JP4110159B2 - インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法、その方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム、インターフェロン感受性に関連する多型部位の遺伝子型を検出するための核酸プローブ、およびその核酸プローブを具備する塩基配列検出用チップ - Google Patents

インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法、その方法をコンピュータにより実行させるためのプログラム、インターフェロン感受性に関連する多型部位の遺伝子型を検出するための核酸プローブ、およびその核酸プローブを具備する塩基配列検出用チップ Download PDF

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本発明は、インターフェロンを投与されるべき個体、特に、C型肝炎ウイルス感染者におけるインターフェロン療法の有効性を予測する方法、その方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、インターフェロン感受性に関連する多型を含むポリヌクレオチドおよびその断片、並びに前記ポリヌクレオチドまたは断片を具備する塩基配列検出用チップに関する。
日本にはHCV感染者が200万人存在する。C型肝炎ウイルス(以下、HCVと称す)に感染すると、70%近くの人は慢性肝炎を発症し、そのうちの一部は10年から20年を経た後に肝癌を発症すると考えられている。慢性肝炎の治療には、インターフェロン(以下、IFNと記す)が有効である。しかしながらその一方で、IFNの効果は、宿主およびウイルスの側の要因により大きく左右されるため、IFNの副作用やその高額な治療費を考慮すると、効果の期待できない患者にIFNを投与することは患者を苦しめるだけではなく、無駄に多額の医療費を患者にも国にも負担させることになってしまう。従って、個々の患者についてIFN治療効果がどの程度期待出来るかどうか予め診断することには大きな意味がある。
HCV感染患者に対するIFNの治療効果に影響を与える因子として、ウイルス側の因子と患者側の因子が知られている。
ウイルス側の因子としては、血中のウイルス量が多い患者ほどIFNの効果が低いこと、また、患者が感染しているウイルスのタイプによって、治療効果に違いのあることが知られている(A. Tsubota et al., Hepatology 19, 1088-1094, 1994)。血中ウイルス量は、HCVを一旦cDNAに変化させた後に、ポリメラーゼ連鎖反応(以下、PCRと記す)により定量されている。また、ウイルスのタイピングは、NS5領域の配列をPCRで増幅し、その塩基配列を決定すること等により行われている。
一方、宿主の側の要因によってもIFNの治療効果は異なる。例えば、マンノース結合レクチン(MBL)の遺伝子の2箇所のSNPのタイプにより(M.Matsushita et al., J.Hepatology, 29;695-700, 1998)、また、MxA遺伝子のプロモータ領域に存在するSNPのタイプにより、IFNの治療効果が左右されること(M.Hijikata et al., Intervirology, 43;124-127, 2000)が知られている。例えば、当該SNPの遺伝子型がG/G、G/T、T/Tである患者の順に治療効果は高くなることが報告されている(M. Hijikata, Y. Ohta and S. Mishiro, Intervirology 43, 124-127, 2000)。また、マンノース結合レクチンをコードするMBL遺伝子の二箇所のSNPがXBタイプのハプロタイプである患者は、YAタイプのハプロタイプである患者よりも、IFNの効き目が悪いことが知られている(M. Matsushita et al., J. Hepatology 29, 695-700, 1998)。これらSNPの決定は、SNPを含むDNA断片をPCRにて増幅し、その塩基配列を決定することにより行われている。
しかしながら、上述したウイルスのタイプ、MxAおよびMBLのSNPなどのデータを以てしても、従来の方法では、IFNの効果を臨床的に十分に予想するには至っていない。
従って、本発明の目的は、インターフェロンを投与されるべき個体、特に、HCV感染者におけるIFNの治療効果の程度、即ち、IFN療法の有効性を従来よりも精度よく予測する方法を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を行い、以下のような手段を見出した。即ち、
インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法であって、
(1)前記個体に由来するサンプルを得ること、
(2)(1)のサンプルについて、以下の型を順不同に決定すること、
(a)前記個体のMxA−8および/またはMxA−123の遺伝子型を決定すること、
(b)前記個体のMBL−221とMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を決定すること、
(3)(2)で決定された型からインターフェロン療法の有効性の予測を行うこと、
を具備するインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法である。
本発明は、これまでに本発明者らが、C型肝炎患者において、患者の2種類の遺伝子(即ち、MBLおよびMxA)に含まれるインターフェロン(以下、IFNと記す)感受性関連多型の部位における遺伝子型と、その対立遺伝子の接合の状態を決定することにより、IFN治療効果の低い患者と治療効果の高い患者を従来よりも精度よく予測できることを発見したことに基づく。
即ち、本発明に従うと、(1)MBLの多型の遺伝子型がXBタイプであり、且つMxA−88の遺伝子型がG/Gホモ接合および/またはMxA−123の遺伝子型がC/Cホモ接合である場合に、C型肝炎患者はIFN抵抗性である確率が非常に高い;(2)MBLの多型の遺伝子型がYAタイプであり、且つMxA−88の遺伝子型がG/Tヘテロ接合若しくはT/Tホモ接合であり、および/またはMxA−123の遺伝子型がC/Aヘテロ接合若しくはA/Aホモ接合である場合に、C型肝炎患者はIFN易感受性である確率が高い;という知見を基礎としたC型肝炎患者のIFN療法の有効性を予測する方法が提供される。
また、一般的に感染したウイルスの型(以下、タイプとも称する)によって、IFNの治療効果は異なる。即ち、タイプ1のC型肝炎ウイルス(以下、HCVと記す)に感染した患者は一般的にIFN療法の有効性は低く、タイプ2のHCVに感染した患者は一般的にIFN療法の有効性は高い。従って、本発明に従うと、患者の感受性関連多型の遺伝子型を決定し、それを基に、タイプ1のHCV感染者であってもIFN療法が有効である可能性の高い患者を検出する、およびタイプ2のHCV感染者のうちIFN療法が有効でない可能性の高い患者を検出するためのC型肝炎患者のIFN療法の有効性を予測する方法が提供される。
また、本明細書において「インターフェロン」とは、インターフェロンα、β、γおよび/またはωを示す語として使用する。
ここで使用される「IFN感受性関連多型」とは、IFNの有効性を左右する多型遺伝子をいう。
ここにおいて「多型遺伝子」または「多型」とは、1つの遺伝子座を占める複数種の対立遺伝子群、又はこのような対立遺伝子群に属する個々の対立遺伝子を指称するものとする。また、多型部位の中で1塩基のみが異なるものは、特に「単塩基多型」(Single Nucleotide Polymorphism、以後、SNPと称する)と指称する。
また、ここで使用する「遺伝子型」の語は、注目している遺伝子座の対立遺伝子の存在状態を示す。また、「MBLの遺伝子型」の語は、MBL遺伝子に含まれる複数のIFN感受性関連多型の遺伝子型を総括的に表す。例えば、YAおよびXBなどである。同様に「MxAの(多型の)遺伝子型」の語は、MxA遺伝子に含まれる複数のIFN感受性関連多型の遺伝子型を総括的に表す。例えば、G/G−C/CおよびT/T−A/Aなどである。
I.各IFN感受性関連多型とIFNの効果
1.MxA遺伝子とIFNの効果
MxAタンパク質は、インフルエンザウイルスに抵抗性を有するマウスから見出されたインターフェロン依存性タンパク質であり、ヒトにも見出されている。MxAタンパク質は、また、C型肝炎ウイルス(以下、HCVと称する)の感染者におけるMxAmRNA及びMxAタンパク質の発現レベルが、インターフェロン療法に対する感染者の応答と関連があることが報告されている。例えば、ヒトの細胞がIFNに反応するとMxA蛋白質の合成が高まること、また、MxA遺伝子のプロモータ領域に存在する一塩基多型(single nucleotide polymorphism;以下、SNPと記す)は、IFNの治療効果に影響を与えることが知られている。
図1に示す通り、IFNの効果に影響を及ぼすMxAの多型は、SNPであり、MxAのプロモータ領域における−88位(以下、MxA-88またはMxA(-88)と記す)と−123位(以下、MxA-123またはMxA(-123)と記す)に存在する(図1)。
これらの「−88位」および「−123位」の表記は、MxA遺伝子の転写開始部位を+1とした場合の位置である。これらのSNP部位およびIFN感受性に関連しない他の多型以外の領域は各配列ともに共通である。本明細書の配列表に記載した各配列中、他の多型部位は主に任意の塩基を表す表記「N」または「n」によって示される。しかしながら「N」および「n」は、当該IFN感受性関連の多型部位の任意の塩基を表す場合にも使用される。「N」および「n」はアデニン、チミン、グアニンまたはシトシンの何れかの塩基を示す。
図1に示す通り、MxA−88の遺伝子型の取り得る塩基はグアニン(以下、Gと記す)またはチミン(以下、Tと記す)であり、MxA−123の遺伝子型の取り得る塩基はシトシン(以下、Cと記す)またはアデニン(以下、Aと記す)である。
MxA−88およびMxA−123を含むヒトMxA遺伝子のプロモータ領域を包含するポリヌクレオチドを、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、および配列番号8に示す。
IFN感受性に関連するSNP部位は、配列番号1から配列番号8における455位と420位とに存在する。この部位は、転写開始部位を+1とする通常の表記によれば、それぞれ−88位と−123位に相当する。従って、以下、本明細書を通じて、配列番号1から配列番号8の455位を「MxA−88」と称し、配列番号1から配列番号8の420位を「MxA−123」と記す。
各々のポリヌクレオチドの441〜456位には、インターフェロン応答配列(interferon-stimulated response element)(以下、ISREと称する)が存在する。ここで「ISRE」とは、インターフェロンα、β、γ、またはωの刺激によって誘導される遺伝子の転写調節領域に存在する約12〜15のヌクレオチドからなる塩基配列を意味する。
配列番号1の441〜456位のISREの塩基配列は、「GGTTTCGTTTCTGCTC」(配列番号9)であり、ISREの15番目がMxA−88に相当し、Tである。
配列番号2の441〜456位のISREの塩基配列は、「GGTTTCGTTTCTGCGC」(配列番号10)であり、ISREの15番目がMxA−88に相当し、Gである。
配列番号3の441〜456位のISREの塩基配列は、「GGTTTCGTTTCTGCAC」(配列番号11)であり、ISREの15番目がMxA−88に相当し、Aである。
配列番号4の441〜456位のISREの塩基配列は、「GGTTTCGTTTCTGCCC」(配列番号12)であり、ISREの15番目がMxA−88に相当し、Cである。
以下、SNPの遺伝子型とIFN感受性の関連について説明する。
これらのISREの15番目のヌクレオチド(即ち、MxA−88)がチミンである配列(配列番号9)を有するHCV感染者は、インターフェロン療法が有効であるのに対して、15番目のヌクレオチドがチミンである配列(配列番号9)を持たないHCV感染者は、インターフェロン療法が有効でない。
即ち、MxA−88の遺伝子型をT/Tホモ接合(以下、T/Tホモ、または単にT/Tと略記する)で有する感染者またはG/Tヘテロ接合(以下、G/Tヘテロ、または単にG/Tと略記する)で有する感染者は、G/Gホモ接合(以下、G/Gホモ、または単にG/Gと略記する)で有する感染者よりもIFN療法は有効である。
また、MxA−123の遺伝子型がアデニンであるヌクレオチド断片をA/Aホモ接合(以下、A/AホモまたはA/Aと記す)またはC/Aヘテロ接合(以下、C/AヘテロまたはC/Aと記す)で有するHCV感染者は、インターフェロン療法が有効である可能性が高いのに対して、MxA−123の遺伝子型がシトシンのホモ接合体(即ち、C/Cホモ接合、以下、C/CホモまたはC/Cと記す)であるHCV感染者はインターフェロン療法が有効である可能性は低い。
2.MBL遺伝子とIFNの効果
C型肝炎患者におけるIFNの効果は、MBL遺伝子の多型部位における遺伝子型によっても影響を受ける。図2に示す通り、IFNの効果に影響を及ぼす多型部位は、一塩基多型(single nucleotide polymorphism:以下、SNPと称する)であり、MBL遺伝子のプロモータ領域の−221位(以下、MBL-221と記す)と、MBL遺伝子のエクソン1のコドン52、54および57に存在する(図2)。
この「−221位」の表記は、MBL遺伝子の転写開始部位を+1とした場合の位置である。これらのSNP部位およびIFN感受性に関連しない他の多型以外の領域は各配列ともに共通である。本明細書の配列表に記載した各配列中、他の多型部位は主に任意の塩基を表す表記「n」によって示される。しかしながら「n」は、当該IFN感受性関連の多型部位の任意の塩基を表す場合にも使用する。
MBL−221とコドン52、54および57を含むMBL遺伝子を配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44に示す。MBL−221はこれらのポリヌクレオチドの425位に存在するSNPである。このSNP部位は、転写開始部位を+1とする通常の表記によれば−221位である。従って、以下、本明細書を通じて、配列番号1から配列番号8の425位を「MBL−221」と記す。
また、エクソン1はこれらのポリヌクレオチドの646位から始まり、コドン52は同868から870位に、コドン54は同874から876位に、コドン57は同883から885位に存在する。コドン52のSNPは同868位に、コドン54のSNPは同875位に、コドン57のSNPは同884に存在する。これらのSNP部位は、転写開始部位を+1とする通常の表記によれば、それぞれ868位、875位および884位に相当する。
図2に示す通りに、MBL−221の遺伝子型の取り得る塩基は、CまたはGであり、Cの場合にはタイプXと称し、Gの場合にはタイプYと称す(この命名法はマッドセンらに従う;Madsen HO, Garred P, Thiel S, Kurtzhals JAL, Lamm LU, Ryder LP, et al. 「プロモータと構造遺伝子との間の相互作用はヒトマンナン結合蛋白質の最低血清レベルをコントロールする」 J Immuol 1995;155:3013-20)。
MBL遺伝子のエクソン1のコドン52、54および57は、構造遺伝子であるコラーゲン様ドメイン内に存在する。図2に示す通りに、コドン52の取り得る遺伝子型は、CGTまたはTGTであり、マッドセンらの分類によると前者がタイプA、後者がタイプDである(図2)(マッドセンら、前掲)。同様に、コドン54の取り得る遺伝子型は、GGCまたはGACであり、同分類によると前者がタイプA、後者がタイプBである(図2)(マッドセンら、前掲)。また、コドン57の取り得る遺伝子型はGGAまたはGAAであり、同分類によると前者がタイプA、後者がタイプCである(図2)(マッドセンら、前掲)。これら全てコドンにおいて、タイプAは野生型対立遺伝子であり、その他のタイプB、CおよびDは変異型対立遺伝子である。コドン52、54および57の対立遺伝子が全てタイプAである場合には、他の場合、即ち、少なくとも何れかの対立遺伝子がタイプAではない場合に比較してIFNの効果は高い。
上記MBL−221がタイプYであり、且つコドン52、54および57の対立遺伝子がタイプAである、YA−YAホモ接合である患者の場合、他のタイプの患者に比べてIFNの効果は得られやすい。また、上記MBL−221がタイプYであり、且つコドン52、54および57の対立遺伝子の何れかがタイプAではない場合、即ち、YnonA−YAヘテロ接合またはYnonA−YnonAホモ接合である患者の場合には、YA−YAホモ接合の患者に比べてIFNの効果は得られにくい。
また、日本人においては、コラーゲン様ドメインの変異型はコドン54に存在する場合が多い。従って、日本人の場合は、コドン54に含まれるSNPについてのみ決定してもよい。一方、日本人以外の人種では、コラーゲン様ドメイン内のコドン54よりも、コドン52および57のSNPに変異型対立遺伝子を有する場合もある。その場合、コドン52および/または57の遺伝子型を決定すればよい。また、人種に関係なく、コドン52、54および57の遺伝子型を同時に検出してもよい。
II.患者の遺伝子型からインターフェロン療法の有効性を予測する方法
1.C型肝炎患者のIFN抵抗性の予測
本発明に従うと、患者のMBLおよびMxA遺伝子に含まれる多型の遺伝子型を決定して得られる結果をオリジナルな方法で解析することにより、従来の予測と実測の一致率よりも顕著に高い一致率を得ることが可能である。具体的には、MBLがXBタイプであり、且つMxA−88がG/Gホモあるか又はMxA−123がC/Cホモである患者と、MBLがXBタイプであり、且つMxA−88がG/Gホモあり、且つMxA−123がC/Cホモである患者はIFN抵抗性である可能性が非常に高い。従って、そのような患者にはIFN治療は控えることが望ましいと考えられる。
(1)本発明の予測値と従来の予測値の比較
C型肝炎患者の従来知られていたIFN抵抗性に関する知見は以下の通りである;
(a)MBLの遺伝子多型においてはXBタイプがIFN抵抗性に関与している;
(b)MxAプロモータの−88位のSNPにあってはG/GホモがIFN抵抗性に関与している;
(c)MxAプロノーターの−123位のSNPにあってはC/CホモがIFN抵抗性に関与している。
我々は、以上の従来の方法によりIFN抵抗性を予測した場合と、実際の治療効果とを比較した(詳細は実施例に記載した)。
その結果、上記(a)に関しては、IFN抵抗性を予測せしめる遺伝子型であるXBタイプを示したC型肝炎患者は85名であったが、実際にIFN治療が無効であったのはそのうちの65名であった。従って、予測値と実際値の一致率は76%であった。
上記(b)に関しては、IFN抵抗性を予測せしめる遺伝子型であるG/Gホモを示したC型肝炎患者は75名であったが、実際にIFN治療が無効であったのはそのうちの59名であった。従って、予測値と実際値の一致率は79%であった。
上記(c)に関しては、IFN抵抗性を予測せしめる遺伝子型であるC/Cホモを示したC型肝炎患者は91名であったが、実際にIFN治療が無効であったのはそのうちの70名であった。従って、予測値と実際値の一致率は77%であった。
(2)本発明
一方、本発明に従ってIFN抵抗性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがXBタイプであり、且つMxA−88がG/Gホモであり、且つMxA−123がC/CホモであるC型肝炎患者は39名であった。実際にIFN治療が無効であったのは、そのうちの32名であった。従って予測値と実際値の一致率は87%であった。驚くべきことに、本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
本発明にしたがってIFN抵抗性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがXBタイプであり、且つMxA−88がG/GホモであるC型肝炎患者は39名であった。実際にIFN治療が無効であったのは、そのうちの34名であった。従って予測値と実際値の一致率は87%であった。驚くべきことに、本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
本発明にしたがってIFN抵抗性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがXBタイプであり、MxA−123がC/CホモであるC型肝炎患者は44名であった。実際にIFN治療が無効であったのは、そのうちの39名であった。従って予測値と実際値の一致率は89%であった。驚くべきことに、本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
2.C型肝炎患者のIFN易感受性の予測
本発明に従うと、患者のMBLおよびMxA遺伝子に含まれる多型の遺伝子型を決定して得られる結果をオリジナルな方法で解析することにより、従来の予測と実際の一致率よりも顕著に高い一致率を得ることが可能である。具体的には、MBLがYAタイプであり、且つMxA−88がG/TヘテロまたはT/Tホモでおよび/またはMxA−123がC/AヘテロまたはA/Aホモである患者はIFN易感受性である可能性が高い。
(1)本発明の予測値と従来の予測値の比較
C型肝炎患者の従来知られていたIFN抵抗性に関する知見は以下の通りである;
(a)MBLの遺伝子多型においてはYAタイプがIFN易感受性に関与している;
(b)MxAプロモータの−88位のSNPにあってはG/TヘテロまたはT/TホモがIFN易感受性に関与している;
(c)MxAプロノーターの−123位のSNPにあってはC/AヘテロまたはA/AホモがIFN易感受性に関与している。
我々は、以上の従来の方法によりIFN抵抗性を予測した場合と、実際の治療効果とを比較した(詳細は実施例に記載した)。
その結果、上記(a)に関しては、IFN易感受性を予測せしめる遺伝子型であるYAタイプを示したC型肝炎患者は74名であったが、実際にIFN治療が有効であったのはそのうちの32名であった。従って、予測値と実際値の一致率は43%であった。
上記(b)に関しては、IFN易感受性を予測せしめる遺伝子型であるG/TヘテロまたはT/Tホモを示したC型肝炎患者は84名であったが、実際にIFN治療が有効であったのはそのうちの36名であった。従って、予測値と実際値の一致率は43%であった。
上記(c)に関しては、IFN易感受性を予測せしめる遺伝子型であるC/AヘテロまたはA/Aホモを示したC型肝炎患者は68名であったが、実際にIFN治療が有効であったのはそのうちの31名であった。従って、予測値と実際値の一致率は46%であった。
(2)本発明
一方、本発明に従ってIFN易感受性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがYAタイプであり、且つMxA−88がG/TヘテロまたはT/Tホモであり、且つMxA−123がC/AヘテロまたはA/AホモであるC型肝炎患者は27名であった。実際にIFN治療が有効であったのは、そのうちの16名であった。従って予測値と実際値の一致率は59%であった。驚くべきことに、本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
一方、本発明に従ってIFN易感受性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがYAタイプであり、且つMxA−88がG/TヘテロまたはT/TホモであるC型肝炎患者は38名であった。実際にIFN治療が有効であったのは、そのうちの21名であった。従って予測値と実際値の一致率は55%であった。驚くべきことに、本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
一方、本発明に従ってIFN易感受性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがYAタイプであり、MxA−123がC/AヘテロまたはA/AホモであるC型肝炎患者は27名であった。実際にIFN治療が有効であったのは、そのうちの16名であった。従って予測値と実際値の一致率は59%であった。驚くべきことに、本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
3.インターフェロン療法の有効性を予測する方法
本発明によれば、インターフェロン療法の実施に先立って、インターフェロンを投与されるべき個体、特に、HCV感染者において、前記SNPの遺伝子型を決定することによって、該HCV感染者に対して、インターフェロン療法が有効であるかどうかを予測することができる。
本発明に従うと、HCV感染者においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法であって、
(1)前記感染者に由来するサンプルを得ること、
(2)(1)のサンプルについて、以下の型を順不同に決定すること、
(a)前記感染者のMxA−88および/またはMxA−123の遺伝子型を決定すること、
(b)前記感染者のMBL−221とMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を決定すること、
(3)(2)で決定された型からインターフェロン療法の有効性を予測を行うこと、
を具備するHCV感染者においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法が提供される。
前記感染者のMxA−88およびMxA−123の遺伝子型は少なくとも一方を決定すれば予測は可能であるが、より好ましくは、両方の遺伝子型の決定を行い予測を行った方が予測の精度が高くなり望ましい。
また、本発明に従うと、MBLの遺伝子型がXBであり、且つ前記MxA−88の遺伝子型がG/Gであり、且つ前記MxA−123の遺伝子型がC/Cである場合、或いは前記MBLの遺伝子型がXBであり、且つ前記MxA−88の遺伝子型がG/Gである場合、或いは前記MBLの遺伝子型がXBであり、且つ前記MxA−123の遺伝子型がC/Cである場合に、IFN療法が有効である可能性は非常に低いと予測されるHCV感染者においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法が提供される。
また、HCV感染者においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法であって、前記MBLの遺伝子型がYAであり、且つ前記MxA−88の遺伝子型がG/TまたはT/Tであり、且つ前記MxA−123の遺伝子型がC/AまたはA/Aである場合、前記MBLの遺伝子型がYAであり、且つ前記MxA−88の遺伝子型がG/TまたはT/Tである場合、前記MBLの遺伝子型がYAであり、且つ前記MxA−123の遺伝子型がC/AまたはA/Aである場合、IFN療法が有効である可能性は非常に高いと予測されるHCV感染者においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法が提供される。
更に、インターフェロン療法の適応症はC型肝炎に限られないので、本発明に従うと、インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法であって、
(1)前記個体に由来するサンプルを得ること、
(2)(1)のサンプルについて、以下の型を順不同に決定すること、
(a)前記個体のMxA−88および/またはMxA−123の遺伝子型を決定すること、
(b)前記個体のMBL−221とMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を決定すること、
(3)(2)で決定された型からインターフェロン療法の有効性を予測を行うこと、
を具備するインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法が提供される。
本方法を適用すべき個体は、インターフェロン療法が有効である疾患、好ましくはインターフェロンα、βまたはωが有効である疾患に罹患した患者であり得る。また、前記個体は、健康な者であってもよい。インターフェロンα、βまたはωが有効である疾患には、C型肝炎の他に、膠芽腫、髄芽腫、星細胞腫、皮膚悪性黒色腫、B型肝炎、腎癌、多発性骨髄腫、ヘアリー細胞白血病、慢性骨髄性白血病、亜急性硬化性全脳炎、ウイルス性脳炎、免疫抑制患者の全身性帯状疱疹及び水痘、上咽頭未分化癌、聴力低下を伴うウイルス性内耳感染症、ヘルペス性角膜炎、偏平コンジローマ、尖圭コンジローマ、アデノウイルス及びヘルペスウイルス感染による結膜炎、性器ヘルペス、口唇ヘルペス、子宮頸癌、癌性胸水症、角化棘細胞腫、基底細胞癌、δ型慢性活動性肝炎が含まれるが、これらに限定されない。
図3を用いて本発明の1態様を説明する。以下の操作は全て実施者の手によって行われる。
ステップ3aでは、実施者が、インターフェロンを投与されるべき個体から血液サンプル等のサンプルを採取し、予測を開始する。採取されたサンプルは、必要に応じて精製および抽出などの処理がなされた後で、MBLおよびMxAの遺伝子型を決定する。具体的には、MxA−88、MxA−123の少なくとも一方の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型、MBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を順不同で決定し、ステップ3bへ進む。
ステップ3bでは、ステップ3aにおいて決定したMBLとMxAの遺伝子型を基に、当該個体がIFN抵抗性であるのか、またはIFN易感受性であるのかのIFN感受性を決定し、ステップ3cへ進む。この決定は予めIFN感受性を決定する指標となる遺伝子型を定めておくことにより行うことが可能である。そのような指標となる遺伝子型は表1に示す通りである。即ち、MBLがXBタイプである、またはMxA−88がG/Gである、またはMxA−123がC/Cである場合にはIFN抵抗性であり、MBLがYAタイプである、またはMxA−88がG/T若しくはT/Tである、またはMxA−123がC/A若しくはA/Aである場合にはIFN易感受性である。例えば、そのような指標をMBLとした場合には、当該個体のMBLの遺伝子型が、XBまたはYAの何れかであるかによって感受性を決定する。或いは、遺伝子型とIFN感受性を対応付けたテーブル、例えば、表1に表として示したテーブル1に従って決定してもよい。
ステップ3cでは、ステップ3bにおいて決定したIFN感受性が抵抗性の場合にはステップ3dへ進むと判定し、易感受性である場合にはステップ3gへ進むと判定する。
ステップ3dでは、ステップ3aで決定したMBLとMxAの遺伝子型の組合せが、XBとG/G(MxA−88)、XBとC/C(MxA−123)、またはXBとG/G(MxA−88)とC/C(MxA−123)の何れかであればステップ3eへ進むと判定し、それ以外の場合にはステップ3fへ進むと判定する。尚、本明細書においては、XBとG/G(MxA−88)は「XB−G/G」、XBとC/C(MxA−123)は「XB−C/C」、XBとG/G(MxA−88)とC/C(MxA−123)は「XB−G/G−C/C」と記す。
ステップ3eでは、ステップ3dの判定の結果から、当該個体におけるIFN療法が有効である可能性は非常に低いと予測し、全予測工程を終了する。
ステップ3fでは、ステップ3dの判定の結果から、当該個体におけるIFN療法が有効である可能性は低いと予測し、全予測工程を終了する。
ステップ3gでは、ステップ3aにおいて決定したMBLとMxA遺伝子型の組合せが、「XB又はG/Gを含まない」(即ち、YA−G/T又はYA−T/T)、「XB又はC/Cを含まない」(即ち、YA−C/A、YA−AA)又は「XB又はG/G又はC/Cを含まない」(即ち、YA−G/T−C/A、YA−G/T−A/A、YA−T/T−C/A、YA−T/T−A/A)の何れかである場合にはステップ3hへ進むことを判定し、それ以外の場合にはステップ3iへ進むことを判定する。
ステップ3hでは、ステップ3dの判定の結果から、当該個体におけるIFN療法が有効である可能性は非常に高いと予測し、全予測工程を終了する。
ステップ3iでは、ステップ3dの判定の結果から、当該個体におけるIFN療法が有効である可能性は高いと予測し、全予測工程を終了する。
Figure 0004110159
図4を用いて本発明の他の1態様を説明する。以下の操作は全て実施者の手によって行われる。
ステップ4aでは、実施者が、インターフェロンを投与されるべき個体から血液サンプル等のサンプルを採取し、予測を開始する。採取されたサンプルは、必要に応じて精製および抽出などの処理がなされた後で、MBLおよびMxAの遺伝子型を決定する。具体的には、MxA−88およびMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型、MBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を順不同で決定し、ステップ4bへ進む。
ステップ4bでは、ステップ4aにおいて決定したMBLとMxAの遺伝子型を基に、遺伝子型とIFNの感受性を対応付けたテーブル1を検索して対応するIFN感受性を抽出し、当該個体がIFN抵抗性であるのか、またはIFN易感受性であるのかを決定し、ステップ4cへ進む。或いは、この決定は予めIFN感受性を決定する指標となる遺伝子型を定めておくことにより行ってもよい。例えば、そのような指標をMBLとした場合には、当該個体のMBLの遺伝子型が、XBまたはYAの何れかであるかによって感受性を決定する。
ステップ4cでは、ステップ4bで決定したIFN感受性が抵抗性である場合にはステップ4dへ進むことを判定し、易感受性である場合にはステップ4eへ進むことを判定する。
ステップ4dでは、ステップ4aで決定したMBLおよびMxAの遺伝子型を基に、遺伝子型とIFNの効果を対応付けたテーブル2を検索して対応するIFNの効果を抽出し、それによってIFN療法の有効性を予測し、全予測工程を終了する。
ステップ4eでは、ステップ4a決定したMBLおよびMxAの遺伝子型を基に、テーブル2に従って対応するIFNの効果を抽出し、その結果からIFN療法の有効性を予測する。以上で予測を終了する。
Figure 0004110159
ここで使用されるテーブルは遺伝子型とIFN感受性またはIFNの効果を対応付けた情報である。各テーブルを表として示したものがそれぞれのテーブル番号に対応する表である。上述の方法において使用した各表は例として示したものである。また、ここで使用されるテーブルおよび表は、各遺伝子型とIFNの効果を対応付けたものであればよい。例えば、表2は、IFN抵抗性の遺伝子型とIFNの効果の関係を示す表である。使用される表は、そのうちの何れかの成分のみを含む表であってもよく、或いは他の組合せの成分からなる表であってもよい。また、上述の例ではステップ4dとステップ4eにて参照したテーブルとして、表2を使用しているが、夫々のステップ毎に必要な項目を予め選択して作製した2つの表を使用してもよい。或いは他の組合せの成分からなる表であってもよい。成分の選択は、例えば、ステップ4eで使用されるテーブルには、抵抗性に関連する遺伝子型と著効または非著効の関連を示す情報を選択し、ステップ4dでは易感受性に関連する遺伝子型と著効または非著効の関連を示す情報を選択すればよい。しかしながらこれに限られるものではなく、成分の選択は実施者が任意に行ってよい。
また、ここで使用される表2に記載される成分としての数値は、遺伝子型とIFN感受性またはIFNの効果を対応付けた情報を示す表示の1例であり、当該表に記載の数値に限定されるものではない。即ち、遺伝子型と著効または非著効との相関関係を実質的に示すことが可能な表記であれば、例えば、「○」、「×」、「△」であっても、簡略化された数値によるスコア(例えば、1、2、3、4および5等)であってもよい。
IFN感受性に関連する多型の遺伝子型を決定する手段は、それ自身公知の何れの手段を用いておこなってよい。例えば、対象となる個体から得たサンプル、より、目的のポリヌクレオチドを含む核酸を調製し、遺伝子型を決定すればよい。
本発明の方法の対象となる「個体」は、ヒト、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ブタ、ヒツジ、及びサルを含む任意の哺乳動物であり得るが、ヒトが最も好適な個体である。
ここで使用される「サンプル」とは、生物個体から採取した血液、血清、リンパ液および組織などの生物試料をいう。また、「サンプル」必要に応じて、生物試料をホモジネートおよび抽出等の必要な任意の前処理を行って得た試料であってもよい。このような前処理は、対象となる生物試料に応じて当業者によって選択され得るであろう。
生物試料から調製される目的のポリヌクレオチドを含む核酸は、DNAおよびRNAから調製すればよい。例えば、対象からゲノムDNAサンプルを準備する手段は、対象から得た末梢血中の白血球、単球、リンパ球および顆粒球等の血球細胞からフェノールクロロホルム法、塩析法または市販のキット等を用いて抽出する方法等、一般的に使用される何れの手段を用いて行うことが可能であるmRNAを抽出する場合には、オリゴdTカラムにかけてもよい。。
ポリヌクレオチドの量が少ないときには、必要に応じてポリヌクレオチドを増幅する操作を行ってもよい。増幅操作は、例えば、逆転写ポリメラーゼ反応(RT-PCR)を含むポリメラーゼ連鎖反応(以下PCRと略記する)によって行い得る。
必要に応じて、抽出操作及び/又は増幅操作を行った後に、目的とする多型部位の遺伝子型を決定する。遺伝子型を決定する手段は、直接シークエンス法、SSCP法、オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション法および特異的プライマー法等の一般的に使用される何れの手段を使用してもよい。
決定すべきヌクレオチドが、制限酵素の認識部位の中に存在している場合には、制限酵素断片長多型法を用いてもよい。例えば、上記MxA遺伝子のプロモータ領域の多型を決定する場合、455位のヌクレオチドがグアニンである配列番号3のISREは、塩基配列GCGCを特異的に認識して切断し得る制限酵素HhaIによって切断されるのに対して、455位のヌクレオチドがグアニンでない場合は、HhaIによって切断されない。従って、配列番号1の455位のヌクレオチドを同定する場合には、HhaIを用いたRFLP法を使用し得る。
その他、多型を決定する方法としては、PCR−SSP(PCR-specific sequence primers)法、ドットプロット法とPCRを組み合わせたPCR-SSO(PCR-sequence specific oligonucleotide)法、及びPCR−SSCP法等の周知の方法を使用することもできるが、これらに限定されない。
なお、ドットブロット法とは、配列が既知のプローブ核酸鎖を用いて、試料中に含まれる特定の配列をもった核酸鎖を検出する一つの方法である。この方法では、例えば基板上の有機薄膜に一本鎖核酸の試料を固定化し、次に蛍光物質等で標識した一本鎖のプローブ核酸鎖の溶液をこの薄膜上の試料に接触させる。試料がプローブ核酸鎖と相補的な配列を有していれば、プローブ核酸鎖とハイブリダイズして二本鎖を形成するので、基板上に固定される。したがって、洗浄により未反応の核酸鎖を除去した後、プローブに付された標識を検出することにより、プローブに対して相補的な配列を有する試料核酸鎖を検出することができる。従って、本発明は、IFN感受性関連多型遺伝子の検出における、本発明によるポリヌクレオチドのプローブとしての使用をも含むものである。また、そのようなポリヌクレオチドを含有することを特徴とする、インターフェロンを投与すべき個体に対してインターフェロン療法が有効であるかどうかを予測するための試験薬もまた、本発明に含まれる。
上記のような方法によって、MxA−88、MxA−123、MBL−221および当該コドンに存在する多型部位の遺伝子型を決定し、その結果を基にインターフェロン療法の有効性を予測することができる。
III.C型肝炎ウイルスの型とIFNの効果
上述した通り、C型肝炎ウイルス(以下、HCVとも記す)にはタイプ1とタイプ2の2つの型が存在する。更に、タイプ2には2aと2bの二つの型が存在する。
タイプ1のHCVに感染している患者よりも、タイプ2のHCVに感染している患者の方が、IFNの効果はよく現れる(表3)。また、タイプ1とタイプ2の両方に感染している患者では、タイプ1のみに感染している患者と同様にIFNの効果は得られにくい。また、感染しているウイルスの量が多いほどIFNの効果は弱い。
従って、本発明に従うと、タイプ1に感染している患者の場合、患者側のIFN感受性関連多型の遺伝子型を決定することによって、IFNの効果が得られる可能性の高い患者を検出することが可能である。
一方、患者が感染しているHCVの型がタイプ2の場合には、タイプ1に感染している場合と比較して、IFNの効果は得られ易い。従って、タイプ2に感染している患者の場合には、患者側のIFN感受性関連多型の遺伝子型を決定することによって、IFNの効果が得られる可能性の低い患者を検出することが可能である。また、本発明の方法では、MxA遺伝子型としてMxA−88とMxA−123の少なくとも一方を決定しているが、特に、ウイルスの型がタイプ1である場合には、MxA−88の決定を必須として決定することによって予測を行うことが望ましい。
Figure 0004110159
本発明に従うと、C型肝炎感染者の感染しているHCVのウイルス型、感染者のMxA−88、MxA−123、MBL−221およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型から、C型肝炎感染者におけるインターフェロン療法の有効性を予測することが可能である。
従って、本発明に従うと、C型肝炎感染者におけるインターフェロン療法の有効性を予測する方法であって、
(1)前記感染者に由来するサンプルを得ること、
(2)(1)のサンプルについて、以下の型を順不同に決定すること、
(a)C型肝炎ウイルスの型を決定すること、
(b)前記感染者のMxA−88および/またはMxA−123の遺伝子型を決定すること、
(c)前記感染者のMBL−221とMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を決定すること、
(3)(2)で決定された型からインターフェロン療法の有効性を予測を行うこと、
を具備するC型肝炎感染者におけるインターフェロン療法の有効性を予測する方法が提供される。
以下に図5を用いてウイルスの型、MBLおよびMxAの遺伝子型よりIFN療法の効果を予測する方法の1例を説明する。
ステップ5aでは、実施者が、インターフェロンを投与されるべき個体から血液サンプル等のサンプルを採取し、予測を開始する。採取されたサンプルは、必要に応じて精製および抽出などの処理がなされた後で、ウイルスの型、並びにMBLおよびMxAの遺伝子型、即ち、MxA−88とMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型、MBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型を順不同で決定し、ステップ5bへ進む。
ステップ5bでは、ステップ5aで決定したウイルスの型にタイプ1が含まれている場合ステップ5cへ進むと判定し、タイプ2のみであれば(5d)へ進むと判定する。
ステップ5cでは、ステップ5aで決定したMBLおよびMxAの遺伝子型を基に、遺伝子型とIFNの効果を対応付けたテーブル4を検索して対応するIFNの効果を抽出し、それによってIFN療法の有効性を予測し、全予測工程を終了する。
ステップ5dでは、ステップ5aで決定したMBLおよびMxAの遺伝子型を基に、遺伝子型とIFNの効果を対応付けたテーブル5を検索し対応するIFNの効果を抽出し、それによってIFN療法の有効性を予測し、全予測工程を終了する。
ここで使用されるテーブルは遺伝子型とIFN感受性を対応付けた情報である。各テーブルを表として示したものがそれぞれのテーブル番号に対応する表である。上述の方法において使用した各表は例として示したものである。ここで使用されるテーブルおよび表は、各遺伝子型とIFNの効果を対応付けたものであればよい。例えば、表4は、タイプ1のHCVに感染している患者における遺伝子型といFNの効果の関係を示す表である。一方、表5は、タイプ2のHCVに感染している患者における遺伝子型とIFNの効果の関係を示す表である。また、使用される表は、そのうちの何れかの成分のみを含む表であってもよく、或いは他の組合せの成分からなる表であってもよい。上述の例ではステップ5cとステップ5dにて参照したテーブルとして、それぞれ表4と表5を使用し、夫々のステップ毎に必要な項目を予め選択して作製した2つの表を使用している。しかしながら、これらをあわせて作製した1つの表を用いてもよい。或いは他の組合せの成分からなる表であってもよい。成分の選択は、例えば、ステップ5cで使用されるテーブルには、タイプ1のHCV感染者における遺伝子型と著効または非著効の関連を示す情報を選択し、ステップ5dではタイプ2のHCV感染者における遺伝子型と著効または非著効の関連を示す情報を選択すればよい。しかしながらこれに限られるものではなく、成分の選択は実施者が任意に行ってよい。
また、ここで使用される表4および5に記載される成分としての数値は、遺伝子型とIFN感受性またはIFNの効果を対応付けた情報を示す表示の1例であり、当該表に記載の数値に限定されるものではない。即ち、遺伝子型と著効または非著効との相関関係を実質的に示すことが可能な表記であれば、例えば、「○」、「×」、「△」であっても、簡略化された数値によるスコア(例えば、1、2、3、4および5等)であってもよい。
Figure 0004110159
Figure 0004110159
また、C型肝炎ウイルスの型の決定は、それ自身公知の一般的にC型肝炎ウイルスの型の決定に使用される方法を使用することが可能である。例えば、プライマーを用いて、それ自身公知の増幅反応、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(一般的にPCRと称される、以下、PCRと記す)を利用した方法により行うことが可能である。例えば、典型的には逆転写 PCR、逆転写 nested PCR、またはその変法、例えば、逆 PCR、5‘RACE、3’RACEが利用できる。或いは、HCVウイルス検出方法は、HCVウイルスの夫々の型に特異的な公知の何れかのプローブを用いたハイブリダイゼーション反応を利用して行うことも可能である。
更に、遺伝子型の決定方法等は、上述したMxAとMBLの遺伝子型からインターフェロン療法の有効性を予測する方法と同様に行うことが可能である。
更に、上述したような本発明に従う方法は、コンピュータを用いて解析することも可能である。即ち、本発明は、コンピュータを用いてインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法であって、
(1)オペレータが前記個体に由来するサンプルを用いて決定されたMxA−88およびMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型をコンピュータに入力すること、
(2)(1)で入力された前記遺伝子型に基づいて、予めコンピュータの記憶手段に記憶された遺伝子型とインターフェロンの有効性を対応付けたテーブルに従って、コンピュータがIFN療法の有効性を予測すること、
(3)(2)で得られた予測結果をコンピュータがオペレータに示すこと、
を具備するコンピュータを用いてインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法も提供する。
そのような方法は、例えば以下のように実施することが可能である。
図6に、本発明の方法を実施するための装置の1態様の構成図を示す。ここで全ての構成要素は共有する信号路で接続されている。図6に示す通り、本態様は、コンピュータとして一般的な構成要素を具備したコンピュータ1と、前記コンピュータ1に人がデータを入力するための入力手段2と、種々の情報を表示する表示手段3とを少なくとも具備する。また、一般的なコンピュータの構成要素の一部として、当該コンピュータを制御したり種々の処理を行うためのプロセッサまたはCPUなどの処理手段4、プログラムおよびテーブル等を記憶する記憶手段5を少なくとも具備する。
コンピュータを用いてインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法の例を図7を用いて以下に説明する。
。ここで処理手段4は、当該コンピュータの各部を統括して制御する主制御部であり、記憶部に記憶される予測プログラムを実行してインターフェロン療法の有効性を予測する。
ステップ7aでは、オペレータが、インターフェロンを投与されるべき個体に由来するMBLおよびMxAの遺伝子型の情報を入力手段2から入力すると、入力された情報は、記憶手段5に記録され、ステップ7bへ移行する。ここで、入力される遺伝子型の情報は、具体的な遺伝子型であっても、生データであってもよく、目的とする遺伝子型の情報を表す何れかの情報であればよい。
ステップ7bでは、処理手段4が、記録された情報から、記憶手段5に予め記憶されている遺伝子型とIFN感受性を対応付けたテーブル1を読み出し検索することによって、対応するIFN感受性を抽出し、ステップ7cに移行する。
ステップ7cでは、処理手段4が、ステップ7bにおいて決定されたIFN感受性から、当該感受性が抵抗性であればステップ7dへ移行することを判定し、易感受性であればステップ7fへ移行することを判定する。
ステップ7dでは、処理手段4が、ステップ7aで記録された情報から、記憶手段5に予め記憶されている遺伝子型とIFN感受性を対応付けたテーブル2読み出し検索することによって対応するIFN療法の効果を抽出することによってIFN療法の有効性予測し、ステップ7eへ移行する。
ステップ7eでは、処理手段4が、ステップ7dで予測した結果を表示手段3に表示しおよび/または記憶手段5に記録し、全ての予測工程を終了する。ここでの表示は、予め記憶手段5に記憶させたIFN療法の効果を示す画像として出力されてもよい。また、必要に応じてステップ7eから7aに移行するようなループを設定してもよい。
また、上述の方法では、ステップ5aにおいて、MxA遺伝子型としてMxA−88とMxA−123の少なくとも一方を決定してるが、特に、ウイルスの型がタイプ1である場合には、MxA−88の決定を必須として決定することによって予測を行うことが望ましい。それに応じて使用するテーブルの構成を変更してもよい。
ここで使用されるテーブルは遺伝子型とIFN感受性を対応付けた情報である。各テーブルを表として示したものがそれぞれのテーブル番号に対応する表である。上述の方法において使用した各表は例として示したものである。また、ここで使用されるテーブルおよび表は、各遺伝子型とIFNの効果を対応付けたものであればよい。
また、同様に上述した本発明の全ての態様をコンピュータにより実行することが可能である。また、上述した本発明に従う方法は、所望に応じて本願発明の範囲を逸脱しない範囲において変更することが可能であり、そのような方法も同様にコンピュータにより実行することが可能である。
更に、上述したコンピュータを用いてインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法を実行するためのプログラムも本発明の範囲内である。そのようなプログラムは、例えば、インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測するためにコンピュータを、
(1)前記個体に由来するサンプルを用いて決定されたMxA−88およびMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型の情報を記録しておくためのデータ記録手段、
(2)(1)で記録された遺伝子型から、予めコンピュータに記憶されている遺伝子型とインターフェロンの有効性を対応付けたテーブルに従って、IFN療法の有効性を予測する手段、および
(3)(2)で得られた予測結果を出力する出力手段、
として機能させるためのプログラムである。
更に前記プログラムは、インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測するためにコンピュータを、前記個体に由来するサンプルを用いて決定されたMxA−88およびMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型の情報を入力する入力手段として機能させてもよい。
また、インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する有効性予測装置であって、
(1)遺伝子型とインターフェロンの有効性を対応付けたテーブルを記憶する記憶手段と、
(2)被検対象である個体に由来するサンプルを用いて決定されたMxA−88およびMxA−123の少なくとも一方の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型の情報を入力する入力手段と、
(3)前記入力手段を通じて入力された遺伝子型と、前記記憶手段が記憶するテーブルとに基づいて、IFN療法の有効性を予測する予測手段と、
(4)前記予測手段の予測結果を表示する表示手段とを具備することを特徴とする有効性予測装置も本発明の範囲内である。
また、本発明は、コンピュータを用いてインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法であって、
(1)前記個体に由来するサンプルを用いて決定されたMxA−88およびMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型の情報をデータ記録手段に記録すること、
(2)(1)で記録された遺伝子型から、予めコンピュータに記憶されている遺伝子型とインターフェロンの有効性を対応付けたテーブルに従って、IFN療法の有効性を予測すること、
(3)(2)で得られた予測結果を出力すること、
を具備するコンピュータを用いてインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する方法も提供する。
また更に、インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測する有効性予測方法であって、
(1)前記個体に由来するサンプルを用いて決定されたMxA−88およびMxA−123の遺伝子型、MBL−221の遺伝子型およびMBLのコラーゲン様ドメインのコドン54の遺伝子型の情報を入力する入力工程と、
(2)前記入力工程で入力された遺伝子型と、伝子型とインターフェロンの有効性を対応付けたテーブルが記憶するテーブルとに基づいて、IFN療法の有効性を予測する予測工程と、
(3)この予測工程の予測結果を表示する表示工程と
を具備することを特徴とする有効性予測方法も本発明の範囲内である。
<インターフェロン療法の有効性を予測するためのポリヌクレオチド>
本発明は、インターフェロン療法の有効性を予測するためのポリヌクレオチドも提供する。
本明細書において「ポリヌクレオチド」とは、2以上のヌクレオシドがリン酸エステル結合で結合されてなる物質を意味する。「ヌクレオシド」には、デオキシリボヌクレオシド及びリボヌクレオシドが含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明において「ポリヌクレオチド」とは、ペプチド核酸、モルホリノ核酸、メチルフォスフォネート核酸、S-オリゴ核酸などの人工合成核酸も指称するものとする。
なお、本明細書において「プロモータ領域」とは、TATAボックス等の転写開始反応に直接関与する領域のみを指すのではなく、該領域の近傍または遠隔に存在して転写開始反応の効率に影響を与える調節配列を含む配列も指称するものとする。従って、「プロモータ領域」なる語には、転写開始反応に関与する配列のみ、調節配列のみ、及びその両者が連結された配列が含まれることに留意しなければならない。
ポリヌクレオチドは、所望の配列を有するように合成しても、また生体試料から調製してもよい。生体試料から調製する場合、個体から試料を採取した後、通常は、該試料からポリヌクレオチドを抽出する操作を行えばよい。生体成分からポリヌクレオチドを抽出する方法としては、例えばフェノール抽出、エタノール沈澱の他、任意の抽出方法を使用し得る。mRNAを抽出する場合には、オリゴdTカラムにかけてもよい。
本発明にしたがって提供されるポリヌクレオチドは個体に由来するサンプルのポリヌクレオチドの塩基配列を決定するためのプローブやプライマーとして使用できる。
本発明に従って提供されるポリヌクレオチドには、以下の(a)〜(o)が含まれる。
(a)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8のいずれか1に示されるポリヌクレオチド。
(b)前記(a)に示されるポリヌクレオチドにおいて、MxA−88およびMxA−123を除く1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、または付加された修飾ポリヌクレオチド。
付加による修飾ポリヌクレオチドの他の例としては、前記配列番号1、2、3、4、5、6、7および8のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの断片に、プロモータ、エンハンサー、上流活性化配列、サイレンサー、上流抑制配列、アテニュエーター、ポリAテール、核移行シグナル、Kozak配列、ISRE、薬物耐性因子、シグナルペプチドの遺伝子、膜貫通領域の遺伝子、ルシフェリン、緑色蛍光タンパク質、フィコシアニン、西洋ワサビペルオキシダーゼを含むマーカータンパク質の遺伝子、インターフェロン応答性タンパク質の遺伝子、非インターフェロン応答性タンパク質の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドが連結されてなるポリヌクレオチドが挙げられる。
(c)また、配列番号1、2、3、4、5、6、7および8に示される前記ポリヌクレオチドの塩基配列のうち、インターフェロン療法の有効性に関与しているのはMxA−88およびMxA−123のSNP部位に存在する各々1個のヌクレオチドであるので、本発明のポリヌクレオチドは、前記MxA−88および/またはMxA−123のSNP部位を含むポリヌクレオチドの断片であってもよい。(c)で示される断片は個体に由来するサンプルのポリヌクレオチドの塩基配列を決定するためのプローブとして好適に利用され得る。
また、上述のポリヌクレオチドの断片をプライマーまたはプローブとして使用する場合は、約8ヌクレオチド以上500ヌクレオチド以下であることが望ましい。さらに望ましくは10ヌクレオチド以上100ヌクレオチド以下、特にプローブとして用いる場合、PNAプローブでは10ヌクレオチド以上15ヌクレオチド以下、DNAプローブでは15ヌクレオチド以上30ヌクレオチド以下が望ましい。ポリヌクレオチド断片の長さが過度に長いと、1個のヌクレオチドの相違を識別することが困難になる。一方、基体にポリヌクレオチドの長さが過度に短いと試料中に含まれるポリヌクレオチドの塩基配列の決定が困難になる。
特に、MxA−88の遺伝子型を決定するためのプローブとして好適なポリヌクレオチドとしては、下記の(d)〜(f)が挙げられる。
(d)前記MxA−88のSNP部位を含む配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4のポリヌクレオチドの断片であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4の441〜456位に相当する配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12で示される配列を有するポリヌクレオチド(すなわち前記ISRE)を含む断片。
(e)前記MxA−88のSNP部位を含む配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4のポリヌクレオチドの断片であって、配列番号1から配列番号4の449〜459位に相当する配列番号17、18、19、20のポリヌクレオチドを含む断片。特に(e)は前記SNPをほぼ中心とし、前後同等の長さの塩基配列を含むものであるため、高精度で塩基配列の決定が行われる。更に精度の高い検出を行うためには、望ましくは配列番号1から配列番号4の447〜461位に相当するポリヌクレオチドを含む断片が好ましい。同様にそのような断片がプローブとして使用される場合には、相当するSNP部位をほぼ中央に含むことが好ましい。
さらに、本発明の好適なポリヌクレオチドとしては
(f)前記(d)〜(e)に示されるポリヌクレオチドの相補鎖であってもよい。
例えば、前記配列番号9、配列番号10,配列番号11,配列番号12で示される配列(すなわち前記ISRE)の相補鎖は、配列番号21、22、23、24で表される配列である。
前記配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20で示される配列の相補鎖は、それぞれ配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28で示される配列である。
また、MxA−123の遺伝子型を決定するためのプローブとして好適なポリヌクレオチドとしては下記の(g)、(h)が挙げられる。
(g)前記MxA−123のSNP部位を含む配列番号5、6、7、8の断片であって、配列番号415位〜425位に相当する配列番号13、14、15、16のポリヌクレオチドを含む断片。
配列番号13は、配列番号5の415〜425位の塩基配列である「tgctgaaggtg」であり、そのMxA−123の遺伝子型はアデニンである;
配列番号14は、配列番号6の415〜425位の塩基配列である「tgctgcaggtg」であり、そのMxA−123の遺伝子型はシトシンである;
配列番号15は、配列番号7の415〜425位の塩基配列である「tgctgtaggtg」であり、そのMxA−123の遺伝子型はチミンである;
配列番号16は、配列番号8の415〜425位の塩基配列である「tgctggaggtg」であり、そのMxA−123の遺伝子型はグアニンである。
前記(g)は前記SNPをほぼ中心として前後ほぼ同等の長さの塩基配列を含むものであることが望ましく、それにより高精度で塩基配列の決定が行われる。
さらに好適なポリヌクレオチドとしては
(h)前記(g)に示されるポリヌクレオチドの相補鎖。
であってよい。
また、MBL−221とコドン52、54および57の遺伝子型を決定するために使用するために好適なポリヌクレオチドとしては、下記の(i)〜(t)が挙げられる。下記(i)〜(t)に示されるポリヌクレオチドの断片をプライマーまたはプローブとして使用する場合は、約8ヌクレオチド以上500ヌクレオチド以下であることが望ましい。さらに望ましくは10ヌクレオチド以上100ヌクレオチド以下、特にプローブとして用いる場合、PNAプローブでは10ヌクレオチド以上15ヌクレオチド以下、DNAプローブでは15ヌクレオチド以上30ヌクレオチド以下が望ましい。ポリヌクレオチド断片の長さが過度に長いと、1個のヌクレオチドの相違を識別することが困難になる。一方、基体にポリヌクレオチドの長さが過度に短いと試料中に含まれるポリヌクレオチドの塩基配列の決定が困難になる。
(i)前記MBL−221のSNP部位を含む配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32のポリヌクレオチド断片であって、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32の418〜432位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。
(j)前記MBL−221のSNP部位を含む配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32のポリヌクレオチド断片であって、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32の421〜430位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。
(k)上記(i)および(j)に記載の相補鎖。
(l)前記コドン52、54および57のSNP部位を含む配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44のポリヌクレオチドの断片であって、これらの配列の868から885位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示すポリヌクレオチドを含む断片。
(m)前記コドン52および54のSNP部位を含む配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44のポリヌクレオチドの断片であって、これらの配列の868から876位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示すポリヌクレオチドを含む断片。
(n)前記コドン54および57のSNP部位を含む配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44のポリヌクレオチドの断片であって、これらの配列の874から885位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示すポリヌクレオチドを含む断片。
(o)前記コドン54のSNP部位を含む配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44のポリヌクレオチドの断片であって、これらの配列の874から876位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示すポリヌクレオチドを含む断片。特に869位〜880位を含む断片が望ましい。
(p)前記コドン52のSNP部位を含む配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44のポリヌクレオチドの断片であって、これらの配列の868から870位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示すポリヌクレオチドを含む断片。特に864位から873位を含む断片が望ましい。
(q)前記コドン57のSNP部位を含む配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44のポリヌクレオチドの断片であって、これらの配列の883から885位に相当する配列を有するポリヌクレオチドを含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示すポリヌクレオチドを含む断片。特に880〜890位を含む断片が望ましい。
(r)前記コドン54のSNP部位を含む配列番号33、配列番号34、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43および配列番号44のポリヌクレオチドの断片であって、当該コドン54のSNPが存在する前記配列の875位を含むポリヌクレオチドを含む断片。例えば、配列番号45から配列番号56に示すポリヌクレオチドを含む断片。
(s)前記(i)から(m)に示されるポリヌクレオチド断片であって、長さが11から30であるポリヌクレオチド断片。
(t)前記(i)から(m)に示されるポリヌクレオチド断片であって、当該多型部位を除く1もしくは数個のヌクレオチドが欠失、置換、または付加された修飾ポリヌクレオチド。
付加による修飾ポリヌクレオチドの例としては、前記(f)から(n)の何れかに記載のポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド断片に、プロモータ、エンハンサー、上流活性化配列、サイレンサー、上流抑制配列、アテニュエーター、ポリAテール、核移行シグナル、Kozak配列、ISRE、薬物耐性因子、シグナルペプチドの遺伝子、膜貫通領域の遺伝子、ルシフェリン、緑色蛍光タンパク質、フィコシアニン、西洋ワサビペルオキシダーゼを含むマーカータンパク質の遺伝子、インターフェロン応答性タンパク質の遺伝子、非インターフェロン応答性タンパク質の遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つのポリヌクレオチドが連結されてなるポリヌクレオチドが挙げられる。
なお、配列表に記載した塩基配列中の「n」は、A、T、CおよびGから任意に選択される。
<塩基配列検出用チップ>
本発明は、前記ポリヌクレオチドまたは断片を具備する塩基配列検出用チップも提供する。そのような塩基配列検出用チップも本発明の範囲内である。
本発明の態様に従うと、上述したポリヌクレオチドまたは断片を具備する塩基配列検出用チップが提供される。それらは、例えば、蛍光検出用 DNA チップおよび電流検出型 DNA チップ等であるが、これに限られるものではない。ウイルスの検出を、前記ポリヌクレオチドまたはその相補鎖をプローブとして配置した塩基配列検出用チップを使用することにより行えば、検出方法は簡便化および効率化される。塩基配列検出用チップは、以下の手順により作成することができる。
(a) 蛍光検出用塩基配列検出用チップの作製
上述した本発明の態様に従うポリヌクレオチドまたはその一部の配列を有するポリヌクレオチド断片、またはそれらの配列に相補的な配列を有したポリヌクレオチドを基板に固定化する。基板は、例えば、ガラス基板およびシリコン基板等、従来用いられる何れの基板も使用することが可能である。固定化手段は、スポッター等を使用する手段、一般的な半導体技術を使用した手段等、当業者にそれ自身公知の手段を用いて固定することが可能である。
(b)電流検出型塩基配列検出用チップの作製
上述した本発明の態様に従うポリヌクレオチドまたはその一部の配列を有するポリヌクレオチド断片、またはそれらの配列に相補的な配列を有したポリヌクレオチドを、基板、例えば、電極基板、に共有結合、イオン結合、物理吸着または化学吸着等によって固定化する。電流検出型 DNA チップの例は、平成8年10月24日に登録された特許番号第2573443号の遺伝子検出装置等であるが、これに限られるものではない。当該文献は引用することによりここに組み込まれる。
1つの塩基配列検出用チップに固定化するプローブとしては、上記したMXA遺伝子、MBL遺伝子に由来する塩基配列のプローブに加えてウイルス遺伝子の型を検出するプローブが1つのチップに共に固定化されていても良い。それにより罹患したウイルスの遺伝子型も同時に検出可能である。ウイルス遺伝子の型を検出するプローブとしては、HCV−RNA、その断片またはそれらの相補配列、に対応する塩基配列が挙げられる。例えばC型肝炎ウイルスの1型(配列番号57「cgctcaatgcctggagat」)、2型(配列番号58「cactctatgcccggccat」)、3型(配列番号59「cgctcaatacccagaaat」)の遺伝子型をそれぞれ特異的に検出するプローブを検出したい遺伝子型に応じて用いればよい。すなわちそれぞれ配列表に示される配列番号57、配列番号58、配列番号59またはそれらの相補配列に対応する塩基配列を有するものを用いることが可能である。
遺伝子型を検出可能なプローブを用いる際は、異なる遺伝子型に対応する複数のプローブを基体上に同時に固定化して用いることにより精度の高い検出が可能である。
試料物質中の病原微生物の遺伝子型を検出するには、試料物質中の病原微生物の遺伝子に対して予めその遺伝子型に特徴的なプライマーを用いてPCR反応を行い、その後ユニバーサルプローブを固定化したチップで検出することも可能である。
C型肝炎の場合は、センス鎖としては配列番号60(「cgcgcgactaggaagacttc」)あるいは配列番号61(「cgcgcgacgcgcaaaacttc」)に示される塩基配列のものを用いて、アンチセンス鎖として1a型には配列番号62(「tgccttggggataggctgac」)、1b型には配列番号63(「gagccatcctgcccacccca」)、2a型には配列番号64(「gccccatgaagggcgagaac」)、2b型には配列番号65(「accctcgtttccgtacagag」)、3a型には配列番号66(「gctgagcccaggaccggtct」)の塩基配列のものを用いてPCR反応を行い、ユニバーサルプローブとして配列番号67(「aggaagacttccgagcggtc」)の塩基配列のものを用いれば良い。また、前記第1プローブは、試料物質中の前記病原微生物の有無のみならず前記病原微生物の遺伝子変異を検出するプローブであることが望ましい。
本発明の態様に従って、ポリヌクレオチド類を具備するプローブおよび塩基配列検出用チップを用いて検出を行えば、その検出を簡便且つ効率よく行える。
[実施例]
1.概要
159人のHCV感染患者より採取した血液よりDNAおよびRNAを抽出し、解析用のサンプルとした。RNA分画を用いてウイルスのタイピングを行い、DNAを用いてMxA遺伝子およびMBL遺伝子のSNP解析を行った。そして、IFNαの治療効果とウイルスのタイプ、MxAおよびMBLに存在する多型の遺伝子型との関連を調べた。
2.患者
肝臓の組織化学的検査により慢性肝炎Cであることが証明された159人のHCV感染患者のサンプルがこの研究に使用された。なお、すべての患者からは本研究の対象となることのインフォームドコンセントが得られている。IFNα療法を行った後の6ヶ月の追跡期間中に、血中のアラニンアミノトランスフェラーゼが正常範囲であり、且つHCVのRNAが陰性であった患者を完全著効と判定した。一方、この追跡期間中にHCVのRNAが検出されたり、或いはアラニンアミノトランスフェラーゼが高値を示した患者は非著効とした。
3.HCVおよびSNPのタイピング
血液より抽出したRNAからcDNAを作製し、その一部分をPCRにより増幅し、塩基配列を決定したHCVの遺伝子のタイピングを行った(K. Chayama et al., J. Gastroenterol. Hepatol.8, 40-44, 1993)。また、血液より抽出したDNAを用いてMxAおよびMBL遺伝子のSNP解析を行った。PCRによりMxA遺伝子プロモータ領域の599bp断片をPCRにて増幅し、塩基配列を決定することでSNP解析を行った(M. Hijikata, Y. Ohta and S. Mishiro, Intervirology 43, 124-127, 2000)。SNPはMxA遺伝子プロモータ領域の−88位と−123位のヌクレオチドに存在する。MBLではIFNαに影響するSNPが二箇所、即ち、MBL−221とコドン54に存在する。従って、MxA−88、MxA−123、MBL−221およびコドン54の遺伝子型を決定した。まず、それぞれに対応するDNAをPCRにて増幅した。次に、MxA−88およびMxA−123の断片の解析はシーケンススペシフィックプライミングPCR(sequence specific priming PCR)によって、MBL−221およびコドン54の断片の解析は制限酵素による切断の有無で解析し、SNPのタイプを同定した(M. Matsushita et al., J. Hepatology 29, 695-700, 1998)。
4.結果
(1)C型肝炎ウイルスの型とIFNαの治療効果
患者の感染しているウイルスの型とIFNαの治療効果との関係を解析した結果を表3に示す(表3)。
表3に示す通り、159人の感染者のうちHCVの遺伝子がタイプ1の感染者は103人であり、その全てがタイプ1bであった。IFNαの治療効果は、そのうちの18人が完全著効、残りの85人が非著効であった。タイプ2aまたは2bの何れかに感染しているタイプ2の感染者は55人であった。IFNαの治療効果は、そのうちの34人が完全著効、残りの21人が非著効であった。残る1人は両方のタイプのHCVに感染しており、IFNαの治療効果は、非著効であった。
(2)各SNPの遺伝子型を夫々単独で用いて予測した場合
MBLの遺伝子型については、IFN抵抗性を予測せしめる遺伝子型であるXBタイプを示したC型肝炎患者は85名であった。そのうち、実際にIFN治療が無効であったのは65名であった。従って、予測値と実際値の一致率は76%であった。また、IFN易感受性を予測せしめる遺伝子型であるYAタイプを示したC型肝炎患者は74名であった。そのうち、実際にIFN治療が有効であったのはそのうちの32名であった。従って、予測値と実際値の一致率は43%であった。
MxA−88の遺伝子型については、IFN抵抗性を予測せしめる遺伝子型であるG/Gホモを示したC型肝炎患者は75名であった。そのうち、実際にIFN治療が無効であったのは59名であった。従って、予測値と実際値の一致率は79%であった。また、IFN易感受性を予測せしめる遺伝子型であるG/TヘテロまたはT/Tホモを示したC型肝炎患者は84名であった。そのうち、実際にIFN治療が有効であったのはそのうちの36名であった。従って、予測値と実際値の一致率は43%であった。
MxA−123の遺伝子型については、IFN抵抗性を予測せしめる遺伝子型であるC/Cホモを示したC型肝炎患者は91名であった。そのうち、実際にIFN治療が無効であったのは70名であった。従って、予測値と実際値の一致率は77%であった。また、IFN易感受性を予測せしめる遺伝子型であるC/AヘテロまたはA/Aホモを示したC型肝炎患者は68名であった。そのうち、実際にIFN治療が有効であったのはそのうちの31名であった。従って、予測値と実際値の一致率は46%であった。
(2)本発明に従って総合的に予測した場合
本発明に従ってIFN抵抗性を予測した結果を以下に示す。MBLがXBタイプであり、且つMxA−88がG/Gホモであり、且つMxA−123がC/CホモであるC型肝炎患者は39名であった。そのうち、実際にIFN治療が無効であったのは、32名であった。従って予測値と実際値の一致率は87%であった。
本発明にしたがってIFN抵抗性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがXBタイプであり、且つMxA−88がG/GホモであるC型肝炎患者は39名であった。実際にIFN治療が無効であったのは、そのうちの34名であった。従って予測値と実際値の一致率は87%であった。本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
本発明にしたがってIFN抵抗性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがXBタイプであり、MxA−123がC/CホモであるC型肝炎患者は44名であった。実際にIFN治療が無効であったのは、そのうちの39名であった。従って予測値と実際値の一致率は89%であった。本発明に従って予測を行えば、従来の方法と比較して顕著に予測確度が向上した。
一方、本発明に従ってIFN易感受性を予測した結果を以下に示す。MBLの遺伝子型がYAタイプであり、且つMxA−88がG/TヘテロまたはT/Tホモであり、且つMxA−123がC/AヘテロまたはA/AホモであるC型肝炎患者は27名であった。そのうち、実際にIFN治療が有効であったのは、16名であった。従って予測値と実際値の一致率は59%であった。
本発明に従ってIFN易感受性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがYAタイプであり、且つMxA−88がG/TヘテロまたはT/TホモであるC型肝炎患者は38名であった。実際にIFN治療が有効であったのは、そのうちの21名であった。従って予測値と実際値の一致率は55%であった。
一方、本発明に従ってIFN易感受性を予測した結果を以下に示す。即ち、MBLがYAタイプであり、MxA−123がC/AヘテロまたはA/AホモであるC型肝炎患者は27名であった。実際にIFN治療が有効であったのは、そのうちの16名であった。従って予測値と実際値の一致率は59%であった。
5.考察
治療抵抗性の予測においても、治療感受性の予測においても、MBL、MxA−88、MxA−123の夫々の遺伝子型を単独で用いるよりも、組み合わせて用いると、予測精度は飛躍的に向上した。同時に、これらの遺伝子多型の遺伝子型によるインターフェロン治療効果予測は、「効果の期待できるケース」よりは「効果の期待できないケース」の方をより敏感に指呼し得るものであることも示唆された。
これらの結果から、本発明は、長期投与が必要で副作用も強く且つ高価な薬剤であるインターフェロンの投与候補から、「効きそうもない患者」を未然に除外することを可能にする点において、その主たる有効性を発揮される。
本発明の態様に従うと、C型肝炎患者におけるインターフェロン治療の有効性予測が従来よりも高い確度で可能である。
MxA遺伝子のSPN部位および遺伝子型を示す遺伝子地図の略図。 MBL遺伝子のSPN部位および遺伝子型を示す遺伝子地図の略図。 本発明に従う方法の例を示すフローチャート。 本発明に従う方法のもう1つの例を示すフローチャート。 本発明に従う方法のもう1つの例を示すフローチャート。 本発明に従う1態様を示すブロック図。 本発明に従う方法の更なる例を示すフローチャート。

Claims (4)

  1. MxA−123を含むように配列番号5より選択される15から30の連続した配列からなるポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含むDNAプローブであるインターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測するための核酸プローブ。
  2. MxA−123を含むように配列番号6より選択される15から30の連続した配列からなるポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含むDNAプローブである、インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測するための核酸プローブ。
  3. インターフェロンを投与されるべき個体においてインターフェロン療法の有効性を予測するための、請求項1記載の核酸プローブ及び請求項2記載の核酸プローブを具備する塩基配列検出用チップ。
  4. 請求項3に記載の塩基配列検出用チップであって、更に、以下の(1)に記すMxA−88の遺伝子型を検出するための核酸プローブおよび/または以下の(2)に記すMBL遺伝子のコラーゲン様ドメインのコドン52、54および57の遺伝子型を検出するための核酸プローブおよび/または以下の(3)に記すMBL−221の遺伝子型を検出するための核酸プローブを具備する塩基配列用チップ;
    (1)前記MxA−88の遺伝子型を検出するために具備される核酸プローブが、配列番号9と10、および配列番号21と22からなる群より少なくとも1組選択される配列で示されるポリヌクレオチドを含む核酸プローブ;
    (2)前記MBL遺伝子のコラーゲン様ドメインのコドン52、54および57の遺伝子型を検出するための核酸プローブが、配列番号45から56で示されるポリヌクレオチドを含む1組の核酸プローブまたはそれらの相補鎖であるポリヌクレオチドを含む1組の核酸プローブ;
    (3)前記MBL−221の遺伝子型を検出するための核酸プローブが、配列番号29の418位から432位の配列で示されるポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含む核酸プローブと配列番号30の418位から432位の配列で示されるポリヌクレオチドまたはその相補鎖を含む核酸プローブからなる1組の核酸プローブ。
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