JP2003331902A - バナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物 - Google Patents
バナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物Info
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Abstract
える水溶性に優れた固形のバナジウムレドックスフロー
電池電解液用組成物を提供すること。 【解決手段】4価バナジウムイオン、3価バナジウムイ
オン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物で
あって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオン
のバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であ
り、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バナ
ジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy
座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオ
ンとの合計量を50.94で除した値をa値とし、また該組
成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb
値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座
標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、
点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結
ぶ直線A−B、直線B−C、直線C−Dおよび直線D−
Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴と
するバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成
物。
Description
クスフロー電池電解液用固形組成物に関する。さらに詳
しくは、原子力発電による夜間の余剰電力を昼間に使用
するための貯蔵、太陽光発電や風力発電によって発生し
た電力の貯蔵などに好適に使用しうるバナジウムレドッ
クスフロー電池電解液用固形組成物に関する。
大している。特に、余剰の夜間電力の有効利用を図るべ
く、揚水式発電所において、夜間電力を利用して揚水を
行うことが注目されているが、我が国は国土が狭いこと
から、その設置に制約を受けている。
発電などによって得られた電力を貯蔵し、必要時に使用
することができることが望まれている。かかる電力を貯
蔵するためには、大容量でかつ経済的な二次電池が必要
である。この二次電池に適合するものとして、バナジウ
ムレドックスフロー電池が着目されている。
には、バナジウムレドックスフロー電池用電解液が用い
られている。このバナジウムレドックスフロー電池用電
解液は、バナジウム濃度が高いほど電池の容積あたりの
能力が高くなるという利点がある。しかし、その反面、
バナジウム濃度が高くなると、バナジウム化合物の結晶
の析出が起こりやすくなる。そこで、その結晶の生成を
抑制するために、種々の添加物を電解液に含有させるこ
とが試みられており、ある程度の成果が認められるもの
の、バナジウム濃度がより高い電解液の開発が待ち望ま
れている。
は、4価バナジウムイオンおよび硫酸イオンを含有する
正極用電解液、3価バナジウムイオンおよび硫酸イオン
を含有する負極用電解液、ならびに4価バナジウムイオ
ン、3価バナジウムイオンおよび硫酸イオンを含有する
正極・負極共用のスタート用電解液などが知れている。
ム濃度は2mol/L 程度の低濃度であるため、電池の容積
あたりの能力のみならず、貯蔵や電解液の輸送コスト面
においてもその改善が望まれている。また、電解液に含
有されるバナジウム量は、使用される電池の種類によっ
て異なるので、多種類の電解液を調製しておかなければ
ならない。さらに、電解液には、溶媒として一般に硫酸
が用いられているため、耐酸性の液体用容器が必要とな
るばかりでなく、人体に対する安全面でも改善が望まれ
ている。
術に鑑みてなされたものであり、バナジウムレドックス
フロー電池用電解液を与える水溶性に優れた固形のバナ
ジウムレドックスフロー電池電解液用組成物を提供する
ことを目的とする。
および硫酸イオンを含有してなる固形組成物であって、
4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジ
ウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であり、該組
成物における4価バナジウムイオンと3価バナジウムイ
オンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標と
し、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの
合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物に
おける硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値と
し、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座標系
において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点C
(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結ぶ直
線A−B、直線B−C、直線C−Dおよび直線D−Aで
囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴とする
バナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物
(以下、固形組成物Iという)、
ムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成
物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイ
オンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5
であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価
バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)
をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウム
イオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また
該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値
をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−
y座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.
4)、点E(1.60, 18.4)および点F(1.60, 21.2)をそれぞ
れ結ぶ直線A−B、直線B−E、直線E−Fおよび直線
F−Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特
徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形
組成物(以下、固形組成物IIという)、ならびに
ムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成
物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイ
オンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5
であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価
バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)
をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウム
イオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また
該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値
をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−
y座標系において、点F(1.60, 21.2)、点E(1.60, 18.
4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞ
れ結ぶ直線F−E、直線E−C、直線C−Dおよび直線
D−Fで囲まれた領域内にその組成が存在することを特
徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形
組成物(以下、固形物III という)に関する。
III は、いずれも、4価バナジウムイオン、3価バナジ
ウムイオンおよび硫酸を含有するものである。
価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとをほぼ等
モルで混合することによって得られたバナジウムイオン
を含有する硫酸水溶液において、その硫酸水溶液に含ま
れる硫酸量と、バナジウムイオン量とを制御した場合に
は、固形組成物用溶液を蒸発乾固などによって容易に濃
縮させることができ、しかも、得られた固形組成物は、
水溶性に優れることが見出された。
する際に、水量および硫酸量を制御することにより、種
々の組成の電解液を容易に調製することができることが
見出された。本発明は、これらの知見に基づいて完成さ
れたものである。
は、充電の際には正極および負極では以下の反応が起こ
り、放電の際にはこれらとは逆の反応が起こることが知
られている。
フロー電池の初期においては、正極室に4価バナジウム
イオンを含有する電解液、また負極室に3価バナジウム
イオンを含有する電解液が充填されている。しかし、最
近では、正極室および負極室に使用する電解液を共通化
することによって合理化を図るため、電解液として、4
価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンを等モルで
含有する電解液が使用されている。
ナジウムイオンを等モルで含有する電解液においては、
充電の際には正極および負極では、以下の反応が起こ
り、放電の際にはこれらとは逆の反応が起こることが知
られている。
ジウムイオンと3価バナジウムイオンとが等モルではな
くなった場合には、以下のような現象が生じる。
の濃度をqとし、濃度pよりも濃度qが高いとき、充電
の際には、上記式から、正極側では(2p+q)Fの充
電容量が必要であり、また負極では(p+2q)Fの充
電容量が必要である。
q)Fが大きいことから、正極側での充電が負極側での
充電よりも先に終了するため、正極側のVはすべてV5+
となるのに対し、負極側ではそれ以上充電が進行しない
ことからVのすべてがV2+ となるという正規の充電完了
状態を達成することができない。このことから、負極側
での充電が十分ではないことになる。
度qが0.6 である場合、充電可能率〔(2p+q)/
(p+2q)×100 〕は、1.4/1.6 ×100 =87.5%とな
り、100 %近くにはならない。
高めつつ、電池を充電する際に分極が生じるのを回避す
るために、通常完全には充電させないことを考慮して、
4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジ
ウム含有量の重量比(4価バナジウム/3価バナジウ
ム)が 4.5:5.5〜5.5:4.5 、好ましくは4.7:5.3 〜5.3:
4.7 となるように規定されている。このように、当該モ
ル比を所定値に規定することにより、充電可能率を93.5
%以上とすることができる。なお、当該重量比が4.5:5.
5〜5.5:4.5 である場合、通常、電池業界で使用されて
いる表現方法に従えば、バナジウムイオン全体の平均価
数は、3.45〜3.55となる。
(%)とは、前述したように、正極側または負極側のう
ち充電容量が少ない側の充電容量を、充電容量が多い側
の充電容量で除した値に100 を乗じた値をいう。
も、溶液中においても、単なるV4+として存在すること
は認められておらず、VO2+または[VO(H2O)5]2+として存
在する。後者は、バナジウム(IV)ペンタ−アクアカチオ
ンと称される。
難水溶性の固体の硫酸バナジウム(III) またはその水和
物においてはV3+ として存在する。
性の高い固体中では、[V(H2O)5 2+]、すなわちバナジウ
ム(III) ヘキサ−アクアカチオンとしても存在する。
ムイオンおよび3価バナジウムイオンとのバナジウム合
計含有率(重量%)[バナジウム含有率(重量%)]をy座
標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオン
との合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成
物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値
とし、b値をa値で除した値 [硫酸のバナジウムに対す
るモル比率] をx座標とするx−y座標系について説明
する。このx−y座標系を図1に示す。
標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、
点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結
ぶ直線A−B、直線B−C、直線C−Dおよび直線D−
Aで囲まれた領域内にその組成が存在する。この領域
は、固形組成物IIの領域と固形組成物III の領域とを合
体させたものである。固形組成物Iは、この広い領域を
有し、水溶性に優れるという利点がある。
系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点
E(1.60, 18.4)および点F(1.60, 21.2)をそれぞれ結ぶ
直線A−B、直線B−E、直線E−Fおよび直線F−A
で囲まれた領域内にその組成が存在し、水溶性に極めて
優れるとともに、透明性が高く、ガラス状を呈するが、
ガラスのように加熱しても溶融してガラス転移状態を呈
さない。
標系において、点E(1.60, 18.4)、点F(1.60, 21.2)、
点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結
ぶ直線F−E、直線E−C、直線C−Dおよび直線D−
Fで囲まれた領域内にその組成が存在する。固形組成物
III は、通常、黄緑色ないし緑色を有する硬い結晶固形
物である。固形組成物III は、水溶性が良好であるとい
う利点がある。また、通常使用されている電解液におけ
るx値が1.5 〜2.55であるのに対し、この固形組成物II
I におけるx値は、1.60〜2.55であるので、煩雑な硫酸
濃度を調整するという操作を行わずに、ただ単に水に溶
解させるだけで電解液を得ることができるという利点が
ある。
は、いずれも、前述の領域内に存在することにより、後
述する実施例で明らかにされているように、バナジウム
レドックスフロー電池用電解液を与える水溶性が優秀な
いし良好な固形の組成物となるのである。
固形組成物III の製造方法について詳細に説明する。
価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、硫酸イオ
ンおよび水を所定の比率で含有する溶液状組成物を調製
し、これを固形物析出に至るまで濃縮することによっ
て、製造される。
した後に、溶液中の4価バナジウムイオンと3価バナジ
ウムイオンとにおけるバナジウム含有量の重量比が4.5:
5.5〜5.5:4.5 となるように、4価バナジウム化合物お
よび3価バナジウム化合物を含有する原料の量を計算し
て硫酸水溶液に溶解する。
、三酸化バナジウム(V2O3)またはこれらを含有するバ
ナジウム低級酸化物、硫酸バナジウム(IV)(VOSO4・nH
2O) 、硫酸バナジウム(III)[V2(SO4)3・nH2O] (nは0ま
たは2〜5の整数を示す。以下同じ)などが用いられ
る。
五酸化バナジウム(V2O5)を添加して、3価のバナジウム
イオンを4価にすることもできる。
ンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94(4価バナ
ジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの化学式量)
で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオ
ンの含有量を96.1(硫酸イオンの化学式量)で除した値
をb値とし、b値をa値で除した値をx値とするとき、
x値が固形組成物I、固形組成物IIおよび固形組成物II
I のそれぞれにおいて定めた値となるような硫酸イオン
を含有したものを使用する。
行うことによって、次の蒸発濃縮工程で、固形組成物
I、固形組成物IIおよび固形組成物III とするための液
状の組成物が得られる。
成において、4価バナジウムイオンおよび3価バナジウ
ムイオンの合計濃度をY(mol/L)、硫酸の濃度をZ(mol/
L)、硫酸の濃度(Z) と4価バナジウムイオンおよび3価
バナジウムイオンのバナジウム合計濃度(Y) との比(Z/
Y)[(硫酸の濃度(Z))/(4価バナジウムイオンおよび
3価バナジウムイオンの合計濃度(Y))] をX とする。
いて、その中の所定の領域が、蒸発乾固の後に前記固形
組成物におけるx-y 座標系で規定された領域を満足する
ように、固形組成物製造用の液状組成物に含有される硫
酸の量を調整することにより、固形組成物を得ることが
できる。
成物におけるx の値と実質的に一致する。
状組成物および固形組成物の製造条件の例を説明する。
ウム(III) や酸化バナジウム(IV)の使用は勿論可能であ
るが、高価である場合が多いので、通常はバナジウム低
級酸化物、硫酸バナジウム(IV)(VOSO4・nH2O) または酸
化バナジウム(V)(V2O5) を原料として使用する。
ム(III) またはバナジウム低級酸化物、すなわち酸化バ
ナジウム(III) と酸化バナジウム(IV)との混合物を硫酸
濃度が40%以上、好ましくは4〜65%の硫酸水溶液に添
加し、115 〜125 ℃の温度に加熱して溶解させる。
たは温度が115 ℃以下である場合には、酸化バナジウム
(III) と硫酸との反応が十分に進行しないため、酸化バ
ナジウム(III) の全てが硫酸バナジウム(III) とはなら
ず、酸化バナジウム(III) の著量がそのまま残存する。
または温度が125 ℃以上である場合には、酸化バナジウ
ム(III) と硫酸との反応は十分に起こるが、硫酸バナジ
ウム(III) 含水塩、V2(SO4)3・nH2Oの析出が著しくな
る。
(III) 含水塩[V2(SO4)3 ・nH2O] は、その後の工程にお
いて水を添加し、125 ℃以下に保つことによって析出物
を溶解させることができる。
限とする溶解条件を採用することが好ましい。
以上に達すると難水溶性の無水硫酸塩[V2(SO4)3]が生成
するに至る。
物[V2(SO4)3]もその後の工程において水を添加し、125
℃以下の温度に保つことによって溶解させることができ
る。
ウム(III) を酸化バナジウム(IV)よりも多く含有してい
る場合には、溶解後の4価バナジウムイオンおよび3価
バナジウムイオンの比率の調整のためには、硫酸バナジ
ウム(IV)[VOSO4・nH2O] または酸化バナジウム(V)(V
2O5) を原料溶解の際または溶解後の適当な時期に添加
することが好ましい。また、この調整は酸化バナジウム
(V)(V2O5) を添加することによっても行うことができ
る。
バナジウム(IV)を酸化バナジウム(III) よりも多く含有
している場合には、溶解後の4価バナジウムイオンおよ
び3価バナジウムイオンの比率の調整のため、酸化バナ
ジウム(III) を酸化バナジウム(IV)よりも多く含有して
いるバナジウム低級酸化物をこの調整に使用することが
できる。
れ、例えば、以下のようにして調製することができる。
されるように、X-Y 座標系において、点(1.25, 6.5)
、点(2.55, 3.5) 、点(2.55, 1.0) および点(1.
25, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線−、直線−、直
線−、直線−で囲まれた領域内にその組成が存
在するように、前述した方法により、固形組成物I用溶
液を調製する。
乾燥させることによって固形組成物Iを析出させること
ができる。減圧乾燥させる際の条件、例えば、減圧度お
よび温度は、任意に広い範囲に設定することができる。
段階においては、その加熱温度があまりにも低い場合に
は、十分に脱水させることができないため、かかる加熱
温度は、60℃以上、好ましくは80℃以上とすることが望
ましい。かくして、本発明の固形組成物Iを得ることが
できる。
ては、X-Y 座標系において、点(1.25, 6.5) 、点
(1.60, 5.0) 、点(1.60, 1.0) および点(1.25, 1.
0) をそれぞれ結ぶ直線−、直線−、直線−
、直線−で囲まれた領域内にその組成が存在する
ように、前述した方法により、固形組成物II用溶液を調
製する。
く同様に、固形組成物II用溶液を減圧乾燥させることに
よって固形組成物IIを析出させることができる。
いては、X-Y 座標系において、点(1.60, 5.0) 、点
(2.55, 3.5) 、点(2.55, 1.0) および点(1.60, 1.
0) をそれぞれ結ぶ直線−、直線−、直線−
および直線−で囲まれた領域内にその組成が存在
するように、前述した方法により、固形組成物III 用溶
液を調製する。
く同様に、固形組成物III 用溶液を減圧乾燥させること
によって固形組成物III を析出させることができる。
細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定され
るものではない。
1g=0.75mol) および55重量%硫酸水溶液207.1 g(H2SO4
113.9g=1.1625mol) を1000mL容のフラスコ内に仕込み、
攪拌下、125 〜130 ℃に加熱したところ、硫酸バナジウ
ム(III) 含水塩(V2(SO4)3 ・mH2O(mは1〜6の整数を示
す。以下同じ) の結晶の懸濁溶液が得られた。
含水塩(VOSO4・nH2O(nは4〜6の整数を示す)[V含有
率、21.93 %]174.2g(V38.21g=0.75mol) および水220m
L を添加し、攪拌下、100 〜110 ℃に加熱した後、微量
の不溶解物を濾過により除去し、ついで濾液に水を加
え、液量を500mL に調整し、固形組成物用溶液を得た。
有する3価バナジウムイオンと4価バナジウムイオンの
モル含有量の比(3価バナジウムイオンの含有重量を5
0.94で除した値と4価バナジウムイオンの含有重量を5
0.94 で除した値との比。以下同じ)が0.498:0.502 で
あり、硫酸濃度(Z) が3.825mol/L、硫酸の濃度(Z) と4
価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計
量(Y) 3mol/L との比(X) が1.275 の溶液であった。
=0.938mol]および55重量%硫酸水溶液335.0g(H2SO4184.
25g=1.88mol)を1000mL容のフラスコ内に仕込み、攪拌
下、115 〜125 ℃に加熱したところ、硫酸バナジウム(I
II) 含水塩、 V2(SO4)3・mH2Oの結晶の懸濁を有する溶液
が得られた。
5 としての純度99.7%)28.5g(V15.9=0.313mol)および水
290mL を添加し、攪拌下、100 〜110 ℃に加熱した後、
微量の不溶解物を濾過により除去し、ついで濾液に水を
加え、液量を500mL に調整し、固形組成物用溶液を得
た。
有する3価バナジウムイオンと4価バナジウムイオンの
モル含有量の比が0.503:0.497 であり、硫酸濃度(Z) が
3.75mol/L 、硫酸の濃度(Z) と4価バナジウムイオンお
よび3価バナジウムイオンの合計量(Y)2.5mol/L との比
(X) が1.50の溶液であった。
25.48g=0.500mol)、V(IV)24.01%(V含有量14.93g=0.293
mol)および65重量%硫酸水溶液270.3 g(1.793mol)を10
00mL容のフラスコ内に仕込み、攪拌下、115 〜125 ℃に
加熱したところ、硫酸バナジウム(III) 含水塩、 V2(S
O4)3・mH2Oの結晶の懸濁を有する溶液が得られた。
[VOSO4・nH2O] (V含有率21.93 %)48.01g(V10.54g=0.20
7mol)および水240mL を添加し、攪拌下、100 〜110 ℃
に加熱した後、微量の不溶解物を濾過により除去し、つ
いで濾液に水を加え、液量を500mL に調整し、固形組成
物用溶液を得た。
有する3価バナジウムイオンと4価バナジウムイオンの
モル含有量の比が0.502:0.498 であり、硫酸濃度(Z) が
4.00mol/L 、硫酸の濃度(Z) と4価バナジウムイオンお
よび3価バナジウムイオンの合計量(Y) 2.00mol/L との
比X が2.00の溶液であった。
で固形組成物I用、固形組成物II用および固形組成物II
I 用の溶液として、下記のX-Y の特定の領域内に存在す
る溶液を調製した。
説明するように該溶液を蒸発乾固することによって固形
組成物I、固形組成物IIおよび固形成物III を容易に得
ることができるときの値である。
X-Y 座標系において、X およびY は、次のように定義す
る。
価バナジウムとの合計濃度をYmol/L、硫酸の濃度をZmol
/Lとし、その比率をX=Z/Y とする。
るためのX-Y の領域は、図2に示されているように、点
(1.25, 6.5) 、点(1.60, 5.0) 、点(2.55, 3.5)
、点(2.55, 1.0) および点(1.25, 1.0) をそれぞ
れ結ぶ直線−、直線−、直線−、直線−
および直線−で囲まれた領域である。
を得るためのX-Y の領域は、図2に示されるように、点
(1.25, 6.5) 、点(1.60, 5.0) 、点(1.60, 4.2)
および点(1.25, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線−、直
線−、直線−および直線−で囲まれた領域
である。
III を得るためのX-Y の領域は、図2に示されている点
(1.60, 5.0) 、点(2.55, 3.5) 、点(2.55, 1.0)
、および点(1.60, 1.0) および点(1.60, 1.0) を
それぞれ結ぶ直線−、直線−、直線−およ
び直線−で囲まれた領域である。
いて、特定の領域範囲内にある固形組成物用溶液を例え
ば蒸発などによって濃縮することにより、本発明の固形
組成物を得ることができる。
用溶液を調製し、これをロータリーエバポレーター中に
仕込み、20〜30Torr(2660 〜3990Pa) の減圧下に55〜85
℃に加熱して水分を蒸発させ、固形物が析出する蒸発の
終点付近での加熱温度を表1に記載の温度とした。表1
は、それを実施例1〜30および比較例1〜7についてま
とめたものである。表1に記載された実験で用いられた
分析方法などを以下に示す。
形組成物を乳鉢にて粒子径が150 μm以下となるように
粉砕した。得られた粉砕物のバナジウム含有率(y)(重量
%)を過マンガン酸カリウム滴定法によって測定した。
観を目視により観察するとともに、室温(約20℃)にお
ける性状を調べた。
うに粉砕した固形組成物の粉砕物(V100 %換算:2.0g)
を50mL容のビーカーに入れた20〜30℃の水25mLに添加
し、マグネチックスターラーでその水を攪拌し、固形組
成物の粉砕物が水中に溶解するのに要する時間を測定し
た。
において、固形組成物Iは実施例1〜30のすべてにおい
て得られ、固形組成物IIは実施例1〜13で得られ、また
固形組成物III は実施例14〜30で得られていることがわ
かる。
成物I、IIおよびIII の組成範囲から逸脱しており、本
発明の目的に適う固形組成物は得られないものであるこ
とがわかる。
物I〜III について、考察してみる。
オンとの合計量をバナジウムの化学式量50.94 で除した
値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有
量をSO4 2- の化学式量96.1で除した値をb値とし、b
値をa値で除した値をx[ 厳密さを欠くが、簡単な表現
をすれば、xはバナジウムに対する硫酸のモル比と見な
される] とすると、原料として使用した4価バナジウム
化合物および3価バナジウム化合物をVOSO4 ・nH2Oおよ
びV2(SO4)3・mH2Oまたはそれらのイオン化した形とする
のに最低限必要なx値は、式:x=(1+1.5)/2=1.25よ
り、1.25である。
O もH2SO4 も含有しない固形組成物の組成式が[V2(SO4)
3 +2VOSO4] であると考えられるので、その組成に対す
るV含有率の計算値(%)をΨとすると、 Ψ=4V/ [V2(SO4)3+2VOSO4] から、 Ψ=4V/(4V+5SO4+2×O)=28.47 % と計算される。
かに低く、しかも、蒸発乾固の条件に支配され、約23.2
〜約20.3の間となることが判った。
せず、遊離の(1.50 〜1.25)H2SO4を含有する固形組成物
が得られることになるので、その組成に対するV含有率
(%)をΨとすると Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O) +4(1.50−1.25)H2SO4]
=25.04 %となり、 x=1.75において同様の計算をすると Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O) +4(1.75−1.25)H2SO4]
=22.35 %となり、 x=2.00において同様の計算をすると Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O)+4(2.00−1.25)H2SO4]
=20.38 %となり、 x=2.25において同様の計算をすると Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O)+4(2.25−1.25)H2SO4 ]
=18.56 %となり、 x=2.50において同様の計算をすると Ψ=4V/[4V+5SO4+2×O] +4(2.50−1.25)H2SO4] =
17.04 %となり、 x=2.75において同様の計算をすると Ψ=4V/[(4V +5H2SO4+2×O)+4(2.50−1.25)H2S
O4] =15.75 %となる。
図1に示す。これらの点は、図1において、点α、点
β、点γ、点δ、点ε、点ζおよび点ηで表される。
x値およびy値で定まる領域は、図1に示したように、
点α、点β、点γ、点δ、点ε、点ζおよび点ηを結ん
だ線よりも明らかに下方に形成されている。例えば、x
が1.25である場合、yは23.20 〜21.49 の間に存在する
ため、点αよりも下方にあることがわかる。
乾固によっては容易に除去されない水を有していること
を示している。
例8、実施例17、実施例22、実施例24および実施例30で
得られた固形組成物の熱重量分析を行った。その結果を
図3に示す。
の脱水を示す重量減少は、x値が1.275 の場合(実施例
6)には、殆ど認められない。また、x値が1.275 から
1.350(実施例8)、1.690(実施例17) 、1.813(実施例2
2) 、2.200(実施例24) 、2.530(実施例30)へと大きく
なると重量の減少が僅かに増大するが、その値は5%程
度に留まることが示されている。
110 ℃以下であるので、蒸発乾固においては除去されな
い水が存在することが明らである。
るために、実施例6、実施例8、実施例17、実施例24お
よび実施例30で得られた固形組成物について、重量分析
(TG)、微分熱重量分析(DTG)および示差熱分析
(DTA)を同時に調べた。それらの結果をそれぞれ順
に、図4、図5、図6、図7および図8に示す。
軸に関しては、DTGでは試料の重量変化率(%)曲線
を温度に関して微分した値、TGでは試料の重量変化率
(%)、μVは基準物質(α−アルミナ)と試料の温度
測定用の熱伝対の電位差を示している。
重量分析(DTG)および示差熱分析(DTA)の曲線
のピークは、x 値が1.275 である場合(実施例6)に
は、180 ℃付近と350 ℃付近に鈍いながら認められるに
留まることがわかる。また、x値が1.275 から1.350(実
施例8)、1.690(実施例17) 、2.200(実施例24) 、2.53
0(実施例30)へと大きくなるにしたがって、ピークが鋭
くなるが、その位置は、やはり180 ℃以上の高温である
ことがわかる。いずれの場合にも、500 ℃以上の温度で
あっても、その曲線にはピークが存在するが、この段階
までの重量減少は、合計で30%を超えるのに対して、図
1に示すΨ値の曲線とy 値の曲線との乖離は25%程度で
あるので、脱水にのみ基づくものとは考えられがたく、
分解による寄与があるものと考えられる。
のx 値に対しても蒸発の終点温度によってy 値に差があ
ることが示されている。また、同一のx 値および蒸発終
点温度においても、多数回の実験でy 値は完全には一定
しない。
差によって支配されやすく、得られた固形組成物が吸湿
性に富んでいるためであると考えられる。
の下限よりも下の部分のデータから、蒸発乾固の温度を
低くすることにより、より低いy値の固形組成物を得よ
うとしても組成物は固形物とはならず、飴状ないし餅状
に留まることがわかる。
形組成物Iは、本発明の固形組成物全体を範囲としてい
る。
対するモル倍率)が1.25と低く、固形化の最終温度が11
0 ℃と高く、y(固形組成物のバナジウム含有率(重量
%))が23.2%と極めて高いものから、xが2.55と高
く、yが13.0%と比較的低いものまでが広範囲に含まれ
る。しかし、この広範囲の固形組成物は何れも水への溶
解性を有している。
て、水または必要により水および硫酸を本発明の固形組
成物の中から選択したものに加えることにより、所望の
組成を有する電解液を容易に製造することができる。
らに詳細に説明する。表1を詳細に観察すると、組成物
の全体の範囲を含む固形組成物Iは、xが1.60付近であ
る点を境界として、その前後、すなわち、固形組成物II
と固形組成物III とでは性質に差があることわかる。
場合には、固形組成物IIが深緑色の光沢のある脆いカル
メラ状として得られる。その調製過程の濃縮において
は、固形組成物用溶液は高粘度の液体であるが、水分が
ある程度まで蒸発し、減少した時点で透明なカルメラ状
の固形物に変化する。
ている。ここで、「カルメラの生成状況」とは、砂糖
(ザラメ)に水を加えて溶解した後、加熱濃縮し、粘度
が高くなった時点で重炭酸ナトリウムを添加すると、発
泡とともに残余の水分が除去され、砂糖の脆い発泡体、
すなわちカルメラが生じることをいう。
では、この濃縮における生成物は黄色味と硬度を増し、
さらにxが2.0 よりも大きい領域では、緑色の硬い結晶
固化物が生成する。
1.60の範囲内にある領域と、xが1.60〜2.55の範囲内に
ある領域とでは、得られる固形組成物の性質が大きく異
なることがわかる。
高いので、一見すればガラス状とも見受けられる。しか
し、ガラスのように加熱しても溶融してガラス転移状態
を経て溶融することはない。
結晶のようにも見受けられる。しかし、粉末X線回折を
行ったところ、非晶質であることが判明した。
た固形組成物(x=1.275)の粉末X線回折図から明らか
なように、2θ=18.8°に頂点を有する非常に幅の広い
ブロードなピークのみが認められることから、生成した
固形組成物IIには、明確な結晶が存在していないことが
わかる。
折角(2θ)、縦軸は回折強度I(1秒あたりのカウン
ト数:cps) を示す。
=1.35)の粉末X線回折図を図9(b) に示す。
付近でX線回折強度が増大しているものの、図9(a) に
示された結果と同様に、幅の広いブロードなピークのみ
が認められることから、実施例8で得られた固形組成物
もやはり、明確な結晶が存在していないことがわかる。
ろ、非常に水に溶解しやすい性質を有することが判明し
た。その水に対する溶解性の測定結果を表1に示す。
値が1.25に近いほど水に溶解しやすく、x値が大きくな
るにしがって溶解性が低下するが、xが1.60を超える場
合であっても、水への溶解性が優れることがわかる。
ナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウム
の合計バナジウム含有重量%)はx値、すなわち、4価
バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を
50.94 で除した値をa 値とし、硫酸イオンの含有量を9
6.1で除した値をb 値としたときx=b/a の値が1.25に近
づくほど高くなり、その最大値が23.20 %となる。
とから、そのy値は、図1の最も上方に示されたΨ値
(水を含有しないとしたときのバナジウム含有量 [重量
%] の計算値)よりも低い。したがって、y値を高く保
つ場合には、水分量を低減させるために、調製の最終段
階における温度を高く設定することが好ましい。
で得られた固形組成物IIにおいては、図4および図5の
熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同時測
定結果に示されるように、脱水が130 〜170 ℃付近から
一部起こると考えられる。
(140℃以下) では、脱水が極めて僅かしか起こらないも
のと判断される。
の空気中に放置すると、2時間後には10.8g となり、一
夜後には12.7g の吸湿した塊となった。この結果から、
固形組成物IIの吸湿性が極めて高いことがわかる。
の温度、湿度などにより、x値が同一であってもy値が
異なるという現象が生じることがわかる。
有率)が例えば23.20 重量%である本発明の固形組成物
は、従来の電解液(バナジウム濃度2mol/L、SO4 2- 濃度
4mol/L、y の値:7.90 重量%)と比較するとy の値が約
3倍であることから、遙かに濃厚であり、しかも常温に
おいて固形であるので、従来必要とされていた耐酸性の
液体用容器を必要としないため、本発明の固形組成物
は、貯蔵性および輸送性に優れたものである。
液における値である1.5 〜2.55よりも小さい場合があ
る。この場合には、電解液を調製する際に、固形組成物
を単に水に溶解させるのではなく、必要により、硫酸を
添加すればよい。
に説明する。固形組成物III は、固形組成物Iのうち、
固形組成物IIを除いた部分である。固形組成物III は、
実施例14〜30(1.60 < x≦2.55) の結果から明らかなよ
うに、黄緑色ないし緑色の硬い結晶性固形物である。
うち、実施例17で得られた固形組成物(x=1.69) 、実
施例22で得られた固形組成物(x=1.813)、実施例24で
得られた固形組成物(x=2.20) 、および実施例30で得
られた固形組成物(x=2.53) について、粉末X線回折
を行った。その結果をそれぞれ、図9(c) 、図9(d)、
図9(e) および図9(f) に示す。
図において、各ピークのすべての帰属を特定することが
困難であるが、VOSO4 ・3H2O に基づくとみられるピー
ク(2θ=11.4〜11.5°、19.7〜19.9°、37.5〜37.6°)
には△、V2SO4 ・H2O に基づくとみられるピーク(2θ=
18.6°)には○、V2S4O14 ・3H2O に基づくとみられる
ピーク(2θ=26.2〜26.3°) には×のマークを付した
が、その他にも結晶を示す鋭い回折ピークが観測され
た。また、これらの粉末X線回折図は、実施例6および
8で得られた固形組成物の粉末X線回折図(図9(a) お
よび図9(b) )とは、まったく異なることがわかる。
水溶性を表1に示す。表1に示された結果から明らかな
ように、固形組成物III は、実施例1〜13で得られた固
形組成物IIと対比して、水溶性がやや小さいとはいうも
のの、水溶性が良好であるため、電解液の原料として好
適に使用しうるものであることがわかる。
III のy値[バナジウム含有率(重量%)]は、実施例
1〜13で得られた固形組成物IIのy値と対比して、小さ
いことがわかる。
小さいもの(x=2.53におけるy=13.84)であっても、
通常の電解液(バナジウム濃度:2mol/L、SO4 2- 濃度4m
ol/L、y値7.55重量%)と対比して、y 値が約1.8 倍と
いう約2倍に近い高濃度であり、しかも常温において固
形であるので、従来必要とされていた耐酸性の液体用容
器を必要としないため、本発明の固形組成物は、貯蔵性
および輸送性に優れたものである。
60〜2.55であるので、従来通常使用されている電解液
(x値1.50〜2.55) と対比して、ほぼ同一のx値を有す
る。したがって、電解液の調製にあたっては、本発明の
固形組成物を用いた場合には、あらかじめ、本発明の固
形組成物のx値を目的とする電解液のx値に整合させて
おけば、使用時に従来必要とされていた煩雑な硫酸含量
の調整という操作を行わなくても、単に本組成物を水中
に溶解させるだけで、電解液を得ることができるという
利点がある。
例8、実施例17、実施例22、実施例24および実施例30で
得られた固形組成物の熱重量分析の測定結果を示す。
温度での脱水を示す重量減少は、固形組成物IIにおい
て、x の値が1.275 の場合(実施例6)には殆ど認めら
れないが、x の値が1.350 の場合(実施例8)には僅か
に増大していることがわかる。
物III において、x =1.690(実施例17) 、x =1.813(実
施例22) 、 x=2.200(実施例24) およびx =2.530(実施
例30) である場合、重量の減少が僅かに増大する傾向に
あるが、その値は5%程度に留まることがわかる。
明する。
緑色透明性の脆いカルメラ状の固形組成物II459.8g(Vと
して2mol 、H2SO4 として2.55mol 含有)を水900mL お
よび98%硫酸1.45mol(45g)からなる硫酸水溶液(液温約
50℃)に添加して撹拌したところ、1分間で完全に溶解
した。
2-:4mol/L の電解液を得た。この電解液を2分割し、小
型のバナジウムレドックスフロー電池の陽極側と陰極側
に充填して充電した後、放電と充電を100 回繰り返し
た。 電池の性能は、正常であり、かつ劣化などが認めら
れなかった。
緑色の結晶固化物状の固形組成物III619g(Vとして2mo
l 、H2SO4 として4mol 含有)を水900mL に添加して撹
拌したところ、1時間で完全に溶解した。
O4 2-:4mol/L の電解液を得た。この電解液を2分割し、
小型のバナジウムレドックスフロー電池の陽極側と陰極
側に充填して充電した後、放電と充電を100 回繰り返し
たが、電池の性能は、正常であり、かつ劣化などが認め
られなかった。
池電解液用固形組成物は、以下のような効果を奏する。
ウム含有率が高いので、貯蔵・輸送にあたって、その重
量が電解液そのものと比較して格段に低減される。 (2) 従来、輸送にあたって巨大な酸性液体用の貯蔵・輸
送容器を必要としたが、本発明の固形組成物は、このよ
うな容器を必要としないので、極めて経済的である。
業者が定める電解液の組成を配慮して任意にかつ容易に
電解液を製造することができる。すなわち、4価バナジ
ウムイオンと3価バナジウムイオンのモル含有量の比は
電池用電解液としての必要性から、4.5:5.5 〜5.5:4.5
に管理されており、また、そのバナジウム含有量の合計
量を非常に高く設定することができるので、公知のバナ
ジウム含有量1.5 〜2.5mol/Lの電解液の調製は、水また
は硫酸水溶液の量を選ぶことによって容易に対応するこ
とができる。
量に対する比率は、公知のバナジウム電解液におけるそ
の比率よりも低く設定することができるので、その比率
を電解液において、この固形組成物よりも高くすること
が必要な場合には、この固形組成物の溶解の際に適宜硫
酸を追加することにより、極めて簡単に電池用電解液を
得ることができる。
電池電解液用固形組成物において、4価バナジウムイオ
ンおよび3価バナジウムイオンの合計量を50.94 で除し
た値(a値)で、該固形組成物における硫酸の含有量を9
6.1で除した値(b値)を除した値x座標とし、4価バナ
ジウムイオンおよび3価バナジウムイオンのバナジウム
合計含有率(重量%)をy座標とするx−y座標系を示
すグラフである。
る4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの
合計量を50.94 で除した値(Y値) を、硫酸イオンの含有
量を96.1で除した値(Z値) で除した値(Y/Z) をX 値とし
たとき、X 値とY 値との関係を示すグラフである。
17、実施例22、実施例24および実施例30で得られた固形
組成物の熱重量分析の結果を示すグラフである。
物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同
時測定の結果を示すグラフである。
物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同
時測定の結果を示すグラフである。
物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同
時測定の結果を示すグラフである。
物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同
時測定の結果を示すグラフである。
物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同
時測定の結果を示すグラフである。
の実施例6、実施例8、実施例17、実施例22、実施例24
および実施例30で得られた固形組成物の粉末X線回折図
である。
Claims (9)
- 【請求項1】 4価バナジウムイオン、3価バナジウム
イオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物
であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオ
ンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 で
あり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バ
ナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)を
y座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイ
オンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該
組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値を
b値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y
座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.
4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞ
れ結ぶ直線A−B、直線B−C、直線C−Dおよび直線
D−Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特
徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形
組成物。 - 【請求項2】 4価バナジウムイオンがVO2+または[VO
(H2O)5]2+である請求項1記載の固形組成物。 - 【請求項3】 3価バナジウムイオンがV3+ または[V(H
2O)6]3+ である請求項1記載の固形組成物。 - 【請求項4】 4価バナジウムイオン、3価バナジウム
イオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物
であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオ
ンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 で
あり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バ
ナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)を
y座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイ
オンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該
組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値を
b値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y
座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.
4)、点E(1.60, 18.4)および点F(1.60, 21.2)をそれぞ
れ結ぶ直線A−B、直線B−E、直線E−Fおよび直線
F−Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特
徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形
組成物。 - 【請求項5】 4価バナジウムイオンがVO2+または[VO
(H2O)5]2+である請求項4記載の固形組成物。 - 【請求項6】 3価バナジウムイオンがV3+ または[V(H
2O)6]3+ である請求項4記載の固形組成物。 - 【請求項7】 4価バナジウムイオン、3価バナジウム
イオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物
であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオ
ンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 で
あり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バ
ナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)を
y座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイ
オンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該
組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値を
b値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y
座標系において、点F(1.60, 21.2)、点E(1.60, 18.
4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞ
れ結ぶ直線F−E、直線E−C、直線C−Dおよび直線
D−Fで囲まれた領域内にその組成が存在することを特
徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形
組成物。 - 【請求項8】 4価バナジウムイオンがVO2+または[VO
(H2O)5]2+である請求項7記載の固形組成物。 - 【請求項9】 3価バナジウムイオンがV3+ または[V(H
2O)6]3+ である請求項7記載の固形組成物。
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