JP4185311B2 - バナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物 - Google Patents

バナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物 Download PDF

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    • Y02E60/50Fuel cells

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物に関する。さらに詳しくは、原子力発電による夜間の余剰電力を昼間に使用するための貯蔵、太陽光発電や風力発電によって発生した電力の貯蔵などに好適に使用しうるバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電力の貯蔵の必要性がますます増大している。特に、余剰の夜間電力の有効利用を図るべく、揚水式発電所において、夜間電力を利用して揚水を行うことが注目されているが、我が国は国土が狭いことから、その設置に制約を受けている。
【0003】
また、僻地においては、太陽光発電、風力発電などによって得られた電力を貯蔵し、必要時に使用することができることが望まれている。かかる電力を貯蔵するためには、大容量でかつ経済的な二次電池が必要である。この二次電池に適合するものとして、バナジウムレドックスフロー電池が着目されている。
【0004】
バナジウムレドックスフロー電池の電解液には、バナジウムレドックスフロー電池用電解液が用いられている。このバナジウムレドックスフロー電池用電解液は、バナジウム濃度が高いほど電池の容積あたりの能力が高くなるという利点がある。しかし、その反面、バナジウム濃度が高くなると、バナジウム化合物の結晶の析出が起こりやすくなる。そこで、その結晶の生成を抑制するために、種々の添加物を電解液に含有させることが試みられており、ある程度の成果が認められるものの、バナジウム濃度がより高い電解液の開発が待ち望まれている。
【0005】
また、バナジウムを含有する電解液としては、4価バナジウムイオンおよび硫酸イオンを含有する正極用電解液、3価バナジウムイオンおよび硫酸イオンを含有する負極用電解液、ならびに4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオンおよび硫酸イオンを含有する正極・負極共用のスタート用電解液などが知れている。
【0006】
しかし、これらの電解液におけるバナジウム濃度は2mol/L 程度の低濃度であるため、電池の容積あたりの能力のみならず、貯蔵や電解液の輸送コスト面においてもその改善が望まれている。また、電解液に含有されるバナジウム量は、使用される電池の種類によって異なるので、多種類の電解液を調製しておかなければならない。さらに、電解液には、溶媒として一般に硫酸が用いられているため、耐酸性の液体用容器が必要となるばかりでなく、人体に対する安全面でも改善が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、バナジウムレドックスフロー電池用電解液を与える水溶性に優れた固形のバナジウムレドックスフロー電池電解液用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1) 4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結ぶ直線A−B、直線B−C、直線C−Dおよび直線D−Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物(以下、固形組成物Iという)、
【0009】
(2) 4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点E(1.60, 18.4)および点F(1.60, 21.2)をそれぞれ結ぶ直線A−B、直線B−E、直線E−Fおよび直線F−Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物(以下、固形組成物IIという)、ならびに
【0010】
(3) 4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座標系において、点F(1.60, 21.2)、点E(1.60, 18.4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結ぶ直線F−E、直線E−C、直線C−Dおよび直線D−Fで囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物(以下、固形物III という)
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の固形組成物I、IIおよびIII は、いずれも、4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオンおよび硫酸を含有するものである。
【0012】
本発明者らが研究したところによれば、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとをほぼ等モルで混合することによって得られたバナジウムイオンを含有する硫酸水溶液において、その硫酸水溶液に含まれる硫酸量と、バナジウムイオン量とを制御した場合には、固形組成物用溶液を蒸発乾固などによって容易に濃縮させることができ、しかも、得られた固形組成物は、水溶性に優れることが見出された。
【0013】
さらに、この固形組成物から電解液を調製する際に、水量および硫酸量を制御することにより、種々の組成の電解液を容易に調製することができることが見出された。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
【0014】
バナジウムレドックスフロー電池においては、充電の際には正極および負極では以下の反応が起こり、放電の際にはこれらとは逆の反応が起こることが知られている。
【0015】
(正極) V4+ → V5+ + e-
(負極) V3+ + e- → V2+
【0016】
したがって、通常、バナジウムレドックスフロー電池の初期においては、正極室に4価バナジウムイオンを含有する電解液、また負極室に3価バナジウムイオンを含有する電解液が充填されている。しかし、最近では、正極室および負極室に使用する電解液を共通化することによって合理化を図るため、電解液として、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンを等モルで含有する電解液が使用されている。
【0017】
このような4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンを等モルで含有する電解液においては、充電の際には正極および負極では、以下の反応が起こり、放電の際にはこれらとは逆の反応が起こることが知られている。
【0018】
Figure 0004185311
【0019】
しかし、この電解液においては、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとが等モルではなくなった場合には、以下のような現象が生じる。
【0020】
例えば、電解液中のV3+の濃度をp、V4+ の濃度をqとし、濃度pよりも濃度qが高いとき、充電の際には、上記式から、正極側では(2p+q)Fの充電容量が必要であり、また負極では(p+2q)Fの充電容量が必要である。
【0021】
しかし、(2p+q)Fよりも(p+2q)Fが大きいことから、正極側での充電が負極側での充電よりも先に終了するため、正極側のVはすべてV5+ となるのに対し、負極側ではそれ以上充電が進行しないことからVのすべてがV2+ となるという正規の充電完了状態を達成することができない。このことから、負極側での充電が十分ではないことになる。
【0022】
例えば、V3+濃度pが0.4 であり、V4+ 濃度qが0.6 である場合、充電可能率〔(2p+q)/(p+2q)×100 〕は、1.4/1.6 ×100 =87.5%となり、100 %近くにはならない。
【0023】
そこで、本発明においては、充電可能率を高めつつ、電池を充電する際に分極が生じるのを回避するために、通常完全には充電させないことを考慮して、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジウム含有量の重量比(4価バナジウム/3価バナジウム)が 4.5:5.5〜5.5:4.5 、好ましくは4.7:5.3 〜5.3:4.7 となるように規定されている。このように、当該モル比を所定値に規定することにより、充電可能率を93.5%以上とすることができる。なお、当該重量比が 4.5:5.5〜5.5:4.5 である場合、通常、電池業界で使用されている表現方法に従えば、バナジウムイオン全体の平均価数は、3.45〜3.55となる。
【0024】
ここで、本明細書にいう「充電可能率」(%)とは、前述したように、正極側または負極側のうち充電容量が少ない側の充電容量を、充電容量が多い側の充電容量で除した値に100 を乗じた値をいう。
【0025】
4価のバナジウムイオンは固体中においても、溶液中においても、単なるV4+として存在することは認められておらず、VO2+または[VO(H2O)5]2+として存在する。後者は、バナジウム(IV)ペンタ−アクアカチオンと称される。
【0026】
3価のバナジウムイオンは、固体、例えば難水溶性の固体の硫酸バナジウム(III) またはその水和物においてはV3+ として存在する。
【0027】
一方、水溶液中および本発明のごとき水溶性の高い固体中では、[V(H2O)5 2+] 、すなわちバナジウム(III) ヘキサ−アクアカチオンとしても存在する。
【0028】
本発明の固形組成物における4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)[バナジウム含有率(重量%)]をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値 [硫酸のバナジウムに対するモル比率] をx座標とするx−y座標系について説明する。このx−y座標系を図1に示す。
【0029】
固形組成物Iは、図1に示されるx−y座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結ぶ直線A−B、直線B−C、直線C−Dおよび直線D−Aで囲まれた領域内にその組成が存在する。この領域は、固形組成物IIの領域と固形組成物III の領域とを合体させたものである。固形組成物Iは、この広い領域を有し、水溶性に優れるという利点がある。
【0030】
また、固形組成物IIは、前述のx−y座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点E(1.60, 18.4)および点F(1.60, 21.2)をそれぞれ結ぶ直線A−B、直線B−E、直線E−Fおよび直線F−Aで囲まれた領域内にその組成が存在し、水溶性に極めて優れるとともに、透明性が高く、ガラス状を呈するが、ガラスのように加熱しても溶融してガラス転移状態を呈さない。
【0031】
また、固形組成物III は、前述のx−y座標系において、点E(1.60, 18.4)、点F(1.60, 21.2)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結ぶ直線F−E、直線E−C、直線C−Dおよび直線D−Fで囲まれた領域内にその組成が存在する。固形組成物III は、通常、黄緑色ないし緑色を有する硬い結晶固形物である。固形組成物III は、水溶性が良好であるという利点がある。また、通常使用されている電解液におけるx値が1.5 〜2.55であるのに対し、この固形組成物III におけるx値は、1.60〜2.55であるので、煩雑な硫酸濃度を調整するという操作を行わずに、ただ単に水に溶解させるだけで電解液を得ることができるという利点がある。
【0032】
したがって、本発明の固形組成物I〜III は、いずれも、前述の領域内に存在することにより、後述する実施例で明らかにされているように、バナジウムレドックスフロー電池用電解液を与える水溶性が優秀ないし良好な固形の組成物となるのである。
【0033】
次に、固形組成物I、固形組成物IIおよび固形組成物III の製造方法について詳細に説明する。
【0034】
本発明の電解液用固形組成物は、まず、4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、硫酸イオンおよび水を所定の比率で含有する溶液状組成物を調製し、これを固形物析出に至るまで濃縮することによって、製造される。
【0035】
すなわち、まず、下記の硫酸水溶液に溶解した後に、溶液中の4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとにおけるバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 となるように、4価バナジウム化合物および3価バナジウム化合物を含有する原料の量を計算して硫酸水溶液に溶解する。
【0036】
該原料としては、二酸化バナジウム(VO2) 、三酸化バナジウム(V2O3)またはこれらを含有するバナジウム低級酸化物、硫酸バナジウム(IV)(VOSO4・nH2O) 、硫酸バナジウム(III)[V2(SO4)3・nH2O] (nは0または2〜5の整数を示す。以下同じ)などが用いられる。
【0037】
また、3価と4価の比率の調整のために、五酸化バナジウム(V2O5)を添加して、3価のバナジウムイオンを4価にすることもできる。
【0038】
該硫酸水溶液として、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94(4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの化学式量) で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1(硫酸イオンの化学式量)で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx値とするとき、x値が固形組成物I、固形組成物IIおよび固形組成物III のそれぞれにおいて定めた値となるような硫酸イオンを含有したものを使用する。
【0039】
このように原料の種類と量を定めて溶解を行うことによって、次の蒸発濃縮工程で、固形組成物I、固形組成物IIおよび固形組成物III とするための液状の組成物が得られる。
【0040】
この固形組成物製造用の液状の組成物の組成において、4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計濃度をY(mol/L)、硫酸の濃度をZ(mol/L)、硫酸の濃度(Z) と4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンのバナジウム合計濃度(Y) との比(Z/Y)[(硫酸の濃度(Z))/(4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計濃度(Y))] をX とする。
【0041】
X およびY を両軸にとったX-Y 座標系において、その中の所定の領域が、蒸発乾固の後に前記固形組成物におけるx-y 座標系で規定された領域を満足するように、固形組成物製造用の液状組成物に含有される硫酸の量を調整することにより、固形組成物を得ることができる。
【0042】
因みに液状組成物におけるX の値は固形組成物におけるx の値と実質的に一致する。
【0043】
更に、より具体的に固形組成物製造用の液状組成物および固形組成物の製造条件の例を説明する。
【0044】
該組成物の原料としては純粋の酸化バナジウム(III) や酸化バナジウム(IV)の使用は勿論可能であるが、高価である場合が多いので、通常はバナジウム低級酸化物、硫酸バナジウム(IV)(VOSO4・nH2O) または酸化バナジウム(V)(V2O5) を原料として使用する。
【0045】
好ましい溶解手順としては、酸化バナジウム(III) またはバナジウム低級酸化物、すなわち酸化バナジウム(III) と酸化バナジウム(IV)との混合物を硫酸濃度が40%以上、好ましくは4〜65%の硫酸水溶液に添加し、115 〜125 ℃の温度に加熱して溶解させる。
【0046】
この場合、硫酸濃度が45%以下であるかまたは温度が115 ℃以下である場合には、酸化バナジウム(III) と硫酸との反応が十分に進行しないため、酸化バナジウム(III) の全てが硫酸バナジウム(III) とはならず、酸化バナジウム(III) の著量がそのまま残存する。
【0047】
これとは逆に硫酸濃度が65%以上であるかまたは温度が125 ℃以上である場合には、酸化バナジウム(III) と硫酸との反応は十分に起こるが、硫酸バナジウム(III) 含水塩、V2(SO4)3・nH2Oの析出が著しくなる。
【0048】
この溶解に伴って生成する硫酸バナジウム(III) 含水塩[V2(SO4)3 ・nH2O] は、その後の工程において水を添加し、125 ℃以下に保つことによって析出物を溶解させることができる。
【0049】
しかし、その生成を避けるか、または最小限とする溶解条件を採用することが好ましい。
【0050】
更に硫酸濃度85%以上でかつ温度が160 ℃以上に達すると難水溶性の無水硫酸塩[V2(SO4)3]が生成するに至る。
【0051】
この難水溶性の硫酸バナジウム(III) 無水物[V2(SO4)3]もその後の工程において水を添加し、125 ℃以下の温度に保つことによって溶解させることができる。
【0052】
なお、バナジウム低級酸化物が酸化バナジウム(III) を酸化バナジウム(IV)よりも多く含有している場合には、溶解後の4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの比率の調整のためには、硫酸バナジウム(IV)[VOSO4・nH2O] または酸化バナジウム(V)(V2O5) を原料溶解の際または溶解後の適当な時期に添加することが好ましい。また、この調整は酸化バナジウム(V)(V2O5) を添加することによっても行うことができる。
【0053】
これとは逆にバナジウム低級酸化物が酸化バナジウム(IV)を酸化バナジウム(III) よりも多く含有している場合には、溶解後の4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの比率の調整のため、酸化バナジウム(III) を酸化バナジウム(IV)よりも多く含有しているバナジウム低級酸化物をこの調整に使用することができる。
【0054】
本発明の固形組成物I〜III は、それぞれ、例えば、以下のようにして調製することができる。
【0055】
まず、固形組成物Iについては、図2に示されるように、X-Y 座標系において、点▲1▼(1.25, 6.5) 、点▲3▼(2.55, 3.5) 、点▲4▼(2.55, 1.0) および点▲6▼(1.25, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線▲1▼−▲3▼、直線▲3▼−▲4▼、直線▲4▼−▲6▼、直線▲6▼−▲1▼で囲まれた領域内にその組成が存在するように、前述した方法により、固形組成物I用溶液を調製する。
【0056】
次に、例えば、固形組成物I用溶液を減圧乾燥させることによって固形組成物Iを析出させることができる。減圧乾燥させる際の条件、例えば、減圧度および温度は、任意に広い範囲に設定することができる。
【0057】
しかし、固形組成物I用溶液の乾燥の最終段階においては、その加熱温度があまりにも低い場合には、十分に脱水させることができないため、かかる加熱温度は、60℃以上、好ましくは80℃以上とすることが望ましい。
かくして、本発明の固形組成物Iを得ることができる。
【0058】
また、本発明の固形組成物IIの製造においては、X-Y 座標系において、点▲1▼(1.25, 6.5) 、点▲2▼(1.60, 5.0) 、点▲5▼(1.60, 1.0) および点▲6▼(1.25, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線▲1▼−▲2▼、直線▲2▼−▲5▼、直線▲5▼−▲6▼、直線▲6▼−▲1▼で囲まれた領域内にその組成が存在するように、前述した方法により、固形組成物II用溶液を調製する。
【0059】
次に、固形組成物Iの製造におけるのと全く同様に、固形組成物II用溶液を減圧乾燥させることによって固形組成物IIを析出させることができる。
【0060】
また、本発明の固形組成物III の製造においては、X-Y 座標系において、点▲2▼(1.60, 5.0) 、点▲3▼(2.55, 3.5) 、点▲4▼(2.55, 1.0) および点▲5▼(1.60, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線▲2▼−▲3▼、直線▲3▼−▲4▼、直線▲4▼−▲5▼および直線▲5▼−▲1▼で囲まれた領域内にその組成が存在するように、前述した方法により、固形組成物III 用溶液を調製する。
【0061】
次に、固形組成物Iの製造におけるのと全く同様に、固形組成物III 用溶液を減圧乾燥させることによって固形組成物III を析出させることができる。
【0062】
【実施例】
次に、本発明を実施例等に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
製造例1(固形組成物用溶液)
酸化バナジウム(III)[V 含有率:67.91%]56.25g(V38.21g=0.75mol) および55重量%硫酸水溶液207.1 g(H2SO4113.9g=1.1625mol) を1000mL容のフラスコ内に仕込み、攪拌下、125 〜130 ℃に加熱したところ、硫酸バナジウム(III) 含水塩(V2(SO4)3 ・mH2O(mは1〜6の整数を示す。以下同じ) の結晶の懸濁溶液が得られた。
【0064】
次に、この懸濁液に、硫酸バナジウム(IV)含水塩(VOSO4・nH2O(nは4〜6の整数を示す)[V含有率、21.93 %]174.2g(V38.21g=0.75mol) および水220mL を添加し、攪拌下、100 〜110 ℃に加熱した後、微量の不溶解物を濾過により除去し、ついで濾液に水を加え、液量を500mL に調整し、固形組成物用溶液を得た。
【0065】
かくして得られた固形組成物用溶液は、含有する3価バナジウムイオンと4価バナジウムイオンのモル含有量の比(3価バナジウムイオンの含有重量を50.94 で除した値と4価バナジウムイオンの含有重量を50.94 で除した値との比。以下同じ)が0.498:0.502 であり、硫酸濃度(Z) が3.825mol/L、硫酸の濃度(Z) と4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計量(Y) 3mol/L との比(X) が1.275 の溶液であった。
【0066】
製造例2(固形組成物用溶液)
酸化バナジウム(III)[V 含有率:67.91%]70.3g[V47.74g=0.938mol]および55重量%硫酸水溶液335.0g(H2SO4184.25g=1.88mol)を1000mL容のフラスコ内に仕込み、攪拌下、115 〜125 ℃に加熱したところ、硫酸バナジウム(III) 含水塩、 V2(SO4)3・mH2Oの結晶の懸濁を有する溶液が得られた。
【0067】
次に、この懸濁液に、酸化バナジウム(V2O5 としての純度99.7%)28.5g(V15.9=0.313mol)および水290mL を添加し、攪拌下、100 〜110 ℃に加熱した後、微量の不溶解物を濾過により除去し、ついで濾液に水を加え、液量を500mL に調整し、固形組成物用溶液を得た。
【0068】
かくして得られた固形組成物用溶液は、含有する3価バナジウムイオンと4価バナジウムイオンのモル含有量の比が0.503:0.497 であり、硫酸濃度(Z) が3.75mol/L 、硫酸の濃度(Z) と4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計量(Y)2.5mol/L との比(X) が1.50の溶液であった。
【0069】
製造例3(固形組成物用溶液)
バナジウム低級酸化物62.2g[V(III)40.96 %](V 含有量25.48g=0.500mol)、V(IV)24.01%(V含有量14.93g=0.293mol)および65重量%硫酸水溶液270.3 g(1.793mol)を1000mL容のフラスコ内に仕込み、攪拌下、115 〜125 ℃に加熱したところ、硫酸バナジウム(III) 含水塩、 V2(SO4)3・mH2Oの結晶の懸濁を有する溶液が得られた。
【0070】
次に、この懸濁液に、硫酸バナジウム(IV)[VOSO4・nH2O] (V含有率21.93 %) 48.01g(V10.54g=0.207mol)および水240mL を添加し、攪拌下、100 〜110 ℃に加熱した後、微量の不溶解物を濾過により除去し、ついで濾液に水を加え、液量を500mL に調整し、固形組成物用溶液を得た。
【0071】
かくして得られた固形組成物用溶液は、含有する3価バナジウムイオンと4価バナジウムイオンのモル含有量の比が0.502:0.498 であり、硫酸濃度(Z) が4.00mol/L 、硫酸の濃度(Z) と4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計量(Y) 2.00mol/L との比X が2.00の溶液であった。
【0072】
実施例1〜30および比較例1〜7
次に、固形組成物用溶液の製造例1〜3に示された方法で固形組成物I用、固形組成物II用および固形組成物III 用の溶液として、下記のX-Y の特定の領域内に存在する溶液を調製した。
【0073】
なお、X-Y の特定の領域内の値は、以下に説明するように該溶液を蒸発乾固することによって固形組成物I、固形組成物IIおよび固形成物III を容易に得ることができるときの値である。
【0074】
以下に記載する固形組成物用溶液におけるX-Y 座標系において、X およびY は、次のように定義する。
【0075】
該固形組成物用溶液の4価バナジウムと3価バナジウムとの合計濃度をYmol/L、硫酸の濃度をZmol/Lとし、その比率をX=Z/Y とする。
【0076】
該X-Y 座標系において、固形組成物Iを得るためのX-Y の領域は、図2に示されているように、点▲1▼(1.25, 6.5) 、点▲2▼(1.60, 5.0) 、点▲3▼(2.55, 3.5) 、点▲4▼(2.55, 1.0) および点▲6▼(1.25, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線▲1▼−▲2▼、直線▲2▼−▲3▼、直線▲3▼−▲4▼、直線▲4▼−▲6▼および直線▲6▼−▲1▼で囲まれた領域である。
【0077】
また、X-Y 座標系において、固形組成物IIを得るためのX-Y の領域は、図2に示されるように、点▲1▼(1.25, 6.5) 、点▲2▼(1.60, 5.0) 、点▲5▼(1.60, 4.2) および点▲6▼(1.25, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線▲1▼−▲2▼、直線▲2▼−▲5▼、直線▲5▼−▲6▼および直線▲6▼−▲1▼で囲まれた領域である。
【0078】
同様に、X-Y 座標系において、固形組成物III を得るためのX-Y の領域は、図2に示されている点▲2▼(1.60, 5.0) 、点▲3▼(2.55, 3.5) 、点▲4▼(2.55, 1.0) 、および点▲5▼(1.60, 1.0) および点▲6▼(1.60, 1.0) をそれぞれ結ぶ直線▲2▼−▲3▼、直線▲3▼−▲4▼、直線▲4▼−▲5▼および直線▲5▼−▲2▼で囲まれた領域である。
【0079】
以上説明したように、前記X-Y 座標系において、特定の領域範囲内にある固形組成物用溶液を例えば蒸発などによって濃縮することにより、本発明の固形組成物を得ることができる。
【0080】
上記の特定の領域範囲内にある固形組成物用溶液を調製し、これをロータリーエバポレーター中に仕込み、20〜30Torr(2660 〜3990Pa) の減圧下に55〜85℃に加熱して水分を蒸発させ、固形物が析出する蒸発の終点付近での加熱温度を表1に記載の温度とした。表1は、それを実施例1〜30および比較例1〜7についてまとめたものである。
表1に記載された実験で用いられた分析方法などを以下に示す。
【0081】
〔固形組成物のバナジウム含有率(y) 〕
固形組成物を乳鉢にて粒子径が150 μm以下となるように粉砕した。得られた粉砕物のバナジウム含有率(y)(重量%)を過マンガン酸カリウム滴定法によって測定した。
【0082】
〔固形組成物の外観など〕
固形組成物の外観を目視により観察するとともに、室温(約20℃)における性状を調べた。
【0083】
〔水溶性〕
粒子径が150 μm以下となるように粉砕した固形組成物の粉砕物(V100 %換算:2.0g) を50mL容のビーカーに入れた20〜30℃の水25mLに添加し、マグネチックスターラーでその水を攪拌し、固形組成物の粉砕物が水中に溶解するのに要する時間を測定した。
【0084】
【表1】
Figure 0004185311
【0085】
表1に示されているように、実施例1〜30において、固形組成物Iは実施例1〜30のすべてにおいて得られ、固形組成物IIは実施例1〜13で得られ、また固形組成物III は実施例14〜30で得られていることがわかる。
【0086】
また、比較例1〜7は、いずれも、固形組成物I、IIおよびIII の組成範囲から逸脱しており、本発明の目的に適う固形組成物は得られないものであることがわかる。
【0087】
以上の結果を踏まえて、本発明の固形組成物I〜III について、考察してみる。
【0088】
4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量をバナジウムの化学式量50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量をSO4 2- の化学式量96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx[ 厳密さを欠くが、簡単な表現をすれば、xはバナジウムに対する硫酸のモル比と見なされる] とすると、原料として使用した4価バナジウム化合物および3価バナジウム化合物をVOSO4 ・nH2OおよびV2(SO4)3・mH2Oまたはそれらのイオン化した形とするのに最低限必要なx値は、式:x=(1+1.5)/2=1.25より、1.25である。
【0089】
従ってx=1.25において得られる余分のH2O もH2SO4 も含有しない固形組成物の組成式が[V2(SO4)3 +2VOSO4] であると考えられるので、その組成に対するV含有率の計算値(%)をΨとすると、
Ψ=4V/ [V2(SO4)3+2VOSO4] から、
Ψ=4V/(4V+5SO4+2×O)=28.47 %
と計算される。
【0090】
しかし、実測値y は、このΨ値よりも明らかに低く、しかも、蒸発乾固の条件に支配され、約23.2〜約20.3の間となることが判った。
【0091】
また、x=1.50において余分の水分を含有せず、遊離の(1.50 〜1.25)H2SO4を含有する固形組成物が得られることになるので、その組成に対するV含有率(%)をΨとすると
Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O) +4(1.50−1.25)H2SO4] =25.04 %となり、
x=1.75において同様の計算をすると
Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O) +4(1.75−1.25)H2SO4] =22.35 %となり、
x=2.00において同様の計算をすると
Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O)+4(2.00−1.25)H2SO4] =20.38 %となり、
x=2.25において同様の計算をすると
Ψ=4V/[(4V +5SO4+2×O)+4(2.25−1.25)H2SO4 ]=18.56 %となり、
x=2.50において同様の計算をすると
Ψ=4V/[4V+5SO4+2×O] +4(2.50−1.25)H2SO4] =17.04 %となり、
x=2.75において同様の計算をすると
Ψ=4V/[(4V +5H2SO4+2×O)+4(2.50−1.25)H2SO4] =15.75 %となる。
【0092】
これらのΨの計算値をプロットした結果を図1に示す。これらの点は、図1において、点α、点β、点γ、点δ、点ε、点ζおよび点ηで表される。
【0093】
実際に得られた固形組成物では、表1の各x値およびy値で定まる領域は、図1に示したように、点α、点β、点γ、点δ、点ε、点ζおよび点ηを結んだ線よりも明らかに下方に形成されている。例えば、xが1.25である場合、yは23.20 〜21.49 の間に存在するため、点αよりも下方にあることがわかる。
【0094】
これは、本発明の固形組成物は何れも蒸発乾固によっては容易に除去されない水を有していることを示している。
【0095】
このことを明示するため、実施例6、実施例8、実施例17、実施例22、実施例24および実施例30で得られた固形組成物の熱重量分析を行った。その結果を図3に示す。
【0096】
図3に示された結果から、100 〜120 ℃での脱水を示す重量減少は、x値が1.275 の場合(実施例6)には、殆ど認められない。また、x値が1.275 から1.350(実施例8)、1.690(実施例17) 、1.813(実施例22) 、2.200(実施例24) 、2.530(実施例30)へと大きくなると重量の減少が僅かに増大するが、その値は5%程度に留まることが示されている。
【0097】
このことから、通常の蒸発乾固の条件は、110 ℃以下であるので、蒸発乾固においては除去されない水が存在することが明らである。
【0098】
更に、固形組成物の脱水減少を明らかにするために、実施例6、実施例8、実施例17、実施例24および実施例30で得られた固形組成物について、重量分析(TG)、微分熱重量分析(DTG)および示差熱分析(DTA)を同時に調べた。それらの結果をそれぞれ順に、図4、図5、図6、図7および図8に示す。
【0099】
図4〜8の各図において、横軸は温度、縦軸に関しては、DTGでは試料の重量変化率(%)曲線を温度に関して微分した値、TGでは試料の重量変化率(%)、μVは基準物質(α−アルミナ)と試料の温度測定用の熱伝対の電位差を示している。
【0100】
これらの結果から、脱水に起因する微分熱重量分析(DTG)および示差熱分析(DTA)の曲線のピークは、x 値が1.275 である場合(実施例6)には、180 ℃付近と350 ℃付近に鈍いながら認められるに留まることがわかる。また、x 値が1.275 から1.350(実施例8)、1.690(実施例17) 、2.200(実施例24) 、2.530(実施例30)へと大きくなるにしたがって、ピークが鋭くなるが、その位置は、やはり180 ℃以上の高温であることがわかる。いずれの場合にも、500 ℃以上の温度であっても、その曲線にはピークが存在するが、この段階までの重量減少は、合計で30%を超えるのに対して、図1に示すΨ値の曲線とy 値の曲線との乖離は25%程度であるので、脱水にのみ基づくものとは考えられがたく、分解による寄与があるものと考えられる。
【0101】
表1および図1を仔細に観察すると、同一のx 値に対しても蒸発の終点温度によってy 値に差があることが示されている。また、同一のx 値および蒸発終点温度においても、多数回の実験でy 値は完全には一定しない。
【0102】
これはy値は、蒸発・固形化条件の僅かの差によって支配されやすく、得られた固形組成物が吸湿性に富んでいるためであると考えられる。
【0103】
一方、表1の比較例1〜7および図1のyの下限よりも下の部分のデータから、蒸発乾固の温度を低くすることにより、より低いy値の固形組成物を得ようとしても組成物は固形物とはならず、飴状ないし餅状に留まることがわかる。
【0104】
まず、固形組成物Iについて説明する。固形組成物Iは、本発明の固形組成物全体を範囲としている。
【0105】
すなわち、x(硫酸のバナジウム含有量に対するモル倍率)が1.25と低く、固形化の最終温度が110 ℃と高く、y(固形組成物のバナジウム含有率(重量%))が23.2%と極めて高いものから、xが2.55と高く、yが13.0%と比較的低いものまでが広範囲に含まれる。しかし、この広範囲の固形組成物は何れも水への溶解性を有している。
【0106】
したがって、目的の電解液の組成に応じて、水または必要により水および硫酸を本発明の固形組成物の中から選択したものに加えることにより、所望の組成を有する電解液を容易に製造することができる。
【0107】
次に、本発明の固形組成物IIについて、さらに詳細に説明する。
表1を詳細に観察すると、組成物の全体の範囲を含む固形組成物Iは、xが1.60付近である点を境界として、その前後、すなわち、固形組成物IIと固形組成物III とでは性質に差があることわかる。
【0108】
すなわち、xが1.25〜1.60の範囲内にある場合には、固形組成物IIが深緑色の光沢のある脆いカルメラ状として得られる。その調製過程の濃縮においては、固形組成物用溶液は高粘度の液体であるが、水分がある程度まで蒸発し、減少した時点で透明なカルメラ状の固形物に変化する。
【0109】
その状況は、カルメラの生成状況と酷似している。ここで、「カルメラの生成状況」とは、砂糖(ザラメ)に水を加えて溶解した後、加熱濃縮し、粘度が高くなった時点で重炭酸ナトリウムを添加すると、発泡とともに残余の水分が除去され、砂糖の脆い発泡体、すなわちカルメラが生じることをいう。
【0110】
これに対して、xが1.60よりも大きい領域では、この濃縮における生成物は黄色味と硬度を増し、さらにxが2.0 よりも大きい領域では、緑色の硬い結晶固化物が生成する。
【0111】
このことから明らかなように、xが1.25〜1.60の範囲内にある領域と、xが1.60〜2.55の範囲内にある領域とでは、得られる固形組成物の性質が大きく異なることがわかる。
【0112】
生成した固形組成物IIは、脆くて透明性が高いので、一見すればガラス状とも見受けられる。しかし、ガラスのように加熱しても溶融してガラス転移状態を経て溶融することはない。
【0113】
また、生成した固形組成物IIは、成長した結晶のようにも見受けられる。しかし、粉末X線回折を行ったところ、非晶質であることが判明した。
【0114】
例えば、図9(a) に示す実施例6で得られた固形組成物(x=1.275)の粉末X線回折図から明らかなように、2θ=18.8°に頂点を有する非常に幅の広いブロードなピークのみが認められることから、生成した固形組成物IIには、明確な結晶が存在していないことがわかる。
【0115】
なお、粉末X線回折図において、横軸は回折角(2θ)、縦軸は回折強度I(1秒あたりのカウント数:cps) を示す。
【0116】
また、実施例8で得られた固形組成物(x=1.35)の粉末X線回折図を図9(b) に示す。
【0117】
図9(b) に示された結果では、2θ=27°付近でX線回折強度が増大しているものの、図9(a) に示された結果と同様に、幅の広いブロードなピークのみが認められることから、実施例8で得られた固形組成物もやはり、明確な結晶が存在していないことがわかる。
【0118】
次に、固形組成物IIの水溶性を調べたところ、非常に水に溶解しやすい性質を有することが判明した。その水に対する溶解性の測定結果を表1に示す。
【0119】
表1に示された結果から、固形組成物のx値が1.25に近いほど水に溶解しやすく、x値が大きくなるにしがって溶解性が低下するが、xが1.60を超える場合であっても、水への溶解性が優れることがわかる。
【0120】
表1および図1の結果から、y値(4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウムの合計バナジウム含有重量%)はx値、すなわち、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa 値とし、硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb 値としたときx=b/a の値が1.25に近づくほど高くなり、その最大値が23.20 %となる。
【0121】
この固形組成物IIは、水を含有していることから、そのy値は、図1の最も上方に示されたΨ値(水を含有しないとしたときのバナジウム含有量 [重量%] の計算値)よりも低い。したがって、y値を高く保つ場合には、水分量を低減させるために、調製の最終段階における温度を高く設定することが好ましい。
【0122】
しかし、例えば、実施例6および実施例8で得られた固形組成物IIにおいては、図4および図5の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同時測定結果に示されるように、脱水が130 〜170 ℃付近から一部起こると考えられる。
【0123】
したがって、通常の蒸発乾固における温度(140℃以下) では、脱水が極めて僅かしか起こらないものと判断される。
【0124】
他方、固形組成物II 10gを関係湿度約60%の空気中に放置すると、2時間後には10.8g となり、一夜後には12.7g の吸湿した塊となった。この結果から、固形組成物IIの吸湿性が極めて高いことがわかる。
【0125】
これらのことから、固形組成物の調製の際の温度、湿度などにより、x値が同一であってもy値が異なるという現象が生じることがわかる。
【0126】
また、y の値(固形組成物のバナジウム含有率)が例えば23.20 重量%である本発明の固形組成物は、従来の電解液(バナジウム濃度2mol/L、SO4 2- 濃度4mol/L、y の値:7.90 重量%)と比較するとy の値が約3倍であることから、遙かに濃厚であり、しかも常温において固形であるので、従来必要とされていた耐酸性の液体用容器を必要としないため、本発明の固形組成物は、貯蔵性および輸送性に優れたものである。
【0127】
本発明の固形組成物のx値は、通常の電解液における値である1.5 〜2.55よりも小さい場合がある。この場合には、電解液を調製する際に、固形組成物を単に水に溶解させるのではなく、必要により、硫酸を添加すればよい。
【0128】
次に、固形組成物III についてさらに詳細に説明する。
固形組成物III は、固形組成物Iのうち、固形組成物IIを除いた部分である。固形組成物III は、実施例14〜30(1.60 < x≦2.55) の結果から明らかなように、黄緑色ないし緑色の硬い結晶性固形物である。
【0129】
実施例14〜30で得られた固形組成物III のうち、実施例17で得られた固形組成物(x=1.69) 、実施例22で得られた固形組成物(x=1.813)、実施例24で得られた固形組成物(x=2.20) 、および実施例30で得られた固形組成物(x=2.53) について、粉末X線回折を行った。その結果をそれぞれ、図9(c) 、図9(d) 、図9(e) および図9(f) に示す。
【0130】
図9(c) 〜9(f) に示された粉末X線回折図において、各ピークのすべての帰属を特定することが困難であるが、VOSO4 ・3H2O に基づくとみられるピーク(2θ=11.4〜11.5°、19.7〜19.9°、37.5〜37.6°)には△、V2SO4 ・H2O に基づくとみられるピーク(2θ=18.6°)には○、V2S4O14 ・3H2O に基づくとみられるピーク(2θ=26.2〜26.3°) には×のマークを付したが、その他にも結晶を示す鋭い回折ピークが観測された。また、これらの粉末X線回折図は、実施例6および8で得られた固形組成物の粉末X線回折図(図9(a) および図9(b) )とは、まったく異なることがわかる。
【0131】
実施例14〜30で得られた固形組成物III の水溶性を表1に示す。表1に示された結果から明らかなように、固形組成物III は、実施例1〜13で得られた固形組成物IIと対比して、水溶性がやや小さいとはいうものの、水溶性が良好であるため、電解液の原料として好適に使用しうるものであることがわかる。
【0132】
また、実施例14〜30で得られた固形組成物III のy値[バナジウム含有率(重量%)]は、実施例1〜13で得られた固形組成物IIのy値と対比して、小さいことがわかる。
【0133】
しかし、固形組成物III の中でy値が最も小さいもの(x=2.53におけるy=13.84)であっても、通常の電解液(バナジウム濃度:2mol/L、SO4 2- 濃度4mol/L、y値7.55重量%)と対比して、y 値が約1.8 倍という約2倍に近い高濃度であり、しかも常温において固形であるので、従来必要とされていた耐酸性の液体用容器を必要としないため、本発明の固形組成物は、貯蔵性および輸送性に優れたものである。
【0134】
ところで、本発明の固形組成物のx値は1.60〜2.55であるので、従来通常使用されている電解液(x値1.50〜2.55) と対比して、ほぼ同一のx値を有する。したがって、電解液の調製にあたっては、本発明の固形組成物を用いた場合には、あらかじめ、本発明の固形組成物のx値を目的とする電解液のx値に整合させておけば、使用時に従来必要とされていた煩雑な硫酸含量の調整という操作を行わなくても、単に本組成物を水中に溶解させるだけで、電解液を得ることができるという利点がある。
【0135】
図3は、前述したように、実施例6、実施例8、実施例17、実施例22、実施例24および実施例30で得られた固形組成物の熱重量分析の測定結果を示す。
【0136】
図3に示された結果から、100 〜120 ℃の温度での脱水を示す重量減少は、固形組成物IIにおいて、x の値が1.275 の場合(実施例6)には殆ど認められないが、x の値が1.350 の場合(実施例8)には僅かに増大していることがわかる。
【0137】
また、図3に示された結果から、固形組成物III において、x =1.690(実施例17) 、x =1.813(実施例22) 、 x=2.200(実施例24) およびx =2.530(実施例30) である場合、重量の減少が僅かに増大する傾向にあるが、その値は5%程度に留まることがわかる。
【0138】
以下に、本発明の固形組成物の使用例を説明する。
【0139】
使用例1
実施例4で得られたバナジウム含有率22.16 重量%の深緑色透明性の脆いカルメラ状の固形組成物II459.8g(Vとして2mol 、H2SO4 として2.55mol 含有)を水900mL および98%硫酸1.45mol(45g)からなる硫酸水溶液(液温約50℃)に添加して撹拌したところ、1分間で完全に溶解した。
【0140】
これを水で1000mLに希釈し、V:2mol/L、SO2-:4mol/L の電解液を得た。
この電解液を2分割し、小型のバナジウムレドックスフロー電池の陽極側と陰極側に充填して充電した後、放電と充電を100 回繰り返した。 電池の性能は、正常であり、かつ劣化などが認められなかった。
【0141】
使用例2
実施例25で得られたバナジウム含有率16.46 重量%の黄緑色の結晶固化物状の固形組成物III619g(Vとして2mol 、H2SO4 として4mol 含有)を水900mL に添加して撹拌したところ、1時間で完全に溶解した。
【0142】
これを水で1000mLに希釈し、V:2mol/L、 SO4 2-:4mol/L の電解液を得た。
この電解液を2分割し、小型のバナジウムレドックスフロー電池の陽極側と陰極側に充填して充電した後、放電と充電を100 回繰り返したが、電池の性能は、正常であり、かつ劣化などが認められなかった。
【0143】
【発明の効果】
本発明のバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物は、以下のような効果を奏する。
【0144】
(1) 本発明の固形組成物は、固形でバナジウム含有率が高いので、貯蔵・輸送にあたって、その重量が電解液そのものと比較して格段に低減される。
(2) 従来、輸送にあたって巨大な酸性液体用の貯蔵・輸送容器を必要としたが、本発明の固形組成物は、このような容器を必要としないので、極めて経済的である。
【0145】
(3) 本発明の固形組成物から、電池の製造業者が定める電解液の組成を配慮して任意にかつ容易に電解液を製造することができる。
すなわち、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのモル含有量の比は電池用電解液としての必要性から、4.5:5.5 〜5.5:4.5 に管理されており、また、そのバナジウム含有量の合計量を非常に高く設定することができるので、公知のバナジウム含有量1.5 〜2.5mol/Lの電解液の調製は、水または硫酸水溶液の量を選ぶことによって容易に対応することができる。
【0146】
さらに、その硫酸含有量のバナジウム含有量に対する比率は、公知のバナジウム電解液におけるその比率よりも低く設定することができるので、その比率を電解液において、この固形組成物よりも高くすることが必要な場合には、この固形組成物の溶解の際に適宜硫酸を追加することにより、極めて簡単に電池用電解液を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物において、4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計量を50.94 で除した値(a値)で、該固形組成物における硫酸の含有量を96.1で除した値(b値)を除した値x座標とし、4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標とするx−y座標系を示すグラフである。
【図2】図2は、固形組成物調製用の液状組成物における4価バナジウムイオンおよび3価バナジウムイオンの合計量を50.94 で除した値(Y値) を、硫酸イオンの含有量を96.1で除した値(Z値) で除した値(Y/Z) をX 値としたとき、X 値とY 値との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の実施例6、実施例8、実施例17、実施例22、実施例24および実施例30で得られた固形組成物の熱重量分析の結果を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の実施例6で得られた固形組成物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同時測定の結果を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施例8で得られた固形組成物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同時測定の結果を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施例17で得られた固形組成物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同時測定の結果を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の実施例24で得られた固形組成物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同時測定の結果を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の実施例30で得られた固形組成物の熱重量分析、微分熱重量分析および示差熱分析の同時測定の結果を示すグラフである。
【図9】図9は、(a) 〜(f) の順に、それぞれ、本発明の実施例6、実施例8、実施例17、実施例22、実施例24および実施例30で得られた固形組成物の粉末X線回折図である。

Claims (9)

  1. 4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結ぶ直線A−B、直線B−C、直線C−Dおよび直線D−Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物。
  2. 4価バナジウムイオンがVO2+または[VO(H2O)5]2+である請求項1記載の固形組成物。
  3. 3価バナジウムイオンがV3+ または[V(H2O)6]3+ である請求項1記載の固形組成物。
  4. 4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座標系において、点A(1.25, 23.2)、点B(1.25, 20.4)、点E(1.60, 18.4)および点F(1.60, 21.2)をそれぞれ結ぶ直線A−B、直線B−E、直線E−Fおよび直線F−Aで囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物。
  5. 4価バナジウムイオンがVO2+または[VO(H2O)5]2+である請求項4記載の固形組成物。
  6. 3価バナジウムイオンがV3+ または[V(H2O)6]3+ である請求項4記載の固形組成物。
  7. 4価バナジウムイオン、3価バナジウムイオン、水および硫酸イオンを含有してなる固形組成物であって、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンのバナジウム含有量の重量比が4.5:5.5 〜5.5:4.5 であり、該組成物における4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとのバナジウム合計含有率(重量%)をy座標とし、4価バナジウムイオンと3価バナジウムイオンとの合計量を50.94 で除した値をa値とし、また該組成物における硫酸イオンの含有量を96.1で除した値をb値とし、b値をa値で除した値をx座標とするx−y座標系において、点F(1.60, 21.2)、点E(1.60, 18.4)、点C(2.55, 13.0)および点D(2.55, 15.8)をそれぞれ結ぶ直線F−E、直線E−C、直線C−Dおよび直線D−Fで囲まれた領域内にその組成が存在することを特徴とするバナジウムレドックスフロー電池電解液用固形組成物。
  8. 4価バナジウムイオンがVO2+または[VO(H2O)5]2+である請求項7記載の固形組成物。
  9. 3価バナジウムイオンがV3+ または[V(H2O)6]3+ である請求項7記載の固形組成物。
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