
した。 7.1.2 らせん性測定 種々の条件におけるペプチドのらせん性の程度を、222nmにおける平均残
基楕円率(mean residue ellipticity)(Chenら
,1974,Biochemistry 13:3350−3359)から、あ
るいはデータベース(Provencher & Glockner,1981
,Biochemistry 20:33−37の16ヘリックス参照スペクト
ル;Venyaminovら,1993,Anal.Biochem.214:
17−24の変性タンパク質参照スペクトル)で入手可能な参照スペクトルに対
して得たCDスペクトルをCONTIN曲線当嵌めアルゴリズムバージョン2D
P、CD−1パック(1982年8月)(Provencher,1982,C
omput.Phys.Commun.27:213−227,229−242
)を用いて比較することにより測定した。許容できる適合を、CONTINアル
ゴリズムによって得られた統計学的分析法を用いて決定した。全方法の誤差は±
5%のらせん性であった。 7.1.3 結果 遊離の非結合ペプチド(遊離)、ペプチド−SUV複合体(SUV)、ペプチ
ド−ミセル複合体(mics)およびペプチド−TFE溶液(TFE)のらせん
の程度(%)を下記の8.3節の表Xに報告する。 ペプチド210(配列番号210)はミセル中で有意なαらせん構造(63%
ヘリシティ)を含む。さらに、αヘリックス構造は5〜45℃の温度範囲にわた
って完全に安定している(データは示さず)。 ペプチド210(配列番号210)のらせん性は、またTFEの存在下でも増
大する。このTFEは、水(ε=78.4)の誘電率を有意に低下させる(ε=
26.7)ことにより、5〜90%(v/v)の間の濃度におけるαヘリックス
およびペプチド間の水素結合を安定化する溶媒である。 下記の8.3節の表Xに関し、高度のLCAT活性化(≧38%)を示すペプ
チドは、一般的に脂質の存在下で有意なαヘリックス構造を有するが(22個以
上のアミノ酸を含む非ブロック化ペプチドまたは18個以下のアミノ酸を含むブ
ロック化ペプチドの場合にはらせん構造60%以上;18個以下のアミノ酸を含
む非ブロック化ペプチドの倍にはらせん構造40%以上)、ほとんどあるいは全
くLCAT活性化を示さないペプチドはほとんどαヘリックス構造を持たない。
しかしながら、いくつかの場合には、脂質の存在下で有意なαヘリックス構造を
含むペプチドは有意なLCAT活性化を示さない。したがって、本発明のコアペ
プチドが脂質の存在下でαヘリックス構造を採用する能力は、本発明のコアペプ
チドの重要な特徴であると考えられる。というのは、脂質の存在下でαヘリック
スを形成する能力は、LCAT活性化のための必要条件であると考えられるから
である。 7.2 蛍光分光法 上記の第6節で合成したペプチドの脂質結合特性を、トリプトファン(Trp
またはW)またはナフチルアラニン(Nal)が存在する場合、標識ペプチドに
よる蛍光測定により試験した。蛍光スペクトルは、150Wのキセノンランプ、
2個のモノクロメーター(励起および発光)、最大850nmまでの赤色に検出
感度を有する光電子増倍管R−928、および熱電式磁気撹拌セルホルダーを備
えたSpex(Jobin−Yvon)製のFluoromaxにて記録した。
石英Suprasilキュベットをマイクロモル濃度レンジの測定に用いた。可
変スリット(0.4〜5nm)の装置により、用いたペプチドの濃度にしたがっ
て付帯(incident)および発光強度の調節をすることができる。報告し
た値は一般的に2〜4スペクトルの平均である。ペプチド濃度はTrp(トリス
緩衝液中ε280nm=5,550M−1cm−1)またはNal(メタノール
中ε224nm=92,770M−1cm−1)の吸収バンドを用いてPhil
ips PU 8800での吸収光度分析により決定する。 ペプチドの蛍光スペクトルをトリスHCl緩衝液(20mM、pH=7.5)
中で脂質小胞の存在下および不存在下にて290nm〜450nmで記録した。
凍結乾燥したリン脂質を緩衝液中で再水和し、分散し、N流下でチップ超音波
処理した後、小さい単層小胞が形成された。用いた脂質は卵のPC/Chol.
(20:1)またはPOPC/Chol.(20:1)のいずれかであった。ス
ペクトルを2μMのペプチド濃度、37℃の温度にて記録した。Trpの場合に
は蛍光参照標準はN−アセチルトリプトファニルアミド(NATA)であった。 2μMのペプチド溶液に脂質小胞を徐々に加えることにより脂質結合試験を行
った(スリット:励起では5nm、発光では1.5nm)。蛍光強度測定につい
て希釈効果を考慮に入れた。脂質濃度を10〜600μMで変化させ、脂質とペ
プチドのモル比(Ri)を5〜300で変化させた。励起の波長をTrpとNa
lの両方について280nmにセットした。 7.2.1 蛍光スペクトル分析 分光蛍光計に接続したIBM−PCによりSpex製のDM300Fソフトウ
ェアを通してデータを直接記録し、処理した。スペクトルを溶媒寄与を引き算す
ることにより、そして波長に対する光電子増倍管応答の変化量を考慮したコンス
トラクタによって付与された係数の適用により補正した。 ペプチドの蛍光スペクトルを、その蛍光発光の最大値における波長およびトリ
プトファンで標識したペプチドの場合にはNATAと比較したその量子収量によ
り特性付けた。脂質への結合のプロセスを、蛍光発光の最大値(λmax)の波
長のシフト、ならびに脂質濃度に対する発光の相対蛍光強度の変化量を計算する
ことにより分析した。相対蛍光強度を下記の比:(I−I)λmax/Iλ
maxと定義する。IおよびIの両方はペプチドの初期遊離状態、すなわち脂
質を含まない状態に対応する(λmax)で決定される。Iは脂質とペプチドの
規定の比における強度であり、Iは脂質の不存在下で測定した同パラメーター
である。これらのばらつきが無いのは、脂質を有するペプチドの相互作用が無い
ことに関連している。 7.2.2 結果および考察 ペプチド199(配列番号199)(これは10位にW(Trp)残基を含む
ことを除いてペプチド210(配列番号210)のプライマリー配列と類似して
いる)の脂質結合特性を表VIIIに示す。 緩衝液中2μMの濃度で、ペプチド199(配列番号199)のトリプトファ
ンの最大蛍光発光(λmax)は、348nmである。これは、NATAと比較
すると比較的水性環境に曝されているトリプトファンに対応している(λmax
=350nm)。ペプチド199(配列番号199)は、トリプトファンの埋蔵
(burying)(トリプトファンの最大蛍光発光の波長は、348nmから
325nmへとシフト)および高蛍光強度エキサルテーション(表VII参照)
により示されているように、EPC/Chol(20:1)の小さな単ラメラ小
胞に大変効果的に結合している。トリプトファン残基の埋蔵は、脂質/ペプチド
モル比が100の時が最大である。 上記の7.1節に開示したような円偏光二色性によって測定した場合に脂質の
存在下で高度のらせん性(22個以上のアミノ酸の非ブロック化ペプチドまたは
18個以下のアミノ酸のブロック化ペプチドについては60%以上;18個以下
のアミノ酸の非ブロック化ペプチドについては40%以上)を示したその他のペ
プチドも良好な脂質結合性を示した。もちろん、円偏光二色性スクリーニングに
よって選択したペプチドすべての中で、その後蛍光分析を行うことができたもの
のみをその脂質結合特性について試験した。 7.3 核磁気共鳴(NMR) 本実施例は本発明のコアペプチドの構造を分析するためのNMR法を記載する
。 7.3.1 NMR試料調製 化学シフト内部基準として痕跡量の2,2−ジメチル−2−シリア−5−ペン
タンスルホネート(DSS)を含む90%HO/10%DOに5mgのペプ
チドを溶解することによって試料を調製した。試料のいくつかにはトリフルオロ
エタノール(TFE)が含まれていた(容量%で示す)。試料の総容量は500
μlであり、ペプチドの濃度は約5mMであった。 7.3.2 NMR分光法 B−VT2000温度制御ユニットを備えたBruker DRX500分光
計を用いて500MHzでH NMRスペクトルを得た。1次元および2次元
実験を標準パルスシーケンスを用いて記録した(二次元NMR分光法、W.R.
CroasmunおよびRMK Carlson編,1994,VCH Pub
lishers,NewYork,USA)。2秒間の低パワー予備飽和(lo
w power presaturation)により水抑制(water s
uppression)を得た。二次元実験を時間比例位相増加(time p
roportional phase incrementation)(TP
PI)を用いて相感受性(phasesensitive)モードで行い、いず
れの次元においてもスペクトル幅は6000Hzであった。典型的には、204
8データ点を有する400t増加に対して40スキャンを同時に加えた。デー
タをINDIGO2ワークステーション(Silicon Graphics)
上でFELIX95ソフトウェア(分子シミュレーション)を用いて処理した。
データをゼロにして2K×2Kデータマトリックスを得て、45°シフト平方サ
イン−ベル関数(45° shifted squared sine−bel
l function)によってアポダイゼーションした(apodized)
。 7.3.3 NMR帰属(assignment) 文献(Wuthrich,NMR of Proteins and Nuc
leic Acids,1986,John Wiley & Sons,Ne
w York,USA)に記載されたようにDQFCOSY、TOCSYおよび
NOESYスペクトルを用いて連続帰属技術(sequential assi
gnment technique)を適用することにより完全プロトン共鳴帰
属を得た。対応する実験値から平面になった(tabulated)ランダムコ
イル化学シフト(WishartおよびSykes,1994,Method.
Enz.239:363−392)を引き算することによって二次化学シフトを
HNおよびHαプロトンについて計算した。 7.3.4 結果および考察 一般的考察 両親媒性ヘリックスペプチドはNMR分光法に必要な高い濃度で
は水溶液中で凝集する傾向があるので、高分解能スペクトルを得るのは困難であ
る。TFEはペプチドを可溶化することが知られており、さらにらせん性傾向を
有するペプチドのヘリックスコンホメーションを安定化する。NMR分光法から
の知見は代表的な実施例としてペプチド210(配列番号210)について示さ
れている。Segrestのコンセンサス22マー(配列番号75)を比較で試
験した。 二次化学シフト アミノ酸のプロトン化学シフトは残基のタイプとペプチドま
たはタンパク質内の局所的な二次構造の両方に依存する(Szlagyi, 1
995, Progress in Nuclear Magnetic Re
sonance Spectroscopy 27:325−443)。したが
って、規則的な二次構造の同定は、実験シフトをランダムコイルコンホメーショ
ンについての平面になった値と比べることによって可能である。 αヘリックスの形成により、典型的にはHα共鳴に対してアップフィールド(
up−field)(ネガティブ)シフトが生じる。数個の連続する残基に対す
るアップフィールドHαシフトが観察された場合、これは一般的にヘリックス構
造の証拠と考えられる。295Kにおける25%TFE中でのペプチド210(
配列番号210)のHα二次シフトは、残基4〜15に対して有意なネガティブ
シフトを示し(図7A)、これはらせん性が高いコンホメーションを証明するも
のである。コンセンサス22マー(配列番号75)のHα化学シフトにおいては
ペプチド210(配列番号210)と比べた場合に小さな相違が観察される。 αヘリックスの領域に存在するアミノ酸残基のアミド水素の化学シフトもラン
ダムコイルに対して観察された化学シフトに関してアップフィールドにシフトす
る。さらに、HNシフトの周期性が観察され得るものであり、これはヘリックス
ターン(helical turns)の周期を反映するものである。配列に沿
ったシフト変化の振幅はヘリックスペプチドの両親媒性に関連している。高疎水
性モーメントにより顕著な振動が生じる(Zhouら,1992,J.Am.C
hem.Soc.114:4320−4326)。295Kにおける25%TF
E中でのペプチド210(配列番号210)についてのHN二次シフトは、ヘリ
ックスの両親媒性と一致した振動挙動を示す(図7B)。アミノ酸の置換は配列
全体を通してより明白な周期性に導く(図7B)。パターンは、Segrest
のコンセンサス22マーペプチド(配列番号75)と比べて、ペプチド210(
配列番号210)の両親媒性がより強いということを明確に反映するものである
。4−5ヘリックスターンの存在が認められる。 アミドプロトンの二次シフトはヘリックスから1ターン離れたカルボニル酸素
への水素結合の長さにより影響される。したがって、観察される化学シフト値の
周期性は種々の水素結合長を反映する。この相違はヘリックス骨格鎖のカーブし
たらせん形状全体と関連している。疎水性残基は凹側に位置する。ペプチド21
0(配列番号210)の二次シフトはカーブしたαヘリックスコンホメーション
を示すものである。 8.実施例: LCAT活性化アッセイ 上記第6節に記載したように合成したペプチドを、そのLCAT活性化能につ
いてin vitroで分析した。LCATアッセイにおいては、卵ホスファチ
ジルコリン(EPC)または1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジル
コリン(POPC)および放射性標識コレステロールから構成した基質小胞(小
さな単ラメラ小胞またはSUV)を等しい質量のペプチドまたはApoA−1(
ヒト血漿から単離したもの)とプレインキュベートした。LCAT(ヒト血漿か
ら精製したもの)を添加して反応を開始させる。陽性対照として用いた天然Ap
oA−1は100%の活性化活性を示す。ペプチドの「比活性」(すなわち、活
性(LCAT活性化)単位/質量単位)は最大LCAT活性化を達成するペプチ
ドの濃度として計算することができる。例えば、一連の濃度のペプチド(例えば
、限界希釈)をアッセイして、ペプチドの「比活性」−−アッセイの特定の時点
(例えば、1時間)で最大LCAT活性化(すなわち、コレステロールのコレス
テロールエステルへの転化率)を達成する濃度−−を調べることができる。使用
したペプチドの濃度に対して、例えば1時間の、コレステロールの転化率をプロ
ットするとき、「比活性」はプロットした曲線上にプラトーを達成するペプチド
の濃度として確認することができる。 8.1 基質小胞の調製 LCATアッセイで用いる小胞は卵ホスファチジルコリン(EPC)または1
−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン(POPC)およびコレ
ステロールを20:1のモル比で含むSUVである。40回のアッセイに十分な
小胞ストック溶液を調製するために、7.7mgのEPC(または7.6mgの
POPC;10μmol)、78μg(0.2μmol)の4−14C−コレス
テロール、116μgのコレステロール(0.3μmol)を5mlのキシレン
に溶解し、凍結乾燥する。その後、4mlのアッセイ緩衝液を乾燥粉末に加え、
窒素雰囲気下に4℃で音波処理する。音波処理条件:Branson250ソニ
ケーター、10mmチップ、6x5分;アッセイ緩衝液:10mM Tris、
0.14M NaCl、1mM EDTA、pH7.4。音波処理した混合物を
14,000rpm(16,000xg)で各回5分ずつ6回遠心分離してチタ
ン粒子を分離する。得られる透明な溶液を酵素アッセイに使用する。 8.2 LCATの精製 LCATを精製するために、ヒト血漿のデキストラン硫酸/Mg2+処理を行
ってリポタンパク質欠乏血清(LPDS)を取得し、これを順次フェニルセファ
ロース、アフィゲルブルー(Affigelblue)、コンカナバリンA セ
ファロースおよび抗ApoA−1アフィニティークロマトグラフィーでクロマト
グラフにかけた。代表的な精製を以下の表IXにまとめて示す。 8.2.1 LPDSの調製 LPDSを調製するために、500mlの血漿を50mlのデキストラン硫酸
(MW=500000)溶液に加える。20分攪拌する。3000rpm(16
,000xg)、4℃で30分遠心分離する。さらなる精製のために上清(LP
DS)を用いる(約500ml)。 8.2.2 フェニルセファロースクロマトグラフィー フェニルセファロースクロマトグラフィーのために次の材料および条件を使用
した。 固相: フェニルセファロース・ファースト・フロー、高置換グレード、Ph armacia カラム: XK26/40、ゲル床の高さ: 33cm、V=約175ml 流速: 200ml/hr(サンプル) 洗浄: 200ml/hr(緩衝液) 溶出: 80ml/hr(蒸留水) 緩衝液: 10mM Tris、140mM NaCl、1mM EDTA p H7.4、 0.01% アジ化ナトリウム Tris緩衝液でカラムを平衡化し、500mlのLPDSに29gのNaC
lを加えてカラムにアプライする。波長280nmでの吸収がほぼ基底線になる
まで数倍容量のTris緩衝液で洗浄する。その後蒸留水で溶出する。タンパク
質を含む画分をプールし(プールのサイズ:180ml)、アフィゲルブルーク
ロマトグラフィーに使用する。 8.2.3 アフィゲルブルークロマトグラフィー フェニルセファロースからのプールを20mM Tris−HCl,pH7.
4、 0.01%アジ化ナトリウムに対して4℃で一夜透析する。プール容量を
限外濾過(Amicon YM30)で50〜60mlにまで減らし、アフィゲ
ルブルーカラムにローディングする。 固相: アフィゲルブルー、Biorad、153〜7301カラム、XK2 6/20、ゲル床の高さ: 約13cm;カラム体積: 約70ml 流速: ローディング: 15ml/h 洗浄: 50ml/h Tris緩衝液でカラムを平衡化する。フェニルセファロースからのプールを
カラムにアプライする。同時に画分を集め始める。Tris緩衝液で洗浄する。
プールした画分(170ml)をConAクロマトグラフィーに使用した。 8.2.4 ConAクロマトグラフィー アフィゲルブルーからのプールをAmicon(YM30)で30〜40ml
に減らし、ConA出発緩衝液(1mM Tris−HCl pH7.4、1m
M MgCl、1mM MnCl、1mM CaCl、0.01%アジ化
ナトリウム)に対して4℃で一夜透析した。 固相: ConAセファロース(Pharmacia) カラム: XK26/20、ゲル床の高さ: 14cm(75ml) 流速: ローディング: 40ml/h 洗浄(出発緩衝液による): 90ml/h 溶出: 50ml/h、0.2M メチル−α−D−マンノシドを1 mM Tris,pH7.4に溶解したもの マンノシド溶出のタンパク質画分を集め(110ml)、限外濾過(YM30
)により容量を44mlにまで減らした。ConAプールを2mlのアリコート
に分割し、−20℃で保存する。 8.2.5 抗ApoA−1アフィニティークロマトグラフィー 抗ApoA−1アフィニティークロマトグラフィーはAffigel−Hz材
料(Biorad)で行ったが、この材料には抗ApoA−1が共有結合されて
いる。 カラム: XK16/20、V=16ml。カラムをPBS pH7.4で平衡 化した。カラムにローディングする前に2mlのConAプールをP BSに対して2時間透析した。 流速: ローディング:15ml/h 洗浄(PBS) 40ml/h プールしたタンパク質画分(V=14ml)をLCATアッセイに使用する。 カラムを0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.5)で再生して、結合されたA−
Iを溶出し(100ml)、この手順の後すぐにPBSで再平衡化する。 8.3 結果 LCAT活性化アッセイの結果を以下の表Xに示す。 表Xにおいて、*はN末端アセチル化およびC末端アミド化されているペプチ
ドを示す。+はN末端ダンシル化されているペプチドを示す。spは実験条件下
で溶解性に問題があったペプチドを示す。XはAib、ZはNal、OはOrn
である。He(%)はらせん性のパーセントを示す。micsはミセルを示す。
〜は欠失されたアミノ酸を示す。 9. 実施例: ApoA−Iアゴニストの薬物速度論 以下の実験は、ApoA−Iアゴニストが循環中に安定しており、血漿のHD
L成分と結合することを実証する。 9.1.放射標識ペプチドの合成 放射標識ペプチドを、14C標識アミノ酸をN末端アミノ酸として結合するこ
とにより合成した。この合成は、L.Lapatsanis,Synthesi
s,1983,671−173に準じて実施された。簡単に説明すると、250
μMの非標識N末端アミノ酸を225μlの9%NaCO溶液に溶解し、9
.25MBq(250μM)の14C標識N末端アミノ酸の溶液(9%Na
)に加えた。この液体を0℃まで冷却し、0.75ml DMF中の600
μM(202mg)の9−フルオレニルメチル−N−スクシンイミジルカーボネ
ート(Fmoc−Osu)と混合し、室温で4時間振とうした。その後、混合物
をジエチルエーテル(2x5ml)とクロロホルム(1x5ml)を用いて抽出
し、残った水相を30%HClで酸性にしクロロホルム(5x8ml)で抽出し
た。有機相をNaSO上で乾燥し、濾過し、窒素流で体積を5mlまで減少
させた。純度をTLC (CHCl:MeOH:Hac,9:1:0.1v/
v/v、固定相RPTLCシリカゲル60、Merck、ドイツ国)により推定
した。 14C−Fmocプロリンを含有するクロロホルム溶液をペプチド合成に直接
使用した。第6節で記載したように自動合成された。ペプチドの配列はエドマン
分解で決定し、カップリングは、第6.1節で記載したようにして行った。 9.2.マウスにおける薬物動態 各実験において、2.5mg/kgの放射標識ペプチドを、マウス正常食また
はじゅく腫形成性のThomas−Harcroft改変食(VLDL及びID
Lコレステロールの極度な上昇に到る)を与えられたマウスに腹腔内注射した。
血液サンプルは、血清中の放射活性の評価のために時間をおいて複数回採取した
。 9.3.ヒト血清中の安定性 ヒト血清中の本発明のApoA−Iの安定性は以下に記載するように実証され
た。 9.3.1.実験方法 上記9.1節に記載のようにして調製した100μgの14C−標識ペプチド
4(上記第9.1節に記載したとおりに調製される。))を2mLの新鮮なヒト
血清と混合し(37℃)、直ちに(対照サンプル)、または37℃で8日間イン
キュベーションした後に(試験サンプル)脱脂した。脱脂は、等量の2:1(v
/v)クロロホルム:メタノールで脂質を抽出することによって行った。 サンプルを逆相C18HPLCカラムにのせ、直線勾配(33分間で25−5
8%)のアセトニトリル(0.1%TFA含有)で溶出させた。溶出プロファイ
ルは吸光度(220nm)及び放射活性で追跡した。 9.4.プレ−β様粒子の形成 プレ−β様粒子を形成するための本発明のApoA−Iアゴニストの能力は以
下に記載するように実証された。 9.4.1.実験方法 ヒトHDLを、密度d=1.21g/mlでのKBr密度超遠心によって最上
層画分を得、次にSuperose6ゲル濾過クロマトグラフィーでHDLを他
のリポタンパク質と分離することによって単離した。単離されたHDLを、Br
adfordタンパク質アッセイによって測定したタンパク質濃度に基づき、生
理的食塩水で最終濃度1.0mg/mlに調整した。300μlのアリコートを
単離されたHDL調製物からとり、100μlの14C−標識ペプチドと共に3
7℃で2時間インキュベートした。100μlの生理的食塩水を含有するブラン
ク、及び4種の14C−標識ペプチド希釈物:(i)0.20μg/μlペプチ
ド:HDL比=1:15;(ii)0.30μg/μlペプチド:HDL比=1
:10;(iii)0.60μg/μlペプチド:HDL比=1:5;及び(i
v)1.00μg/μlペプチド:HDL比=1:3を含む、5種の別々のイン
キュベーション物を分析した。2時間のインキュベーション後、サンプルの20
0μlアリコート(全量=400μl)を、リポタンパク質分離及び分析のため
にSuperose6ゲル濾過カラムにのせ、100μlを用いてカラムにのせ
た全放射活性を決定した。 9.5.Apo−A−Iアゴニストのヒトリポタンパク質との結合 9.5.1.実験方法 本発明のApoA−Iアゴニストのヒトリポタンパク質画分と結合する能力を
14C−標識ペプチドを各リポタンパク質クラス(HDL、LDL及びVLD
L)及び異なるリポタンパク質クラスの混合物と共にインキュベートすることに
よって測定した。 HDL LDL及びVLDLは、d=1.21g/mlにおけるKBr密度勾
配超遠心分離によって単離し、Superose6Bカラムサイズ排除カラム上
でのFPLCによって精製した(クロマトグラフィーは、流速0.7ml/分、
バッファー10mMTris(pH8)、115mM NaCl、2mM ED
TA及び0.01% NaNで実施した)。14C−標識ペプチド4を、ペプ
チド:リン脂質比1:5(質量比)でHDL、LDL及びVLDLと37℃で2
時間インキュベートした。必要量のリポタンパク質(1000μgの収量に必要
な量に基づいた量)を0.2mlのペプチドストック溶液(1mg/ml)と混
合し、表XIIIに従って0.9%のNaClを使用して2.2mlにした。 37℃で2時間インキュベートした後、液体シンチレーション計数のためにア
リコート(0.1ml)をとって全放射活性を決定し、残りのインキュベーショ
ン混合液の密度をKBrで1.21g/mlに調整し、Beckman tab
letop ultracentrifugeを使用して、TLA100.3ロ
ーター中で、サンプルを4℃で24時間、100,000rpm(300,00
0g)で遠心分離した。得られた上清を、計5画分の各サンプルの最上層から0
.3mlのアリコートをとることによって分画し、それぞれの画分の0.05m
lを液体シンチレーション計数に使用した。最上層の2画分は浮かぶリポタンパ
ク質を含有しており、他方(3−5)は溶液中のタンパク質/ペプチドに相当し
ている。 9.6.本発明のApoA−Iアゴニストはヒト血漿中のHDL脂質に選択的に
結合する 9.6.1.実験方法 本発明のApoA−Iアゴニストがヒト血漿中のHDLタンパク質と選択的に
結合することを実証するために、ヒト血漿(2ml)を、20、40、60、8
0、及び100μgの14C−標識ペプチドと37℃で2時間インキュベートし
た。密度を1.21g/mlに調整し、TLA 100.3ローター中で100
,000rpm(300,000g)で36時間、4℃で遠心分離してリポタン
パク質を分離した。最上層の900μl(300μl画分中)を分析のためにと
った。各300μl画分からとった50μlの放射活性を計数し、各画分からと
った200μlをFPLC(Superose6/Superose12コンビ
ネーションカラム)で分析した。 10.実施例:ApoA−Iアゴニストはコレステロールの流出を促進する 本発明のApoA−Iアゴニストがコレステロール流出を促進することを実証
するために、HepG2ヘパトーマ細胞を6ウェル培養皿中にまき、コンフルエ
ントになるまで増殖させた。細胞を、コレステロールを乾燥し、次いでリン酸緩
衝食塩水(PBS)中1%ウシ血清アルブミン(BSA)を添加し、溶液を超音
波処理し、0.2mlのこの標識溶液及び1.8mlの増殖培地を細胞に添加す
ることによって、H−コレステロールで標識し、それぞれのウェルが2μCi
の放射活性を有するようにした。細胞を標識用培地と共に24時間インキュベー
トした。 ペプチド(またはタンパク質):DMPC複合体は、1:2のペプチド(また
はタンパク質):DMPC比(w:w)で調製した。複合体を調製するために、
ペプチドまたは天然のヒトApoA−Iタンパク質をPBS中のDMPC溶液に
添加し、室温で一晩インキュベートした。その間に溶液は澄明になった。最終溶
液におけるペプチドまたはタンパク質濃度は1mg/mlであった。 標識用培地を細胞から除去し、複合体添加前にPBSで細胞を洗浄した。それ
ぞれのウェルに1.6mlの増殖培地を添加し、次いでペプチド(またはタンパ
ク質):DMPC複合体及び十分量のPBSを添加して最終体積をウェル当たり
2mlとした。ペプチドまたはApoA−Iの最終濃度は1、2.5、5、7.
5及び25μg/ml培地であった。37℃で24時間インキュベーションした
後、培地を除去し、細胞を2mlの1% BSA/PBSで、次に各2mlのP
BSで2回、洗浄した。培地中に流出したH−コレステロールの量を、液体シ
ンチレーション計数で決定した。 11.実施例:動物モデル系におけるApoA−Iアゴニストの使用 下記のプロトコールを用いて本発明のApoA−Iアゴニストの効率を、ウサ
ギにおいて証明した。 11.1.リン脂質/ペプチド複合体の調製 コール酸透析法により、リン脂質(DPPC)及びペプチドからなる円板上小
粒子を調製した。リン脂質をクロロホルムに溶解し、窒素流下で乾燥した。ペプ
チドを、1−2mg/mlの濃度で緩衝液(食塩水)に溶解した。脂質のフィル
ムをコール酸を含有する緩衝液に再溶解し(43℃)、3:1のリン脂質/ペプ
チド重量比でペプチド溶液を添加した。混合液を43℃で一晩インキュベートし
、次いで、温度を変えるごとに緩衝液(大量)を3回交換して43℃(24時間
)、室温(24時間)及び4℃(24時間)で透析した。複合体を注射のために
滅菌濾過(0.22μm)し、4℃で保存した。 11.2.ペプチド/リン脂質粒子の単離及び性状解析 粒子をゲル濾過カラム(Superose6HR)上で分離した。粒子を含む
ピークの位置を、各画分におけるリン脂質濃度を測定することによって同定した
。溶出量から、Strokes radiusを決定した。複合体中のペプチド
濃度は、16時間の酸加水分解後のフェニルアラニン含量を(HPLCによって
)測定することによって決定した。 11.3.ウサギへの注射 雄のニュージーランド白色ウサギ(2.5−3kg)に投与量のリン脂質/ペ
プチド複合体(5〜10mg/kg体重のペプチド、または10mg/kg体重
のApoA−I(対照))を10−15mlを超えない一回のボーラス注射によ
り、静脈注射した。操作前に動物にわずかに鎮静剤を与えた。注射前、及び注射
後5、15、30、60、240及び1440分に血液サンプル(EDTA存在
下で回収)をとった。各サンプルについてヘマトクリット(Hct)を決定した
。サンプルをアリコートに分け、分析まで−20℃に保存した。 11.4.ウサギ血清の分析 血漿脂質 血漿コレステロール、血漿トリグリセリド及び血漿リン脂質の総量
を、製造者のプロトコル(Boehringer Mannheim,Mann
heim,Germany and Biomerieux,69280,Ma
rcy−L’etoile,France)に従い、市販のアッセイを使用して
酵素的に測定した。 リポタンパク質プロファイル リポタンパク質画分中に血漿を分離した後に得
られた画分の血漿リポタンパク質プロファイルを、ショ糖密度勾配中で遠心分離
することによって決定した。画分を回収し、それぞれ個々の画分におけるリン脂
質及びコレステロール含量を酵素的に測定した。 12.実施例:同時凍結乾燥法によるペプチド−脂質複合体の調製 以下のプロトコルを使用してペプチド−脂質複合体を調製した。 1mgのペプチド210(配列番号210)ペプチドを、キャップを有する1
mlの透明なガラスバイアル(Waters #WAT0025054)中の2
50μlのHPLCグレードのメタノール(Perkin Elmer)に溶解
した。室温で10分間、時々攪拌することによって、ペプチドの溶解を促進させ
た。この混合液に、3mgのジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC;
Avanti Polar Lipids,99%純度、製品#850355
)を含有するアリコートを100mg/mlの保存用メタノール溶液から添加し
た。メタノールの添加によって混合液の量を400μlとし、室温で更に10分
間、混合液を断続的に攪拌した。チューブに200μlのキシレン(Sigma
−Aldrich 99%純度、HPLCグレード)を添加し、チューブを10
秒間渦巻き攪拌した。それぞれのチューブの先端に20ゲージの注射針で2個の
小さな穴を開け、チューブを液体窒素中でそれぞれ15秒間凍結させ、真空下で
一晩凍結乾燥した。それぞれのチューブに200mlの0.9%NaCl溶液を
添加した。チューブを20秒間渦巻き攪拌した。この時点で、チューブ内の溶液
の外観は乳白色であつた。次いでチューブを水浴上で30分間、41℃でインキ
ュベートした。41℃で数分間インキュベーションした後、溶液は透明になった
(すなわち、外観上水と同様になった)。 12.1.Superose6ゲル濾過クロマトグラフィーによる複合体の性状
解析 ペプチド210(配列番号210)を含有するペプチド−リン脂質複合体を上
述したとおり同時凍結乾燥によって調製した。調製物は重量で1mgのペプチド
と3mgのDPPCを含んでいた。200μlの0.9%NaCl中で複合体を
再構成した後、20μl(100μgのペプチド210を含有する)の複合体を
、液相として0.9%NaClを用い、また0.5ml/分の流速でPharm
acia Superose6カラムにアプライした。波長280nmの光の吸
収または散乱によりクラマトグラフィーを監視した。1mlずつ画分を集めた。
20μlの画分を含むアリコートを、bioMerieux Phosphol
ipides Enzymatique PAP 150キット(#61491
)を用い、製造業者が提供する指示に従い、リン脂質含量についてアッセイした
。ほぼ大部分のリン脂質とUV吸光度がともに、約15.1mlのところにピー
クをもつ数個の画分中に一緒に回収された。この溶出容量は106オングストロ
ームのStokes直径に相当する。 比較のために、20μlのヒトHDLの別個のクロマトグラムを、同一条件
のもとでペプチド210(配列番号210)と同じカラムを用いて実施し得た。
HDLは以下のように調製した。300mlの凍結ヒト血漿(Mannhei
m Blutspendzentrale #1185190)を解凍し、固体
臭化カリウムを用いて1.25の密度に調整し、Ti45ローター(Beckm
an)を用いて20℃、40,000RPMで45時間遠心分離した。浮遊する
層を回収し、蒸留水に対し透析し、固体臭化カリウムを用いて1.07の密度に
調整し、上記のとおり70時間遠心分離した。底層(チューブの底から1cm上
部のレベル)を回収し、0.01%アジ化ナトリウムに加えてクロマトグラフィ
ーまで4日間4℃で保存した。カラム溶出物を254nmの波長の光の吸収また
は散乱により監視した。既知の分子量とStokes直径をもつ一連のタンパク
質を標準として用いて、粒子のStokes直径の計算のためにカラムを較正し
た(Pharmacia Gel Filtration Calibrati
on Kit Instruction Manual,Pharmacia
Laboratory Separation,Piscataway,NJ,
1985年4月改訂)。14.8mlの保持容量に溶出されるHDLは108
nmのStokes直径に相当する。 13.実施例:抗体の調製 本発明のApoA−Iアゴニストに対する抗体を作製するために、ペプチドを
キーホールリンペットヘモシアニンに結合させた(KLH; 10mgのKLH
に対して1mgのペプチド)。KLHコンジュゲート(LMG)を完全フロイン
ドアジュバントに懸濁し、時間0でウサギに注射し、4週間後、そして5週間後
に0.25mgのKLHコンジュゲートをブースター注射した。瀉血前及び6週
間後の瀉血後に、ELISAによって真正(authentic)抗原に対する
抗体価について試験した。 得られた瀉血はウサギ2匹毎にプールした。もっぱらペプチド抗原に対する抗
体を以下のようにして単離した。 1.遊離ペプチドを、製造者のプロトコルに従い、臭化シアンで活性化したS
epharose4B(Pharmacia)に結合させた。 2.抗血清を、関連しないペプチドのカラム、及び関連しないヒト及びマウス
の血清タンパク質のカラム上に予め吸着させた。 3.予め吸着させた抗血清を、対応するペプチドカラムに通した(ポイント1
を参照のこと)。 4.カラムを0.1Mホウ酸緩衝食塩水(pH8.2)で洗浄し、結合した抗
体を、pH4.0からpH3.0、pH2.0(0.1Mグリシン緩衝液)の低
pH勾配段階を使用し、最終的には0.1M HClで溶出させた。 5.溶出した物質を過剰のホウ酸食塩水で中和し、限外濾過(Amicon、
YM30)によって濃縮し、ホウ酸食塩水に対して透析した。 6.タンパク質濃度を280nmの吸光度によって測定した。 得られた抗体に対し、精製ヒトApoA−Iまたは精製マウスApoA−Iを
用い、直接ELISA結合アッセイで種特異性を調べた。 本発明は、本発明の個々の態様の単なる例示として意図される記載の特定の実
施形態によってその範囲を制限されるべきものではなく、機能的に等価な方法及
び成分は本発明の範囲内に含まれる。実際、本発明の種々の改変は、本明細書に
示し、また記載されたものに加えて、上記明細書及び添付の図面から当業者に明
らかであろう。こうした改変は請求の範囲内にあることが意図される。 本明細書で引用した全ての参考文献は、全ての目的のために参照により本明細
書に組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、概念化した両親媒性αヘリックスのSchiffer−Edmun
dsonのヘリックスホイールの図であり、図中、白丸は親水性アミノ酸残基を
表わし、陰影(shaded)入りの丸は疎水性アミノ酸残基を表わす。 図1Bは、図1Aの概念化した両親媒性ヘリックスのヘリックスネットの図で
ある。 図1Cは、図1Aの概念化した両親媒性ヘリックスのヘリックスシリンダーの
図である。
【図2】 図2Aは、ヘリックスの両親媒性を説明する、構造(I)のコアペプチドのS
chiffer−Edmundsonのヘリックスホイールの図である(白丸は
親水性アミノ酸残基を表わし、陰影入りの丸は疎水性アミノ酸残基を表わし、部
分的に斜線入りの丸は親水性アミノ酸残基または疎水性アミノ酸残基のいずれか
を表わす。)。 図2Bは、ヘリックスの疎水性面を説明する、構造(I)のコアペプチドのヘ
リックスネットの図である。 図2Cは、ヘリックスの親水性面を説明する、構造(I)のコアペプチドのヘ
リックスネットの図である。
【図3】 図3Aは、Segrestの18Aペプチド(DWLKAFYDKVAEKL
KEAF;配列番号244)の親水性面を説明するヘリックスネットの図である
。 図3Bは、例示のコアペプチド210(PVLDLFRELLEELKQKL
K;配列番号210)の親水性面を説明するヘリックスネットの図である。 図3Cは、Segrestの共通22−merペプチド (PVLDEFREKLNEELEALKQKLK;配列番号75)の親水性面
を説明するヘリックスネットの図である。
【図4】 図4Aは、Segrestの18Aペプチド(配列番号244)の疎水性面を
説明するヘリックスネットの図である。 図4Bは、例示のコアペプチド210(配列番号210)の疎水性面を説明す
るヘリックスネットの図である。 図4Cは、Segrestの共通22−merペプチド(配列番号75)の疎
水性面を説明するヘリックスネットの図である。
【図5】 図5Aは、Segrestの18Aペプチド(配列番号244)のSchif
fer−Edmundsonのヘリックスホイールの図である。 図5Bは、例示のコアペプチド210(配列番号210)のSchiffer
−Edmundsonのヘリックスホイールの図である。
【図6】 図6Aは、本発明の3次分枝ネットワークを説明するものである。 図6Bは、本発明の4次分枝ネットワークを説明するものである。 図6Cは、本発明の混合次分枝ネットワークを説明するものである。 図6Dは、本発明の例示の「Lys−ツリー」分枝ネットワークを説明するも
のである。
【図7】 図7Aは、ペプチド210(配列番号210)およびSegrestの共通2
2−merペプチド(配列番号75)についての、観察されたHα化学シフトと
平面化(tabulated)ランダムコイルのHα化学シフトとの差を説明す
るグラフである。 図7Bは、ペプチド210(配列番号210)およびSegrestの共通2
2−merペプチド(配列番号75)についての、観察されたアミドプロトン化
学シフトと平面化ランダムコイルのアミドプロトン化学シフトとの差を説明する
グラフである。
【図8】 図8Aは、本発明のApoA−Iアゴニストを用いて得られる各種の凝集状態
およびペプチド−脂質複合体を示す模式図である。左:所定のペプチド濃度、p
Hおよびイオン強度の条件におけるペプチドの多量体化プロセス(数個のペプチ
ドヘリックス同士の相互作用から始まり、オリゴマーの形成へと導かれる。中心
:(これらの凝集状態のいずれかにある)該ペプチドと脂質物(lipidic
entities)(例えばSUV)との相互作用により脂質再編成が起こる
。右:脂質:ペプチドのモル比を変えることにより異なるタイプのペプチド−脂
質複合体が得られる(低い脂質−ペプチド比では脂質−ペプチド・コミセルであ
り、脂質:ペプチド比を徐々に高くするにつれて円盤状複合体、最終的には大き
な多重膜複合体となる)。 図8Bは、所定の範囲の脂質:ペプチド比において形成される円盤状ペプチド
−脂質複合体の一般的に受け入れられているモデルを説明するものである。円盤
状の縁部を包囲する各ペプチドは2つの直隣接物と密着した状態にある。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/44 A61K 47/48 47/48 A61P 3/00 A61P 3/00 3/06 3/06 9/00 9/00 9/10 9/10 101 101 31/04 31/04 43/00 111 43/00 111 C07K 14/47 // C07K 14/47 A61K 37/02 ZNA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U Z,VN,YU,ZW (71)出願人 コルナット,イサベル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,メイゼンヴ ェグ 10 (71)出願人 メッツ,グンテル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,レシンクシ ュトラーセ 14 (72)発明者 ダシュー,ジーン−ルイス アメリカ合衆国 47401 インディアナ州, ブルーミントン,シェルウッド ヒルズ ドライブ 777 (72)発明者 セクル,リネート ドイツ連邦共和国 ディー−68526 ラデ ンバーク,ヴィケムシュトラーセ 13 (72)発明者 バトナー,クラウス ドイツ連邦共和国 ディー−74925 エフ ェンバッハ,イーチェンドルフシュトラー セ 6 (72)発明者 コルナット,イサベル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,メイゼンヴ ェグ 10 (72)発明者 メッツ,グンテル ドイツ連邦共和国 ディー−68535 エデ ィンゲン−ネッカーハウゼン,レシンクシ ュトラーセ 14 Fターム(参考) 4C076 AA11 AA19 AA29 CC21 DD63 EE51 EE59 FF27 FF63 4C084 AA02 BA01 BA09 BA18 CA59 DB01 MA05 MA16 MA24 MA43 MA44 NA14 ZA36 ZA45 ZC33 ZC41 4H045 AA10 AA30 BA17 BA55 CA40 EA24 FA74

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ApoA−1アゴニストであって、 (i)脂質の存在下で両親媒性αヘリックスを形成し、次の構造式(I): Z−X−X−X−X−X−X−X−X−X−X10−X
    −X12−X13−X14−X15−X16−X17−X18−Z からなる14〜22残基ペプチドもしくはペプチド類似体: 上記式中、 XはPro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Asn(N)、Gln(
    Q)またはD−Pro(p)であり; Xは脂肪族アミノ酸であり; XはLeu(L)であり; Xは酸性アミノ酸であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; XはLeu(L)またはPhe(F)であり; Xは塩基性アミノ酸であり; Xは酸性アミノ酸であり; XはLeu(L)またはTrp(W)であり; X10はLeu(L)またはTrp(W)であり; X11は酸性アミノ酸またはAsn(N)であり; X12は酸性アミノ酸であり; X13はLeu(L)、Trp(W)またはPhe(F)であり; X14は塩基性アミノ酸またはLeu(L)であり; X15はGln(Q)またはAsn(N)であり; X16は塩基性アミノ酸であり; X17はLeu(L)であり; X18は塩基性アミノ酸であり; ZはHN−またはRC(O)NH−であり; Zは−C(O)NRR、−C(O)ORもしくは−C(O)OHまたはその
    塩であり; 各Rは独立して−H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、
    (C−C)アルキニル、(C−C20)アリール、(C−C26)アル
    カリール、5〜20員のヘテロアリール、6〜26員のアルクヘテロアリール、
    または1〜4残基ペプチドもしくはペプチド類似体であり; 残基X間の「−」は、それぞれ独立して、アミド結合、置換アミド結合、ア
    ミドの同配体(isostere)またはアミド疑似体を表す;または (ii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17およびX18
    うち1個以上8個までが欠失されている構造式(I)の欠失型;または (iii)残基X、X、X、X、X、X、X、X、X、X
    10、X11、X12、X13、X14、X15、X16、X17またはX18
    のうち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている構造式(I)の改変
    型; からなるApoA−1アゴニスト。
  2. 【請求項2】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCAT活
    性化活性を示す、請求項1記載のApoA−1アゴニスト。
  3. 【請求項3】 構造式(I)の改変型である、請求項1記載のApoA−1
    アゴニスト。
  4. 【請求項4】 疎水性残基が構造式(I)に従って確定されており、少なく
    とも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項3記載のA
    poA−1アゴニスト。
  5. 【請求項5】 XがPro(P)、D−Pro(p)、Gly(G)、Asn(N)または
    Ala(A)であり; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはTrp(W)であり; X10がLeu(L)またはTrp(W)であり; X13がLeu(L)、Trp(W)またはPhe(F)であり; X17がLeu(L)であり;そして X、X、X、X11、X12、X14、X15、X16およびX18
    うち少なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、請求項4記載のAp
    oA−1アゴニスト。
  6. 【請求項6】 親水性残基が構造式(I)に従って確定されており、少なく
    とも1個の非確定残基が他の残基で保存的に置換されている、請求項3記載のA
    poA−1アゴニスト。
  7. 【請求項7】 XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがArg(R)、Lys(K)またはOrnであり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; X11がAsn(N)またはGlu(E)であり; X12がGlu(E)であり; X14がLys(K)、Arg(R)またはOrnであり; X15がGln(Q)またはAsn(N)であり; X16がLys(K)、Arg(R)またはOrnであり; X18がAsn(N)またはGln(Q)であり;そして X、X、X、X、X、X、X10、X13およびX17のうち少
    なくとも1個が他の残基で保存的に置換されている、請求項6記載のApoA−
    1アゴニスト。
  8. 【請求項8】 XがLeu(L)であり、XがPhe(F)であり、X
    がLeu(L)またはTrp(W)であり、X10がLeu(L)またはTr
    p(W)であり、そしてX、X、X、X13およびX17のうち少なくと
    も1個が他の残基で保存的に置換されている、請求項6記載のApoA−1アゴ
    ニスト。
  9. 【請求項9】 置換する残基が置換される残基と同じサブカテゴリーに分類
    される、請求項5または7記載のApoA−1アゴニスト。
  10. 【請求項10】 構造式(I)の欠失型である、請求項1記載のApoA−
    1アゴニスト。
  11. 【請求項11】 ペプチドまたはペプチド類似体の1個のヘリックスターン
    が欠失されている、請求項10記載のApoA−1アゴニスト。
  12. 【請求項12】 構造式(I)の18残基ペプチドまたはペプチド類似体で
    ある、請求項1記載のApoA−1アゴニスト。
  13. 【請求項13】 残基間の「−」が−C(O)NH−を表し、ZがH
    −であり、そしてZが−C(O)OHまたはその塩である、請求項12記載の
    ApoA−1アゴニスト。
  14. 【請求項14】 XがPro(P)、Ala(A)、Gly(G)、Asn(N)またはD−
    Pro(p)であり; XがAla(A)、Leu(L)またはVal(V)であり; XがLeu(L)であり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがLeu(L)またはPhe(F)であり; XがArg(R)、Lys(K)またはOrnであり; XがAsp(D)またはGlu(E)であり; XがLeu(L)またはTrp(W)であり; X10がLeu(L)またはTrp(W)であり; X11がGlu(E)またはAsn(N)であり; X12がGlu(E)であり; X13がLeu(L)、Trp(W)またはPhe(F)であり; X14がArg(R)、Lys(K)またはOrnであり; X15がGln(Q)またはAsn(N)であり; X16がArg(R)、Lys(K)またはOrnであり; X17がLeu(L)であり;そして X18がArg(R)、Lys(K)またはOrnである、 請求項13記載のApoA−1アゴニスト。
  15. 【請求項15】 Nおよび/またはC末端がブロックされたまたはブロック
    されていない形態の次のペプチド: からなる群より選択される、請求項1記載のApoA−1アゴニスト。
  16. 【請求項16】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCAT
    活性化活性を示し、次の構造式(II): を有する多量体ApoA−1アゴニストまたはその薬学的に許容される塩: 上記式中、 各mは独立して0〜1の整数であり、 nは0〜10の整数であり、 各「HH」は独立して請求項1記載のペプチドまたはペプチド類似体であり、 各「LL」は独立して二官能性リンカーであり、そして 各「−」は独立して共有結合を表す。
  17. 【請求項17】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCAT
    活性化活性を示し、次の構造式(III): を有する多量体ApoA−1アゴニストまたはその薬学的に許容される塩: 上記式中、 各HHは独立して構造式(I)のコアペプチド、本明細書中に記載するその類
    似体、変異型、末端切断型、内部欠失型または伸長型であり、 各LLは独立して二官能性リンカーであり、 各mは独立して0〜1の整数であり、 各nは独立して0〜8の整数であり、 NyaおよびNybはそれぞれが独立して多官能性結合成分であり、ここでy
    およびyはそれぞれNyaおよびNyb上の官能基の数を表し、 yおよびyはそれぞれが独立して3〜8の整数であり、 pは0〜7の整数であり、そして 各「−」は独立して共有結合を表す。
  18. 【請求項18】 ヒトApoA−1と比べて少なくとも約38%のLCAT
    活性化活性を示し、次の構造式(IV)または(V): を有する多量体ApoA−1アゴニストまたはその薬学的に許容される塩: 上記式中、 各HHは独立して請求項1記載のペプチドまたはペプチド類似体であり、 各LLは独立して二官能性リンカーであり、 各nは独立して0〜1の整数であり、 各mは独立して0〜8の整数であり、 Rは−ORまたは−NRRであり、そして 各Rは独立して−H、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、
    (C−C)アルキニル、(C−C20)アリール、(C−C26)アル
    カリール、5〜20員のヘテロアリール、6〜26員のアルクヘテロアリールで
    ある。
  19. 【請求項19】 二官能性リンカーが開裂可能である、請求項16、17ま
    たは18記載の多量体ApoA−1アゴニスト。
  20. 【請求項20】 nが0である、請求項16、17または18記載の多量体
    ApoA−1アゴニスト。
  21. 【請求項21】 mが0である、請求項20記載の多量体ApoA−1アゴ
    ニスト。
  22. 【請求項22】 各HHが独立して請求項13記載のペプチドである、請求
    項16、17または18記載の多量体ApoA−1アゴニスト。
  23. 【請求項23】 各HHが独立して請求項14記載のペプチドである、請求
    項16、17または18記載の多量体ApoA−1アゴニスト。
  24. 【請求項24】 各HHが独立して請求項15記載のペプチドである、請求
    項16、17または18記載の多量体ApoA−1アゴニスト。
  25. 【請求項25】 ApoA−1アゴニストおよび脂質からなるApoA−1
    アゴニスト−脂質複合体であって、ApoA−1アゴニストが請求項1記載のペ
    プチドまたはペプチド類似体、請求項16記載の多量体ApoA−1アゴニスト
    、請求項17記載の多量体ApoA−1アゴニスト、または請求項18記載の多
    量体ApoA−1アゴニストである、上記複合体。
  26. 【請求項26】 ApoA−1アゴニストが請求項12記載のペプチドであ
    る、請求項25記載のApoA−1アゴニスト−脂質複合体。
  27. 【請求項27】 ApoA−1アゴニストが請求項13記載のペプチドであ
    る、請求項25記載のApoA−1アゴニスト−脂質複合体。
  28. 【請求項28】 ApoA−1アゴニストが請求項14記載のペプチドであ
    る、請求項25記載のApoA−1アゴニスト−脂質複合体。
  29. 【請求項29】 ApoA−1アゴニストが請求項15記載のペプチドであ
    る、請求項25記載のApoA−1アゴニスト−脂質複合体。
  30. 【請求項30】 脂質がスフィンゴミエリンである、請求項25記載のAp
    oA−1アゴニスト−脂質複合体。
  31. 【請求項31】 凍結乾燥粉末の形状である、請求項25記載のApoA−
    1アゴニスト−脂質複合体。
  32. 【請求項32】 溶液の形状である、請求項25記載のApoA−1アゴニ
    スト−脂質複合体。
  33. 【請求項33】 ApoA−1アゴニストおよび製薬上許容される担体、賦
    形剤または希釈剤を含有する医薬組成物であって、ApoA−1アゴニストが請
    求項1記載のペプチドまたはペプチド類似体、請求項16記載の多量体ApoA
    −1アゴニスト、請求項17記載の多量体ApoA−1アゴニスト、または請求
    項18記載の多量体ApoA−1アゴニストである、上記医薬組成物。
  34. 【請求項34】 ApoA−1アゴニストが請求項12記載のペプチドであ
    る、請求項33記載の医薬組成物。
  35. 【請求項35】 ApoA−1アゴニストが請求項13記載のペプチドであ
    る、請求項33記載の医薬組成物。
  36. 【請求項36】 ApoA−1アゴニストが請求項14記載のペプチドであ
    る、請求項33記載の医薬組成物。
  37. 【請求項37】 ApoA−1アゴニストが請求項15記載のペプチドであ
    る、請求項33記載の医薬組成物。
  38. 【請求項38】 ApoA−1アゴニストがApoA−1アゴニストと脂質
    からなるApoA−1アゴニスト−脂質複合体の形をしている、請求項33、3
    4、35、36または37記載の医薬組成物。
  39. 【請求項39】 ApoA−1アゴニスト−脂質複合体が凍結乾燥粉末の形
    状をしている、請求項38記載の医薬組成物。
  40. 【請求項40】 異常脂肪血と関連した障害をもつ被験体に有効量の請求項
    1記載のApoA−1アゴニストを投与することを含んでなる、該被験体の治療
    方法。
  41. 【請求項41】 ApoA−1アゴニストが医薬組成物の形をしており、該
    組成物がApoA−1アゴニストと製薬上許容される担体、賦形剤または希釈剤
    を含有する、請求項40記載の方法。
  42. 【請求項42】 ApoA−1アゴニストがApoA−1アゴニストと脂質
    からなるApoA−1アゴニスト−脂質複合体の形をしている、請求項40記載
    の方法。
  43. 【請求項43】 異常脂肪血と関連した障害が高コレステロール血症である
    、請求項40記載の方法。
  44. 【請求項44】 異常脂肪血と関連した障害が心血管性の疾病である、請求
    項40記載の方法。
  45. 【請求項45】 異常脂肪血と関連した障害がアテローム硬化症である、請
    求項40記載の方法。
  46. 【請求項46】 異常脂肪血と関連した障害が再狭窄である、請求項40記
    載の方法。
  47. 【請求項47】 異常脂肪血と関連した障害がHDLまたはApoA−1不
    全症である、請求項40記載の方法。
  48. 【請求項48】 異常脂肪血と関連した障害が高トリグリセリド血症である
    、請求項40記載の方法。
  49. 【請求項49】 異常脂肪血と関連した障害が代謝症候群である、請求項4
    0記載の方法。
  50. 【請求項50】 敗血症性ショックの被験体に有効量の請求項1記載のAp
    oA−1アゴニストを投与することを含んでなる、該被験体の治療方法。
  51. 【請求項51】 前記被験体がヒトである、請求項40または50記載の方
    法。
  52. 【請求項52】 前記被験体に約0.5mg/kg〜約100mg/kgの
    ApoA−1アゴニストを投与する、請求項40または50記載の方法。
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