JP2005332564A - 光記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 透明基板上に設けられた複数の記録層を有する光記録媒体の記録特性を改良すること。
【解決手段】 第1の基板301上に設けられ、照射された光により情報の記録再生が可能な2個の記録層(第1の記録層302、第2の記録層305)と、2個の記録層間に設けられた中間層304と、を備え、中間層304における第1の基板301側の面とは反対側の面に、記録トラック用の所定の溝が形成されており、中間層304は複数の樹脂層(第1樹脂層304a,第2樹脂層304b,・・・,最外樹脂層304c)から構成され、記録トラック用の所定の溝を形成する樹脂層を最外樹脂層304cとしたときに、最外樹脂層304cは、中間層304を形成する他の樹脂層とは、異なる弾性率を有する樹脂を用いて形成される光記録媒体300。
【選択図】 図3

Description

本発明は光記録媒体に関し、より詳しくは、複数の記録層を有する光記録媒体に関する。
近年、CD−R、CD−RW、MO等の各種光記録媒体は、大容量の情報を記憶し、ランダムアクセスが容易であるために、コンピュータ等の情報処理装置における外部記憶装置として広く知られている。例えば、有機色素含有記録層を有する代表的なCD−R等は、透明ディスク基板上に色素記録層と反射層とをこの順に有し、これらの記録層や反射層を覆う保護層を有する積層構造であり、基板を通してレーザ光にて記録・再生が行われる。
これら光記録媒体の記録容量を更に大容量化するための1つの手段として、1枚の媒体に複数の記録層を設けることが挙げられる。このような要請に応えるべく、本出願人は、ディスク状の透明な第1の基板上に、紫外線硬化性樹脂からなる中間層を挟んで2個の色素記録層を有する光記録媒体について出願を行った(特許文献1参照)。これによれば、光記録媒体の片面側から照射するレーザ光によりそれぞれの記録層に情報を記録することが可能になり、再生時にも、デュアルレイヤタイプの光記録媒体として片面側から信号を読み取ることが可能となっている。
特開2003−331463号公報
ところで、さらに検討を進めていくと、特許文献1に記載されたような、透明な基板上に中間層を挟んで2個の色素記録層を有する光記録媒体の情報の記録・再生を行うと、基板から遠い側の第2層目の記録層の記録特性が低下する場合があることが分かった。2個の色素記録層を有する光記録媒体における第2層目の記録層の記録特性が低下する原因は、必ずしも明確ではないが、第2層目の記録層に情報の記録を行う場合に、記録層に含まれる色素の化学変化に伴う発熱により、紫外線硬化性樹脂からなる中間層に形成された溝形状が変形する等の理由が考えられる。
このように、本発明は、複数の記録層を有する光記録媒体の記録特性の低下を改良すべくなされたものである。特に、本発明は、中間層の上に形成されることとなる記録層の記録特性の低下を改良すべくなされたものである。
即ち、本発明の目的は、透明基板上に設けられた複数の記録層の記録特性が良好な光記録媒体を提供することにある。
かかる課題を解決するため、本発明者等は鋭意検討を行った。
上述の通り、中間層の上に形成された記録層の記録特性を劣化させる要因の1つとして、記録層の発熱による、中間層に形成された溝の変形が考えられる。従って、中間層に形成された溝の変形を抑制することにより、上記記録層の記録特性を改良できると考えられる。この観点から、中間層上に形成される記録層の記録特性の改良を実現する手段として、以下のものを挙げることができる。
つまり、第1は、中間層の耐熱性を上げて、熱による溝の変形を抑制する手段である。第2は、記録層で発生する熱の放熱性を上げることにより、中間層に拡散する熱を低減して、熱による中間層の溝の変形を抑制する手段である。第3は、上記第1と上記第2とを合わせる手段である。つまり、中間層の耐熱性と記録層の放熱性とのバランスをとることによって、中間層の溝の変形を抑制する手段である。
以上の3つの手段を実現するために、本発明者等がさらに検討を行った結果、中間層を複数の樹脂層から構成して、(a)それぞれの樹脂層に必要な機能を付与する、(b)中間層と基板との性質を実質的に近づける、(c)中間層を基板よりもより高性能にする、ことができることを見出した。また、本発明者等がさらに検討を行った結果、(d)反射層等の膜厚制御により第2の記録層の放熱性を向上させる、ことができることを見出した。そして、これら(a)〜(d)を、必要に応じて、単独で用いるか又は併用することにより、中間層の上に形成される記録層のパワーマージンを、基板上に形成される記録層のパワーマージンよりも広くすることができることが分かった。
即ち、本発明によれば、基板上に設けられ、照射された光により情報の記録再生が可能な少なくとも2個の記録層と、2個の記録層間に設けられた中間層と、を備え、2個の記録層のうち、基板からみて近い側の記録層を第1の記録層、基板からみて遠い側の記録層を第2の記録層とし、中間層の両面のうち基板側とは反対側の面に、記録トラック用の所定の溝が形成されており、中間層が複数の樹脂層から構成され、記録トラック用の所定の溝を形成する樹脂層を最外樹脂層とし、第1の記録層におけるパワーマージンよりも、第2の記録層におけるパワーマージンの方が広いことを特徴とする光記録媒体が提供される。
ここで、パワーマージンとは、所定の記録特性が達成できるレーザの記録パワー範囲をいう。従って、パワーマージンが広いとは、所定の記録特性が達成されるレーザの記録パワーの範囲が広いことを示す。ドライブの記録レーザパワーの個体差等を考慮すると、パワーマージンが広いことが好ましい。このため、「パワーマージンが広い記録層」は、記録特性に優れることとなる。パワーマージンの具体的な測定方法は、種々考えられる。一例としては、所定の条件で測定された記録マークのジッタが所定の値以下(例えば9%以下)となるような、レーザの記録パワー範囲を求める手法が挙げられる。パワーマージンの具体的な測定方法については、後述する。
上記第2の記録層におけるパワーマージンを広くするためには、上記3つの手段をそれぞれ実現するようにすればよい。具体的な方法としては種々考えられる。好ましい実現方法の例としては、以下に列記する方法がある。以下の方法を、必要に応じて、単独で用いるか又は併用すればよい。
最外樹脂層には、中間層を形成する他の樹脂層とは異なる弾性率を有する樹脂を用いる。
最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする。
基板を樹脂で形成し、(最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率)≧(基板を形成する樹脂の150℃における弾性率)とする。
最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率を、中間層を形成する他の樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率よりも高くする。
最外樹脂層に用いる樹脂の収縮率を6%以上とする。
最外樹脂層の厚さを、中間層全体の厚さの5%以上とする。
最外樹脂層以外の樹脂層に、30℃における弾性率が1500MPa以下の樹脂を用いる。
最外樹脂層以外の樹脂層に、収縮率が4%以下の樹脂を用いる。
中間層を、3層の樹脂層で構成する。
上記第2の記録層におけるパワーマージンを広げるための、好ましい実現方法としては、以下の態様を挙げることができる。
つまり、中間層が、第1層と第2層とから構成され、それぞれの層に弾性率が異なる樹脂を用いる態様である。
上記態様においては、上記中間層は、第1層と第2層とから構成され、第2層を構成する樹脂が、第1層を構成する樹脂よりも高い弾性率を有することが好ましい。第2層を構成する樹脂を高い弾性率を示す樹脂を用いて構成することにより、第2層に形成されたグルーブの変形が防止される。
上記態様においては、中間層は、第1層と第2層とから構成され、第2層を構成する樹脂の150℃における弾性率が300MPa以上であることが好ましい。このような弾性率を有する樹脂を用いることによって、第2層に接する記録層の記録特性を向上させることができる。
上記態様においては、第2層を構成する樹脂の収縮率が6%以上であることが好ましい。第2層を構成する樹脂の収縮率が6%以上であることを特徴とすれば、樹脂スタンパとの剥離性が改善される。
上記態様においては、第1層の厚さ(Da)と第2層の厚さ(Db)との関係が、(Da/Db)=(1/4)〜(4/1)であることが好ましい。積層構造である中間層を構成する第1層の厚さ(Da)と第2層の厚さ(Db)との関係がこのような範囲である場合、基板の反りを効果的に抑制することが可能である。
上記態様においては、中間層は、30℃における弾性率が1500MPa以下の樹脂からなる第1層と、第1層上に積層され、150℃における弾性率が300MPa以上である樹脂からなる第2層と、から構成されることが好ましい。
上記態様においては、第1層を構成する樹脂の収縮率が4%以下であることが好ましい。
さらに、上記第2の記録層におけるパワーマージンを広げるための、好ましい実現方法の例として、以下を挙げることができる。
本発明においては、中間層を構成する樹脂層が紫外線硬化性樹脂から構成されることが好ましい。紫外線硬化性樹脂は、透明度が高く、硬化時間が短く製造上有利である。また、中間層を構成する樹脂層の層構成の制御も容易である。このため、第2の記録層におけるパワーマージンを広げやすくなる。
また、本発明においては、記録層が有機色素を含有することが好ましい。記録の際に、有機色素は融解又は化学反応して発熱する。そして、この発熱によって、中間層に形成された溝の変形が起き易くなる。このため、記録層に有機色素を用いることによって、本発明の効果がより顕著に発揮されることとなる。
また、本発明においては、第1の記録層と中間層との間に第1の反射層を、第2の記録層の上に第2の反射層を設け、(第2の反射層の膜厚)/(第1の反射層の膜厚)を、2以上、20以下とすることが好ましい。つまり、第2の反射層の膜厚を第1の反射層の膜厚よりも十分厚くすることにより、第2の記録層での放熱性を確保しやすくなる。この結果、第2の記録層のパワーマージン等の記録特性を良好にしやすくなる。
本発明によれば、透明基板上に設けられた複数の記録層を有する光記録媒体の記録特性が改善される。
以下、必要に応じて図面を用い、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。但し、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変更をして用いることができる。また、図面は、実施の形態を説明するために用いるものであり実際の大きさを表すものではない。
本実施の形態が適用される光記録媒体は、基板上に設けられ、照射された光により情報の記録再生が可能な少なくとも2個の記録層と、2個の記録層間に設けられた中間層と、を備え、2個の記録層のうち、基板からみて近い側の記録層を第1の記録層、基板からみて遠い側の記録層を第2の記録層とし、中間層の両面のうち基板側とは反対側の面に、記録トラック用の所定の溝が形成されており、中間層が複数の樹脂層から構成され、記録トラック用の所定の溝を形成する樹脂層を最外樹脂層とし、第1の記録層におけるパワーマージンよりも、第2の記録層におけるパワーマージンの方が広いことを特徴とする。
ここで、パワーマージンとは、所定の記録特性が達成できるレーザの記録パワー範囲をいう。従って、パワーマージンが広いとは、所定の記録特性が達成されるレーザの記録パワーの範囲が広いことを示す。パワーマージンの具体的な測定方法は、種々考えられる。一例としては、所定の条件で測定された記録マークのジッタが所定の値以下となるような、レーザの記録パワー範囲を求める手法が挙げられる。
パワーマージンの規定方法として、より具体的には、以下の方法を挙げることができる。つまり、DVD等の光ディスクの種類によって決められる規格の下で、記録とジッタの測定とを行う。そして、ジッタが9%以下となる記録パワーP1、P2を求める。さらに、(P2−P1)/{(P2+P1)/2}を算出して、これをパワーマージンと規定する。
第2の記録層におけるパワーマージンを広くするために、上述の通り、中間層に形成された溝の変形を抑制することが好ましい。この溝の変形を抑制する手段としては、以下の(a)〜(c)を挙げることができる。
(a)中間層の耐熱性を上げて、熱による溝の変形を抑制する手段。
(b)記録層で発生する熱の放熱性を上げることにより、中間層に拡散する熱を低減して、熱による中間層の溝の変形を抑制する手段。
(c)中間層の耐熱性と記録層の放熱性とのバランスをとることによって、中間層の溝の変形を抑制する手段。
中間層の耐熱性を上げる手段として、より具体的には以下の手段を挙げることができる。先ず、中間層(特に、中間層に形成された溝の変形にとって大きな影響を与える、溝が形成された表面近傍の中間層)を硬い材料で形成する手段がある。次に、中間層(特に、中間層に形成された溝の変形にとって大きな影響を与える、溝が形成された表面近傍の中間層)の耐熱性を基板に近づける手段を挙げることができる。さらに、中間層(特に、中間層に形成された溝の変形にとって大きな影響を与える、溝が形成された表面近傍の中間層)の耐熱性を基板よりも高くする手段を挙げることができる。また、第2の記録層で発生する熱の放熱性を上げる手段として、第2の記録層の放熱性に影響を与える要素(第2の記録層の膜厚、反射層の膜厚等)を適宜制御する、ことが挙げられる。これらの手段は、必要に応じて、単独で用いるか又は併用すればよい。
以下、上記具体的な実現手段について詳細に説明する。
(I)中間層による実現
第2の記録層のパワーマージンを第1の記録層におけるパワーマージンよりも広くする具体的な例を以下に示す。
つまり、中間層を複数の樹脂層で構成し、記録トラック用の所定の溝を形成する樹脂層を最外樹脂層とする。さらに、下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たすようにする。
(1)最外樹脂層には、中間層を形成する他の樹脂層とは異なる弾性率を有する樹脂を用いる。
(2)最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする。
(3)基板を樹脂で形成する場合に、(最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率)≧(基板を形成する樹脂の150℃における弾性率)とする。
このような光記録媒体を、模式図を用いながら説明する。
図3は、本実施の形態が適用される光記録媒体の一例を示す模式図である。図3に示された光記録媒体300は、表面に形成された記録トラック用の溝を有するディスク状の光透過性の第1の基板301と、この第1の基板301上に、第1の基板301を介して照射されたレーザ光310により情報の記録・再生が行われる第1の記録層302と、第1の基板301側から入射したレーザ光310のパワーを振り分ける半透明の第1の反射層303と、中間層304と、が積層されている。さらに、中間層304上に、中間層304を透過したレーザ光310により情報の記録再生が行われる第2の記録層305と、第2の記録層305を透過したレーザ光310を反射する第2の反射層306と、が順番に積層されている。そして、第2の反射層306上に、接着層307と、最外層を形成するダミー基板である第2の基板308とが、順番に積層された構造を有している。
ここで、中間層304は、第1の基板301の側とは反対側の面(面A)に、記録トラック用の所定の溝が形成されている。そして、中間層304は、複数の樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・最外樹脂層304c)から構成されている。
図3に示すように、第1の基板301側から照射されたレーザ光310により、第1の記録層302に光情報が記録され、また、記録された光情報の再生が行われる。さらに、レーザ光310の一部は、半透明の第1の反射層303を透過し、中間層304を介して第2の記録層305に照射され、第1の記録層302と同様に、光情報の記録・再生が行われる。
尚、通常、第1の反射層303により反射されたレーザ光310の一部及び第2の反射層306により反射されたレーザ光310の一部は、それぞれ、レーザ光310を集光するためのフォーカシング(図示せず)に利用される。また、通常、ダミー基板である第2の基板308は、接着層307により第2の反射層306上に積層される。そして、第2の基板308は、光記録媒体300の最外層を形成すると共に、光記録媒体300に剛性を付与する。これにより、光記録媒体300の形状の安定性が保たれる。上述の通り、第1の基板301及び中間層304上にはそれぞれ凹凸状の溝が形成され、それぞれ記録トラックを構成している。
ここで、本実施の形態が適用される光記録媒体300において、「光透過性(又は透明)」とは、第1の記録層302及び第2の記録層305に光情報を記録・再生するために照射される光の波長に対する光透過性を意味するものである。
「光透過性(又は透明)」とは、具体的には、記録・再生のための光の波長について50%以上、好ましくは60%以上の透過性があることをいう。尚、光透過性の上限は、理想的には100%である。
図3に示すように、記録トラック用の所定の溝が形成されている樹脂層が最外樹脂層304cとなっている。最外樹脂層304cは、下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たすようにする。
(1)最外樹脂層304cには、中間層304を形成する他の樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)とは異なる弾性率を有する樹脂を用いる。
(2)最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする。
(3)第1の基板301を樹脂で形成する場合に、(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)≧(第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率)とする。
ここで、最外樹脂層304cは、中間層304の上に形成される第2の記録層305の記録特性を良好にするために機能する層である。つまり、第2の記録層305への記録の際に起きる記録層の発熱(この発熱は、記録層が有機色素を含有する場合は有機色素の化学変化等に伴う熱や、記録層が無機材料を含有する場合は無機材料の構造変化に伴う熱に起因すると思われる。)によって、最外樹脂層304cに形成された溝形状は変形しやすい状態となる。
本発明者等の検討によれば、最外樹脂層304cの溝形状が大きく変形すると、第2の記録層305における記録特性(例えば、ジッタ特性やPush−Pull特性)が不充分になりやすいことが分かった。このため、本発明においては、上記(1)〜(3)の少なくとも1つの条件を満たすようにする。これら(1)〜(3)は、具体的には、最外樹脂層304cを、溝の変形を抑制するような硬い樹脂(耐熱性の高い樹脂)で形成することが好ましいことを示すものである。
上記(1)〜(3)において、さらに、以下のようにすることが好ましい。つまり、最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率を、中間層304を構成する他の樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の150℃における弾性率よりも高くする。これは、弾性率の高い樹脂は一般に硬い性質を有するためである。
尚、弾性率とは、所定の動的粘弾性測定機にて測定された動的弾性率である。
本発明において樹脂の150℃における弾性率に着目する理由は2点ある。
つまり、第1の理由は、最外樹脂層304cの耐熱性を上げて、第2の記録層305の発熱に起因する溝の変形を抑制するためである。また、第2の理由は、最外樹脂層304cに用いる材料と第1の基板301に用いる材料とのバランスを考慮することにより、第2の記録層305の発熱に起因する、最外樹脂層304cに形成された溝の変形を抑制するためである。
第1の理由について説明する。
第2の記録層305は、記録を行った場合に発熱が生じる。従って、記録トラック用の溝が形成された最外樹脂層304cも、記録層の発熱により温度が上昇する。このような高温の状態においても、最外樹脂層304cが弾性体としての性質を保つことができれば、最外樹脂層304cの変形が抑制されやすくなると考えられる。そして、最外樹脂層304cの変形が抑制されれば、第2の記録層305の記録特性を良好にしやすい。従って、最外樹脂層304cは、150℃という高温において、所定の弾性率を有することが好ましいと考えられる。換言すれば、最外樹脂層304cは、150℃という高温において弾性体としての性質を保つことが好ましいと考えられる。
具体的には、表面に記録トラック用の溝を有する最外樹脂層304cに、150℃における弾性率が300MPa以上である樹脂を用いることにより、情報を記録する際の第2の記録層305の発熱に起因すると考えられる溝の変形が抑制されるようになる。そして、この溝の変形の抑制により、パワーマージンを広げることが可能となると考えられる。
150℃における弾性率が300MPa以上である樹脂を用いて最外樹脂層304cを形成することにより、第2の記録層305の記録特性が向上する点について、上記のように考える理由は、色素を記録層に用いる光ディスクで得られた実験結果に対する考察に基づいている。
即ち、従来、色素を記録層に用いる光ディスクの分野においては、150℃における弾性率が200MPa程度の紫外線硬化性樹脂等が使用されていた。このような高温(150℃)における弾性率が比較的低い樹脂を用いて、色素を含有する2個の記録層の間に中間層を形成すると、第2層目の記録層に記録を行う場合に、記録層に含まれる色素の化学変化に伴う発熱により、中間層に形成された溝形状が変形しやすいことが分かった。そして、その結果、第2層目の記録層の記録特性が低下しやすくなることが分かった。
これに対して、表面に記録トラックの溝を有する最外樹脂層304cを、150℃における弾性率が300MPa以上である樹脂を用いて形成すると、第2の記録層305の表面に形成された記録トラックのグルーブが充分な強度を有する。このため、第2の記録層305に情報を記録する際に、色素の発熱反応に起因すると考えられるグルーブの変形が抑制されるのである。
次に第2の理由について説明する。
第2の理由は、最外樹脂層304cに用いる材料と第1の基板301に用いる材料とのバランスを考慮することにより、第2の記録層305の発熱に起因する、最外樹脂層304cに形成された溝の変形を抑制するためである。つまり、第1の基板301を樹脂で形成する場合には、記録の際の第1の記録層302の発熱による第1の基板301の溝の変形を抑制するために、第1の基板301は、十分な硬さを有する樹脂で形成されるのが通常である。これは、上記最外樹脂層304cの場合と同様に、記録の際に第1の基板301の溝の変形を抑制することにより、第1の記録層302の記録特性を向上させるためである。
従って、記録時の高温状態を想定すると、(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)≧(第1の基板301を形成する樹脂の150℃での弾性率)とすれば、第2の記録層305での記録特性の向上(例えば、パワーマージンを広くする)が確実に達成されると推測される。
光ディスクの分野では、第1の基板301を樹脂で形成する場合には、通常、ポリカーボネート樹脂が用いられる。ポリカーボネート樹脂は、ガラス転移点が150℃付近にある。ここで、ポリカーボネート樹脂の150℃での弾性率は、950MPa程度となる。そして、第1の基板301にポリカーボネート樹脂を用いれば、第1の記録層302の記録特性を良好にしやすくなる。
このため、最外樹脂層304cを形成する樹脂の150℃における弾性率を、ポリカーボネート樹脂の150℃での弾性率以上とすれば、第2の記録層305での記録特性の向上が期待できる。例えば、最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率を950MPa以上とすれば、実質的に、第1の基板301以上の硬さを、中間層304に付与できると考えられる。この結果、例えば、第2の記録層305のパワーマージンを第1の記録層302のパワーマージンよりも広くすることができる利点が発揮されやすくなる。
このように、記録時のグルーブ変形を抑制して、第2の記録層305のパワーマージンを広げる観点から、最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率は高ければ高いほど好ましい。最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする場合、好ましくは330MPa以上、より好ましくは350MPa以上、さらに好ましくは500MPa以上、さらに好ましくは750MPa以上、特に好ましくは950MPa以上、最も好ましくは1000MPa以上とする。ここで、弾性率とは、上述の通り、所定の動的粘弾性測定機にて測定された動的弾性率である。但し、生産性の観点から、最外樹脂層304cを構成する樹脂の150℃における弾性率は、通常2500MPa以下とする。
尚、150℃における弾性率が300MPa以上の場合は、一般的に、樹脂のガラス転移温度が高くなる傾向にある。具体的には、150℃における弾性率が300MPa以上の樹脂のガラス転移温度は、通常、140℃以上となる。一方、ガラス転移温度の上限は、通常、200℃となる。
一方、最外樹脂層304cの硬さを第1の基板301と同様以上として、第2の記録層305のパワーマージンを広げる観点から、「(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)≧(第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率)」とする場合においては、第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率と、最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率と、を以下の関係とすることが好ましい。
具体的には、(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)>(第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率)とすることが好ましく、(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)≧1.05×(第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率)とすることがより好ましく、(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)≧1.1×(第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率)とすることがさらに好ましい。
一方で、現実的には、(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)≦3×(第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率)となる。
尚、「最外樹脂層304cに、150℃での弾性率が300MPa以上の樹脂を用いる」場合や、「(最外樹脂層304cに用いる樹脂の150℃における弾性率)≧(第1の基板301を形成する樹脂の150℃における弾性率)」とする場合、においても、中間層304は、複数の樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・)で形成される。
このとき、最外樹脂層304c以外の樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・)には、最外樹脂層304cと同一の樹脂を用いてもよいし、異なる樹脂を用いてもよい。
最外樹脂層304cと、最外樹脂層304c以外の樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・)と、に同一の樹脂を用いる場合、中間層304は、同一の樹脂から形成される複数の樹脂層の積層構造となる。これは、中間層304を実質的に1層としていると考えることもできる。また、最外樹脂層304cと、最外樹脂層304c以外の樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・)と、を異なる樹脂で形成する場合は、後述するように、より高性能な中間層304を得やすくなる。
最外樹脂層304cに用いる樹脂の収縮率は、通常6%以上、好ましくは9%以上、より好ましくは9.5%以上、さらに好ましくは10%以上である。但し、通常、収縮率は、20%以下である。ここで、収縮率とは、比重法により測定した収縮率である。また、収縮率は、JIS K71126.1等に従い測定することもできる。
最外樹脂層304cを収縮率が6%以上の樹脂を用いて形成することにより、樹脂スタンパを用いて最外樹脂層304cに記録トラック用の溝を形成する際に、樹脂スタンパからの剥離性が良好となるので好ましい(尚、樹脂スタンパについては後述する。)。また、樹脂スタンパの剥離性が良好な理由としては、例えば、樹脂スタンパの溝に入った樹脂が硬化する際に収縮し、わずかな歪又は隙間が生じることによるものと考えられる。樹脂スタンパの剥離性が良好になることによって、最外樹脂層304cに形成される溝形状が良好となる。このため、第2の記録層305のパワーマージンが広がりやすくなる。
逆に、樹脂スタンパの剥離性が不十分である場合は、最外樹脂層304cの一部が樹脂スタンパに固着する。これは、最外樹脂層304cの表面が剥ぎ取られることを意味する。そして、最外樹脂層304cの表面の平滑性が損なわれることを意味する。これにより、信号ノイズが上昇し、ジッタが不良となりやすくなるため、その結果、第2の記録層305のパワーマージンが狭くなる傾向となる。
上記の通り、樹脂スタンパの剥離性を確保するために、最外樹脂層304cに用いる樹脂は、所定以上の収縮率を有することが好ましい。
一方で、最外樹脂層304cを比較的収縮率の大きい樹脂で形成する結果、最外樹脂層304cの成膜時の収縮が大きくなる傾向にある。これは、光記録媒体300が反りやすくなることを意味する。
上記点も考慮し、本実施の形態においては、以下のような態様を用いることも好ましい。つまり、中間層304を複数の樹脂層から構成し、それぞれの樹脂層に中間層304に求められる機能を分離して付与してもよい。具体的には、最外樹脂層304cに所定の樹脂を採用することによって、第2の記録層305のパワーマージンを良好にできる一方で光記録媒体300が反りやすくなる場合がある。この場合には、最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層に用いる樹脂に、常温での弾性率が小さい樹脂(やわらかい性質を有する樹脂)や、収縮率の小さい樹脂を用いてもよい。このような樹脂の採用により、中間層304全体の収縮を抑えることができる。また、このような樹脂の採用により、中間層304全体の応力を緩和することができる。その結果、光記録媒体300の反りを低減すること等が可能となる。
尚、中間層304全体の反りをより良好に抑えるためには、最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層に用いる樹脂は、常温での弾性率が小さくかつ収縮率の小さい樹脂を用いることが好ましい。
上記観点から、最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の30℃における弾性率は、通常1500MPa以下、好ましくは1300MPa以下、より好ましくは700Mpa以下、さらに好ましくは680Mpa以下、特に好ましくは650Mpa以下とする。最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の30℃における弾性率を上記範囲とすれば、これら樹脂層を成膜する際に発生することがある第1の基板301の反りを効果的に抑制することができる。
一方、最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層に用いる樹脂の30℃における弾性率は、現実的には、40MPa以上となる。
本実施の形態において、中間層304を複数の樹脂層で形成する利点の一つは、それぞれの樹脂層に用いる樹脂の弾性率を精密に制御して、第1の基板301の反りをより低減しやすくなる点にある。
例えば、最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の30℃における弾性率を制御する場合、下方の樹脂層に行くほど上記弾性率が低い樹脂を用いてもよい。つまり、樹脂層それぞれに用いる樹脂の弾性率の制御方法として、最外樹脂層304cの下面に接する樹脂層、・・・、第2樹脂層304b、第1樹脂層304aとなるにつれ、用いる樹脂の30℃における弾性率を徐々に小さくする方法を挙げることができる。このようにすることによって、第1の基板301の反りをより効果的に低減できると予想される。ここで、各樹脂層に用いる樹脂それぞれの30℃における弾性率は、第1の基板301の反りを低減できるように変化させればよい。各樹脂層に用いるそれぞれの樹脂の弾性率の変化の方法の具体例を以下に説明する。
具体例としては、複数の樹脂層のうちのある樹脂層を基準とし、この樹脂層に用いる樹脂の30℃における弾性率を1としたときに、この樹脂層の上に接して位置する樹脂層に用いる樹脂の30℃における弾性率は3/2以上、この樹脂層の下に接して位置する樹脂層の30℃における弾性率は2/3以下とすることが挙げられる。
また、例えば、最外樹脂層304cの下方に位置するそれぞれの樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の30℃における弾性率の制御方法として、以下のような方法を挙げることもできる。つまり、最外樹脂層304cに用いる樹脂の30℃における弾性率を1としたときに、最外樹脂層304cの下面に接する樹脂層に用いる樹脂の30℃における弾性率は2/3以下とする。そして、最外樹脂層304cの下面に接する樹脂層のさらに下側に位置する樹脂層については、それぞれの樹脂層に用いる樹脂の弾性率をほぼ同一としてもよい。ここで、弾性率を同一とするためには、例えば、それぞれの樹脂層に同一の樹脂を用いる方法をあげることができる。
また、最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の収縮率は、通常4%以下、好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは3%以下とする。最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の収縮率を上記範囲とすれば、これら樹脂層を成膜する際に発生する第1の基板301の反りを効果的に抑制することができる。但し、収縮率は、理想的には0%である。ここで、収縮率とは、比重法により測定した収縮率である。また、収縮率は、JISのK71126.1等に従って測定することもできる。
本実施の形態において、中間層304を複数の樹脂層で形成する利点の一つは、中間層304のそれぞれの樹脂層に用いる樹脂の収縮率を精密に制御して、第1の基板301の反りをより低減しやすくなる点にある。
例えば、最外樹脂層304cの下方に位置する樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の収縮率を制御する場合、下方の樹脂層に行くほど上記収縮率が低い樹脂を用いてもよい。つまり、樹脂層それぞれに用いる樹脂の収縮率の制御方法として、最外樹脂層304cの下面に接する樹脂層、・・・、第2樹脂層304b、第1樹脂層304aとなるにつれ、用いる樹脂の収縮率を徐々に小さくする方法を挙げることができる。このようにすることによって、第1の基板301の反りをより効果的に低減できると予想される。ここで、各樹脂層に用いる樹脂それぞれの収縮率は、第1の基板301の反りを低減できるように変化させればよい。
各樹脂層に用いるそれぞれの樹脂の、収縮率の変化の方法の具体例を以下に説明する。具体例としては、複数の樹脂層のうちのある樹脂層を基準とし、この樹脂層に用いる樹脂の収縮率を1としたときに、この樹脂層の上に接して位置する樹脂層に用いる樹脂の収縮率は1.1以上、この樹脂層の下に接して位置する樹脂層の収縮率は0.9以下とすることが挙げられる。
また、例えば、最外樹脂層304cの下方に位置するそれぞれの樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b・・・)に用いる樹脂の収縮率の制御方法として、以下のような方法を挙げることもできる。
つまり、最外樹脂層304cに用いる樹脂の収縮率を1としたときに、最外樹脂層304cの下面に接する樹脂層に用いる樹脂の収縮率は0.9以下とする。そして、最外樹脂層304cの下面に接する樹脂層のさらに下側に位置する樹脂層については、それぞれの樹脂層に用いる樹脂の収縮率をほぼ同一としてもよい。ここで、収縮率を同一とするためには、例えば、それぞれの樹脂層に同一の樹脂を用いる方法をあげることができる。
尚、第1樹脂層304aに用いる樹脂は、上記弾性率の制御方法や収縮率の制御方法に縛られることなく選択することができる。なぜなら、第1樹脂層304aは、第1の反射層303を保護する目的等により、高い弾性率や高い収縮率を有する樹脂を用いる必要がある場合が考えられるからである。例えば、第1樹脂層304aを薄くすれば、光記録媒体300全体のそりに対する影響を少なくすることができるため、収縮率の高い樹脂を用いることが可能となる。
上記目的で第1樹脂層304aを設ける場合、第1樹脂層304aに用いる樹脂として、最外樹脂層304cに用いることが可能な樹脂を用いてもよい。このような観点から、用いる樹脂の30℃での弾性率は、通常1500MPa以上、好ましくは2000MPa以上とする。一方、第1樹脂層304aに用いる樹脂の30℃での弾性率は、通常4000MPa以下とする。尚、弾性率とは、所定の動的粘弾性測定機にて測定された動的弾性率である。
また、第1樹脂層304aに用いる樹脂の収縮率は、通常6%以上、好ましくは9%以上、より好ましくは9.5%以上、さらに好ましくは10%以上である。但し、通常、収縮率は、20%以下である。ここで、収縮率とは、比重法により測定した収縮率である。また、収縮率は、JISのK71126.1等に従って測定することもできる。
また、第1樹脂層304aの膜厚は、第1の反射層303を保護する等のために、中間層304全体の膜厚の、通常0.1%以上、好ましくは1%以上とする。一方、第1樹脂層304aの膜厚は、光記録媒体300の反りに影響を与えないために、中間層304全体の膜厚の、通常10%以下とする。より具体的には、第1樹脂層304aの膜厚は、第1の反射層303を保護するために、通常0.05μm以上、好ましくは0.5μm以上とする。一方、第1樹脂層304aの膜厚は、光記録媒体300の反りに影響を与えないために、通常5μm以下とする。
第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・、及び最外樹脂層304cの合計の厚さ(中間層304の厚さ)は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上とする。一方、第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・、及び最外樹脂層304cの合計の厚さ(中間層304の厚さ)は、通常200μm以下、好ましくは100μm以下とする。
最外樹脂層304cの厚さは、以下のように設定される。つまり、最外樹脂層304cは、第2の記録層305に記録が行った場合に、記録トラック用の溝の変形を抑制できる程度に十分な厚さを有するようにすればよい。もちろん、最外樹脂層304cの溝の変形は、最外樹脂層304cのみでなく、最外樹脂層304cの下側に接して位置する樹脂層(1又は2以上の樹脂層)をある程度硬く形成することによって、さらに抑制することができる。つまり、最外樹脂層304cを含む複数の樹脂層を接して用いることにより、記録トラック用の溝の変形を抑制してもよい。但し、工業生産上は、第2の記録層305への記録時の溝の変形の抑制を、最外樹脂層304c単独で達成できる程度に、最外樹脂層304cの厚さを確保することが好ましい。
以上を踏まえ、最外樹脂層304cの厚さは、通常、中間層304全体の厚さの5%以上とするが、10%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることがさらに好ましく、40%以上であることが特に好ましく、50%以上であることが最も好ましい。上記範囲内とすれば、第2の記録層305への記録時の溝の変形を効果的に抑制できるようになる。特に、最外樹脂層304cの厚さを中間層304全体の厚さの25%以上とすれば、第2の記録層305への記録時の溝の変形を、最外樹脂層304c単独で抑制しやすくなる。
一方、第1の基板301の反りを効果的に抑制する等の観点から、最外樹脂層304cの厚さは、中間層304全体の厚さの80%以下とするのが通常である。最外樹脂層304cの厚さは、中間層304全体の厚さの75%以下とすることが好ましい。より好ましくは、最外樹脂層304cの厚さは、中間層304全体の厚さの70%以下とする。
中間層304を構成する樹脂層の数は、特に限定されない。第1の基板301の反りを良好に抑制するためには、樹脂層の数は、通常10層以下、好ましくは5層以下、より好ましくは4層以下とする。一方、樹脂層の数は、2層以上とする。
但し、生産効率の観点からは、中間層304を構成する樹脂層の数は、2層以上、5層以下とすることが好ましい。生産効率の観点から特に好ましいのは、中間層304を構成する樹脂層の数を、2層又は3層構造とすることである。
中間層304の各樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・、最外樹脂層304c)に用いる樹脂の弾性率や収縮率は、樹脂に含まれる組成物、樹脂の結晶化度、架橋度等を適宜調整することにより、変化させることができる。
以下に、樹脂層に用いる樹脂について説明する。
各樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・、最外樹脂層304c)を構成する材料(樹脂)としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂(遅延硬化型を含む)等を挙げることができる。材料は、上記樹脂から適宜選択すればよい。
熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は、適当な溶剤に溶解して塗布液を調製する。その後、この塗布液を塗布し、乾燥(加熱)することによって、樹脂層を形成することができる。
紫外線硬化性樹脂は、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製する。その後、この塗布液を塗布し、紫外光を照射して硬化させることによって、樹脂層を形成することができる。
上記材料は単独または混合して用いても良い。
塗布方法としては、スピンコート法やキャスト法等の塗布法等の方法が用いられ、この中でもスピンコート法が好ましい。高粘度の樹脂を用いた樹脂層は、スクリーン印刷等によっても塗布形成できる。紫外線硬化性樹脂は、20℃〜40℃において液状であるものを用いると、生産性の観点から、溶媒を用いることなく塗布できるので好ましい。また、塗布液の粘度は20mPa・s〜1000mPa・sとなるように調製するのが好ましい。
尚、最外樹脂層304cの表面には、記録トラック用の所定の溝が形成される。溝の形成方法は特に制限されない。通常は、溝は以下のように形成する。つまり、最外樹脂層304c用の塗布液を塗布する。そして、最外樹脂層304cに転写する溝形状を有するスタンパ(スタンパは、後述するように、樹脂製スタンパであることが好ましい。)を、塗布膜表面に押し当てる。この状態で、塗布膜を硬化又は乾燥等させて最外樹脂層304cを形成する。これによって、所定の溝形状が最外樹脂層304c表面に形成されることとなる。中間層304のより具体的な製造方法については、後述する。
各樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・、最外樹脂層304c)を構成する材料の中でも、紫外線硬化性樹脂は、透明度が高く、硬化時間が短く製造上有利な点で好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、ラジカル系紫外線硬化性樹脂とカチオン系紫外線硬化性樹脂が挙げられ、いずれも使用することができる。
カチオン系紫外線硬化性樹脂は、収縮率が小さい性質を有するので、光記録媒体300の反りを低減するために用いることが好ましい。具体的には、カチオン系紫外線硬化性樹脂は、最外樹脂層304c以外の樹脂層に用いることが好ましい。
ラジカル系紫外線硬化性樹脂は、紫外線硬化性化合物と光重合開始剤を必須成分として含む組成物が用いられる。紫外線硬化性化合物としては、単官能(メタ)アクリレート及び多官能(メタ)アクリレートを重合性モノマー成分として用いることができる。これらは、各々、単独または2種類以上併用して用いることができる。ここで、アクリレートとメタアクリレートとを併せて(メタ)アクリレートと称する。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、置換基としてメチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、テトラヒドロフルフリル、グリシジル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の基を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これらの重合性モノマーと同時に併用できるものとしては、重合性オリゴマーとして、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更に、ラジカル系紫外線硬化性樹脂には、通常、光重合開始剤を配合する。光重合開始剤としては、分子開裂型または水素引き抜き型のものが好ましい。このような光重合開始剤として、分子開裂型としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2、4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2、4、6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)−2、4、4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
さらに、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良い。水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等が挙げられる。
また、これらの光重合開始剤とともに、増感剤を併用することができる。増感剤としては、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N、N−ジメチルベンジルアミン及び4、4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
カチオン系紫外線硬化性樹脂としては、例えば、カチオン重合型の光開始剤を含むエポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA−エピクロールヒドリン型、脂環式エポキシ、長鎖脂肪族型、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型、グリシジルエーテル型、複素環式系等が挙げられる。エポキシ樹脂としては、遊離した塩素及び塩素イオン含有率が少ないものを用いるのが好ましい。塩素の量は、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.5重量%以下である。
カチオン重合型の光開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等が挙げられる。ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェード、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
さらに、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
カチオン型紫外線硬化性樹脂100重量部当たりのカチオン重合型光開始剤の割合は通常、0.1重量部〜20重量部であり、好ましくは0.2重量部〜5重量部である。尚、紫外線光源の波長域の近紫外領域や可視領域の波長をより有効に利用するため、公知の光増感剤を併用することができる。この際の光増感剤としては、例えばアントラセン、フェノチアジン、ベンジルメチルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン等が挙げられる。
また、紫外線硬化性樹脂には、必要に応じてさらにその他の添加剤として、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ホスファイト等に代表される酸化防止剤、可塑剤、及びエポキシシラン、メルカプトシラン、(メタ)アクリルシラン等に代表されるシランカップリング剤等を、各種特性を改良する目的で配合することもできる。これらは、紫外線硬化性化合物への溶解性に優れたもの、紫外線透過性を阻害しないものを選択して用いる。
本実施の形態においては、中間層304に用いる樹脂層(第1樹脂層304a、第2樹脂層304b、・・・、最外樹脂層304c)には、それぞれの樹脂層の役割に応じて、「高温(例えば150℃)での弾性率の高い樹脂」、「収縮率の比較的大きな樹脂」、「常温(例えば30℃)での弾性率の小さい樹脂」、「収縮率の比較的小さな樹脂」を適宜用いることが好ましい。
以下に、この4つの性質を有する樹脂を得るための具体的方法について説明する。
(高温(例えば150℃)での弾性率の高い樹脂を得る方法)
本実施の形態においては、高温での弾性率を高くするような樹脂を用いて樹脂層(特に最外樹脂層304c)を形成することが好ましい。このような樹脂層を形成する手法としては、様々考えられるが、紫外線硬化性樹脂(より具体的には、ラジカル系紫外線硬化性樹脂)を用いて樹脂層を形成する場合における具体的な手法を以下に説明する。
紫外線硬化性樹脂の高温の弾性率を高くするためには、硬化させて得られる架橋構造のブラウン運動が束縛されるようにすればよい。つまり、架橋密度が高くなるようにすればよい。より具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、例えば、以下の(1)〜(3)を行うことにより、高温の弾性率が高い紫外線硬化性樹脂を得ることができる。
(1)架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーを用いる。
(2)架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーを用いる。
(3)架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて用いる。
架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーとしては、アクリロイル基1個あたりの分子量が小さい多官能アクリルモノマー(多官能(メタ)アクリレート)を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートとしては例えば、1、3−ブチレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、5−ペンタンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1、8−オクタンジオール、1、9−ノナンジオール、トリシクロデカンジメタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たテトラアルコールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート(例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート又は、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート)、ジペンタエリスリトール1モルに6モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たヘキサアルコールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、高温での弾性率を大きくできる点から好ましいのは、以下の材料である。すなわち、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たテトラアルコールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール1モルに6モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たヘキサアルコールのペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート、等の多官応(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
高温での弾性率を大きくする点から、さらに好ましいのは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレートである。
次に、架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとしては、剛直な環状構造を有するアクリルモノマーを挙げることができる。
このようなアクリルモノマーの具体例としては、ノルボリナンジメタノールジアクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサオイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの中でも、高温での弾性率を高くできる観点から好ましいのは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートである。
このほか、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート等を挙げることもできる。
高温での弾性率を高くできる観点から特に好ましいのは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレートである。
架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて用いる場合には、以下のようにすればよい。すなわち、上記説明した架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーの具体的な化合物を1以上選択する。さらに、上記説明した架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーの具体的な化合物を1以上選択する。そして、これら化合物を、所望の弾性率にあわせて任意の割合で組み合わせて用いればよい。
(収縮率の比較的高い樹脂を得る方法)
本実施の形態においては、収縮率の比較的大きな樹脂を用いて樹脂層(特に最外樹脂層304c)を形成することが好ましい。このような樹脂層を形成する手法としては、様々考えられるが、紫外線硬化性樹脂(より具体的には、ラジカル系紫外線硬化性樹脂)を用いて樹脂層を形成する場合における具体的な手法を以下に説明する。
紫外線硬化性樹脂の場合、収縮度とは硬化収縮度のことをいう。硬化収縮度は、硬化前の密度に対する硬化時の密度変化の割合である。このため、収縮度を大きくするためには、硬化時の密度変化が大きくなるようにすればよい。具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、アクリロイル基の密度が高くなるようにすればよい。換言すれば、架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーを用いればよい。
密架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーとしては、アクリロイル基1個あたりの分子量が小さい多官能アクリルモノマー(多官能(メタ)アクリレート)を挙げることができる。このような多官能アクリルモノマー(多官能(メタ)アクリレート)の具体例としては、上記「高温(例えば150℃)での弾性率の高い樹脂を得る方法」で説明した多官能(メタ)アクリレートと同様のものを用いればよい。
高温(例えば150℃)での弾性率を高くして、かつ、収縮度を比較的大きくするような樹脂を得る場合には、例えば、上記「高温(例えば150℃)での弾性率の高い樹脂を得る方法」で説明したように、架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーを併用すればよい。架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーの含有量は、所望される弾性率及び収縮率を得られるような含有量とすればよい。
(常温(例えば30℃)における弾性率が小さい樹脂を得る方法)
本実施の形態においては、30℃における弾性率が小さい樹脂を用いて樹脂層(例えば、第2樹脂層304b・・)を形成することが好ましい。このような樹脂層を形成する手法としては、様々考えられるが、紫外線硬化性樹脂(より具体的には、ラジカル系紫外線硬化性樹脂)を用いて樹脂層を形成する場合における具体的な手法を以下に説明する。
紫外線硬化性樹脂の30℃における弾性率を小さくするためには、硬化時の密度変化が小さくなるようにすればよい。具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、アクリロイル基1個あたりの分子量が大きく、柔軟な構造を有するアクリルオリゴマーと単官能アクリルモノマーを組み合わせる方法を挙げることができる。柔軟な構造を有するアクリルオリゴマー及び単官能アクリルモノマーの含有比率は、所望の弾性率を得るために、適宜制御すればよい。
柔軟な構造を有するアクリルオリゴマーの具体例としては、ポリエーテル或いはポリエステルジオールから成るウレタン(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート等のアクリルオリゴマー等を挙げることができる。
単官能アクリルモノマーの具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロー2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(収縮率が小さい樹脂を得る方法)
本実施の形態においては、収縮率が小さい樹脂を用いて樹脂層(例えば、第2樹脂層304b・・)を形成することが好ましい。このような樹脂層を形成する手法としては、様々考えられるが、紫外線硬化性樹脂(より具体的には、ラジカル系紫外線硬化性樹脂)を用いて樹脂層を形成する場合における具体的な手法を以下に説明する。
紫外線硬化性樹脂の場合、収縮度とは硬化収縮度のことをいう。硬化収縮度は、硬化前の密度に対する硬化時の密度変化の割合である。このため、収縮度を小さくするためには、硬化時の密度変化が小さくなるようにすればよい。具体的には、アクリルモノマーを用いて紫外線硬化性樹脂を形成する場合には、アクリロイル基1個あたりの分子量が大きく、分子中のアクリロイル基が少ないアクリルオリゴマー及びアクリルモノマーを組み合わせればよい。アクリルオリゴマー及びアクリルモノマーの含有比率は、所望の弾性率を得るために、適宜制御すればよい。
アクリルオリゴマーの具体例としては、上記「常温(例えば30℃)における弾性率が小さい樹脂を得る方法」で説明したものと同様のものを用いることができる。アクリルモノマーの具体例としては、上記「常温(例えば30℃)における弾性率が小さい樹脂を得る方法」で説明した単官能アクリルモノマーと同様のものを用いることができる。
(II)記録層における留意点
本実施の形態においては、記録層は少なくとも2個設ける。記録層の数の上限に制限はないものの、現実的には10層以下となる。実用化の観点から、最も好ましくは、2層以上、4層以下とすることである。
光記録媒体300の記録層(図3では、第1の記録層302、第2の記録層305)に用いる材料としては、特に限定はなく、無機材料も有機材料のいずれも使用することができる。
無機材料としては、所定の合金材料を挙げることができる。これら合金材料から構成された記録層は、熱を外部より与えることにより構造変化を起こす。通常、この構造変化に伴い屈折率に差が生じる。この屈折率差によって生じる反射率差及び位相差変化を利用して、記録情報信号の検出が行われる。合金材料の具体例としては、例えば、SbTe系、GeTe系、GeSbTe系、InSbTe系、AgSbTe系、AgInSbTe系、GeSb系、GeSbSn系、InGeSbTe系、InGeSbSnTe系等の材料が挙げられる。これらの中でも、結晶化速度を高めるために、記録層にSbを主成分とする組成を用いることが好ましい。
尚、記録層に無機材料を用いる場合には、通常、記録層の上下に保護層を設ける。保護層は、通常、誘電体材料(例えば、ZnS−SiO)で形成される。
記録層に無機材料を用いる場合の記録層や保護層等については、相変化型の光記録媒体として公知の技術(例えば、記録層材料、記録層膜厚、記録層の成膜方法、保護層材料、保護層膜厚、及び保護層の成膜方法等)を用いればよい。
有機材料としては、有機色素を挙げることができる。このような有機色素としては、アゾ系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素等を挙げることができる。
本発明において好ましいのは、記録層(図3では、第1の記録層302、第2の記録層305)に色素を用いることである。特に、第2の記録層305に色素を用いると本発明の効果が顕著に発揮されるようになる。つまり、第2の記録層305に色素を用いると、記録時の色素の発熱により、最外樹脂層304cに形成された溝形状が変形しやすくなる。このため、最外樹脂層304cに所定の弾性率を有する樹脂を用いる意義が大きくなる。
第2の記録層305のパワーマージンを広げる観点から好ましい態様は、以下の通りである。つまり、他の記録特性や光学特性に配慮しつつ、第2の記録層305の膜厚を可能な限り薄くすることである。第2の記録層305の膜厚を薄くすることによって、第2の記録層305の記録時の発熱を下げることができる。これにより、第2の記録層305での放熱性を上げることができる。この結果、中間層304の溝の変形を抑制して、第2の記録層305のパワーマージンを広げることができる。
尚、記録層の詳細については、「(IV)光記録媒体の好ましい態様」で説明する。
(III)その他の層における留意点
図3を用いて、第2の記録層305でのパワーマージンを広げるための有効な一手段を以下説明する。
最外樹脂層304cに用いる樹脂の弾性率や収縮率を制御することにより、第2の記録層305の記録特性を良好となりやすくなる点については、上述した通りである。また、最外樹脂層304cに用いる樹脂の弾性率と第1の基板301の弾性率との関係を制御することにより、第2の記録層305の記録特性を良好に確保できる点についても上述した通りである。
この他に、第1の反射層303の膜厚に対して第2の反射層306の膜厚を厚くして、第2の記録層305の放熱性を確保することが好ましい。第2の記録層305の放熱性を確保することによって、第2の記録層305から最外樹脂層304cへの熱の影響を低減できる。この結果、最外樹脂層304cの溝の変形を抑制することができる。そして、第2の記録層305のパワーマージンを広げやすくなる。但し、第2の記録層305の放熱性を制御する場合、パワーマージン以外の記録特性も考慮する必要があることはいうまでもない。
第2の記録層305での放熱性を確保して、第2の記録層305の記録特性(特にパワーマージン)を良好にするために、第2の反射層306は、第1の反射層303と以下の関係にあることが好ましい。つまり、(第2の反射層306の膜厚)/(第1の反射層303の膜厚)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、特に好ましくは5以上とする。一方、パワーマージン以外の記録特性とのバランスから、(第2の反射層306の膜厚)/(第1の反射層303の膜厚)は、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下とする。上記範囲とすれば、第2の記録層305のパワーマージンを第1の記録層302のパワーマージンよりも広くしやすくなる。
そのほか、図3における第1の基板301、第1の反射層303、第2の反射層306、接着層307、第2の基板308等については、後述の「(IV)光記録媒体の好ましい態様」で用いるものと同様なので、当該箇所において適宜説明する。
(IV)光記録媒体の好ましい態様(中間層が2層構造の光記録媒体)
第2の記録層のパワーマージンを広げる観点から、本発明においては、中間層が2層構造であり、弾性率が異なる少なくとも2つの樹脂からなる積層構造を有することが好ましい。つまり、中間層が、第1層と第2層とから構成され、それぞれの層に弾性率が異なる樹脂を用いることが好ましい。このような、中間層を用いた光記録媒体の好ましい例について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される光記録媒体の好ましい形態を説明するための図である。
図1に示された光記録媒体100は、表面に記録トラック用の溝が設けられ、光透過性の材料により形成されたディスク状の第1の基板101を有している。この第1の基板101上に、第1の基板101を介して照射されたレーザ光110により情報の記録・再生が行われる色素を含む第1の記録層102と、第1の基板101側から入射したレーザ光110のパワーを振り分ける半透明の第1の反射層103とが積層されている。さらに、第1の反射層103上に、第1の中間層104a及び第2の中間層104bと、第1の中間層104a及び第2の中間層104bを透過したレーザ光110により情報の記録再生が行われる色素を含む第2の記録層105と、第2の記録層105を透過したレーザ光110を反射する第2の反射層106とが積層されている。そして、第2の反射層106上に、接着層107と、最外層を形成するダミー基板である第2の基板108とが、順番に積層された構造を有している。ここで、第1の中間層104a及び第2の中間層104bは、光透過性材料である紫外線硬化性樹脂から構成される。そして、第2の中間層104bは、表面に形成された溝を有し、最外樹脂層となる。
第2の中間層104bは、第1の中間層104aとは異なる弾性率を有する樹脂を用いることが好ましい。より好ましくは、第2の中間層104bに用いる樹脂の弾性率を、第1の中間層104aに用いる樹脂の弾性率よりも高くする。または、第2の中間層104bを構成する樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とすることが好ましい。このように、第2の記録層105での発熱に伴う溝の変形を抑制するような硬い樹脂で、第2の中間層104bを形成することが好ましい。
図1に示すように、第1の基板101側から照射されたレーザ光110により、色素を含む第1の記録層102に光情報が記録され、また、記録された光情報の再生が行われる。さらに、レーザ光110の一部は、半透明の第1の反射層103を透過し、第1の中間層104a及び第2の中間層104bを介して色素を含む第2の記録層105に照射され、第1の記録層102と同様に、光情報の記録・再生が行われる。
尚、第1の反射層103により反射されたレーザ光110の一部及び第2の反射層106により反射されたレーザ光110の一部は、それぞれ、レーザ光110を集光するためのフォーカシング(図示せず)に利用される。また、ダミー基板である第2の基板108は、接着層107により第2の反射層106上に積層される。そして、第2の基板108は、光記録媒体100の最外層を形成すると共に、光記録媒体100に剛性を付与する。これにより、光記録媒体100の形状の安定性が保たれる。さらに、第1の基板101及び第2の中間層104b上にはそれぞれ凹凸状の溝が形成され、それぞれ記録トラックを構成している。
ここで、本実施の形態が適用される光記録媒体100において、「光透過性(又は透明)」とは、色素を含む第1の記録層102及び第2の記録層105に光情報を記録・再生するために照射される光の波長に対する光透過性を意味するものである。具体的には、「光透過性(又は透明)」とは、記録・再生のための光の波長について50%以上、好ましくは60%以上の透過性があることをいう。尚、光透過性の上限は、理想的には100%である。
本実施の形態が適用される光記録媒体100は、色素を含む第1の記録層102及び第2の記録層105に挟まれた中間層104が、弾性率が異なる2種の樹脂からなる積層体として構成されている。または、第2の中間層104bを構成する樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする。表面に記録トラックの溝が形成された第2の中間層104bに用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする場合、上記弾性率は、好ましくは330MPa以上、さらに好ましくは350MPa以上である樹脂から形成される。ここで、弾性率とは、所定の動的粘弾性測定機にて測定された動的弾性率である。尚、第2の中間層104bに用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする場合、第1の中間層104aに用いる樹脂は、第2の中間層104bに用いる樹脂と同一としてもよいし、異なっていてもよい。この点については、すでに説明したので、ここでの説明は省略する。
表面に記録トラックの溝を有する第2の中間層104bを、150℃における弾性率が300MPa以上である樹脂を用いて形成すると、レーザ光110により第2の記録層105に情報を記録する際に、色素の発熱反応に起因すると考えられるグルーブの変形が抑制され、記録特性を向上させることができる。但し、生産性の観点から、第2の中間層104bを構成する樹脂の150℃における弾性率は、通常2500MPa以下である。
第2の中間層104bを、150℃における弾性率が300MPa以上である樹脂を用いて形成することにより第2の記録層105の記録特性が向上する理由は以下のように考えられる。即ち、従来、光ディスクの分野においては、150℃における弾性率が200MPa程度の紫外線硬化性樹脂等が使用されている。このような高温(150℃)における弾性率が比較的低い樹脂を用いて、色素を含有する複数の記録層を有する光記録媒体の記録層間の中間層を形成すると、第2層目の記録層に情報の記録を行う場合に、記録層に含まれる色素の化学変化に伴う発熱により、中間層に形成された溝形状が変形しやすくなることが分かった。そして、その結果、第2層目の記録層の記録特性が低下しやすくなる。
これに対して、色素を含有する記録層間に設けられる中間層の中、表面に記録トラックの溝を有する第2の中間層104bを、150℃における弾性率が300MPa以上である高弾性率の樹脂を用いて形成すると、第2層目の記録層側の表面に形成された記録トラックのグルーブが充分な強度を有する。このため、第2層目の記録層に情報を記録する際に、色素の発熱反応に起因すると考えられるグルーブの変形が抑制される。
本実施の形態が適用される光記録媒体100において、表面に記録トラックの溝が形成された第2の中間層104bを構成する樹脂の収縮率は、通常6%以上、好ましくは9%以上、より好ましくは9.5%以上、さらに好ましくは10%以上とする。但し、通常、収縮率は、20%以下である。ここで、収縮率とは、比重法により測定した収縮率である。また、収縮率は、JIS K71126.1等に従って測定することもできる。
第2の中間層104bを、収縮率が6%以上の樹脂を用いて形成することにより、以下の利点が発揮される。つまり、後述するように、樹脂スタンパを用いて第2の中間層104bを形成する際に、樹脂スタンパからの剥離性が良好となる。樹脂スタンパの剥離性が良好な理由としては、例えば、樹脂スタンパの溝に入った樹脂が硬化する際に収縮し、わずかな歪又は隙間が生じることによるものと考えられる。
本実施の形態が適用される光記録媒体100において、第1の中間層104aに用いる樹脂の30℃における弾性率は、通常1500MPa以下、好ましくは1300MPa以下、より好ましくは700Mpa以下、さらに好ましくは680Mpa以下、特に好ましくは650Mpa以下とする。一方、第1の中間層104aに用いる樹脂の30℃における弾性率は、現実的には、40MPa以上となる。
また、第1の中間層104aを構成する樹脂の収縮率は、通常4%以下、好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは3%以下とする。但し、収縮率は、理想的には0%である。
第1の中間層104aを構成する樹脂の弾性率が1500MPa以下である場合、又は、収縮率が4%以下である場合、表面に形成された溝を有する第1の基板101の反りを効果的に抑制することができる。
また、30℃における第1の中間層104aの弾性率(Ra)と第2の中間層104bの弾性率(Rb)との比は、通常、(Ra/Rb)≦(2/3)、好ましくは、(Ra/Rb)≦(1/2)、さらに好ましくは、(Ra/Rb)≦(1/3)である。一方、通常、(Ra/Rb)の下限値は、0.01程度となる。
尚、中間層の弾性率は、樹脂に含まれる組成物、樹脂の結晶化度、架橋度等を適宜調整することにより、変化させることが出来る。
本実施の形態が適用される光記録媒体100において、第1の中間層104a及び第2の中間層104bの合計の厚さは、通常、5μm以上、好ましくは10μm以上とする。但し、第1の中間層104a及び第2の中間層104bの合計の厚さは、100μm以下が好ましい。
さらに、第1の中間層104aの厚さ(Da)と第2の中間層104bの厚さ(Db)との比は、通常、Da/Db=(1/4)〜(4/1)、好ましくはDa/Db=(1/3)〜(3/1)、さらに好ましくはDa/Db=(1/2)〜(2/1)とする。第1の中間層104aの厚さ(Da)と第2の中間層104bの厚さ(Db)との比がこの範囲であることにより、第1の基板101の反りを効果的に抑制し、記録層の記録特性を向上させることができる。
次に、第1の中間層104a又は第2の中間層104bを構成する材料の具体例について説明する。
第2の中間層104bは、最外樹脂層となる。従って、第2の記録層105に記録される際に、第2の中間層104bに形成された溝の変形が抑制されるような材料で形成されることが好ましい。より具体的には、高温での弾性率が高い樹脂、及び/又は、収縮率の比較的大きい樹脂で形成することが好ましい。
一方、第1の中間層104aは、第2の中間層104bと同一の材料を用いてもよい。但し、第1の中間層104aは、第1の基板101の反りを低減させるような機能を有することが好ましい。このため、第1の中間層104aに用いる材料としては、30℃での弾性率が小さい樹脂、及び/又は、収縮率の小さい樹脂を用いることが好ましい。このような性質を有する樹脂の具体的な材料等については、すでに説明したので、ここでの説明は省略する。
次に、本実施の形態が適用される光記録媒体100を構成する他の層について説明する。
(第1の基板)
第1の基板101は、光透過性を有し、複屈折率が小さい等光学特性に優れることが望ましい。また射出成形が容易である等成形性に優れることが望ましい。さらに、吸湿性が小さいことが望ましい。更に、光記録媒体100がある程度の剛性を有するよう、形状安定性を備えるのが望ましい。第1の基板101を構成する材料としては、特に限定されない。材料としては、例えば、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に非晶質ポリオレフィン)、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、ガラス等が挙げられる。また、ガラス等の基体上に、光硬化性樹脂等の放射線硬化樹脂からなる樹脂層を設けたもの等も使用できる。これらの中でも、光学特性、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点からはポリカーボネートが好ましい。また、耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。
第1の基板101の厚さは、通常、2mm以下、好ましくは1mm以下である。対物レンズと記録層との距離が小さく、また、基板が薄いほどコマ収差が小さい傾向があり、記録密度を上げやすい。但し、光学特性、吸湿性、成形性、形状安定性を十分得るために、第1の基板101の厚さは、通常10μm以上、好ましくは30μm以上である。
(第1の記録層)
第1の記録層102は、通常、例えば、CD−R、DVD−R、DVD+R等の片面型記録媒体に用いられる記録層と同程度の感度を有する。第1の記録層102に使用される色素は、350nm〜900nm程度の可視光〜近赤外域に最大吸収波長λmaxを有し、青色〜近マイクロ波レーザでの記録に適する色素化合物が好ましい。中でも、通常CD−Rに用いられるような波長770nm〜830nm程度の近赤外レーザ(例えば、780nm、830nm)、DVD−Rに用いられるような波長620nm〜690nm程度の赤色レーザ(例えば、635nm、650nm、680nm)、波長410nm又は515nm等のいわゆるブルーレーザ等による記録に適する色素がより好ましい。
第1の記録層102に使用される色素としては、特に限定されないが、通常、有機色素材料が使用される。有機色素材料としては、例えば、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素等)、ピロメテン系色素、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素等)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素等が挙げられる。これらの中でも、含金属アゾ系色素は、記録感度に優れ、かつ耐久性、耐光性に優れるため好ましい。これらの色素は1種又は2種以上混合して用いても良い。
また、第1の記録層102には、記録層の安定や耐光性向上のために、一重項酸素クエンチャーとして遷移金属キレート化合物(例えば、アセチルアセトナートキレート、ビスフェニルジチオール、サリチルアルデヒドオキシム、ビスジチオ−α−ジケトン等)等を含有させてもよい。また、第1の記録層102には、記録感度向上のために、金属系化合物等の記録感度向上剤を含有させても良い。ここで金属系化合物とは、遷移金属等の金属が原子、イオン、クラスター等の形で化合物に含まれるものを言う。金属系化合物としては、例えば、エチレンジアミン系錯体、アゾメチン系錯体、フェニルヒドロキシアミン系錯体、フェナントロリン系錯体、ジヒドロキシアゾベンゼン系錯体、ジオキシム系錯体、ニトロソアミノフェノール系錯体、ピリジルトリアジン系錯体、アセチルアセトナート系錯体、メタロセン系錯体、ポルフィリン系錯体のような有機金属化合物が挙げられる。金属原子としては特に限定されないが、遷移金属であることが好ましい。
さらに第1の記録層102には、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等を併用することもできる。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
第1の記録層102の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なるため、特に限定されない。第1の記録層102の膜厚は、十分な変調度を得るために、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、特に好ましくは20nm以上とする。但し、光を透過させる必要があるため、第1の記録層102の膜厚は、通常3μm以下であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下とする。
第1の記録層102の成膜方法としては、特に限定されない。通常、真空蒸着法、スパッタリング法、ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等一般に行われている薄膜形成法が挙げられる。量産性、コスト面からはスピンコート法等の湿式製膜法が好ましい。また、均一な記録層が得られるという点から、真空蒸着法が好ましい。
スピンコート法による成膜の場合、回転数は10rpm〜15000rpmが好ましい。また、通常、スピンコートの後、一般的に加熱処理を行い、溶媒を除去する。ドクターブレード法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法等の塗布方法により記録層を形成する場合の塗布溶媒としては、基板を侵さない溶媒であればよく、特に限定されない。例えば、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、n−ブチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、シクロオクタン等の環状炭化水素系溶媒;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール、ヘキサフルオロブタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル等のヒドロキシカルボン酸エステル系溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒を除去するための加熱処理は、溶媒を除去し、且つ、簡便な設備により行うという観点から、通常、使用する溶媒の沸点よりやや低い温度で行われる。加熱処理は、通常、60℃〜100℃の範囲で行われる。また、加熱処理の方法は、特に限定されない。例えば、第1の基板101上に第1の記録層102を形成するために色素を含有する溶液を塗布して成膜した後、所定の温度で所定時間(通常5分間以上、好ましくは10分間以上、但し、通常30分間以内、好ましくは20分間以内)保持する方法が挙げられる。また、赤外線、遠赤外線を短時間(例えば、5秒間〜5分間)照射し、第1の基板101を加熱する方法も可能である。
真空蒸着法の場合は、例えば、以下のようにして記録層が形成される。つまり、有機色素と、必要に応じて各種添加剤等の記録層成分を、真空容器内に設置されたるつぼに入れる。そして、真空容器内を適当な真空ポンプで10−2Pa〜10−5Pa程度にまで排気する。その後、るつぼを加熱して記録層成分を蒸発させ、るつぼと向き合って置かれた基板上に蒸着させる。
(第1の反射層)
第1の反射層103は、記録再生光の吸収が小さいことが好ましい。第1の反射層103は、通常光透過率が40%以上あり、且つ、通常30%以上の適度な光反射率を有する必要がある。例えば、反射率の高い金属を薄く設けることにより適度な透過率を持たせることができる。また、ある程度の耐食性があることが望ましい。更に、第1の反射層103の上層(ここでは中間層104)からの他の成分の浸み出しにより第1の記録層102が影響されないような遮断性を持つことが望ましい。
第1の反射層103の厚さは、光透過率を40%以上とするために、通常、50nm以下、好ましくは30nm以下、更に好ましくは25nm以下とする。但し、第1の記録層102が第1の反射層103の上層により影響されないために、第1の反射層103の厚さは、通常3nm以上、好ましくは5nm以上とする。
第1の反射層103を構成する材料としては、特に限定されないが、再生光の波長における反射率が適度に高いものが好ましい。第1の反射層103を構成する材料としては、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、希土類金属等の金属及び半金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。これらの中でもAu、Al、Agは反射率が高く第1の反射層103の材料として適している。また、特に、Agを50%以上含有する金属材料はコストが安い点、反射率が高い点から好ましい。
第1の反射層103は膜厚が薄く、膜の結晶粒が大きいと再生ノイズの原因となるため、結晶粒が小さい材料を用いるのが好ましい。純銀は結晶粒が大きい傾向があるためAgは合金として用いるのが好ましい。中でもAgを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々の原子の含有量は、0.1原子%〜15原子%としてもよい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、それらの合計が0.1原子%〜15原子%であることが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有し、そして必要に応じ、少なくとも1種の希土類元素を0.1原子%〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNd等である。
第1の反射層103としてはAuのみからなる層は結晶粒が小さく、耐食性に優れ好適である。また、第1の反射層103としてSiからなる層を用いることも可能である。さらに、金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
第1の反射層103を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、第1の基板101と第1の記録層102との間、第1の記録層102と第1の反射層103との間に、反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系または有機系材料からなる中間層、接着層を設けることもできる。
(第2の記録層)
第2の記録層105は、入射したレーザ光110のパワーに比べて、第1の記録層102と第1の反射層103の存在等により約半分程度に減少したパワーにより記録が行われる。このため、第2の記録層105は、通常、例えば、CD−R、DVD−R、DVD+R等の片面型記録媒体に用いられる記録層より高い感度の色素を使用することが好ましい。また、良好な記録再生特性を実現するためには低発熱で高屈折率な色素を用いることが望ましい。更に、第2の記録層105と第2の反射層106との組合せにおいて、光の反射及び吸収を適切な範囲とすることが望ましい。
第2の記録層105を構成する材料、成膜方法、成膜に使用する溶媒等については、第1の記録層102と同様に説明される。成膜方法としては、湿式成膜法が好ましい。第2の記録層105の膜厚は、記録方法等により適した膜厚が異なる。但し、第2の記録層105のパワーマージンを広げるためには、第2の記録層105の記録特性や生産性を損なわない範囲で、第2の記録層105の膜厚をできる限り薄くすることが好ましい。第2の記録層105の膜厚をできる限り薄くすることによって、第2の記録層105の記録時の発熱を小さくできる。その結果、第2の記録層105の放熱性を高くしやすくなり、第2の中間層104bに形成された溝の変形を抑制できる。そして、第2の記録層105のパワーマージンを広げることができる。
上記観点(例えば、適度な反射率及び放熱性を確保する観点)から、第2の記録層105の膜厚は、通常3μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下とする。一方、第2の記録層105の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、特に好ましくは50nm以上とする。
第1の記録層102と第2の記録層105とに用いる材料は同じでも良いし異なっていてもよい。
(第2の反射層)
第2の反射層106は、高反射率、かつ高耐久性であることが望ましい。高反射率を確保するために、第2の反射層106の厚さは、通常20nm以上、好ましくは30nm、更に好ましくは50nm以上とする。但し、生産上のタクトタイムを短縮しコストを低減するためには、第2の反射層106は、通常、400nm以下、好ましくは300nm以下とする。
第2の記録層105での放熱性を確保して、第2の記録層105のパワーマージンを広げるために、第2の反射層106は、第1の反射層103と以下の関係にあることが好ましい。
具体的には、第2の記録層105での放熱性を確保して、第2の記録層105のパワーマージンを広げるために、第2の反射層106は、第1の反射層103と以下の関係にあることが好ましい。つまり、(第2の反射層106の膜厚)/(第1の反射層103の膜厚)は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、特に好ましくは5以上とする。一方、パワーマージン以外の記録特性、例えば、第1の記録層102と第2の記録層105との反射率や感度のバランスから、(第2の反射層106の膜厚)/(第1の反射層103の膜厚)は、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下とする。上記範囲とすれば、第2の記録層105のパワーマージンを第1の記録層102のパワーマージンよりも広くしやすくなる。
第2の反射層106を構成する材料としては、再生光の波長において反射率の十分高いものが好ましい。例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta及びPdの金属を単独または合金にして用いることが可能である。これらの中でも、Au、Al、Agは反射率が高く、第2の反射層106の材料として適している。また、これらの金属を主成分とする以外に他の成分を含んでいても良い。他の成分の例としては、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Cu、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi及び希土類金属などの金属及び半金属を挙げることができる。
これらの中でもAgを主成分とするものが好ましく、Agの合金として用いるのが好ましい。Agを主成分とするものとしては、Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有することが好ましい。Ti、Zn、Cu、Pd、Au及び希土類金属のうち2種以上含む場合は、各々0.1原子%〜15原子%、またはそれらの合計が0.1原子%〜15原子%であることが好ましい。
特に好ましい合金組成は、Agを主成分とし、Ti、Zn、Cu、Pd、Auよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を0.1原子%〜15原子%含有し、そして必要に応じ、少なくとも1種の希土類元素を0.1原子%〜15原子%含有するものである。希土類金属の中では、ネオジウムが特に好ましい。具体的には、AgPdCu、AgCuAu、AgCuAuNd、AgCuNd等である。
また、第2の反射層106としては、Auのみからなる層は高耐久性(高耐食性)が高く好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、第2の反射層106として用いることも可能である。第2の反射層106を形成する方法としては、例えば、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、第2の反射層106の上下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために、公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
(接着層)
接着層107は、接着力が高く、硬化接着時の収縮率が小さいと媒体の形状安定性が高く好ましい。また、接着層107は、第2の反射層106にダメージを与えない材料からなることが望ましい。但し、ダメージを抑えるために両層の間に公知の無機系または有機系の保護層を設けることもできる。接着層107の膜厚は、通常、2μm以上、好ましくは5μm以上である。但し光記録媒体をできるだけ薄くするために、また硬化に時間を要し生産性が低下する等の問題があるため、接着層107の膜厚は、通常、100μm以下とする。接着層107の材料は、中間層104の材料と同様のものが用いうるほか、感圧式両面テープ等も使用可能である。感圧式両面テープを第2の反射層106と第2の基板108との間に挟んで押圧することにより、接着層107を形成できる。
(第2の基板)
第2の基板108は、機械的安定性が高く、剛性が大きいことが好ましい。また接着層107との接着性が高いことが望ましい。このような材料としては、第1の基板101に用いうる材料と同じものが用い得る。このほか、Alを主成分とした、例えば、Al−Mg合金等のAl合金基板や、Mgを主成分とした、例えば、Mg−Zn合金等のMg合金基板、シリコン、チタン、セラミックスのいずれかからなる基板やそれらを組み合わせた基板等を用いることができる。
尚、成形性等の高生産性、コスト、低吸湿性、形状安定性等の点からはポリカーボネートが好ましい。耐薬品性、低吸湿性等の点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。また、高速応答性等の点からは、ガラス基板が好ましい。光記録媒体100に十分な剛性を持たせるために、第2の基板108はある程度厚いことが好ましい。具体的には、厚さは、0.3mm以上が好ましい。但し、厚さは、通常3mm以下、好ましくは1.5mm以下である。
(その他の層)
光記録媒体100は、上記積層構造において、必要に応じて任意の他の層を挟んでも良い。或いは媒体の最外面に任意の他の層を設けても良い。具体的には、第1の反射層103と中間層104との間、中間層104と第2の記録層105との間、第2の反射層106と接着層107との間等にバッファー層を設けてもよい。バッファー層の厚さは2nm以上が好ましく、より好ましくは5nm以上である。バッファー層の厚さが過度に薄いと、上記の混和現象の防止が不十分となる虞がある。但し、バッファー層の厚さは、2000nm以下が好ましく、より好ましくは500nm以下である。バッファー層が過度に厚いと、混和防止には不必要であるばかりでなく、光の透過率を低下させる恐れもある。また無機物からなる層の場合には成膜に時間を要し生産性が低下したり、膜応力が高くなったりする虞がある。このため、バッファー層の膜さは、200nm以下が好ましい。特に、金属の場合は光の透過率を過度に低下させるため、バッファー層の膜さは、20nm以下程度が好ましい。
また、記録層や反射層を保護するために保護層を設けても良い。保護層の材料としては、記録層や反射層を外力から保護するものであれば特に限定されない。有機物質の材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。また、無機物質としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、MgF、SnO等の誘電体が挙げられる。
(V)光記録媒体の製造方法
上記説明したような、第2の記録層のパワーマージンが、第1の記録層のパワーマージンよりも広くなるような光記録媒体を製造する具体的な例について以下に説明する。
具体的な光記録媒体の製造方法としては、例えば、中間層を複数の樹脂層を順次積層して形成する。そして、最後に形成する樹脂層に、下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たす樹脂を用いる。その後、最後に形成する樹脂層の表面に、記録トラック用の所定の溝を形成する。
(1)最後に形成する樹脂層に、中間層を形成する他の樹脂層とは異なる弾性率を有する樹脂を用いる。
(2)最後に形成する樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする。
(3)基板と樹脂を用いて形成する場合に、基板を形成する樹脂の150℃における弾性率よりも、最後に形成する樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率を大きくする。
ここで、生産効率の観点から、複数の樹脂層を順次積層して中間層を形成する際には、樹脂層は、紫外線硬化性樹脂から構成されることが好ましい。そして、中間層を形成する樹脂層を順次成膜していき、最後に形成する樹脂層は、下記(1)〜(3)の少なくとも1つ満たすような紫外線硬化性樹脂で形成する。
(1)他の樹脂層とは異なる弾性率を有する紫外線硬化性樹脂を用いる。
(2)最後に形成する樹脂層に用いる紫外線硬化性樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とする。
(3)基板を形成する樹脂の150℃における弾性率よりも、最後に形成する樹脂層に用いる紫外線硬化性樹脂の150℃における弾性率を大きくする。
さらに、この最後に形成する樹脂層の表面に、透明スタンパ(詳細は後述する。)を押し当てる。その後、透明スタンパ側から紫外線を照射して、各樹脂層を構成する紫外線硬化性樹脂を硬化させる。硬化後、透明スタンパを剥離すれば、記録トラック用の所定の溝が最外樹脂層に形成される。
また、第2の記録層のパワーマージンが第1の記録層のパワーマージンよりも広くなるような光記録媒体においては、記録層が有機色素を含有することが好ましい。これは、前述の通り、有機色素を含有する記録層を用いることにより本発明の効果が顕著に発揮されるようになるからである。
以下、本実施の形態が適用される光記録媒体を製造する方法の好ましい一例(中間層が2層構造の例)について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される光記録媒体を製造する方法を説明する模式図である。先ず、図2(a)に示すように、表面に溝及びランド、グルーブ及びプリピットが形成された第1の基板201を、スタンパを用いて射出成形法等により作製する。次に、有機色素を溶媒に溶解させた塗布液を第1の基板201の凹凸を有する側の表面にスピンコート等により塗布する。そして、必要に応じて乾燥を行う。このようにして、第1の記録層202を成膜する。第1の記録層202を成膜した後、Ag合金等をスパッタまたは蒸着することにより、第1の記録層202上に、半透明な第1の反射層203を成膜する。
続いて、図2(b)に示すように、第1の反射層203の表面全体に紫外線硬化性樹脂層をスピンコート等により塗布し第1の中間層204aを形成する。一方、図2(c)に示すように、光透過性の樹脂スタンパ210の案内溝が形成された面に、所定の紫外線硬化性樹脂を円形に滴下し、スピナー法により、第2の中間層204b(この第2の中間層204bが最外樹脂層となる。)を形成する。次に、図2(d)に示すように、第1の中間層204aと第2の中間層204bとが対向するように、第1の基板201と樹脂スタンパ210とを貼り合わせる。続いて、樹脂スタンパ210側から紫外線を照射して、第1の中間層204aと第2の中間層204bとを硬化接着させる。そして、充分硬化したところで樹脂スタンパ210を剥離し、第1の中間層204aと第2の中間層204bとが積層された中間層を形成する。このとき、第2の中間層204bの表面には樹脂スタンパ210上に形成された案内溝が転写されている。
続いて、図2(e)に示すように、有機色素を溶媒に溶解させた塗布液をスピンコート等により第2の中間層204b表面に塗布する。そして、必要に応じて、塗布液に使用した溶媒を除去するために加熱を行う。このようにして、第2の記録層205を成膜する。
次に、図2(f)に示すように、Ag合金等をスパッタ、蒸着することにより第2の記録層205上に第2の反射層206を成膜する。その後、図2(g)に示すように、ポリカーボネートを射出成形して得られたダミー基板である第2の基板208としての鏡面基板を、接着層207を介して第2の反射層206に貼り合わせて光記録媒体の製造が完了する。尚、第2の中間層204bは、上述したように樹脂スタンパ210上に形成せずに、直接、第1の中間層204aの上に形成しても良い。
尚、中間層を3層以上で構成する場合は、例えば、以下のようにすればよい。つまり、図2(b)において、第1の中間層204aの上に、所望の性能を有する1又は2以上の紫外線硬化性樹脂(不図示)を順次スピンコートで塗布することによって形成すればよい。この場合に、所望の性能を有する紫外線硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂は、硬化後に樹脂層として機能する。)の塗布の順番は、中間層に求められる性能を考慮して決めればよい。この点についてはすでに説明したので、ここでの説明は省略する。
以上、本実施の形態が適用される光記録媒体及びその製造方法について説明したが、本実施の形態は上記の態様に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、各層間や最外層として必要に応じて他の層を設けてもよい。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。尚、本実施の形態は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(1)光記録媒体の調製
ニッケルスタンパを用いてポリカーボネート(150℃での弾性率は950MPa、30℃での弾性率は2300MPa)を射出成形し、ピッチ0.74μm、幅0.33μm、深さ160nmの溝が形成された、直径120mm、厚さ0.57mmの基板を得た。
一方、非晶質ポリオレフィンを原料として用い、射出成形法により、内径15mmの中心孔を有する、外径120mm、厚さ0.6mmの円盤状の光透過性スタンパを形成した。射出成形は、トラックピッチ0.74μm、幅0.32μm、深さ175nmの案内溝を有するニッケル製原盤を使用した。尚、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)により、光透過性スタンパには、ニッケル製原盤の案内溝が正確に転写されたことが確認された。
次に、含金属アゾ色素のテトラフルオロロペンタノール溶液(濃度2重量%)を調製し、これを基板上に滴下してスピナー法により塗布した。塗布後、70℃で30分間乾燥し第1の記録層を形成した。さらに、第1の記録層上に、Ag−Bi(Bi:1.0原子%)からなるAg合金を用いて、厚さ17nmの半透明の第1の反射層をスパッタリング法により成膜した。
次に、第1の反射層上に、第1の中間層(第1樹脂層)を形成するための所定の紫外線硬化性樹脂1を円形に滴下し、スピナー法により厚さ約25μmの膜を形成した。一方、予め調製した光透過性スタンパの案内溝が形成された面に、第2の中間層(第2樹脂層、最外樹脂層)を形成するための所定の紫外線硬化性樹脂2を円形に滴下し、スピナー法により厚さ約25μmの膜を形成した。次に、この紫外線硬化性樹脂1の膜と紫外線硬化性樹脂2の膜とが対向するように、第1の基板と光透過性スタンパとを貼り合わせた。続いて、光透過性スタンパ側から紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂1及び紫外線硬化性樹脂2を硬化接着させた。その後、光透過性スタンパを剥離して第1の中間層と第2の中間層とが積層された厚さ約50μmの中間層を形成した。尚、AFMにより、第2の中間層の表面には光透過性スタンパ上に形成された案内溝が転写されていることを確認した。
次に、第2の中間層の上に、含金属アゾ色素のテトラフルオロロペンタノール溶液(濃度2重量%)を滴下してスピナー法により塗布した。塗布後、70℃で30分間乾燥し第2の記録層を形成した。続いて、Ag−Bi(Bi:1.0原子%)からなるAg合金を用いて、厚さ120nmの第2の反射層をスパッタリング法により成膜した。さらに、第2の反射層上に、紫外線硬化性樹脂をスピンコートして接着層を設けた。そして、この接着層上に直径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を載置して第2の基板とし、紫外線を照射し硬化接着させた。このようにして、2個の記録層を有する多層型の光記録媒体を調製した。
(2)光記録媒体のジッタ(Jitter)の測定
開口数0.65の記録再生評価機により、予め調製された2個の記録層を有する光記録媒体の第1の基板側から第2の記録層に波長657nmのレーザ光を照射し、記録線速度9.1m/s、基準クロック周期16nsの条件で、8−16変調のEFM+信号を記録パワーを変化させながら記録した。次に、再生線速度3.8m/s、再生パワー0.7mWの条件で記録信号を再生し、ジッタを測定した(単位:%)。
ここで、ジッタは、ジッタ測定を行う記録トラックの両隣の記録トラックにも記録マークが存在する状態で測定されている。つまり、ここでのジッタは、Multi Track Jitterとなっている。
尚、ジッタとは以下のようにして求められる値である。つまり、再生信号をイコライザとLPFを通過させた後に、スライサにより2値化信号とする。そして、この2値化信号のリーディングエッジとトレーリングエッジとのPLLクロックに対する時間のずれの標準偏差(ジッタ)を、タイムインターバルアナライザで測定する。さらに、その値を基準クロック周期Tで規格化したものがジッタとなる。ジッタは9%以下であれば、光記録媒体の記録特性が良好といえる。
(3)チルトの測定
チルト測定装置(Dr.Shwab社製:Argus)を用いて、平行光を光記録媒体に照射して反射光と入射光との間の角度によりチルトを測定した(単位:deg)。数値が小さいほど光記録媒体の基板の反りが少ない。
(4)光記録媒体のPush−Pull信号の測定
予め調製した2個の記録層を有する光記録媒体の第2の記録層から得られるPush−Pull信号を測定した。数値が大きいほど、記録特性が良好である。尚、Push−Pull信号は下記式で定義される。
Figure 2005332564
式中、(I−I)ppは、(I−I)信号の頂点間振幅である。(I+I)maxは、(I+I)信号の最大値である。(I+I)minは(I+I)信号の最小値である。また、(I)は、光記録媒体からの再生信号を4分割フォトディテクタにより、4分割されたディテクタ(PD1、PD2、PD3、PD4)として受光したとき、案内溝の仮想中心に対して左側に位置するPD1及びPD2の出力の和である(I=PD1+PD2)。(I)は、案内溝の仮想中心に対して右側に位置するPD3及びPD4の出力の和である(I=PD3+PD4)。
尚、フォーカスサーボを第2の記録層にかけ、トラッキングサーボはオープンループの状態にして、光記録媒体を3.8m/sで回転させる。通常、光ディスクには数十ミクロンの偏心が存在するので、再生ビームは案内溝とランドとを、1回転で数十回横断することになる。(I−I)信号及び(I+I)信号は正弦波状の出力を示すことになる。
(5)光透過性スタンパと中間層との剥離性の評価
光透過性スタンパの中心孔部分から紫外線硬化性樹脂の非塗布部にナイフエッジを差し込んだ。そして、力を加えて、光透過性スタンパと中間層とを剥離させた。剥離後の光透過性スタンパの表面について、蛍光灯下の目視検査又は光学顕微鏡観察を行い、以下の基準により、剥離性を評価した。
○:容易に剥離でき、光透過性スタンパ表面に紫外線硬化性樹脂の残渣が無い。
△:比較的容易に剥離でき、光学顕微鏡により、光透過性スタンパ表面に紫外線硬化性樹脂の残渣が認識される。
×:剥離が困難、又は、剥離後の光透過性スタンパ表面に紫外線硬化性樹脂の残渣が目視検査で認識される。
(6)樹脂の弾性率、ガラス転移温度
動的粘弾性試験機(レオバイブロン(Rheovibron)社製:DDVシリーズ)を使用し、測定周波数3.5Hz、昇温速度3℃/minの条件で、温度150℃、温度30℃における樹脂の動的弾性率を測定した(単位:MPa)。同時に、樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定も行った。
(7)樹脂の収縮率
比重法により樹脂の収縮率を測定した(単位:%)。
(8)パワーマージンの測定方法
上記(2)のジッタの測定方法を用いて、第1の記録層及び第2の記録層のそれぞれのジッタ測定を行った。そして、ジッタが9%以下となる記録パワーP1、P2を求めた。パワーマージンは、ジッタが9%を下回る記録パワー幅(P2−P1)をその中心値(P2+P1)/2で割った値として求めた。
より具体的には、第1の記録層及び第2の記録層それぞれの半径23mm位置において、上記(2)に示す方法に倣って記録を行なった。その後、上記(2)に示す方法に倣ってジッタの測定を行った。そして、ジッタが9%以下とするようなP1、P2を求め、[(P2−P1)/{(P2+P1)/2}]を算出した。
(実施例1〜実施例4、比較例1、比較例2)
表1に示す6種類の紫外線硬化性樹脂(A〜F)を用いた。尚、表1中の紫外線硬化性樹脂(A〜F)は以下のとおりである。
樹脂A:ラジカル系紫外線硬化性樹脂:大日本インキ株式会社製
樹脂B:ラジカル系紫外線硬化性樹脂:大日本インキ株式会社製SD694
樹脂C:ラジカル系紫外線硬化性樹脂:大日本インキ株式会社製SD394
樹脂D:ラジカル系紫外線硬化性樹脂:大日本インキ株式会社製SD347
樹脂E:カチオン系紫外線硬化性樹脂:大日本インキ株式会社製SD4016
樹脂F:ラジカル系紫外線硬化性樹脂:大日本インキ株式会社製SD6036
また、上記樹脂A〜Fの収縮率、弾性率及びガラス転移温度を表1に示す。但し、表1中、(*1)及び(*2)で示したデータ(150℃の弾性率の欄に記載された、樹脂E、Fのデータ)は、100℃での弾性率の測定結果である。150℃の弾性率は、100℃での弾性率のデータよりも小さくなると考えられる。
Figure 2005332564
そして、表2に示した紫外線硬化性樹脂(A〜F)の組み合わせを用い、第1の中間層及び第2の中間層を有する光記録媒体について、それぞれ、ジッタ、チルト、Push−Pull信号の測定を行った。また、光記録媒体を調製する際の光透過性スタンパと第2の中間層との剥離性を評価した。結果を表2に示す。
尚、樹脂A〜樹脂Fについて、弾性率・収縮率の制御方法を説明する。
樹脂Aとしては、架橋密度が高くなるようなアクリルモノマーと架橋構造に剛直な構造を有するアクリルモノマーとを組み合わせて用いることにより、弾性率及び収縮率を制御した。
樹脂Fとしては、アクリロイル基1個あたりの分子量が大きく、柔軟な構造を有するアクリルオリゴマーと単官能アクリルモノマーを組み合わせて用いることにより、弾性率及び収縮率を制御した。
また、樹脂Eは収縮率が最も小さいが、これは、カチオン系樹脂を用いているからである。尚、樹脂B、樹脂C及び樹脂Dについても、モノマー構造を適宜制御して、所望の弾性率・収縮率を得た。
Figure 2005332564
表2に示した結果から、以下のことが分かる。つまり、2個の記録層を有する多層型の光記録媒体において、150℃の弾性率が300MPa以上であり、また、収縮率が6%以上である紫外線硬化性樹脂(A、D)を用いて第2の中間層(最外樹脂層)を形成した場合(実施例1〜実施例4)は、光記録媒体の記録特性(ジッタ、チルト、Push−Pull信号)のバランスが良好である。また、光記録媒体を調製する際の光透過性スタンパと第2の中間層との剥離性が良好であることが分かる。
中でも、第2の中間層(最外樹脂層)を150℃の弾性率が300MPa以上であり、また、収縮率が6%以上である紫外線硬化性樹脂Aを用いて形成し、第1の中間層を収縮率が4%以下の紫外線硬化性樹脂Eを用いて形成した場合(実施例1)と、第2の中間層(最外樹脂層)を紫外線硬化性樹脂Aを用いて形成し、第1の中間層を30℃の弾性率が700MPa以下の紫外線硬化性樹脂Fを用いて形成した場合(実施例2)とは、光記録媒体の記録特性(ジッタ、チルト、Push−Pull信号)のバランスが良好である。特に、チルトが小さく、光記録媒体の基板の反りが小さいことが分かる。
一方、2個の記録層を有する多層型の光記録媒体において、150℃の弾性率が300MPaより小さい紫外線硬化性樹脂(B、C)を用いて第2の中間層(最外樹脂層)を形成した場合(比較例1、比較例2)は、光記録媒体の記録特性(ジッタ、チルト、Push−Pull信号)のバランスが不良であり、また、光記録媒体を調製する際に光透過性スタンパと中間層とをスムーズに剥離できないことが分かる。
即ち、第2の中間層を150℃の弾性率が160MPaである紫外線硬化性樹脂Bを用いて形成した場合(比較例1)と、第2の中間層を150℃の弾性率が66MPaである紫外線硬化性樹脂Cを用いて形成した場合(比較例2)とは、いずれもPush−Pull信号が極めて小さいためにトラキングサーボがかからず、記録再生評価が出来ないことが分かる。これは、150℃の弾性率が低い樹脂製の第2の中間層上に第2の反射膜を成膜する際に、成膜中の発熱により第2の中間層に形成された溝が変形して浅くなり、その結果、Push−Pull信号振幅が極端に小さくなったと考えられる。
また、実施例1〜実施例4の光記録媒体の第1の記録層と第2の記録層とのパワーマージンを測定した結果を示す。
実施例1の光記録媒体においては、第1の記録層のおけるP1は18.57mW程度であり、P2は22.73mW程度であった。これに対して、第2の記録層における、P1は21.52mW程度であり、P2は30.09mW程度であった。これらの結果を用いて、パワーマージンを算出すると、第1の記録層は20.1%、第2の記録層は33.2%となった。
実施例2の光記録媒体においては、第1の記録層のおけるP1は18.21mW程度であり、P2は22.33mW程度であった。これに対して、第2の記録層における、P1は21.76mW程度であり、P2は30.09mW程度であった。これらの結果を用いて、パワーマージンを算出すると、第1の記録層は20.3%、第2の記録層は32.2%となった。
実施例3の光記録媒体においては、第1の記録層のおけるP1は18.61mW程度であり、P2は22.59mW程度であった。これに対して、第2の記録層における、P1は21.13mW程度であり、P2は30.40mW程度であった。これらの結果を用いて、パワーマージンを算出すると、第1の記録層は19.3%、第2の記録層は36.0%となった。
実施例4の光記録媒体においては、第1の記録層のおけるP1は18.48mW程度であり、P2は22.75mW程度であった。これに対して、第2の記録層における、P1は21.80mW程度であり、P2は31.37mW程度であった。これらの結果を用いて、パワーマージンを算出すると、第1の記録層は20.7%、第2の記録層は36.0%となった。
尚、比較例1と比較例2の光記録媒体については、Push−Pull信号が極めて小さいためにトラキングサーボがかからず、記録再生評価が出来なかった。このため、第2の記録層のパワーマージンの評価を行うこともできなかった。
(実施例5)
上記の「(1)光記録媒体の調製」における、中間層の形成方法を以下のようにして、中間層を3層の樹脂層からなる構造とした。以下の中間層の形成方法以外は、上記「(1)光記録媒体の調製」と同様にして光記録媒体を調製した。
(中間層の形成方法)
第1の反射層上に、紫外線硬化性樹脂(樹脂D)を滴下し、スピナー法により、厚さ約4μmの塗膜を形成した。その後、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させて、第1樹脂層を形成した。この第1樹脂層は、反射層を保護する為に用いるものである。
第1樹脂層の上に、第2樹脂層を形成するための紫外線硬化性樹脂1(樹脂F)を円形に滴下した。そして、スピナー法により厚さ約23μmの塗膜を形成した。
一方、予め成形しておいた光透過性スタンパの案内溝が形成された面に、第3樹脂層(最外樹脂層)を形成するための所定の紫外線硬化性樹脂2(樹脂A)を円形に滴下した。そして、スピナー法により厚さ約23μmの塗膜を形成した。
次に、この紫外線硬化性樹脂1の塗膜と紫外線硬化性樹脂2の塗膜とが対向するように、第1の基板と光透過性スタンパとを貼り合わせた。次いで、光透過性スタンパ側から紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂1及び紫外線硬化性樹脂2を硬化接着させた。その後、光透過性スタンパを剥離した。
以上の工程を経て、第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層(最外樹脂層)が積層された厚さ約50μmの中間層を製造した。尚、AFMにより、第2の中間層の表面には光透過性スタンパ上に形成された案内溝が転写されていることを確認した。
この光記録媒体に対して、上記(2)のJitter測定、上記(4)の光記録媒体のPush−Pull信号の測定、及び上記(8)のパワーマージンの測定、を行った。第2の記録層のJitter及びPush−Pull信号の測定結果を表3に示す。尚、Jitter、Push−Pullの測定は、光記録媒体の半径23mm位置、40mm位置、58mm位置について行った。
Figure 2005332564
表3より、いずれの半径位置においても、良好な記録特性が得られることが分かる。また、図4に、光記録媒体の第1の記録層と第2の記録層とのパワーマージンを測定した結果を示す。図4において「L0」は、第1の記録層のパワーマージンを、「L1」は第2の記録層のパワーマージンを示す。図4から、第1の記録層におけるP1は19.8mW程度であり、P2は24.2mW程度であった。これに対して、第2の記録層におけるP1は19.4mW程度であり、P2は27mW程度であった。これらの結果を用いて、パワーマージンを算出すると、第1の記録層は19%、第2の記録層は32%となった。この結果から、第2の記録層の方が広いパワーマージンを有することが分かる。
(実施例6)
実施例5において中間層の形成方法を以下のようにしたこと以外は、実施例5と同様にして光記録媒体を調製した。
(中間層の形成方法)
第1の反射層上に、紫外線硬化性樹脂(樹脂D)を滴下し、スピナー法により、厚さ約4μmの塗膜を形成した。その後、紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させて、第1樹脂層を形成した。この第1樹脂層は、反射層を保護する為に用いるものである。
ここで、実験作業の都合から、1週間ほどサンプルを放置した後に以後の作業を行った。
第1樹脂層の上に、第2樹脂層を形成するための紫外線硬化性樹脂1(樹脂F)を円形に滴下した。そして、スピナー法により所定の厚さの塗膜を形成した。
一方、予め成形しておいた光透過性スタンパの案内溝が形成された面に、第3樹脂層(最外樹脂層)を形成するための所定の紫外線硬化性樹脂2(樹脂A)を円形に滴下した。そして、スピナー法により所定の厚さの塗膜を形成した。
次に、この紫外線硬化性樹脂1の塗膜と紫外線硬化性樹脂2の塗膜とが対向するように、第1の基板と光透過性スタンパとを貼り合わせた。次いで、光透過性スタンパ側から紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂1及び紫外線硬化性樹脂2を硬化接着させた。その後、光透過性スタンパを剥離した。
以上の工程を経て、第1樹脂層、第2樹脂層、第3樹脂層(最外樹脂層)が積層された厚さ約50μmの中間層を製造した。第2樹脂層の膜厚及び第3樹脂層(最外樹脂層)のおおよその膜厚を、表4に示す。
上記のようにして得た光記録媒体に対して、上記(3)のチルトの測定、(4)のPush−Pull信号(半径23mm位置)の測定を行った。その結果を表4に示す。
Figure 2005332564
以上、本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
本発明によれば、透明基板上に設けられた複数の色素記録層を有する光記録媒体の記録特性が改善される。
本実施の形態が適用される光記録媒体の好ましい形態を説明するための図である。 本実施の形態が適用される光記録媒体を製造する方法を説明する図である。 本実施の形態が適用される光記録媒体の一例を示す模式図である。 実施例5における光記録媒体の第1の記録層と第2の記録層とのパワーマージンを測定した結果を示す図である。
符号の説明
100,300…光記録媒体、101,201,301…第1の基板、102,202,302…第1の記録層、103,203,303…第1の反射層、104a,204a…第1の中間層、104b,204b…第2の中間層、105,205,305…第2の記録層、106,206,306…第2の反射層、107,207,307…接着層、108,208,308…第2の基板、110,310…レーザ光、304…中間層、304a…第1樹脂層、304b…第2樹脂層、304c…最外樹脂層

Claims (20)

  1. 基板上に設けられ、照射された光により情報の記録再生が可能な少なくとも2個の記録層と、
    前記2個の記録層間に設けられた中間層と、を備え、
    前記2個の記録層のうち、基板からみて近い側の記録層を第1の記録層、基板からみて遠い側の記録層を第2の記録層とし、
    前記中間層の両面のうち前記基板側とは反対側の面に、記録トラック用の所定の溝が形成されており、
    前記中間層が複数の樹脂層から構成され、前記記録トラック用の所定の溝を形成する樹脂層を最外樹脂層とし、
    前記第1の記録層におけるパワーマージンよりも、前記第2の記録層におけるパワーマージンの方が広いことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記最外樹脂層には、前記中間層を形成する他の樹脂層とは異なる弾性率を有する樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率を300MPa以上とすることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  4. 前記基板を樹脂で形成し、
    (前記最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率)≧(前記基板を形成する樹脂の150℃における弾性率)とすることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  5. 前記最外樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率を、前記中間層を形成する他の樹脂層に用いる樹脂の150℃における弾性率よりも高くすることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  6. 前記最外樹脂層に用いる樹脂の収縮率を6%以上とすることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  7. 前記最外樹脂層の厚さを、前記中間層全体の厚さの5%以上とすることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  8. 前記最外樹脂層以外の樹脂層に、30℃における弾性率が1500MPa以下の樹脂を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  9. 前記最外樹脂層以外の樹脂層に、収縮率が4%以下の樹脂を用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  10. 前記中間層を、3層の樹脂層で構成することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  11. 前記中間層が、第1層と第2層とから構成され、それぞれの層に弾性率が異なる樹脂を用いることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  12. 前記中間層は、第1層と第2層とから構成され、前記第2層を構成する樹脂が、前記第1層を構成する樹脂よりも高い弾性率を有することを特徴とする請求項11に記載の光記録媒体。
  13. 前記中間層は、第1層と第2層とから構成され、前記第2層を構成する樹脂の150℃における弾性率が300MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  14. 前記第2層を構成する前記樹脂の収縮率が6%以上であることを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  15. 前記第1層の厚さ(Da)と前記第2層の厚さ(Db)との関係が、(Da/Db)=(1/4)〜(4/1)であることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  16. 前記中間層は、30℃における弾性率が1500MPa以下の樹脂からなる第1層と、前記第1層上に積層され、150℃における弾性率が300MPa以上である樹脂からなる第2層と、から構成されることを特徴とする請求項11乃至請求項15のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  17. 前記第1層を構成する前記樹脂の収縮率が4%以下であることを特徴とする請求項11乃至請求項16のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  18. 前記中間層を構成する樹脂層が紫外線硬化性樹脂から構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項17のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  19. 前記記録層が有機色素を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項18のいずれか1項に記載の光記録媒体。
  20. 前記第1の記録層と前記中間層との間に第1の反射層を、前記第2の記録層の上に第2の反射層を設け、
    (前記第2の反射層の膜厚)/(前記第1の反射層の膜厚)を2以上、20以下とすることを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載の光記録媒体。
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