JP2003326323A - 角筒状容器の製造装置および製造方法 - Google Patents

角筒状容器の製造装置および製造方法

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JP2003326323A
JP2003326323A JP2002136055A JP2002136055A JP2003326323A JP 2003326323 A JP2003326323 A JP 2003326323A JP 2002136055 A JP2002136055 A JP 2002136055A JP 2002136055 A JP2002136055 A JP 2002136055A JP 2003326323 A JP2003326323 A JP 2003326323A
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die
punch
container
drawing die
die hole
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JP2002136055A
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English (en)
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Mitsuie Takemasu
光家 竹増
Hiroshi Miyahara
洋 宮原
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Kyushu TLO Co Ltd
Original Assignee
Kyushu TLO Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容器高さが容器底面外周の短辺長の2倍以上
あるような深い角筒状容器を一工程で成形する。 【解決手段】 角筒状容器の容器底面内周に対応する頭
部形状を有する角ポンチ2と、この角ポンチ2の軸線上
に順次整列させた第1絞り用ダイ3および第2絞り用ダ
イ4とを備え、第1絞り用ダイ3のダイ孔は、二つの傾
斜面11,12を有する。傾斜面11は、角ポンチ2の
進行方向に対して約40°傾斜し、傾斜面12は約20
°傾斜している。円形の金属板10を、第1絞り用ダイ
3のダイ孔の傾斜面11に平板状態で配置し、上方から
角ポンチ2を下降させ、第1絞り用ダイ3のダイ孔、第
2絞り用ダイ4のダイ孔内を順次進行させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、深い角筒状容器を
絞り成形により製造するための角筒状容器の製造装置お
よび製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一工程で成形できないような深い容器
は、多段絞り加工により成形される。多段絞り加工で
は、複数個のダイとポンチとしわ押さえを用いて金属薄
板素材に順次絞り加工を施すことにより深い容器を成形
する。このように多段絞り加工では、工程数に応じたダ
イとポンチとしわ押さえを準備する必要があるが、加工
コストの低減を図るために、工程短縮化が望まれてい
る。
【0003】円筒容器の深絞り加工および再絞り加工に
関しては、古くから研究がなされている。例えば、特公
昭41−3366号公報には、多段式のダイにより、缶
径を順次縮径しながら、絞り加工する方法が開示されて
いる。また、特公昭41−3524号公報には、多段式
のダイを一直線上に順次整列させてポンチの一作動行程
で絞り加工を行う方法が開示されている。これらの多段
絞り加工方法は、いずれも円筒状の容器を成形するため
のものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、容器底面外周の
長辺長Lと短辺長Sとの比R(=L/S)が2以上で、
かつ容器側壁の高さHがSの2倍以上あるような四角筒
状容器の多段絞り加工については、詳細に論じた研究や
技術資料がほとんどない。しかしながら、近年、この種
の四角筒状容器は、携帯電話機用や携帯オーディオ機器
用の電池ケースとして用いられており、需要が急増して
いる。
【0005】円筒状容器の絞り加工の場合、素材は円筒
状容器へ軸対称に変形していくことから、容器の周方向
への材料流動についてはほとんど考慮する必要がない。
しかしながら、上記のようにR≧2かつH≧2Sの四角
筒状容器の絞り加工の場合、変形は軸対称でなく容器の
周方向の各位置においてそれぞれ異なるものとなる。
【0006】したがって、このような四角筒状容器の絞
り加工の場合、側壁の高さHがある程度揃った容器を成
形するためには、周方向への材料流動を制御する必要が
ある。すなわち、上述のような従来の円筒容器の多段絞
り加工をそのまま適用しても、四角筒状容器は一工程で
うまく成形することができないのである。
【0007】そこで、本発明においては、容器高さが容
器底面外周の短辺長の2倍以上あるような深い角筒状容
器を一工程で成形可能な製造装置および製造方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の角筒状容器の製
造装置は、一直線上に順次整列させた複数個の絞り用ダ
イと、これらの複数個の絞り用ダイのダイ孔内を順次進
行するポンチとを備え、ポンチの進行方向に対して一段
目の絞り用ダイのダイ孔は、ポンチの進行方向に対して
2以上の傾斜した面を有することを特徴とするものであ
る。
【0009】本発明の角筒状容器の製造方法は、ポンチ
の進行方向に対して2以上の傾斜した面を有するダイ孔
を備えた絞り用ダイを一段目として、複数個の絞り用ダ
イを一直線上に順次整列させ、一段目の絞り用ダイのダ
イ孔に金属素板を配置し、この金属素板に対してポンチ
を当接させ、複数個のダイのダイ孔内を順次進行させる
ことを特徴とする。
【0010】本発明では、ポンチの進行方向に対して一
段目の絞り用ダイのダイ孔に金属素板を配置し、この金
属素板に対してポンチを当接させ、複数個のダイのダイ
孔内を順次進行させる。ポンチにより進行させる金属素
板は、まず一段目の絞り用ダイに備えた2以上の傾斜し
た面によって段階的に絞り込まれることで初期の状態か
ら滑らかに変形していく。ここで金属素板は、初期の変
形が滑らかに行われることで、周方向への材料流動が理
想的に起こる。そのため、金属素板は、その後の絞り用
ダイのダイ孔を通過する際も周方向への理想的な材料流
動が行われ、容器高さがほぼ均一で容器底面外周の短辺
長の2倍以上あるような深い角筒状容器へと成形され
る。
【0011】また、一段目の絞り用ダイのダイ孔は、略
円形状断面を有し、最終段の絞り用ダイのダイ孔は、略
多角形状断面を有することが望ましい。ここで、略円形
状断面とは、円形状やほぼ円形状の他、楕円形状やほぼ
楕円形状などの滑らかな曲線により囲まれた面の断面を
いうものとする。また、略多角形状断面とは、長方形
状、正方形状、その他の四角形状や五角形状などの3以
上の線分で囲まれた面の断面をいうが、その角部に面取
りや曲面を施したものも含むものとする。
【0012】角筒状容器を成形する場合、円形状または
楕円形状、あるいは成形品の形状に対応させた滑らかな
曲線により囲まれた形状の金属素板が用いられる。した
がって、一段目の絞り用ダイのダイ孔をこの金属素板の
形状に近い略円形状断面とすることで、金属素板の初期
の変形量を抑えることができ、より理想的な材料流動を
生じさせる。また、最終段の絞り用ダイのダイ孔を成形
品の形状に応じた略多角形状断面とすることで、絞り工
程のみで最終成形品に近い形状の成形品を得ることがで
きる。すなわち、一段目の絞り用ダイで金属素板の初期
の変形量を抑えつつ理想的な材料流動を生じさせ、最終
段の絞り用ダイで最終成形品に近い形状にまで変形させ
ることができる。
【0013】また、ダイ孔の内面に突起部を有する絞り
用ダイを用いることにより、ダイ孔を通過する金属素板
を、この突起部によってダイ孔内側に押し出し、材料流
動がより最適な状態で生じるように積極的に座屈を生じ
させることも可能である。
【0014】さらに、ポンチは、段階的に進行する複数
のポンチ頭部を有し、各ポンチ頭部は、複数個の絞り用
ダイのそれぞれのダイ孔の断面形状に対応した断面形状
を有することが望ましい。
【0015】本発明では、金属素板に当接させたポンチ
を一段目の絞り用ダイから最終段の絞り用ダイまで順次
進行させる際、それぞれの絞り用ダイのダイ孔の形状と
ポンチの形状との関係で金属素板が順次変形していく。
そこで、ダイ孔内を進行するポンチの頭部の断面形状を
それぞれの絞り用ダイのダイ孔の断面形状に対応した断
面形状とすることで、このポンチの頭部とダイ孔との間
でさらに理想的な材料流動を生じさせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1は本発明の
実施の形態において製造する角筒状容器の斜視図、図2
は本発明の実施の形態における角筒状容器の製造装置の
縦断面図、図3は図2の第1絞り用ダイのA−A矢視
図、図4は図2の第2絞り用ダイのB−B矢視図であ
る。
【0017】図1に示す角筒状容器1は、略長方形状の
容器底面外周1aの長辺長Lと短辺長Sとの比R(=L
/S)が2以上のものである。また、角筒状容器1は、
その容器側壁1bの高さHを、短辺長Sの2倍以上とし
た深い容器である。このような角筒状容器1は、携帯電
話機・携帯オーディオ機器の電池ケース、食品・化粧品
・薬品・各種小物の容器や、各種電気・電子・機械パー
ツの筐体等に用いられる。
【0018】図2において、本発明の実施の形態におけ
る角筒状容器の製造装置は、角筒状容器1の容器底面内
周に対応する頭部形状を有する角ポンチ2と、この角ポ
ンチ2の軸線上に順次整列させた第1絞り用ダイ3およ
び第2絞り用ダイ4と、第1しごき用ダイ5および第2
しごき用ダイ6とを備える。第1,第2絞り用ダイ3,
4および第1,第2しごき用ダイ5,6は、それぞれダ
イ孔3a,4a,5a,6aを備える。この角筒状容器
の製造装置は、角ポンチ2を、これらの一直線上に配置
されるダイ孔3a,4a,5a,6a内を順次進行させ
ることにより角筒状容器1を成形する。
【0019】第1絞り用ダイ3のダイ孔3aは、二つの
傾斜面11,12を有する。図3に示すように、角ポン
チ2の進行方向に対して一番目の傾斜面11は、円形状
の入口縁13と、同じく円形状の中継口縁14とを接続
する曲面である。角ポンチ2の進行方向に対して二番目
の傾斜面12は、円形状の中継口縁14と、楕円形状の
出口縁15とを接続する曲面である。このような第1絞
り用ダイ3のダイ孔3aは、傾斜面11,12部分のい
ずれにおいても略円形状断面を有する。
【0020】一方、第2絞り用ダイ4のダイ孔4aは、
一つの傾斜面16を有する。図4に示すように、傾斜面
16は、四隅を曲線により接続した略長方形状の入口縁
17と、同じく四隅を曲線により接続した略長方形状の
出口縁18とを接続する曲面である。このような第2絞
り用ダイ4のダイ孔4aは、略長方形状断面を有する。
なお、入口縁13、中継口縁14、出口縁15、入口縁
17および出口縁18は、いずれも角ポンチ2の軸線上
にそれぞれ中心を持つ。
【0021】傾斜面11は、角ポンチ2の進行方向に対
して約40°傾斜している。傾斜面12は、角ポンチ2
の進行方向に対して約20°傾斜している。傾斜面16
は、角ポンチ2の進行方向に対して約20°傾斜してい
る。
【0022】なお、これらの各傾斜面11,12,16
の傾斜角は、絞り加工を行う金属素板の材質、板厚や、
成形する角筒状容器1のR,H等に応じて適宜変更する
ことが可能である。要するに、角ポンチ2の進行方向に
対して一番目の傾斜面11から順に徐々に傾斜角が小さ
くなるようにする。第1,第2しごき用ダイ5,6につ
いては、従来公知のしごき用ダイと同様につき、その詳
細な説明を省略する。
【0023】上記構成の製造装置を用いた角筒状容器の
製造方法について、図5を参照して説明する。図5は金
属素板から角筒状容器を製造する工程を、角ポンチの進
行状態とともに一図面内に示した説明図である。図5の
(A),(B),(C),(D)は、図5の上方から下
降する角ポンチ2の各工程における位置を表している。
【0024】まず、円形の金属板10を、第1絞り用ダ
イ3のダイ孔3aの傾斜面11に平板状態で配置し、図
5の上方から角ポンチ2を下降させる。角ポンチ2は、
図5の(A)の位置で金属板10に当接した後、金属板
10を図5の下方へと徐々に押し出していく(図5の
(B),(C),(D)を参照)。
【0025】このとき、金属板10には、第1絞り用ダ
イ3のダイ孔3aの傾斜面11と角ポンチ2の頭部との
位置関係によって最初に緩やかな曲げ変形が起こり、滑
らかに変形していく。続いて、金属板10には、第1絞
り用ダイ3のダイ孔3aの傾斜面11よりも傾斜角の小
さな傾斜面12と角ポンチ2の頭部との位置関係によっ
て最初よりもやや急な曲げ変形が起こる(図5の(B)
を参照)。
【0026】すなわち、金属板10は、まず一段目の第
1絞り用ダイ3に備えた二つの傾斜面11,12によっ
て段階的に絞り込まれることで、初期の平板状態から滑
らかに変形していく。金属板10は、傾斜面11,12
によって曲げ変形が行われる際、曲げ部の材料が延び、
周方向への材料流動が起こるが、初期の変形が滑らかに
行われることで、この材料流動は緩やかに、かつほぼ理
想的に起こる。
【0027】さらに、金属板10には、第2絞り用ダイ
4のダイ孔4aの傾斜面16と角ポンチ2の頭部との位
置関係によって、より急な曲げ変形が起こる。金属板1
0は、傾斜面16によって曲げ変形が行われる際、上記
と同様、曲げ部の材料が延び、周方向への材料流動が起
こる。このときの材料流動の量は、第1絞り用ダイ3の
ダイ孔3aを通過する際よりも大きい。しかし、材料流
動は、ダイ孔3aを通過する際に緩やかに、かつほぼ理
想的に起こっていることから、第2絞り用ダイ4のダイ
孔4aを通過する際もほぼ理想的に起こる(図5の
(C)を参照)。
【0028】したがって、ダイ孔4aの出口縁18を通
過した金属板10は、しわの発生がなく、容器高さHが
ほぼ均一で容器底面外周1aの短辺長Sの2倍以上ある
深い角筒状容器1へと成形されている。さらに、本実施
形態においては、この角筒状容器1に対し、第1,第2
のしごき用ダイ5,6によってしごき加工を加えて容器
側壁1bを薄肉化することで、容器高さHが短辺長Sの
4倍以上の角筒状容器1へと成形する(図5の(D)を
参照)。
【0029】こうして成形された角筒状容器1は、各工
程で周方向への材料流動がそれぞれ上手く制御されてい
ることから容器側壁1b部分の高さの不均一があまりな
い。また、角ポンチ2を一段目の第1絞り用ダイ3から
第2しごき用ダイ6まで一気に進行させて成形するた
め、絞りしわのない角筒状容器1を得ることができる。
【0030】また、本実施形態においては、第1絞り用
ダイ3のダイ孔3aを平板状態で円形の金属板10の形
状に合わせた円形状断面とし、金属板10の初期の変形
量を抑えているため、より理想的な材料流動が起こりや
すくなっている。また、最終段の絞り用ダイである第2
絞り用ダイ4のダイ孔4aを成形品である角筒状容器1
の形状に応じた長方形断面としているため、第1絞り用
ダイ3および第2絞り用ダイ4における絞り工程のみで
最終成形品に近い断面形状を実現できている。
【0031】なお、絞り用ダイとして、図6に示すよう
にダイ孔の内面に突起部を形成したものを用いることも
可能である。図6は第2絞り用ダイの別の実施形態を示
す図2のB−B矢視図である。図6に示す第2絞り用ダ
イ7の傾斜面は、円形状の入口縁19と、四隅を曲線に
より接続した略長方形状の出口縁20とを接続する曲面
である。但し、出口縁20の長辺側にはそれぞれ、ダイ
孔7aの内側に向かって突出した突起部7bが形成して
ある。
【0032】このように、ダイ孔7aの内面に突起部7
bを有する第2絞り用ダイ7を用いることにより、ダイ
孔7aを通過する金属板10を、この突起部7bによっ
てダイ孔7aの内側に押し出す。これにより、材料流動
がより最適な状態で生じるように積極的に座屈を生じさ
せ、より容器高さHに不均一の少ない角筒状容器1を成
形することが可能となる。
【0033】(実施の形態2)図7は本発明の別の実施
形態を示す角筒状容器の製造装置の縦断面図、図8は図
7の製造装置による角筒状容器の製造工程を示す図であ
る。図8の(A),(B),(C),(D),(E),
(F)は、上方から下降するポンチの各工程における位
置を表している。
【0034】図7に示す角筒状容器の製造装置は、ポン
チ8と、このポンチ8の軸線上に順次整列させた第1絞
り用ダイ9および第2絞り用ダイ4と、第1しごき用ダ
イ5とを備える。なお、第2絞り用ダイ4および第1し
ごき用ダイ5については、第1実施形態において説明し
たものと同様につき、詳細な説明を省略する。
【0035】第1絞り用ダイ9のダイ孔9aは、二つの
傾斜面21,22と、垂直面23とを有する。第1実施
形態と同様に、ポンチ8の進行方向に対して一番目の傾
斜面11は、円形状の入口縁24と、円形状の第1の中
継口縁25とを接続する曲面である。ポンチ8の進行方
向に対して二番目の傾斜面22は、円形状の第1の中継
口縁25と、楕円形状の第2の中継口縁26とを接続す
る曲面である。また、垂直面23は、第2の中継口縁2
6から若干径を拡大して出口縁27までポンチ8の進行
方向と平行に延ばした曲面である。
【0036】ポンチ8は、段階的に進行する第1ポンチ
頭部8aおよび第2ポンチ頭部8bを有する。第1ポン
チ頭部8aおよび第2ポンチ頭部8bは、それぞれ第1
絞り用ダイ9のダイ孔9aおよび第2絞り用ダイ4のダ
イ孔4aの断面形状に対応した断面形状を有する。図8
の例では、第1ポンチ頭部8aは、ダイ孔9aの第2中
継口縁26から通過する金属板10の厚さ分だけ径を縮
小した楕円形状断面である。第2ポンチ頭部8bは、ダ
イ孔4aの出口縁18から通過する金属板10の厚さ分
だけ径を縮小した略長方形状断面である。
【0037】また、第1ポンチ頭部8aは、第2ポンチ
頭部8bの外側に配置されている。第2ポンチ頭部8b
は、金属板10が第2の中継口縁26を通過するまでは
第1ポンチ頭部8aとともに進行し(図8の(A),
(B),(C)を参照)、通過後は第1ポンチ頭部8a
から独立して進行する(図8の(D),(E),(F)
を参照)。
【0038】上記構成の製造装置を用いた角筒状容器の
製造方法について、図8を参照して説明する。
【0039】まず、円形の金属板10を、第1絞り用ダ
イ9のダイ孔9aの傾斜面21に平板状態で配置し、図
8の上方からポンチ8を下降させる。ポンチ8の第1ポ
ンチ頭部8aは、図8の(A)の位置で金属板10に当
接した後、金属板10を図8の下方へと徐々に押し出し
ていく(図8の(A),(B),(C)を参照)。
【0040】このとき、第1ポンチ頭部8aは、絞り工
程後の角筒状容器1に対応した断面形状を有する第2ポ
ンチ頭部8bよりも外径が大きいため、金属板10に
は、第1絞り用ダイ9のダイ孔9aの傾斜面21とポン
チ8の第1ポンチ頭部8aとの位置関係によって第1実
施形態において示した状態よりもさらに緩やかな曲げ変
形が起こり、滑らかに変形していく。続いて、金属板1
0には、第1絞り用ダイ9のダイ孔9aの傾斜面21よ
りも傾斜角の小さな傾斜面22とポンチ8の第1ポンチ
頭部8aとの位置関係によって最初よりもやや急な曲げ
変形が起こる(図8の(B)を参照)。
【0041】そして、金属板10が第2の中継口縁26
を通過(図8の(C)を参照)した後、ポンチ8の第1
ポンチ頭部8aの下降を止め、第2ポンチ頭部8bを独
立して下降させる(図8の(D)を参照)。金属板10
は、第2絞り用ダイ4のダイ孔4aの傾斜面16に接触
した後、この傾斜面16の接触点とポンチ8の第2ポン
チ頭部8bとの位置関係によって、曲げ変形が行われ
る。その後、第1しごき用ダイ5によってしごき加工を
加えて角筒状容器1へと成形される(図8の(F)を参
照)。
【0042】このように、第2実施形態においては、金
属板10に当接させたポンチ8を第1絞り用ダイ9から
最終段の絞り用ダイである第2絞り用ダイ4まで順次進
行させる際、それぞれの絞り用ダイ9,4のダイ孔9
a,4aの形状とポンチ8の第1ポンチ頭部8a、第2
ポンチ頭部8bの形状との関係で金属板10を順次変形
させている。
【0043】すなわち、第2実施形態においては、これ
らの第1ポンチ頭部8a、第2ポンチ頭部8bの断面形
状をそれぞれの絞り用ダイ9,4のダイ孔9a,4aの
断面形状に対応した断面形状とすることで、このポンチ
8の第1ポンチ頭部8a、第2ポンチ頭部8bとダイ孔
9a,4aとの間でさらに理想的な材料流動を生じさせ
ている。したがって、第2実施形態における角筒状容器
の製造装置によれば、絞り工程のみで第1実施形態より
もさらに最終成形品に近い形状を実現することが可能で
ある。
【0044】
【実施例】本発明の第1実施形態における角筒状容器の
製造装置を用いて実験を行った。なお、本実施例におい
ては、第1、第2のしごき用ダイ5,6によるしごき加
工は行っていない。また、第2絞り用ダイ4のダイ孔4
aに、角ポンチ2の進行方向に対して二つの傾斜面16
a,16bを有するものを用いた。
【0045】金属板10として、初期板厚1.0mm、
直径38mmの純アルミニウム板(A1050P−H2
4)の焼鈍材を用いた。目標とした最終製品の角筒状容
器1の寸法は、S=8.4mm、L=18.4mm、H
>40mm、容器側壁1bの板厚t=0.4mmであ
る。また、潤滑剤として融点45〜46℃の固形パラフ
ィンを金属板10のダイ面側に薄く塗布した。加工速度
は、約20mm/secとした。
【0046】第1絞り用ダイ3は、角ポンチ2の進行方
向に対して一番目の傾斜面11の傾斜角を40°〜70
°の範囲で、二番目の傾斜面12の傾斜角を0°〜30
°の範囲で種々変えて深絞り実験を行い、最も高い絞り
比β=2.6が得られたものである。角度の変化をさら
に滑らかにすれば、絞り比がさらに上がる可能性はある
が、これでも従来の深絞り加工における限界絞り比(約
2.0)を大幅に上回っている。第2絞り用ダイ4の傾
斜面16bは、図2の傾斜面16と同じ傾斜角とした。
【0047】図9および図10の(a)〜(h)に、金
属板10から角筒状容器1が成形されるまでの過程をワ
イヤーフレームの4分の1カットモデルで示した。な
お、図9および図10には、角ポンチ2は図示していな
い。
【0048】(a)〜(e)から分かるように、金属板
10は、第1絞り用ダイ3の二つの傾斜面11,12に
よって段階的に絞り込まれることで、初期の平板状態か
ら滑らかに変形し、第1絞り用ダイ3のダイ孔3aを通
過した直後の状態でも側壁の高さがほぼ均一となってい
る。また、角ポンチ2を用いて成形しているため、
(e)の状態で側壁中央の断面は略楕円形状となってい
る。
【0049】さらに、この金属板10を(f),(g)
に示すように第2絞り用ダイ4で絞り込んでいくと、側
壁の長辺側の中央部が座屈して内側へ凹んでいる。しか
し、これをさらに絞り込んでいくと、この座屈した部分
の材料が上手く周方向へ流され、最終的に(h)に示す
ように側壁の高さがほぼ均一となった四角筒状容器1が
得られている。図6に示した突起部7bは、このように
自然に発生した座屈を積極的に生じさせることを目的と
して付加したものである。
【0050】なお、比較のために従来の絞り用ダイ、す
なわちポンチの進行方向に対して1の傾斜した面を有す
るダイ孔を備えた絞り用ダイのみを用いて同様の深い角
筒状容器を成形した場合、初期の変形が滑らかに行われ
ないため、材料流動が上手く行われなかった。その結
果、側壁の長辺側に比べて短辺側の材料が不足し、短辺
側の中央にV字状の溝が発生した。
【0051】
【発明の効果】本発明により、以下の効果を奏すること
ができる。
【0052】(1)一直線上に順次整列させた複数個の
絞り用ダイと、これらの複数個の絞り用ダイのダイ孔内
を順次進行するポンチとを備え、ポンチの進行方向に対
して一段目の絞り用ダイのダイ孔が、ポンチの進行方向
に対して2以上の傾斜した面を有することによって、複
数個の絞り用ダイのダイ孔内にポンチを一気に進行させ
て金属素板に理想的な材料流動を生じさせ、しわの発生
がなく、容器高さがほぼ均一で容器底面外周の短辺長の
2倍以上あるような深い角筒状容器を成形することがで
きる。
【0053】(2)一段目の絞り用ダイのダイ孔が、略
円形状断面を有し、最終段の絞り用ダイのダイ孔が、略
多角形状断面を有することによって、金属素板の初期の
変形量を抑えてより理想的な材料流動を生じさせ、略多
角形状断面を有する最終成形品に近い形状の角筒状容器
を絞り工程のみで得ることができる。
【0054】(3)ダイ孔の内面に突起部を有する絞り
用ダイを用いることによって、金属素板の周方向への材
料流動をより最適な状態で生じるように積極的に座屈を
生じさせ、より均一な容器高さを持つ角筒状容器を得る
ことができる。
【0055】(4)ポンチが、段階的に進行する複数の
ポンチ頭部を有し、各ポンチ頭部が、複数個の絞り用ダ
イのそれぞれのダイ孔の断面形状に対応した断面形状を
有することによって、複数個の絞り用ダイのダイ孔にお
ける材料流動をより理想的に生じさせ、絞り工程のみで
さらに最終成形品に近い形状の角筒状容器を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態において製造する角筒状
容器の斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態における角筒状容器の製
造装置の縦断面図である。
【図3】 図2の第1絞り用ダイのA−A矢視図であ
る。
【図4】 図2の第2絞り用ダイのB−B矢視図であ
る。
【図5】 金属素板から角筒状容器を製造する工程を示
す説明図である。
【図6】 第2絞り用ダイの別の実施形態を示す図であ
る。
【図7】 本発明の別の実施形態を示す角筒状容器の製
造装置の縦断面図である。
【図8】 図7の製造装置による角筒状容器の製造工程
を示す図である。
【図9】 金属板から角筒状容器が成形されるまでの過
程を示す図である。
【図10】 金属板から角筒状容器が成形されるまでの
過程を示す図である
【符号の説明】
1 角筒状容器 1a 容器底面外周 1b 容器側壁 2 角ポンチ 3,9 第1絞り用ダイ 4,7 第2絞り用ダイ 5 第1しごき用ダイ 6 第2しごき用ダイ 3a,4a,5a,6a,7a,9a ダイ孔 7b 突起部 8 ポンチ 8a 第1ポンチ頭部 8b 第2ポンチ頭部 11,12,16,16a,16b,21,22 傾斜
面 23 垂直面 13,17,19,24 入口縁 14,25,26 中継口縁 15,18,20,27 出口縁

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一直線上に順次整列させた複数個の絞り
    用ダイと、これらの複数個の絞り用ダイのダイ孔内を順
    次進行するポンチとを備え、 前記ポンチの進行方向に対して一段目の絞り用ダイのダ
    イ孔は、前記ポンチの進行方向に対して2以上の傾斜し
    た面を有する角筒状容器の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記一段目の絞り用ダイのダイ孔は、略
    円形状断面を有し、 最終段の絞り用ダイのダイ孔は、略多角形状断面を有す
    る請求項1記載の角筒状容器の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記ダイ孔の内面に突起部を有する請求
    項1または2に記載の角筒状容器の製造装置。
  4. 【請求項4】 前記ポンチは、段階的に進行する複数の
    ポンチ頭部を有し、 各ポンチ頭部は、前記複数個の絞り用ダイのそれぞれの
    ダイ孔の断面形状に対応した断面形状を有する請求項1
    から3のいずれかに記載の角筒状容器の製造装置。
  5. 【請求項5】 ポンチの進行方向に対して2以上の傾斜
    した面を有するダイ孔を備えた絞り用ダイを一段目とし
    て、複数個の絞り用ダイを一直線上に順次整列させ、 前記一段目の絞り用ダイのダイ孔に金属素板を配置し、 この金属素板に対して前記ポンチを当接させ、前記複数
    個のダイのダイ孔内を順次進行させる角筒状容器の製造
    方法。
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