JPWO2015037681A1 - 抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法及び判定用キット - Google Patents

抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法及び判定用キット Download PDF

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Abstract

本発明は、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法及び判定用キットを提供する。より詳細には、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症に対する感受性多型を試験し、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定することを含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法、及び抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症に対する感受性多型を検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクの判定用キットを提供する。

Description

本発明は、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法及び判定用キットに関する。より詳細には、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症に対する感受性多型を試験し、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定することを含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法、及び抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症に対する感受性多型を検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクの判定用キットに関する。
甲状腺機能亢進症は、甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌される疾患であって、その原因の多くはバセドウ病である。バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体(TSH Receptor Antibody:TRAb)が甲状腺を無制限に刺激することにより引き起こされる自己免疫疾患であって、女性に多く見られることを特徴とする。
現在のところ、甲状腺機能亢進症の治療法は、薬物療法、ラジオアイソトープ療法及び手術療法の3つに大別され、一般には、抗甲状腺薬を用いた薬物療法により治療が開始される。抗甲状腺薬は甲状腺ホルモンの合成を抑制する薬剤であり、通常、服薬を開始してから数ヶ月程度で甲状腺ホルモンの血中濃度は正常に戻る。しかし、例えば、バセドウ病の場合、甲状腺ホルモンの血中濃度が正常に戻ったとしても、原因となるTRAbが陽性である限り抗甲状腺薬を服用し続けなければならず、多くの場合治療は長期に亘る。
抗甲状腺薬の重篤な副作用の一つとして無顆粒球症が知られている。無顆粒球症とは、細菌やウイルスなどの外来抗原に対する免疫応答を担う白血球のうち、非特異的な殺菌作用を示す顆粒球が著しく減少(500/μL以下或いは100,200以下)する状態をいい、無顆粒球症患者の約70%が、抗甲状腺薬(例、メチマゾール)などの薬剤に起因して無顆粒球症を発症すると推定されている。
抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症の発生頻度は300人に1人程度であり決して高いものではない。しかし、一旦この疾患に罹患すると、血中の顆粒球数が著しく減少する結果、易感染状態となり、重篤な感染症による致命的病態が生じ得る。事実、現在でも年間数人の死亡例が報告されている。そのため、医師は、抗甲状腺薬を患者に投与する場合、無顆粒球症の発生頻度は低いにも関わらず、その重篤な副作用に起因して、薬剤を投与し続ける限り患者の白血球数及び顆粒球数を定期的且つ詳細にモニタリングしなければならず、これは、特に治療が長期に亘るような場合は殊更、医師にとっても患者にとっても過度の負担となっている。
加えて、無顆粒球症は、通常、顆粒球が減少し始めた時点では自覚症状が殆どない。そのため、当該疾患が判明した時点では既に感染症が進行している場合も多く、その場合には、抗甲状腺薬の投与を中止して甲状腺機能亢進症の治療を中断することになるばかりか、感染症に対する適切な治療を行わなければならず、患者は二重の苦しみを負うことになる。
以上の理由から、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症の発症リスクを予測することのできる検査方法の開発が切望されており、これまで、高齢者、女性、腎機能低下者などが、高リスク群である可能性が示唆されている。しかし、上述のとおり、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症は発生頻度が低く症例蓄積が極めて困難であるため、これを証明する信頼に足る結果は得られていない。
ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(Major Histocompatibility Complex:MHC)であるヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen:HLA)は、ヒト第6染色体短腕部6p21.3領域において約3.6 Mbに亘って存在する巨大な複合的遺伝子領域であり、この領域には免疫反応に関与する多くのタンパク質の遺伝情報が含まれている。
HLA領域は、染色体のテロメア側からセントロメア側に向かって、主に、(1)HLA-A、B、C抗原系などを支配するクラスI領域、(2)補体成分などを支配するクラスIII領域、及び(3)HLA-DP、DQ、DR抗原系などを支配するクラスII領域に分類される。
HLA遺伝子は、機能的遺伝子では最も高度な多型性を示し、例えば、患者集団と健康対照集団との間でHLAアレル頻度を比較することにより、HLA領域における疾患感受性遺伝子の存在を検定することができる。関連解析により、ある特定のHLAアレルと疾患との間に有意な関連が認められた場合、このHLAアレルそのものが疾患感受性を決定している場合と、HLAアレルと連鎖不平衡にあるHLA領域内の別の遺伝子がこれを決定している場合とがある。
現在までに、症例・対照研究(case-control study)によって、特定のHLAアレルが、特定の疾患の患者集団で有意に増加或いは減少していることが明らかにされており、とりわけ免疫関連疾患に関する報告が多くなされている。
抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症についても、HLAアレル頻度を比較することによる遺伝的解析が進められており、日本人において、HLA-DRB1*08:03:02が抗甲状腺薬であるメチマゾール誘発性無顆粒球症と関連することが報告されている(非特許文献1)。しかし、当該研究で用いた患者サンプルはわずか24例しかなく、対象遺伝子もHLAクラスII遺伝子に限定されていることから、HLA-DRB1*08:03:02がメチマゾール誘発性無顆粒球症に対する疾患感受性遺伝子であるかどうかは定かでなく、結果の再検証が必要であり、事実、臨床応用には至っていない。
近年、病気の原因遺伝子を解析する手法として、ゲノムワイド関連解析(Genome Wide Association Study:GWAS)が盛んに用いられている。GWASとは、ヒトゲノム中に存在する一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism:SNP)を指標とし、特定の疾患に罹患した患者各個体が全ゲノム中にどのようなSNPを有するかを網羅的に解析することにより、当該疾患に関連する遺伝子を同定する手法である。
しかしながら、現在まで、薬剤誘発性無顆粒球症に対してGWASが行われたことはなく、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定できる、有用な臨床的検査手法は未だ開発されていない。
Tamai H et al., Ann Intern Med., 124(5):490-494(1996)
本発明の目的は、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを簡便且つ高確度で判定するための検査方法及び判定用キットを提供することである。
本発明者らは、上記目的に鑑み、日本を代表する二施設の甲状腺専門病院と提携して厳密且つ精緻な臨床情報を有する抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症患者検体を115検体収集し、ヒトSNPアレイを用いたGWASによる症例・対照研究で、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症に関連する遺伝因子の探索を試みた。
具体的には、ゲノム上の2,635,435箇所のSNPをマーカーとして患者検体115例をタイピングし、また対照群としては、地域ベースのゲノムコホートで収集された一般的な日本人のDNA検体(1,798検体)のタイピング情報を用い、各SNPについてジェノタイプ頻度を比較する症例・対照研究を実施した。
その結果、ヒト第6染色体短腕部6p21.3上のヒトHLA領域に、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と極めて強い関連を示す191個のSNPを同定した。それらは、ClassI領域にある2領域(HLA-A領域上流側及びHLA-B領域周辺)とClassII領域にある2領域(HLA-DR領域周辺の2領域)の合計4領域に大きく分類された。そのうち最も強い関連はHLA-DR領域周辺で得られ(最も強い関連多型:rs6457580)、続いて、HLA-B領域周辺(最も強い関連多型:rs41560220)であった。各領域内において有意差を示すSNPの多くは強い連鎖不平衡の関係にあり、また4領域間では互いに連鎖不平衡は見られず、独立したものであることがわかった。
上記で得られた多型マーカーは全てHLA遺伝子領域に存在するため、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症がHLA遺伝子そのものと関係する可能性がある。そのため、極めて強い関連の見られたHLA-DR領域及びHLA-B領域周辺にターゲットを絞って、患者検体を用いてHLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、HLA-DPB1及びHLA-DQB1遺伝子のジェノタイピングを実施した。その結果、HLA-B*39:01及びHLA-B*38:02、並びにHLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03及びHLA-DRB1*08:02のHLAアレルが、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と相関していた。また、HLA-B*39:01及びHLA-B*38:02はrs41560220と、HLA-DRB1*08:03及びHLA-DRB1*08:02はrs6457580と、それぞれ連鎖不平衡の関係にあった。
HLA-B及びHLA-DRB1遺伝子の両方において複数のアレルが無顆粒球症と相関があったので、これらの感受性HLAアレルには重要なアミノ酸残基が存在する可能性が考えられた。そこで、HLAアミノ酸配列のアライメントを使って、set up多重ロジスティック回帰分析を実施した。その結果、HLA-Bタンパク質の116位のフェニルアラニン残基(B-Phe116)、並びにHLA-DRB1タンパク質の74位のロイシン残基(DRB1-Leu74)が、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と強く相関した。また、HLA-Bタンパク質における158位におけるアラニン残基の不存在は、B-Phe116の存在と連鎖不平衡(r2=0.92)であることが見出された。
本発明者らは、これらの知見に基づき更に検討を進め、これら多型について試験することにより、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定できることを確認し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に関する。
[1](1)被験者由来のサンプルを使用し、HLA領域に存在する多型であって、
A)配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(G>T)、
B)配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基における多型(C>T)、
C)配列番号:3で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
D)配列番号:4で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(T>G)、
E)配列番号:5で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
(但し、カッコ内はリファレンスアレル>バリアントアレルを示し、*はリスクアレルを示し、G、A、T及びCは、それぞれ、グアニン、アデニン、チミン及びシトシンを示す。)及び
F)上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、
からなる群から選択される少なくとも1つの多型を試験する工程、及び
(2)(1)の試験結果に基づいて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程
を含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法;
[2]上記A)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、及び/又はB)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型を試験する工程を含む、上記[1]記載の検査方法;
[3]上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-DRB1*08:03又はHLA-DRB1*08:02の74位のアミノ酸をコードする位置における多型であり、上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-B*39:01又はHLA-B*38:02の116位又は158位のアミノ酸をコードする位置における多型である、[2]記載の検査方法;
[4]被験者由来のサンプルがゲノムDNAを含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の検査方法;
[5]被験者が東アジア人である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の検査方法;
[6]HLA領域に存在する多型であって、
A)配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(G>T)、
B)配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基における多型(C>T)、
C)配列番号:3で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
D)配列番号:4で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(T>G)、
E)配列番号:5で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
(但し、カッコ内はリファレンスアレル>バリアントアレルを示し、*はリスクアレルを示し、G、A、T及びCは、それぞれ、グアニン、アデニン、チミン及びシトシンを示す。)及び
F)上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、
からなる群から選択される少なくとも1つの多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスク判定用キット;
[7]上記A)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、及び/又はB)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、上記[6]記載のキット;
[8]上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-DRB1*08:03又はHLA-DRB1*08:02の74位のアミノ酸をコードする位置における多型であり、上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-B*39:01又はHLA-B*38:02の116位又は158位のアミノ酸をコードする位置における多型である、[7]記載のキット;
[9]非リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドをさらに含む、上記[6]〜[8]記載のキット;
[10]上記アレルを検出し得るポリヌクレオチドが、該アレルを含む10〜200の連続した塩基配列若しくはその相補鎖配列からなる断片と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプローブ、及び/又は該断片を増幅し得るプライマーである、上記[6]〜[9]のいずれかに記載のキット;
[11]東アジア人に対して、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するために用いられる、上記[6]〜[10]のいずれかに記載のキット;
[12](1)被験者由来のサンプルを使用し、以下の(a)及び/又は(b):
(a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであるか否か
(b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであるか否か、又は158位のアミノ酸がAlaであるか否か
を試験する工程、及び
(2)(1)の試験結果に基づいて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程
を含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法;
[13]以下の(a)及び/又は(b):
(a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであること
(b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであること、又は158位のアミノ酸がAlaであること
を同定し得る物質を含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスク判定用キット;
に関する。
本発明によれば、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを簡便且つ高確度で判定することができる。従って、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高いと判定された患者に対しては、甲状腺機能亢進症の治療に際して薬物療法以外の治療法を選択することにより、極めて重篤な副作用の発症を未然に回避することができ、リスクが低いと判定された患者に対しては、過度の採血など侵襲性のある検査を回避することができ、その結果、安全、安心で的確な甲状腺機能亢進症の治療が可能となる。
図1は、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症が、染色体上に存在するSNPのうちどのSNPと関連するかを表すマンハッタンプロットを示す。GWASで得られた各SNPのP値(-log10(P))を縦軸に、染色体(Chromosome)上の位置を横軸に示す。 図2は、図1におけるHLA領域の結果の拡大図を示す。 図3は、ヒト第6染色体短腕部6p21.3領域の連鎖不平衡(LD)マップを示す。 図4は、ヒト第6染色体短腕部6p21.3領域の連鎖不平衡(LD)マップを示す。 図5は、ヒト第6染色体短腕部6p21.3領域の連鎖不平衡(LD)マップを示す。 図6は、4つのSNPマーカー(rs6457580、rs41560220、rs1736959及びrs3135387)のリスクアレル数に対する無顆粒球症オッズ比を示す。 図7は、無顆粒球症と、HLA-DRB1及びHLA-Bタンパク質における74位及び116位のアミノ酸との関連を示す。
一実施態様において、本発明は、
(1)被験者由来のサンプルを使用し、HLA領域に存在する多型であって、
A)配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(G>T)、
B)配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基における多型(C>T)、
C)配列番号:3で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
D)配列番号:4で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(T>G)、
E)配列番号:5で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
(但し、カッコ内はリファレンスアレル>バリアントアレルを示し、*はリスクアレルを示し、G、A、T及びCは、それぞれ、グアニン、アデニン、チミン及びシトシンを示す。)及び
F)上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、
からなる群から選択される少なくとも1つの多型を試験する工程、及び
(2)(1)の試験結果に基づいて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程
を含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法(以下、本発明の検査方法とも記す。)を提供する。
本明細書において「抗甲状腺薬」とは、甲状腺機能亢進症治療のために使用され、甲状腺刺激ホルモンの合成を抑制できる限り特に限定されないが、好ましくは、チオナマイド系薬剤、例えば、カルビマゾール、メチマゾール、プロピルチオウラシルなどを意味し、より好ましくはメチマゾール又はプロピルチオウラシル、最も好ましくはメチマゾールを意味する。ここで、「甲状腺機能亢進症」とは、甲状腺から甲状腺ホルモンが多量に分泌される疾患を意味し、例えば、バセドウ病、毒物や放射線による炎症などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の検査方法において、測定対象となる「被験者」は、甲状腺機能亢進症患者、好ましくはバセドウ病患者であって、疾患の治療又は予防のために抗甲状腺薬を服用している、又は服用する予定のあるヒトをいう。また、被験者の人種は特に限定されないが、好ましくは東アジア人、さらに好ましくは日本人である。
本発明の検査方法において測定対象となる「被験者由来のサンプル」は、被験者のゲノムDNAを含む生体試料であることが好ましいが、検出する多型が、プロモーター等の非転写領域や、イントロン等のRNAスプライシングにより除かれる領域以外の、mRNA中に存在する領域に位置する多型である場合には、ゲノムDNAの代わりにmRNAやtotal RNAを含む生体サンプルを使用してもよい。
該サンプルは、例えば、被験者の生体組織、具体的には、例えば、糞便・尿・喀痰・唾液などの排泄物、血液などの体液、口腔粘膜・皮膚などの細胞、体毛などを直接使用してもよく、或いは当業者に周知の方法により被験者の生体組織からゲノムDNAを単離し、これを用いてもよい。例えば、ヒトから採取した血液、唾液、皮膚などの検体からフェノール抽出法などによりゲノムDNAを単離することができる。その際、市販のゲノムDNA抽出キットや装置を用いてもよい。
本明細書において、「抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスク」とは、抗甲状腺薬の投与によって無顆粒球症を発症するリスク又は重症化するリスクを意味し、「抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高い」とは、将来的に無顆粒球症を発症する可能性、又は重症化する可能性が高いことを意味する。よって、本発明の検査方法は、例えば、抗甲状腺薬投与前に、無顆粒球症を発症するリスクを判定するために行ってよく、或いは抗甲状腺薬投与中に、無顆粒球症が重症化するリスクを判定するために行ってもよい。
本明細書において「HLA領域」とは、ヒト第6染色体短腕部6p21.3領域に存在する、テロメア側HCP5P15遺伝子からセントロメア側KIFC1遺伝子までの約3.6 Mbに亘るゲノムDNA領域全てを意味し、特定の遺伝子部分のみを意味するものではない。
本明細書において「多型」とは、ゲノムDNA上の1又は複数の塩基の変化(置換、欠失、挿入、転位、逆位など)であって、例えば、1個の塩基が他の塩基に置換されたもの(SNP)、1〜数十塩基が欠失若しくは挿入されたもの(DIP)、2〜数十塩基を1単位とする配列が繰り返し存在する部位においてその繰り返し回数が異なるもの(繰り返し単位が2〜4塩基のものをマイクロサテライト多型、数〜数十塩基のものをvariable number of tandem repeat(VNTR)という)などが挙げられるが、好ましくはSNP又はDIPである。
本明細書においてSNPなどの多型における「リファレンスアレル」とは、ヒトゲノム標準配列(RefSeqと呼ばれる)と同一の塩基もしくは塩基配列を表し、「バリアントアレル」とは多型として出現するがRefSeqと同一ではないものを表す。
本明細書においてSNPなどの多型における「リスクアレル」とは、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを高めるアレルをいい、「非リスクアレル」とは、リスクアレルの対立アレルをいう。
本明細書において、一塩基多型(SNP)は、NCBI[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/]が提供するSNPデータベースdbSNP[http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP/]におけるreference SNP ID番号であるrs番号で示し、塩基の位置はNCBIのGenome Reference Consortium Human Build 37(GRCh37)に基づく。
本発明において、上記A)の多型は、配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における遺伝子多型であり、NCBIが提供するSNPデータベースdbSNPでのID番号:rs6457580で示されるSNPである。当該多型は、ゲノム配列NC_000006.11において32393141の塩基がG>T(リファレンスアレル>バリアントアレルで示す。以下同じ。)であるSNPである。配列番号:1で表わされる塩基配列は、上記SNPの前後各500 bpのヒト第6染色体のゲノムDNA配列を示す。
ヒトSNPアレイを用いたGWASによる症例・対照研究の結果、Tアレルのアレル頻度は、対照群よりも症例群において有意に高いことが示された。ここで、「有意」とは、カイ二乗検定又はフィッシャーの正確確率検定におけるp値が5.0×10-8未満であることを意味する。従って、Tアレルは、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症のリスクアレルである。
本発明において、上記B)の多型は、配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基における多型であり、SNPデータベースdbSNPでのID番号:rs41560220で示されるSNPである。当該多型は、ゲノム配列NC_000006.11の31323875の塩基がC>TであるSNPである。配列番号:2で表わされる塩基配列は、上記SNPの前後各200 bpのヒト第6染色体のゲノムDNA配列を示す。
ヒトSNPアレイを用いたGWASによる症例・対照研究の結果、Tアレルのアレル頻度は、対照群よりも症例群において有意に高いことが示された。従って、Tアレルは、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症のリスクアレルである。
本発明において、上記C)の多型は、配列番号:3で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型であり、SNPデータベースdbSNPでのID番号:rs1736959で示されるSNPである。当該多型は、ゲノム配列NC_000006.11の29782470の塩基がC>TであるSNPである。配列番号:3で表わされる塩基配列は、上記SNPの前後各500 bpのヒト第6染色体のゲノムDNA配列を示す。
ヒトSNPアレイを用いたGWASによる症例・対照研究の結果、Tアレルのアレル頻度は、対照群よりも症例群において有意に高いことが示された。従って、Tアレルは、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症のリスクアレルである。
本発明において、上記D)の多型は、配列番号:4で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型であり、SNPデータベースdbSNPでのID番号:rs3135387で示されるSNPである。当該多型は、ゲノム配列NC_000006.11の32415109の塩基がT>GであるSNPである。配列番号:4で表わされる塩基配列は、上記SNPの前後各500 bpのヒト第6染色体のゲノムDNA配列を示す。
ヒトSNPアレイを用いたGWASによる症例・対照研究の結果、Tアレルのアレル頻度は、対照群よりも症例群において有意に高いことが示された。従って、Tアレルは、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症のリスクアレルである。
本発明において、上記E)の多型は、配列番号:5で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型であり、SNPデータベースdbSNPでのID番号:rs17576984で示されるSNPである。当該多型は、ゲノム配列NC_000006.11の32212985の塩基がC>TであるSNPである。配列番号:5で表わされる塩基配列は、上記SNPの前後各500 bpのヒト第6染色体のゲノムDNA配列を示す。
ヒトSNPアレイを用いたGWASによる症例・対照研究の結果、Tアレルのアレル頻度は、対照群よりも症例群において有意に高いことが示された。従って、Tアレルは、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症のリスクアレルである。
本発明において、上記F)の多型は、上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型である。ここで、「連鎖不平衡係数D'」は、2つの多型について第一の多型の各アレルを(A,a)、第二の多型の各アレルを(B,b)とし、4つのハプロタイプ(AB,Ab,aB,ab)の各頻度をPAB,PAb,PaB,Pabとすると、下記式により得られる。
D'=(PABPab-PAbPaB)/Min[(PAB+PaB)(PaB+Pab),(PAB+PAb)(PAb+Pab)]
[式中、Min[(PAB+PaB)(PaB+Pab),(PAB+PAb)(PAb+Pab)]は、(PAB+PaB)(PaB+Pab)と(PAB+PAb)(PAb+Pab)とのうち、値の小さい方をとることを意味する。]
なお、連鎖不平衡状態を表す指標としては連鎖不平衡係数r2が使用される場合もある。「連鎖不平衡係数r2」は、2つの多型について第一の多型の各アレルを(A,a)、第二の多型の各アレルを(B,b)とし、4つのハプロタイプ(AB,Ab,aB,ab)の各頻度をPAB,PAb,PaB,Pabとすると、下記式により得られる。
r2=(PABPab-PAbPaB2/(PAB+PaB)(PaB+Pab)(PAB+PAb)(PAb+Pab
上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡状態にある上記F)の多型は、自体公知の方法により同定でき、例えば、HapMapデータベース(http://www.hapmap.org/index.html.ja)などを用いて同定することもできるし、シークエンサーを用いて複数のサンプルDNAの配列を解析し、連鎖不平衡状態にあるSNPを探索することもできる。例えば、Haploviewソフトウェアを用いて、自体公知の方法によりLDブロックを作成することにより、容易に上記F)の多型を同定できる(図3〜5)。
上記F)の多型としては、上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上、好ましくは0.9以上、より好ましくは0.95以上、さらに好ましくは0.99以上、最も好ましくは1(完全連鎖)の連鎖不平衡状態にあるか、連鎖不平衡係数r2が0.6以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは0.95以上、最も好ましくは1(完全連鎖)の連鎖不平衡状態にある多型が挙げられる。
上記F)の多型のうち、上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が1(完全連鎖)の連鎖不平衡状態にある多型としては、rs28362683、rs10947262、rs4959028、rs6930615、rs732162、rs9501626、rs3135392、rs8084、rs2239806、rs7192、rs3129888、rs7195、rs1051336、rs1041885、rs2213586、rs2213585、rs9268832、rs6903608、rs9268877、rs9268880、rs9268979、rs9269110、rs1964995、rs4713555、rs7744001などが例示される。
上記F)の多型のうち、上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が1(完全連鎖)の連鎖不平衡状態にある多型としては、rs2596487などが例示される。
上記F)の多型のうち、上記C)の多型と連鎖不平衡係数D'が1(完全連鎖)の連鎖不平衡状態にある多型としては、rs1633041、rs1737041、rs1002046、rs1610644、rs1633011、rs1630969、rs1632988、rs1632987、rs1736971、rs1736969、rs1610663、rs1610699、rs11753629、rs1736957、rs1620173、rs1619379、rs2735028、rs1049033などが例示される。
上記F)の多型のうち、上記D)の多型と連鎖不平衡係数D'が1(完全連鎖)の連鎖不平衡状態にある多型としては、rs2395148、rs12524661などが例示される。
本発明の検査方法は、上記A)〜F)からなる群から選択される少なくとも1つの多型(以下、本発明の多型とも記す。)を試験する工程を含む。一実施態様において、本発明の多型を試験する工程には、本発明の多型についてリスクアレルの有無を検出する工程が含まれる。本発明の別の実施態様において、本発明の多型を試験する工程には、本発明の多型についてリスクアレルの有無を検出する工程と、非リスクアレルの有無を検出する工程とが含まれる。
本発明の多型がリスクアレル及び/又は非リスクアレルを有するか否かは、当分野で公知の任意の多型解析方法によって行うことができる。例えば、被験者の細胞等から抽出したゲノムDNAを試料とし、上記したいずれかの多型部位の塩基を含む約15〜約500塩基の連続した塩基配列を含有してなる核酸をプローブとして用い、例えばWallaceら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA , 80, 278-282 (1983))の方法に従って、ストリンジェンシーを正確にコントロールしながらハイブリダイゼーションを行い、プローブと完全相補的な配列のみを検出する方法や、上記核酸と上記核酸において多型部位の塩基が他の塩基に置換された核酸のいずれか一方を標識し、他方を未標識としたミックスプローブを用い、変性温度から徐々に反応温度を低下させながらハイブリダイゼーションを行い、一方のプローブと完全相補的な配列を先にハイブリダイズさせ、ミスマッチを有するプローブとの交差反応を防ぐ方法などが挙げられる。ここで標識剤としては、例えば、放射性同位元素(例、32Pなど)、酵素(例、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素など)、蛍光物質(例、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート、Cy3、Cy5など)、発光物質例、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど)などが用いられる。
好ましくは、多型の検出は、例えば、WO 03/023063に記載された種々の方法、例えば、RFLP法、PCR-SSCP法、ASOハイブリダイゼーション、ダイレクトシークエンス法、ARMS法、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法、RNase A切断法、化学切断法、DOL法、TaqMan PCR法、インベーダー法、MALDI-TOF/MS法、TDI法、モレキュラー・ビーコン法、ダイナミック・アレルスペシフィック・ハイブリダイゼーション法、パドロック・プローブ法、UCAN法、DNAチップ又はDNAマイクロアレイを用いた核酸ハイブリダイゼーション法、及びECA法などにより実施することができる(WO 03/023063, 第17頁第5行〜 第28頁第20行を参照)。以下、代表的な方法として、TaqMan PCR法とインベーダー法について、より詳細に説明する。
(1)TaqMan PCR法
TaqMan PCR法は、蛍光標識したアレル特異的オリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)とTaq DNAポリメラーゼによるPCRとを利用した方法である。TaqManプローブとしては、上記したいずれかの多型部位の塩基を含む約15〜約30塩基の連続した塩基配列からなるオリゴヌクレオチドが用いられる。該プローブは、その5’末端がFAMやVICなどの蛍光色素で、3’末端がTAMRAなどのクエンチャー(消光物質)でそれぞれ標識されており、そのままの状態ではクエンチャーが蛍光エネルギーを吸収するため蛍光は検出されない。プローブは双方のアレルについて調製し、一括検出のために互いに蛍光波長の異なる蛍光色素(例えば、一方のアレルをFAM、他方をVIC)で標識することが好ましい。また、TaqManプローブからのPCR伸長反応が起こらないように3’末端はリン酸化されている。TaqManプローブとハイブリダイズする領域を含むゲノムDNAの部分配列を増幅するように設計されたプライマー及びTaq DNAポリメラーゼとともにPCRを行うと、TaqManプローブが鋳型DNAとハイブリダイズし、同時にPCRプライマーからの伸長反応が起こるが、伸長反応が進むとTaq DNAポリメラーゼの5’ヌクレア−ゼ活性によりハイブリダイズしたTaqManプローブが切断され、蛍光色素が遊離してクエンチャーの影響を受けなくなり、蛍光が検出される。鋳型の増幅により蛍光強度は指数関数的に増大する。
例えば、上記1)の多型の検出においては、多型部位の塩基を含むアレル特異的オリゴヌクレオチド(約15〜約30塩基長;GアレルはFAMで、TアレルはVICでそれぞれ5’末端標識し、3’末端はいずれもTAMRAで標識)をTaqManプローブとして用いた場合、被験者のジェノタイプがGG、あるいはTTであれば、それぞれFAMあるいはVICの強い蛍光強度を認め、他方の蛍光はほとんど認められない。一方、被験者のジェノタイプがGTであれば、FAM及びVIC両方の蛍光が検出される。
(2)インベーダー法
インベーダー法では、TaqMan PCR法と異なり、アレル特異的オリゴヌクレオチド(アレルプローブ)自体は標識されず、多型部位の塩基の5’側に鋳型DNAと相補性のない配列(フラップ)を有し、3’側には鋳型に特異的な相補配列を有する。インベーダー法では、さらに鋳型の多型部位の3’側に特異的な相補配列を有するオリゴヌクレオチド(インベーダープローブ;該プローブの5’末端である多型部位に相当する塩基は任意である)と、5’側がヘアピン構造をとり得る配列を有し、ヘアピン構造を形成した際に5’末端の塩基と対をなす塩基から3’側に連続する配列がアレルプローブのフラップと相補的な配列であることを特徴とするFRET(fluorescence resonance energy transfer)プローブとが用いられる。FRETプローブの5’末端は蛍光標識(例えば、FAMやVICなど)され、その近傍にはクエンチャー(例えば、TAMRAなど)が結合しており、そのままの状態(ヘアピン構造)では蛍光は検出されない。
鋳型であるゲノムDNAにアレルプローブ及びインベーダープローブを反応させると、三者が相補結合した際に多型部位にインベーダープローブの3’末端が侵入する。この多型部位の構造を認識する酵素(cleavase)を用いてアレルプローブの一本鎖部分(即ち、多型部位の塩基から5’側のフラップ部分)を切り出すと、フラップはFRETプローブと相補的に結合し、フラップの多型部位がFRETプローブのヘアピン構造に侵入する。この構造をcleavaseが認識して切断することにより、FRETプローブの末端標識された蛍光色素が遊離してクエンチャーの影響を受けなくなって蛍光が検出される。多型部位の塩基が鋳型とマッチしないアレルプローブはcleavaseによって切断されないが、切断されないアレルプローブもFRETプローブとハイブリダイズすることができるので、同様に蛍光が検出される。但し、反応効率が異なるため、多型部位の塩基がマッチするアレルプローブでは、マッチしないアレルプローブに比べて蛍光強度が顕著に強い。
通常、3種のプローブ及びcleavaseと反応させる前に、鋳型DNAはアレルプローブ及びインベーダープローブがハイブリダイズする部分を含む領域を増幅し得るプライマーを用いてPCRにより増幅しておくことが好ましい。
本発明の検査方法は、本発明の多型の上記試験結果に基づいて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程を含む。従って、一実施態様において、本発明の抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程には、被験者が本発明の多型についてリスクアレルを有する場合に、該被験者は、リスクアレルを有しない者に比べて抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高いと判定する工程が含まれる。
本発明の検査方法によれば、例えば、被験者における本発明の多型ジェノタイプがリスクアレルのホモ接合体である場合、非リスクアレルとリスクアレルとのヘテロ接合体や非リスクアレルのホモ接合体である場合と比較して、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症の発症又は重症化へ至る頻度が高いと考えられる。
それゆえ、別の実施態様において、本発明の抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程には、被験者における本発明の多型ジェノタイプがリスクアレルのホモ接合体、リスクアレルと非リスクアレルとのヘテロ接合体、非リスクアレルのホモ接合体の順に、該被験者は抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高いと判定する工程が含まれる。
本発明の検査方法では、試験される多型の数が多ければ判定精度も向上する。そのため、本発明の多型から選択される2つ以上の多型を試験し、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定することが好ましい。例えば、上記A)及びB)の2つの多型を試験し、A)及びB)の多型ジェノタイプがいずれも非リスクアレルのホモ接合体である場合、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクは極めて低いと判定できる。逆に、上記A)及びB)の多型ジェノタイプがいずれもリスクアレルのホモ接合体であれば、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクは極めて高いと判定できる。
より詳細には、例えば、以下の実施例4に記載のとおり、上記B)の多型とD'=1の完全連鎖の関係にある多型(rs2596487)、すなわち上記F)の多型と上記E)の多型(rs17576984)とを試験する場合、リスクアレルのホモ接合体をスコア2、リスクアレルと非リスクアレルとのヘテロ接合体をスコア1、非リスクアレルのホモ接合体をスコア0で表すと、rs2596487/rs17576984のスコアが、2/2、2/1、1/2、1/1、2/0、0/2、1/0、0/1、0/0のジェノタイプの順に抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高いと判定することができる。
本発明の検査方法では、上記A)の多型又はB)の多型を試験することが好ましく、上記A)及びB)の多型の2つを試験することが最も好ましい。本発明の多型を試験する工程では、上記F)の多型のみを2つ以上試験してもよい。2つ以上の多型を検出する場合には、それらは完全連鎖していないことが望ましく、連鎖不平衡状態にないことが最も好ましい。
本発明の検査方法の好ましい一実施態様においては、上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、及び/又は上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が試験される。上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型としては、例えば、上述のA)の多型と完全連鎖した多型等が挙げられるが、HLA-DRB1*08:03やHLA-DRB1*08:02の74位のアミノ酸(即ち、Leu)をコードする位置における多型を試験することが特に好ましい。一方、上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型としては、例えば、上述のB)の多型と完全連鎖した多型等が挙げられるが、HLA-B*39:01やHLA-B*38:02の116位のアミノ酸(即ち、Phe)又は158位のアミノ酸(即ち、Alaではない)をコードする位置における多型を試験することが特に好ましい。
本発明者らはさらに、HLA-B*39:01、HLA-DRB1*14:03、及びHLA-DRB1*08:02が抗甲状腺薬無顆粒症と強い関連を示すことも見出した。さらに、HLA-B*38:02及びHLA-DRB1*08:03も抗甲状腺薬誘発性無顆粒症と相関する。すなわち、被験者がHLA-B*39:01、HLA-DRB1*14:03、HLA-DRB1*08:02、HLA-B*38:02及びHLA-DRB1*08:03から選ばれる1以上のアレルを有する場合、好ましくはHLA-B*39:01及び/又はHLA-DRB1*14:03及び/又はHLA-DRB1*08:02のアレルを有する場合、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高いと判定することができる。従って、例えば、本発明の検査方法と組み合わせて、被験者がHLA-B*39:01、HLA-DRB1*14:03、HLA-DRB1*08:02、HLA-B*38:02及びHLA-DRB1*08:03から選ばれる1以上のアレル、好ましくはHLA-B*39:01及び/又はHLA-DRB1*14:03及び/又はHLA-DRB1*08:02を有するか否かを試験することにより、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定してもよい。
被験者がHLA-B*39:01、HLA-B*38:02、HLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03、又はHLA-DRB1*08:02を有するか否かを試験する方法は、HLA-B*39:01、HLA-B*38:02、HLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03、又はHLA-DRB1*08:02アレルとそれ以外のHLAアレルとを区別できる限り特に限定されず、例えば、上記した多型検出方法を使用することができる。
HLAアレルの解析においては、該当する遺伝子配列全体を解析しても、遺伝子配列の一部のみを解析してもよい。また、HLAアレルの解析に用いる試料は、上記した「被験者由来のサンプル」と同様のものを好適に使用することができる。
HLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03、及びHLA-DRB1*08:02は、HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであるアミノ酸置換を伴う多型である点で共通する。一方、HLA-B*39:01及びHLA-B*38:02は、HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであるアミノ酸置換を伴う多型である点で共通する。本発明者らは、HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuとなるアレル(DRB1-Leu74)、及びHLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheとなるアレル(B-Phe116)が、抗甲状腺薬誘発性無顆粒症のリスクアレルであることを見出した。さらに、B-Phe116は、HLA-Bタンパク質の158位のアミノ酸がAlaでない多型と連鎖不平衡の関係にある(r2=0.92)。
従って、本発明はまた、
(1)被験者由来のサンプルを使用し、以下の(a)及び/又は(b):
(a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであるか否か
(b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであるか否か、又は158位のアミノ酸がAlaであるか否か
を試験する工程、及び
(2)(1)の試験結果に基づいて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程
を含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法;
(以下、本発明の検査方法(2)という場合もある)を提供する。
本発明の検査方法(2)の対象となる被験者は、甲状腺機能亢進症患者、好ましくはバセドウ病患者であって、疾患の治療又は予防のために抗甲状腺薬を服用している、又は服用する予定のあるヒトをいう。被験者の人種は特に限定されず、例えば、モンゴロイド、コーカソイド、ニグロイドのいずれであってもよい。
検出対象となる(a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであるアレルとしては、上述のHLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03、及びHLA-DRB1*08:02の他、例えば、HLA-DRB1*08:09等が挙げられる。また、(b) HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheである(158位のアミノ酸がAlaでない)アレルとしては、HLA-B*39:01及びHLA-B*38:02の他、例えば、HLA-B*37:01、HLA-B*39:04、HLA-B*67:01等が挙げられる。これらのリスクアレルの頻度はモンゴロイドのみならず、コーカソイドやニグロイドにおいても無視できない程度であるので、本発明の検査方法(2)は、人種を問わず広く使用可能である。
本発明の検査方法(2)において測定対象となる「被験者由来のサンプル」は、上記「本発明の検査方法」において記載した被験者のゲノムDNA、mRNA、total RNAを含む生体サンプルに加えて、被験者より採取したHLA-DRB1及び/又はHLA-Bタンパク質を含むサンプルを使用してもよい。即ち、HLA-DRB1タンパク質の74位のLeuを含む部分ペプチドに対して特異的に結合する抗体もしくはアプタマー、及び/又はHLA-Bタンパク質の116位のPheを含む部分ペプチドもしくは158位のAlaを含む部分ペプチドに対して特異的に結合する抗体もしくはアプタマーを用いて、免疫学的もしくはこれに準ずる手法によりHLA-DRB1又はHLA-Bタンパク質と該抗体もしくはアプタマーとの複合体を検出することにより、(a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであるか否か、及び/又は(b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであるか否か、もしくは158位のアミノ酸がAlaであるか否かを試験することができる。
試験の結果、(a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであった場合、及び/又は(b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであるか、もしくは158位のアミノ酸がAlaでなかった場合、被験者は抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高いと判定することができる。
一実施態様において、本発明は、HLA領域に存在する多型であって、
A)配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(G>T)、
B)配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基における多型(C>T)、
C)配列番号:3で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
D)配列番号:4で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(T>G)、
E)配列番号:5で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
(但し、カッコ内はリファレンスアレル>バリアントアレルを示し、*はリスクアレルを示し、G、A、T及びCは、それぞれ、グアニン、アデニン、チミン及びシトシンを示す。)及び
F)上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、
からなる群から選択される少なくとも1つの多型(すなわち、本発明の多型)において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスク判定用キット(以下、本発明の判定用キットとも記す。)を提供する。
本発明の多型におけるリスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドは、被験者の抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するために有用である。それゆえ、本発明の判定用キットは、本発明の多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドを含有するものである。かかるポリヌクレオチドは、例えば、上記A)の多型にあっては、配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基がT(相補鎖配列にあってはA)である配列の存在を検出し得るものであり、上記B)の多型にあっては、配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基がT(相補鎖配列にあってはA)である配列の存在を検出し得るものである。
本発明の判定用キットには、上記A)の多型及び/又はB)の多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドが含まれることが好ましい。
本発明の判定用キットの好ましい一実施態様においては、上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、及び/又は上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドが含まれる。上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型としては、例えば、上述のA)の多型と完全連鎖した多型等が挙げられるが、HLA-DRB1*08:03やHLA-DRB1*08:02の74位のアミノ酸(即ち、Leu)をコードする位置における多型を検出し得るポリヌクレオチドを含むことが特に好ましい。一方、上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型としては、例えば、上述のB)の多型と完全連鎖した多型等が挙げられるが、HLA-B*39:01やHLA-B*38:02の116位のアミノ酸(即ち、Phe)又は158位のアミノ酸(即ち、Alaではない)をコードする位置における多型を検出し得るポリヌクレオチドを含むことが特に好ましい。
本発明の判定用キットは、本発明の多型において、非リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドをさらに含有していることが望ましい。かかるポリヌクレオチドは、例えば、上記A)の多型にあっては、配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基がG(相補鎖配列にあってはC)である配列の存在を検出し得るものであり、上記B)の多型にあっては、配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基がC(相補鎖配列にあってはG)である配列の存在を検出し得るものである。以下、本発明の多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドと非リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドとを合わせて、「本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチド」とも記す。
具体的には、本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチドは、上記した多型検出方法、例えば、RFLP法、PCR-SSCP法、ASOハイブリダイゼーション、ダイレクトシークエンス法、ARMS法、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法、RNase A切断法、化学切断法、DOL法、TaqMan PCR法、インベーダー法、MALDI-TOF/MS法、TDI法、モレキュラー・ビーコン法、ダイナミック・アレルスペシフィック・ハイブリダイゼーション法、パドロック・プローブ法、UCAN法、DNAチップ又はDNAマイクロアレイを用いた核酸ハイブリダイゼーション法、及びECA法などといった公知の多型解析方法におけるプライマー又はプローブとして用いられる。
本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチドがプライマーである場合、当該プライマーは、本発明の多型部位の塩基を含むゲノムDNA(もしくはmRNA)の領域を特異的に増幅し得るよう設計されたものであればいかなるものであってもよい。本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチドがプローブである場合、当該プローブは、本発明の多型部位の塩基を含むゲノムDNA(もしくはmRNA)の領域とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るよう設計されたものであればいかなるものであってもよい。
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、塩基配列において約90%以上、好ましくは約95%以上、特に好ましくは約96、97、98、99%以上、最も好ましくは100%の相同性を有するポリヌクレオチド同士がハイブリダイズし得る条件をいう。ストリンジェンシーは、ハイブリダイゼーション反応や洗浄の際の塩濃度及び温度などを適宜変化させることにより調節することができ、当業者であれば容易に好適な条件を設定することができる。
本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチドの長さは、当該多型部位を含む10〜200の連続した塩基配列を有する、HLA領域にあるDNA断片を検出し得るものであれば特に制限はなく、当業者であれば該ポリヌクレオチドの用途に応じて適宜長さを選択することができる。
本発明のポリヌクレオチドをプライマーとして用いる場合には、10〜200 bp、好ましくは15〜100 bp、より好ましくは15〜35 bpの塩基長を有するものが例示できる。プライマーが増幅することができるDNAの長さは、例えば15〜1000 bp、好ましくは20〜500 bp、より好ましくは20〜200 bpである。
本発明のポリヌクレオチドをプローブとして用いる場合には、10〜200 bp、好ましくは15〜100 bp、より好ましくは15〜35 bpの塩基長を有するものが例示できる。
本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチドがプライマーとして用いられる場合、該プライマーは、多型の検出に適した付加的配列(ゲノムDNA(若しくはmRNA)と相補的でない配列)、例えばリンカー配列を含んでいてもよい。
また、該プライマーは、適当な標識剤、例えば、放射性同位元素(例、125I、131I、3H、14Cなど)、酵素(例、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素など)、蛍光物質(例、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート、Cy3、Cy5など)、発光物質(例、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど)などで標識されていてもよい。
本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチドがプローブとして用いられる場合、該プローブは多型の検出に適した付加的配列(ゲノムDNA(若しくはmRNA)と相補的でない配列)を含んでいてもよい。例えば、Invaderプローブ法に用いられるプローブは、多型部位の塩基の5’末端にフラップと呼ばれる付加的配列を有し得る。
また、該プローブは、適当な標識剤、例えば、放射性同位元素(例、125I、131I、3H、14Cなど)、酵素(例、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素など)、蛍光物質(例、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネート、Cy3、Cy5など)、発光物質(例、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなど)などで標識されていてもよい。或いは、蛍光物質(例、FAM、VICなど)の近傍に該蛍光物質の発する蛍光エネルギーを吸収するクエンチャー(消光物質)がさらに結合されていてもよい。かかる実施態様においては、検出反応の際に蛍光物質とクエンチャーとが分離して蛍光が検出される。
上記プローブ及び/又はプライマーは、各々別個に(或いは可能であれば混合した状態で)水若しくは適当な緩衝液(例、TEバッファーなど)中に適当な濃度(例、2〜20×の濃度で1〜50μMなど)となるように溶解し、約-20℃で保存することができる。
本発明の判定用キットには、本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチド(少なくともリスクアレルを検出し得るもの)が少なくとも1種含まれるが、検出される多型の数が多ければ判定精度も向上するため、本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチド(少なくともリスクアレルを検出し得るもの)を2種以上含むことが好ましい。
本発明の多型を検出し得るポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよく、また、一本鎖であっても二本鎖であってもよい。二本鎖の場合は二本鎖DNA、二本鎖RNA、DNA/RNAハイブリッドのいずれであってもよい。従って、本明細書においてある塩基配列を有する核酸について記載する場合、特に断らない限り、該塩基配列を有する一本鎖核酸、該塩基配列と相補的な配列を有する一本鎖核酸、それらのハイブリッドである二本鎖核酸をすべて包含する意味で用いられていると理解されるべきである。
上記ポリヌクレオチドは、例えば、配列番号:1〜5で表される各塩基配列の情報に基づいて、DNA/RNA自動合成機を用いて常法に従って合成することができる。
本発明の判定用キットにおいて、対象となる「被験者」は、甲状腺機能亢進症患者、好ましくはバセドウ病患者であって、疾患の治療又は予防のために抗甲状腺薬を服用している、又は服用する予定のあるヒトをいう。また、被験者の人種は特に限定されないが、好ましくは東アジア人、さらに好ましくは日本人である。
本発明の判定用キットは、多型検出法に応じて、当該方法の実施に必要な他の構成要素をさらに含んでいてもよい。例えば、該キットがTaqMan PCR法による多型検出用である場合には、該キットは、10×PCR反応緩衝液、10×MgCl2水溶液、10×dNTPs水溶液、Taq DNAポリメラーゼ(5U/μL)、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクの判定基準表、キット操作方法を記載した説明書などをさらに含むことができるが、これらに限定されない。
本発明はまた、以下の(a)及び/又は(b):
(a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであること
(b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであること、又は158位のアミノ酸がAlaであること
を同定し得る物質を含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスク判定用キット(本発明の判定用キット(2))を提供する。
HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであること、HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであること、又は158位のアミノ酸がAlaであることを同定し得る物質としては、例えば、HLA-DRB1遺伝子又はmRNA中の、HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸をコードするコドンを含む部分ヌクレオチド配列を検出し得るポリヌクレオチド、HLA-B遺伝子又はmRNA中の、HLA-Bタンパク質の116位又は158位のアミノ酸をコードするコドンを含む部分ヌクレオチド配列を検出し得るポリヌクレオチド等を挙げることができる。これらのポリヌクレオチドは、上記「本発明の判定用キット」において詳述したのと同様の方法により、デザインし、調製することができる。
HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであること、HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであること、又は158位のアミノ酸がAlaであることを同定し得る他の物質として、例えば、HLA-DRB1タンパク質の74位のLeuを含む部分ペプチドに対して特異的に結合する抗体もしくはアプタマー、HLA-Bタンパク質の116位のPheを含む部分ペプチドもしくは158位のAlaを含む部分ペプチドに対して特異的に結合する抗体もしくはアプタマー等を挙げることができる。そのような抗体もしくはアプタマーは、周知の方法によりそれぞれ取得することができる。
本発明の判定用キット(2)の対象となる被験者は、甲状腺機能亢進症患者、好ましくはバセドウ病患者であって、疾患の治療又は予防のために抗甲状腺薬を服用している、又は服用する予定のあるヒトをいう。被験者の人種は特に限定されず、例えば、モンゴロイド、コーカソイド、ニグロイドのいずれであってもよい。
本発明の判定用キット(2)は、多型検出法に応じて、当該方法の実施に必要な他の構成要素をさらに含んでいてもよい。例えば、該キットがTaqMan PCR法による多型検出用である場合には、上記「本発明の判定用キット」の場合と同様の構成要素を含むことができる。一方、該キットが抗体もしくはアプタマーによる多型検出用である場合、該キットは、免疫学的測定法において通常使用される試薬、容器等、例えば、反応緩衝液、二次抗体、標識物質、マイクロプレート等をさらなる構成要素として含むことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
[実施例1]
抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と相関するSNPの探索
(1)被験者
抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症(500/μL以下)と診断された患者のDNAサンプルを隈病院(神戸、日本)から63例、伊藤病院(東京、日本)から52例の計115例収集した。115例のうち113例はバセドウ病と、残り2例は無痛性甲状腺炎及び甲状腺中毒症と診断され、抗甲状腺薬による治療を受けていた。治療に使用された抗甲状腺薬は、メチマゾール(95例)及びプロピルチオウラシル(以下、PTUとも記す。20例)であった。年齢、性別、顆粒球数などの患者臨床情報は、各機関における甲状腺専門医により収集された。
対照群としては、滋賀県長浜市のゲノムコホート研究(以下、長浜コホートとも記す)で収集された1,937例のDNAサンプルを使用した。本試験に採用した患者の特徴を以下の表1に示す。
89人のバセドウ病患者のDNAサンプルは京都大学から得た。本研究に際しては、それぞれの研究機関の倫理委員会の承認を得、全ての被験者からインフォームドコンセントを得た。
(2)ゲノムワイド関連解析(GWAS)
GWASは、2つのセットで実施した。第一セットでは、症例群として隈病院から得た63例のDNAサンプルを使用し、Illumina infinium HumanOmni 2.5-8 v1.0 DNA分析キット(Illumina社)を用いてジェノタイピングした。対照群としては、長浜コホートにより得た1,562例のDNAサンプルをIllumina infinium HumanOmni 2.5-4 v1.0 DNA分析キット(Illumina社)によりジェノタイピングした。
第二セットでは、症例群として伊藤病院から得た52例のDNAサンプルを使用し、対照群として長浜コホートより得た375例のDNAサンプルを使用し、いずれもIllumina infinium HumanOmni 2.5-8 v1.0 DNA分析キット(Illumina社)を用いてジェノタイピングした。
SNPアレイを用いたジェノタイピングの後、コール成功率95%未満のDNAサンプル(12例)、他の検体と高い血縁関係(PLINKソフトウェアによるPI_HAT≧0.35)にあるDNAサンプル(122例)、主成分分析によりアジア人クラスターから外れているDNAサンプル(5例)を除外した。結果として、クオリティコントロール後の第一セットのDNAサンプルは、症例群:63例と対照群:1,445例からなり、第二セットのDNAサンプルは、症例群:52例と対照群:353例からなった。
SNPマーカーとしては、2つのアレイに共通する2,635,435個のSNPに着目し、これらのうち、コール成功率95%以上、症例群又は対照群におけるマイナーアレル頻度0.01以上、Hardy-Weinberg平衡検定p値>1.0×10-7であるSNPマーカーを選択した。結果として、計1,223,017個のSNP(第一セット)及び1,246,969個のSNP(第二セット)を解析に使用した。
バセドウ病患者のDNAサンプルは、3730xl DNA分析装置(Life Technologies社)を用いたキャピラリーシーケンシングにより無顆粒球症と関連するSNPをジェノタイピングするために使用した。
(3)統計解析
2セットのGWAS及び統合評価の統計解析は、PLINKソフトウェア又はRソフトウェアを用いた、カイ二乗検定又はフィッシャーの正確確率検定(Fisher’s exact test)により実施した。試験間の不均一性テストは、ブレスロー・デイ検定(Breslow-Day test)を用いて行った。フィッシャーの正確確率検定は、2×2分割表の期待値に5以下のものがある場合に使用した。HLA領域におけるSNPの独立性を調べるために多重ロジスティック回帰分析を実施した。多重検定におけるボンフェローニ補正(Bonferroni’s correction)後のGWAS有意水準は5.0×10-8に設定した。関連するSNP間の相互作用は、従来公知の方法(Andersson et al., European journal of epidemiology 2005; 20: 575-9)により評価した。SNP間のLD値の解析及び連鎖不平衡地図の作成には、Haploview version 4.1ソフトウェアを用いた。
(4)結果
第一セット(症例群:63例及び対照群:1,445例)及び第二セット(症例群:52例及び対照群:353例)について、症例・対照研究を行ったところ、ヒト第6染色体短腕部6p21.3上のヒトHLA領域に、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と極めて強い関連を示すSNPが191個同定された(図1)。集団の構造化は観察されなかった。同定した191個のSNPを2つのセットの統合解析により得られたp値、オッズ比(OR)、95%信頼区間(CI)とともに以下の表2〜6に示す。
抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と極めて強い関連を示す191個のSNPは、ClassI領域にある2領域(HLA-A領域上流側及びHLA-B領域周辺)とClassII領域にある2領域(HLA-DR領域周辺の2領域)の合計4領域に大きく分類された(図2)。そのうち最も強い関連はHLA-DR領域周辺で得られ(最も強い関連多型:rs6457580、p=2.0×10-30、OR:5.12(95%CI:3.77-6.95))、続いて、HLA-B領域周辺(最も強い関連多型:rs41560220、p=2.1×10-26、OR:5.44(95%CI:3.85-7.68))、HLA-A領域上流(最も強い関連多型:rs1736959、p=1.7×10-12、OR:2.79(95%CI:2.07-3.74))、HLA-DR領域周辺(最も強い関連多型:rs3135387、p=1.2×10-10、OR:0.37(95%CI:0.27-0.51)、次いで強い関連多型:rs17576984、p=1.15×10-27、OR:4.17(95%CI:3.17-5.49))であった(表7)。
各領域において有意差を示すSNPの多くは強い連鎖不平衡の関係にあり(図3〜5)、また4領域は互いに連鎖不平衡は見られず、独立したものであることがわかった。rs17576984とrs3135387とは同一領域に存在していたが、連鎖不平衡係数D'=0.44を示し独立していた。
抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症に対するSNPマーカーが互いに独立しているかをさらに検証するために、rs6457580、rs41560220、rs1736959及びrs3135387を用いて多重ロジスティック回帰分析を行った(表8)。
多重ロジスティック回帰分析の結果、4つのマーカー全てが、無顆粒球症との有意な関連を独立して示した。
続いて、患者が複数のリスクアレルを有する場合に、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが増加するかを調べた。上記4つのSNPにつき、いずれのリスクアレルも有さない対象をリファレンスとして使用した。その結果、患者が有するリスクアレルの数に応じて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症無顆粒球症リスクの急激な増加が観察された。4つのリスクアレルを全て有する患者のオッズ比は953.2(95%CI:101.1-8988.6)まで達した(図6)。
更に、無顆粒球症を回避するために、抗甲状腺薬療法を実施する前の遺伝子検査の有用性も評価した。この目的のために、患者と対照群における4つのSNPマーカーのリスクアレルの分布に基づき、この合併症を発症するタイプコンディションリスクを算出した。抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症の罹患率が0.35%(リファレンス)だとすれば、4つのリスクアレルを有する38.3%の患者が無顆粒球症になると見積もられた(表9)。3つのリスクアレルを有する患者については、無顆粒球症の罹患率は3.8%と推定された。
本研究に用いた115例の患者のうち113例がバセドウ病であったので、無顆粒球症と上記SNPとの関連が、バセドウ病自体に起因するかどうかを調べた。具体的には、89人のバセドウ病患者由来のDNAをダイレクトシーケンシングすることにより、4つのSNPマーカー(rs6457580、rs41560220、rs1736959及びrs3135387)をジェノタイピングし、対照群の頻度と比較した。その結果、これらマーカーのいずれも、バセドウ病との関連を示さなかった。
[実施例2]
抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と関連するHLAアレルの探索
(1)HLAジェノタイピング
上記で得られたSNPマーカーは全てHLA領域に存在するため、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症がHLA遺伝子そのものと関係する可能性がある。そのため、極めて強い関連の見られたHLA-DR領域及びHLA-B領域周辺にターゲットを絞って、患者検体を用いてHLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、HLA-DPB1及びHLA-DQB1遺伝子のジェノタイピングを実施した。
具体的には、WAKFlowシステム(湧永製薬株式会社、大阪、日本)を用いた高解像度(4-digit)ジェノタイピングにより、実施例1記載の抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症患者115例についてHLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、HLA-DPB1及びHLA-DQB1遺伝子のジェノタイプを決定した。一般的な日本人集団1,000人のHLA-B、HLA-C、HLA-DRB1、HLA-DPB1及びHLA-DQB1アレル頻度情報は、NPO法人HLA研究所(京都、日本)から得た。HLAジェノタイピングでは、症例群又は対照群のいずれかにおいて1%超のアレル頻度を有するHLAアレルを関連解析に使用した。
統計解析では、カイ二乗検定又はフィッシャーの正確確率検定により、症例群と対照群におけるHLAアレルの頻度を比較した。多重ロジスティック回帰分析を実施して、HLAアレルの独立性を検証した。多重検定におけるボンフェローニ補正後の有意水準は、6.9×10-4に設定した。
(2)結果
多重検定におけるボンフェローニ補正後、HLA-B*39:01、HLA-B*38:02、HLA-C*07:02、HLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03、HLA-DRB1*08:02、HLA-DRB1*09:01及びHLA-DQB1*06:01が、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症と有意な関連を示した(表10)。
上記8つのHLAアレルのうち、HLA-B*39:01は、HLA-C*07:02と連鎖不平衡(LD)(D'=0.97)であり、HLA-DRB1*08:03はHLA-DQB1*06:01とLDであった(D'=0.96)。多重ロジスティック回帰分析により、HLA-B*39:01、HLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03及びHLA-DRB1*08:02と無顆粒球症との有意かつ独立した関連が明らかとなり、HLA-B*38:02との弱い関連も検出された(p=0.0033)。
無顆粒球症の臨床経過が、無顆粒球症と有意に関連する上記SNPマーカー、及び患者で同定したHLAアレルによって影響されるかを線形回帰分析により調べた。診断時の年齢、抗甲状腺薬の開始と無顆粒球症と診断されるまでの期間のいずれにおいても、上記SNPマーカー又はHLAアレルは関連しなかった。また、メチマゾールで治療された95人の患者と、PTUで治療された20人の患者との間に、これらのSNPマーカー又はHLAアレルのアレル頻度に差はなかった(p≧0.011)。
[実施例3]
感受性HLAアレルと関連するアミノ酸の探索
(1)HLAアミノ酸のロジスティック回帰分析
ジェノタイピングした又はHLA研究所から得た、どちらか一方のHLAアレルと対応するアミノ酸配列をIMGTデータベース(http://www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/)から検索し、各HLA遺伝子ごとにアライメントした。合計462のアミノ酸のバリアントが278箇所で同定された。HLA-DRB1及びHLA-Bタンパク質の3次元構造解析をUCSF chimeraソフトウェアにより行った。
(2)set up多重ロジスティック回帰分析
HLA-B及びHLA-DRB1遺伝子の両方において、複数のアレルが無顆粒球症と関連があったので、感受性HLAアレルにおける重要なアミノ酸残基が存在すると思われた。そこで、HLAアミノ酸配列のアライメントを使って、set up多重ロジスティック回帰分析を実施した。
(3)統計解析
赤池情報量基準(AIC)をアミノ酸分析のために算出した。アミノ酸変異は、変異を含むロジスティック回帰モデルが最少のAICを示す場合、他のアミノ酸変異を含むそれらと比較して7より大きいAIC(ΔAIC>7)で、他の変異に対して有意とみなした。並べ替え検定を1,000回実施し、アミノ酸変異によるAICの向上が偶然にもたらされたのかどうかと、有意なアミノ酸変異によるAICの向上は、有意なSNPマーカーによる向上と同等であるかどうかとを評価した。
(4)結果
HLA-DRB1タンパク質の74位のロイシン残基(DRB1-Leu74)は、他のアミノ酸変異に比べて21.0のΔAICと最も強い関連を示した(p=7.9x10-26、並べ替え p=0.001、図7A)。DRB1-Leu74のコンディショニングに続き、116位のフェニルアラニン(B-Phe116)は、14.1のΔAICと2番目に強い関連を示した(p<8.2x10-12、並べ替え p=0.001、図7B)。HLA-Bタンパク質における158位のアラニン残基の不存在は、B-Phe116の存在と連鎖不平衡(r2=0.92)であることが見出された。DRB1-Leu74及びB-Phe116におけるコンディショニング後、他のアミノ酸は有意な関連を示さなかった(p>0.00024、図7C)。重要なことには、HLA-B*39:01及びHLA-B*38:02はB-Phe116を有し、HLA-DRB1*08:03、HLA-DRB1*14:03及びHLA-DRB1*08:02はDRB1-Leu74を有した(表11)。HLA-Bにおけるrs41560220と、HLA-DRB1におけるrs6457580及びrs3135387は、それぞれB-Phe116と、DRB1-Leu74と比較して同等のAIC向上を示した。
[実施例4]
本発明のSNPマーカーについてのハプロタイプ別オッズ比とシミュレーション
115人の抗甲状腺薬による無顆粒球症患者と1937人の健常人のサンプルを用いて、本発明のSNPマーカーである、rs41560220とD'=1の完全連鎖の関係にあるrs2596487と、rs17576984のハプロタイプ別オッズ比(OR)をSNPごとの関連解析により解析した。両方のSNPにつきリスクアレルを有する場合には多重ロジスティック回帰分析のORを適用した。1937人の健常人サンプル結果によるSNPのアレル頻度を基に、ハーディワインバーグ平衡が成立するとして、一般健常人集団における各ハプロタイプ頻度の割合を計算した。また、健常人におけるハプロタイプ頻度と上記のORから、当該ハプロタイプが発症に関与する割合を解析した。結果を以下の表12に示す。表12では、リスクアレルのホモ接合体をスコア2、リスクアレルと非リスクアレルとのヘテロ接合体をスコア1、非リスクアレルのホモ接合体をスコア0として表す。また、どちらのSNPについてもリスクアレルを有さない場合を対照として設定した。
表12に示すとおり、rs2596487とrs17576984の2つのSNPを試験した場合、rs2596487/rs17576984のスコアが、0/0、0/1、1/0、0/2、2/0、1/1、1/2、2/1、2/2のジェノタイプとなる順序でオッズ比が高くなっていき、両方のSNPのリスクアレルをホモ接合体で有する患者のオッズ比は398.0まで達した。また、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症患者が有するSNPのジェノタイプ率と、当該ジェノタイプが発症に関与する割合から、患者がどのようなジェノタイプを有する場合に抗甲状腺薬の投与を中止すれば、無顆粒球症の発症をどの程度回避できるかを予測することができる(表13)。具体的には、表13に示すとおり、例えば、geno01以降のジェノタイプ(すなわち、geno01、10、02、20、11、12、21、22)を有する患者に対し抗甲状腺薬の投与を中止することとすれば、35%の患者が抗甲状腺薬の投与を中止することになるが、それにより無顆粒球症の発症数を81%減少させることができる。また、geno10以降のジェノタイプ(すなわち、geno10、02、20、11、12、21、22)を有する患者に対し抗甲状腺薬の投与を中止することとすれば、10%の患者が抗甲状腺薬の投与を中止することになるが、それにより無顆粒球症の発症数を50%減少させることができる。患者がどのジェノタイプを有する場合に抗甲状腺薬の投与を中止すべきかについては、疾患の重篤度や合併症(特に腎機能低下を起こしているか)、患者の年齢(高齢者かどうか)、性別など種々の要因を考慮して、医師の裁量により適切に判断することができる。
本発明によれば、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを簡便且つ高確度で判定することができる。従って、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクが高いと判定された患者に対しては、甲状腺機能亢進症の治療に際して薬物療法以外の治療法を選択することにより、極めて重篤な副作用の発症を未然に回避することができ、リスクが低いと判定された患者に対しては、過度の採血など侵襲性のある検査を回避することができ、その結果、安全、安心で的確な甲状腺機能亢進症の治療が可能となる。
本出願は、日本で出願された特願2013-188806(出願日:平成25年9月11日)を基礎としており、その内容はすべて本明細書に包含されるものとする。

Claims (13)

  1. (1)被験者由来のサンプルを使用し、HLA領域に存在する多型であって、
    A)配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(G>T)、
    B)配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基における多型(C>T)、
    C)配列番号:3で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
    D)配列番号:4で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(T>G)、
    E)配列番号:5で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
    (但し、カッコ内はリファレンスアレル>バリアントアレルを示し、*はリスクアレルを示し、G、A、T及びCは、それぞれ、グアニン、アデニン、チミン及びシトシンを示す。)及び
    F)上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、
    からなる群から選択される少なくとも1つの多型を試験する工程、及び
    (2)(1)の試験結果に基づいて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程
    を含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法。
  2. 上記A)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、及び/又はB)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型を試験する工程を含む、請求項1記載の検査方法。
  3. 上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-DRB1*08:03又はHLA-DRB1*08:02の74位のアミノ酸をコードする位置における多型であり、上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-B*39:01又はHLA-B*38:02の116位又は158位のアミノ酸をコードする位置における多型である、請求項2記載の検査方法。
  4. 被験者由来のサンプルがゲノムDNAを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の検査方法。
  5. 被験者が東アジア人である、請求項1〜4のいずれか一項記載の検査方法。
  6. HLA領域に存在する多型であって、
    A)配列番号:1で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(G>T)、
    B)配列番号:2で表わされる塩基配列中第201番目の塩基における多型(C>T)、
    C)配列番号:3で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
    D)配列番号:4で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(T>G)、
    E)配列番号:5で表わされる塩基配列中第501番目の塩基における多型(C>T)、
    (但し、カッコ内はリファレンスアレル>バリアントアレルを示し、*はリスクアレルを示し、G、A、T及びCは、それぞれ、グアニン、アデニン、チミン及びシトシンを示す。)及び
    F)上記A)〜E)のいずれかの多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、
    からなる群から選択される少なくとも1つの多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスク判定用キット。
  7. 上記A)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型、及び/又はB)の多型もしくは該多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型において、リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドを含んでなる、請求項6記載のキット。
  8. 上記A)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-DRB1*08:03又はHLA-DRB1*08:02の74位のアミノ酸をコードする位置における多型であり、上記B)の多型と連鎖不平衡係数D'が0.8以上の連鎖不平衡状態にある多型が、HLA-B*39:01又はHLA-B*38:02の116位又は158位のアミノ酸をコードする位置における多型である、請求項7記載のキット。
  9. 非リスクアレルを検出し得るポリヌクレオチドをさらに含む、請求項6〜8のいずれか一項記載のキット。
  10. 上記アレルを検出し得るポリヌクレオチドが、該アレルを含む10〜200の連続した塩基配列若しくはその相補鎖配列からなる断片と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るプローブ、及び/又は該断片を増幅し得るプライマーである、請求項6〜9のいずれか一項記載のキット。
  11. 東アジア人に対して、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するために用いられる、請求項6〜10のいずれか一項記載のキット。
  12. (1)被験者由来のサンプルを使用し、以下の(a)及び/又は(b):
    (a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであるか否か
    (b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであるか否か、又は158位のアミノ酸がAlaであるか否か
    を試験する工程、及び
    (2)(1)の試験結果に基づいて、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定する工程
    を含む、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスクを判定するための検査方法。
  13. 以下の(a)及び/又は(b):
    (a)HLA-DRB1タンパク質の74位のアミノ酸がLeuであること
    (b)HLA-Bタンパク質の116位のアミノ酸がPheであること、又は158位のアミノ酸がAlaであること
    を同定し得る物質を含んでなる、抗甲状腺薬誘発性無顆粒球症リスク判定用キット。
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