JP2003509183A - ブライン溶液中の金属イオン濃度を低下させる方法 - Google Patents

ブライン溶液中の金属イオン濃度を低下させる方法

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JP2003509183A
JP2003509183A JP2001518354A JP2001518354A JP2003509183A JP 2003509183 A JP2003509183 A JP 2003509183A JP 2001518354 A JP2001518354 A JP 2001518354A JP 2001518354 A JP2001518354 A JP 2001518354A JP 2003509183 A JP2003509183 A JP 2003509183A
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シルバ,ジェームズ・マニオ
フースト,ドナルド・フランクリン
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01DCOMPOUNDS OF ALKALI METALS, i.e. LITHIUM, SODIUM, POTASSIUM, RUBIDIUM, CAESIUM, OR FRANCIUM
    • C01D3/00Halides of sodium, potassium or alkali metals in general
    • C01D3/14Purification
    • C01D3/145Purification by solid ion-exchangers or solid chelating agents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、水溶性キレート剤を含むブライン溶液から不純物を除去する方法に関する。この方法は、a)ブライン溶液のpHを約2〜約4のpHに調節する段階と、b)ブライン溶液から多価金属カチオンを除去できる官能基を有する第一の官能化樹脂にブライン溶液を流す段階と、c)ブライン溶液のpHを約9〜約11.5のpHに調節する段階と、d)ブライン溶液からアルカリ土類金属カチオンを除去できる官能基を有す第二の官能化樹脂にブライン溶液を流す段階とを含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属キレート剤を含有するブライン溶液中の多価金属カチオンの濃
度を低下させる方法に関する。具体的には、本発明は、膜式電解槽を使用してブ
ライン溶液中の多価金属カチオンの濃度を低下させる方法に関する。このブライ
ン溶液は縮合ポリマー製造プロセスの生成物であり、グルコン酸ナトリウムのよ
うな水溶性キレート剤を含有する。
【0002】
【発明の技術的背景】
縮合ポリマーの製造ではブライン溶液が副生物として生じることが多々ある。
例えば、ブライン溶液は、水酸化ナトリウム水溶液存在下、有機溶剤中でのホス
ゲンと1種類以上のビスフェノール化合物との反応によるポリカーボネート樹脂
の製造の際に生じる。一般的な例は、水酸化ナトリウム水溶液存在下ジクロロメ
タン中でのビスフェノルーAとホスゲンとの反応によるビスフェノールAポリカ
ーボネートと塩化ナトリウム溶液を生じる反応である。
【0003】 生産コストを下げるとともに環境汚染を防ぐため、かかるブライン溶液は、塩
素ガスと水酸化ナトリウム溶液と水素ガスを生じる電気分解用クロルアルカリプ
ラントに再循環することが多い。かかるクロルアルカリプラントにおける電解槽
は大抵は陽極室と陰極室とを備えていて、その間に適当なセパレータが設けられ
る。セパレータの目的は、電解槽内で陽極液と陰極液とを分離することにある。
セパレータは水に対して少なくとも部分的に多孔質とし得る。電解槽に用いられ
るセパレータの種類には隔膜(ダイヤフラム)と膜(メンブラン)がある。
【0004】 膜式電解槽の運転中、イオン交換膜セパレータが固形物質で次第に目詰まりし
、水及び溶解種が陽極液から陰極液へと移動するのが遅れることがある。セパレ
ータの目詰まりは、電解槽の運転効率を下げるとともに、電気分解生成物の生成
速度を下げる。目詰まりが臨界点に達すると、往々にしてセパレータの予想耐用
年数に達する前にセパレータを交換しなければならない。電解槽の運転を最も経
済的に行うには、槽のセパレータの寿命をできるだけ延ばす必要がある。
【0005】 縮合ポリマーの製造で副生物として生ずるブライン溶液は、有機夾雑物及び無
機夾雑物を共に含んでいることが多い。有機夾雑物には、残留溶剤、触媒、並び
にモノマー及び低分子量オリゴマーなどの水溶性有機種などがある。無機夾雑物
には、多価アルカリ土類金属及び遷移金属カチオン、特に鉄、カルシウム及びマ
グネシウムなどがある。かかる1種類以上の夾雑物を含むブライン溶液を電気分
解すると、電解槽のセパレータの表面及び内部に有機種及び金属種が析出して目
詰まりを起こしかねない。電解槽のセパレータの寿命を最大限に延ばすには、供
給ブライン溶液中の夾雑有機種及び多価金属カチオンの濃度を経済的に可能な限
りできるだけ低い水準に抑えなければならない。
【0006】 ブラインを膜式電解槽に供給するのに適したレベルまで有機及び無機夾雑物の
濃度を下げるため、一次及び二次ブライン処理が多用される。一次ブライン処理
では、モル過剰の炭酸イオンの存在下でブラインのpHを約10超まで上げてア
ルカリ土類金属及び遷移金属を炭酸塩又は水酸化物として沈澱させ、次いで濾過
又は清澄化などの沈降プロセスを行う。さらに続けて、ブラインの酸性化及びス
トリッピングを行って、炭酸イオン及び有機溶剤や溶解触媒などの有機夾雑物を
除去する。必要に応じて吸着などの追加処理を利用して、ブラインから単量体及
び低分子量オリゴマーなどの有機種を除去してもよい。
【0007】 二次ブライン処理では、ブラインpHを約8〜11に調節し、ブラインをアミ
ノメチルホスホン酸官能化ポリスチレン樹脂(AMP樹脂)やイミノ二酢酸官能
化ポリスチレン樹脂(IDA樹脂)のようなキレート性イオン交換樹脂で処理す
る。これらの樹脂はいずれもキレート性カチオン交換樹脂であり、二次ブライン
処理のためクロルアルカリ産業で常用されているが、特にAMP樹脂が多用され
る。この処理で、概して、カルシウムやマグネシウムのようなアルカリ土類金属
イオンの濃度が膜式電解槽での使用に許容可能なレベルまで低下する。典型的な
膜式電解槽では、ブライン中のカルシウムとマグネシウムの合計濃度が20pp
b未満であることが必要とされる。
【0008】 一次及び二次ブライン処理からなる方法は、膜式電解槽の規定レベルまでブラ
イン溶液中の不純物濃度を下げるのに有効である。アルカリ土類金属の濃度は膜
式電解槽の運転に特に重要である(カルシウムとマグネシウムの合計20ppb
)。しかし、ポリカーボネート製造プロセスのような縮合ポリマー製造プロセス
から得られたブライン溶液を一次及び二次ブライン処理で処理すると、処理した
ブライン中のアルカリ土類金属カチオンの濃度が許容レベルを超え、膜式電解槽
セパレーターが予想外に速い速度で目詰まりを起こし、早期故障に至ることが判
明した。
【0009】 入念な実験の結果、かかるブライン溶液の電気分解時のセパレータの急速な目
詰まりの原因が、主に供給ブライン中に残留するカルシウムとマグネシウムに由
来するアルカリ土類金属水酸化物が電解槽のセパレータの表面及び内部に析出す
ることにあるとの知見を得た。分析の結果、一次及び二次ブライン処理後も非常
に低濃度のアルカリ土類金属カチオンが依然として電解槽供給用ブライン中に存
在していることが判明した。いかなる理論にも束縛されるものではないが、この
問題の原因はブライン溶液中の水溶性キレート剤の存在によるものであると考え
られる。キレート剤は遷移金属カチオンの若干を水溶性錯体として保ち、かかる
錯化カチオンは一次ブライン処理時に塩として沈澱しなくなる。こうした錯化遷
移金属カチオンは二次ブライン処理時にアルカリ土類金属カチオンよりも強くイ
オン交換樹脂に結合する。そのため、イオン交換処理(二次ブライン処理)時に
、こうした遷移金属カチオンがアルカリ土類金属カチオンと置き換わってアルカ
リ土類金属カチオンをイオン交換樹脂からブライン溶液中に遊離させる。追い出
されたアルカリ土類金属カチオンはブラインと共にイオン交換カラムから流出し
て、電解槽中の膜セパレーター表面及びその内部に析出する。キレート剤は典型
的には、グルコン酸アニオンなどの糖酸である。
【0010】 グルコン酸アニオンは、鉄(III)、ニッケル(II)及びクロム(III)などの
多価遷移金属カチオンの一部と水溶性錯体を形成させるため、縮合ポリマー製造
プロセスでグルコン酸ナトリウムの形態で添加されることがよくある。錯化は、
遷移金属塩が製造設備に沈澱しポリマー生成物を汚染するのを防ぐので有益であ
る。鉄(III)を例にとると、グルコン酸アニオンは鉄グルコン酸錯体を形成し
て鉄をブライン溶液に溶解し、実質的に夾雑鉄を含まないポリマー生成物を生じ
る。しかし、ブライン溶液を一次ブライン処理する際に、鉄(III)などの遷移
金属種のうちグルコン酸錯体として存在する部分は強くキレートしたまま残り、
一次ブライン処理の終了後も溶液中に留まる。こうしたグルコン酸鉄(III)の
ような遷移金属グルコン酸錯体はアルカリ土類金属カチオンよりもはるかに強く
AMP樹脂及びIDA樹脂に結合する。そのため、グルコン酸鉄(III)を含有
するブラインがキレート性イオン交換樹脂ベッドに入り込むと、アルカリ土類金
属カチオンは樹脂から追い出されて、通例グルコン酸錯体としてブライン中に溶
解する。こうした条件下では、二次ブライン処理を終えたブラインに対する20
ppbというアルカリ土類金属カチオン規格を達成できない。アルカリ土類金属
−グルコン酸錯体のような金属−グルコン酸錯体を含有するブラインが膜式電解
槽に入ると、グルコン酸錯体が塩素による酸化によって壊され、アルカリ土類金
属の少なくとも一部が膜の表面及び内部に析出する。析出したアルカリ土類金属
種は膜の目詰まりを徐々に起こし、電解化学槽での生産速度を低下させ、膜の早
期故障を招く。
【0011】 水溶液から金属カチオンを除去する方法は幾つか報告されている。キレート性
イオン交換樹脂を用いた水溶液からの多価金属カチオンの除去は公知である。例
えば、Yokota他(米国特許第4119508号)は、キレート性イオン交
換樹脂を用いて、水溶性金属キレート剤の不在下でブライン溶液からカルシウム
及びマグネシウムカチオンを除去している。Kelly(米国特許第44500
57号)は、AMBERLITE(登録商標)IRC−718(Rohm an
d Haas社)を用いて、水溶性金属キレート剤の不在下でpH2〜3のブラ
インからアルミニウム(III)を除去している。Courduvelis他(米
国特許第4303704号)は、酸性又はアルカリ性いずれかのpHでAMBE
RLITE(登録商標)IRC−718樹脂を用いて、無電解めっき法由来のア
ルカノールアミンなどのキレート剤を含有する非ブライン水溶液から、極めて高
濃度の銅イオン又はニッケルイオンを回収して再利用している。しかし、これら
の方法は、縮合ポリマー製造プロセスから得られる水溶性金属キレート剤を含有
するブライン溶液中のアルカリ土類金属イオン濃度を膜式電解槽規格値まで低下
させることに対処したものではない。
【0012】 本願出願人に譲渡された係属中の米国特許出願第09/177588号には、
水溶性金属キレート剤を含有するブライン溶液を電気分解するための電解槽の好
ましくは隔膜式セパレーターの寿命を延ばす方法が開示されている。
【0013】 隔膜式セパレーターは大抵は多孔質アスベスト又はポリテトラフルオロエチレ
ンから実質的になる。対照的に、膜式セパレーターは大抵は実質的に非多孔質高
分子膜のイオン交換樹脂からなり、ナトリウムのようなアルカリ金属カチオンを
選択的に陽極液から陰極液へ通すがアニオンは通さず、陰極液から陽極液への水
酸化物アニオンの逆移動を実質的に遅らせる。
【0014】 そこで、縮合ポリマー製造プロセスから得られる水溶性金属キレート剤を含有
するブライン溶液中の多価金属カチオン(特にアルカリ土類金属カチオン)の濃
度を実質的に低下させる方法に対するニーズが存在する。かかる方法は、電解槽
セパレータの表面及び内部での金属種の析出速度を下げることによって膜などの
電解槽セパレータの寿命の早期化を遅らせ、セパレータの寿命を延ばす手段を提
供する。さらに、アスベスト隔膜を膜式セパレーターで置き換えるのが望ましい
であろう。アスベストは健康及び環境面で問題がある。また、将来のアスベスト
供給は不確かである。市販の非アスベスト系隔膜材料は、有害な材料であるアス
ベストをなくすことができるだけでなく、電気使用量の低下及び隔膜の長寿命化
によるコスト削減の可能性もある。可溶性キレート剤を含有する縮合ポリマー製
造ブラインを膜式電解槽規格まで精製できるプロセスを確立できれば、かかるブ
ラインの塩素及び苛性ソーダへの変換に膜式電解槽を使用できるようになる。
【0015】
【発明の概要】
一つの態様では、本発明は、水溶性キレート剤を含むブライン溶液から不純物
を除去する方法であって、 a)ブライン溶液のpHを約2〜約4のpHに調節する段階、 b)ブライン溶液から多価金属カチオンを除去できる官能基を有する第一の官能
化樹脂にブライン溶液を流す段階、 c)ブライン溶液のpHを約9〜約11.5のpHに調節する段階、及び d)ブライン溶液からアルカリ土類金属カチオンを除去できる官能基を有する第
二の官能化樹脂にブライン溶液を流す段階 を含んでなる方法に関する。
【0016】 本発明はさらに、水溶性金属キレート剤を含有するブライン溶液を電気分解す
るための電解槽の膜式セパレータの寿命を延ばす方法も提供する。一次ブライン
処理段階でブライン溶液を前処理するのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明及び詳細な説明を参照す
ると本発明がより容易に理解されよう。
【0018】 本発明の方法を開示・説明するに当たり、本発明は特定の方法や個々の配合に
限定されないことを理解されたい。これらはいうまでもなく種々変更し得るから
である。また、本明細書中で用いる用語は専ら特定の実施形態を説明するための
ものであり、限定を意図したものではないと理解されたい。
【0019】 本明細書及び請求の範囲では多くの用語を用いるが、以下の意味で定義される
ものである。
【0020】 単数形で記載したものであっても、前後関係から明らかでない限り、複数の場
合も含めて意味する。
【0021】 本明細書中では、「ブライン溶液」とは、特に限定されないが、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム又はこれらの混合物を始めとするアルカリ金属ハロゲン化物の
水溶液と定義される。
【0022】 「原料ブライン溶液」は、未処理又は未精製のブライン溶液である。
【0023】 「任意」又は「任意には」という用語は、その用語に続いて記載された事象又
は状況が起きても起きなくてもよいことを意味しており、かかる記載はその事象
が起きた場合と起こらない場合を包含する。
【0024】 本発明で考えられる原料ブライン溶液は、縮合ポリマー製造プロセスのような
製造プロセスの副生物として得られる。ブライン溶液を副生物として生じ得る縮
合製造プロセスとしては、特に限定されないが、ポリカーボネート、ポリエステ
ル、ポリアリーレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、
ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポ
リアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドスルホンなどの製造のた
めの縮合プロセスがある。
【0025】 例えば、ポリカーボネートの製造プロセスでは、有機溶剤中で、水酸化ナトリ
ウム水溶液のようなアルカリ金属水酸化物水溶液の存在下、1種類以上のビスフ
ェノールをホスゲン又はオリゴマー状カーボネートクロロホルメートのようなカ
ーボネート前駆体と反応させてポリカーボネートを合成する際に、副生物として
塩化ナトリウム水溶液が生ずる。かかるプロセスで製造できる代表的なポリカー
ボネート及びポリカーボネート共重合体としては、特に限定されないが、ビスフ
ェノールAポリカーボネート、3,3′5,5′−テトラメチルビスフェノール
Aポリカーボネート、3,3′5,5′−テトラブロモビスフェノールAポリカ
ーボネート及びこれらの混合物がある。
【0026】 電解槽に再循環する前に、槽の最も効率的な運転を行うため、ブライン溶液中
のアルカリ金属ハロゲン化物(例えば塩化ナトリウム)の濃度を高めてもよい。
塩化ナトリウム濃度は、補給塩の添加によって高めることができる。補給塩は、
例えば天然の地表堆積物から、又は海水を蒸発して得られる塩化ナトリウムであ
る。
【0027】 精製に付されるブライン溶液中の塩化ナトリウム量は、溶液1リットル当たり
約50gの濃度から所与の温度における塩化ナトリウムの飽和濃度までである。
好ましくは、塩化ナトリウム濃度は、溶液1リットル当たり約100〜約320
g、さらに好ましくは溶液1リットル当たり約180〜約315gである。
【0028】 典型的には、ブライン溶液副生物は縮合ポリマー生成物から分離され、塩化ナ
トリウムの濃度を高めて夾雑物を除去する各種処理段階を経た後、電解槽へ再循
環され、塩素ガス、水酸化ナトリウム溶液及び水素ガスを生成する。適当な電解
槽は陽極室と陰極室とを備えており、その間に適当なセパレータを設けて電解槽
内の陽極液及び陽極で発生した塩素ガスと陰極液及び陰極で発生した水素ガスと
を分離する。任意には、セパレータは、水に対して少なくとも部分的に多孔質と
し得る。一般に、陽極室と陰極室との分離には膜セパレーターを用いる。
【0029】 膜セパレータは、陽極液から陰極液へアルカリ金属カチオンを選択的に通すが
アニオンは通さず、陰極液から陽極液への水酸アニオンの逆行を実質的に遅らせ
るイオン交換樹脂からなるものとし得る。
【0030】 電解槽の運転時には、固形種が膜の表面及び内部に徐々に析出しかねない。そ
のため全体的性能低下を起こし、電流効率が低下し、槽電圧が高くなり、塩素単
位生産量当たりの電力消費量が増すことになる。膜式電解槽に対する不純物の影
響は、DuPont社から公表されたレポート“Effect of Impu
rities on Membrane for Chloralkali P
roduction”, James T. Keating, E.I. D
uPont de Nemours and Company(米国デラウェア
州ウィルミントン)に記載されている。クロルアルカリプロセスの詳細は、Ki
rk−Othmer Encyclopedia of Chemical T
echnology,第4版,第1巻,938〜1025頁(1991)L.C
.Curlin,T.V.Bommaraju及びC.B.Hansson著“
Alkali and Chlorine Products: Chlori
ne and Sodium Hydroxide”に記載されている。
【0031】 膜の寿命を最大限に延ばすとともに電解槽の運転効率を最大限に高めるため、
電気分解前のブライン溶液を精製段階に付して夾雑物を除去する。夾雑物には、
ポリマー製造プロセス由来のものと、ポリマー製造プロセスから再循環したブラ
インにしばしば添加される補給塩由来のものとがある。典型的な夾雑物には、フ
ェノール種、有機触媒及び溶剤残留物、並びにアルカリ土類金属カチオンや遷移
金属カチオンなどの金属種がある。夾雑物除去のための精製段階は、金属を沈澱
させるための炭酸イオン及び水酸イオンの添加、清澄化、濾過、揮発物ストリッ
ピング、極性有機不純物を除去するための吸着剤との接触、並びに多価金属カチ
オンの濃度を低下させるためのイオン交換のような処理のうちの1段以上の段階
を含む。
【0032】 原料ブライン溶液中に多々存在するアルカリ土類金属カチオンには、カルシウ
ムとマグネシウムがある。原料ブライン溶液中のカルシウム及びマグネシウムの
濃度は各々独立に、百万部当たり約0.005部(ppm)〜約2000ppm
の範囲内にあり、好ましくは約0.005ppm〜約400ppmの範囲内、さ
らに好ましくは約0.005ppm〜約10ppmの範囲内である。膜の寿命及
び電解槽の運転効率を最大にするため、精製した電解槽供給用ブライン溶液中の
カルシウムとマグネシウムの合計濃度は最も好ましくは約20ppb未満である
【0033】 原料ブライン溶液中に多々存在する遷移金属カチオンなどの多価カチオンには
、鉄、クロム及びニッケルがある。本発明の精製プロセス前のブライン溶液中の
鉄、クロム及びニッケルの濃度は各々独立に、約0.001ppm〜100pp
mの範囲内にあればよく、好ましくは約0.001ppm〜約10ppmの範囲
内、さらに好ましくは約0.001ppm〜約2ppmの範囲内とし得る。膜の
寿命及び電解槽の運転効率を最大にするとともに膜式電解槽供給ブライン中のア
ルカリ金属カチオン濃度の規格値を達成するため、精製ブライン溶液中の鉄及び
クロム濃度は最も好ましくは各々独立に、約0.001ppm〜約0.1ppm
であり、精製ブライン溶液のニッケル濃度は最も好ましくは約10ppb未満で
ある。特に、供給ブライン中に鉄が存在すると、精製ブライン中のアルカリ土類
金属カチオンの膜規格レベルの達成が妨げられ、電解槽の膜の目詰まりを起こす
ことが判明した。
【0034】 本発明のブライン溶液は、多価金属カチオン(特に遷移金属カチオン)と水溶
性錯体を形成し得る水溶性金属キレート剤を含む。典型的な水溶性金属キレート
剤には、N,N,N′,N′−エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ
三酢酸(NTA)、グルコン酸及びこれらのナトリウム塩がある。本発明のブラ
イン溶液ではグルコン酸ナトリウムが特に好ましい。本発明の精製プロセス前の
ブライン溶液中の水溶性金属キレート剤の好ましい濃度は約10ppm〜約20
00ppmであり、さらに好ましい濃度は約50ppm〜約1200ppmであ
る。
【0035】 一般に、膜セパレーターは隔膜セパレーターよりも夾雑物に対する感受性が強
い。膜式電解槽の性能に影響を与える不純物で、縮重合プロセス由来のブライン
中に存在し得る不純物としては、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、
バリウム、ニッケル、水銀、アルミニウム、鉄及びシリカがあるが、これらに限
定されない。
【0036】 不純物が膜に与える影響は様々であり、系が目詰まりを起こすまでに存在し得
る各種不純物の量は種々異なる。例えば、カルシウム及びマグネシウムは約20
ppbで水酸化物として膜に沈殿し始める。ストロンチウムは約500ppbで
膜に沈殿し始める。バリウムは約1ppmで膜に沈殿し始める。約10g/lの
濃度硫酸ナトリウムは電解槽の効率低下をもたらす。
【0037】 上述の通り、ブライン溶液はグルコン酸ナトリウムのような水溶性金属キレー
ト剤を含んでいる。グルコン酸ナトリウムのような水溶性金属キレート剤は第二
鉄イオン、クロムイオン及びアルミニウムイオンのような三価カチオンに対して
強い親和性を示し、カルシウムやマグネシウムのような二価カチオンには穏やか
な親和性を示す。そのため、グルコン酸塩を含有する流れから多価カチオンを除
去するプロセスはこの相互作用に打ち勝たなければならない。
【0038】 錯体金属−グルコン酸平衡によって、鉄やカルシウムなどの多価金属イオンを
含有する流れの組成が決まる。こうした平衡はブライン溶液のpHの影響を強く
受ける。例えば、鉄−グルコン酸相互作用はあらゆるアルカリ性条件下(例えば
、約8〜35重量%NaOH溶液のpH)で非常に強い。しかし、この相互作用
は酸性条件下では比較的弱い。例えば、pH2.5では、鉄の約30%はグルコ
ン酸と錯体を形成せずに遊離第二鉄イオンとして存在する。
【0039】 今回、二次ブライン処理プロセスを改良することにより、縮重合製造法の副生
物であるブライン中でアルカリ土類金属の膜規格レベルを達成できることを発見
した。具体的には、まず遷移金属を除去しておくと、アルカリ土類金属除去のた
めのイオン交換プロセスでブライン中のアルカリ金属濃度の膜規格レベルとする
ことができることを見出した。
【0040】 本発明では、改良二次ブライン処理プロセスに先だって、例えば縮重合反応か
ら得られる原料ブライン溶液を好ましくは一次ブライン処理に付す。一次ブライ
ン処理は、二次ブライン処理前のブライン溶液中の不純物を最小限にするのに役
立つ。
【0041】 上述の通り、一次ブライン処理では、モル過剰の炭酸イオンの存在下でブライ
ンのpHを約10超まで上げてアルカリ土類金属及び遷移金属を炭酸塩及び/又
は水酸化物として沈澱させ、次いで濾過又は清澄化などの沈降プロセスを行う。
さらに続けて、ブラインの酸性化及びストリッピングを行って、炭酸イオン及び
有機溶剤や溶解触媒などの揮発性有機夾雑物を除去する。必要に応じて吸着など
の追加処理を利用して、ブラインからモノマー及び低分子量オリゴマーなどの有
機種を除去してもよい。
【0042】 本発明では、一次ブライン処理後に、pH調節を利用して若干の遊離第二鉄を
生じさせる。第一段階での鉄その他の三価化学種の除去は、第二段階での二価ア
ルカリ土類金属カチオンの除去を成功させ、ブライン中のアルカリ土類金属の膜
規格レベルを達成するのに必要であり、かくして膜の目詰まりが防止される。
【0043】 本発明では、好ましくは一次ブライン処理後に、二段階プロセスを用いる。第
一段階では、ブライン溶液のpHを約2〜約4に調節し、ブライン溶液を第一の
官能化樹脂に流す。第一の官能化樹脂は、ブライン溶液から鉄カチオンを始めと
する多価金属カチオンを除去できる官能基を有する。第二段階では、ブライン溶
液のpHを約9〜約11.5に調節し、第二の官能化樹脂にブライン溶液を流す
。第二の官能化樹脂はブライン溶液からアルカリ土類金属カチオンを除去できる
官能基を有する。
【0044】 本発明の方法の第一段階では、グルコン酸塩含有ブライン溶液をその初期pH
から約2〜約4、さらに好ましくは約2.5〜約3.5、さらに一段と好ましく
は約2.5に調節する。初期pHは通例弱アルカリ性のpH8〜10であり、一
次ブライン処理後のブライン保存液に共通する。pHを所望の範囲に調節する典
型的手段として、ブライン溶液に1種以上の鉱酸を十分量添加することがある。
本発明では、塩酸が特に好ましい。
【0045】 pH調節後、ブライン溶液を第一の官能化樹脂を含む1以上の樹脂ベッドと密
に接触させる。第一の官能化樹脂は、鉄、ニッケル、アルミニウム又はこれらの
混合物を始めとする多価金属カチオンを除去できる樹脂であればどんなものでも
よい。
【0046】 第一の官能化樹脂として好適なイオン交換樹脂には、キレート性イオン交換樹
脂があるが、これに限定されない。鉄の除去に有効なキレート性イオン交換樹脂
としては、イミノ二酢酸官能化樹脂(IDA)及びアミノメチルホスホン酸(A
MP)官能化樹脂がある。AMP官能化樹脂はIDAよりも鉄結合容量が約20
%高いが、再生時に回収されるのはAMP樹脂にかけた鉄の約13〜約25%に
すぎない。このため、IDA官能化樹脂が好ましい。
【0047】 Rohm & Haas社製のAMBERLITE IRC−718又はBa
yer社製のLEWATIT TP207のような市販IDA樹脂を第一の官能
化イオン交換樹脂ベッドに使用し得る。
【0048】 第一の官能化樹脂は好ましくは、樹脂1ml当たり約0.1〜約3ミリ当量金
属イオン、好ましくは樹脂1ml当たり約0.5〜約1.5ミリ当量金属イオン
のイオン交換容量を有する。
【0049】 第一の官能化イオン交換樹脂ベッドでのグルコン酸塩含有ブライン溶液の接触
はバッチ法、連続法又は半連続法などの当技術分野で公知の方法で実施し得る。
好ましい方法では、第一の官能化イオン交換樹脂のベッドを詰めたカラムにブラ
イン溶液を流す。樹脂ベッドの金属イオン錯化容量が実質的に消耗するまでカラ
ムにブラインを流し続けることができ、錯化容量の消耗はカラムから流出するブ
ライン溶液中の夾雑金属イオン濃度の増大で知ることができる。樹脂ベッドの金
属イオン錯化容量が消耗したら、新たな樹脂ベッドを用いてさらにブライン溶液
の処理を行う。消耗したキレート性イオン交換樹脂ベッドは、当技術分野で公知
の方法で再生できる。かかる方法には、樹脂ベッドからカチオンを除くための酸
処理、次いで再使用前に樹脂をナトリウム型に戻すための塩基処理がある。イオ
ン交換法は、Kirk−Othmer Encyclopedia of Ch
emical Technology,第4版,第14巻,760〜770頁(
1995)C.Dickert著“Ion Exchange”に記載されてい
る。
【0050】 第一段階では、ブラインを連続法又は半連続法で第一の官能化イオン交換樹脂
ベッドと緊密に接触させ、樹脂ベッドに流すブラインの流量は毎時約1〜約30
樹脂ベッド体積の範囲内にある。さらに好ましくは、連続法での流量は毎時約8
〜約25樹脂ベッド体積の範囲内である。本発明でいう流量、例えば、毎時10
樹脂ベッド体積と表わす流量は、例えば毎時5ガロンのブライン溶液を0.5ガ
ロンのキレート性イオン交換樹脂と接触させることを意味する。ブライン溶液を
イオン交換樹脂ベッドと接触させる温度は約20〜90℃の範囲内であり、さら
に好ましくは約40〜約70℃、さらに一段と好ましくは好ましくは約60℃で
ある。
【0051】 第一の官能化イオン交換樹脂での処理から回収したブライン溶液に含まれる夾
雑多価金属カチオン濃度は格段に低下する。多価金属カチオンの除去量は、数あ
る要因の中でも、特に金属カチオンの初期濃度、調節したブライン溶液pH、及
びブライン溶液が接触する第一の官能化イオン交換樹脂の体積に依存する。
【0052】 典型的には、第一の官能化イオン交換樹脂と接触させた後のブライン溶液中の
鉄、クロム及びニッケルカチオン濃度は各々その検出限界未満に低下する。この
ことは、金属カチオンとグルコン酸との強い相互作用からすると驚くべきことで
ある。この強い相互作用のため、処理ブラインから除去される多価金属カチオン
夾雑物の一部は、金属キレート剤と水溶性錯体の形態で存在していたものである
。特に、上記の通り処理したブライン溶液から夾雑物として除去された鉄の相当
部分は当初水溶性グルコン酸錯体として存在していたものである。
【0053】 第一の官能化樹脂にブラインを流した後、ブライン溶液のpHを9〜約11.
5に再調節する。pHをこの範囲に調節する典型的な手段には、十分量のアルカ
リ金属化合物(例えばアルカリ金属水酸化物)をブライン溶液に添加する1以上
の段階が含まれる。
【0054】 ブライン溶液のpH調節に使用し得る好適なアルカリ金属化合物には、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム又はこれらの混合物があるが、こ
れらに限定されない。水酸化ナトリウムが好ましい。
【0055】 ブライン溶液をpH約9〜約11.5、好ましくは約10に調節した後、ブラ
インをバッチ法、連続法又は半連続法で第二の官能化イオン交換樹脂ベッドと緊
密に接触させ、樹脂ベッドに流すブラインの流量は毎時約1〜約250樹脂ベッ
ド体積、さらに好ましくは毎時約5〜約15樹脂ベッド体積の範囲内である。ブ
ライン溶液は好ましくは約20〜90℃、さらに好ましくは約40〜約70℃、
さらに一段と好ましくは好ましくは約60℃の温度で、第二の官能化イオン交換
樹脂ベッドに流す。
【0056】 第二の官能化イオン交換樹脂はブライン溶液から「硬度」を除去する機能を果
たす。本明細書中で用いる「硬度」とは、カルシウム、マグネシウム、バリウム
、ストロンチウム又はこれらの混合物を始めとするアルカリ土類金属カチオンを
いう。第二の官能化樹脂は硬度を除去できる樹脂であればどんあものでもよい。
アミノメチルホスホン酸官能化(AMP)イオン交換樹脂が好ましい。好適なA
MP樹脂には、Rohm & Haas社製のDUOLITE 467及びBa
yer社製のLEWATIT OC 1060がある。ブラインを第二の官能化
樹脂に導入する前に、グルコン酸塩含有ブラインから三価金属カチオンを除去し
ておく必要がある。
【0057】 硬度は主に第二段階で除去されるが、pHを約2〜約4に調節してブライン溶
液を第一の官能化樹脂に流すことからなる第一段階は、鉄の汚染(鉄は基本的に
不可逆的にAMP樹脂に吸着又はイオン交換される。)からAMP樹脂を保護す
るのに役立つ。
【0058】 第二の官能化イオン交換樹脂ベッドでのブライン溶液の接触はバッチ法、連続
法又は半連続法などの当技術分野で公知の方法で実施し得る。好ましい方法では
、第二の官能化イオン交換樹脂のベッドを詰めたカラムにブライン溶液を流す。
樹脂ベッドの容量が実質的に消耗するまでカラムにブラインを流し続けることが
でき、その消耗はカラムから流出するブライン溶液中の夾雑アルカリ土類金属カ
チオン濃度の増大で知ることができる。樹脂ベッドの金属イオン錯化容量が消耗
したら、新たな樹脂ベッドを用いてさらにブライン溶液の処理を行う。消耗した
イオン交換樹脂ベッドは、当技術分野で公知の方法で再生できる。
【0059】 本発明の方法で処理したポリマー製造プロセス由来のブライン溶液を電解槽で
電気分解すると、かかる槽内のセパレータの呈する寿命は大幅に延びる。寿命が
延びるのは、ブライン溶液中の夾雑多価金属カチオン由来の固体種のセパレータ
表面及びセパレータ内部での析出が低減するためである。特に、電解槽内の膜式
セパレータは、本発明の方法で処理したブラインを用いると寿命が大幅に延びる
【0060】 本発明をその好ましい実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の技
術的思想及び技術的範囲内で様々な変更及び修正をなすことができる。特に、膜
式電解槽に関して本発明を説明してきたが、本明細書に記載したプロセスはその
他のプロセス、例えば分離用隔膜を利用するものにも使用できる。
【0061】
【実施例】
以下の実施例は、本願特許請求の範囲に記載した物及び方法をいかに実施し評
価するかを当業者に十分に開示し説明するためのものであって、本発明者らが思
料する発明の範囲を限定するものではない。数値(例えば量、温度など)に関し
ては正確を期したが、若干の誤記及びずれについては釈明する用意がある。特記
しない限り、部は重量部であり、温度は摂氏単位又は室温である。また、以下に
記載するプロセスでは、特記しない限り、圧力は大気圧又は大気圧付近である。
【0062】 実施例1 硬度及び重金属の膜電解槽ブライン規格レベルを達成するためにブラインを二
段階で処理した。第一段階では、イミノ二酢酸官能化キレート性イオン交換樹脂
(IDA樹脂)によって低pHでブラインを処理して重金属を除いた。第二段階
では、アミノメチルホスホン酸官能化キレート性イオン交換樹脂(AMP樹脂)
を用いて高pHでブラインを処理して硬度を除いた。この2つの段階の詳細は表
IIに示す。ブラインは300g/lのNaClと80ppmのグルコン酸ナトリ
ウムを含んでいた。粗ブライン及び精製ブラインの組成を表Iに示す。
【0063】 本実施例は、本発明のプロセスを使用すれば、80ppmグルコン酸ナトリウ
ム存在下で硬度及び重金属の膜電解槽規格ブライン不純物レベルを達成できるこ
とを示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】 実施例2 本実施例は、本発明のプロセスを使用すれば、350ppmグルコン酸ナトリ
ウム存在下で硬度及び重金属の膜規格ブライン不純物レベルを達成できることを
示す。
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】 比較例3 本例は、グルコン酸塩含有ブライン中の硬度を除く前に鉄を除いておく必要性
があることを示す。
【0070】 供給ブラインは、0.32ppm鉄、2.0ppmCa、0.81ppmMg
、390ppmグルコン酸ナトリウムを含んでいた。ブラインは300g/lの
NaClを含んでいた。
【0071】 供給pH 9〜10 供給速度 3.3ベッド体積/時 温度 60℃
【0072】 本例では、ブラインで実施したイオン交換は1段階のみであった。鉄その他の
重金属を最初に除くことなく、AMP型樹脂を用いてブラインを処理して硬度を
除いた。生成物の硬度レベルはMgが<10ppmで、Caが50ppbであり
、カルシウムに関する膜電解槽規格を超えていた。いかなる理論にも束縛される
ものではないが、供給材料中に鉄が(グルコン酸鉄錯体として)存在すると、イ
オン交換樹脂から連続的にカルシウムと置き換わりカルシウムのイオン交換プロ
セスを妨害したものと考えられる。
【0073】 比較例4 本例は、グルコン酸塩含有ブライン中の硬度を除く前に鉄を除いておく必要性
があることを示す。
【0074】 供給ブライン組成: グルコン酸ナトリウム 300ppm Mg 0.72ppm Ca 5.8ppm 鉄(Fe) 1.90ppm 供給pH 10.3 60℃ 樹脂(AMP樹脂) 50gm ブライン供給速度 14gm/分(12.6ベッド体積/時)
【0075】 流出物の組成を表Vに示す。これは、ブラインが鉄とグルコン酸を共に含んで
いると、イオン交換樹脂は膜電解槽運転に必要なレベルまで硬度を除くことがで
きないことを示している。MgとCaの流出物濃度が共に(比較例3よりも)高
いのは、本例では鉄のレベルが(比較例3よりも)高いことに起因している。本
例は、このような条件下では鉄が部分的にしか除去されないことも示している。
【0076】 表V 時間 Fe(ppm) Ca(ppm) Mg(ppb) 24 0.42 0.14 60 48 0.64 0.14 40 72 0.90 0.25 40 96 1.09 0.43 35 120 0.674 42.4
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 フースト,ドナルド・フランクリン アメリカ合衆国、12302、ニューヨーク州、 スコウシャ、スプリング・バレー・サーク ル、1番 (72)発明者 ファイヴィ,トマス・ジョセフ アメリカ合衆国、12308、ニューヨーク州、 スケネクタデイ、ベッドフォード・ロー ド、831番 Fターム(参考) 4D025 AA09 AB19 AB20 AB22 BA08 BA17 BB08 CA06 CA08 CA10 DA05 DA06 DA10

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性金属キレート剤を含むブライン溶液から不純物を除去
    する方法であって、 a)ブライン溶液のpHを約2〜約4のpHに調節する段階、 b)ブライン溶液から多価金属カチオンを除去できる官能基を有する第一の官
    能化樹脂にブライン溶液を流す段階、 c)ブライン溶液のpHを約9〜約11.5のpHに調節する段階、及び d)ブライン溶液からアルカリ土類金属カチオンを除去できる官能基を有する
    第二の官能化樹脂にブライン溶液を流す段階 を含んでなる方法。
  2. 【請求項2】 さらに、段階a)の前に一次ブライン処理段階でブライン溶
    液を前処理する段階を含む、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 第一の官能化樹脂が鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム又
    はこれらの混合物を除去する、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 第二の官能化樹脂がカルシウム、マグネシウム、バリウム、
    ストロンチウム又はこれらの混合物を除去する、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 さらに、e)ブライン溶液を回収する段階を含む、請求項1
    記載の方法。
  6. 【請求項6】 第一の官能化樹脂がイミノ二酢酸官能化イオン交換樹脂であ
    る、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 第二の官能化樹脂がアミノメチルホスホン酸官能化イオン交
    換樹脂である、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 段階d)で約1〜約15ベッド体積/時の空間速度でブライ
    ン溶液を第二の官能化樹脂に流す、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 ブライン溶液の温度が約20〜約90℃である、請求項8記
    載の方法。
  10. 【請求項10】 段階b)で約1〜約30ベッド体積/時の空間速度でブラ
    イン溶液を第一の官能化樹脂に流す、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 ブライン溶液の温度が約20〜約80℃である、請求項9
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 ブライン溶液の温度が約60℃である、請求項10記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 段階b)で約1〜約15ベッド体積/時の空間速度でブラ
    イン溶液を第一の官能化樹脂に流し、段階d)で約4〜約8ベッド体積/時の空
    間速度でブライン溶液を第二の官能化樹脂に流す、請求項1記載の方法。
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