JP2003341528A - ステアリングコラムのテレスコ構造 - Google Patents

ステアリングコラムのテレスコ構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 テレスコ駆動装置(モーターユニット)をス
テアリングホイールから離れた部位に配置する。 【解決手段】 モーターユニット18を固定側ジャケッ
ト1の車体前側端部近傍の外側に固定し、その出力を伝
達するスクリュウ軸19にナットブロック20を係合
し、ナットブロック20を出力伝達ブラケット22で挟
持し、出力伝達ブラケット22と可動側ジャケット2を
結合する。出力伝達ブラケット22は固定側ブラケット
1に開設した開口部1aに遊嵌してその軸方向長さ範囲
内でテレスコ調整ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車のステア
リングホイールが運転乗員の手前で前後方向へテレスコ
ピックに移動調整できて、最適ドライビングポジション
を設定することができるようにしたステアリングコラム
のテレスコ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ステアリングコラムのテレスコピックな
伸縮機構として知られるテレスコ構造におけるテレスコ
駆動装置(モーターユニット)は、従来、比較的ステア
リングホイールに近い部位に配置したものが多い(例え
ば、実用新案登録第2572097号)。すなわち、車
体に固定する固定側ジャケットに開口部を形成し、その
開口部に貫通させた出力伝達手段によりモーター出力を
可動側ジャケットに伝達する構成である。
【0003】しかしながら、中には比較的ステアリング
ホイールからやや離れた部位に配置したものもある(例
えば、特開平9−11915号参照)。すなわち、モー
ター出力を長いシャフトで固定側ジャケットから突出し
た可動側ジャケットに伝達する構成である。
【0004】テレスコ駆動装置をステアリングホイール
に比較的近い部位に配置すると、駆動源としてのモータ
ーがステアリングホイールの近傍に位置することとなる
ため、乗員等にはモーターの作動音がよく聴取できて不
快に感じることがあるという不利がある。一般的には、
モーターの作動音が乗員に聴取され得ないことが望まし
い。
【0005】また、ステアリングホイールの近傍ではタ
ーンシグナルスイッチ配線、エアバッグ配線、ステアリ
ングロックユニット等がコラムカバー内に配置されてい
るから、これらに支障を与えないようにする必要がある
ため、テレスコ構造が複雑化するという不利がある。
【0006】一方、テレスコ駆動装置を比較的ステアリ
ングホイールから離れた部位に配置すると、駆動源とし
てのモーターをステアリングホイールから離れた位置に
設定できるので、乗員等にはモーターの作動音があまり
聴取できないこととなるので、不快に感じることが少な
くなるという利点がある。
【0007】また、モーター出力を長いシャフトで固定
側ジャケットから突出した可動側ジャケットに伝達する
ので、シャフトがステアリングロックユニットと干渉す
る構造を差けられない不利がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明はタ
ーンシグナルスイッチ配線、エアバッグ配線、ステアリ
ングロックユニット等に支障を与えず、しかも、それら
に影響されない簡単な出力伝達手段により、テレスコ駆
動装置をステアリングホイールから離れた部位に配置す
ることとしてモーターの作動音が乗員に聴取され難いよ
うにしたテレスコ構造を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明では、請求項1に記載のように、車体に固定す
る固定側ジャケットに可動側ジャケットが同軸で軸方向
移動可能に嵌合し、前記固定側ジャケットの外側面に固
定したテレスコ駆動装置により前記可動側ジャケットを
軸方向へ移動可能に配設し、前記可動側ジャケットに軸
方向伸縮可能かつ軸中心で回転可能に支承されるステア
リングシャフトの端部に軸着したステアリングホイール
と運転乗員との距離を長短調整できるようにしたステア
リングコラムのテレスコ構造において、前記固定側ジャ
ケット内における前記可動側ジャケットの端部側の外周
面を包囲して締着する環状の固定部と、前記テレスコ駆
動装置の出力を伝達するスクリュウ軸が係合するナット
ブロックを挟持して前記固定側ジャケットに開設した開
口部から外側へ延出する一対の挟持部とを一体形成して
なる出力伝達ブラケットを有することを特徴とするステ
アリングコラムのテレスコ構造を提供する。
【0010】これにより、出力伝達ブラケット単独の部
品にて、ステアリングホイールから離れた可動側ジャケ
ットの端部側にテレスコ駆動装置を配置できるため、モ
ーターの作動音を乗員に聴取されないようにすることが
でき、かつ、ターンシグナルスイッチ配線、エアバッグ
配線、ステアリングロックユニット等に支障を与えず、
かつ、それらに影響されないテレスコ構造を得ることが
できる。
【0011】また、請求項2に記載のように、前記ナッ
トブロックは前記挟持部が相対して締着する断面方形の
くびれ部を有して前記挟持部に回転不能に固定保持され
ることを特徴とする請求項1記載のステアリングコラム
のテレスコ構造を提供する。
【0012】これにより、ナットブロックが出力伝達ブ
ラケットに回転不能に、かつ、強固に固定保持され、出
力伝達の効率が向上する。
【0013】また、請求項3に記載のように、前記ナッ
トブロックは前記固定側ジャケットの開口部に遊嵌し進
入して前記可動側ジャケットに結合され、かつ、前記出
力伝達ブラケットの挟持部に固定保持される本体からな
ることを特徴とする請求項1記載のステアリングコラム
のテレスコ構造を提供する。
【0014】これにより、ナットブロックが直接に可動
側ジャケットと結合され、しかも、出力伝達ブラケット
がナットブロックと可動側ジャケットを締結しているの
で、可動側ジャケットが強固にテレスコ駆動装置と連結
できる。
【0015】さらに、請求項4に記載のように、前記本
体には前記可動側ジャケットに開設した係合孔に係合す
る突出部と、前記スクリュウ軸が係合するネジ孔と、前
記挟持部を前記ナットブロックに締着するボルトが貫通
するボルト挿通孔と、及び、前記出力伝達ブラケットの
挟持部に形成した一対の突部が摺接する突起部とを有す
ることを特徴とする請求項2記載のステアリングコラム
のテレスコ構造を提供する。
【0016】これにより、出力伝達ブラケットの固定部
を固定側ジャケットに開設した開口部から内側へ挿入
し、可動側ジャケットを軸方向移動させて固定部を嵌合
し、かつ、挟持部を左右に押し広げて開いた状態で、ナ
ットブロックを固定側ジャケットの開口部から挿入して
その足部を可動側ジャケットの係合孔に挿入し、ボルト
挿通孔にボルトを挿通して締め付けることで挟持部を互
いにナットブロックに締着すると、前記出力伝達ブラケ
ットの突出部が前記ナットブロックの突起部を摺接して
上昇し、固定部を可動側ジャケットに強く巻き付ける作
用を奏するので、出力伝達ブラケットと可動側ジャケッ
ト及びナットブロックの強固な連結ができ、しかも、組
付け性がよい。
【0017】また、請求項5に記載のように、前記出力
伝達ブラケットの一対の挟持部はそれぞれ前記ナットブ
ロックの斜面部と摺接する突出部を有し、該挟持部がナ
ットブロックに締着されたときに前記出力伝達ブラケッ
トの固定部の締着力を増大させることを特徴とする請求
項4記載のステアリングコラムのテレスコ構造を提供す
る。
【0018】これにより、出力伝達ブラケットと可動側
ジャケットとの結合強度が向上する。
【0019】なお、前記ナットブロックと可動側ジャケ
ットのがたの無い締着構造を得るために、請求項6〜9
に記載したように、ボルトで挟持部をナットブロックに
締着することで、ナットブロックが可動側ジャケットに
向けて移動できるように構成することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】この発明の第1実施形態を図1〜
図4に基づき説明する。図1に示すように、適宜の上・
下ブラケットを介して車体に静止又はチルト可能に固定
する固定側ジャケット1に、可動側ジャケット2(テレ
スコジャケット)が同軸で軸方向移動可能に嵌合し、可
動側ジャケット2には同軸でステアリングシャフト3が
軸中心で回転可能に支持されている。
【0021】ステアリングシャフト3は外端部にステア
リングホイール(図示略)を結合するセレーション及び
ネジ部を形成した中実のアッパーシャフト3aと、アッ
パーシャフト3aが嵌合して結合される中空のミドルシ
ャフト3bと、ミドルシャフト3bの内周面に形成した
セレーション部30に係合するセーション部31を一端
外周面に形成したロアーシャフト3cとからなる。
【0022】アッパーシャフト3aはボールベアリング
等の軸受4を介して可動側ジャケット2に軸中心で回転
自在に支承され、アッパーシャフト3aと一体に結合さ
れたミドルシャフト3bはニードルベアリング等の軸受
5を介して可動側ジャケット2に軸中心で回転自在に支
承されている。可動側ジャケット2はブッシュ6と絞り
部7を介して固定側ジャケット1に軸方向移動可能に摺
接している。
【0023】ロアーシャフト3cの一端側のセレーショ
ン部31,31間には溝8が形成されていて、その溝8
に板バネ9,9がガタ押さえとして介在している。ロア
ーシャフト3cの他端側にはセレーション部32,32
が形成され、これらの間に溝10が形成されていて、そ
の溝には樹脂モールド11が注入されている。セレーシ
ョン部32,32が係合するセレーション部33を内周
面に形成した軸受12がロアーシャフト3cに嵌合し、
その軸受12には一次衝突時に破断する樹脂モールド1
1を注入するための孔13が穿設されている。軸受12
にはボールベアリング等の軸受14がナット15で固定
されている。ベアリング14のインナーレースは軸受1
2に固定され、アウターレースは固定側ジャケット1に
固定される。なお、図示を省略したが、ロアーシャフト
3cの他端部には自在継手を介して中間シャフトが連結
され、中間シャフトは自在継手を介してステアリングギ
ヤボックスに連結される。
【0024】固定側ジャケット1の軸受14近傍の端部
外周面にはブラケット16が固定され、このブラケット
16にボルト17を介してテレスコ駆動装置としてのモ
ーターユニット18が固定されている。モーターユニッ
ト18は、図4に示すように、モーター部18aと減速
部18b,18cとが一体に組み込まれたものであり、
減速部18bにはモーター(図示略)の出力軸と結合し
たウォーム(図示略)が収容され、減速部18bとほぼ
直交する方向の減速部18cにはウォームと係合するウ
ォームホイール(図示略)が収容されている。ウォーム
ホイールに結合したスクリュウ軸19が固定側ジャケッ
ト1と平行に前方側に延伸し、このスクリュウ軸19に
はその外周面に形成したネジ部に係合するネジ部を内周
面に形成したネジ孔20aを有するナットブロック20
が係合し、自由端部にはストッパ21が固定されてい
る。
【0025】ここで、図2及び図1に示すように、前記
ミドルシャフト3bの軸受5側の端部にはチューブ3d
が圧入固定又は溶接等にて結合され、このチューブ3d
の一端側の外周面には出力伝達ブラケット22が締結さ
れている。なお、チューブ3dは可動側ジャケット2と
別体で可動側ジャケット2に圧入固定した構造を示した
が、可動側ジャケット2の一端部を長く形成することに
代えてもなんら差し支えないので、チューブ3dと可動
側ジャケット2は実質的に同体である。
【0026】出力伝達ブラケット22の一部は固定側ジ
ャケット1に開設した開口部1aから外側へ突出し、そ
の開口部1aの軸方向長さ範囲内で軸方向へ移動可能で
ある。そして、固定側ジャケット1から突出した出力伝
達ブラケット22にはナットブロック20が締結固定さ
れている。図3に示すように、ナットブロック20は出
力伝達ブラケット22の挟持部24,24が相対して締
着する断面方形のくびれ部23を有してその挟持部2
4,24に回転不能に固定保持される。なお、開口部1
aは、組付け性を考慮して、出力伝達ブラケット22を
固定側ジャケット1内に挿入できるように、固定部25
の直径よりも大きい軸方向長さに形成することが望まし
い。
【0027】この出力伝達ブラケット22は、図2〜図
4に示すように、ナットブロック20に形成した断面方
形のくびれ部23に相対して圧着する挟持部24,24
と、チューブ3dの外周面を包囲して締着する環状の固
定部25とからなり、挟持部24,24の基部にはくび
れ部26,26が形成されている。挟持部24,24
は、図4に示すように、固定部25を中心として左右二
つに分岐した形状であって開閉して両者の間隔を調節で
き、くびれ部26,26に設けたボルト挿通孔27,2
7に固定用ボルト28を一方側から挿通し、他方側に固
定した固定用ナット29で締結する。固定部25の内周
面にはエンボス加工による突起部34,34が直径方向
で相対する位置に形成され、これらの突起部34,34
はチューブ3dに直径方向で相対して穿設された係合孔
35,35に係合して移動止めを行う。なお、固定部2
5とくびれ部26の基部及び挟持部24の辺縁はほぼ直
交方向へ曲げて剛性を高めている。
【0028】なお、固定部25の突起部34,34がチ
ューブ3dの係合孔35,35に係合して移動止めを行
う他の例として、図5に示すように、固定部25の突起
部34,34はそのままとし、係合孔35に代わるL形
のスリット35a,35bを直径方向で相対向させてチ
ューブ3dに形成することとしてもよい。したがって、
固定部25をチューブ3dの開口側から嵌合して突起部
34,34をスリット35a,35bに係合させてチュ
ーブ3dの軸方向へ押し込み、かつ、突起部34,34
がスリット35a,35bの直角に曲げた閉端部まで移
動するようにチューブ3dを軸中心で回転させる。これ
により、固定部25の突起部34,34をチューブ3d
へ簡単に固定できる。
【0029】上記構成にかかる第1実施形態のテレスコ
操作は、モーターユニット18の配線と結ばれて適宜の
位置に配置されたテレスコ調整用スイッチを正方向側で
ONにすると、モーターユニット18が駆動されてスク
リュウ軸19が正回転してナットブロック20を車体後
方側(運転者側)へ移動させるので、ナットブロック2
0と連結された出力伝達ブラケット22が車体後方側へ
移動し、出力伝達ブラケット22と連結されたチューブ
3d及びこれと一体に結合した可動側ジャケット2が車
体後方側へ移動する。そこで、出力伝達ブラケット22
が開口部1aの範囲内で移動した適宜の位置でテレスコ
調整用スイッチをOFFすると、モーターユニット18
の駆動が停止し、スクリュウ軸19の回転が停止し、そ
の位置で可動側ジャケット2の軸方向移動が停止し、可
動側ジャケット2は前記モーターユニット18における
ウォームとウオームホイールの係合により前後へ移動不
能に静止する。
【0030】なお、テレスコ調整用スイッチを逆方向側
でONにするとモーターユニット18が逆駆動されてス
クリュウ軸19が逆回転してナットブロック20を車体
前方側へ移動させるので、ナットブロック20と連結さ
れた出力伝達ブラケット22が車体前側へ移動し、出力
伝達ブラケット22と連結されたチューブ3d及びこれ
と一体に結合した可動側ジャケット2が車体前方側へ移
動することとなる。
【0031】この第1実施形態の組付け方法について説
明すると、固定側ジャケット1に軸受12とロアーシャ
フト3cをまだ組付けない工程において、出力伝達ブラ
ケット22の固定部25を固定側ジャケット1に開設し
た開口部1aから内側へ挿入し、可動側ジャケット2を
軸方向移動させて固定部25をチューブ3dに嵌合して
突起部34を可動側ジャケット2の係合孔35に係合さ
せ、かつ、挟持部24,24を左右に押し広げて開いた
状態で(図4参照)、ナットブロック20を挟持部2
4,24間に挿入し、固定用ボルト28を固定用ナット
29で締めると、出力伝達ブラケット22はナットブロ
ック20に締着することができるので、組付け性がよ
い。
【0032】次にこの発明の第2実施形態を図6〜図9
に基づき説明する。なお、前記第1実施形態と同じ部分
には同一符号を用いて説明する。また、図6〜図9に示
されていない構成については前記第1実施形態と同じで
ある。
【0033】この第2実施形態では、図9に分解して示
すように、チューブ3dの端部側に軸方向で整列する一
対の係合孔35,35を設け、この係合孔35,35を
介してナットブロック40を直接にチューブ3dすなわ
ち可動側ジャケット2と結合するとともに、このナット
ブロック40を出力伝達ブラケット50でチューブ3d
すなわち可動側ジャケット2に締結する。ナットブロッ
ク40は固定側ジャケット1に開設した開口部1bから
外側に突出し、その突出した部分に固定側ジャケット1
と平行に設けられたネジ孔40aにモーターユニット1
8のスクリュウ軸19が係合している。スクリュウ軸1
8の自由端部にはストッパ21が固定されている。
【0034】ナットブロック40は、図9に示すよう
に、係合孔35,35に係合する突出部としての足部4
1,41を前後方向で形成した略方形のブロックからな
り、前側の足部41の上部には突起部として左右両側へ
均等に傾斜した斜面部42,42を形成し、その対向車
体前側にはくびれ部43を形成し、このくびれ部43と
斜面部42の間に長孔44が設けてある。斜面部42は
出力伝達ブラケット50の挟持部51に形成した突出部
52が摺接可能である。足部41,41間の軸方向長さ
は開口部1bの軸方向長さよりも短く、かつ、図6に示
すように、可動側ジャケット2に結合したときは固定側
ジャケット1の板厚よりも下位に位置するように設定し
て、くびれ部43がナットブロック40の軸方向移動の
ストロークを大きくしている。
【0035】したがって、出力伝達ブラケット50の環
状の固定部53でチューブ3dを包囲し、図8に示すよ
うに、挟持部51,51でナットブロック40を締結す
るとき、突出部52,52が斜面部42,42に当接
し、挟持部51,51に穿設した透孔54,54と前記
ナットブロック40に設けられた長孔44に固定用ボル
ト55を挿通して固定用ナット56で締め付けると、突
出部52,52が斜面部42,42を互いに頂点部側へ
滑り移動して固定部53をチューブ3dに強く巻き付
け、ナットブロック40と可動側ジャケット2との締着
力を増大させる。
【0036】上記構成にかかる第2実施形態のテレスコ
操作は、モーターユニット18の配線と結ばれて適宜の
位置に配置されたテレスコ調整用スイッチを正又は逆方
向側でONにすると、モーターユニット18が駆動され
てスクリュウ軸19が正又は逆回転してナットブロック
40を後方(運転者側)又は前方(車体前側)へ移動さ
せるので、ナットブロック40と連結されたチューブ3
dすなわち可動側ジャケット2が出力伝達ブラケット5
0とともに後方又は前方へ移動する。そこで、出力伝達
ブラケット50が開口部1bの範囲内で移動した適宜の
位置でテレスコ調整用スイッチをOFFすると、モータ
ーユニット18の駆動が停止し、スクリュウ軸19の回
転が停止し、その位置で可動側ジャケット2の軸方向移
動が停止し、可動側ジャケット2は前記モーターユニッ
ト18におけるウォームとウオームホイールの係合によ
り前後へ移動不能に静止する。
【0037】なお、この第2実施形態の組付け方法につ
いて説明すると、固定側ジャケット1に軸受12とロア
ーシャフト3cをまだ組付けない工程において、出力伝
達ブラケット50の固定部53を固定側ジャケット1に
開設した開口部1bから内側へ挿入し、可動側ジャケッ
ト2を軸方向移動させて固定部53をチューブ3dに嵌
合し、かつ、挟持部51,51を左右に押し広げて開い
た状態で(図8参照)、ナットブロック40を固定側ジ
ャケット1の開口部1bから挿入してその足部41,4
1を可動側ジャケット2の係合孔35,35に挿入し、
ボルト挿通孔44,54,44にボルト55を挿通して
締め付けることで挟持部51,51を互いにナットブロ
ック40に締着することができるので、組付け性がよ
い。
【0038】次に、この発明の第3実施形態を説明す
る。図10に示すように、ナットブロック60は、ネジ
孔68を軸心方向に形成してその両端部付近の外周面に
リブ突起61,61を形成した円筒状体62と、この円
筒状体62の下部に方形の脚部63を一体形成した合成
樹脂からなり、脚部63にはネジ孔68と直交方向のボ
ルト挿通孔64が穿設され、かつ、ネジ孔68と軸芯線
が平行で側面から突出した突起部65及びボルト挿通孔
64と軸芯線が直交方向で下面から突出した突出部66
が合成樹脂などにて一体形成されている。突起部65は
円柱状であり、また、突出部66は可動側ジャケット2
又はチューブ3dに設けた係合孔67に係合することが
できる。
【0039】一方、このナットブロック60に装着する
出力伝達ブラケット70は、チューブ3dを嵌合して端
部に締着する環状の固定部73と、これと一体の挟持部
71,71とからなり、挟持部71,71の一側に切り
込み片を形成してそれらを互いに傾斜し対面させた突出
部72,72が形成され、かつ、一方の挟持部71の外
側面に固定用ナット76が溶接にて固定されている。固
定用ナット76の中心には透孔77が穿設され、この透
孔77と連通する透孔74が挟持部71に穿設されてい
る。ボルト挿通孔64はボルト55の外径よりもやや大
きめの内径を有する。
【0040】したがって、この第3実施形態において、
チューブ3dを嵌合した出力伝達ブラケット70の挟持
部71,71でナットブロック60を挟持し、透孔7
4,74,77をボルト挿通孔64に合わせてボルト5
5を挿通し、固定用ナット76に締着すると、図11に
示すように、突出部72,72の傾斜面が突起部65に
摺接し、さらにボルト55を締め付けると、突起部7
2,72の傾斜面の案内で挟持部71,71が図の上方
側へ移動することにより、固定部73はチューブ3dに
強く締め付けられので、ナットブロック60と出力伝達
ブラケット70の強固な連結ができる。
【0041】さらに、この発明の第4実施形態を説明す
る。図12に示すように、ナットブロック60は前記第
3実施形態のそれと同じ(但し突起部65は不要)であ
るが、出力伝達ブラケット80は固定部83と挟持部8
1,81とからなり、一方の挟持部81には透孔84の
近傍にエンボス突起85が形成されている。エンボス突
起85はボルト55の頭部56の一辺が摺接できる位置
に形成されている。透孔84はナットブロック60のボ
ルト挿通孔64よりも径大か若しくは長穴にしてある。
なお、ボルト挿通孔64はボルト55の直径とほぼ同じ
内径を有する。
【0042】したがって、この第4実施形態において、
可動側ジャケット2を嵌合した出力伝達ブラケット80
の挟持部81,81でナットブロック60を挟持し、透
孔84,84をボルト挿通孔64に合わせてボルト55
を挿通し、かしめ用ナット86で締着すると、図13
(A)に示すように、ボルト55の頭部56の一辺がエ
ンボス突起85に当接し、かしめ用ナット86が回転す
る疑似トルクが頭部56に作用してその一辺がエンボス
突起85に当たって回り止めし、その反力で図13
(B)に示すように、ボルト55が透孔84を介しチュ
ーブ3d側へ移動(イ)するため、ナットブロック60
はチューブ3dに押し付けられるから、出力伝達ブラケ
ット80はナットブロック60にがたつくことなく締着
される。
【0043】また、この発明の第5実施形態を説明す
る。図14に示すように、ナットブロック60は前記第
3及び第4実施形態のそれと同じ(但し突起部65は不
要)であるが、出力伝達ブラケット90は固定部93と
挟持部91,91とからなり、一方の挟持部91は透孔
94の上方で端部をL形に曲げた当接部99が形成され
ている。そして、この当接部99に下方からコーナー部
が当接する断面L形のワッシャー100を用いる。ワッ
シャー100はボルト55を挿通する透孔101と、L
形に曲げてボルト55の頭部56の一辺が当接できる当
接部102を有する。透孔94はナットブロック60の
ボルト挿通孔64よりも径大か若しくは長穴にしてあ
る。なお、ボルト挿通孔64はボルト55の直径とほぼ
同じ内径を有する。
【0044】したがって、この第5実施形態において、
チューブ3dを嵌合した出力伝達ブラケット90の挟持
部91,91でナットブロック60を挟持し、ワッシャ
ー100の透孔101と透孔94,94をボルト挿通孔
64に合わせてボルト55を挿通し、かしめ用ナット8
6で締着すると、図15(A)に示すように、ボルト5
5の頭部56の一辺がワッシャー100の当接部102
に当接して回り止めをするとともに、ワッシャー100
のコーナー部が当接部99に当接してその反力で図15
(B)に示すように、ボルト55が透孔94を介しチュ
ーブ3d側へ移動(ロ)するため、ナットブロック60
はチューブ3dに押し付けられるから、出力伝達ブラケ
ット90はナットブロック60にがたつくことなく締着
される。
【0045】さらに、この発明の第6実施形態を説明す
る。図16に示すように、ナットブロック60と出力伝
達ブラケット90は前記第5の実施の形態のそれと同じ
であるが、ボルト55に断面く字形に曲げたバネワッシ
ャー110を用いる。したがって、この第6実施形態に
おいて、可動側ジャケット2を嵌合した出力伝達ブラケ
ット90の挟持部91,91でナットブロック60を挟
持し、バネワッシャー110の透孔111と透孔94,
94をボルト挿通孔64に合わせてボルト55を挿通
し、かしめ用ナット86で締着すると、図17(A)に
示すように、バネワッシャー110の曲げ部112が当
接部99の下面に入り込むので、その反力で図17
(B)に示すように、ボルト55が透孔94を介しチュ
ーブ3d側へ移動するため、ナットブロック60はチュ
ーブ3dに押し付けられるから、出力伝達ブラケット9
0はナットブロック60にがたつくことなく締着され
る。
【0046】最後に、この発明の第7実施形態を説明す
る。図18に示すように、ナットブロック60は前記第
4実施形態のそれと同じであるが、出力伝達ブラケット
120は固定部123と挟持部121,121とからな
り、一方の挟持部121の透孔124と他方の挟持部1
21の透孔125とは軸心線を共通にするが内径を異に
している。また、ボルト130は透孔125に嵌合する
軸部131と、ボルト挿通孔64に嵌合する偏心部13
2及び透孔124に嵌合してかしめ用ナット86が係合
するネジ部133とを有する。
【0047】したがって、この第7実施形態において、
チューブ3dを嵌合した出力伝達ブラケット120の挟
持部121,121でナットブロック60を挟持し、透
孔124,125をボルト挿通孔64に合わせてボルト
130を挿通し、かしめ用ナット86を締着方向へ回転
させると、図19(A)に示すように、軸部131とネ
ジ部133を中心として偏心部132が回転することに
より、図19(B)に示すように、偏心部132が貫通
するボルト挿通孔64を介してナットブロック60はチ
ューブ3dに押し付けられるから、出力伝達ブラケット
120はナットブロック60にがたつくことなく締着さ
れる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したこの発明によれば、出力伝
達ブラケット単独の部品にてナットブロックと可動側ジ
ャケットを強固に連結できるため、ステアリングホイー
ルから離れた可動側ジャケットの端部側に駆動機構を設
定できるので、モーターの作動音を乗員に聴取されない
ようにすることができ、かつ、ターンシグナルスイッチ
配線、エアバッグ配線、ステアリングロックユニット等
に支障を与えず、かつ、それらに影響されないテレスコ
構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態を示す、一部断面とし
たステアリングコラムの全体側面図である。
【図2】図1の一部破断要部側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3の要部分解一部断面正面図である。
【図5】第1実施形態の変更例を示す第2図同様の図で
ある。
【図6】この発明の第2実施形態の要部を示す全体側面
図である。
【図7】図5のB−B断面図である。
【図8】図6の分解図である。
【図9】この発明の第2実施形態の要部を示す斜視図で
ある。
【図10】この発明の第3実施形態の要部を示す斜視図
である。
【図11】第3実施形態の組み立てた要部斜視図図であ
る。
【図12】この発明の第4実施形態の要部を示す斜視図
である。
【図13】(A),(B)はそれぞれ第4実施形態の作
用説明図である。
【図14】この発明の第5実施形態の要部を示す斜視図
である。
【図15】(A),(B)はそれぞれ第5実施形態の作
用説明図である。
【図16】この発明の第6実施形態の要部を示す斜視図
である。
【図17】(A),(B)はそれぞれ第6実施形態の作
用説明図である。
【図18】この発明の第7実施の形態の要部を示す斜視
図である。
【図19】(A),(B)はそれぞれ第7実施形態の作
用説明図である。
【符号の説明】 1…固定側ジャケット 1a,1b…開口部 2…可動側ジャケット 3…ステアリングシャフト 3a…アッパーシャフト 3b…ミドルシャフト 3c…ロアーシャフト 3d…チューブ 4,5…軸受 6…ブッシュ 16…ブラケット 17…ボルト 18…モーターユニット(テレスコ駆動装置) 19…スクリュウ軸 20,40,60…ナットブロック 21…ストッパ 22,50,70,80,90,120…出力伝達ブラ
ケット 23,26…くびれ部 24,51,71,81,91,121,…挟持部 25,53…固定部 27,44,64…ボルト挿通孔 28,55…固定用ボルト 29,56…固定用ナット 34,52…突起部 35…係合孔 55…ボルト 56…頭部 65…突起部 72…突出部 74,84,94,124,125…透孔 85…エンボス突起部 99,102…当接部 100…ワッシャー 110…バネワッシャー 130…段付きボルト

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に固定する固定側ジャケットに可動
    側ジャケットが同軸で軸方向移動可能に嵌合し、前記固
    定側ジャケットの外側面に固定したテレスコ駆動装置に
    より前記可動側ジャケットを軸方向へ移動可能に配設
    し、前記可動側ジャケットに軸方向伸縮可能かつ軸中心
    で回転可能に支承されるステアリングシャフトの端部に
    軸着したステアリングホイールと運転乗員との距離を長
    短調整できるようにしたステアリングコラムのテレスコ
    構造において、 前記固定側ジャケット内における前記可動側ジャケット
    の端部側の外周面を包囲して締着する環状の固定部と、
    前記テレスコ駆動装置の出力を伝達するスクリュウ軸が
    係合するナットブロックを挟持して前記固定側ジャケッ
    トに開設した開口部から外側へ延出する一対の挟持部と
    を一体形成してなる出力伝達ブラケットを有することを
    特徴とするステアリングコラムのテレスコ構造。
  2. 【請求項2】 前記ナットブロックは前記挟持部が相対
    して締着する断面方形のくびれ部を有して前記挟持部に
    回転不能に固定保持されることを特徴とする請求項1記
    載のステアリングコラムのテレスコ構造。
  3. 【請求項3】 前記ナットブロックは前記固定側ジャケ
    ットの開口部に遊嵌し進入して前記可動側ジャケットに
    結合され、かつ、前記出力伝達ブラケットの挟持部に固
    定保持される本体からなることを特徴とする請求項1記
    載のステアリングコラムのテレスコ構造。
  4. 【請求項4】 前記本体には前記可動側ジャケットに開
    設した係合孔に係合する突出部と、前記スクリュウ軸が
    係合するネジ孔と、前記挟持部を前記ナットブロックに
    締着するボルトが貫通するボルト挿通孔と、及び、前記
    出力伝達ブラケットの挟持部に形成した一対の突出部が
    摺接する突起部とを有することを特徴とする請求項3記
    載のステアリングコラムのテレスコ構造。
  5. 【請求項5】 前記出力伝達ブラケットの一対の挟持部
    はそれぞれ前記ナットブロックの斜面部と摺接する突出
    部を有し、該挟持部がナットブロックに締着されたとき
    に前記出力伝達ブラケットの固定部の締着力を増大させ
    ることを特徴とする請求項4記載のステアリングコラム
    のテレスコ構造。
  6. 【請求項6】 前記出力伝達ブラケットの一対の挟持部
    の一方に、前記ナットブロックに挿通するボルトの頭部
    の一辺が当接できるエンボス突起部を形成し、前記ボル
    トを介して前記挟持部が前記ナットブロックに締着され
    たときに、前記ボルトに係合するナットを介して前記ボ
    ルトを押し下げ、前記ナットブロックを前記可動側ジャ
    ケットに締め付けてその締着力を増大させるようにした
    ことを特徴とする請求項1記載のステアリングコラムの
    テレスコ構造。
  7. 【請求項7】 前記出力伝達ブラケットの一対の挟持部
    の一方の端部をほぼ直角に折り曲げて当接部を形成し、
    この当接部にコーナー部が当接する断面L形のワッシャ
    ーをボルトに嵌合し、このワッシャーにボルトの頭部を
    当接させボルトを回して前記挟持部が前記ナットブロッ
    クに締着されたときに、前記ボルトに係合するナットを
    介して前記ボルトを押し下げ、前記ナットブロックを前
    記可動側ジャケットに締め付けてその締着力を増大させ
    るようにしたことを特徴とする請求項1記載のステアリ
    ングコラムのテレスコ構造。
  8. 【請求項8】 前記出力伝達ブラケットの一対の挟持部
    の一方の端部をほぼ直角に折り曲げて当接部を形成し、
    その当接部に折り曲げた一部が当接する断面く字形のバ
    ネワッシャーをボルトに嵌合し、このボルトを回して前
    記挟持部が前記ナットブロックに締着されたときに、前
    記バネワッシャーが前記当接部の下部に移動して前記ボ
    ルトを押し下げ、前記ナットブロックを可動側ジャケッ
    トに締め付け、その締着力を増大させるようにしたこと
    を特徴とする請求項1記載のステアリングコラムのテレ
    スコ構造。
  9. 【請求項9】 前記出力伝達ブラケットの一対の挟持部
    に軸芯線を共通にするが内径が大小異なる透孔を穿設
    し、その内径が大きい透孔には軸部を、内径が小なる透
    孔にはナットを係合するネジ部をそれぞれ嵌合し、この
    ネジ部と前記軸部との間に一体形成されて前記ナットブ
    ロックのボルト挿通孔に嵌合する偏心部とを有する段付
    きボルトで前記出力伝達ブラケットが前記ナットブロッ
    クに締結されたときに、前記偏心部が前記ナットブロッ
    クを前記可動側ジャケットに押し付けて両者の締着力を
    増大させるようにしたことを特徴とする請求項1記載の
    ステアリングコラムのテレスコ構造。
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