JP2003523869A - テクスタイルプライを備えたタイヤビード - Google Patents

テクスタイルプライを備えたタイヤビード

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Abstract

(57)【要約】 カーカス補強プライ(1)を有し、該カーカス補強プライ(1)は環状要素(2)の回りに巻き付けることにより各ビードB内に係止され、環状要素(2)の引張り強度は同寸法の慣用タイヤのビードワイヤの引張り強度より小さく、少なくとも2つのビード補強層(41、42、51、52)を更に有し、該ビード補強層は環状要素(2)に接触している構成のタイヤにおいて、環状要素(2)は、推奨膨張圧力によりカーカス補強体に伝達される張力の3〜5倍の引張り強度を有し、環状要素(2)の破断時の伸びは2〜6%の間にあり、全てのビード補強層は、環状要素(2)の引張り強度の0.5〜1倍の間の引張り強度を有し、環状要素(2)および補強層の組立体の引張り強度の合計は、カーカス補強体に伝達される張力の6〜8倍の間にあることを特徴とするタイヤ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明はラジアルカーカス補強体を備えたタイヤに関し、より詳しくは、この
ようなタイヤのビードの構成に関する。
【0002】 (背景技術) 欧州特許出願EP 0823341には、トレッドが載置されたクラウン補強
体と、2つのビードと、一方のビードから他方のビードへと延びている少なくと
も1つのラジアルカーカスプライとを有するタイヤが開示されている。このタイ
ヤの各ビードは次の特徴を有している。
【0003】 1)ビードワイヤがないこと。当業者ならば、「ビードワイヤ」とは、一般に
、所与の膨張圧力でカーカス補強体を係止する機能およびリム上にビードをクラ
ンピングする機能の2つの機能を満たす補強要素を意味することは理解されよう
【0004】 2)環状要素を有すること。該環状要素の長手方向の引張り強度は、同寸法の
タイヤに使用される慣用ビードワイヤに必要とされる引張り強度よりかなり小さ
くてよいが、タイヤの製造中に行われる成形、ターンアップ、シェ−ピングおよ
び加硫作業を行なうのに充分な引張り強度を有する必要がある。
【0005】 3)カーカス補強体の係止に必要な機械的強度は、一般に、前記環状要素に近
接または接触して配置される、ビード補強層と呼ばれる2つの層により与えられ
る。各ビード補強層は、各層内で互いに平行でかつ1つの層から他の層にかけて
交差しかつ周方向に対して0°より大きいが、最大でも10°に等しい角度を形
成する補強要素を有している。
【0006】 このようにして形成されたタイヤのビードは、装着リムへの連結を行なうため
の軸線方向外方かつ半径方向内方のゴム層として、ヒステリシス損および厚さが
小さいゴム配合物を使用できる。この結果、タイヤの重量が低減され、かつ速度
特性および耐久性を高いレベルに維持しつつ、転がり抵抗を大幅に低減できる。
【0007】 それにもかかわらず、対象とするタイヤは、いつでもきちんとリムに装着でき
る完全な能力を備えておらず、伝えられているところ同一である幾つかのタイヤ
は、装着に関する矯正すべき欠陥を有している。
【0008】 (発明の開示) これらの欠点を解消するため、本発明は、ビードを構成する要素の引張り強度
のより良い分散を提供する。かくして、本発明によるタイヤは、トレッドが載置
されるクラウン補強体を有し、トレッドは両側壁により両ビードに結合され、両
ビード間には少なくとも1つのカーカス補強プライが延びており、該カーカス補
強プライは環状要素の回りに巻き付けることにより各ビード内に係止され、環状
要素の引張り強度は同寸法の慣用タイヤのビードワイヤの引張り強度より小さく
、少なくとも2つのビード補強層を更に有し、該ビード補強層は環状要素に接触
しておりかつ補強要素で形成され、該補強要素は、各補強層内で互いに平行に配
置され、1つの層から隣接層にかけて交差し、かつ周方向に対して0<α≦15
°の関係を満たす角度αを形成している構成のタイヤにおいて、環状要素は、推
奨膨張圧力によりカーカス補強体に伝達される張力の3〜5倍の引張り強度を有
し、環状要素の破断時の伸びは2〜6%の間にあり、全てのビード補強層は、環
状要素の引張り強度の0.5〜1倍の間の引張り強度を有し、環状要素および補
強層の組立体の引張り強度の合計は、カーカス補強体に伝達される張力の6〜8
倍の間にあることを特徴とする。
【0009】 「推奨圧力によりカーカス補強体に伝達される張力」とは、ビードワイヤの平
面内で加えられる単位長さ当りの計算された張力を意味するものと理解すべきで
ある。
【0010】 環状要素は金属、より詳しくはスチールで作られるのが好ましい。一方、ビー
ド補強層は、軽量化を図るため脂肪族ポリアミドのケーブルで形成するのが好ま
しい。2つの補強層は、環状要素の回りでターンアップされるプライの2つのス
トランドで形成するか、軸線方向に隣接する2つのプライで形成できる。
【0011】 層の組立体の「引張り強度」とは、加硫された新しいタイヤから採取される全
ての層の試料に加えられる牽引力により得られる最大引張り強度を意味するもの
と理解すべきである。
【0012】 既知のように、ビードの軸線方向および半径方向外方にはリムとの連結を行な
うためのゴム配合物の層が配置され、該層は、好ましくは最大でも2mmの厚さ
を有し、ゴム配合物は1より小さい弾性損失係数(modulus of elastic loss)
G″を有し、G″は、MPa(メガパスカル)で表され、かつ10%剪断、50
°および10Hzの周波数で測定される。
【0013】 (発明を実施するための最良の形態) 本発明の特徴は、本発明の実施形態を非制限的態様で示す添付図面を参照して
述べる以下の説明からより良く理解されよう。
【0014】 本発明によるタイヤは、図1の子午線方向断面図に示すように、トレッド(図
示せず)が載置されるクラウン補強体を有している。トレッドは、一方のビード
Bから他方のビードへと連続的に延びているラジアルカーカスプライ(1)によ
り補強された側壁(3)により各ビードBに結合されている。図1に示す第一実
施形態の場合には、環状要素(2)の回りにビード補強プライ(4)が巻かれて
2つのストランド(41)、(42)を形成している。これらのストランド(4
1)、(42)は脂肪族ポリアミドの補強要素で形成されており、該補強要素は
、各ストランド内で互いに平行であるが、一方のストランド(41)から他方の
(42)にかけて交差し、周方向に対して5°の角度αを形成している。両スト
ランド(41)、(42)の端部は異なる高さH41、H42に位置している。
これらの高さは、タイヤの回転軸線に最も近い環状要素(2)の点を通りかつ回
転軸線に平行な直線(この直線は、基準直線Dと呼ぶ)に対して垂直な線上で測
定したものである。図1では、高さH41は高さH42より大きいが、逆に高さ
H42を高さH41より大きくしても良い結果が得られる。両ストランド(41
)、(42)の間でかつ環状要素(2)の半径方向上方には、実質的に三角形の
クサビの形態をなす、ゴム配合物からなる異形要素(5)が配置されており、該
異形要素(5)の半径方向上端部は、基準直線Dから距離H5の高さに位置して
いる。図示の例では異形要素(5)が設けられているが、該異形要素(5)は必
須のもではなく、異形要素(5)を設けないで、補強プライ(4)のターンアッ
プストランド(42)をストランド(41)に直接接触させることができる。
【0015】 環状要素(2)の周方向に測定した引張り強度は、同寸法のタイヤのビードワ
イヤに要求される引張り強度よりかなり小さいが、冒頭で引用した欧州特許出願
に開示された環状要素の引張り強度より非常に大きい。より正確には175/7
0 R 13の寸法のタイヤについて、慣用タイヤの金属ビードワイヤは約2,0
00daNの引張り強度を有し、上記欧州特許出願の環状要素は同条件で測定し
て200daNの引張り強度を有するのに対し、本発明によるタイヤの環状要素
(2)は約1,000daNの引張り強度を有する。前記環状要素(2)は、ほ
ぼ1mmの直径を有する7本の基本ワイヤで形成されており、これらの基本ワイ
ヤは一体に編組されている。これらのワイヤは、適当な熱処理(例えば、欧州特
許611 669に開示の熱処理を参照)を施すと、約6%の高い伸びをもつと
いう特別な特徴を有し、これは、慣用のスチールワイヤで得られる伸びより大き
く、ここで対象とする「編組」型の環状要素(2)に使用することにより環状要
素は約2%だけ伸びることができるようになる。引張り強度の増大、従って環状
要素(2)に使用される材料およびワイヤの増大により、周方向の曲げおよび要
素の平面に対して垂直な方向の曲げを受けたときに、タイヤの欠陥のある装着を
顕著に改善するか解消できる強度を前記要素に付与できる。なぜならば、本発明
者により証明された装着能力の欠陥の真の原因は、引張り強度が不足する環状要
素が曲げ応力を受けたときの剛性の欠如によるという事実にあるからである。
【0016】 「スタック」型(要素が得られるまで、幾層かに亘ってワイヤが巻回された形
式)の環状要素の場合には、前記大きい伸びをもつワイヤを用いて、約4%のビ
ードワイヤ伸びを得ることができる。
【0017】 大きい伸びが得られるため、膨張圧力の作用を受けたときにカーカスプライ(
1)に生じる応力を緩和する機能において、ビード補強プライの存在の有効性を
高めることができる。引張り強度が非常に小さい環状要素を使用する場合には、
ビード補強プライ(単一または複数)は応力の殆ど大部分を吸収するが、本発明
では前記応力は良く分散される。この形式の分散は、ビードプライの補強要素が
受ける応力に優れた効果を及ぼす。補強プライが事実上全ての応力を吸収する場
合に悪影響を受けるのは、主として、環状要素に近接して配置された補強要素で
あるが、このようなことは本発明によるタイヤでは生じない。
【0018】 図2の実施形態では、環状要素(2)の回りでターンアップされる補強プライ
(4)が2つの補強プライ(51)、(52)により置換されている。これらの
補強プライ(51)、(52)の半径方向内方の端部は環状要素(2)に接触し
ており、半径方向外方の端部は基準直線Dから半径方向距離H51、H52に位
置している。これらの距離H51、H52は、それぞれ、前述の距離H41、H
42に等しい。半径方向距離H51、H52が、それぞれ、半径方向距離H41
、H42に等しい場合に、図1の例は軸線方向内方のストランド(41)より短
い軸線方向外方のストランド(42)を示しているが、軸線方向外方のプライ(
52)を軸線方向内方のプライ(51)より長くすることは本発明の範囲から逸
脱するものではない。補強プライ(51)、(52)は、前の実施形態のストラ
ンドと同じ補強要素で形成されるが、両補強プライ(51)、(52)は互いに
軸線方向に隣接して配置され、かつ一方ではカーカスプライ(1)の主要部に対
して軸線方向に隣接し、他方ではカーカスプライ(11)のターンアップ(10
)に対しても軸線方向に隣接して配置される。また、ターンアップ(10)は軸
線方向外方のプライ(52)に隣接して配置される。ターンアップ(10)は、
最短補強プライの半径方向上端部の高さより大きく、かつ最長補強プライの端部
の高さより小さい高さHRNCを有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるビードの第一実施形態を示す概略図である。
【図2】 本発明によるビードの第二実施形態を示す概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B60C 15/06 B60C 15/06 N (72)発明者 アウアント ミシェル フランス エフ−63530 アンヴァル リ ュ ド ムー 45

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレッドが載置されるクラウン補強体を有し、トレッドは両
    側壁(3)により両ビードBに結合され、両ビードB間には少なくとも1つのカ
    ーカス補強プライ(1)が延びており、該カーカス補強プライ(1)は環状要素
    (2)の回りに巻き付けることにより各ビードB内に係止され、環状要素(2)
    の引張り強度は同寸法の慣用タイヤのビードワイヤの引張り強度より小さく、少
    なくとも2つのビード補強層(41、42、51、52)を更に有し、該ビード
    補強層は環状要素(2)に接触しておりかつ補強要素で形成され、該補強要素は
    、各補強層内で互いに平行に配置され、1つの層から隣接層にかけて交差し、か
    つ周方向に対して0<α≦15°の関係を満たす角度αを形成している構成のタ
    イヤにおいて、環状要素(2)は、推奨膨張圧力によりカーカス補強体に伝達さ
    れる張力の3〜5倍の引張り強度を有し、環状要素(2)の破断時の伸びは2〜
    6%の間にあり、全てのビード補強層は、環状要素(2)の引張り強度の0.5
    〜1倍の間の引張り強度を有し、環状要素(2)および補強層の組立体の引張り
    強度の合計は、カーカス補強体に伝達される張力の6〜8倍の間にあることを特
    徴とするタイヤ。
  2. 【請求項2】 前記環状要素(2)は金属であることを特徴とする請求項1
    記載のタイヤ。
  3. 【請求項3】 前記ビード補強層は脂肪族ポリアミドのケーブルで形成され
    ていることを特徴とする請求項1または2記載のタイヤ。
  4. 【請求項4】 前記ビードBの軸線方向および半径方向外方に配置された、
    リムとの連結を行なうためのゴム配合物の層(7)は最大でも2mmの厚さを有
    し、ゴム配合物は1より小さい弾性損失係数(modulus of elastic loss)G″
    を有し、G″は、MPa(メガパスカル)で表され、かつ10%剪断、50°お
    よび10Hzの周波数で測定されることを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
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