JP2019218248A - 固体電解質用latp結晶粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(式(1)中、M1はSc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr又はVから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c及びdは、0≦a≦4、0<b≦2、0≦c≦2、0<d<2、a+3b+(M1の価数)×c+4d=8を満たす数を示す。)
で表され、平均粒径が5nm〜70nmであり、かつ水溶性不純物の含有量が500ppm以下である、固体電解質用LATP結晶粒子を提供するものである。
(I)チタン化合物と、リチウム化合物、アルミニウム化合物及びリン酸化合物の3種から選ばれる原料化合物と、セルロースナノファイバーと、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、セルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を得る工程
(III)得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法により得られる固体電解質用LATP結晶粒子(以下、単に「LATP結晶粒子」とも称する)は、NASICON型の結晶構造を有する酸化物であり、具体的には、例えば下記式(1)で表される。
Li1+aAlbM1 cTid(PO4)3 ・・・(1)
(式(1)中、M1はSc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr又はVから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c及びdは、0≦a≦4、0<b≦2、0≦c≦2、0<d<2、a+3b+(M1の価数)×c+4d=8を満たす数を示す。)
(I)チタン化合物と、リチウム化合物、アルミニウム化合物及びリン酸化合物の3種から選ばれる原料化合物と、セルロースナノファイバーと、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、セルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を得る工程
(III)得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える。
かかる工程(Ix)では、具体的には、リチウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、セルロースナノファイバー及び水を含有する混合液(ax−1)と、リン酸化合物及び水を含有する混合液(ax−2)を各々調製した後、これらの混合液を混合して混合液(Ax)を調製する。これにより、得られる混合液(Ax)中には、化学組成の均質性が高く充分に小径化されてなる反応生成物、すなわちリン酸三リチウム、リン酸アルミニウム及び酸化チタン水和物とセルロースナノファイバーとの混合物が含有されることとなり、次工程(II)における水熱反応生成物の微細化、ひいては工程(III)におけるLATP結晶粒子の微細化を効果的に図ることができる。
セルロースナノファイバーの含有量は、混合液(ax−1)中の水100質量部に対し、好ましくは0.01質量部〜20質量部であり、より好ましくは0.05質量部〜15質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部〜10質量部である。
この際、混合液(ax−2)の混合液(ax−1)への滴下速度は、10質量部の混合液(ax−1)に対し、好ましくは0.1質量部/分〜0.4質量部/分であり、より好ましくは0.15質量部/分〜0.4質量部/分であり、さらに好ましくは0.2質量部/分〜0.35質量部/分である。混合液(ax−2)を滴下する際の混合液(ax−1)の撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液(ax−1)の流速に換算して、好ましくは10cm/秒〜200cm/秒であり、より好ましくは15cm/秒〜150cm/秒、さらに好ましくは20cm/秒〜100cm/秒である。
なお、混合液(Ax)中において、セルロースナノファイバーとともにこれらのリチウムリン酸塩、アルミニウムリン酸塩及び酸化チタン水和物が生成され、混合物としてこれらが含有されてなることは、X線回折によって確認することができる。
さらに、上記撹拌方法を用いる際に、混合液(Ax)全体において均一に水熱反応を生じさせる観点から、反応容器内に邪魔板を設置したり、撹拌翼の回転方向やポンプの送液方向を間欠的に逆転したりすることによって、混合液(Ax)の流れに擾乱を生じさせるのが有効である。
また、セルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(Bx)は、好ましくはリン酸三リチウムを含有する混合物であり、この場合、セルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(Bx)中におけるリン酸三リチウムと、アルミニウム、チタン及び金属(M1)の水酸化物又はリン酸塩の混合物との質量比(リン酸三リチウム:アルミニウム、チタン及び金属(M1)の少なくともいずれかを含有する水酸化物又はリン酸塩の合計量)は、好ましくは1:3〜2:1であり、より好ましくは1:2.5〜1:1であり、さらに好ましくは1:2〜1:1.2である。
セルロースナノファイバーのほぼ全てが焼失したことは、炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量で確認することができる。本発明のLATP結晶粒子の炭素量は、電子伝導性を低くして二次電池の固体電解質として用いても正極−負極間に短絡を生じさせない観点から、炭素・硫黄分析装置による測定値で、好ましくは0質量%〜0.5質量%であり、より好ましくは0質量%〜0.3質量%であり、さらに好ましくは0質量%〜0.1質量%である。
なお、工程(Iy)において用いるチタン化合物、原料化合物、セルロースナノファイバー、及び必要に応じて用い得る金属(M1)化合物は、上記製造方法(X)の工程(Ix)と同様である。
例えば、混合液(ay−1)と混合液(ay−2)の混合方法は、特に限定されるものではないが、撹拌している混合液(ay−1)に混合液(ay−2)を滴下するのが好ましい。このように、リチウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物、セルロースナノファイバー及び必要に応じてさらに金属(M1)化合物を含む混合液(ay−1)に、リン酸化合物を含む混合液(ay−2)を滴下して少量ずつ加えることにより、反応生成物の化学組成の均質性を一層高めることができる。
回収されたセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布におけるD50値で、好ましくは5nm〜150nmであり、より好ましくは5nm〜100nmである。ここで、粒度分布測定におけD50値とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られる値であり、D50値は累積50%での粒径(メジアン径)を意味する。
工程(Iy)及び工程(IIy)において用いる原料化合物の好適な態様としては、具体的には、工程(Iy)において水酸化リチウムを用い、工程(IIy)において水酸化アルミニウム及びリン酸を用いる態様、或いは工程(Iy)において硫酸リチウムを用い、工程(IIy)において硫酸アルミニウム及びリン酸アンモニウムを用いる態様が挙げられる。
スラリー中におけるセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物、原料化合物、及び金属(M1)化合物の合計含有量は、スラリー中に、好ましくは1質量%〜40質量%であり、より好ましくは2質量%〜30質量%であり、さらに好ましくは3質量%〜25質量%である。また、スラリー中におけるセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物と原料化合物との質量比(セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物:原料化合物)は、好ましくは10:1〜1:4であり、より好ましくは5:1〜1:3であり、さらに好ましくは3:1〜1:2.5である。
噴霧乾燥により造粒物を得た場合、かかる造粒物の平均粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布におけるD50値で、好ましくは5nm〜150nmであり、より好ましくは5nm〜100nmである。
LiOH・H2Oを12.72gと水40mLを混合して、スラリー(c−1)を得た。得られたスラリー(c−1)を、25℃の温度に保持しながら3分間撹拌しつつ85質量%のH3PO4を11.53g、35mL/分で滴下し、撹拌速度400rpmで1時間撹拌することにより、Li3PO4スラリー(c−2)を得た。次に、得られたLi3PO4スラリー(c−2)全量に対し、CoSO4・7H2Oを21.08g添加して、スラリー(c−3)とした後、これをオートクレーブに投入し、170℃で1時間の水熱反応を行った。オートクレーブ内の圧力は、0.8MPaであった。生成した水熱反応物をろ過し、次いで、水熱反応物1質量部に対して12質量部の水により洗浄した。洗浄した水熱反応物を−50℃で12時間凍結乾燥して、LiCoPO4正極活物質粒子(粒子径100nm)を得た。
水40mLにLi2SO4・H2Oを0.84g、Al2(SO4)3・16H2Oを0.95g、TiOSO4・1.5H2Oを3.18g及びセルロースナノファイバー(Ama−10002、スギノマシン製、含水率98質量%)を19.29g混合して、混合液(ax−1)1を得た。また、水40mLにLiOH・H2Oを3.3g及び85質量%のH3PO4 を3.46g混合して、混合液(ax−2)1を得た。25℃における混合液(ax−2)1のpHは7.0であった。
次いで、得られた混合液(ax−1)1を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(ax−1)1に、撹拌速度200rpmで5分間撹拌した混合液(ax−2)1を50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して、混合液(Ax)1を得た。かかる混合液(Ax)1の25℃におけるpHは4.5であり、生成したリチウムリン酸塩、アルミニウムリン酸塩及び酸化チタン水和物とセルロースナノファイバーの合計含有量は、3質量%であった。
得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(Bx)1を、空気雰囲気下600℃で4時間焼成して、セルロースナノファイバーを完全に焼失させつつ、LATP結晶粒子X1を得た。得られたLATP結晶粒子X1は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は50nm、平均結晶子径は50nm、BET比表面積は40m2/gであった。また、ICP発光分光分析法による、得られたLATP結晶粒子X1が含有するSO3量(原料由来の水溶性不純物)は100ppmであった。
得られたLATP結晶粒子X1のSEM写真を図1に、X線回折パターンを図2に示す。
水40mLにAl2(SO4)3・16H2Oを0.95g、TiOSO4・1.5H2Oを3.18g及びセルロースナノファイバーを19.29g混合して、混合液(ay−1)1を得た。また、水40mLに29質量%のNH4OHを5.29g及び85質量%のH3PO4を2.96g混合して、混合液(ay−2)1を得た。次いで、得られた混合液(ay−1)1を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(ay−1)1に、撹拌速度200rpmで5分間撹拌した混合液(ay−2)1を50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して、原料化合物の合計含有量1質量部に対し、水の含有量が7.3質量部である混合液(Ay)1を得た。かかる混合液(Ay)1の25℃におけるpHは6.5であった。
得られた混合液(Ay)1をオートクレーブに投入し、180℃、1.3MPaでの水熱反応を5時間行った。生成したセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を吸引ろ過し、次いでこれをセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物1質量部に対して12質量部の水で洗浄して、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)1を得た。X線回折法による定性分析から、得られたセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)1は、AlPO4、Ti(OH)1.36(HPO4)1.32・2.3H2O及びセルロースナノファイバーの混合物であった。
得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(By)1を空気雰囲気下600℃で4時間焼成して、セルロースナノファイバーを完全に焼失させつつ、LATP結晶粒子Y1を得た。得られたLATP結晶粒子Y1は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は60nm、平均結晶子径は50nm、BET比表面積は35m2/gであった。また、ICP発光分光分析法による、得られたLATP結晶粒子Y1が含有するSO3量(原料由来の水溶性不純物)は100ppmであった。
水40mLにAl2(SO4)3・16H2Oを0.95g、TiOSO4・1.5H2Oを3.18g及びセルロースナノファイバーを19.29g混合して、混合液(ay−1)2を得た。また、水40mLに29質量%のNH4OHを5.29g及びLiOH・H2Oを1.84g混合して、混合液(ay−2)2を得た。次いで、得られた混合液(ay−1)2を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま継続している混合液(ay−1)2に、撹拌速度200rpmで5分間撹拌した混合液(ay−2)2を50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して、原料化合物の合計含有量1質量部に対し、水の含有量が8質量部である混合液(Ay)2を得た。かかる混合液(Ay)2の25℃におけるpHは7.5であった。
得られた混合液(Ay)2をオートクレーブに投入し、180℃、1.3MPaでの水熱反応を5時間行った。生成したセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を吸引ろ過し、次いでこれをセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物1質量部に対して12質量部の水で洗浄して、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)2を得た。X線回折法による定性分析から、得られたセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)2は、LiAl2(OH)7・2H2O、(Li1.81H0.19)Ti2O5・2H2O及びセルロースナノファイバーの混合物であった。
得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(By)2を空気雰囲気下600℃で4時間焼成して、セルロースナノファイバーを完全に焼失させつつ、LATP結晶粒子Y2を得た。得られたLATP結晶粒子Y2は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は60nm、平均結晶子径は50nm、BET比表面積は35m2/gであった。また、ICP発光分光分析法による、得られたLATP結晶粒子Y2が含有するSO3量(原料由来の水溶性不純物)は100ppmであった。
水40mLにTiOSO4・1.5H2Oを3.18g及びセルロースナノファイバーを19.29g混合して、混合液(ay−1)3を得た。また、水40mLに29質量%のNH4OHを5.29g、LiOH・H2Oを0.56g及び85質量%のH3PO4を3.11g混合して、混合液(ay−2)3を得た。次いで、得られた混合液(ay−1)3を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(ay−1)3に、撹拌速度200rpmで5分間撹拌した混合液(ay−2)3を50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して、原料化合物の合計含有量1質量部に対し、水の含有量が8質量部である混合液(Ay)3を得た。かかる混合液(Ay)3の25℃におけるpHは7.5であった。
得られた混合液(Ay)3をオートクレーブに投入し、180℃、1.3MPaでの水熱反応を5時間行った。生成したセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を吸引ろ過し、次いでこれをセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物1質量部に対して12質量部の水で洗浄して、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)3を得た。X線回折法による定性分析から、得られたセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)3は、Li3PO4、Ti(OH)1.36(HPO4)1.32・2.3H2O及びセルロースナノファイバーの混合物であった。
得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(By)3を空気雰囲気下600℃で4時間焼成して、セルロースナノファイバーを完全に焼失させつつ、LATP結晶粒子Y3を得た。得られたLATP結晶粒子Y3は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は60nm、平均結晶子径は50nm、BET比表面積は35m2/gであった。また、ICP発光分光分析法による、得られたLATP結晶粒子Y3が含有するSO3量(原料由来の水溶性不純物)は100ppmであった。
水40mLにTiOSO4・1.5H2Oを3.18g及びセルロースナノファイバーを19.29g混合して、混合液(ay−1)4を得た。また、水40mLにLiOH・H2Oを1.46g混合して、混合液(ay−2)4を得た。次いで、得られた混合液(ay−1)4を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(ay−1)4に、撹拌速度200rpmで5分間撹拌した混合液(ay−2)4を50mL/分で全量滴下して混合した後、さらに撹拌速度200rpmで30分間撹拌して、原料化合物の合計含有量1質量部に対し、水の含有量が20質量部である混合液(Ay)4を得た。かかる混合液(Ay)4の25℃におけるpHは4.5であった。
得られた混合液(Ay)4をオートクレーブに投入し、180℃、1.3MPaでの水熱反応を5時間行った。生成したセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を吸引ろ過し、次いでこれをセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物1質量部に対して12質量部の水で洗浄して、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)4を得た。X線回折法による定性分析から、得られたセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)4は、(Li1.81H0.19)Ti2O5・2H2O及びセルロースナノファイバーの混合物であった。
得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(By)4を空気雰囲気下600℃で4時間焼成して、セルロースナノファイバーを完全に焼失させつつ、LATP結晶粒子Y4を得た。得られたLATP結晶粒子Y4は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は60nm、平均結晶子径は50nm、BET比表面積は35m2/gであった。また、ICP発光分光分析法による、得られたLATP結晶粒子Y4が含有するSO3量(原料由来の水溶性不純物)は100ppmであった。
水40mLに29質量%のNH4OHを5.29g、TiOSO4・1.5H2Oを3.18g及びセルロースナノファイバーを19.29g混合して、得られた混合液(ay−1)5を25℃の温度に保持しながら、撹拌速度200rpmで60分間撹拌した後、そのまま撹拌を継続している混合液(ay−1)5に、85質量%のH3PO4 1.96gを混合した後、さらに30分間撹拌して、原料化合物の合計含有量1質量部に対し、水の含有量が12質量部である混合液(Ay)5を得た。かかる混合液(Ay)5の25℃におけるpHは6.5であった。
得られた混合液(Ay)5をオートクレーブに投入し、180℃、1.3MPaでの水熱反応を5時間行った。生成したセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を吸引ろ過し、次いでこれをセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物1質量部に対して12質量部の水で洗浄して、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)5を得た。X線回折法による定性分析から、得られたセルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物(by)5は、Ti(OH)1.36(HPO4)1.32・2.3H2O及びセルロースナノファイバーの混合物であった。
得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物(By)5を空気雰囲気下600℃で4時間焼成して、セルロースナノファイバーを完全に焼失させつつ、LATP結晶粒子Y5を得た。得られたLATP結晶粒子Y5は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は60nm、平均結晶子径は50nm、BET比表面積は35m2/gであった。また、ICP発光分光分析法による、得られたLATP結晶粒子Y5が含有するSO3量(原料由来の水溶性不純物)は100ppmであった。
水40mLにAl2(SO4)3・16H2Oを0.95g及びTiOSO4・1.5H2Oを3.18g混合して、混合液(az−1)1を得た。得られた混合液(az−1)1に、LiOH・H2Oを0.56g混合して、混合液(az−2)1を得た。得られた混合液(az−2)1に、85質量%のH3PO4を3.46gを混合して、混合液(Az)1を得た。かかる混合液(Az)1の25℃におけるpHは0.9であった。得られた混合液(Az)1をオートクレーブに投入し、180℃、1.3MPaでの水熱反応を12時間行った。生成した水熱反応生成物をエバポレータにより溶媒を留去し、前駆体混合物(Bz)1を得た。得られた前駆体混合物(Bz)1を、空気雰囲気下900℃で6時間焼成してLATP結晶粒子Z1を得た。
得られたLATP結晶粒子Z1は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は250nm、平均結晶子径は150nm、BET比表面積は15m2/gであった。また、含有するSO3量(原料由来の水溶性不純物)は3000ppmであった。
得られたLATP結晶粒子Z1のSEM写真を図3に示す。
水40mLにLiOH・H2Oを0.56g混合して、混合液(az−1)2を得た。得られた混合液(az−1)2に、Al2O3を0.15g、TiO2を1.36g、85質量%のH3PO4を3.46g混合し、180℃で12時間恒温乾燥して前駆体混合物(Bz)2を得た。得られた前駆体混合物(Bz)2を、空気雰囲気下700℃で12時間焼成してLATP結晶z2を得た。得られたLATP結晶z2を、遊星ボールミルを用いて450rpmで10時間粉砕してLATP結晶粒子Z2を得た。
得られたLATP結晶粒子Z2は、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3単相であり、平均粒径は350nm、平均結晶子径は300nm、BET比表面積は10m2/gであった。
得られたLATP結晶粒子Z2のSEM写真を図4に、X線回折パターンを図5に示す。
実施例1〜6及び比較例1〜2で得られたLATP結晶粒子X1、Y1〜Y5及びZ1〜Z2を用い、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
具体的には、正極に製造例1で得られたLiCoPO4正極活物質粒子を用い、正極活物質:固体電解質(質量比)を75:25の配合割合で混合した後、プレス用冶具に投入して正極活物質層とした。さらに、その層上に固体電解質粒子のみをさらに投入して固体電解質層として積層させた後、ハンドプレスを用いて16MPaで2分間プレスして、φ14mmの円盤状の正極を得た。次いで、負極としてリチウム箔を固体電解質層側に取り付けることで、全固体リチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (11)
- 式(1):Li1+aAlbM1 cTid(PO4)3 ・・・(1)
(式(1)中、M1はSc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr又はVから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c及びdは、0≦a≦4、0<b≦2、0≦c≦2、0<d<2、a+3b+(M1の価数)×c+4d=8を満たす数を示す。)
で表され、平均粒径が5nm〜70nmであり、かつ水溶性不純物の含有量が500ppm以下である、固体電解質用LATP結晶粒子。 - BET比表面積が、15m2/g以上である、請求項1に記載の固体電解質用LATP結晶粒子。
- 次の工程(I)〜(III):
(I)チタン化合物と、リチウム化合物、アルミニウム化合物及びリン酸化合物の3種から選ばれる原料化合物と、セルロースナノファイバーと、水とを混合して、25℃におけるpHが5〜9である混合液を調製する工程
(II)得られた混合液を100℃以上の水熱反応に付した後、セルロースナノファイバーが混在してなる水熱反応生成物を洗浄し、次いで乾燥して、セルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を得る工程
(III)得られたセルロースナノファイバーが混在してなる前駆体混合物を400℃〜1000℃で焼成する工程
を備える、固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。 - 工程(III)における焼成が、大気雰囲気下又は酸素雰囲気下である、請求項3に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。
- 工程(II)において水熱反応生成物を洗浄するにあたり、水熱反応生成物の乾燥質量1質量部に対して5質量部〜50質量部の水を用いる、請求項3又は4に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。
- 工程(I)において用いる原料化合物が、リチウム化合物、アルミニウム化合物及びリン酸化合物の3種であり、かつ
工程(II)で得られる前駆体混合物が、リチウム、チタン、並びにアルミニウム含有のリン酸塩又は水酸化物と、セルロースナノファイバーとの混合物である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。 - 工程(I)において用いる原料化合物が、リチウム化合物、アルミニウム化合物及びリン酸化合物から選ばれる1種又は2種であり、かつ
工程(II)において洗浄した水熱反応生成物を乾燥する前に、リチウム化合物、アルミニウム化合物及びリン酸化合物から選ばれる少なくとも1種又は2種の原料化合物を添加及び混合する、請求項3〜5のいずれか1項に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。 - 原料化合物として用いるチタン化合物及びアルミニウム化合物が、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、酸化物、水酸化物、又はハロゲン化物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。
- 工程(I)において混合液を調製するにあたり、さらに金属(M1)化合物(M1は、Sc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr又はVから選ばれる1種又は2種以上を示す。)を混合する、請求項3〜8のいずれか1項に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。
- 金属(M1)化合物が、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物、塩化物、硫化物、酸化物又はこれらの水和物である、請求項9に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。
- 固体電解質用LATP結晶粒子が、下記式(1):
Li1+aAlbM1 cTid(PO4)3 ・・・(1)
(式(1)中、M1はSc、In、Fe、Cr、Ga、Y、La、Zn、Si、Mn、Ge、Nd、Sr又はVから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c及びdは、0≦a≦4、0<b≦2、0≦c≦2、0<d<2、a+3b+(M1の価数)×c+4d=8を満たす数を示す。)
で表される、請求項3〜10のいずれか1項に記載の固体電解質用LATP結晶粒子の製造方法。
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