JP2003502576A - 燃料噴射弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁に関するものであって、複数の機能を果たす案内板（３３）が弁座（１８）の上流側に設けられていることを特徴とする。案内板（３３）は、軸線方向に可動な弁ニードル（５）の案内と同時に、燃料流過のための機能をも果たす。このために、案内板（３３）に貫通穴（４３）が設けられており、この貫通穴（４３）が、案内領域（４４）および流過領域（４５）を外周囲に交互に有しており、案内領域（４４）によって定められた開口幅が流過領域（４５）によって定められた開口幅より小さくなっている。本発明の燃料噴射弁は、特に混合気圧縮型火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置での使用ために適している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 従来の技術 本発明は、請求項１の上位概念に記載の燃料噴射弁に関する。

【０００２】 国際公開第９３／１８２９９号明細書によりすでに公知であるのは、弁座本体
を有した燃料噴射弁で、貫通穴を有した案内エレメントが弁座本体上にのってお
り、貫通穴を貫いて弁ニードルが軸線方向に運動することができる形式のもので
ある。案内エレメントのこの内部の貫通開口は、著しく精密に、少ない公差で作
製される。なぜなら、この貫通開口に、軸線方向に運動する弁ニードルが案内さ
れるからである。この中心の貫通開口の外側には、流過のための複数の貫通穴が
案内エレメントに設けられており、この貫通穴自体は円形に形成されており、さ
らに貫通穴は均等に円形リング状に、案内エレメントに配置されている。つまり
、燃料流過経路は、中心の貫通開口の外側にある。

【０００３】 案内エレメントの上流側端面には、薄いフィルタエレメントが、別の部品とし
て付加的に構成されている。この場合、円形リング状の中央のフィルタ部位には
、無数の円形のフィルタ開口が設けられている。このフィルタエレメントは、案
内エレメントの貫通穴を完全に覆っている。

【０００４】 同様に、噴射弁に、中心の案内開口およびこの案内開口の外側に位置する流過
開口を有する案内板を、弁座の近傍に設けることは、ドイツ特許公開３９１６４
５９号明細書および米国特許５６４２８６２号明細書より、すでに公知である。

【０００５】 発明の利点 請求項１の特徴部に記載の構成を備えた本発明の燃料噴射弁は、次のような利
点を有している。すなわち、機能の統合が簡単な手段で、かつ製造の容易性およ
び少数の製造プロセスによって、特に低コストで達成される。本発明ではこの機
能の統合は、次のように達成される。すなわち、案内板として形成された部品に
、弁ニードルを軸線方向にガイドするために、ただ１つの開口を設け、この開口
が案内開口としても流過開口としても用いられるようにする。

【０００６】 請求項２以下に記載の手段によって、請求項１に記載の燃料噴射弁の別の有利
な構成と改善が可能である。

【０００７】 有利には、内部の貫通穴が、打ち抜きによって案内板に製造されている。つま
りこの場合、１回の加工段階で１つの開口が設けられ、この開口によって、弁ニ
ードルの案内が成されるとともに、燃料の貫流も実現される。別の開口は案内板
に必要でなく、したがって、別の加工プロセスも必要ではない。

【０００８】 案内板は、弁座に対して固定された位置を占めているので、作動時間に渡る不
変の、穴板での所望の燃料流入が可能になる。周囲に流動磨耗を生ぜしめる弁ニ
ードルとは対照的に、本発明の案内板を使用する場合には、噴射角誤差または貫
流誤差が生じない。このような誤差は、公知の弁ニードルにおいて、運転中に起
こりうる回動および噴射開口に対する相対位置の変化によって不都合に生じる。

【０００９】 図面 本発明の実施例を簡略的に図示し、以下に詳細に説明する。図１は、本発明の
案内板の一部を示した図であり、図２は、案内板を上から見た図である。

【００１０】 実施例の説明 図１に実施例として、混合気圧縮型火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置のた
めの噴射弁としての弁の一部が図示されている。この噴射弁は筒形の弁座保持体
１を有しており、この弁座保持体１内には、弁長手軸線２と同軸的に、長手開口
３が形成されている。この長手開口３内には、軸線方向に可動な弁ニードル５が
配置されており、この弁ニードル５はその下流側端部６に、例えばシリンダ形の
弁閉鎖体７を有している。

【００１１】 噴射弁の操作は、公知の形式で、例えば電磁的に行われる。弁ニードル５の軸
線方向の運動のために、ひいては戻しばね（図示されていない）のばね力に抗し
た噴射弁の開放もしくは閉鎖のためには、マグネットコイル１０、可動子１１、
およびコア１２を備えた概略的に示されている電磁回路が用いられる。可動子１
１は、弁閉鎖体７と反対側の、弁ニードル５の端部に、例えばレーザによる溶接
継ぎ目によって接続されていて、かつコア１２と整合されている。

【００１２】 電磁気回路を用いる代わりに、噴射弁は、圧電式にまたは磁気ひずみ的に操作
することもできる。

【００１３】 弁座本体１６は、コア１２と反対側の、弁座保持体１の下流側端部において、
弁長手軸線２と同軸的に延びている長手開口３内に溶接によって密に取り付けら
れている。不動の弁座１８を有する弁座本体１６は、弁閉鎖体７と反対側の、弁
座本体１６の下方端面１７で、例えばコップ形に形成された穴板２１に同心的に
堅く結合されている。

【００１４】 弁ニードル５の弁長手軸線２に沿った軸線方向運動中の、弁ニードル５もしく
は弁閉鎖体７の案内のために、本発明に基づき、穴板２１と反対側の、弁座本体
１６の上方端面３２に固定された案内板３３が用いられている。、弁座１８に向
かって球欠の輪郭を有するシリンダ形状の弁閉鎖体７は、弁座本体１６の、流過
方向に向かって円錐台形に先細りしている弁座１８と協働している。

【００１５】 穴板２１は、侵食、打ち抜き、またはエッチングによって成形された、少なく
とも１つの、例えば４つの噴射開口３６を有する。穴板２１の保持縁部は、円錐
形に外側に曲げられている。したがって、この保持縁部は、弁座保持体１の、長
手開口３によって規定された内壁に接触しており、半径方向に押圧がかかる。穴
板２１は、弁座保持体１の壁と、例えば溶接によって密に結合されている。

【００１６】 弁座本体１６の挿入深さは、弁ニードル５の行程の大きさを決定する。この場
合、弁ニードル５の一方の終端位置は、マグネットコイル１０が励磁されていな
い時に、弁閉鎖体７が弁座１８に当接することによって定められるのに対し、弁
ニードル５の他方の終端位置は、マグネットコイル１０が励磁している時に、コ
アの下方端部に可動子１１が当接することによって定められる。

【００１７】 案内板３３は、長手開口３内での弁ニードル５の軸線方向の運動中に、弁座１
８での過剰の磨耗、および弁座１８と噴射開口３６との間の非対称な流れ状態を
防止するために、弁ニードル５を半径方向で案内するのに用いられている。さら
に案内板３３は、燃料が、案内板３３の上流側にある弁内室から、弁座１８まで
到達することができるように、燃料が貫流するための機能も果たしている。案内
板３３は、約８０μｍ〜１５０μｍの厚さを有している。通常、案内板３３の作
製は、打ち抜き、エッチング、または電気メッキによる成形（ＬＩＧＡおよびＭ
ＩＧＡ技術）によって行われる。

【００１８】 図２では、案内板３３を個別部品として上から見た図を示している。円形の案
内板３３は中心に貫通穴４３を有しており、この貫通孔４３は、円形を変形させ
て形成されている。案内板３３は、貫通穴４３の周方向で見て、互いに間隔をお
いた複数の案内領域４４を有しており、この案内領域４４は、弁ニードル５の弁
閉鎖体７の外径よりわずかに大きい径を有している。この径の差によって、１０
μｍの最小の遊びが得られる。

【００１９】 貫通穴４３の開口幅を狭めている案内領域４４の間には、周囲に分配して流過
領域４５が設けられており、この流過領域４５により貫通穴４３の開口幅が広げ
られている。つまり、貫通穴４３の周方向で見て、貫通穴４３の境界縁部におい
て交互に、案内領域４４と流過領域４５とが存在している。有利には、３つから
６つのこのような領域４４，４５が成形されている。図２では、案内領域４４お
よび流過領域４５をそれぞれ５つずつ有した案内板３３が図示されている。

【００２０】 案内板３３の固定は、例えば、互いに９０°の角をなして位置する、レーザに
よって加工可能な４つの溶接点によって行われる。案内板３３は、組み立ての際
、弁閉鎖体７よりわずかに大きい径をもつピンを用いて、弁座１８に対してセン
タリングされる。案内板３３は、センタリングされた状態で、弁座本体１６の端
面３２に押し付けられ、次いで例えば、抵抗溶接またはレーザ溶接によって固定
される。取り付けられた状態では、案内板３３は、弁座本体１６と反対側にある
、案内板３３の上方端面で、選択的に組み込み可能なスリーブ状の支持エレメン
ト４８に密着する。しかし、案内板３３を、案内板３３の上方端面で、その周辺
領域において、弁座保持体１の段部に、米国特許５６４２８６２号明細書で公知
のように、当接させることも同様に考えられる。弁座保持体１内での弁座本体１
６の固定は、溶接継ぎ目の代わりに、例えばつば出し結合によっても行うことが
できる。

【００２１】 弁座本体１６と案内板３３との結合のための可能な方法は、例えばレーザ溶接
、抵抗溶接、はんだ付け、または締め付けである。案内板３３内の内部の貫通穴
４３は、例えば打ち抜きによって設けられる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の案内板の一部を示した図である。

【図２】 案内板の平面図である。

【符号の説明】

１ 弁座保持体、 ２ 弁長手軸線、 ３ 長手開口、 ５ 弁ニードル、
６ 端部、 ７ 弁閉鎖体、 １０ マグネットコイル、 １１ 可動子、 １
２ コア、 １６ 弁座本体、 １７ 端面、 １８ 弁座、 ２１ 穴板、
３２ 端面、 ３３ 案内板、 ３６ 噴射開口、 ４３ 貫通穴、 ４４
案内領域、 ４５ 流過領域、 ４８ 支持エレメント

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 3G066 AB02 BA51 BA53 CC05U CC14 CC15 CC66 CD30 CE22 CE27 【要約の続き】

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁であって、１つ
   の弁長手軸線、および該弁長手軸線に沿って可動な１つの弁ニードルを有してお
   り、該弁ニードルに所属し、かつ不動の弁座と協働する１つの弁閉鎖体を有して
   おり、弁座の上流側に配置され、かつ中心に貫通穴が設けられた１つの案内板を
   有しており、貫通穴を貫いて弁ニードルが軸線方向に可動であって、貫通穴によ
   って軸線方向運動中に弁ニードルの案内が行われる形式のものにおいて、 案内板（３３）の貫通穴（４３）が、貫通穴（４３）の周囲に渡って交互に案
   内領域（４４）および流過領域（４５）を有しており、該案内領域（４４）によ
   って定められた貫通穴（４３）の開口幅が、流過領域（４５）によって定められ
   た開口幅より小さくなっていることを特徴とする燃料噴射弁。
2. 【請求項２】 案内板（３３）が電気メッキ成形によって製造可能である、
   請求項１に記載の燃料噴射弁。
3. 【請求項３】 案内板（３３）が金属薄板から製造可能である、請求項１に
   記載の燃料噴射弁。
4. 【請求項４】 弁座（１８）が弁座本体（１６）に形成されており、該弁座
   本体（１６）が、案内板（３３）が固定された上方端面（３２）を有している、
   請求項１に記載の燃料噴射弁。
5. 【請求項５】 案内板（３３）と弁座本体（１６）との堅い結合が、溶接、
   はんだ付け、または締め付けによって得られる、請求項４に記載の燃料噴射弁。
6. 【請求項６】 案内領域（４４）および流過領域（４５）が、貫通穴（４３
   ）の周囲に渡って少なくともそれぞれ３つづつ交互に構成されている、請求項１
   から５までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。
7. 【請求項７】 貫通穴（４３）が、打ち抜きによって製造可能である、請求
   項３に記載の燃料噴射弁。
8. 【請求項８】 貫通穴（４３）が、案内板（３３）全体でのただ１つの開口
   である、請求項１から７までのいずれか１項記載の燃料噴射弁。