JP3107825B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 背景技術 本発明は、請求項１の上位概念部に記載した形式の燃
料噴射弁から出発する。孔付き板が、環状の溶接継ぎ目
によって弁座ボデーに固定されているような燃料噴射弁
は既に公知である。この場合、形成される燃料圧に基づ
き孔付き板が持ち上がってしまうことを阻止するため
に、孔付き板は比較的厚く形成されなければならない。
さもないと、孔付き板の持ち上がりによって、噴射され
た燃料の噴流パターンが不本意に変化してしまう。孔付
き板の比較的大きな厚さに基づき、次のような欠点が生
じる。すなわち、孔付き板の噴射開口から流出する燃料
は所望通りに極めて微細な燃料滴に拡散されなくなって
しまう。つまり、最適な燃料調製が得られなくなる訳で
ある。

発明の利点 請求項１の特徴部に記載の本発明による燃料噴射弁
は、従来のものに比べて次のような利点を持っている。
すなわち、公知の孔付き板に比べて薄い孔付き板を使用
することができる。このような孔付き板は、噴射される
燃料噴流の噴射パターンを悪化させることなく、微細な
燃料滴を有する最適な燃料調製をもたらす。

請求項２以下に記載の手段により、請求項１に記載の
燃料噴射弁の有利な改良が可能になる。

支持板がカップ形に形成されていて、この支持板の環
状の保持縁部が、弁座ボデーの軸方向位置調整後に座部
支持体に密に結合されていると特に有利である。これに
よって、弁行程の調節、ひいては噴射される燃料量の調
節が可能になる。このような調節のためには、支持板の
保持縁部が自由端部に向かって外方に曲げられていて、
この自由端部が、半径方向で緊張を受けて座部支持体の
長手方向開口の周壁に接触していると同じく有利であ
る。したがって、弁座ボデーは調節過程時に、所望の調
節が得られて、最終的な固定のために支持板の保持縁部
が座部支持体の長手方向開口の周壁に溶接されるまで、
その都度所定の軸方向位置に保持される。

支持板の貫通開口が、少なくとも１つの噴射開口を備
えていて下流側に湾曲させられた、球欠状に形成された
前記孔付き板の範囲を、できるだけ近くで取り囲んでい
ると同じく有利である。これによって、形成される燃料
圧に基づく孔付き板の望ましくない撓みが回避される。

図面 本発明の１実施例を図面に簡単に示し、以下に詳しく
説明する。

実施例の説明 図面には、たとえば混合気圧縮型の火花点火式内燃機
関の燃料噴射装置に用いられる燃料噴射弁が部分的に示
されている。この燃料噴射弁は管状の座部支持体１を有
しており、この座部支持体には、弁長手方向軸線２に対
して同心的に長手方向開口３が形成されている。長手方
向開口３には、たとえば管状の弁ニードル５が配置され
ており、この弁ニードルの下流側の端部６は、たとえば
球状の弁閉鎖体７に結合されている。燃料噴射弁の操作
は、公知の形式でたとえば電磁式に行なわれる。弁ニー
ドルの軸方向運動、ひいては燃料噴射弁の開閉を実施す
るためには、電磁コイル10と可動子11とコア12とを備え
た電磁回路が働く。可動子11は、弁ニードル５の前記弁
閉鎖体７とは反対の側の端部に結合されていて、コア12
に向けられている。

軸方向運動時に弁閉鎖体７を案内するためには、弁座
ボデー18に設けられた案内開口16が役立つ。弁座ボデー
18の周面は、座部支持体１に設けられた長手方向開口３
の直径よりも僅かに小さな直径を有している。弁座ボデ
ー18の、前記弁ニードル５とは反対の側の端面19には、
金属性の孔付き板22が同心的に配置されていて、弁座ボ
デーと固く結合されている。孔付き板22は、たとえば0.
1mmの厚さを有している。孔付き板22の、前記弁座ボデ
ー18とは反対の側の端面25には、孔付き板22よりも厚肉
に形成された支持体26が接触している。金属性の支持体
26はカップ形の横断面形状を有していて、たとえば0.2m
mの厚さを有している。支持板26の、前記孔付き板22の
端面25に接触した底部分27に続いて、環状の保持縁部28
が設けられている。この保持縁部は軸方向において、弁
座ボデー18から離反する方向で延びていて、端部29に向
かって円錐状に外方に曲げられている。保持縁部28の端
部29は、座部支持体１の長手方向開口３の直径よりも僅
かに大きな直径を有している。弁座ボデー18と孔付き板
22と支持板26との結合は、たとえば環状で密な、たとえ
ばレーザを用いて形成された第１の溶接継ぎ目24によっ
て行なわれる。孔付き板22および支持板26のための材料
選択にあたっては、この理由から溶接可能性が良好であ
る点にも配慮することが望ましい。

座部支持体１の長手方向開口３に弁ニードル５が差し
込まれると、長手方向開口３に弁座ボデー18と、この弁
座ボデーに固定された孔付き板22と支持板26とが差し込
まれる。弁座ボデー18の周面の直径が、座部支持体１の
長手方向開口３に比べて少しだけ小さく形成されている
ことに基づき、半径方向でのプレス嵌めは長手方向開口
３と、支持板26に僅かに円錐状に外方に曲げられて形成
された保持縁部28との間でしか存在しない。この場合、
保持縁部28は長手方向開口３の周壁に半径方向のばね作
用を加える。これによって、孔付き板22と支持板26とを
備えた弁座ボデー18を座部支持体１の長手方向開口３に
差し込む際に、チップ形成が回避される。さらに、弁座
ボデー18の製造時に弁座ボデー周面における厳格な寸法
許容誤差を維持する必要がなくなる。なぜならば、弁座
ボデー18が半径方向において座部支持体１の長手方向開
口３内で小さな遊びを有しているからである。したがっ
て、弁座ボデー全体を長手方向開口３にプレス嵌めする
場合に比べて、製造コストは大きく減じられる。座部支
持体１の長手方向開口３への弁座ボデー18の差し込み深
さは、案内開口16によって半径方向で案内された弁ニー
ドル５の行程の前調節を規定する。なぜならば、電磁コ
イル10が励磁されていない状態において、弁座ボデー18
に案内開口16の下流側で形成された弁座面32に対する弁
閉鎖体７の当接によって弁ニードル５の一方の終端位置
が規定されているからである。弁ニードル５の他方の終
端位置は、電磁コイル10の励磁時に、たとえばコア12に
対する可動子11の当接によって規定される。前記両終端
位置の間の距離は弁ニードル５の行程である。

座部支持体１の長手方向開口３に接触する、前記支持
板26の保持縁部28の端部29は、たとえば環状の密な第２
の溶接継ぎ目30によって長手方向開口３の周壁と結合さ
れている。第２の溶接継ぎ目30は第１の溶接継ぎ目24と
同様に、たとえばレーザを用いて正確に形成されるの
で、確実で信頼性の良い、簡単に形成可能な溶接が得ら
れ、このような溶接では、互いに溶接したい部分の加熱
が極めて僅かである。

弁座ボデー18と孔付き板11もしくは支持板26との密な
溶接ならびに支持板26と座部支持体１との密な溶接は、
使用される媒体、たとえば燃料が、座部支持体１の長手
方向開口３と弁座ボデー18の周面との間を通るか、また
は座部支持体１の長手方向開口３と支持板26の保持縁部
28との間を通って、直接に内燃機関の吸込導管に流入し
てしまわないようにする目的で必要となる。

球状の弁閉鎖体７は、流れ方向で見てたとえば円錐状
にテーパした前記弁座ボデー18の弁座面32と協働する。
この弁座面は軸方向において、弁座ボデー18の案内開口
16と端面19との間に形成されている。前記弁閉鎖体は複
数の、有利には５つの平らな面取り部33を有している。
これらの面取り部は、半径方向で座部支持体１の長手方
向開口３によって制限された弁内室35から弁座面32への
媒体の流れを可能にし、この場所から媒体は、弁の開放
状態において、下流側で弁座ボデー18に形成された短い
中間開口36を介して、孔付き板22に設けられた噴射開口
37に流入する。軸方向運動時に弁閉鎖体７を、ひいては
弁ニードル５を正確に案内するためには、球状の弁閉鎖
体７が半径方向の小さな間隔を持って案内開口16に突入
するように前記案内開口16の直径が設定されている。

弁ニードル５の行程の正確な調節、ひいては弁の定常
の開放状態において放出された静的な媒体流量の正確な
調節は、組付けの完了した燃料噴射弁において行なわ
れ、つまり特に弁座ボデー18に溶接された支持板26が保
持縁部28で座部支持体１に溶接されている状態において
行なわれる訳である。弁によって放出されて測定容器38
によって測定された媒体の静的な実際量が、あらかじめ
設定された所望の目標量と一致していない場合には、弁
ニードル５の行程を正確に調節する目的で軸方向におい
て、第２の溶接継ぎ目30と第１の溶接継ぎ目24との間の
範囲で工具39を用いて、測定された実際媒体量が所定の
目標媒体量と合致するまで支持板26が延伸され、場合に
よっては実際に変形させられる。これによって、組付け
の完了した燃料噴射弁にいおいて、行程の正確な調節
と、噴射弁の定常の開放状態において放出される媒体の
静的な流量の正確な調節とが簡単に行なわれる。

座部支持体１の周面には、下流側の端部で保護キャッ
プ45が配置されており、この保護キャップはロック結合
部46によって座部支持体１の周面に結合されている。保
護キャップ45は端面側の第１の半径方向区分47で座部支
持体１の端面48に接触している。電磁コイル10に向いた
方向で、保護キャップ45の第１の半径方向区分47に続い
て、まず軸方向に延びる平行区分49が設けられており、
次いでこの平行区分に続いて、半径方向外側に向いた第
２の半径方向区分50が設けられている。シールリング51
は環状溝53に配置されており、この環状溝の側面は保護
キャップ45の第２の半径方向区分50の、前記電磁コイル
10に向いた端面54と、座部支持体１の半径方向外側を向
いた接触面55とによって形成され、前記環状溝の溝底部
57は座部支持体１の周面によって形成される。

前記シールリング51は、燃料噴射弁の周面と、たとえ
ば内燃機関の吸込導管に設けられた弁収容部（図示しな
い）との間をシールするために働く。

弁座ボデー18の弁座面32の下流側に設けられた中間開
口36は孔付き板22の中心の範囲60を取り囲んでおり、こ
の範囲には、少なくとも１つの噴射開口37、たとえば４
つの噴射開口37が形成されている。他方において、支持
板26には弁長手方向軸線２に対してほぼ同心的に貫通開
口61が設けられている。この貫通開口は同じく孔付き板
22の中心の範囲60を、反対の側で取り囲んでいる。した
がって、噴射開口37を通じて噴射された燃料は支持板26
の貫通開口61を通って噴射される。支持板26の貫通開口
61によって取り囲まれた前記孔付き板22の中心の範囲60
は、流れ方向で湾曲させられていてもよい。この場合、
前記範囲は球欠の形状を有する。比較的厚い支持板26に
よって、中心の範囲60を除いて燃料の押圧力に基づいた
孔付き板22の撓みは阻止されるので、孔付き板22の厚さ
は従来よりも小さく設定することができる。これによっ
て、極めて微細な燃料滴の形成に基づき、噴射開口37に
おける噴射された燃料の調製が改善される。第１の溶接
継ぎ目24は孔付き板22の中心の範囲60に対して十分に大
きな間隔を有しており、これによって、前記範囲60にお
ける変形は回避される。孔付き板22の前記範囲60と弁閉
鎖体７の下端部との間の軸方向間隔は、死容積をできる
だけ小さくする目的で、できるだけ小さく保持される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ライター， フェルディナント ドイツ連邦共和国 Ｄ−7145 マルクグ レーニンゲン ２ ブルクヴェーク １ (72)発明者 マイアー， マルティン ドイツ連邦共和国 Ｄ−7141 メークリ ンゲン マイゼンヴェーク 12 (56)参考文献 特開 平２−211267（ＪＰ，Ａ) 実開 平３−51173（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F02M 39/00 - 71/04

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内燃機関の燃料噴射装置に用いられる燃料
   噴射弁であって、可動の弁ニードルと、弁座ボデーとが
   設けられており、該弁座ボデーが座部支持体に結合され
   ていて、前記弁ニードルと協働する弁座面を有してお
   り、さらに、該弁座面の下流側で前記弁座ボデーに溶接
   された、少なくとも１つの噴射開口を有する金属性の薄
   い孔付き板が設けられている形式のものにおいて、孔付
   き板（22）の、前記弁座ボデー（18）とは反対の側の端
   面（25）に、前記孔付き板（22）よりも厚肉に形成され
   た金属性の支持板（26）が配置されており、該支持板が
   前記孔付き板（22）と一緒に前記弁座ボデー（18）に、
   環状の溶接継ぎ目（24）によって溶接されており、前記
   支持板（26）が貫通開口（61）を有しており、該貫通開
   口が、少なくとも１つの噴射開口（37）を備えた前記孔
   付き板（22）の範囲（60）を取り囲んでおり、前記支持
   板（26）が付加的にその周面で前記座部支持体（１）と
   密に溶接されていることを特徴とする、燃料噴射弁。
2. 【請求項２】前記支持板（26）がカップ形に形成されて
   いて、環状の保持縁部（28）を有しており、該保持縁部
   が軸方向で前記弁座ボデー（18）から離反するように延
   びており、前記保持縁部の自由端部（29）が、前記座部
   支持体（１）に設けられた長手方向開口（３）の周壁と
   密に結合されている、請求項１記載の燃料噴射弁。
3. 【請求項３】前記支持板（26）の保持縁部（28）が自由
   端部（29）に向かって外方に曲げられており、該自由端
   部（29）が、前記座部支持体（１）に設けられた長手方
   向開口（３）の直径よりも大きな直径を有している、請
   求項２記載の燃料噴射弁。
4. 【請求項４】前記支持板（26）に設けられた貫通開口
   （61）によって取り囲まれて、少なくとも１つの噴射開
   口（37）を有している前記孔付き板（22）の範囲（60）
   が、下流側に湾曲させられて球欠の形状に形成されてい
   る、請求項１記載の燃料噴射弁。