JP2003339380A - インターフェロンαレセプター2型遺伝子の多型およびその使用 - Google Patents
インターフェロンαレセプター2型遺伝子の多型およびその使用Info
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Abstract
精度よく行う方法を提供する。 【解決手段】 インターフェロンαレセプター2型遺伝
子のプロモーター領域の−134位の、対象においてイ
ンターフェロン治療の有効性を予測するための単塩基多
型マーカー。
Description
型肝炎ウイルス感染者などのインターフェロンを投与さ
れるべき対象においてインターフェロンの効果を予測す
るためのマーカー遺伝子、それを利用したインターフェ
ロンの効果を予測する方法に関する。
V)感染者が約200万人存在する。HCVに感染した
人の多くは、やがて慢性肝炎を発症し、その70%近く
の人が、更に10年から20年を経た後で肝癌を発症す
ると考えられている。現在、慢性肝炎の治療にはインタ
ーフェロン(以下IFN)αないしβが有効であるとさ
れている。しかしながら、IFNαおよびβの効果は、
宿主とウイルスに関する幾つかの要因によって大きく左
右される。
果に影響を与える因子としては次のようなことが知られ
ている。まず、ウイルスの因子としては、血中のウイル
ス量が多い患者ほどIFNαおよびβの効果が低く、ま
た、タイプ1よりタイプ2のウイルスに感染している患
者の方が治療効果は高い(A. Tsubota et
al., Hepatology 19, 1088
−1094 1994)。
およびβの治療効果は異なる。例えば、マンノース結合
レクチン(MBL)の遺伝子の二箇所のSNPsの遺伝
子型により(M. Matsushita et a
l., J. Hepatology, 29; 69
5−700, 1998)、また、MxA遺伝子のプロ
モータ領域に存在するSNPの遺伝子型(M. Hij
ikata et al.,Intervirolog
y, 43; 124−127, 2000)、さらに
はインターフェロンαレセプター1型遺伝子(以下IF
NAR1と記す)のマイクロサテライトのGT反復配列
の数(特願2001−318472)によりその治療効
果は左右される。
用が伴うこと、治療期間も長期に及ぶこと、また、治療
に係る費用が高額であること等の問題がある。このよう
なことを考慮すると、効果が期待できない患者にIFN
を投与することは患者を苦しめるばかりではなく、無駄
に多額の医療費を患者や国に負担させることになる。従
って、個々の患者についてIFN治療が期待できるかど
うかを予め予測するための技術の開発が強く望まれてい
る。
象、特に、インターフェロンを投与されるべき対象にお
けるIFNの治療効果の予測をより精度よく行う方法を
提供することである。
な本発明によって解決される。即ち、 (I) インターフェロンαレセプター2型遺伝子のプ
ロモーター領域の−134位の、対象においてインター
フェロン治療の有効性を予測するための単塩基多型マー
カー; (II) インターフェロンαレセプター2型遺伝子のプ
ロモーター領域の−75位の、対象においてインターフ
ェロン治療の有効性を予測するための単塩基多型マーカ
ー; (III) (1)前記対象に由来する核酸サンプルを得
ることと、(2)(1)の核酸サンプルについて、前記
(I)および(II)に記載の単塩基多型マーカーの遺伝
子型と、インターフェロンαレセプター1型遺伝子のプ
ロモーター領域のマイクロサテライトマーカーの遺伝子
型を決定することと、(3)(2)で決定された遺伝子
型からインターフェロン治療の有効性の予測を行うこと
と、を具備する対象においてインターフェロン治療の有
効性を予測する方法; (IV) インターフェロンαレセプター2型遺伝子の遺
伝子型を検出するための核酸プローブであって、配列番
号1に記載の塩基配列およびその相補鎖からなる群より
選択されるポリヌクレオチドに含まれる連続した8から
500塩基を含み、且つ配列番号1の塩基配列における
1367位または1426位の少なくとも1の単塩基多
型部位の塩基を含む核酸プローブ;および (V) 上記(IV)に記載の核酸プローブを具備する塩
基配列検出用チップ。
フェロンα、β、γおよび/またはωを示す語として使
用する(以下、インターフェロンをINFと記す)。I
FNαおよびβのレセプターのうち、1型のレセプター
をコードする遺伝子を「IFNAR1遺伝子」と記し、
同じく2型のレセプターをコードする遺伝子を「IFN
AR2遺伝子」と記す。またここで、「IFNの治療の
有効性」とは、IFNにより治療され得る疾患を有する
対象において、IFNが前記疾患を治療できる可能性の
程度をいう。
には、IFNを投与してもその対象が罹患する疾患は治
療される可能性が低いと考えられる。従って、そのよう
な対象へのIFNの投与は控えた方がよいであろう。一
方、治療効果が高いと予測された場合には、IFNの投
与により、その対象における疾患が治療される可能性は
高い(または、低くはない)と考えられる。従って、そ
のような対象へのIFNの投与は行って見る価値がある
と考えられる。
およびC型肝炎などの肝炎、膠芽腫、髄芽腫、星細胞
腫、皮膚悪性黒色腫、腎癌、多発性骨髄腫、ヘアリー細
胞白血病、慢性骨髄性白血病、亜急性硬化性全脳炎、ウ
イルス性脳炎、免疫抑制患者の全身性帯状疱疹及び水
痘、上咽頭未分化癌、聴力低下を伴うウイルス性内耳感
染症、ヘルペス性角膜炎、偏平コンジローマ、尖圭コン
ジローマ、アデノウイルス及びヘルペスウイルス感染に
よる結膜炎、性器ヘルペス、口唇ヘルペス、子宮頸癌、
癌性胸水症、角化棘細胞腫、基底細胞癌およびδ型慢性
活動性肝炎などが挙げられるが、これに限定するもので
はない。また、対象の体質を調べる目的などのために、
疾患を有さない健康な対象についてIFNの有効性を調
べてもよい。
型」とは、1つの遺伝子座を占める複数種の対立遺伝子
群、又はこのような対立遺伝子群に属する個々の対立遺
伝子を指称するものとする。また、多型部位の中で1塩
基のみが異なるものを、「単塩基多型」(Single Nucle
otide Polymorphism、以後、SNPと称する)と指称す
る。
とは、その単塩基多型の遺伝子型によって、IFNの治
療効果を予測できる指標として使用されるマーカーであ
る。具体的には、対象より採取されたサンプル中に含ま
れる特定の核酸の特定の部位を示す。また、ここで使用
される「マイクロサテライトマーカー」とは、GTの反
復配列を指し、その反復回数、即ち、当該マイクロサテ
ライト多型の遺伝子型、からIFNの治療効果を予測で
きる指標として使用されるマーカーである。具体的に
は、対象より採取されたサンプル中に含まれる特定の核
酸の特定の部位を示す。これらのマーカーは、IFNの
治療効果を予測するために使用することが可能である。
目している遺伝子座の対立遺伝子の存在状態を示す。ま
たここで使用される「IFN感受性関連多型」とは、I
FNの有効性を左右する多型遺伝子をいう。
新規SNP 今回、発明者らは、インターフェロンαレセプター2型
(以下、IFNAR2と記す)遺伝子に新規のSNP
(single nucleotide polymorphism)を見出した。更に
鋭意研究の結果、この新規のSNPは、HCV感染者に
おけるIFNの治療効果を予測するためのマーカー、即
ち、対象のIFN感受性を判定するためのマーカーとし
て利用できることを見出した。このような知見に基づい
て本発明は達成された。
AR2の新規SNPsは、転写開始部位を+1として、
IFNAR2のプロモーター領域の−134番目(以下
−134または−134位と記す)と−75番目(以下
−75または−75位と記す)に存在する。図1にIF
NAR2遺伝子のプロモーター領域の塩基配列の1例を
示す。配列の左側の数字は、mRNAの転写開始点を+
1とした場合の位置を示す。図1の下線部が当該SNP
の部位であり、この例では、当該単塩基多型マーカーで
ある−134がチミン、−75がシトシンである例が示
される。
R2遺伝子のプロモーター領域を含む配列の例を示す。
配列番号1で示される塩基配列では、当該SNPである
−134は1367位、−75は1426位に示され
る。本明細書の配列表および図面に記載された各配列中
で、多型部位は任意の塩基を表す表記「N」または
「n」によって示される。「N」および「n」はアデニ
ン、チミン、グアニンまたはシトシンの何れかの塩基で
あればよい。
チミン(以下、Tまたはtと記す)またはグアニン(以
下、Gまたはgと記す)であり、詳しくは、T/Tホモ
型、G/Gホモ型およびT/Gヘテロ型である。また、
−75の取り得る塩基は、シトシン(以下、Cまたはc
と記す)またはアデニン(以下、Aまたはcと記す)で
あり、詳しくは、C/Cホモ型、A/Aホモ型およびC
/Aヘテロ型である。
−134と−75についてSNPsの遺伝子型の両方を
一括して以下のように表記する。例えば、−134がT
/Tホモ型であり、且つ−75がC/Cホモ型である場
合には、TT/CCと記す。また、−134がG/Gホ
モ型であり、−75がA/Aホモ型である場合には、G
G/AAと記す。各表記と−134および−75の遺伝
子型の関係を表1に示す。
NPsは、対象におけるIFNの治療効果を予測するた
めのマーカーとして使用することが可能である。例え
ば、IFNAR2遺伝子の当該SNPsの遺伝子型と、
IFNAR1遺伝子のプロモータ領域のマイクロサテラ
イト多型の遺伝子型とを、対象について解析し、それら
の遺伝子型からIFNの治療効果を予測することが可能
である。この場合、IFNAR2遺伝子の当該SNPs
は、IFNAR1遺伝子の多型による予測を更に確実な
ものとし、予測の精度を向上できる。
8472によりIFNAR1のマイクロサテライト多型
のGT反復配列数によるIFN治療効果が予測すること
を提案している。本発明の態様に従うと、特願2001
−318472に開示される方法に比較して、より高い
精度でIFN治療効果を予測することが可能である。ま
た、例えば、C型肝炎ウイルス(以下、HCV)感染者
の場合には、一般的に罹患しているウイルスの型や量を
特に考慮しなくともINFの治療効果を予測できる。本
発明の態様に従う予測する方法の例についての説明は、
次項のIFNAR1遺伝子の多型に関する説明の後に行
う。
イトマーカー 図2にIFNAR1のプロモーター領域からイントロン
1の領域を示す。配列の左側の数字は、mRNAの転写
開始点を+1とした場合の位置を示す。問題のマイクロ
サテライト多型は、−77位から−50位に存在し、図
2に記載された配列の反復回数は9である。しかしなが
らこの反復回数は、遺伝子型の違いによって異なる反復
回数で存在する。従って、反復回数に応じてマイクロサ
テライト多型の存在部位は変わる。即ち、例えば、反復
回数が5の場合には、当該マイクロサテライト多型の部
位は、転写開始点を+1とした場合、−59番目から−
50番目、即ち、−59位から−50位に存在する。ま
た更なるIFN感受性に関連のないSNPが−408
位、−18位および−3位に存在する。
は、IFN感受性に関連する多型およびIFN感受性に
関連のないSNP部位以外の領域は何れの配列でも共通
である。本明細書の配列表および図面に記載された各配
列中で、多型部位は任意の塩基を表す表記「N」または
「n」によって示される。「N」および「n」はアデニ
ン、チミン、グアニンまたはシトシンの何れかの塩基を
示す。
テライト多型の反復回数が5である5/5ホモ接合の場
合、または対象の対立遺伝子の当該反復回数が5と14
である5/14ヘテロ接合である場合に、対象における
IFN治療の有効である可能性は高いと予測される(表
2)。それに対して、対象の対立遺伝子の当該反復回数
が、5/5ホモ接合または5/14ヘテロ接合の何れで
もない場合には、IFN治療の有効である可能性は低い
と予測される(表2)。
伝子の多型を用いたIFNの治療効果の予測 上記のようなIFNAR1遺伝子のマイクロサテライト
多型の遺伝子型に加えて、IFNAR2遺伝子のSNP
sの遺伝子型を考慮すれば、IFN治療の効果はより精
度よく予測することが可能である。
伝子のマイクロサテライト多型の遺伝子型が5/14で
はなく(即ち、non5/14であり)、且つIFNA
R2の当該SNPsの遺伝子型がTT/CCまたはGG
/AAである場合、対象におけるIFNの治療効果は低
いと予測される(表3)。これに対して、対象のIFN
AR1遺伝子のマイクロサテライト多型の遺伝子型が5
/14であり、且つIFNAR2の当該SNPsの遺伝
子型がTT/CCまたはGG/AAではない(即ち、n
onTT/CCまたはGG/AAである)場合、対象に
おけるIFNの治療効果は高いと予測される。従って、
このような知見を基に、対象におけるIFNの効果をよ
り高い精度で予測することが可能である。
は、対象におけるIFNの治療効果を予測するためのマ
ーカーとして利用できる。本発明は、そのようなマーカ
ーとしてのIFNAR2の当該SNPs、−134およ
び−75を提供するものである。
する方法 本発明では、IFNAR2遺伝子のプロモーター領域に
新たな2つのSNPsの存在を発見し、このSNPsを
利用することにより、IFNの治療効果を予測できるこ
とを見出した。このような知見から、本発明は、対象に
おいてIFNの治療効果、即ち、IFNの有効性を予測
する方法を提供する。
に先立って、INFを投与されるべき対象、例えば、H
CV感染者について、IFNAR1の当該マイクロサテ
ライト多型の遺伝子型とIFNAR2の当該SNPsの
遺伝子型とを決定し、その遺伝子型から、該HCV感染
者ではIFNの治療が有効であるかどうかを予測するこ
とができる。
る核酸サンプルを得ることと、(2)(1)の核酸サン
プルについて、IFNAR2遺伝子のプロモーター領域
の−134と−75に存在する単塩基多型マーカーの遺
伝子型と、IFNAR1遺伝子のプロモーター領域のマ
イクロサテライトマーカーの遺伝子型決定することと、
(3)(2)で決定された遺伝子型からIFN治療の有
効性の予測を行うことと、を具備する対象においてIF
N治療の有効性を予測する方法が提供される。
において、対象のIFNAR1の遺伝子型が5/5のホ
モ接合または5/14のヘテロ接合であり、且つIFN
AR2の遺伝子型がTT/CCまたはGG/AAの何れ
でもない場合に、インターフェロン治療が有効である可
能性は高いと予測されることを特徴とする対象において
IFN治療の有効性を予測する方法が提供される。
IFNAR1の遺伝子型が5/14ではなく(即ち、n
on5/14であり)、且つIFNAR2の遺伝子型が
TT/CCまたはGG/AAでの何れかである場合に
は、IFN治療が有効である可能性は低いと予測される
ことを特徴とする対象においてIFN治療の有効性を予
測する方法が提供される。
イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジおよびヤギなどの哺乳
動物などであってもよいが、ヒトがより好ましい。ま
た、対象は、IFNが投与されるべきものであることが
好ましい。
与されるべき対象であることが好ましい。ここで、「イ
ンターフェロンを投与されるべき対象」とは、IFN治
療が有効である疾患、好ましくはIFNα、β、γまた
はωが有効である疾患に罹患した患者であり得る。IF
Nα、β、γまたはωが有効である疾患には、C型肝炎
およびB型肝炎等の肝炎、膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫、
皮膚悪性黒色腫、腎癌、多発性骨髄腫、ヘアリー細胞白
血病、慢性骨髄性白血病、亜急性硬化性全脳炎、ウイル
ス性脳炎、免疫抑制患者の全身性帯状疱疹及び水痘、上
咽頭未分化癌、聴力低下を伴うウイルス性内耳感染症、
ヘルペス性角膜炎、偏平コンジローマ、尖圭コンジロー
マ、アデノウイルス及びヘルペスウイルス感染による結
膜炎、性器ヘルペス、口唇ヘルペス、子宮頸癌、癌性胸
水症、角化棘細胞腫、基底細胞癌、並びにδ型慢性活動
性肝炎が含まれるが、これらに限定されない。また、前
記対象は、前記のような疾患に罹患していない健康な者
であってもよい。
以下の操作は全て実施者の手によって行われる。
液サンプル等のサンプルを採取し、予測を開始する。採
取されたサンプルは、必要に応じて精製および抽出等の
処理がなされた後で、IFNレセプター遺伝子の遺伝子
型を順不同で決定し、ステップ3bへ移行する。
決定したIFNレセプター遺伝子の遺伝子型を判定し、
当該IFNAR1の遺伝子型が5/14ヘテロ接合であ
り、且つIFNAR2の遺伝子型がTT/CCおよびG
G/AA以外である場合はステップ3cへ移行し、IF
NAR1の遺伝子型が5/14以外であり、且つIFN
AR2の遺伝子型がTT/CCまたはGG/AAである
場合にはステップ3dへ移行する。
果から、当該対象におけるIFN治療は有効である可能
性が高いと予測し、全予測工程を終了する。
果から、当該対象におけるIFN治療は有効である可能
性が低いと予測し、全予測工程を終了する。
けたテーブル、例えば、表3に表として示したデータテ
ーブル3に従って、即ち、遺伝子型とIFNの感受性を
対応付けたデータテーブル3を検索して対応するIFN
感受性を抽出し、当該対象におけるIFNの有効性を決
定してもよい。
型とIFN感受性またはIFNの効果を対応付けた情報
である。データテーブルを表として示したものがテーブ
ル番号に対応する表である。従って、上述の方法におい
て使用した表3は、データテーブルの1例として示した
ものである。また、ここで使用されるデータテーブルは
遺伝子型とIFNの効果を対応付けたものであればよ
い。表3は、当該遺伝子型とIFNの効果の関係を示す
表である。表中の「IFNAR1とIFNAR2の遺伝
子型」の欄は「インターフェロンαレセプター遺伝子の
遺伝子型」を示す。具体的には、そこには、IFNAR
1のプロモーター領域のマイクロサテライト多型とIF
NAR2のプロモータ領域の−134と−75の遺伝子
型が示される。また、「有効性」はIFN治療の有効性
を示す。
成分としての「高」および「低」の文字は、遺伝子型と
IFN感受性またはIFNの効果を対応付けた情報を示
す表示の1例であり、当該表に記載の文字を限定しよう
とするものではない。即ち、遺伝子型と著効または非著
効との相関関係を実質的に示すことが可能な表記であれ
ばよく、例えば、「○」、「×」、「△」であっても、
数値、例えば、簡略化された数値によるスコア(例え
ば、1、2、3、4および5等)であってもよい。
決定する手段は、それ自身公知の何れの手段を用いてお
こなってよい。例えば、対象となる対象から得たサンプ
ル、より、目的のポリヌクレオチドを含む核酸を調製
し、遺伝子型を決定すればよい。
対象から採取した血液、血清、リンパ液および組織等の
生物試料をいう。また、「サンプル」必要に応じて、生
物試料をホモジネートおよび抽出等の必要な任意の前処
理を行って得た試料であってもよい。このような前処理
は、対象となる生物試料に応じて当業者によって選択さ
れ得るであろう。
オチドを含む核酸は、DNAおよびRNAから調製すれ
ばよい。例えば、対象からゲノムDNAサンプルを準備
する手段は、対象から得た末梢血中の白血球、単球、リ
ンパ球および顆粒球等の血球細胞からフェノールクロロ
ホルム法、塩析法または市販のキット等を用いて抽出す
る方法等、一般的に使用される何れの手段を用いて行う
ことが可能であるmRNAを抽出する場合には、オリゴdT
カラムにかけてもよい。。
必要に応じてポリヌクレオチドを増幅する操作を行って
もよい。増幅操作は、例えば、逆転写ポリメラーゼ反応
(RT-PCR)を含むポリメラーゼ連鎖反応(以下PCRと略記
する)によって行い得る。
作を行った後に、目的とする多型部位の遺伝子型を決定
する。遺伝子型を決定する手段は、直接シークエンス
法、SSCP法、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼー
ション法、特異的プライマー法および塩基配列検出用チ
ップ等の一般的に使用される何れの手段を使用してもよ
い。また、直接に塩基配列を決定してもよく、DHPLC
(変性高速液体クロマトグラフィー)等を利用してもよ
い。
識部位の中に存在している場合には、制限酵素断片長多
型法を用いてもよい。
CR−SSP(PCR-specific sequence primers)法、ド
ットプロット法とPCRを組み合わせたPCR−SSO
(PCR-sequence specific oligonucleotide)法、及び
PCR−SSCP法等の周知の方法を使用することもで
きるが、これらに限定されない。
のプローブ核酸鎖を用いて、試料中に含まれる特定の配
列をもった核酸鎖を検出する一つの方法である。この方
法では、例えば基板上の有機薄膜に一本鎖核酸の試料を
固定化し、次に蛍光物質等で標識した一本鎖のプローブ
核酸鎖の溶液をこの薄膜上の試料に接触させる。試料が
プローブ核酸鎖と相補的な配列を有していれば、プロー
ブ核酸鎖とハイブリダイズして二本鎖を形成するので、
基板上に固定される。したがって、洗浄により未反応の
核酸鎖を除去した後、プローブに付された標識を検出す
ることにより、プローブに対して相補的な配列を有する
試料核酸鎖を検出することができる。従って、本発明
は、IFN感受性関連多型遺伝子の検出における、本発
明によるポリヌクレオチドのプローブとしての使用をも
含むものである。また、そのようなポリヌクレオチドを
含有することを特徴とする、インターフェロンを投与す
べき対象に対してインターフェロン治療が有効であるか
どうかを予測するための試験薬或いは塩基配列検出用チ
ップもまた本発明に含まれる。
に存在する当該マイクロサテライト多型の遺伝子型とI
FNAR2に存在する当該SNPsの遺伝子型を決定
し、その結果を基にIFN治療の有効性を予測すること
ができる。
FAR1とINFAR2の遺伝子型の情報と共に、更
に、従来の公知の他のIFN感受性関連多型遺伝子の遺
伝子型の情報を考慮して判定を行ってもよい。
/βの治療効果に影響を与える更なる因子としては、次
のようなことが知られている。まず、ウイルスの因子と
して、血中のウイルス量が多い患者ほどIFNα/βの
効果が低いこと、また、タイプ1よりタイプ2のウイル
スに感染している患者の方が治療効果の高いことが知ら
れている(A.Tsubota et al., Hepatology 19, 1088-10
94 1994)。
るMBL遺伝子の2箇所のSNPがXBタイプの遺伝子
型の患者はYAタイプの遺伝子型の患者より、IFNα
/βの効き目が悪いことが知られている(M.Matsushita
et al.,J. Hepatology 29,695-700, 1998)。また、M
xAタンパクをコードするMxA遺伝子プロモーター内
に存在するSNPがC型慢性肝炎患者のインターフェロ
ン治療感受性に關係していることも知られている(M. Hi
jikata et al., Intervirology 43, 124-127,2000)。こ
れらSNPの決定は、SNPを含むDNA断片をPCR
にて増幅し、その塩基配列を決定することで行われてい
る。
性関連多型遺伝子およびウイルスの型の情報を当該マイ
クロサテライト多型の遺伝子型の情報と共に考慮するこ
とによって、IFNを投与されるべき対象、例えば、H
CV感染者、C型肝炎患者またはB型肝炎患者において
IFN治療の有効性を予測する方法も提供される。ま
た、上記以外の情報と組み合わせて考慮してもよい。
効性を予測する方法 更に、上述したような本発明に従う方法は、コンピュー
タを用いて解析することも可能である。即ち、本発明
は、コンピュータを用いて対象においてIFN治療の有
効性を予測する方法であって、(1)オペレータが前記
対象に由来するサンプルを用いて決定されたIFNレセ
プター遺伝子の遺伝子型の情報をコンピュータに入力す
ること、(2)(1)で入力された前記遺伝子型に基づ
いて、予めコンピュータの記憶手段に記憶された遺伝子
型とIFNの有効性を対応付けたテーブルに従って、コ
ンピュータがIFN治療の有効性を予測すること、およ
び(3)(2)で得られた予測結果をコンピュータがオ
ペレータに示すこと、を具備するコンピュータを用いて
対象においてIFN治療の有効性を予測する方法も提供
する。
置の1態様の構成図を示す。ここで処理手段4は入力手
段2,表示手段3及び記憶手段5に接続されている。
タ1は、コンピュータ1に人がデータを入力するための
入力手段2と、種々の情報を表示する表示手段3と、当
該コンピュータを制御したり種々の処理を行うためのプ
ロセッサまたはCPU等の処理手段4と、プログラムお
よびテーブル等を記憶する記憶手段5を少なくとも具備
する。
べき対象においてIFN治療の有効性を予測する方法の
例を図5を用いて以下に説明する。
の各部を統括して制御する主制御部であり、記憶部に記
憶される予測プログラムを実行してIFN治療の有効性
を予測する。
を投与されるべき対象に由来するIFNレセプター遺伝
子の遺伝子型の情報を入力手段2から入力すると、入力
された情報は、記憶手段5に記録され、ステップ5bへ
移行する。ここで、入力される遺伝子型の情報は、具体
的な遺伝子型であっても生データであってもよく、目的
とする遺伝子型の情報を表す何れかの情報であればよ
い。
れた情報から、記憶手段5に予め記憶されている遺伝子
型とIFN有効性を対応付けたデータテーブル3(即
ち、表3)を読み出し検索することによって対応するI
FN有効性を抽出し、ステップ5cに移行する。
プ5bにおいて決定したIFN有効性から、当該有効性
が「高」であればステップ5dへ移行することを判定
し、「低」であればステップ5eへ移行することを判定
する。
5cの結果から当該対象においてIFNが有効である可
能性は高いと予測し、ステップ5fに移行する。
プ5dで予測した結果を表示手段3に表示しおよび/ま
たは記憶手段5に記録し、全ての予測工程を終了する。
ここでの表示は、予め記憶手段5に記憶したIFN治療
の有効性を示す画像として出力されてもよい。また、必
要に応じてステップ5fから5aに移行するようなルー
プを設定してもよい。
5cの結果から当該対象においてIFNが有効である可
能性は低いと予測し、ステップ5gに移行する。
プ5eで予測した結果を表示手段3に表示しおよび/ま
たは記憶手段5に記録し、全ての予測工程を終了する。
ここでの表示は、予め記憶手段5に記憶したIFN治療
の有効性を示す画像として出力されてもよい。また、必
要に応じてステップ5gから5aに移行するようなルー
プを設定してもよい。
遺伝子型とIFN治療の有効性を対応付けた情報であ
る。例えば、データテーブル3を表として示した例を表
3に示す。ここで使用されるテーブルは、遺伝子型とI
FN治療の有効性を対応付けたものであればよい。即
ち、遺伝子型とIFN治療の有効性との相関関係を実質
的に示すことが可能な表記であれば、例えば、「○」、
「×」、「△」であっても、簡略化された数値によるス
コア(例えば、1、2、3、4および5等)であっても
よい。
および2の遺伝子型のみを決定し情報として入力して予
測を行っているが、当該遺伝子型の情報に加えて、例え
ば、それ自身公知の他のIFN感受性関連多型遺伝子お
よび/またはC型肝炎ウイルスの型などのデータとIF
N治療の有効性を考慮し、当該情報として入力して予測
を行ってもよい。その場合、入力する情報に応じてそれ
に応じて使用するテーブルの構成を変更すればよい。
に応じて本願発明の範囲を逸脱しない範囲において変更
することが可能である。
においてIFN治療の有効性を予測する方法を実行する
ためのプログラムも本発明の範囲内である。そのような
プログラムは、例えば、対象においてIFN治療の有効
性を予測するためにコンピュータを、(1)前記対象に
由来するサンプルを用いて決定されたIFNレセプター
遺伝子の遺伝子型の情報を記録させる手段、(2)
(1)で記録された遺伝子型から、予めコンピュータに
記憶されている遺伝子型とIFNの有効性を対応付けた
データテーブルに従って、IFN治療の有効性を導出す
る手段、および(3)(2)で得られた予測結果を出力
する手段、として機能させるためのプログラムである。
N治療の有効性を予測するためにコンピュータを、前記
対象に由来するサンプルを用いて決定されたIFNレセ
プター遺伝子の遺伝子型の情報を入力する入力手段とし
て機能させてもよい。
予測する有効性予測装置であって、(1)遺伝子型とI
FNの有効性を対応付けたデータテーブルを記憶する記
憶手段と、(2)被検対象である対象に由来するサンプ
ルを用いて決定されたIFNレセプター遺伝子の遺伝子
型の情報を入力する入力手段と、(3)前記入力手段を
通じて入力された遺伝子型と、前記記憶手段が記憶する
データテーブルとに基づいて、IFN治療の有効性を予
測する予測手段と、(4)前記予測手段の予測結果を表
示する表示手段とを具備することを特徴とする有効性予
測装置も本発明の範囲内である。
象においてIFN治療の有効性を予測する方法であっ
て、(1)前記対象に由来するサンプルを用いて決定さ
れたIFNレセプター遺伝子の遺伝子型の情報をデータ
記録手段に記録すること、(2)(1)で記録された遺
伝子型から、予めコンピュータに記憶されている遺伝子
型とIFNの有効性を対応付けたデータテーブルに従っ
て、IFN治療の有効性を予測すること、(3)(2)
で得られた予測結果を出力すること、を具備するコンピ
ュータを用いて対象においてIFN治療の有効性を予測
する方法も提供する。
性を予測する有効性予測方法であって、(1)前記対象
に由来するサンプルを用いて決定されたIFNレセプタ
ー遺伝子の遺伝子型の情報を入力する入力工程と、
(2)前記入力工程で入力された遺伝子型と、遺伝子型
とIFNの有効性を対応付けたデータテーブルが記憶す
るデータテーブルとに基づいて、IFN治療の有効性を
予測する予測工程と、(3)この予測工程の予測結果を
表示する表示工程とを具備することを特徴とする有効性
予測方法も本発明の範囲内である。
ポリヌクレオチド 本発明は、IFN治療の有効性を予測するためのポリヌ
クレオチドも提供する。
は、2以上のヌクレオシドがリン酸エステル結合で結合
されてなる物質を意味する。「ヌクレオシド」には、デ
オキシリボヌクレオシド及びリボヌクレオシドが含まれ
るが、これらに限定されない。さらに、本発明において
「ポリヌクレオチド」とは、ペプチド核酸、モルホリノ
核酸、メチルフォスフォネート核酸、S-オリゴ核酸等
の人工合成核酸も指称するものとする。
域」とは、TATAボックス等の転写開始反応に直接関
与する領域のみを指すのではなく、該領域の近傍または
遠隔に存在して転写開始反応の効率に影響を与える調節
配列を含む配列も指称するものとする。従って、「プロ
モータ領域」なる語には、転写開始反応に関与する配列
のみ、調節配列のみ、及びその両者が連結された配列が
含まれることに留意されたい。
ように合成しても、また生体試料から調製してもよい。
生体試料から調製する場合、対象から試料を採取した
後、通常は、該試料からポリヌクレオチドを抽出する操
作を行えばよい。生体成分からポリヌクレオチドを抽出
する方法としては、例えばフェノール抽出、エタノール
沈澱の他、任意の抽出方法を使用し得る。mRNAを抽出す
る場合には、オリゴdTカラムにかけてもよい。
オチドは対象に由来するサンプルのポリヌクレオチドの
塩基配列を決定するためのプローブやプライマーとして
使用できる。
ドには、以下の(a)〜(f)が含まれる。
チド。
チドにおいて、当該プロモーター領域のマイクロサテラ
イト多型部位を除く1もしくは数個のヌクレオチドが欠
失、置換、または付加された修飾ポリヌクレオチド。
レオチドの塩基配列のうち、インターフェロン治療の有
効性に関与しているのは当該プロモーター領域の−13
4位と−75位に存在するSNPのヌクレオチドである
ので、本発明のポリヌクレオチドは、当該SNP部位を
含むポリヌクレオチドの断片であってもよい。(c)で
示される断片は対象に由来するサンプルのポリヌクレオ
チドの塩基配列を決定するためのプローブとして好適に
利用され得る。例えば、プローブ核酸鎖として好ましい
断片は、IFNAR2遺伝子のプロモーター領域の塩基
配列であって少なくとも目的のSPN部位を含む8から
500の核酸鎖及びその相補鎖が挙げられる。さらに好
ましくは10ヌクレオチド以上100ヌクレオチド以
下、特に、塩基配列検出用チップのプローブとして用い
る場合、PNAプローブでは10ヌクレオチド以上15
ヌクレオチド以下、DNAプローブでは11ヌクレオチ
ド以上30ヌクレオチド以下が望ましい。ポリヌクレオ
チド断片の長さが過度に長いと、1個のヌクレオチドの
相違を識別することが困難になる。一方、基板にポリヌ
クレオチドの長さが過度に短いと試料中に含まれるポリ
ヌクレオチドの塩基配列の決定が困難になる。また、プ
ライマーとして使用する場合には、当該SNP部位を増
幅するための配列を有するポリヌクレオチドであればよ
いので、当該SNP部位を含まない配列番号1に示され
る前記ポリヌクレオチドの塩基配列またはその断片であ
ってもよい。
ヌクレオチドの相補鎖であってもよい。
物質、色素、蛍光物質、発光物質および放射性同位元素
等の標識物質を具備していてもよい。
「n」は、A、T、CおよびGから任意に選択されてよ
い。
塩基配列検出用チップも提供する。そのような塩基配列
検出用チップも本発明の範囲内である。
レオチドまたはその断片を具備する塩基配列検出用チッ
プが提供される。それらは、例えば、蛍光検出用DNA
チップおよび電流検出型DNAチップ等であるが、これ
に限られるものではない。ウイルスの検出を、前記ポリ
ヌクレオチドまたはその断片をプローブとして配置した
塩基配列検出用チップを使用することにより行えば、検
出方法は簡便化および効率化される。塩基配列検出用チ
ップは、以下の手順により作成することができる。
の作製 上述した本発明の態様に従うポリヌクレオチドまたはそ
の一部の配列を含むポリヌクレオチド、またはそれらの
配列に相補的な配列を有したポリヌクレオチドプローブ
31として基板30に固定化する(図6)。基板は、例
えば、ガラス基板およびシリコン基板等、従来用いられ
る何れの基板も使用することが可能である。固定化手段
は、スポッター等を使用する手段、一般的な半導体技術
を使用した手段等、当業者にそれ自身公知の手段を用い
て固定することが可能である。
ダイゼーション反応の検出は、例えば、蛍光検出器を用
いて試料中の標識された塩基配列又は2次プローブ中の
標識物質から生じる蛍光信号を検出すればよい。同様
に、蛍光標識以外の標識物質を利用してハイブリダイゼ
ーションを検出するようなチップを作製してもよく、そ
のようなチップも本発明の範囲内である。標識物質を用
いる方法の場合には、試料に含まれる核酸は、FIT
C、Cy3、Cy5若しくはローダミンなどの蛍光色
素、またはビオチン、ハプテン、オキシダーゼ若しくは
ポスファターゼ等の酵素、またはフェロセン若しくはキ
ノン類等の電気化学的に活性な物質で標識される。或い
は前述した物質で標識したセカンドプローブを用いるこ
とで検出を行う。複数の標識物質を同時に使用してもよ
い。
作製 上述した本発明の態様に従うポリヌクレオチドまたはそ
の一部の配列を有するポリヌクレオチド断片、またはそ
れらの配列に相補的な配列を有したポリヌクレオチドプ
ローブ41として、基板40に具備された電極42に共
有結合、イオン結合、物理吸着または化学吸着等によっ
て固定化すればよい(図7)。電流検出型DNAチップ
の例は、平成8年10月24日に登録された特許番号第
2573443号の遺伝子検出装置等であるが、これに
限られるものではない。当該文献は引用することにより
ここに組み込まれる。
で検出を行ってよい。まず、プローブ固定支持体(以下
支持体とも記す)上で試料核酸と核酸プローブとを反応
させた後、当該支持体を洗浄する。その後、電極として
の長細担体表面に形成された二本鎖部分に選択的に結合
する二本鎖認識体を作用させ、そこに結合した二本鎖認
識体からの信号を電気化学的に測定すればよい。
ものではないが、例えば、ヘキスト33258、アクリ
ジンオレンジ、キナクリン、ドウノマイシン、メタロイ
ンターカレーター、ビスアクリジン等のビスインターカ
レーター、トリスインターカレーター及びポリインター
カレーター等である。また、これらのインターカレータ
ーを電気化学的に活性な金属錯体、例えば、フェロセ
ン、ビオロゲン等で修飾しておいてもよい。
合には、電気化学発光を生じる挿入剤を利用することも
できる。このような挿入剤は特に限定されるものではな
く、例えば、ルミノ−ル、ルシゲニン、ピレン、ジフェ
ニルアントラセンおよびルブレンを挙げることができ
る。これらの挿入剤による電気化学発光は、ホタルルシ
フェリン、デヒドロルシフェリンのようなルシフェリン
誘導体、フェニルフェノ−ル、クロロフェノ−ルのよう
なフェノ−ル類もしくはナフト−ル類のようなエンハン
サ−を用いることにより増強することが可能である。
プローブとしては、上記したIFNAR2遺伝子の遺伝
子型を決定するための塩基配列のプローブに加えて、ウ
イルス遺伝子の型を検出するプローブおよび/または他
の公知のIFN感受性関連多型の遺伝子型を決定プロー
ブ等を1つのチップに共に固定化されていても良い。そ
れにより罹患したウイルスの遺伝子型や他の関連多型の
遺伝子型も同時に検出することが可能である。
は、異なる遺伝子型に対応する複数のプローブを基板上
に同時に固定化して用いることにより精度の高い検出が
可能である。
するには、試料物質中の病原微生物の遺伝子に対して予
めその遺伝子型に特徴的なプライマーを用いてPCR反
応を行い、その後ユニバーサルプローブを固定化したチ
ップで検出することも可能である。
類を具備するプローブおよび塩基配列検出用チップを用
いて検出を行えば、その検出を簡便且つ効率よく行え
る。
を行うために必要な要素からなるキットも本発明の範囲
内である。例えばそのようなキットは、IFNAR2の
問題のSNPsの遺伝子型を決定するための核酸を具備
していてもよく、或いは、IFNAR1のマイクロサテ
ライト多型の遺伝子型を決定するための核酸を共に具備
していてもよい。また、このような核酸を上述の塩基配
列検出用チップ上に固定された状態で具備してもよい。
また、そのようなキットは、遺伝子型を決定するために
必要な種々の試薬を具備してもよい。例えば、遺伝子型
の決定を塩基配列検出用チップで行うための試薬、例え
ば、標識物質または二本鎖認識体等を具備してよい。或
いは、PCR反応により遺伝子型を決定する場合には、
本発明のキットは、目的のSNPsおよび/またはマイ
クロサテライト多型を含む領域を増幅するためのプライ
マーおよび/または酵素を具備していてもよい。更に、
本発明に従うキットは、本発明の方法に必要な容器等の
器具を具備していてもよい。
型を利用したHCV感染者におけるIFNαの治療効果
の予測 (1)概要 IFNα治療効果を施した157人のHCV感染患者よ
り血液を採取し、DNAおよびRNAを抽出し、解析用
のサンプルとした。HCVのタイプの判定にはRNA画
分を、IFNRA2遺伝子のSNPs解析にはDNA画
分を利用してPCR法を用いて塩基配列を決めることに
より解析した。この手法を用い個々の患者についてIF
NAR2のSNPsの型決定を行い、IFNαの治療効
果およびウイルスタイプ、さらにはIFNAR1のマイ
クロサテライトのGT反復配列数を加えて関連性を検討
した。
明された157人のHCV感染患者のサンプルがこの研
究に使用された。なお、すべての患者からは本研究の対
象となることのインフォームドコンセントが得られてい
る。IFNα治療を行った後の6ヶ月の追跡期間中に、
血中のalanine amino transfer
aseが正常範囲であり、かつHCVのRNAが陰性で
あった患者を完全著効と判定した。一方、この追跡期間
中にHCVのRNAが検出されるか、あるいはalan
ine amino transferaseが高値を
示した患者は非著効とした。157人中HCVの遺伝子
がタイプ1(正確には1bである)の感染者が101人
でそのうち16人が完全著効、残りの85人が非著効で
あった。タイプ2(2aか2bのいずれか)の感染者は
55人で、そのうち34人が完全著効、残りの21人が
非著効であった。残りの1人は両方に感染しており、非
著効であった。
部分をPCRにより増幅し、塩基配列を決定しHCVの
遺伝子のタイピングを行った(K. Chayama et al., J. G
astroenterol. Hepatol. 8, 40-44, 1993)。
NPの探索 Ageneボランティアサンプルを用いてIFNAR2
プロモーター部位800bpについてSNPの探索を行
った。その結果、transcriptionstar
t site(nt1とする)上流−75位及び−13
4位の2箇所に新たなSNPsを見出した。−75番目
のSNPsはc/cとa/aのホモ型およびc/aのヘ
テロ型で、−134番目のSNPsはt/tとg/gの
ホモ型およびt/gのヘテロ型であった。
いて 東芝病院から供与されたHCV患者でインターフェロン
治療効果が有効だったもの50サンプル、無効だったも
の107サンプル(合計157サンプル)の血液、また
は血清から抽出したDNAを用いて上述のIFNAR2
のSNPs解析を行った。
イマーはGenBank Acc#X77722の配列
より作製した。
Lプライマーを用いてGeneAmp PCR9600
(Roch社製)でIFNAR2プロモーター断片の増
幅を行った。SNPs解析には、その増幅断片をMil
liPore 96wellclean upフィルタ
ーにて精製し、Direct Sequencing法
によりABI3100 Genetic Analyz
er (Applied Biosystems社製)
にて解析を行った。なおPCRにはクローンテック社A
dvantage−GC Genomic polym
eraseemix kitTMを用いて反応溶液の調
整を行い温度条件は94℃で30sec.、70℃ 3
minを5サイクル、94℃ 30sec. 68℃
3min.で30サイクル行い、最初に95℃ 2mi
n.72℃ 3min、最後に68℃ 10minを行
った。
FNα治療の効果、IFNAR2の−134と−75の
遺伝子型の組み合わせは以下の通りである。即ち、HC
V2型感染患者の中でIFNα治療により完全著効(S
R)となった34人のうち過半数を超える18人(5
2.9%)が、IFNAR2の−134と−75の遺伝
子型の組み合わせがt/gヘテロ型およびc/aヘテロ
型の遺伝子型であった。これに対し、非著効(NR)患
者内では、t/gヘテロ型およびc/aヘテロ型の遺伝
子型を持っていた人は、21人中8人の38.1%であ
った(P<0.001)。一方、−134がg/gホモ
型あるいは−134/−75の遺伝子型の組み合わせが
GG/AAであった人の非著効者の割合はそれぞれ5
2.4%(11人)および38.1%(8人)で、完全
著効者では35.3%(12人)そして23.5%(8
人)であった(P<0.01)。
IFNAR2の−134/−75の遺伝子型の組み合わ
せがt/gとc/aである人ではINFαによる治療効果
を期待できるが、逆に−134にg/gホモ型、或いは
−134/−75の遺伝子型の組み合わせとしてGG/
AAを持つ人は、比較的治療効果は低いと予測される。
ただし、これら相関関連は、HCV1型感染患者におい
ては認められない。
いてIFNAR1のマイクロサテライトマーカーを利用
してIFNの効果について検討した結果を以下に示す。
た。それらの採取された血液よりDNAおよびRNAを
抽出し、解析用サンプルとした。RNA画分を用いてウ
イルスのタイピングを行い、DNAを用いてIFNAR
1遺伝子のSNP解析およびマイクロサテライトマーカ
ーのタイピングを行った。そして、IFNα/βの治療
効果とウイルスのタイプおよびIFNAR1遺伝子のS
NP、或いはマイクロサテライトマーカーとの関連を調
べた。
り慢性C型肝炎であることが証明された157人のHC
V感染患者のサンプルをこの研究に使用した。なお、全
ての患者から本研究の対象となることに関してのインフ
ォームドコンセントを取得した。IFNα/β治療を行
った後の6ヶ月の追跡期間中に、血中のアラニンアミノ
トランスフェラーゼが正常範囲であり、且つHCVのR
NAが陰性であった患者を完全著効と判定した。一方、
この追跡期間中にHCVのRNAが検出されたり、或い
はアラニンアミノトランスフェラーゼが高値を示した患
者は非著効とした。
ライトのタイピング 上述したC型肝炎患者でインターフェロン治療効果が有
効だった症例50サンプル、無効だった症例107サン
プル(合計157サンプル)の血液、または血清から抽
出したDNAを用いて解析を行った。血液より抽出した
RNAからcDANを作成し、その一部分をPCRによ
り増幅し、塩基配列を決定しHCV遺伝子のタイピング
を行った(K.Chayama et al., J.Gastroenterlo. Hepa
tol. 8,40-44, 1993)。血液より抽出したDNAを用い
てIFNAR1プロモーターの2箇所(nt-408,nt-18)
のSNPsと1箇所のマイクロサテライト(GT:-79~-56)
の多型(Genes and Immunity 2001; 2:159-160)について
も検討した。
enBank受付番号X60459であるIFNARの
配列に基づき作成し、転写開始部位をnt1と記述して
いる。プライマーはDNA約1ngを鋳型とし、−62
9F(5’-TCTCGCCCCTCAGCCAAGTC-3’)と+205R
(5’-CAGCTGCGTGCCCTACCTCC-3’)プライマーを用い
て、GeneAmp PCR9600(Roch)でI
FNAR1プライマー断片の増幅を行った。
liPore 96well clean up フィ
ルタにて精製し、直接シーケンス法(direct Sequencing
法)によりABI3100Genetic Analy
zer(Applied Biosystems)にて塩基配列を決定し
た。また、(GT)リピート数の決定は、GeneSc
an解析法を用いた。−629Fと+205Rプライマ
ーで得られたPCR断片を鋳型とし、更に片方のプライ
マーに蛍光色素(6−FAM)をラベルした6FAM+
92Rと−245Fプライマーを用いて、再度PCRを
行いABI3100Genetic Analyzer
GeneScan(ver.3.7)で行った。なお、PC
Rは95℃で10秒、58℃で30秒、72℃で30
秒、を30〜35サイクル行い、その前に95℃で2
分、後に72℃7分の処理を行った。
型とIFNα/βの治療効果の関係を示す。遺伝子型は
5、6、10〜18の11種類存在する。5又は14の
何れかの遺伝子型を持つ場合は、完全著効が非著効を上
回っているのに対し、それ以外では非著効が完全著効を
上回っていた(図8)。
合、即ち、5/5ホモ接合または5/14ヘテロ接合の
場合には、IFN治療が有効となる可能性が期待され
る。さらに詳しくこの遺伝子型とIFNα/βの治療効果
との関係をまとめたものが表4である。ウイルスタイプ
1型に感染した患者の中で完全著効にいたった16人
中、5/5のホモ接合と5/14のヘテロ接合を持つ者
は13人(81%)であるのに対し、それ以外の遺伝子
型を持つものは3人(19%)であった。また、ウイル
スタイプ2型に感染している患者においても、完全著効
者34人中27人(79%)が5/5のホモ接合と5/
14のヘテロ接合を持つ者で、それ以外の遺伝子型を持
つ者7人(21%)を大きく上回っていた。一方、非著
効者107人における5/5のホモ接合と5/14のヘ
テロ接合を持つ者およびそれ以外の遺伝子型を持つ者の
割合は、ウイルス両タイプを合わせるとそれぞれ59%
(63人)と41%(44人)であるので、完全著効者
に占める5/5のホモ接合と5/14のヘテロ接合を持
つ者の出現頻度(80%)が統計的に優位であることが
示された(P=0.009)。これは、5/5のホモ接合また
は5/14のヘテロ接合の遺伝子型を持つ場合には、IFN
α/β治療によって完全著効に至る可能性が高いことを
示している。一方、5または14の遺伝子型を持たない
人の中に完全著効を認めなかったのは、対象となる患者
数(4/157)が少なかったとは言え注目に値する。
2遺伝子とIFNAR1遺伝子の多型とIFNの有効性
について得られた結果を表5に示す。
り、IFNAR2の多型がTT/CCまたはGG/AA
である場合は、非著効の患者が有意に多かった。また、
IFNAR1の多型が5/14であり、且つIFNAR
2の多型がnonTT/CCまたはnonGG/AAで
ある場合は、多の場合に比べて完全著効である患者が有
意に多くいた。
るIFNの治療効果の予測をより精度よく行う方法が提
供された。
列を示す図。
列を示す図。
ック図。
模式図。
模式図。
ン治療患者内で認められたIFNAR1のマイクロサテ
ライト(GT)数の出現頻度を示すグラフ。
4.処理手段 5.記憶手段 30.基板 3
1.プローブ 40.基板 41.プローブ
Claims (10)
- 【請求項1】 インターフェロンαレセプター2型遺伝
子のプロモーター領域の−134位の、対象においてイ
ンターフェロン治療の有効性を予測するための単塩基多
型マーカー。 - 【請求項2】 インターフェロンαレセプター2型遺伝
子のプロモーター領域の−75位の、対象においてイン
ターフェロン治療の有効性を予測するための単塩基多型
マーカー。 - 【請求項3】 対象においてインターフェロン治療の有
効性を予測するために、インターフェロンαレセプター
1型遺伝子プロモーター領域のGT反復配列からなるマ
イクロサテライトマーカーと共に使用されることを特徴
とする請求項1または2の何れか1項に記載の単塩基多
型マーカー。 - 【請求項4】 (1)前記対象に由来する核酸サンプル
を得ることと、 (2)(1)の核酸サンプルについて、請求項1および
請求項2に記載の単塩基多型マーカーの遺伝子型と、イ
ンターフェロンαレセプター1型遺伝子のプロモーター
領域のマイクロサテライトマーカーの遺伝子型を決定す
ることと、 (3)(2)で決定された遺伝子型からインターフェロ
ン治療の有効性の予測を行うことと、を具備する対象に
おいてインターフェロン治療の有効性を予測する方法。 - 【請求項5】 前記インターフェロン治療がインターフ
ェロンαおよび/またはβによって行われることを特徴
とする請求項4に記載の対象においてインターフェロン
治療の有効性を予測する方法。 - 【請求項6】 前記対象が、B型肝炎、C型肝炎、膠芽
腫、髄芽腫、星細胞腫、皮膚悪性黒色腫、B型肝炎等の
肝炎、腎癌、多発性骨髄腫、ヘアリー細胞白血病、慢性
骨髄性白血病、亜急性硬化性全脳炎、ウイルス性脳炎、
免疫抑制患者の全身性帯状疱疹及び水痘、上咽頭未分化
癌、聴力低下を伴うウイルス性内耳感染症、ヘルペス性
角膜炎、偏平コンジローマ、尖圭コンジローマ、アデノ
ウイルス及びヘルペスウイルス感染による結膜炎、性器
ヘルペス、口唇ヘルペス、子宮頸癌、癌性胸水症、角化
棘細胞腫、基底細胞癌およびδ型慢性活動性肝炎からな
る群より選択される疾患に罹患していることを特徴とす
る請求項4または5の何れか1項に記載の対象において
インターフェロン療法の有効性を予測する方法。 - 【請求項7】 前記(3)の工程が、以下の(a)また
は(b)の何れかのことを具備することを特徴とする請
求項4から6の何れか1項に記載の対象においてインタ
ーフェロン治療の有効性を予測する方法: (a)インターフェロンαレセプター1型遺伝子のプロ
モーター領域のマイクロサテライトマーカーの遺伝子型
が5/14以外であり、且つインターフェロンαレセプ
ター2型遺伝子プロモーター領域の−134位および−
75位の単塩基多型の遺伝子型がTT/CCまたはGG
/AAである場合に、インターフェロンの治療効果は低
いと予測すること、 (b)インターフェロンαレセプター1型遺伝子のプロ
モーター領域のマイクロサテライトマーカーの遺伝子型
が5/14であり、且つ且つインターフェロンαレセプ
ター2型遺伝子プロモーター領域の−134位および−
75位の単塩基多型の遺伝子型がTT/CCまたはGG
/AAの何れでもない場合に、インターフェロンの治療
効果は高いと予測すること。 - 【請求項8】 インターフェロンαレセプター2型遺伝
子の遺伝子型を検出するための核酸プローブであって、
配列番号1に記載の塩基配列およびその相補鎖からなる
群より選択されるポリヌクレオチドに含まれる連続した
8から500塩基を含み、且つ配列番号1の塩基配列に
おける1367位または1426位の少なくとも1の単
塩基多型部位の塩基を含む核酸プローブ。 - 【請求項9】 請求項8に記載された核酸プローブにお
いて、前記核酸プローブに含まれる前記単塩基多型部位
以外の部位において、1若しくは数個のヌクレオチドが
欠失、置換および/または付加された核酸プローブ。 - 【請求項10】 基板と、前記基板に固定化された請求
項8または9の何れか1項に記載の核酸プローブとを具
備する塩基配列検出用チップ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002151393A JP4295955B2 (ja) | 2002-05-24 | 2002-05-24 | インターフェロンαレセプター2型遺伝子の多型およびその使用 |
Applications Claiming Priority (1)
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