JP2003347603A - 熱電素子とその製造方法 - Google Patents

熱電素子とその製造方法

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JP2003347603A JP2002148794A JP2002148794A JP2003347603A JP 2003347603 A JP2003347603 A JP 2003347603A JP 2002148794 A JP2002148794 A JP 2002148794A JP 2002148794 A JP2002148794 A JP 2002148794A JP 2003347603 A JP2003347603 A JP 2003347603A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却や温度差発電に用いる熱電素子に関し
て、温度差を与えた時に生じる歪みにより断線する問題
を解決して、素子の信頼性を増す。 【解決手段】 n型棒状素子とp型棒状素子の柱を複数
備え、各n型棒状素子と各p型棒状素子の端面に配線電
極を設け、n型棒状素子とp型棒状素子とを電気的に接
続し、かつ基板には基板電極を設け、配線電極と基板電
極とをハンダなどの接合部材を介して接合する。望まし
くは接合部材は基板電極と配線電極に比べ、引っ張り強
度が低い、さらに接合部材はハンダ材料である、あるい
はn型棒状素子とp型棒状素子との間隙には絶縁層を有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は温度差発電や冷却
に用いる熱電素子の構造と製造方法に関するものであ
り、特に熱電素子に応力が加わったときの断線破壊に対
する信頼性を向上させるための構造とそれを実現する製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱電対はその両端に温度差を与えること
により電極間に電圧を発生し、反対に電極から電流を流
すと温度差を生じる性質を持ち、この熱・電気変換特性
を利用して作られているのが熱電素子である。
【0003】たとえば熱電素子は熱を電気エネルギーに
変換できる方法として発電素子に、あるいは電気エネル
ギーで対象物を冷やしたりする冷却素子に応用される。
ここで従来の熱電素子の構造を図9に示す。
【0004】BiTe合金などの熱電半導体からなるn
型棒状素子11とp型棒状素子12は交互に配置され、
その端面にはハンダ接合用にNiなどのバリヤー膜21
が施されている。そして、アルミナなどの基板50a、
50bには基板電極40が設けられ、ハンダからなる接
合部材30を介して、バリヤー膜21と基板電極40が
接合されている。n型棒状素子11とp型棒状素子12
はその両端において、交互に隣の素子と接続がなされ、
すべての柱が直列に接続されることになる。
【0005】この熱電素子にリード線70を介して直流
電流を投入すると、それぞれの柱にはペルチェ効果によ
り電流の方向に従って上下に温度差が生じる。p型とn
型の熱電半導体はそれぞれ電流方向に対する温度差の生
じる極性が反対になっているため、図9の様な接続によ
る熱電素子は冷却側と加熱側がそろい、たとえば上側の
基板50bが冷やされ、下側基板50aが加熱されると
いった機能を発揮する。
【0006】このような性質を利用した熱電素子は特に
ペルチェ素子と言われ、冷却側に接触する物の熱を加熱
側に移動することが出来、冷蔵庫などの冷却素子として
多く使われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述のように熱電素子
をペルチェ素子として用いる場合、素子の上下に温度差
が加わるが、その温度差は最大で70〜80℃にも達す
る。すると、冷却側の基板は収縮し加熱側の基板は膨張
する。これにより素子は大きく歪もうとし、接合部付近
に大きな応力が加わってくる。
【0008】接合部近辺の金属構成は一般にバリヤー膜
21がNiなど、接合部材30がハンダ、基板電極40
が銅などであるため、最も脆いのはハンダであり、一般
的に熱応力が加わった場合、ハンダ部にクラックが入り
断線してしまうと言う問題がある。
【0009】熱電素子は前述したようにすべての熱電半
導体は直列に接続されているため、このようなクラック
が一カ所でも入ると電流は流れなくなり、素子としての
機能は全く失われてしまう。
【0010】そこで本発明の目的は上記の問題を解決
し、熱応力に強くさらに断線の危険性が非常に小さい、
信頼性の高い熱電素子とその製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の熱電素子の構造および製造方法においては
下記に記載する手段を採用する。
【0012】すなわち本発明の熱電素子は、n型熱電半
導体からなる複数のn型棒状素子とp型熱電半導体から
なる複数のp型棒状素子と、各n型棒状素子とp型棒状
素子の端面に設け、n型棒状素子とp型棒状素子とを電
気的に接続する配線電極と、基板電極を設けた基板とを
有し、配線電極と基板電極とは接合部材を介して接合し
ていることを特徴とする。
【0013】さらに望ましくは接合部材は基板電極と配
線電極に比べ、引っ張り強度が低い、さらに接合部材は
ハンダ材料である、あるいはn型棒状素子とp型棒状素
子との間隙には絶縁層を有する。
【0014】また製造方法は、n型熱電半導体からなる
複数のn型棒状素子とp型熱電半導体からなる複数のp
型棒状素子とを絶縁層を介して固定し、n型棒状素子と
p型棒状素子の端面に配線電極を形成してn型棒状素子
とp型棒状素子とを接続する工程と、基板に基板電極を
形成する工程と、配線電極と基板電極とを所定の位置で
対向させ、接合部材を用いて接合させる工程とを有する
ことを特徴とする。
【0015】さらに望ましくは、配線電極を形成する工
程に引き続き前記配線電極の上に接合部材を形成する工
程とを有する、または基板に基板電極を形成する工程に
引き続き、基板電極の上に接合部材を形成する工程とを
有する、または配線電極と基板電極とを所定の位置で対
向させ、接合部材を用いて接合させる工程に引き続き、
絶縁層を溶解除去する。
【0016】〔作用〕本発明の熱電素子は2本の棒状素
子をつなぐ大きさの配線電極とほぼ同じ大きさの基板電
極とを接合部材で接合しているため、従来の素子に比べ
接合部材の面積が大きくでき、応力に対する強度が高め
られる。
【0017】また、本発明の熱電素子は2本の棒状素子
に接している配線電極で電気的な接続はすでに行われて
いる。これは接合部材が電気接続を仲介していないこと
であり、一部の接合部材にクラックが入っても電気的な
性質は失われず、信頼性が非常に高くなる。
【0018】さらに、本発明の熱電素子は棒状素子の間
隙に絶縁層を有することで、素子全体の歪みが小さくな
り接合部に与える応力も低減することから、さらに破壊
に対する信頼性が高まる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて本発明の熱電
素子の構造および製造方法おける最適な実施形態を説明
する。
【0020】まず図1を用いてその構造を説明するが、
基本的な構成要素としてはn型棒状素子11、p型棒状
素子12、配線電極20、接合部材30、基板電極4
0、および基板50a、50bからなっている。また必
要に応じて導電材60とリード線70を設ける。
【0021】n型熱電半導体を加工して柱状にしたn型
棒状素子11と、p型熱電半導体を加工して柱状にした
p型棒状素子12は規則的に配置している。ここではn
型熱電半導体にBiSeTe合金を、p型熱電半導体に
はBiSbTe合金をそれぞれ用いている。
【0022】n型棒状素子11とp型棒状素子12の端
面には金属膜からなる配線電極20を設けている。配線
電極20は隣り合ったn型棒状素子11とp型棒状素子
12とを柱の端面において接続しており、かつ上下の配
線電極20は接続するn型棒状素子11とp型棒状素子
12の柱が一本ずつずれた配置をとっており、これによ
って多数のn型棒状素子11とp型棒状素子12とが交
互に直列化する構造となっている。
【0023】ここでは配線電極20の材料にニッケル
(Ni)/銅(Cu)/ニッケル(Ni)の多層膜を用
いている。棒状素子に直接接触するNi膜は密着を取る
ためとCuの素子への拡散を防ぐバリヤー層として用い
ている。そのためこのNi膜は棒状素子の端面全体を覆
っていれば、となりの棒状素子に繋がっていなくても良
い。またCu膜は本来の電気を導通させるための導線と
しての役割を果たしている。また、その上のNiは後述
するハンダとの接合を保つために用いている。
【0024】基板50a,50bは熱伝導が良好で絶縁
性であることが好ましいことから、アルミナを用いてい
る。基板50a,50bには基板電極40が設けられて
おり、その平面的パターンは配線電極20とほぼ同じで
あり、向かい合わせることによりそれぞれが対向した位
置に来るようになっている。基板電極40はクロム(C
r)/Ni/Cu/Auの多層膜からなっている。
【0025】そして前記配線電極20と基板電極40と
は対向した位置に配置され、両者を接合するために接合
部材30が設けられている。接合部材30にはハンダ材
料をもちいている。
【0026】熱電素子として上記の構成で成り立ってい
るのであるが、素子を実際に使うときは連続したn型棒
状素子11あるいはp型棒状素子12の両端に接してい
る基板電極40にハンダなどの導電材60を用いて、リ
ード線70を接続してもちいる。
【0027】以上の構成から、本発明の熱電素子は少な
くとも柱2本分の断面積で、n型棒状素子11とp型棒
状素子12が基板50a,50bと接合していることか
ら、変形による応力に対する強度が従来よりも増すこと
が分かる。
【0028】さらに応力は伸びあるいは縮みで発生する
ことから、各金属部材の引っ張り強度を理科年表の数値
で比較すると、ハンダが0.55〜0.75N/m2
あるのに対し、Ni、Cu、Auなどはすべて1N/m
2 以上である。このことはもしも非常に大きな応力が加
わったとしてもクラックを生ずるのはまずハンダの部分
であり、一部のハンダの破壊で応力は緩和される。
【0029】しかし本構造では電気的接続は配線電極2
0によってなされていることから、ハンダ、つまり接合
部材30の部分的クラックではほとんど性能には関係し
ないことから、非常に信頼性が高いと言える。
【0030】さらに後の製造方法において詳しく説明す
るが、上記のn型棒状素子11とp型棒状素子12の間
隙にエポキシ樹脂等を充填することも可能である。これ
によりさらに機械的強度は高められる。
【0031】続いて本発明の熱電素子の製造方法につい
て説明する。はじめに、図2に示すようにn型熱電半導
体とp型熱電半導体とに縦溝1を形成し、縦隔壁2を残
してn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を作製する。この
時、n型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4とで、縦溝1のピ
ッチを同一にし、かつ一方のブロックの縦溝1幅が他方
のブロックの縦隔壁2幅よりも大きくなるようにする。
ここではn型熱電半導体としてBiSeTe合金の焼結
体、p型熱電半導体としてBiSbTe合金の焼結体を
用いた。
【0032】この縦溝1の幅への制限は、後述の工程で
n型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4を溝同士で嵌め合わせ
るために設定してある。この縦溝1幅と縦隔壁2幅の差
が後工程で絶縁樹脂層の幅を決定するため、確実に絶縁
をとることと、嵌め合わせの工程での作業性を考慮する
と、縦溝1幅と縦隔壁2幅との差は20μm以上あるこ
とが好ましい。
【0033】なお、縦溝1の加工はワイヤーソーによる
研磨加工あるいはダイシングソーによる研削加工により
行う。
【0034】つづいてn型櫛歯素子3とp型櫛歯素子4
を、互いに縦溝1に相手の縦隔壁2を挿入し合って組み
合わせて一体化する。両者を組み合わせた図を図3に示
す。組み合わせた2つの櫛歯素子は嵌合部に絶縁層13
を設けて固着することで一体化する。ここで絶縁層13
に用いる接着剤としては低粘度のアクリル系の接着剤を
用いることとする。
【0035】このように組み合わせた櫛歯素子は次に図
4に示すように、再度の溝加工を行い、一体化櫛歯素子
5にする。横溝6は、この後組み合わせる必用がなく、
残った横隔壁7を素子として利用することになるため、
出来るだけ狭い方が望ましい。すなわちワイヤーソーに
よる研磨加工により横溝6を形成する。なお、本工程で
の横溝6は縦溝1に交差した方向に形成するもので、一
般的には図4に示したとおり縦溝1と直交させるのが最
適である。
【0036】横溝6は図4のようにn型櫛歯素子3の面
から形成しても、これとは逆にp型櫛歯素子4側の面か
ら形成してもよい。この時切り込む側のn型櫛歯素子3
あるいはp型櫛歯素子4の溝が形成されていない基台部
分は除去した後に溝加工を行った方が良い。基台部を除
去するのは、初めに加工した縦溝1が観察できることか
ら、横溝6との直交性がとりやすいためである。また、
基台部がない方が、加工深さが小さくなるため深さ方向
での柱曲がりが低減できる効果もある。
【0037】続いて、横溝6にアクリル系の絶縁性樹脂
を充填し硬化して絶縁層13を形成する。この時の樹脂
も櫛歯素子を組合せ固着したときと同じものを用いるの
が望ましい。
【0038】絶縁層13で固めた一体化櫛歯素子5はそ
の上下面を研削で除去し平坦化し、図5の様なn型熱電
半導体とp型熱電半導体が柱状に規則的に並んだ状態に
作り上げる。n型熱電半導体のそれぞれの柱がn型棒状
素子11であり、p型熱電半導体のそれぞれの柱がp型
棒状素子12となっている。
【0039】さらにn型棒状素子11とp型棒状素子1
2との配線を行い、図6の様な熱電ブロック10を完成
させる。まずニッケル製の金属板に開口部を設け、開口
部とn型棒状素子11とp型棒状素子12との端面が重
なるように位置合わせを行い密着して固定する。真空蒸
着装置に設置し、Niあるいはパラジウム(Pd)を
0.1μm蒸着する。この方法は一般にマスク蒸着法と
呼ばれるものである。
【0040】蒸着工程につづいて無電解Niメッキ液に
浸漬し、Niの皮膜を形成する。Ni皮膜は蒸着によっ
て形成したNi膜あるいはPd膜を反応の核として成長
することから、蒸着膜の上にまず形成される。また、蒸
着膜はn型棒状素子11とp型棒状素子12にも形成さ
れているため、棒状素子の露出している端面にもNi皮
膜は形成される。Niメッキの厚みは数μmである。
【0041】さらにNiメッキにつづいてCuメッキを
行う。Cuメッキは無電解メッキが難しいことから、電
解メッキを利用する。Cuメッキは必要に応じて数μm
から数10μmの厚みで形成する。そしてCuメッキに
つづいてやはり電解メッキ法を用いてNiを1μmほど
形成する。
【0042】またさらにその上にハンダメッキを行う。
ハンダにはSnPbハンダを用い、これも電解メッキ法
により10〜20μmほど形成する。このハンダは後に
行う接合のために必用な接合部材30となるものであ
る。
【0043】熱電ブロック10の製造と同時に、図7お
よび図8のように下側基板50aと上側基板50b用の
アルミナの板を用意する。基板50a、50bには基板
電極40があるが、その形状と平面的位置は配線電極2
0とほぼ同じである。ただし、下側の基板50aにはリ
ード線70取り付け用の引出電極41が備えられてい
る。またn型棒状素子11とp型棒状素子12の間隔が
近くなった場合は基板電極40は若干配線電極20より
も外形を小さくした方がよい。これは後に説明する熱電
ブロック10と基板50a,50bの接合時に接合部材
30のハンダが圧力により伸び、隣の電極とショートす
る可能性を低減するためである。
【0044】アルミナ板にはスパッタリング法によりC
r膜を約0.1μm形成しその上にNi膜を0.2μm
形成する。ここに基板電極40のネガパターンをフォト
レジストを用いたフォトリソグラフィー法で形成する。
その後電解メッキを用いてCu膜をさらに10μmおよ
び金膜を0.5μm形成する。最後にフォトレジストを
専用の剥離液にて溶解し、スパッタリングにより形成し
たNiとCrをエッチングすることで基板電極40とす
る。
【0045】以上の工程で作成した熱電ブロック10と
基板50a,50bとは配線電極20と基板電極40を
同じパターンが対向する様位置あわせを行い密着させ、
所定の圧力をかけながら加熱することで、ハンダを溶解
させて接合する。この時、熱電ブロック10側あるいは
基板50a,50b側にハンダ接合用のフラックスを塗
布しておいた方が良い。
【0046】最後にn型棒状素子11とp型棒状素子1
2の間隙に存在する絶縁層13を溶解除去する。絶縁層
13はアクリル樹脂により作られているため、ジクロル
メタンなどの有機溶媒に浸漬し超音波を加えることで溶
解することが出来る。
【0047】ただし、絶縁層30は必ずしも除去する必
用もない。n型棒状素子11とp型棒状素子12の間隙
が大きい場合は絶縁層13の熱伝導が無視できないため
溶解するが、間隙を小さくすることで絶縁層13の熱伝
導効果は小さくなるため残しておいても問題ない。反対
に絶縁層13を残した方が歪みに対する強度は大きくな
るため、信頼性としては高めることが出来る。そして残
す場合は、絶縁層13の強度を考慮して、アクリル系樹
脂よりはエポキシ系樹脂の方が好ましい。
【0048】以上の工程によって本発明の熱電素子は完
成しているが、熱電素子を冷却あるいは発電に使う場合
に簡単に外部接続をするには、さらに基板電極40にハ
ンダ等の導電材60を用いてリード線70を接続する。
【0049】以上の本発明の熱電素子およびその製造方
法では基板50にはアルミナ板を用いているが、窒化ア
ルミなどの他のセラミックスや、シリコンウエハー、あ
るいは銅、アルミ、鉄などの金属板を用いることも可能
である。電気伝導性の金属板を用いるときは、アルミナ
や酸化シリコンなどの絶縁被膜をあらかじめ形成してお
く。
【0050】配線電極20は密着性、電気伝導性、半田
付け性を満たしていれば、他の金属膜構成でも良く、ま
た基板電極40も密着性と半田付け性を満たしていれ
ば、他の構成も可能である。たとえば配線電極20は、
Ni/AuあるいはNi/Cu/Auなども考えられ
る。また基板電極40はCr/Ni、Niのみ、Ni/
Cu/Ni、Ni/Auなど様々考えられる。
【0051】さらに接合部材30はハンダを用いて配線
電極20の上に形成しているが、基板電極40の上に同
じようにメッキ法で形成することもできる。また、配線
電極20と基板電極40の両方に形成しておくと、接合
工程が安定するのでなお良い。
【0052】さらに接合部材30はハンダを用いている
が、SnPbハンダ以外にも、SnBi、SnSb、S
bAgなどや、さらにCuなどを添加した3元系など、
他のハンダも利用可能である。さらには、ハンダ以外に
銀などの導電フィラーをエポキシ樹脂などの接着剤に混
練した、導電性接着剤などを用いることも可能である。
ただし、導電性接着剤を用いるときは形成はスクリーン
印刷を用いる。
【0053】また実施の形態の図面内で示しているn型
棒状素子11とp型棒状素子12との配置は便宜上表し
たもので、両者を入れ替えたとしても交互に配置されて
いれば熱電素子としての特性には問題ない。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明の熱電素子は2本の
p型棒状素子とn型棒状素子をつなぐ配線電極とほぼ同
じ大きさの基板電極とを接合部材で接合しているため、
従来の素子に比べ接合部材の面積が少なくとも約2倍大
きくできることから、応力に対する強度が高められ、素
子の上下にかかる温度差による歪みに対し耐久性が向上
し壊れにくくなる。
【0055】また、本発明の熱電素子は隣り合ったp型
棒状素子とn型棒状素子の電気的な接続は配線電極です
でに行われており、配線電極より基板側に近い接合部材
が電気接続には仲介していない。これからもし仮に非常
に大きな応力が加わり、一部の接合部材にクラックが入
っても電気的な性質は失われないことから、信頼性が非
常に高くなる。
【0056】さらに、本発明の熱電素子は棒状素子の間
隙に絶縁層を有することで、素子全体の歪みが小さくな
り接合部に与える応力も低減することから、さらに破壊
に対する信頼性が高まる。
【0057】以上のように本発明では、従来の熱電素子
に比べて温度差から生じる歪みに対する強度を増すとと
もに、非常に壊れにくく信頼性の高い素子を提供するも
のである。本発明で得られる熱電素子は冷蔵庫の冷却
や、OA機器、通信機器などの放熱などに利用すること
で、各種電子機器の長寿命化へ寄与することが出来る。
さらには、温度差発電などに用いることで、大きな温度
差をかけても壊れない、高い信頼性の発電器を提供する
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における熱電素子の構造を
示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工
程を示す斜視図である
【図3】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工
程を示す斜視図である
【図4】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工
程を示す斜視図である
【図5】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工
程を示す斜視図である
【図6】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工
程を示す斜視図である
【図7】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工
程を示す斜視図である
【図8】本発明の実施の形態における熱電素子の製造工
程を示す斜視図である。
【図9】従来の熱電素子の構造を示す側面図である。
【符号の説明】
1 縦溝 2 縦隔壁 3 n型櫛歯素子 4 p型櫛歯素子 5 一体化櫛歯素子 6 横溝 7 横隔壁 10 熱電ブロック 11 n型棒状素子 12 p型棒状素子 13 絶縁層 20 配線電極 30 接合部材 40 基板電極 41 引出電極 50a 基板 50b 基板 60 導電材 70 リード線

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n型熱電半導体からなる複数のn型棒状
    素子とp型熱電半導体からなる複数のp型棒状素子と、
    前記n型棒状素子と前記p型棒状素子の端面に設け、前
    記n型棒状素子と前記p型棒状素子とを電気的に接続す
    る配線電極と、基板電極を設けた基板とを有し、配線電
    極と基板電極とが接合部材を介して接合されている熱電
    素子。
  2. 【請求項2】 前記接合部材は前記基板電極と前記配線
    電極に比べ、引っ張り強度が低いことを特徴とする請求
    項1に記載の熱電素子。
  3. 【請求項3】 前記接合部材が金属材料であることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電素子。
  4. 【請求項4】 前記接合部材がハンダ材料であることを
    特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の
    熱電素子。
  5. 【請求項5】 前記接合部材が導電性接着剤であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電素
    子。
  6. 【請求項6】 前記n型棒状素子と前記p型棒状素子と
    の間隙には絶縁層を有することを特徴とする請求項1か
    ら請求項5のいずれか一項に記載の熱電素子。
  7. 【請求項7】 n型熱電半導体からなる複数のn型棒状
    素子とp型熱電半導体からなる複数のp型棒状素子とを
    絶縁層を介して固定し、前記n型棒状素子と前記p型棒
    状素子の端面に配線電極を形成して前記n型棒状素子と
    前記p型棒状素子とを接続する工程と、基板に基板電極
    を形成する工程と、前記配線電極と前記基板電極とを所
    定の位置で対向させ、接合部材を用いて接合させる工程
    とを有する熱電素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記配線電極を形成する工程に引き続き
    前記配線電極の上に接合部材を形成する工程とを有する
    ことを特徴とする請求項7に記載の熱電素子の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記基板に基板電極を形成する工程に引
    き続き、前記基板電極の上に接合部材を形成する工程と
    を有することを特徴とする請求項7または請求項8に記
    載の熱電素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記配線電極と前記基板電極とを所定
    の位置で対向させ、接合部材を用いて接合させる工程に
    引き続き、絶縁層を溶解除去することを特徴とする請求
    項7、請求項8または請求項9に記載の熱電素子の製造
    方法。
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