JP2011107181A - シールド材 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素透過性が低く、耐薬品性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂からなるシートをホログラム記録媒体のシールド材として用いることにより、長期の未記録状態における使用有効期限(シェルフライフ)を有するホログラム記録媒体を提供する。
【解決手段】30℃における酸素透過係数が80(cm・100μm/m/24hr/atm)以下であり、o−クロロフェノール中35℃で測定した極限粘度が0.4〜1.2dl/cmであるポリエチレンテレフタレート樹脂から形成されたホログラム記録媒体用シールド材。
【選択図】なし

Description

本発明は、光を照射することによって情報を記録する記録層を有する光情報記録媒体に好適なシールド材に関する。中でも本発明は、情報を付与された情報光と参照光によって形成された干渉縞が記録されるホログラム記録層を有する光情報記録媒体に好適なシールド材に関する。より詳しくは、本発明は、ポリエチレンテレフタレート樹脂から形成されたシールド材であって、特に酸素透過性が低く、耐薬品性が良好であり、未記録状態における長期の使用有効期限(シェルフライフ)を確保可能な光情報記録媒体に好適なシールド材を提供するものである。
ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録するホログラム記録媒体は、光磁気記録媒体や相変化光記録媒体などに比べ、記録再生するデータの大容量化・高速転送速度化を実現可能な光記録技術の一つである。
ホログラム記録媒体の記録は、一般的に、イメージ情報を持った情報光と参照光とを記録媒体内部で重ねあわせ、そのときに形成される干渉縞を記録媒体に書き込むことによって行われる。記録された情報の再生時には、記録媒体に参照光を照射することにより、記録した干渉縞による回折によりイメージ情報が再生される。
近年では、体積ホログラフィ、特にデジタル体積ホログラフィが実用域で開発され注目を集めている。体積ホログラフィとは、記録媒体の厚み方向を利用して、3次元的に干渉縞を書き込む方式であり、厚みを増すことで回折効率を高め、多重記録を用いて記録容量を増大することが可能である。そして、デジタル体積ホログラフィとは、体積ホログラフィと同様の記録媒体と記録再生方式を用いており、記録するイメージ情報を2値化したデジタルパターンに限定したホログラフィック記録方式である。このデジタル体積ホログラフィでは、例えば画像情報を、デジタルデータへ変換し、更に2次元デジタルパターン情報に展開し、これをイメージ情報として記録する。再生時は、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることで、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にSN比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行ったり、2値化データをコード化しエラー訂正を行ったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能になる。
このような体積ホログラフィを用いたホログラフィック記録再生を行うホログラム記録媒体として、特許文献1及び2には図1に示すような構造体が提案されている。かかるホログラム記録媒体1は、エンボスピット3aを有する反射層3及び透明層4が形成されたディスク状の第1の基板2と、光透過性を有するディスク状の第2の基板5とを、それらの外周部および内周部にスペーサー7を挿入して所定の厚みに調整し、厚み方向に干渉縞を記録する記録層6を封入することにより製造される。
ホログラム記録層としては、入射光強度によって屈折率変化を生じるニオブ酸リチウム(LiNbO)のような無機結晶が使用されていた。しかしながら、LiNbOは非常に高価であり、経時的に屈折率変化が減衰し、しかも有意な屈折率変化を生じさせるために厚い結晶を用いる必要があった。
そこで特許文献3では、光学的に誘起された重合反応を利用してより大きい屈折率変化を生じる物質が記録層として使用されている。これらの物質は、フォトポリマー(感光性樹脂)といわれており、1種以上の光活性の重合性液体モノマーまたはオリゴマー、開始剤、不活性ポリマー充填材、及び増感剤等の均一な混合物からなる。
記録層としてフォトポリマーを用いた場合、空気中の酸素により、フォトポリマーの重合反応が阻害されるため、未記録状態におけるホログラム記録媒体の使用有効期限(シェルフライフ)が短くなり、長期保存性を確保することが課題となる。ホログラム記録媒体の厚み方向に関しては記録層の上下に各層が積層されており、酸素によるフォトポリマーの劣化はほとんど生じないと考えられる。しかしながら、半径方向は記録層が直接空気に接触していることから酸素による劣化が進行すると考えられる。そこで特許文献4では、記録層の外周部および内周部に用いているスペーサーをシールド材として用い、スペーサーの幅を長くすることにより、外部からの空気の進入を防止することが記載されている。しかしながら、シールド材の具体的な材質、特性については記載されていない。
そこで、特許文献4に記載されていたポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAから得られたポリカーボネート樹脂、以下PC−A)をリング状のプラスチックシートに加工し、両面に接着剤を塗布し、シールド材として検討したところ、記録材料との接触により、耐薬品性が不足していることから、PC−Aが白濁し透明性が得られないとの問題、並びに白濁を生じない記録材料を用いた場合、酸素透過により、未記録状態におけるホログラム記録媒体の使用有効期限に関する改善効果もあまり得られないとの問題がある。
尚、上記はディスク状のホログラム記録媒体を一例として説明したが、記録媒体の形状はカード状であってもよい。かかる製造において、記録層の課題は程度の差はあるものの共通であり、殊にホログラム記録媒体の記録容量が大きいほど重要となる。
特開2003−331464号公報 特開2004−126041号公報 特開2005−107312号公報 特開2008−027488号公報
本発明の目的は、上記の課題を解決し、酸素透過性が低く、耐薬品性に優れたポリエチレンテレフタレート樹脂からなるシートをホログラム記録媒体のシールド材として用いることにより、長期使用有効期限を有するホログラム記録媒体を提供することにある。
従来ポリカーボネート樹脂は酸素透過性が高く、記録層及び接着剤に対する耐薬品性に優れず、シールド材には不向きであるとの認識があるが、本発明者らは、驚くべきことにポリエチレンテレフタレート樹脂からなるシートを用いることにより、上記課題がいずれも解決でき、該樹脂から形成されたシート状シールド材がホログラム記録媒体の使用有効期限の改善に極めて好適であることを見出した。かかる知見に基づき更に検討を進めた結果、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、上記課題は、下記構成により解決される。
(構成1):30℃における酸素透過係数が80(cm・100μm/m/24hr/atm)以下であり、o−クロロフェノール中35℃で測定した極限粘度が0.4〜1.2dl/cmであるポリエチレンテレフタレート樹脂から形成されたホログラム記録媒体用シールド材。
本発明の好適な態様の1つは、
(構成2):シールド材は、シート状の形状を有し、その幅が1〜15mm、厚みが5〜500μm、且つ厚み斑がシート厚みの5%以下、である上記構成1記載のホログラム記録媒体用シールド材である。
本発明の好適な態様の1つは、
(構成3):エンボスピットが形成された第1の基板と、光透過性の第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間にホログラム記録層を有し、ホログラム記録層が上記構成1または構成2に記載のシールド材に保護されたホログラム記録媒体である。
本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂から形成されたシールド材は、低酸素透過性を示し、耐薬品性に優れ、且つ、長期使用有効期間を有するホログラム記録媒体を提供することが可能である。殊に本発明はポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることより、酸素透過性が低く、耐薬品性が優れていることを見出したものであり、ホログラム記録媒体の長期保存性に優れる。したがって、その奏する産業上の効果は格別である。
従来のホログラム記録媒体の概略断面図を示す。 (A)本発明のホログラム記録媒体における一実施様態の概略平面図を示す。 (B)本発明のホログラム記録媒体における一実施様態の半径方向の概略断面図を示す。
以下、本発明の詳細について説明する。
<ポリエチレンテレフタレート樹脂>
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂はテレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分を共重合成分として含むものでもよい。尚、本発明において構成単位に関連する“aa成分”なる表記(“aa”は化合物名を示す)の記載は、その化合物“aa”またはそのエステル形成性誘導体に由来するポリマー構成単位を示す。例えば、ジカルボン酸成分とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体に由来する構成単位を示す。
テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分の例として、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2,5−ジクロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4−ビフェニルジカルボン酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビス安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4−ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−Naスルホイソフタル酸、エチレン−ビス−p−安息香酸等に由来する構成単位があげられる。これらのジカルボン酸成分は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。テレフタル酸成分以外のジカルボン酸成分は、ジカルボン酸成分の全量を100モル%としたとき、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。
更に本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂には、上記芳香族ジカルボン酸成分以外に、30モル%未満の脂肪族ジカルボン酸成分を共重合することができる。該成分の具体例として、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等に由来する構成単位があげられる。
また本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂はエチレングリコール成分以外のジオール成分を共重合成分として含むものでもよい。他のジオール成分としては例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、トランス−または−2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジオール、p−キシレンジオール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)などに由来する構成単位を挙げることができる。これらは単独でも、2種以上を混合して使用することができる。エチレングリコール成分以外のジオール成分は、ジオール成分の全量を100モル%としたとき、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましい。
更にジオール成分としてわずかにポリエチレングリコール成分を共重合したポリエチレンテレフタレート樹脂も使用できる。ポリエチレングリコール成分の分子量としては150〜6,000の範囲が好ましい。
ポリエチレングリコール成分の組成割合としては、ジオール成分100重量%中、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下が更に好ましい。一方下限としては、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。
更にポリエチレンテレフタレート樹脂中には、通常重合時の副反応生成物としてジオール成分100モル%中、約0.5モル%以上のジエチレングリコール成分が含まれているが、かかるジエチレングリコール成分は6モル%以下が好ましく、5モル%以下が更に好ましい。
本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂において、テレフタル酸成分の一部をイソフタル酸成分としたポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体(以下、TA/IA共重合体と略称することがある。)を使用する場合、テレフタル酸成分とイソフタル酸成分との割合は、全ジカルボン酸成分を100モル%としたとき、テレフタル酸成分が好ましくは70〜99.9モル%、より好ましくは75〜99モル%、更に好ましくは80〜99モル%である。また、イソフタル酸成分は好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは1〜25モル%、更に好ましくは1〜20モル%である。
更にこのTA/IA共重合体には、テレフタル酸成分とイソフタル酸成分以外の、ナフタレンジカルボン酸等前記の芳香族ジカルボン酸成分を10モル%以下、好ましくは5モル%以下、またアジピン酸等の前記の脂肪族ジカルボン酸成分を5モル%以下、好ましくは3モル%以下共重合することが可能であるが、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分とイソフタル酸成分のみからなるものが最も好ましい。また、TA/IA共重合体におけるジオール成分としてエチレングリコール成分単独が最も好ましいが、エチレングリコール以外のジオール成分を共重合することも可能である。
本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂においてエチレングリコール成分の一部をネオペンチルグリコール成分としたポリエチレン/ネオペンチルテレフタレート共重合体(以下、EG/NPG共重合体と略称することがある。)を使用する場合、エチレングリコール成分とネオペンチルグリコール成分との割合は、全ジオール成分100モル%とした時にエチレングリコール成分が好ましくは90〜99モル%、より好ましくは95〜99モル%、更に好ましくは97〜99モル%である。また、ネオペンチルグリコール成分は好ましくは1〜10モル%、より好ましくは1〜8モル%、更に好ましくは1〜5モル%である。またエチレングリコールとネオペンチルグリコール以外のジオール成分を共重合することも可能である。
このEG/NPG共重合体には、テレフタル酸成分以外のイソフタル酸やナフタレンジカルボン酸等、前記の芳香族ジカルボン酸成分を10モル%以下、好ましくは5モル%以下、またアジピン酸等の前記の脂肪族ジカルボン酸成分を5モル%以下、好ましくは3モル%以下共重合することが可能であるが、ジカルボン酸成分がテレフタル酸成分単独のものが最も好ましい。また脂肪族ジカルボン酸成分を共重合することも可能である。
本発明に使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂の製造方法については、常法に従い、チタン、ゲルマニウム、アンチモン等を含有する重縮合触媒の存在下に、加熱しながらジカルボン酸成分を誘導する化合物と前記ジオール成分を誘導する化合物とを重合させ、副生する水または低級アルコールを系外に排出することにより行われる。重縮合触媒としてはゲルマニウム系重合触媒が好ましく、その例としては、ゲルマニウムの酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、フェノラート等が例示でき、更に具体的には、二酸化ゲルマニウム、水酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、テトラメトキシゲルマニウム等が例示される。またその他、三酸化アンチモン等の非溶性触媒が例示される。特にゲルマニウム系重合触媒を用いたポリエチレンテレフタレート樹脂は、本発明の目的である耐薬品性および熱安定性に優れ、シールド材として耐久性に優れ好適である。
また、従来公知の重縮合の前段階であるエステル交換反応において使用される、マンガン、亜鉛、カルシウム、マグネシウム等の化合物を併せて使用でき、およびエステル交換反応終了後にリン酸または亜リン酸の化合物等により、かかる触媒を失活させて重縮合することも可能である。ポリエチレンテレフタレートの製造方法は、バッチ式、連続重合式のいずれの方法をとることも可能である。
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂の極限粘度(IV値)は0.4〜1.2dl/gであり、好ましくは0.5〜1.0dl/g、より好ましくは0.6〜0.95dl/g、さらに好ましくは0.7〜0.9dl/gである。IV値が高い場合には流動性が低下するほかに、耐薬品性の向上効果が発現しにくいといった問題がある。他方IV値が低すぎる場合には、強度低下が大きいほか、ポリエチレンテレフタレート樹脂の末端基量が多い影響により熱安定性が低下する。またIV値の低いポリエチレンテレフタレート樹脂の生産は、スレットが砕けてしまう為ペレタイズが困難といった問題もある。
ポリエチレンテレフタレート樹脂のIV値は、特に指定しない限りo−クロロフェノール中35℃で測定された対数粘度値(極限粘度;IV値)である。即ち、ポリエチレンテレフタレート樹脂1.2gをo−クロロフェノール15cm中に加熱溶解した後、冷却して35℃で測定された溶液粘度から算出される。また重縮合反応工程後に得られたポリエチレンテレフタレート樹脂の密度は、1.35〜1.41g/cmであることが好ましく、より好ましくは1.37〜1.39g/cmである。本発明において、ポリエチレンテレフタレート樹脂の密度は、JISK7112のD法に準拠した硝酸カルシウム溶液を用いた密度勾配管法により、23℃の温度で測定される。
本発明に用いられるポリエチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基量は特に制限されないものの、好ましくは30eq/ton以下、より好ましくは25eq/ton以下である。下限としては5eq/ton以上が実用上適切である。
本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂は、ジオキシエチレンテレフタレート単位の含有率が、好ましくは1.0〜5.0モル%(より好ましくは1.0〜2.5モル%)の範囲にあることを満足する。このようにして、最終重縮合反応器から得られたポリエチレンテレフタレート樹脂は、通常、溶融押出成形法によって粒状(チップ状)に成形される。このような粒状のポリエチレンテレフタレート樹脂は、好ましくは2〜5mm(より好ましくは2.2〜4mm)の平均粒径を有することが望ましい。本発明のポリエチレンテレフタレート樹脂は、このようにして液相重縮合工程を経た粒状のポリエチレンテレフタレート樹脂をそのまま利用することが好ましい。
本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂もまたバージン原料のみならず、使用済みの製品から再生されたポリエチレンテレフタレート樹脂を利用することが可能である。殊に好適なポリエチレンテレフタレート樹脂は、大量に消費されその再生システムも確立されていることから、有効に利用することができる。その使用済みの製品としては、ペットボトルやブリスターに代表される容器、各種のフィルム、および繊維などが例示される。
更に本発明で使用されるポリエチレンテレフタレート樹脂は、試験温度30℃における酸素透過係数が80(cm・100μm/m/24hr/atm)以下である。好ましくは60(cm・100μm/m/24hr/atm)以下である。より好ましくは30(cm・100μm/m/24hr/atm)以下である。酸素透過係数が80(cm・100μm/m/24hr/atm)を越えると、室外に近い温湿度条件(例えば東京の初夏の想定気候)下における酸素バリア性が悪く、ホログラム記録媒体における記録材料の劣化が顕著となる。
ここで酸素透過係数とは、ASTM D―1434―75M法に基づく気体透過度試験において、測定気体である酸素の透過量を示し、ガスシールド性を表す材料固有の指標である。かかる気体透過係数は、気体透過係数=気体透過量(体積)×フィルム厚さ/(透過面積×時間×圧力差)で算出される。
<シールド材>
本発明のシールド材は、シート状の形状を有し、ホログラム記録材料の酸素による劣化を防止する目的で使用されるとともに、ホログラム記録材料の厚みを調整するためのスペーサーの役割を担っている。
ポリエチレンテレフタレート樹脂からシートを製造する方法としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂をTダイより溶融押出する方法、カレンダー成形法、溶剤キャスティングする方法、およびインフレーション法などをあげることができ、なかでもTダイ法が最も好適である。
また、ポリエチレンテレフタレート樹脂シートは、延伸シートであっても、未延伸シートであってもよい。
本発明のシールド材は、金型等を用いてシートをリング状または必要な大きさに打ち抜くことで好適に作成される。
シールド材は、その幅が1〜15mmであることが好ましい。幅の上限は、より好ましくは12mmである。幅の下限は、より好ましくは3mmである。下限未満では、酸素透過によりホログラム記録媒体が著しく劣化し、上限を超えると記録する領域が狭くなることにより記録容量が低下する。
また、シールド材の厚みは5〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましい。さらに、シールド材の厚み斑は小さいほうが良い。厚み斑はシートの厚みにより変化するが、厚みに対して、厚み斑の範囲は好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。ここで、厚み斑5%とは、厚さ100μmのフィルムにおいて厚さの最大値と最小値の差が5μmであるとする。厚み斑が5%より大きくなると表面平滑性が損なわれる。シートの厚み斑の測定方法は、連続厚み計(アンリツ(株)製フィルムシックネステスター型式KG601A)を用いて、位置を変えて厚みを測定し、その最大値と最小値との差を平均値で割った値を算出し、厚み斑を求めることができる。
<ホログラム記録媒体について>
本発明のシールド材を用いるホログラム記録媒体は図2に示す実施態様であり、図2(A)に概略平面図、図2(B)に半径方向の概略断面図を示す。
図2のホログラム記録媒体1は、第1の基板2と、第2の基板5と、第1の基板2と第2の基板5との間にシールド材10に囲まれた記録層6とを有しており、第1の基板2には、位置制御層12aと、反射層3と、波長選択層11と、ギャップ層4とを有している。図2のホログラム記録媒体1は、図2(A)に示すように、円盤形状であり、中心には開口部1bが形成されており、例えば、記録再生装置のスピンドルに開口部1bを装着することにより、ホログラム記録媒体1を回転可能に保持するように構成されている。
第1の基板2は、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられるが、加工性、コストの面から、プラスチックが特に好適に用いられる。前記プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリレーン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、加工性、耐熱性、光学特性、コストの面から、ポリカーボネート樹脂が特に好適に用いられる。
第1の基板2における位置制御光9を位置制御層12aに照射することによって再生される制御情報としては、トラッキング情報、フォーカス情報、アドレス情報、ディスク条件情報などが挙げられる。前記トラッキング情報は、例えば、ウォブルピット、ウォブルグルーブ、トラッキングピットなどが挙げられる。前記フォーカス情報は、例えば、第2の基板6表面に形成した反射層3、フォーカス用ミラー部分、フォーカス用ピットなどが挙げられる。前記アドレス情報は、例えば、前記ウォブルピット上に形成した凹凸、エンコードしたピット列、ウォブル変調信号などが挙げられる。
前記第1の基板2における位置制御層12aの表面に反射層3として反射膜を形成する。前記反射膜の材料としては、位置制御光9に対して高い反射率を有する材料を用いることが好ましい。例えば、Al、Al合金、Ag、Ag合金、Au、Cu合金等が好ましい。前記反射膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等のPVD法、あるいはCVD法等、種々の薄膜形成法が適用できる。
ギャップ層4は、樹脂材料、例えば紫外線硬化性樹脂等の材料をスピンコート法等によって塗布し、その後光照射し硬化させることで形成することができる。更には、ポリカーボネート等の樹脂シートを接着剤等を使用して貼り合せることで形成することもできる。ギャップ層4は、記録層6や波長選択層11を保護すると共に、記録層6内に生成される干渉縞6aの大きさや記録再生用光8と位置制御光9の焦点距離間の間隔などを調整するためにも有効である。また、ギャップ層4は、干渉縞が集中する記録再生光8の焦点近傍の部分を記録層6中に位置しないようにできるので、干渉縞が集中する焦点近傍の部分によって記録層6のフォトポリマーが大量に消費され、記録容量が低下することを防ぐことができる。ギャップ層4の厚みとしては、10〜100μmの範囲とすることが好ましい。
波長選択層11は、記録再生用光8を反射し、位置制御光9を透過する。波長選択層11としては、高屈折率物質と低屈折率物質を交互に積層させたダイクロイックミラー膜やコレステリック液晶膜を用いることができる。波長選択層11における記録再生用光8に対する反射面は、情報を安定して記録・再生できるように、平坦であることが好ましい。
シールド材10は、第1の基板2と第2の基板5との間に配置され、シールド材10と第1の基板2及び第2の基板5とによって形成される空間内に記録層6を封入するためのものであり、少なくとも位置制御光9を透過する必要がある。さらに、シールド材10として接着剤、両面粘着シールなどを使用すれば、シールド材10によって第1の基板2と第2の基板5とを貼り合わせることもできる。なお、シールド材10は、第1の基板2と第2の基板5との間隔を一定に保持するスペーサーを兼用してもよいし、別途スペーサーを配置することもできる。なお、シールド材10は、記録再生用光8を透過してもよいし、透過しなくてもよい。図2(A)においては、記録領域1aが広くなるように、円盤の内縁と外縁にシールド材10が配置されている。
記録層6は、シールド材10の内側に形成されており、記録再生光8との干渉縞6aが記録される。特に好ましくは、記録再生用光8には感光し、アドレス情報等を読み取るための位置制御光9には感光しない材料が好ましい。記録層6としては、フォトポリマー(感光性材料)を使用することができる。一般的に、フォトポリマーとしてラジカル重合性化合物及び光ラジカル重合開始剤に加え、三次元架橋ポリマーマトリクスを有する感光性材料が好適に用いられる。
マトリクスを形成する三次元架橋ポリマーとなる化合物は、エポキシ化合物が用いられる。具体的には、エポキシ化合物としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジエポキシオクタン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、およびエポキシプロポキシプロピル末端のポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物が挙げられる。例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミド、ビニル化合物などが挙げられる。より具体的には、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ビシクロペンテニルアクリレート、アクリル酸フェニル、イソボルニルアクリレート、アクリル酸アダマンチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、メタクリル酸アダマンチル、イソボルニルメタクリレート、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、スチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、トリブロモフェニルアクリレート、トリクロロフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、トリクロロフェニルメタクリレート、ビニルベンゾエート、3,5−ジクロロビニルベンゾエート、ビニルナフタレン、ビニルナフトエート、ナフチルメタクリレート、ナフチルアクリレート、N−フェニルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ビニルピロリジノン、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、ビシクロペンテニルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールトリメタクリレート、N−ビニルカルバゾールおよびN−ビニルピロリドンが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、イミダゾール誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、有機過酸化物、およびチオキサントン誘導体等が挙げられる。具体的には、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンジルメトキシエチルエーテル、2,2’−ジエチルアセトフェノン、2,2’−ジプロピルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、3,3’4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)1,3,5−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)1,3,5−トリアジン、2−[(p−メトキシフェニル)エチレン]−4,6−ビス(トリクロロメチル)1,3,5−トリアジン、チバスペシャルティケミカルズ社製のイルガキュア149、184、369、651、784、819、907、1700、1800、1850など各番号のもの、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、デカノイルーパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、およびシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。
必要に応じてシアニン、メロシアニン、キサンテン、クマリン、エオシンなどの増感色素、シランカップリング剤、および可塑剤などを加えてもよい。
記録層6の材料として、緑又は青色光に感度を有するフォトポリマーを使用した場合であれば、記録再生用光8には緑又は青色光を使用し、位置制御光9にはそれ以外の波長の光、例えば赤色光を使用すればよい。なお、本発明において、記録層6はフォトポリマーに限定されるものではない。
記録層6の形成方法としては、第1の基板2と第2の基板5とをシールド材10を介在させて貼り合わせた状態で、シールド材10の一部に注入口を設けておき、シールド材10の内部の空間を真空にし、記録層6を注入させ、注入後に注入口を封止する方式でもよい。さらには、第1の基板2又は第2の基板5にシールド材10を配置し、その間に記録層6を滴下して他方の基板を貼り合わせる方式でもよい。
第2の基板5には必要に応じて、記録再生光8の入射光側に反射防止層を設けることができる。反射防止層としては、高屈折率材料と低屈折材料を複数積層させた反射防止膜を蒸着やスパッタリングすることができる。更には、第2の基板5を射出成形等により成形する際に、モスアイ構造を有するメタルスタンパを用いて樹脂表面にモスアイパターンを転写させることで反射防止層を形成することもできる。
<ホログラム記録再生について>
本発明のシールド材を用いたホログラム記録媒体の記録方法は、記録再生光である情報光及び参照光を同軸または異軸として照射し、該情報光と参照光との干渉による干渉縞によって情報を記録層6に記録する同軸干渉方式(コリニア方式)または二光束干渉(ポリトピック)方式によるホログラム記録方法を用いることができる。再生方法としては、前記記録方法により記録層6に形成された干渉縞に参照光を照射して該干渉縞に対応した記録情報を再生することができる。本発明のシールド材を用いたホログラム記録媒体は、情報の記録再生だけではなく、再生時の強度パターンを利用することによって画像認証、動画識別に用いることができる。特に、本発明のシールド材を用いたホログラム記録媒体は、全光型超高速画像・動画識別システムに適応することできる。
以下、本発明の実施例について説明する。尚、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中の各種特性の測定は、以下の方法によった。原料は以下の原料を用いた。
(1)極限粘度
o−クロロフェノール15cmにポリエチレンテレフタレート樹脂を加熱溶解した後、冷却した溶液を用いて測定温度35℃にてウベローデ型粘度計を用いて各比粘度を測定した。それらから極限粘度を算出した。
(2)酸素透過係数
得られた樹脂シートを用い、ASTM D―1434―75M法に基づき、市販のガス透過率測定装置(東洋精機製作所製GTRテスターM―C1)にて酸素透過係数を求めた。樹脂シートの両側に圧力差をつけ、測定温度30℃における圧力、時間に対する変化の勾配から酸素透過率を算出し、100μm厚み当りの酸素透過係数に換算した。単位は[cm・100μm/m/24hr/atm]である。
(3)耐薬品性
得られた樹脂シートを用い、有機溶媒を少量含ませたベンコット(旭化成製、型式M−3)を用いて指圧(約500g)による拭き取り(10往復)を行い、目視にて樹脂シートの状態を観察した。有機溶媒としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエンを用いた。
(4)厚み及び厚み斑
得られた樹脂シートを1300mm幅、長さ50mmにカットし、連続厚み計(アンリツ(株)製フィルムシックネステスター型式KG601A)を用い、10mm幅毎のシート厚みを測定した。得られた測定値の算術平均値をシート厚みとし、厚みの最大値と最小値の差を平均値で割った値を算出し厚み斑(%)を求めた。
(5)ホログラム記録媒体の特性評価
(i)パルステック工業製二光束干渉方式標準ホログラムテスター、型式SHOT−500を用いて作成直後のホログラム記録媒体の評価を行った。測定用光源は532nmの緑光源、ビーム直径は5mm、ビーム強度は7mW/cmである。露光量を7,000mJ/cmとしてスケジューリングを行い、ステージの回転角を−60°から60°に20°の角度間隔で記録し、更に各回転角毎に入射角を−6°から6°まで2°の角度間隔で多重記録し、計49個のホログラムを多重記録した。ホログラム記録後、残留する未反応成分を反応させるため、媒体面全体に、波長532nmの青色LEDで十分な光を照射した。再生は同一光源を用いてステージの回転角を−60°から60°に20°の角度間隔、更に各回転角毎に入射角を−7°から7°まで0.2°の角度間隔で再生し、回折光強度から回折効率を求めた。更に、ダイナミックレンジM/#(回折効率の平方根の和)を算出した。
(ii)長期保存性(シェルフライフ特性)として、上記構成のホログラム記録媒体を更に2つ準備し、1ヶ月保管後、3ヶ月保管後のダイナミックレンジを測定した。
[実施例1]
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂(ペレット)
ポリエステルを構成するジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分がエチレングリコールからなり、o−クロロフェノール中35℃で測定した極限粘度が0.75dl/cmであるポリエチレンテレフタレート樹脂のペレット(帝人化成(株)製PET樹脂:TR8550T)を用いた。
(2)樹脂シートの作成
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットを減圧乾燥式の棚段乾燥機を用いて、120℃で6時間乾燥した。単軸30mmφ押出機にペレットを供給し、溶融ポリマーの異物を除去するための平均目開きが10μmであるステンレス不織布製のディスク形状フィルタを用いた。濾過後の溶融樹脂を270℃となるように設定したTダイから、直径800mm、ロール面長1800mm、設定温度30℃の回転する冷却ロール面に押出した。押出しダイのリップ幅は1500mm、リップ間隙は約2mmとした。樹脂シートを均一に冷却して引き取るために、樹脂シート全幅を静電密着法により冷却ロール面に密着させた。静電密着のための電極にはステンレス製ピアノ線を清浄に磨いたものを用いた。このピアノ線に直流電源のプラス電極をつなぎ、冷却ドラム側は接地した。印加電圧は7KVとした。かくして厚みが200μmの樹脂シートを冷却ロール回転速度10m/分で、テイクオフロールを介して引き取った。樹脂シートの両端部を70mmずつ切り除いて1300mm幅のポリエチレンテレフタレート樹脂シートを得た。
(3)ホログラム記録材料層溶液(記録層)の調製
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル100重量部に対してジエチレントリアミン23重量部を加え、マトリクス溶液を作成した。また、ラジカル重合性化合物としてポリエチレングリコールジアクリレート100重量部に、光重合開始剤としてイルガキュア−784(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)3重量部を加え混合した。ホログラム記録材料層溶液の全体量に対して、マトリクス材料の割合が67重量%、光重合性モノマーの割合が33重量%となるように室温にて混合し、ホログラム記録材料層溶液を調製した。
(4)ホログラム記録媒体の作製
上記ポリエチレンテレフタレート樹脂シートを50mm角に切り取り、中心部を40mm角で均一に打ち抜くことによって幅10mm、200μm厚のシールド材を準備した。片面に反射防止膜が設けられた50mm角、0.5mm厚のガラス基板を2枚準備した。更にシールド材として、ガラス基板の反射防止膜が設けられていない面上に、上記シールド材を置き、(3)で調製したホログラム記録材料層溶液を塗布した。更に記録材料層をガラス基板で挟み込み封入した。室温で1時間乾燥し、次いで80℃で10時間乾燥し、乾燥膜厚200μmのホログラム記録材料層を有するホログラム記録媒体を得た。
[実施例2]
実施例1(2)において引き取り速度を調整し、厚み1850μmの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを作成した後、75℃で予熱し、低速、高速のロール間で20mm上方より670℃の表面温度のIRヒーターにて加熱し、縦方向に3.1倍に延伸した。続いてテンターに供給し、120℃にて横方向に3.0倍に延伸した。得られた2軸配向フィルムを205℃の温度で10秒間熱固定し、厚み200μmの二軸配向フィルムを得た。該フィルムを用いてホログラム記録媒体を作成した。媒体作成直後、1ヶ月保管後、3ヶ月保管後のダイナミックレンジを測定した。
[実施例3]
実施例1(1)においてポリエステルを構成するジカルボン酸成分がテレフタル酸、ジオール成分がエチレングリコールからなり、o−クロロフェノール中35℃で測定した極限粘度が0.83dl/cmであるポリエチレンテレフタレート樹脂のペレット(帝人化成(株)製PET樹脂:TR8580H)を用いた以外は実施例1と同様の手法で測定を実施した。
[比較例1]
ビスフェノールAから得られたポリカーボネート樹脂(帝人化成製パンライト(登録商標)AD−5503)を用いたシートを実施例1と同様の操作を行い、ホログラム記録媒体を作成した。媒体作成直後、1ヶ月保管後、3ヶ月保管後のダイナミックレンジを測定した。
表1の結果から明らかなように、ポリエチレンテレフタレート樹脂から得られたシートを用いたシールド材では、ホログラム記録媒体として良好な結果が得られる一方、汎用されるポリカーボネート樹脂を用いたシールド材ではかかる有用な特性が得られないことが分かる。即ち、本発明によれば、汎用されるポリカーボネート樹脂では得られない良好なシールド材が得られることが分かる。
Figure 2011107181
本発明のシールド材は、コリニア方式ホログラム記録媒体、二光束干渉方式ホログラム記録媒体、マイクロホログラフィック・ストレージ用記録材料のシールド材などに利用できる。
1 ホログラム記録媒体
1a 記録領域
1b 開口部
2 第1の基板
3 反射層
3a エンボスピット
4 ギャップ層
5 第2の基板
6 記録層
6a 干渉縞
7 スペーサー
8 記録再生光
9 位置制御光
10 シールド材
11 波長選択層
12a 位置制御層

Claims (3)

  1. 30℃における酸素透過係数が80(cm・100μm/m/24hr/atm)以下であり、o−クロロフェノール中35℃で測定した極限粘度が0.4〜1.2dl/cmであるポリエチレンテレフタレート樹脂から形成されたホログラム記録媒体用シールド材。
  2. シールド材は、シート状の形状を有し、その幅が1〜15mm、厚みが5〜500μm、且つ厚み斑がシート厚みの5%以下、である請求項1記載のホログラム記録媒体用シールド材。
  3. エンボスピットが形成された第1の基板と、光透過性の第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間にホログラム記録層を有し、ホログラム記録層が請求項1または請求項2に記載のシールド材に保護されたホログラム記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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