JP2009187613A - ホログラム記録媒体用ギャップ層及びそのホログラム用記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐熱性を有する特定のポリカーボネート共重合体よりなる光学フィルムホログラム記録媒体に用いることにより、フィルタ層積層時または記録層積層時の熱により変形することなく、フィルタ層にひび割れ等の欠陥が生じないホログラム記録媒体を提供する。
【解決手段】ホログラム記録媒体におけるギャップ層であって、該ギャップ層が(A)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位及び、(B)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールまたは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位から構成され、全構成単位における構成単位(A)の割合が20モル%以上100モル%未満であるポリカーボネート共重合体からなる光学用フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ホログラム記録媒体用ギャップ層及びそのホログラム用記録媒体に関する。
三次元的な情報記録が可能なホログラム記録媒体は、光磁気記録媒体や相変化光記録媒体などに比べ、大容量・高速転送を実現可能な光記録技術の一つである。
ホログラムの記録再生方式は二次元イメージとして情報を付与された情報光と参照光を照射し干渉させ、形成された干渉パターンを利用して記録層内部に屈折率等の光学特性分布を生じさせることで情報を記録する。再生時は参照光のみを照射することにより、記録した干渉パターンに対応した光学特性分布を有する再生光を記録層から照出させることにより行われる。
ホログラム記録媒体の記録層としては、一般的にラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤に加え、三次元架橋ポリマーマトリクスを有する構成が知られている(例えば特許文献1)。三次元架橋ポリマーマトリクスは、ラジカル重合性化合物の過剰な移動を抑制し、記録層において、明部に相当する箇所および暗部に相当する箇所の体積変化を抑制する機能を有している。三次元架橋ポリマーマトリクスの材料としては、エポキシ化合物、カチオン重合性モノマーを由来とした反応硬化物などが挙げられる(例えば特許文献2参照)。
また、ホログラム記録媒体の構成としては、種々検討されているが、図1に示すホログラム記録媒体が提案されている。(例えば特許文献3,4,5)支持体となる第二の基板1表面にサーボピットパターン8を設け、このサーボピットパターン8表面に金属反射膜からなる反射層2を積層する。更に、反射層2とフィルタ層4の間に、第二の基板1の平坦化を目的にギャップ層3を設ける。そして、フィルタ層4上に、保護層5、記録層6、光透過性の第一の基板7を順に積層することにより作製される。
ホログラム記録媒体を構成するギャップ層3に用いられる基材としては、ビスフェノールAから得られるポリカーボネート樹脂(以下PC−A)から形成される光学フィルムが提案されている。該フィルムは透明性、寸法安定性、耐加水分解性が優れていることから位相差フィルム、光ディスク用カバーフィルム等の光学用基材として広く用いられているものである。
しかしながら、前記ホログラム記録媒体にPC−Aからなる光学フィルムをギャップ層3に用いた場合、ギャップ層3に粘着剤または接着剤等を用いて第二の基板1の表面平坦性を図っているおり、ギャップ層3状にフィルタ層4等を積層する際または記録層を積層する際の熱により、ギャップ層3が変形してしまい、積層したフィルタ層4にひび割れ等の欠陥等を生じさせる。また、変形によりギャップ層3の厚みが均一ではなくなるため、第二の基板1の表面平坦性が損なわれることが問題となる。
このように、ギャップ層に用いられる光学フィルムに対して耐熱性が求められている。
特開平11−161137号公報 特開2005−107312号公報 特開2004−265472号公報 特開2007−93799号公報 特開2007−79164号公報
本発明の目的は、耐熱性に優れ、且つ、透明性、光学特性に優れたポリカーボネート樹脂よりなる光学フィルムをホログラム記録媒体のギャップ層に用いることにより、フィルタ層積層時または記録層積層時の熱によりギャップ層が変形することなく、積層したフィルタ層にひび割れ等の欠陥が生じないホログラム記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に、本発明よれば次のものが提供される。
1.二次元イメージとして情報を付与された情報光と、情報光と干渉可能な参照光を重ね合わせ、ホログラフィを利用して情報を記録する記録層を有し、支持体となる第二の基板、反射層、ギャップ層、フィルタ層、保護層、記録層、光透過性の第一の基板より構成されるホログラム記録媒体において、該ギャップ層が、
(A)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位及び、
(B)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールまたは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位
から構成され、全構成単位における構成単位(A)の割合が20モル%以上100モル%未満であるポリカーボネート共重合体からなる光学用フィルムであることを特徴とするホログラム記録媒体用ギャップ層。
2.全構成単位における構成単位(A)の割合が30モル%以上100モル%未満であるポリカーボネート共重合体からなる光学用フィルムである上記1記載のホログラム記録媒体記録媒体用ギャップ層。
3.構成単位(B)が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位である上記1または2記載のホログラム記録媒体記録媒体用ギャップ層。
4.ガラス転移温度が170℃以上であるポリカーボネート共重合体からなる光学フィルムであることを特徴とする上記1〜3いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
5.光学用フィルムが溶融押出法または溶液キャスティング法によって形成されたものである上記1〜4のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
6.光学フィルムの厚みが20〜200μm、且つ、厚み斑が±5%以下である上記1〜5いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
ホログラム記録媒体用ギャップ層。
7.光学フィルムの160℃で1hr加熱処理後の熱寸法変化率が0.08%以下である上記1〜6いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
8.光学フィルムの面内レターデーションが20nm以下、且つ、厚み方向のレターデーションが60nm以下である上記1〜7いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
9.光学フィルムの中心線平均表面粗さが5nm以下である上記1〜8いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
10.情報光および参照光が、情報光の光軸と参照光の光軸が同軸になるように照射されるホログラム記録方式に用いられる上記1〜9いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
11.第二の基板が、サーボ情報を検出するために形成されたサーボピットパターンを有する上記1〜10いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
12.第二の基板が、サーボピットパターン上に反射膜を形成されてなる上記1〜11いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
13.反射膜が金属反射膜である上記1〜12いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
14.フィルタ層と反射膜との間に、ギャップ層を設け、第二の基板表面を平坦化することを特徴とする上記1〜13いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
15.ギャップ層形成工程が、光学用フィルムを貼り付けることにより形成する上記1〜14いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
16.フィルタ層が、ダイクロイックミラーからなる層、またはコレステリック液晶からなる層であり、波長選択性能を有する上記1〜15いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
17.フィルタ層が、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有する上記1〜16いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
18.フィルタ層上に、保護層、記録層、光透過性の第一の基板を形成してなる上記1〜17いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
19.第一の基板及び第二の基板がポリカーボネート樹脂またはガラスである上記1〜8いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
20.情報光と参照光を照射し、干渉による干渉パターンによって情報を記録層に記録する方式であって、記録した干渉パターンの位置情報を、情報光及び参照光とは異なる波長のサーボ用光を照射し、該サーボ用光の焦点距離により検出する方式を利用してなる上記1〜19いずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
21.上記1〜20記載のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層を有するホログラム記録媒体。
本発明を以下詳細に説明する。
<ポリカーボネート共重合体>
本発明のホログラム記録媒体を構成するギャップ層について鋭意検討を重ねた結果、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位(A)と、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールまたは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位(B)から構成されたポリカーボネート共重合体を用いて溶融押出法または溶液キャスティング法により形成した光学フィルムを使用することにより従来のPC−Aよりも高い耐熱性を発現できることが判明した。
以上の知見から、全構成単位における構成単位(A)の割合が20モル%以上100モル%未満含有するポリカーボネート共重合体が上記課題を満足する、即ち、高い耐熱性を有するポリカーボネート共重合体を用いて、溶融押出法または溶液キャスティング法により形成した光学フィルムを上記ホログラム記録媒体を構成するギャップ層に用いることで、フィルタ層積層時または記録層積層時の熱によってギャップ層が変形せず、且つフィルタ層にひび割れ等の欠陥が生じないことが判明した。その中でも特に、構成単位(B)が、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位であることが好ましい。
また、全構成単位における構成単位(A)の割合は20モル%以上100モル%未満が好ましく、30モル%以上100モル%未満がより好ましい。更に30モル%以上90モル%未満がより好ましい。全構成単位における構成単位(B)の割合は80モル%以下?が好ましく、70モル%以下が最も好ましい。また、それらを光学フィルムに用いることにより耐熱性の極めて高い光学フィルムが得られ、該光学フィルムはホログラム記録媒体を構成するギャップ層に有用である。
構成単位(A)のモル比が20モル%未満の場合、耐熱性が不足するため好ましくない。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
上記ポリカーボネート共重合体は構成単位(A)を誘導する二価フェノール及び構成単位(B)を誘導する二価フェノールをカーボネート前駆体と溶液重合法または溶融重合法によって反応させることよって製造することができる。より好ましいポリカーボネート共重合体は、溶液重合法、即ち界面重合法により製造されたものである。かかる二種類の二価フェノールはカーボネート前駆体と同時に反応させても、種類毎に順次反応させてよい。
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
また、かかる重合反応において、通常末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。かかる単官能フェノール類としては、一般にはフェノールまたは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式[1]
Figure 2009187613
(式中、Aは水素原子または炭素原子数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはフェニル置換アルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。)
で表される単官能フェノール類を示すことができる。
上記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、フェニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール、tert−オクチルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができる。
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%の末端に導入されることが望ましく、更に好ましくは80モル%以上の末端に導入される。また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
溶融重合法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応が代表的であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を1,300Pa〜13Pa(10〜0.1Torr)程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素原子数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ホウ素やアルミニウムの水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第4級アンモニウム塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、亜鉛化合物、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、有機錫化合物、鉛化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物などの通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒があげられる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせ使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−9〜1×10−5当量、より好ましくは1×10−8〜5×10−6当量の範囲で選ばれる。
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートを加えることが好ましく、特に2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また重合後のポリカーボネート共重合体に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用する。失活剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などのホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェートなどのアンモニウム塩などが好ましく挙げられる。
前記以外の反応形式の詳細についても、各種の文献および特許公報などで良く知られている。
(比粘度)
本発明のポリカーボネート共重合体の比粘度は、0.20〜1.00の範囲内にあることが好ましく、0.25〜0.90の範囲内にあることがより好ましい。かかる比粘度を有するポリカーボネート共重合体は、光学フィルムとして十分な強度が得られる。比粘度が0.20より小さい場合、強度不足であり好ましくない。比粘度が1.00より大きい場合、溶融押出時には溶融粘度が高く製膜が困難であること、また、溶液キャスティング時に溶液粘度が高すぎるため、溶液製膜操作が難しくなるので好ましくない。なお、本発明における比粘度とは、ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液の20℃における極限粘度を測定し、下記式から算出したものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]
ηsp:比粘度
η:極限粘度
c:定数(=0.7)
(ガラス転移温度)
本発明のポリカーボネート共重合体のガラス転移温度は170℃以上であることが望ましく、175℃以上であることがより好ましく、180℃以上であることが最もこのましい。本発明におけるガラス転移温度とは、示差走査熱量分析装置(DSC)を使用し、JIS K7121に準拠した昇温速度20℃/minで測定し得られるものである。
<光学フィルムの製造方法>
次に、本発明のポリカーボネート共重合体を用いてホログラムギャップ層用フィルムを製造する方法について述べる。本発明の光学用フィルムの製法には特に限定はなく、例えば溶融押出法、溶液キャスティング法(流延法)等を挙げることができる。
(溶融押出法)
溶融押出法の具体的な方法は、例えば共重合ポリカーボネート樹脂を押出機に定量供給して、加熱溶融し、Tダイの先端部から溶融樹脂をシート状に鏡面ロール上に押出し、複数のロールにて冷却しながら引き取り、固化した時点で適当な大きさにカットするか巻き取る方式が用いられる。
(溶液キャスティング法)
溶液キャスティング法の具体的な方法は、例えば共重合ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに溶解した溶液(濃度5%〜40%)を鏡面研磨されたステンレス板上にTダイから流延し、段階的に温度制御されたオーブンを通過させながらフィルムを剥離し、更に剥離し、溶媒を除去した後、冷却して巻き取る方式が用いられる。
(光学フィルムの厚みと厚み斑)
フィルムの厚みは、ホログラム記録媒体のギャップ層として用いる場合、多重記録性能の低下を防止する機能を有する為、20〜200μmの範囲が好適である。そして、20μm未満であると、サーボ信号光とホログラム信号光が混合され、ホログラム信号光のS/N比が低下してエラーレートが高くなるので好ましくない。また、200μmを超えるとディスクの総厚みが増加しディスク重量が大きくなるため、好ましくない。
好ましい厚さは30〜150μmであり、さらに好ましくは50〜100μmである。
また、厚み斑は小さいほうが良い。厚み斑はフィルムの厚みにより変化するが、厚みに対して、厚み斑の範囲は好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。ここで、5%とは、厚さ100μmのフィルムにおいて厚さの最大値と最小値の差が5μmであるとする。厚み斑が5%より大きくなると表面平滑性が損なわれるため好ましくない。
フィルム全幅の厚み斑の測定方法は、例えば、連続厚み計(アンリツ(株)製フィルムシックネステスター 型式KG601A)を用いて行うことができる。
(光学フィルムの全光線透過率)
全光線透過率については高い方が望ましく80%以上であり、より好ましくは85%であり、さらに好ましくは89%以上である。光学用フィルムの全光線透過率が低くなりすぎると、ホログラム記録媒体のギャップ層として用いるのが困難となる。
(光学フィルムのヘイズ)
透明性の点においては光線透過率に関連するものとしてヘイズがある。本発明の光学用フィルムのヘイズは、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.2%以下である。
上記のフィルムの全光線透過率とヘイズの測定方法は、例えば、フィルムの幅方向3箇所からサンプルを採取する。サンプルの全光線透過率を日本電色工業(株)製の色差・濁度測定機COH−300Aを用いて測定した。各サンプルについて5点測定し、幅方向3サンプルについての計15点の平均値を全光線透過率とする。なお、この測定はJISK7105に準拠して実施することが出来る。
(光学フィルムの面内レターデーション)
光学等方性が高いことも特徴であり、厚さと複屈折の積で表わされる位相差(Re)としては、使用するレーザー波長において好ましくは20nm以下であり、10nm以下であることがより好ましく、8nm以下であることがさらにより好ましく、5nm以下が特に好ましい。この値は限りなくゼロに近いのが理想である。面内レターデーションが20nm以上であると、サーボ信号の再生信号レベルが不安定化し、S/N比が悪化するため好ましくない。
面内レターデーション値(Re)の測定方法は、幅方向サンプル全幅についてレターデーション連続測定器(王子計測機器(株))製の商品名KOBRA−WFD)により測定する。測定光源の波長は589nmである。
(光学フィルムの厚み方向のレターデーション)
本発明の光学用フィルムは、前記特性に加えて、フィルムの厚み方向のレターデーション値(Rth)が使用するレーザー波長において60nm以下、より好ましい値は50nm以下であり、さらに好ましい値は45nm以下である。厚み方向のレターデーションが60nm以上であると、サーボ信号のノイズが大きくなるため好ましくない。
thの測定方法は、例えば、全幅をサンプリングして、フィルムの幅方向に5等分する。5等分したサンプルから測定サンプル小片を切り出し、自動複屈折率測定装置(王子計測機器製の商品名、KOBRA−WR)で測定する。フィルムサンプルをその遅相軸または進相軸で回転させて入射角度を変えてレターデーションを測定し、これらのデータから屈折率n、n並びにnを計算する。更にこれらの値から、
th[nm]={(n+n)/2−n}×d
を計算する。ここで、記号dは測定フィルムの厚みをあらわす。
(光学フィルムの表面粗さ)
本発明の光学用フィルムは、表面性に優れており、フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)で表わした表面性が、好ましくは5nm以下、より好ましくは3nm以下である。表面性が良好なので、ホログラム記録媒体用ギャップ層として好適に使用することができる。
フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)の測定方法は、例えば、JIS−B0601で定義される値であり、(株)小坂研究所の接触式表面粗さ計(サーフコーダー、型式SE−30C)を用いて測定する。測定条件は、下記のとおりである。触針先端半径:2μm、測定圧力:30mg、カットオフ:0.08mm、測定長:1.0mm。データは、同一試料について5回繰り返し測定し、その測定値(μm単位による小数点以下4桁目までの値)について、最も大きな値を一つ除き、残り4つのデータにおける平均値の少数点以下5桁目を四捨五入して、小数点以下4桁目までをnm単位で示す。
(光学フィルムの熱寸法変化)
また、本発明の光学用フィルムは、熱的に高い安定性を有する。この高い安定性の指標として、本発明の光学用フィルムは160℃における熱寸法変化率が読み取り顕微鏡で測定したときに、好ましくは0.08%以下であり、より好ましくは0.05%以下である。熱寸法変化率が0.08%以上となると、フィルタ層積層時または記録層積層時の熱により、ギャップ層が変形し、フィルタ層にひび割れ等の欠陥が生じるため好ましくない。
フィルムの熱寸法変化率は、例えば、フィルムの幅方向3箇所からサンプルを採取した。測定サンプルの大きさは幅10mm、測定の方向に150mmとする。測定の方向はフィルムの走行方向と走行方向に直角方向の2方向とした。測定の方向に標点間隔を100mmとし、所定温度(160℃)の恒温槽にて無負荷下で2時間処理した後、室温に取り出し冷却した後測定した。寸法の変化は、恒温恒湿下、23℃、65%RHの条件下で、読み取り顕微鏡を用いて実施する。寸法の変化率は熱処理前後の寸法から次のように求める。
熱寸法変化率[%]={(処理前寸法)−(処理後寸法)}/(処理前寸法)×100
<ホログラム記録媒体>
本発明のホログラム記録媒体は、支持基板である第二の基板と、反射層、ギャップ層、フィルタ層、保護層、記録層、第一の基板より構成され、必要に応じてその他の層を有する光記録媒体である。更に、該光記録媒体は、前記情報光および参照光が、両光の光軸が同軸になるように照射される同軸干渉方式(コリニア方式)に用いられる。
(第二の基板)
第二の基板は、最外層に位置し、ホログラム記録媒体へ記録するための情報光及び参照光の照射位置に関する情報が形成されるとともに、ホログラム記録媒体の機械的強度を保持する支持基板としての機能を有する。
第二の基板は、その形状、構成構造、大きさ等については、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、ディスク形状、カード形状などが挙げられる。また、第一の基板と外形状が同形状であることが好ましい。
第二の基板を構成する材料としては、通常、ガラス、セラミックス、プラスチックなどが用いられるが、加工性、コストの面から、プラスチックが特に好適に用いられる。
前記プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリレーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、成形性、耐熱性、光学特性、コストの面から、ポリカーボネート樹脂が特に好適に用いられる。
第二の基板における情報光または参照光の照射位置に関する情報としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、トラッキング情報、フォーカス情報、アドレス情報、ディスク条件情報などが挙げられる。
前記トラッキング情報は、例えば、ウォブルピット、ウォブルグルーブ、トラッキングピットなどが挙げられる。
前記フォーカス情報は、例えば、第二の基板表面に形成した反射膜、フォーカス用ミラー部分、フォーカス用ピットなどが挙げられる。
前記アドレス情報は、例えば、前記ウォブルピット上に形成した凹凸、エンコードしたピット列、ウォブル変調信号などが挙げられる。
前記各情報を複合的に形成してもよい。例えば、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス− サーボエリアを所定の角度間隔で設け、隣り合うアドレス− サーボエリア間の扇形の区間をデータエリアとしてもよい。該アドレス− サーボエリアには、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット( サーボピット) 等によってサーボピットパターンを記録することにより形成してもよい。
第二の基板の厚みとしては、0.1〜5mmが好ましく、0.3〜2mmがより好ましい。前記第二の基板の厚みが、0.1mm未満であると、ホログラム記録媒体の機械的強度の保持が困難であり、5mmを超えると、ホログラム記録媒体の重量が大きくなってスピンドルモーターに過剰な負荷をかけるため、好ましくない。
(反射層)
前記第二の基板におけるサーボピットパターンの表面に反射層として反射膜を形成してもよい。前記反射膜の材料としては、情報光や参照光に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金等が好ましい。前記反射膜の形成方法としては、特に制限はなく、真空蒸着法、スパッタリング法等のPVD法、あるいはCVD法等、種々の薄膜形成法が適用できる。しかし、ホログラム記録媒体としては、高温高湿の耐環境試験で生じる剥離を生じさせないために、特に基板との密着性が大きい条件で作製することが好ましい。このためにはスパッタリング法が好適に用いられる。
反射層の膜厚範囲は10〜500nmが好ましいが、反射率の低下による信号特性の低下を抑えるためには、より好ましくは30〜200nm、特に好ましくは40〜100nmである。
(ギャップ層)
ギャップ層は、前記第二の基板の表面を平坦化する目的で形成される。ギャップ層に用いられる材料としては、ギャップ層上にフィルタ層を積層しても、積層時の熱によってギャップ層が変形することなく、またフィルタ層上に記録材料を積層・硬化させたときの熱や収縮応力でギャップ層が変形しフィルタ層にひび割れ等の欠陥が発生することない耐熱性に優れた材料であることが好ましい。
(フィルタ層)
フィルタ層は、入射角が変化しても選択反射波長にずれが生じることなく、情報光
及び参照光によるホログラム記録媒体の反射膜からの乱反射を防止し、ノイズの発生を防止する機能がある。ホログラム記録媒体に前記フィルタ層を積層することにより、高解像度、回折効率の優れたホログラム記録が得られる。
フィルタ層の機能は、第一の波長の光を透過し、該第一の波長の光と異なる第二の波長の光を反射することが好ましく、前記第一の波長の光が350〜600nmであり、かつ第二の波長の光が600〜900nmであることが好ましい。
前記フィルタ層としては、特に制限はなく、例えば、誘電体蒸着層、単層又は2層以上のコレステリック層、更に必要に応じてその他の層の積層体により形成される。また色材含有層を有していてもよい。
(保護層)
保護層は、フィルタ層と記録層との間に形成される。保護層は、ホログラム記録媒体の記録性能低下防止を目的に使用される。情報光および参照光の集光位置が記録層内に存在するが、保護層がない場合、過剰露光により過剰な光反応が生じ、記録性能が低下する。つまり、保護層を使用することにより、集光位置付近での過剰な光反応を抑制することができ、記録性能を維持することが可能である。
保護層に用いられる材料としては、特に制限はないが、ギャップ層と同様に透明なプラスチックフィルムが好適に用いられる。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂からなるプラスチックフィルムが好ましい。耐熱性、光学的な等方性が求められることから、ポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン樹脂がより好ましい。
保護層の厚みとしては、特に制限はないが、1〜200μmが好ましく、3〜100μmがより好ましい。1μm未満ではホログラム記録時におけるホログラム記録層中のモノマー消費が大きすぎて感度低下や多重度低下を招くことがあり、好ましくない。また、200μmを超えると焦点位置が記録層より遠くなるため、記録性能の低下を招くので好ましくない。
(記録層)
記録層は、2次元イメージとして情報を付与された情報光と、情報光と干渉可能な参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせホログラフィを利用して情報が記録される層であり、所定の波長の電磁波(γ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波など) を照射すると、その強度に応じて吸光係数や屈折率などの光学特性が変化する材料が用いられる。記録層を構成する材料として、一般的にラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤に加え、3次元架橋ポリマーマトリクスを有する構成が好適に用いられる。 マトリクスを形成する三次元架橋ポリマーとなる化合物は、エポキシ化合物が用いられる。具体的には、エポキシ化合物としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジエポキシオクタン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、およびエポキシプロポキシプロピル末端のポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニル化合物などが挙げられる。より具体的には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ビシクロペンテニルアクリレート、アクリル酸フェニル、イソボルニルアクリレート、アクリル酸アダマンチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、メタクリル酸アダマンチル、イソボルニルメタクリレート、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、トリブロモフェニルアクリレート、トリクロロフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、トリクロロフェニルメタクリレート、ビニルベンゾエート、3,5−ジクロロビニルベンゾエート、ビニルナフタレン、ビニルナフトエート、ナフチルメタクリレート、ナフチルアクリレート、N−フェニルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、ビシクロペンテニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールトリメタクリレート、N−ビニルカルバゾールおよびN−ビニルピロリドンが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、イミダゾール誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、有機過酸化物、およびチオキサントン誘導体等が挙げられる。具体的には、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンジルメトキシエチルエーテル、2,2’−ジエチルアセトフェノン、2,2’−ジプロピルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、3,3’4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)1,3,5−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)1,3,5−トリアジン、2−[(p−メトキシフェニル)エチレン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)1,3,5−トリアジン、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア149、184、369、651、784、819、907、1700、1800、1850など各番号のもの、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、デカノイルーパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、およびシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
必要に応じてシアニン、メロシアニン、キサンテン、クマリン、エオシンなどの増感色素、シランカップリング剤、および可塑剤などを加えてもよい。
保護層上に上記の三次元架橋ポリマー、ラジカル重合性モノマー、光重合開始剤を含む記録層溶液を塗布するにはキャスティングやスピンコート法を採用することができる。樹脂製のスペーサーを介してフィルタ層を含む第二の基板と第一の基板を配置し、その間隙に記録層材料溶液を流し込むこともできる。マトリックスポリマーの三次元架橋は、脂肪族第一アミンでは室温でも進行するが、硬化剤の反応性に応じて30℃〜150℃程度に加熱してもよい。記録層の膜厚は、20μm〜2mmの範囲内であることが好ましい。20μm未満の場合には、十分な記録容量を得ることが困難となり、2mmを越えると記録層の感度および回折効率が低下するおそれがある。より好ましくは、記録層の膜厚は50μm〜1mmの範囲内である。記録層が第一の基板を溶解、侵食する場合には、第一の基板と記録層の間にスパッタリング等の手法により有機または無機系の保護膜を形成してもよい。前記保護膜は、特に制限はなく、例えば、シリコン膜、硫化亜鉛−シリコン膜等を使用してもよい。その場合、保護膜層の厚みは10nm〜500nmが好ましい。
(第一の基板)
第一の基板は、記録層上に積層され、光透過性の基板であることが好ましい。その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、第二の基板と同様の形状、材料を用いることができる。
第一の基板の厚みは、特に制限はなく、5〜1200μmが好ましく、100〜700μmがより好ましい。前記支持体厚みが、5μm 未満であると、記録層を保護する機能が低下し、1200μmを超えると、第一の基板表面から記録層、サーボピットが形成された層までの距離が遠くなり、記録再生の光の焦点距離が長すぎるため好ましくない。
<ホログラム記録再生方式>
ホログラム記録方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記ホログラム記録媒体に情報光及び参照光を同軸光束として照射し、該情報光と参照光との干渉による干渉パターンによって情報を記録層に記録するコリニア方式によるホログラム記録方法である。
前記再生方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記光記録方法により記録層に形成された干渉像に参照光と同じ光を照射して該干渉像に対応した記録情報を再生することができる。
前記光記録方法及び再生方法では、二次元イメージとして情報を付与された情報光と、該情報光と強度がほぼ一定な参照光とを記録層内部で重ね合わせ、それらが形成する干渉パターンを利用して記録層内部に光学特性の分布を生じさせることにより、情報を記録する。一方、書き込んだ情報を再生する際には、記録時と同様の配置で参照光のみを記録層に照射し、記録層内部に形成された光学特性分布に対応した強度分布を有する再生光が得られる。
以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明する。なお、本実施例では一連の作業は、記録層が感光しないように、波長600nmより短い光が遮光されている室内で行った。
本発明のポリカーボネート共重合体からなる光学フィルムは、高い耐熱性を示すことから、その奏する工業的効果は格別である。この光学フィルムをギャップ層として用いたホログラム記録媒体は、フィルタ層積層時または記録層積層時の熱によるギャップ層の変形を抑制し、ギャップ層の変形に伴うフィルタ層のひび割れ等の欠陥を生じないことが可能である。従って、ホログラム記録媒体としての有効性が明らかである。
以下、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、何らこれに限定されるものではない。実施例及び比較例において「部」は重量部である。なお評価は下記の方法に従った。
(1)ガラス転移温度
ポリカーボネート樹脂パウダーを用いてTAインスツルメント社製の熱分析システムDSC−2910を使用して、JIS K7121に従い窒素雰囲気下(窒素流量:40ml/min)、昇温速度:20℃/minの条件下で測定した。
(2)比粘度
塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂パウダー0.7gを溶解し、その溶液の20℃における比粘度(ηsp)を測定した。
(3)フィルムの厚み斑
フィルム全幅の厚み斑は、連続厚み計(アンリツ(株)製フィルムシックネステスター 型式KG601A)を用いて行った。
(4)フィルムの全光線透過率及びヘイズ
フィルムの幅方向3箇所からサンプルを採取した。サンプルの全光線透過率を日本電色工業(株)製の色差・濁度測定機COH−300Aを用いて測定した。各サンプルについて5点測定し、幅方向3サンプルについての計15点の平均値を全光線透過率とした。なおこの測定はJISK7105に準拠して実施した。
(5)フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)の測定
中心線平均表面粗さ(Ra)とはJIS−B0601で定義される値であり、(株)小坂研究所の接触式表面粗さ計(サーフコーダー、型式SE−30C)を用いて測定した。測定条件は下記のとおりである。
触針先端半径:2μm、測定圧力:30mg、カットオフ:0.08mm、
測定長:1.0mm。
データは、同一試料について5回繰り返し測定し、その測定値(μm単位による小数点以下4桁目までの値)について、最も大きな値を一つ除き、残り4つのデータにおける平均値の少数点以下5桁目を四捨五入して、小数点以下4桁目までをnm単位で示した。
(6)フィルムの熱寸法変化率
フィルムの幅方向3箇所からサンプルを採取した。測定サンプルの大きさは幅10mm、測定の方向に150mmとした。測定の方向はフィルムの走行方向と走行方向に直角方向の2方向とした。測定の方向に標点間隔を100mmとし、所定温度(160℃)の恒温槽にて無負荷下で2時間処理した後、室温に取り出し冷却した後測定した。寸法の変化は、恒温恒湿下、23℃、65%RHの条件下で、読み取り顕微鏡を用いて実施した。寸法の変化率は熱処理前後の寸法から次のように求めた。
熱寸法変化率[%]={(処理前寸法)−(処理後寸法)}/(処理前寸法)×100
(7)面内レターデーション値(Re)の測定
幅方向サンプル全幅についてレターデーション連続測定器(王子計測機器(株))製の商品名KOBRA−WFD)により10mm間隔でレターデーション値を測定した。測定光源の波長は589nmである。
(8)厚み方向のレターデーション値(Rth)の測定
上記(7)項の測定と同様に全幅をサンプリングして、フィルムの幅方向に5等分した。5等分したサンフ゜ルから測定サンプル小片を切り出し、自動複屈折率測定装置(王子計測機器製の商品名、KOBRA−WR)で測定した。フィルムサンプルをその遅相軸または進相軸で回転させて入射角度を変えてレターデーションを測定し、これらのデータから屈折率n、n並びにnを計算した。更にこれらの値から、
th[nm]={(n+n)/2−n}×d
を計算した。ここで、dは測定フィルムの厚みをあらわす。
(9)フィルタ層積層時のギャップ層の割れ性評価
第二の基板としてポリカーボネート樹脂(帝人化成製パンライトAD−5503)を用い、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業製、型式SD−40E)を使用して、直径120mm、厚み1.1mmのディスク基板を成形した。ディスク基板上に反射膜としてAg合金をスパッタリングにより製膜した。その後、スピンコートにより接着剤を均一に塗布した後に厚み100μmのポリカーボネートフィルムを貼り合せた。その上に真空蒸着によりフィルタ層(ダイクロイックミラー)を積層させた。得られたフィルタ層を含む第二の基板を用いて、光学顕微鏡によりフィルタ層表面を観察した。評価基準として、以下基準により評価を行った。
○:最大長20μm以上のひび割れが0個/平方mm
△:最大長20μm以上のひび割れが1個/平方mm以上〜5個/平方mm以下
×:最大長20μm以上のひび割れが5個/平方mm以上
(10)記録層積層時のギャップ層の割れ性評価
記録層として、3次元架橋ポリマーとして、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを用いた。また、光重合性モノマーとしてポリエチレングリコールジアクリレートを用いた。該モノマーは室温で液体である。ポリエチレングリコールジアクリレート100重量部に、光重合開始剤としてイルガキュア−784(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)3重量部を加え混合した。ホログラム記録層溶液の全体量に対して、マトリクス材料の割合が67重量%、光重合性モノマーの割合が33重量%となるように室温にて混合し、ホログラム記録記録層を調製した。また、第一の基板としてポリカーボネート樹脂(帝人化成製パンライトAD−5503)を用い、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(住友重機械工業製、型式SD−40E)を使用して、直径120mm、厚み0.6mmのディスク基板を成形した。調製したホログラム記録層溶液を、スピンコートによりフィルタ層上に塗布し、その上に第一の基板を貼りあわせた。得られたホログラム記録媒体を遮光して、80℃で5時間保持することにより、厚さ0.6mmの記録層を有するホログラム記録媒体を作成した。微分干渉光学顕微鏡によりフィルタ層の表面を観察した。評価基準として、以下基準により評価を行った。
○:最大長20μm以上のひび割れが0個/平方mm
△:最大長20μm以上のひび割れが1個/平方mm以上〜5個/平方mm以下
×:最大長20μm以上のひび割れが5個/平方mm以上
(11)ホログラム記録再生評価
上記ホログラム記録媒体を、パルステック工業製、コリニアホログラム記録再生試験機SHOT−1000を用いて、記録ホログラムの焦点位置における記録スポットの大きさ直径200μmで一連の多重ホログラムを書き込み、ISOM’04、Th−J−06、pp.184−185に記載されている手法により多重数について評価を行った。ここではBER>10−3となる記録ホログラム数を多重数とした。
[実施例1]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
温度計、撹拌機および還流冷却器の付いた反応器に、48%水酸化ナトリウム水溶液4485部およびイオン交換水22377部を仕込み、これに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン963部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2859部およびハイドロサルファイト7.65部を溶解した後、塩化メチレン13209部を加え、撹拌下、15〜25℃でホスゲン2000部を約100分かけて吹き込んだ。ホスゲンの吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液640部およびp−tert−ブチルフェノール116.55部を加え、撹拌を再開、乳化後トリエチルアミン5.39部を加え、さらに28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後生成物を塩化メチレンで希釈して水洗した後、塩酸酸性にして水洗し、さらに水相の導電率がイオン交換水とほぼ同じになるまで水洗を繰り返し、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を得た。次いで、この溶液を目開き0.3μmのフィルタに通過させ、さらに軸受け部に異物取出口を有する隔離室付きニーダー中の温水に滴下、塩化メチレンを留去しながらポリカーボネート樹脂をフレーク化し、引続き該含液フレークを粉砕・乾燥してパウダーを得た。該パウダーを用いて比粘度、ガラス転移温度を測定し、結果を表1に記載した。実施例、比較例においてガラス転移温度が180℃以下の共重合ポリカーボネート樹脂は溶融押出法、180℃を超える共重合ポリカーボネート樹脂は溶液キャスティング法(流延法)により光学フィルムを作成した。
<光学フィルムの作成法:溶融押出法>
得られたパウダーを110℃に加熱した溶融押出機の加熱ホッパーに投入して、290℃で溶融押出しした。溶融ポリマーの異物を除去するための平均目開きが10μmであるステンレス不織布製のディスク形状フィルタを用いた。濾過後の溶融樹脂を290℃に設定したダイにより、回転する直径800mm、ロール面長1800mmの冷却ロール面に押出した。押出しダイのリップ幅は1500mm、リップ間隙は約2mmとした。フィルムを均一に冷却して引き取るために、フィルム全幅を静電密着法により冷却ロール面に密着させた。静電密着のための電極にはステンレス製ピアノ線を清浄に磨
いたものを用いた。このピアノ線に直流電源のプラス電極をつなぎ、冷却ドラム側は接地した。印加電圧は7KVとした。かくして厚みが100μmのフィルムを冷却ロール回転速度10m/分で、テイクオフロールを介して引き取った。
さらに引き続いて、フィルムをロール懸垂型熱処理機に通膜して熱処理した。ロール懸垂型熱処理機内に100mmφのロールを上下交互に配置した。上下ロール間距離を1.6m、ひとつ置いた隣のロールとの距離をロール径と同じ100mmφとした。そして、処理すべきフィルムが、このロール懸垂型熱処理機内のオーブン中にとどまる長さを約50mになるように作成した(滞留時間60秒)。熱処理機内のオーブン中の熱風温度は145℃、オーブン出口でのフィルム張力は3.0Kg/(厚み100μm×フィルム全幅1440mm)であった(断面荷重あたり2.1Kg/平方センチメートルであった)。オーブンを出た後のフィルムを60℃以下まで同様にロール懸垂型処理機で冷却してのち室温に取り出した。熱処理後のフィルムの両端部を70mmずつ切り除いて1300mm幅のフィルムを得た。得られたポリカーボネートフィルムの幅、厚み、厚み斑、160℃における熱寸法変化率、全光線透過率、表面粗さ、レターデーション値、厚み方向のレターデーション値を測定し、表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
第二の基板用樹脂としてポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製パンライトAD−5503)を用い、光ディスク用射出成形機(住友重機械工業(株)製SD−40E)により、外径120mmφ、内径15mmφ、厚み1.1mmのディスク基板を成形した。尚、射出成形の際に、片面表面にデータ情報が記録されたピットを形成するため、トラックピッチ0.74μm、溝深さ150nm、溝幅300nmのパターンが形成されたスタンパーを使用した。このディスク基板をBlu−ray Disc貼合装置(芝浦メカトロニクス(株)製メビウスF−1)に供給した。メビウスF−1には、このディスク基板以外に、反射膜形成用に(株)コベルコ科研製Ag合金のマグネトロンスパッタ用ターゲット、ギャップ層用フィルムに前述のフィルムを140mm幅に切り出したポリカーボネートフィルム、該フィルムとディスク基板との接着用樹脂として大日本インキ化学工業(株)製EX−8410を供給した。メビウスF−1ではスパッタによってディスク基板にAg合金の反射膜を形成した後、接着用樹脂がスピンコーティングされる。これに、別途供給されているギャップ層用の積層フィルムロールからポリカーボネートフィルムのみが引き出された後に、ディスク状に打ち抜かれ、この打ち抜かれたギャップ層用フィルムが上述の基板に貼合され、紫外線照射されることでギャップ層を形成した。その後、フィルタ層として真空蒸着法によりダイクロイックミラー層を積層した。保護層として帝人化成(株)製パンライトAD−5503にて製膜した厚み100μmのポリカーボネートフィルムをギャップ層と同様の手法にてフィルタ層上に積層した。次に、第一の基板用樹脂としてポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製パンライトAD−5503)を用い、光ディスク用射出成形機(住友重機械工業(株)製SD−40E)により、外径120mmφ、内径15mmφ、厚み0.6mmのディスク基板を成形した。尚、射出成形の際に、フォーマットピットパターンのない鏡面スタンパーを使用した。その後、調製したホログラム記録層溶液を、スピンコートにより保護層上に塗布し、その上に第一の基板を貼りあわせた。これを遮光して、80℃で5時間保持することにより、厚さ0.6mmの記録層を有するホログラム記録媒体を作製した。さらに、ホログラム記録媒体の記録再生評価には、パルステック工業製ホログラム評価装置(型式:SHOT−1000)を用いて13×13=169のホログラムを多重記録した。BER>10−3となる記録ホログラム数を多重数とし、表1に記載した。
[実施例2]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン1447部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン2480部およびハイドロサルファイト9.39部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶融押出法>
上記パウダーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリカーボネートフィルムを得た。結果を表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
[実施例3]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2408部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1787部およびハイドロサルファイト78.39部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。該パウダーを用いて比粘度、ガラス転移温度を測定し、結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶液キャスティング法(流延法)>
この樹脂パウダーを120℃で16時間熱風乾燥し、次いで減湿空気により30℃まで冷却した。これを塩化メチレンに溶解して19重量%の溶液を作成した。この溶液を平均孔径3ミクロンのフィルタに通し異物を除去した。更にこの溶液を1500mm幅のコートハンガーダイに導入した。続いて、鏡面研磨したスチールベルト支持体上に流延した後、加熱乾燥により溶媒を飛ばし、支持体より剥離した。更に引続き、ロール懸垂型の乾燥機へ通膜し、低搬送張力で巻き取った。得られたポリカーボネートフィルムの幅、厚み、厚み斑、160℃における熱寸法変化率、全光線透過率、表面粗さ、レターデーション値、厚み方向のレターデーション値を測定し、表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
[実施例4]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン4335部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン357部およびハイドロサルファイト9.39部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶液キャスティング法(流延法)>
上記パウダーを用いた以外は実施例2と同様の操作を行い、ポリカーボネートフィルムを得た。結果を表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
[実施例5]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2408部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール2688部およびハイドロサルファイト10.19部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶融押出法>
上記パウダーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリカーボネートフィルムを得た。結果を表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行い、結果を表1に記載した。
[比較例1]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール5376部およびハイドロサルファイト10.75部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶融押出法>
上記パウダーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリカーボネートフィルムを得た。結果を表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行ったが、フィルタ層積層時及び記録層積層時にフィルタ層及びギャップ層にひび割れが生じた為、ホログラム記録再生評価は実施できなかった。結果を表1に記載した。
[比較例2]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3574部およびハイドロサルファイト7.15部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶融押出法>
上記パウダーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリカーボネートフィルムを得た。結果を表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行ったが、フィルタ層積層時及び記録層積層時にフィルタ層及びギャップ層にひび割れが生じた為、ホログラム記録再生評価は実施できなかった。結果を表1に記載した。
[比較例3]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン4817部およびハイドロサルファイト9.63部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶液キャスティング法(流延法)>
上記パウダーを用いた以外は実施例2と同様の操作を行ったが、鏡面研磨したスチールベルト支持体上に流延した後、支持体より剥離する際にフィルムが破断した為、評価可能なフィルムを得ることができなかった。
<ホログラム記録媒体製造工程>
上記フィルムが得られなかった為、ホログラム記録媒体の作成及び評価は実施しなかった。
[比較例4]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン481部、2,2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3216部およびハイドロサルファイト7.41部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶融押出法>
上記パウダーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリカーボネートフィルムを得た。結果を表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行ったが、フィルタ層積層時及び記録層積層時にフィルタ層及びギャップ層にひび割れが生じた為、ホログラム記録再生評価は実施できなかった。結果を表1に記載した。
[比較例5]
<ポリカーボネート樹脂の製造>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン481部、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール4839部およびハイドロサルファイト10.65部とした以外は全て実施例1と同様に操作を行い、樹脂パウダーを得た。結果を表1に記載した。
<光学フィルムの作成法:溶融押出法>
上記パウダーを用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、ポリカーボネートフィルムを得た。結果を表1に記載した。
<ホログラム記録媒体製造工程>
ギャップ層に上記ポリカーボネートフィルムを用いた以外は全て実施例1と同様の操作を行ったが、フィルタ層積層時及び記録層積層時にフィルタ層及びギャップ層にひび割れが生じた為、ホログラム記録再生評価は実施できなかった。結果を表1に記載した。
Figure 2009187613
※ Bisp−TMC
:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの略
※ Bisp−M
:4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール
※ Bisp−A
:2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
コリニア方式で使用されるホログラム記録媒体と、その情報光および参照光を示す概略図である。
符号の説明
1 第二の基板
2 反射層
3 ギャップ層
4 フィルタ層
5 保護層
6 記録層
7 第一の基板
8 サーボピットパターン
9 サーボ用光(赤色レーザー)
10 情報光/参照光(緑色または青色レーザー)

Claims (21)

  1. 二次元イメージとして情報を付与された情報光と、情報光と干渉可能な参照光を重ね合わせ、ホログラフィを利用して情報を記録する記録層を有し、支持体となる第二の基板、反射層、ギャップ層、フィルタ層、保護層、記録層、光透過性の第一の基板より構成されるホログラム記録媒体におけるギャップ層であって、該ギャップ層が
    (A)1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位及び、
    (B)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールまたは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位
    から構成され、全構成単位における構成単位(A)の割合が20モル%以上100モル%未満であるポリカーボネート共重合体からなる光学用フィルムであることを特徴とするホログラム記録媒体用ギャップ層。
  2. 全構成単位における構成単位(A)の割合が30モル%以上100モル%未満であるポリカーボネート共重合体からなる光学用フィルムである請求項1記載のホログラム記録媒体記録媒体用ギャップ層。
  3. 構成単位(B)が2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されたカーボネート結合を有する構成単位である請求項1または2記載のホログラム記録媒体記録媒体用ギャップ層。
  4. ガラス転移温度が170℃以上であるポリカーボネート共重合体からなる光学用フィルムである請求項1〜3のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  5. 光学用フィルムが溶融押出法または溶液キャスティング法によって形成されたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  6. 光学用フィルムの厚みが20〜200μm、且つ、厚み斑が±5%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  7. 光学用フィルムの160℃で1hr加熱処理後の熱寸法変化率が0.08%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  8. 光学用フィルムの面内レターデーションが20nm以下、且つ、厚み方向のレターデーションが60nm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  9. 光学用フィルムの中心線平均表面粗さが5nm以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  10. 情報光および参照光が、情報光の光軸と参照光の光軸が同軸になるように照射されるホログラム記録方式に用いられる請求項1〜9のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  11. 第二の基板が、サーボ情報を検出するために形成されたサーボピットパターンを有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  12. 第二の基板が、サーボピットパターン上に反射膜を形成されてなる請求項1〜11のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  13. 反射膜が金属反射膜である請求項1〜12のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  14. フィルタ層と反射膜との間に、ギャップ層を設け、第二の基板表面を平坦化することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  15. ギャップ層形成工程が、光学用フィルムを貼り付けることにより形成する請求項1〜14のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  16. フィルタ層が、ダイクロイックミラーからなる層、またはコレステリック液晶からなる層であり、波長選択性能を有する請求項1〜15のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  17. フィルタ層が、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有する請求項1〜16のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  18. フィルタ層上に、保護層、記録層、光透過性の第一の基板を形成してなる請求項1〜17のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  19. 第一の基板及び第二の基板がポリカーボネート樹脂またはガラスである請求項1〜18のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  20. 情報光と参照光を照射し、干渉による干渉パターンによって情報を記録層に記録する方式であって、記録した干渉パターンの位置情報を、情報光及び参照光とは異なる波長のサーボ用光を照射し、該サーボ用光の焦点距離により検出する方式を利用してなる請求項1〜19のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載のホログラム記録媒体用ギャップ層を有するホログラム記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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