JP2003326542A - 光学フィルムとその製造方法 - Google Patents

光学フィルムとその製造方法

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JP2003326542A
JP2003326542A JP2002134021A JP2002134021A JP2003326542A JP 2003326542 A JP2003326542 A JP 2003326542A JP 2002134021 A JP2002134021 A JP 2002134021A JP 2002134021 A JP2002134021 A JP 2002134021A JP 2003326542 A JP2003326542 A JP 2003326542A
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optical film
optical
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Hideto Nishimura
英人 西村
Masanori Koshioka
雅則 越岡
Haruhiko Maki
春彦 牧
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Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光記録媒体の光透過層用フィルムとして、表
面平滑性が高く、キズが少ない光学フィルムおよびその
製造方法、該フィルムを使用した光記録媒体を提供す
る。 【解決手段】非晶性熱可塑性樹脂組成物、特にポリカー
ボネートを用いて溶液キャスト法によりフィルム化する
光学フィルムの製造方法であって、支持体表面のうち樹
脂溶液をキャストする側の面の中心線平均粗さRaが5
nm以下で、かつ鉛筆硬度がH以上である支持体を用い
ることにより得られる、中心線平均粗さRaが1nm以
下でかつ表面欠陥の少ない光学フィルムを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学フィルム、およ
び光学フィルムの製造方法に関する。また、本発明は、
特に光記録媒体に用いられる、溶液キャスト法によりフ
ィルム化された表面平滑性に優れた光学フィルムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ用、オーディオ用等の各種
情報を記録する高密度記録媒体として、再生記録を光照
射にて行う光ディスクなどの光記録媒体がある。CDや
DVDなどに代表される従来の光ディスクの基板は従
来、射出成形により作製されている。
【0003】このような光ディスクの場合、前記基板が
光透過層の役割を果たすため、大容量化を考えたときに
は光透過層を薄くすることが要求されている。しかしな
がら射出成形の場合、薄膜化すると厚みや光学的なムラ
が大きくなることから薄膜化には限界がある。よって、
より薄膜化に有利な溶液キャスト法により成形されたフ
ィルムを光透過層として用いた光記録媒体が開発されて
いる。
【0004】また、大容量化のためのもう一つの重要な
技術には、光ピックアップ部に用いるレーザー光の短波
長化がある。現在、DVDには波長が約650nmの赤
色のレーザー光が用いられているが、次世代の記録媒体
用レーザーとして、波長が約400nmの青色レーザー
の適用が開発中である。しかし、波長が短くなるほど、
記録媒体表面の細かい厚み変動による影響を受けやすく
なり、信号特性を評価したときにノイズが発生しやすく
なる。
【0005】さらに、レーザーの短波長化により、これ
までは問題にならなかった微細な表面欠陥、特にキズ等
が問題になる。特に、目視では確認できないような30
μmから100μm程度のキズがノイズの原因となるた
め、微細キズの低減は必須課題となっている。
【0006】これまで、溶液流延法や溶液塗布法に代表
される溶液キャスト法で光学フィルムの製膜を行う場
合、支持体として金属のエンドレスベルトやドラムを用
いる場合と、プラスチックや金属のフィルムもしくはシ
ートを用いる場合が一般的であった。特に、プラスチッ
クフィルムを支持体として用いる場合には、搬送性、柔
軟性に優れ、かつ支持体の交換が比較的簡単であるた
め、設備設計および利用の自由度が高い方法として採用
されていた。またエンドレスベルトなどに特有の継ぎ目
の段差の転写による周期的な外観不良などが起こる心配
が無いため、良好なフィルムを得るのに適した方法であ
った。中でも、剛性が高く、耐薬品性が良好で、比較的
安価で入手できるPET(ポリエチレンテレフタレー
ト)フィルムが好ましく用いられていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】プラスチックフィルム
を支持体とする場合には、金属などの支持体に比べて表
面硬度が低いため表面に傷などの欠陥を生じやすい。こ
の傷はプラスチックフィルムの支持体そのものを製造す
る工程や、あるいはキャスティング用支持体として搬送
する工程において、プラスチックフィルムとロール、お
よびプラスチックフィルム同士が接する際に、フィルム
のすべりや付着ごみによるこすれなどによって生じるも
のである。このようにして、支持体表面に発生した傷
は、その上にキャストした光学フィルムの表面に転写す
るため抑制する必要がある。実際にポリエチレンテレフ
タレートの支持体上にポリカーボネートの樹脂溶液をキ
ャストして製膜した光学フィルムの、支持体に接する側
の表面を調べた結果、30μm〜100μm程度の微小
な傷状の表面欠陥が多く生じていることが判明した。
【0008】このような表面欠陥は微少なために目視で
は視認できず、例えばディスプレイなどに使用される場
合には問題になることはない。しかしながら、光記録媒
体の材料として用いる場合には、レーザー光が記録面を
読みとる場合に急激な厚み変動を伴うため、信号のエラ
ーを生じさせる原因となっている。
【0009】また、光記録媒体の材料として使用される
場合に影響を与えるものとして、表面の平滑性がある。
光が透過する層に凹凸があると、レーザー光が散乱され
たり、光の移動距離が変化することによって信号の信頼
性が劣化し、信号特性を悪化させる一因となっている。
【0010】そこで本発明者は、表面欠陥が少なくかつ
平滑性が高く、光記録媒体の光透過層として使用した場
合にノイズの少ない光学フィルムの製造方法について鋭
意検討した結果、本発明に至ったのである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光学フィル
ムの要旨とするところは、以下の通りである。
【0012】1.非晶性熱可塑性樹脂組成物の溶液を支
持体上にキャストしてフィルム化された光学フィルムで
あって、フィルムの支持体側表面の中心線平均粗さRa
が0.1nm以上1nm以下であることを特徴とする光
学フィルム。
【0013】2.フィルム面内の任意の点における1c
2内に30μm以上の表面欠陥の個数が0個以上50
個以下であることを特徴とする、上記1に記載の光学フ
ィルム。
【0014】3.非晶性熱可塑性樹脂組成物がポリカー
ボネートを含有する樹脂組成物であることを特徴とする
上記1または2に記載の光学フィルム。
【0015】また本発明に係る光学フィルムの製造方法
の要旨とするところは、以下の通りである。
【0016】4.非晶性熱可塑性樹脂組成物の溶液を支
持体上にキャストしてフィルム化する光学フィルムの製
造方法であって、キャスト面の中心線平均粗さ(Ra)
が0.1nm以上5nm以下である支持体を用いること
を特徴とする光学フィルムの製造方法。
【0017】5.支持体が、表面の中心線平均粗さ(R
a)が5〜15nmであるフィルムまたはシート状成形
物の少なくとも片面に樹脂層をコーティングしたもので
あることを特徴とする上記4に記載の光学フィルムの製
造方法。
【0018】6.コーティング層の表面の硬度が鉛筆硬
度でH以上であることを特徴とする上記5に記載の光学
フィルムの製造方法。
【0019】7.非晶性熱可塑性樹脂組成物がポリカー
ボネートを含有する樹脂組成物である上記4〜6のいず
れかに記載の光学フィルムの製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の光学フィルムの実施の形
態について詳しく説明する。
【0021】本発明の光学フィルムは、非晶性熱可塑性
樹脂組成物を用い、溶液キャスト法によりフィルム化さ
れた光学フィルムである。従来の技術の項でも述べた様
に、溶液法に対して溶融押出法もしくは溶融射出法で
は、厚みが薄くなると冷却温度や溶液粘度のムラなどに
よりフィルムには光学ムラが発生しやすい。そのため、
薄膜化に適した溶液法を用いる。
【0022】通常の溶液法では、樹脂組成物を適当な有
機溶媒に溶解して溶液を調製し、該溶液を支持体上に流
延や塗布などキャストして、その後乾燥を行ってフィル
ム化する。本発明の光学フィルムは、このようにフィル
ム化されたフィルムの支持体側表面の中心線平均粗さR
aが0.1nm以上1nm以下であることを特徴とす
る。従来、ディスプレイ用などの観賞用途に用いられて
いるフィルムの表面の中心線平均粗さは5nm程度でも
大きな問題とはならなかった。しかしながら記録媒体の
大容量化のために、短波長の青色レーザーの使用やレン
ズの高度化などにより、この用途の光学フィルムに対し
てはわずかな厚みムラが信号の信頼性を劣化させる原因
となる。
【0023】従来のキャスト法でフィルム化されたフィ
ルムは、支持体と反対側の面については良好な表面性を
有するが、支持体側の表面性は支持体の表面性の影響を
受け、大容量記録媒体用途に適していなかった。本発明
者等が種々光学フィルムの製造方法を検討し、光学フィ
ルムの表面性と信号の信頼性劣化の度合いの関係を調べ
た結果、光学フィルムがRa1nm以下の表面性であれ
ば、実使用上問題のない信頼性が確保されることが確認
された。本発明の光学フィルムは、支持体側に限らず両
面ともにRaが小さいほど好ましく、両面とも1nm以
下がさらに好ましい。Raは小さいほど記録媒体用に好
ましいが、現実的には0.1nm以上である。
【0024】光学フィルムは表面が平滑になるほど滑り
にくくなるために巻取りにくくなる。そのため、本発明
にかかる光学フィルムは、表面に保護フィルムを貼りつ
けて巻き取っても構わない。保護フィルムとしては特に
限定されないが、保護フィルムの表面性が転写する可能
性があるので、表面平滑性が比較的高いPETフィルム
の保護フィルムを用いるのが好ましく、PETフィルム
の表面に弱粘着加工したものがより好ましい。この場合
の弱粘着とは、1度貼合した保護フィルムを、光学フィ
ルムを傷つけることなく、かつ接着剤が光学フィルム上
に残ることなく剥離可能な状態をいう。
【0025】本発明の光学フィルムの平均厚みは、光記
録媒体の光透過層用として用いるのに好適な厚みである
20μm以上300μm以下、好ましくは50μm以上
150μm以下、更に好ましくは60μm以上110μ
m以下である。
【0026】また本発明の光学フィルムのフィルム面内
の任意の点における1cm2内に30μm以上の表面欠
陥の個数は、0個以上50個以下である。表面欠陥の個
数は50個以下、好ましくは30個以下、さらに好まし
くは10個以下である。表面欠陥、とくに傷などの欠陥
がある場合には、光記録媒体として加工し、再生した場
合にノイズが発生するため好ましくない。なお、この場
合の表面欠陥とは、光学フィルムの表面を偏光顕微鏡に
て、反射モードで観察した場合に目視で確認できる筋状
もしくは円状などの欠陥をいい、光学フィルムが直接受
けた傷、および支持体上の傷や欠陥、異物の転写、支持
体と光学フィルム間に挟まれた異物のこすれなどによっ
て生じる傷や打痕と呼ばれる欠陥など、フィルム表面の
平滑性に影響を与える欠陥の最大方向長さもしくは最大
径が30μm以上である欠陥を指す。表面欠陥、特に目
視では判別できないような微細な欠陥でも、光ディスク
などにおいてはノイズの原因となり信号の信頼性を損ね
るため、表面欠陥は最小限に押さえておく必要があり、
0個が好ましいことは言うまでもないが、上記数値範囲
以下の欠陥個数で有れば、信号の信頼性が著しく損われ
ることはない。
【0027】また、本発明に用いる非晶性熱可塑性樹脂
組成物としては、ポリカーボネートを用いるのが好まし
い。ポリカーボネートは安価で、塩化メチレンなどの溶
剤に可溶であり、かつ現在でもCDやDVDなどの材料
として大量に使用されている。寸法変化率の違いによる
反りや歪みなどを防ぐために、光透過層とそれを貼り合
わせる基板は同一の材料であるのが好ましい。そのため
基板材料として量産されているポリカーボネートが好ま
しい。本発明の光学フィルムに好ましく用いることので
きる芳香族ポリカーボネート樹脂としては特に限定され
ないが、例としては、ジヒドロキシ成分が、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノー
ルA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3−t
−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルベ
ンゼン、などのビス(ヒドロキシアリール)アルカン
類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどのビス(ヒ
ドロキシルアリール)シクロヘキサン類、9,9−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのフルオレ
ン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニル
エーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−
ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルフィド
などのジヒドロキシアリールスルフィド類、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒ
ドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルスルホキシドな
どのジヒドロキシアリールスルホキシド類、および上記
化合物から誘導された化合物が挙げられる。これらのジ
ヒドロキシ化合物は2種類以上組み合わせて用いること
ができる。
【0028】次に、本発明の光学フィルムの製造方法の
実施の形態について詳しく説明する。フィルムの製膜方
法としては溶液塗布法または溶液流延法などの溶液キャ
スト法を用いる。
【0029】本発明の光学フィルムの製造方法において
は、非晶性熱可塑性樹脂組成物の溶液を支持体上にキャ
ストしてフィルム化するが、その際用いる支持体は、キ
ャスト面の中心線平均粗さ(Ra)が0.1nm以上5
nm以下である。
【0030】支持体(キャリア)としては、支持体の加
工や交換を比較的容易に行うことができ、表面性の異な
る他グレードとの乾燥設備の併用が可能であること、ベ
ルトの継ぎ目による外観上の不良を生じることなく塗工
できることから、ロール状の支持体であることが好まし
い。ロール状の支持体にはプラスチック製や金属製の、
フィルムもしくはシート状成形体が挙げられるが、搬送
性、変形に対する柔軟性、巻き取りによる再回収・再利
用の容易さなどを考えるとプラスチック製のフィルムや
シート状成形物をベースとする支持体が好ましい。支持
体として用いるプラスチックとしては、剛性が高く、ま
た耐有機溶剤性が高いものであり、また搬送状態が良好
なものが好ましい。例としては、ポリオレフィン系樹
脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミ
ド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリ
フェニレンオキサイド系樹脂、ポリフェニレンサルファ
イド系樹脂、ポリサルホン系樹脂等を用いることが出来
るが、これらに限定されるものではない。中でもポリエ
チレンテレフタレート(PET)は安価でかつ加工性に優
れ耐薬品性も高いことから利用しやすく特に好ましい材
料である。
【0031】しかしながら、一般的に溶融押出法で作ら
れるプラスチックフィルムは、必ずしも厚み精度は高く
ない。また、平滑性が高くなることによって滑り性が減
少するため、ロールとして巻き取るのが困難となるた
め、巻取りを容易にするために、通常はフィラーなどの
滑剤を添加したり、表面を意図的に粗くして巻き取りや
すくするようなことが行われており、市販のフィルム、
特にロール状態で表面の中心線平均粗さが5nm以下の
所望の平滑性を有するプラスチックフィルムは少ないの
が現状である。そこで、表面の中心線平均粗さが5nm
よりも大きいプラスチックフィルムを本発明に適用する
場合には、別途支持体の表面の少なくとも片面を平滑に
する処理を行えば良い。
【0032】表面の中心線平均粗さ(Ra)が5〜15
nmであるフィルムまたはシート状成形物の少なくとも
片面に処理を施し、表面の中心線平均粗さ(Ra)が
0.1nm以上5nm以下の支持体を形成する方法は、
プラスチックフィルムの表面に他の樹脂をコーティング
する方法、表面に金属を蒸着もしくはめっきを行う方
法、接着剤などを介して別のシートもしくはフィルムあ
るいは金属板を貼り合わせる方法、研磨による方法、物
理的もしくは化学的処理により平滑にする方法などが挙
げられるが、表面性の制御が比較的容易な樹脂のコーテ
ィングによる方法が好ましい。このとき、ベースのシー
トもしくはフィルムの表面が粗すぎると、コーティング
を行っても十分に平滑な表面が得られないため、ベース
表面の中心線平均粗さは15nm以下が好ましい。その
ため、樹脂のコーティングを行う支持体のベースとなる
のは、表面の中心線平均粗さが5〜15nmのベースフ
ィルムもしくはシート状成形物が好ましい。
【0033】またコーティング層は、支持体を搬送して
も傷がつきにくいようコーティング層の表面の硬度が鉛
筆硬度でH以上であることが好ましい。そのようなコー
ティング層を形成する方法としては、既知の樹脂を用い
てハードコート層を形成する方法などを用いることがで
きるが、本発明の効果を発現できる限り限定されるもの
ではない。支持体のベースの材質となるプラスチック層
として用いることが出来るのは、剛性が高く、また耐有
機溶剤性が高いものであり、また搬送状態が良好なもの
である。例としては、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニ
ル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リイミド系樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリフェニレンオ
キサイド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、
ポリサルホン系樹脂等を用いることが出来るが、これら
に限定されるものではない。中でもポリエチレンテレフ
タレート(PET)は安価でかつ加工性に優れ耐薬品性も
高いことから利用しやすく特に好ましい材料である。
【0034】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明の内容を具体
的に説明するが、本発明はこれによって限定されるもの
ではない。
【0035】なお、実施例で行った測定項目は以下の方
法で測定した。
【0036】フィルム中心線平均粗さ(Ra):温度2
3℃±2℃、湿度50%±5%において、3次元表面構
造解析顕微鏡 zygo New view 200
(Zygo社製)を用い、カットオフ値0.144mm
で直線上におけるRaの値を3点測定し、その平均値を
用いた。
【0037】支持体表面の鉛筆硬度:JIS−K540
1の鉛筆ひっかき試験に方法に準じて行った。硬度の決
定は、濃度が隣り合う二つの鉛筆について、すり傷が2
回以上と2回未満になる一組を求め、2回未満となる鉛
筆の濃度記号を塗膜の鉛筆ひっかき値とした。
【0038】フィルムの厚み:アンリツ株式会社製触診
式厚み計KG601Aを使用し、フィルムの幅方向に4
cmの幅でカットしたサンプルを用いて測定し、得られ
た厚み曲線からその平均値を読みとった。
【0039】フィルム中の表面欠陥数の確認:フィルム
上に一辺が20×5mmの長方形の目印を無作為に付け
ておき、サンプルを移動しながら偏光光学顕微鏡におい
て反射モードで長方形内の表面欠陥を確認し、その個数
を数えた。これを3回繰り返し、その平均値を算出し
た。本明細書における「フィルム面内の任意の点におけ
る」表面欠陥とは、上記測定により得た表面欠陥個数の
ことを言う。
【0040】(実施例1)溶媒としてジクロロメタンを
用いて、ポリカーボネート(帝人化成社製、品番パンラ
イトC−1400)の20重量%溶液を調合した。支持
体のベースフィルムとして、平均厚さ125μm、中心
線平均粗さ6.2nmのルミラーK20(東レ(株)
製)を用い、このPETフィルムの表面に、アクリル樹
脂を塗布し、紫外線照射により硬化させるハードコート
処理を施したフィルムを支持体として用意した。支持体
の幅は1200mm、長さが300m厚さは130μ
m、ハードコート処理した面の中心線平均粗さはRaは
0.6nm、鉛筆硬度は3Hであった。この支持体を用
いて、ハードコート処理面に上記溶液を流延し、乾燥を
行って平均厚さ80μm、幅1000mmのフィルムを
製膜した。フィルムの中心線平均粗さを測定した結果、
支持体面側が0.4nm、支持体の逆面側が0.4nm
であった。また、1cm2内の表面欠陥の個数は20個
であった。
【0041】(実施例2)支持体のベースフィルムとし
て、実施例1で使用したベースフィルムと同じものを用
いた。このフィルム上に、シクロオレフィンポリマーで
あるZEONEX480R(日本ゼオン(株)製)のキ
シレン溶液(樹脂濃度30重量%)を調整したドープを
塗布し、溶媒を除去して硬化させ平均厚さ150μm、
長さ300mの支持体用フィルムとした。この支持体の
塗布面の中心線平均粗さはRaは0.6nm、鉛筆硬度
はHであった。この支持体を用いて、塗布処理面に実施
例1で用いたポリカーボネートの樹脂溶液を流延し、乾
燥を行って平均厚さ80μm、長さ100mのフィルム
を製膜した。フィルムの中心線平均粗さを測定した結
果、支持体面側が0.5nm、支持体の逆面側が0.4
nmであった。また、1cm2内のキズの個数は32個
であった。
【0042】(比較例1)実施例1と同様の樹脂溶液を
用い、実施例1で使用した、表面処理を施していない厚
み125μm、長さが300mのPETフィルム(東レ
(株)製、品名:ルミラーK20)を支持体として用い
た。支持体表面の中心線平均粗さは6.2nmであっ
た。溶液流延法により実施例1と同様の乾燥条件で平均
厚さ80μm、長さ340mのフィルムが得られた。フ
ィルムの中心線平均粗さを測定した結果、支持体面側が
2.9nm、支持体の逆面側が0.4nmであった。ま
た、1cm2内のキズの個数は85個であった。
【0043】(比較例2)実施例1と同様の樹脂溶液を
用い、支持体として、厚み76μmの銅箔を使用した。
支持体表面の中心線平均粗さは30nmであった。フィ
ルムの中心線平均粗さを測定した結果、支持体面側が1
8nm、支持体の逆面側が0.4nmであった。また、
1cm2内のキズの個数は65個であった。
【0044】
【発明の効果】本発明に関わる光学フィルムの製造方法
によれば、表面平滑性が高く、表面欠陥が少ない光学フ
ィルムを効率よく製造することができる。特に、溶液製
膜法において、支持体としてロール状成形体を用いる場
合に表面平滑性の高い支持体を用いることで平滑な光学
フィルムを得ることができる。また、プラスチックフィ
ルムを支持体として用いる場合、表面にキズがつきやす
いという欠点を補うために、表面の鉛筆硬度がH以上の
支持体を用いることで光学フィルムへの傷などの欠陥の
転写を防ぐことができる。こうして得られるフィルムは
特に光記録媒体の光透過層用フィルムとして、信号信頼
性の高い光記録媒体を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 C08L 69:00 C08L 69:00 G02B 1/10 Z Fターム(参考) 2K009 AA15 BB24 CC24 CC34 4F071 AA50 AH19 BA02 BB02 BC01 BC16 4F202 AA28 AC05 AF14 AG01 AG03 AH79 CA07 CB01 CK11 4F205 AA21 AA24 AA28K AC05 AD28 AD32 AD34 AG01 AH73 AH79 AR13 GA07 GC06 GF03 GF24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非晶性熱可塑性樹脂組成物の溶液を支持
    体上にキャストしてフィルム化された光学フィルムであ
    って、フィルムの支持体側表面の中心線平均粗さRaが
    0.1nm以上1nm以下であることを特徴とする光学
    フィルム。
  2. 【請求項2】 フィルム面内の任意の点における1cm
    2の範囲内に30μm以上の表面欠陥の個数が0個以上
    50個以下であることを特徴とする、請求項1に記載の
    光学フィルム。
  3. 【請求項3】 非晶性熱可塑性樹脂組成物がポリカーボ
    ネートを含有する樹脂組成物であることを特徴とする請
    求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 【請求項4】 非晶性熱可塑性樹脂組成物の溶液を支持
    体上にキャストしてフィルム化する光学フィルムの製造
    方法であって、キャスト面の中心線平均粗さ(Ra)が
    0.1nm以上5nm以下である支持体を用いることを
    特徴とする光学フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体が、表面の中心線平均粗さ(R
    a)が5〜15nmであるフィルムまたはシート状成形
    物の少なくとも片面に樹脂層をコーティングしたもので
    あることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 コーティング層の表面の硬度が鉛筆硬度
    でH以上であることを特徴とする請求項5に記載の光学
    フィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 非晶性熱可塑性樹脂組成物がポリカーボ
    ネートを含有する樹脂組成物である請求項4〜6のいず
    れかに記載の光学フィルムの製造方法。
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