JP2003321771A - スパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents

スパッタリングターゲットおよびその製造方法

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JP2003321771A
JP2003321771A JP2003050895A JP2003050895A JP2003321771A JP 2003321771 A JP2003321771 A JP 2003321771A JP 2003050895 A JP2003050895 A JP 2003050895A JP 2003050895 A JP2003050895 A JP 2003050895A JP 2003321771 A JP2003321771 A JP 2003321771A
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sintering
sputtering
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JP2003050895A
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Masanori Kogo
雅則 向後
Toshio Inao
俊雄 稲生
Masahito Uchida
雅人 内田
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Tosoh Corp
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Tosoh Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパッタリング中に、割れやクラック、異常
放電の発生がなく、高速でかつ安定なスパッタリングが
可能であり、記録再生特性に優れた相変化光記録媒体を
高い生産性で得ることができるスパッタリングターゲッ
トを提供する。 【解決手段】 酸化物から選ばれる1種類以上の物質と
炭化物から選ばれる1種類以上の物質から構成される焼
結体でスパッタリングターゲットを構成し、焼結体中の
炭化物含有量を0.1wt%以上20wt%以下、相対
密度を70%以上とする。特に、Taの酸化物とSiの
炭化物とを含む焼結体であって、該焼結体中のSiの炭
化物の含有量が0.1wt%以上20wt%以下であ
り、かつ、相対密度が70%以上である焼結体でスパッ
タリングターゲットを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は書き換えが可能な光
情報記録媒体のなかで、レーザービーム等によって記録
層に相変化を生じさせ、情報の記録、再生および消去を
行なう相変化光記録媒体の製造に用いられるスパッタリ
ングターゲット及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】相変化型光記録ディスクは書き換え可能
な光記録ディスクの一種であり、記録層の可逆的な相変
化(多くは結晶−アモルファス間)によって情報を記録
するものである。単一ヘッドにより単層記録膜で光変調
オーバーライトが可能であり、また、相変化に伴う反射
率の変化により信号を読み取るので、CD−ROM等の
既存の光記録ディスクとの互換性が高い等の特徴を有す
ることから、書き換え可能な光記録ディスクとして近年
盛んに研究開発がなされており、書き換え可能なDVD
に応用されている。
【0003】相変化型光記録ディスク等の相変化光記録
媒体は、一般に、記録層の結晶相(消去状態)上にレー
ザービームによってアモルファス相の記録マークを形成
することによって記録を行ない、結晶相とアモルファス
相との反射率の差を検出することによって再生信号を得
る。また、信号記録の際にレーザービームの強度をアモ
ルファス化の強度(ピークパワー)と結晶化の強度(バ
イアスパワー)との間で強度変調させることにより、単
一ビーム、単層記録膜の組み合わせで光変調オーバーラ
イト(ダイレクトオーバーライト:DOW)が可能であ
り、大容量かつ高転送レートの記録ディスクを得ること
ができる。
【0004】一方、相変化光記録媒体のさらなる大容量
化に伴い、さらに高速の転送レートでの記録再生が求め
られており、例えば、10m/sec以上といった高線
速でのオーバーライトが求められている。従来の相変化
光記録媒体では、このような高線速においては、消去率
が低下してしまうという問題があり、この問題を解決す
るために、記録層に接して形成される保護層に関して多
くの検討がなされており(例えば、非特許文献1〜5参
照)、また、記録層の保護や記録層の結晶化の促進等の
機能を複数の層で分担するために、記録層と保護層との
間に、記録層に接して薄い界面層を形成する等の提案が
なされている(例えば、非特許文献6〜10参照)。
【0005】なお、このような相変化光記録媒体の保護
層や界面層を構成する材料としては酸化物、窒化物、炭
化物等が用いられており、また、この保護層や界面層の
形成方法としては、それらを構成する材料からなる焼結
体をスパッタリングターゲットに用いたスパッタ法が多
く用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参
照)。
【0006】相変化光記録媒体の製造において、保護層
や界面層を形成する際、酸化物のみのターゲットでスパ
ッタリングして得られる薄膜では密着性が十分ではな
く、また、得られる相変化光記録媒体の記録感度特性が
悪いという問題があった(例えば、非特許文献5参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平05−144083号公報(第2
−3頁)
【特許文献2】特開2000−339750号公報(第
3−4頁)
【非特許文献1】「GeSbTe薄膜の結晶過程に及ぼす保護
膜の影響」、第4回相変化記録研究会シンポジウム講演
予稿集 p.12、1992年発行
【非特許文献2】「相変化型光ディスクの記録消去過程
と保護膜の関係」、信学技報(MR92−74)p.55、
1992年発行
【非特許文献3】「AlN第二保護層を用いた相変化光記
録媒体の記録/消去特性」、第40回応用物理学関係連
合講演会 講演予稿集 第3分冊 p.1013、1993年発行
【非特許文献4】「Phase Change Disc for High Data
Rate Recording」、Proceedingsof PCOS2000 p.65、200
0年発行
【非特許文献5】「Investigation of Protect Layer f
or High Transfer Rate Phase Change Optical Dis
k」、Proceedings of PCOS2001 p.37、2001年発行
【非特許文献6】「相変化光ディスクの記録膜界面層の
影響」、第43回応用物理学関係連合講演会 講演予稿
集 第3分冊 p.1083、1996年発行
【非特許文献7】「記録層の両側に窒化物層を有する相
変化光ディスク」、第45回応用物理学関係連合講演会
講演予稿集 第3分冊 p.1128、1998年発行
【非特許文献8】「酸化物界面層による相変化光ディス
クの保護層・記録層間相互拡散の防止」、第45回応用
物理学関係連合講演会 講演予稿集 第3分冊 p.1127、1
998年発行
【非特許文献9】「Large Capacity and High-Data-Rat
e Phase-Change Disk」、Jpn.J.Appl.Phys. Vol.39 p.7
56、2000年発行
【非特許文献10】「Effect of Interface Layer on t
he Recording Characteristics ofHigh Density Phase
Change Recording Media」、Proceedings of PCOS2002
p.20、2002年発行
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これらを解決するた
め、保護層や界面層を構成する材料として酸化物に添加
剤を加えた材料を用いることが有効であるが、酸化物に
添加剤を加えたスパッタリングターゲットではスパッタ
リング中に、割れやクラックが発生し易く、その結果、
製造スループットを上げられないという問題があった。
さらに、スパッタリング中の異常放電によるパーティク
ルの発生により、製品歩留りが低下する問題があった。
【0009】本発明はこのような事情に着目してなされ
たものであり、相変化光記録媒体の保護層や界面層の形
成に有用なスパッタリングターゲットであって、高速で
かつ安定なスパッタリングが可能となり、記録再生特性
に優れた相変化光記録媒体を得ることができる、生産性
の高いスパッタリングターゲットを提供するとともに、
そのようなスパッタリングターゲットを、簡便に製造歩
留り良く製造することが可能な製造方法を提供するもの
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するために鋭意検討した結果、酸化物と炭化物の
原料粉末を混合し、得られた混合粉末を特定の条件で焼
結させた高密度スパッタリングターゲットを使用するこ
とにより、スパッタリングを行っても割れやクラックの
発生がなく、高速でかつ安定なスパッタリングが可能で
あり、さらには記録再生特性の優れた相変化光記録媒体
が得られることを見出した。
【0011】本発明は上述の研究結果に基づいてなされ
たものである。すなわち、本発明のスパッタリングター
ゲットは、酸化物から選ばれる1種類以上の物質と、炭
化物から選ばれる1種類以上の物質とから構成される焼
結体からなることを特徴とするスパッタリングターゲッ
トであり、相変化光記録媒体の保護層形成用や界面層形
成用のスパッタリングターゲットとして好適に用いられ
るものである。なお、焼結体中の炭化物含有量は0.1
wt%以上20wt%以下であることが好ましく、ま
た、焼結体の相対密度は70%以上であることが好まし
い。
【0012】前記焼結体を構成する酸化物は、Ta、S
i、Al、Ti、Nb、Zr、Zn、In及びSnの酸
化物から選ばれる1種類以上の酸化物であることが好ま
しく、前記焼結体を構成する炭化物は、Si、Ta、T
i、Nb及びWの炭化物から選ばれる1種類以上の炭化
物であることが好ましい。なお、炭化物が2種類以上含
まれる場合には、含まれている炭化物の総量として、そ
の含有量が0.1wt%以上20wt%以下であること
が好ましい。
【0013】焼結体を構成する炭化物はSiの炭化物で
あることが特に好ましい。炭化物がSiの炭化物である
場合は、Si以外の他の元素の炭化物を実施的に含まな
いことがさらに好ましい。
【0014】また、本発明のスパッタリングターゲット
は、Taの酸化物とSiの炭化物を含む焼結体であっ
て、該焼結体中のSiの炭化物の含有量が0.1wt%
以上20wt%以下であり、かつ、相対密度が70%以
上である焼結体からなることを特徴とするスパッタリン
グターゲットである。この場合も、前記焼結体は、Si
以外の他の元素の炭化物を実質的に含まないことが好ま
しい。
【0015】なお、本発明において、Si以外の他の元
素の炭化物を実質的に含まないとは、X線回折プロファ
イルにおいて、Si以外の他の元素の炭化物に帰属され
る回折ピークが明瞭には認められないことを意味する。
より具体的には、例えば、焼結体のX線回折プロファイ
ルにおける最大の回折ピークの強度Imaxに対するS
i以外の他の元素の炭化物の回折ピークの強度Icの比
(Ic/Imax)が0.01未満であることを意味す
る。
【0016】また、本発明におけるTaの酸化物、Si
の炭化物としては、それぞれ、例えば、Ta25、Si
Cを用いることができる。
【0017】本発明のスパッタリングターゲットの製造
方法は、酸化物と炭化物の原料粉末を混合して得られた
混合粉末を焼結して焼結体を得る工程を有する、酸化物
から選ばれる1種類以上の物質と、炭化物から選ばれる
1種類以上の物質とから構成される焼結体からなるスパ
ッタリングターゲットの製造方法であって、前記混合粉
末として平均粒径が15μm以下の混合粉末を用いると
ともに、前記混合粉末中の炭化物粉末の含有量を0.1
wt%以上20wt%以下とし、焼結温度900℃以
上、焼結温度での保持時間30分以上、かつ、焼結終了
後の降温速度300℃/hr以下で焼結することを特徴
とするスパッタリングターゲットの製造方法である。
【0018】また、本発明のスパッタリングターゲット
の製造方法は、Taの酸化物とSiの炭化物とを含む混
合粉末を焼結して焼結体を得る工程を有する、Taの酸
化物とSiの炭化物とを含む焼結体からなるスパッタリ
ングターゲットの製造方法であって、前記混合粉末とし
て平均粒径が15μm以下の混合粉末を用いるととも
に、前記混合粉末中のSiの炭化物の含有量を0.1w
t%以上20wt%以下とし、焼結温度900℃以上、
焼結温度での保持時間30分以上、かつ、焼結終了後の
降温速度300℃/hr以下で焼結することを特徴とす
るスパッタリングターゲットの製造方法である。特に、
焼結温度は900℃以上1200℃以下とすることが好
ましく、これにより、TaC等のTaの炭化物を実質的
に含まない焼結体からなるスパッタリングターゲットを
得ることができる。また、ホットプレス法を用い、焼結
圧力100kg/cm2以上で焼結することが好まし
く、これにより、より高密度の焼結体を容易に得ること
ができる。
【0019】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】本発明のスパッタリングターゲットは、酸
化物から選ばれる1種類以上の物質と、炭化物から選ば
れる1種類以上の物質とから構成される焼結体からなる
ことを特徴とするものであり、前記焼結体中の炭化物含
有量が0.1wt%以上20wt%以下、相対密度が7
0%以上であることを特徴とするものである。
【0021】また、本発明のスパッタリングターゲット
は、Taの酸化物とSiの炭化物とを含む焼結体であっ
て、該焼結体中のSiの炭化物の含有量が0.1wt%
以上20wt%以下であり、かつ、相対密度が70%以
上であることを特徴とするスパッタリングターゲットで
ある。
【0022】焼結体中のSiC等の炭化物含有量が20
wt%を越えると、スパッタリングして得られる膜の透
明性が低下し、記録再生特性が低下するため実用的でな
く、また、0.1wt%未満では記録感度の向上に効果
がない。焼結体中の炭化物含有量は、0.1〜15wt
%であることがより好ましく、0.1〜10wt%であ
ることがさらに好ましい。また、焼結体の相対密度を7
0%以上とすることにより、スパッタリング時の割れや
クラックの発生、異常放電が激減する。焼結体の相対密
度は80%以上がより好ましく、90%以上であること
がさらに好ましい。
【0023】前記焼結体を構成する酸化物としては、例
えば、Ta、Si、Al、Ti、Nb、Zr、Zn、I
n及びSnの酸化物から選ばれる1種類以上の酸化物を
用いることができるが、得られるスパッタリングターゲ
ットを用いて作製される相変化光記録媒体の消去率特性
向上の観点から、Ta、Si、Al、Ti及びNbの酸
化物から選ばれる1種類以上の酸化物であることが好ま
しい。ただし、SiO 2は屈折率が低いため、SiO2
主成分とする焼結体からなるスパッタリングターゲット
を用いて作製される相変化光記録媒体では、信号強度が
相対的に低下する場合がある。また、前記焼結体を構成
する炭化物としては、得られるスパッタリングターゲッ
トを用いて作製される相変化光記録媒体の記録感度特性
向上の観点から、Si、Ta、Ti、Nb及びWの炭化
物から選ばれる1種類以上の炭化物であることが好まし
い。
【0024】特に、記録感度特性向上の観点からはSi
の炭化物が最も効果的である。そのため、炭化物がSi
の炭化物である場合は、Si以外の他の元素の炭化物は
実施的に含まれていないことがより好ましい。
【0025】相変化光記録媒体の消去率特性及び記録感
度特性をともに向上させる観点から、Taの酸化物とS
iの炭化物とを含む焼結体からなるスパッタリングター
ゲットを用いることが特に好ましい。この場合もSi以
外の他の元素の炭化物は実施的に含まれていないことが
好ましい。副生成物として生じたTaCを含む焼結体か
らなるスパッタリングターゲットを用いた場合は、Ta
C副生成物を含まない焼結体からなるスパッタリングタ
ーゲットを用いた場合に比べて、得られる相変化光記録
媒体の消去率特性が低下する。一方、焼結体を構成する
酸化物に関しては、Taの酸化物のみであっても良い
が、Taの酸化物に加えて、例えば、Inの酸化物やZ
rの酸化物を含むものであっても良く、それにより、記
録感度特性をさらに向上させることができる。なお、T
aの酸化物、Inの酸化物、Zrの酸化物、Siの炭化
物としては、それぞれ、例えば、Ta25、In23
ZrO2、SiCを用いることができる。
【0026】上述のように、本発明のスパッタリングタ
ーゲットは、相変化光記録媒体の保護層の形成や界面層
の形成のためのスパッタリングターゲットとして好適に
用いられるものである。
【0027】以下に、本発明のスパッタリングターゲッ
トを用いて作製することが好ましい相変化光記録媒体に
ついて説明する。このような相変化光記録媒体は、基板
上に保護層、記録層を含む多層膜を形成し、この記録層
の結晶相とアモルファス相との間の可逆的な相変化を利
用して、情報の記録・消去を行なう相変化光記録媒体で
あり、少なくとも、結晶相とアモルファス相との間で可
逆的に相変化する記録層と、基板を記録再生時に発生す
る熱から保護したり、記録層を物理的・化学的に保護
し、光記録信号を増強する等のための誘電体からなる保
護層とが基板上に形成されている。この保護層は、記録
層の両側に形成されていることが多いが、基板と記録層
との間のみ、あるいは記録層の基板とは反対側にのみ形
成されていても良い。この保護層は記録層に接して直接
積層されていても良いが、記録層への原子拡散の防止や
記録層の結晶化の促進等の機能を担うために、記録層と
保護層との間に、記録層に接して薄い界面層が形成され
ていても良い。この場合、保護層は界面層の上に直接積
層されていても良いし、他の何らかの層を介して積層さ
れていても良い。この界面層は、記録層の両側の面に形
成されていても良いが、基板側又は基板と反対側のいず
れか一方の面のみに形成されていても良い。また、記録
層のいずれか一方の面に本発明のスパッタリングターゲ
ットを用いて形成される界面層を形成し、他方の面には
他の材料からなる界面層を形成しても良い。なお、上記
のように、界面層とは、記録層の両側又は基板側若しく
は基板とは反対側の面に、記録層に接して形成されるも
のであって、記録層への原子拡散の防止、記録層の結晶
化の促進等の機能を果たすものであり、その厚さは、
0.1〜20nmであり、より好ましくは0.2〜10
nm、さらに好ましくは0.2〜2.5nmである。
【0028】このような相変化光記録媒体に用いられる
基板としては使用するレーザーの波長領域において十分
透明であり、機械特性などの媒体基板としての特性を満
たすものであれば特に限定されず、ガラス、ポリカーボ
ネート、アモルファスポリオレフィン等を用いることが
できる。なお、記録再生用のレーザー光を基板を通さず
に、記録層側から照射する場合は、基板が透明である必
要はなく、機械特性などの媒体基板としての特性を満た
すものであれば良い。
【0029】保護層は使用するレーザー波長領域で透明
な膜で形成され、本発明のスパッタリングターゲットを
用いて形成される膜の他にも、SiN、AlN、SiA
lON、ZnS−SiO2などの膜を用いることができ
る。また、記録層はGeSbTe系薄膜、InSbTe
系薄膜等の可逆的相変化を有する膜から構成される。さ
らに、相変化光記録媒体では、一般に、照射されたレー
ザー光を反射して信号検出系に戻すための反射層が形成
されているが、この反射層はAl合金やAg合金等の、
使用するレーザーの波長域において反射率の高い膜から
構成される。
【0030】なお、上記保護層は記録層を保護する役割
のほかに記録層への光吸収効率を高めたり、また、記録
前後の反射光の変化量を大きくする役割も有するためこ
れらの厚さは使用するレーザー波長や、記録層の膜厚な
どを考慮して最適になるように設計する。さらに、これ
らの層を形成した後、その上に、必要に応じて合成樹脂
等からなる保護コート層を形成しても良い。
【0031】本発明のスパッタリングターゲットのより
詳細な製造方法の一例を以下に示す。酸化物と炭化物の
原料粉末を所定の組成となるように配合し、例えば、ボ
ールミルなどで乾式または湿式にて均一に混合して混合
粉末を得る。この際、得られた混合粉末中の炭化物粉末
含有量を0.1〜20wt%とするが、より好ましくは
0.1〜15wt%、さらに好ましくは0.1〜10w
t%である。炭化物粉末の含有量が20wt%を越える
と、得られたスパッタリングターゲットにて、スパッタ
リングして得られる膜の透明性が低下し、記録再生特性
が低下するため実用的でなく、0.1wt%以下では記
録感度向上に効果がない。
【0032】本発明のスパッタリングターゲットに用い
られる焼結体を作製するための原料粉末として用いられ
る酸化物粉末及び炭化物粉末としては特には限定され
ず、市販の粉末を使用することができるが、より均一で
高密度の焼結体を得るためには、得られた混合粉末の平
均粒径が15μm以下であることが好ましく、より好ま
しくは平均粒径10μm以下、さらに好ましくは平均粒
径が5μm以下である。
【0033】得られた混合粉末をプレス機等で仮成形
し、常圧焼成炉にて焼成を行う。さらに焼結密度を高く
するためには、得られた混合粉末を黒鉛型等に充填し、
ホットプレス機を用いて加圧焼結するのが好ましい。ま
た、HIPにより焼結体を形成しても良い。焼結の際、
降温速度が300℃/hrより大きいと、焼結体に割れ
やクラック等の欠陥が生じるため、降温速度は300℃
/hr以下とする。降温速度は、より好ましくは200
℃/hr以下、さらに好ましくは100℃/hr以下で
ある。
【0034】焼結温度は900℃以上であり、より好ま
しくは1000℃以上、さらに好ましくは1100℃以
上である。900℃未満では相対密度70%以上の高焼
結密度の焼結体を得ることが難しく、ホットプレス法を
用いる場合でも、非常に高い圧力を必要とし、装置の能
力から考えると実用的でない。
【0035】なお、Taの酸化物とSiの炭化物とを含
む焼結体を製造する場合には、焼結体中にTaCが生成
しないようにするために、焼結温度を900℃以上12
00℃以下とすることが好ましい。
【0036】ホットプレス法を用いる場合の焼結圧力は
焼結密度を上げるためには100kg/cm2以上が好
ましく、より好ましくは150kg/cm2以上、さら
に好ましくは200kg/cm2以上である。
【0037】焼結温度での保持時間は30分以上が好ま
しく、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2
時間以上である。
【0038】上記のようにして得られた焼結体は、乾式
または湿式の機械加工により所定の形状に加工され、必
要に応じて、スパッタリング中の熱を効率的に放冷する
ためのバッキングプレートにボンディングされて、本発
明のスパッタリングターゲットが作製される。
【0039】スパッタリングターゲットの形状として
は、使用するスパッタリング装置によって適宜選択する
ことができ、例えば、直径3〜8インチ程度の円形、ま
たは(4〜6インチ)×(5〜20インチ)程度の方形
などが一般的である。また、スパッタリングターゲット
の厚さとしては、通常3〜20mm程度である。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】(実施例1)原料紛末として、Ta25
末、SiC粉末を使用した。SiC粉末を、全量に対し
て、SiC粉末含有量が2.5wt%となるようにTa
25粉末に添加し、これをジルコニアボールとともに樹
脂製のポットに投入して、ボールミルにて12時間混合
した。得られた平均粒径1μmの混合粉末をホットプレ
ス黒鉛型に充填し、純アルゴン気流中で、焼結温度11
00℃、焼結圧力200kg/cm 2の条件にてホット
プレス焼結を行い、焼結体を作製した。なお、昇温速度
200℃/hr、降温速度100℃/hr、保持時間は
2時間とした。ホットプレスの温度パターン及び加圧パ
ターンを図1に示す。得られた焼結体を機械加工によ
り、円板状(直径101.6mm、厚さ6mm)に加工
した。銅製のバッキングプレートにボンディングしてス
パッタリングターゲットを作製した。
【0042】保護層の形成に上記のスパッタリングター
ゲットを用いて、図2(a)に示すような構造の相変化
光記録媒体を製造した。0.7μmの幅の溝を1.4μ
mピッチで形成したポリカーボネート製のディスク状の
基板311上に上記のスパッタリングターゲットを用い
て、第一保護層312(膜厚:100nm)を酸素ガス
を体積比で5%添加したアルゴンガス雰囲気(0.45
Pa)でRFスパッタリングすることにより成膜した。
この後、Ge2Sb2Te5合金ターゲットを用いて記録
層313(膜厚:20nm)をアルゴンガス0.45P
aの圧力でDCスパッタリングにより成膜した。さら
に、上記のスパッタリングターゲットを用いて、第二保
護層314(膜厚:20nm)を酸素ガスを体積比で5
%添加したアルゴンガス雰囲気(0.45Pa)でRF
スパッタリングすることにより成膜した。この後、Al
−3wt%Cr合金ターゲットを用いて、反射層315
(膜厚:100nm)を形成した。この上に、保護コー
ト層316として紫外線硬化樹脂を10μmの厚みに形
成して相変化光記録媒体を作製した(以下、この構造の
相変化光記録媒体を「相変化光記録媒体I」又は「媒体
I」と称す)。
【0043】また、界面層の形成に上記のスパッタリン
グターゲットを用いて、図2(b)に示すような構造の
相変化光記録媒体を製造した。0.7μmの幅の溝を
1.4μmピッチで形成したポリカーボネート製のディ
スク状の基板321上に、第一保護層322をZnS−
20mol%SiO2からなるスパッタリングターゲッ
トをRFスパッタ(アルゴンガス雰囲気:0.45P
a)して100nmの厚さに形成した。この上に上記の
スパッタリングターゲットを用いて第一界面層323
(膜厚:2nm)を酸素ガスを体積比で5%添加したア
ルゴンガス雰囲気(0.45Pa)でRFスパッタリン
グすることにより成膜した。この後、Ge2Sb2Te5
合金ターゲットを用いて記録層324(膜厚:20n
m)をアルゴンガス0.45Paの圧力でDCスパッタ
リングにより成膜した。さらに、上記のスパッタリング
ターゲットを用いて、第二界面層325(膜厚:2n
m)を酸素ガスを体積比で5%添加したアルゴンガス雰
囲気(0.45Pa)でRFスパッタリングすることに
より成膜した。さらに、この上に第二保護層326を、
ZnS−20mol%SiO2からなるスパッタリング
ターゲットをRFスパッタ(アルゴンガス雰囲気:0.
45Pa)して20nmの厚さに形成した。この後、A
l−3wt%Cr合金ターゲットを用いて、反射層32
7(膜厚:100nm)を形成した。この上に、保護コ
ート層328として紫外線硬化樹脂を10μmの厚みに
形成して相変化光記録媒体を作製した(以下、この構造
の相変化光記録媒体を「相変化光記録媒体II」又は
「媒体II」と称す)。
【0044】(実施例2)Ta25の代わりに、Al、
Zr、Si、Ti、Nb、Zn、In又はSnの酸化物
のいずれかを使用したこと以外は実施例1と同様の方法
でスパッタリングターゲットを作製した(実施例2−1
〜8)。また、得られたスパッタリングターゲットを用
いて、実施例1と同様にして、相変化光記録媒体I及び
相変化光記録媒体IIを作製した。
【0045】(実施例3)SiCの代わりに、Ta、T
i、Nb、W、Zr、Hf、Al又はMnの炭化物のい
ずれかを使用したこと以外は実施例1と同様の方法でス
パッタリングターゲットを作製した(実施例3−1〜
8)。また、得られたスパッタリングターゲットを用い
て、実施例1と同様にして、相変化光記録媒体I及び相
変化光記録媒体IIを作製した。
【0046】(実施例4)混合粉末中のSiC粉末の含
有量を0.1wt%から20wt%の間で変化させたこ
と以外は実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲ
ットを作製した(実施例4−1〜6)。また、得られた
スパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同様に
して、相変化光記録媒体I及び相変化光記録媒体IIを
作製した。
【0047】(実施例5)混合粉末の平均粒径を変化さ
せたこと以外は実施例1と同様の方法でスパッタリング
ターゲットを作製した(実施例5−1〜3)。
【0048】(実施例6)降温速度を200℃/hr又
は300℃/hrにしたこと以外は実施例1と同様の方
法でスパッタリングターゲットを作製した(実施例6−
1、2)。
【0049】(実施例7)焼結温度を900℃、120
0℃又は1300℃にしたこと以外は実施例1と同様の
方法でスパッタリングターゲットを作製した(実施例7
−1〜3)。また、得られたスパッタリングターゲット
を用いて、実施例1と同様にして、相変化光記録媒体I
及び相変化光記録媒体IIを作製した。
【0050】(実施例8)焼結温度が900℃、110
0℃、1200℃又は1300℃の常圧焼結法で焼結を
行ったこと以外は実施例1と同様の方法でスパッタリン
グターゲットを作製した(実施例8−1〜4)。また、
得られたスパッタリングターゲットを用いて、実施例1
と同様にして、相変化光記録媒体I及び相変化光記録媒
体IIを作製した。
【0051】(実施例9)焼結圧力を100kg/cm
2又は150kg/cm2にしたこと以外は実施例1と同
様の方法でスパッタリングターゲットを作製した(実施
例9−1、2)。
【0052】(実施例10)焼結温度での保持時間を3
0分又は1時間にしたこと以外は実施例1と同様の方法
でスパッタリングターゲットを作製した(実施例10−
1、2)。
【0053】(実施例11)原料紛末として、Ta25
粉末、SiC粉末及びIn23粉末を使用し、全量に対
して、SiC粉末含有量が2.5wt%、In23粉末
含有量が2.5wt%となるようにTa25粉末に添加
し、これをジルコニアボールとともに樹脂製のポットに
投入して、ボールミルにて12時間混合した。得られた
平均粒径1μmの混合粉末を用いて、実施例1と同様に
してスパッタリングターゲットを作製した。また、得ら
れたスパッタリングターゲットを用いて、実施例1と同
様にして、相変化光記録媒体I及び相変化光記録媒体I
Iを作製した。
【0054】(実施例12)In23粉末の代わりに、
ZrO2粉末(2.5wt%)を使用したこと以外は実
施例11と同様の方法でスパッタリングターゲットを作
製した。また、得られたスパッタリングターゲットを用
いて、実施例1と同様にして、相変化光記録媒体I及び
相変化光記録媒体IIを作製した。
【0055】(比較例1)SiC粉末の代わりに、Ce
N粉末又はZrN粉末を使用したこと以外は実施例1と
同様の方法でスパッタリングターゲットを作製した(比
較例1−1、2)。また、得られたスパッタリングター
ゲットを用いて、実施例1と同様にして、相変化光記録
媒体I及び相変化光記録媒体IIを作製した。
【0056】(比較例2)混合粉末中のSiC粉末の含
有量を0wt%又は25wt%としたこと以外は実施例
1と同様の方法でスパッタリングターゲットを作製した
(比較例2−1、2)。また、得られたスパッタリング
ターゲットを用いて、実施例1と同様にして、相変化光
記録媒体I及び相変化光記録媒体IIを作製した。
【0057】(比較例3)平均粒径が20μm又は18
μmの混合粉末を使用したこと以外は実施例1と同様の
方法でスパッタリングターゲットを作製した(比較例3
−1、2)。
【0058】(比較例4)降温速度を400℃/hrに
したこと以外は実施例1と同様の方法でスパッタリング
ターゲットを作製した。
【0059】(比較例5)焼結温度を800℃にしたこ
と以外は実施例1と同様の方法でスパッタリングターゲ
ットを作製した。
【0060】(比較例6)焼結温度での保持時間を15
分にしたこと以外は実施例1と同様の方法でスパッタリ
ングターゲットを作製した。
【0061】上記実施例1〜12及び比較例1〜6にお
いて、焼結体作製時における割れやクラック発生の観察
を行うとともに、得られた焼結体について密度測定及び
X線回折測定を行い、さらに、得られたスパッタリング
ターゲットの成膜評価を実施した。
【0062】焼結体の密度は一般的なアルキメデス法に
より測定して相対密度を算出した。この際、焼結体の理
論密度としては、焼結前の混合粉末中の酸化物と炭化物
の密度の、混合粉末の組成を重みとした加重平均として
得られる値を用いて相対密度を算出した。なお、焼結体
の理論密度は、焼結体のX線回折測定により同定される
結晶相により、その焼結体が構成されているものと仮定
して算出しても良い。また、X線回折測定により同定さ
れた結晶相の焼結体中の存在量には、例えばEPMAに
より測定される焼結体中の各原子の存在比から算出され
る値を仮定して、焼結体の理論密度を算出しても良い。
【0063】X線回折測定は、得られた焼結体の一部を
採取して、X線ディフラクトメーターにより、以下の条
件により測定した。X線:Cukα線、パワー:50k
V−200mA、2θスキャン速度:4°/min、2
θスキャン範囲:10〜100°、スリット系(DS−
SS−RS):0.5°−0.5°−0.15mm。
【0064】スパッタリング放電試験は、RFマグネト
ロンスパッタリング装置により、アルゴンガス圧力0.
4Pa、投入パワー300Wの条件で行い、スパッタリ
ングターゲットに割れやクラック、異常放電が生じたか
否かを調べた。
【0065】実施例1〜4、6、7、11、12及び比
較例1、2で作製した相変化光記録媒体I及び相変化光
記録媒体IIを初期化装置にて、記録層の初期結晶化を
行なった。
【0066】次に、記録層を結晶化させた領域のトラッ
ク上に、線速度6m/secで0.6μmの長さのアモ
ルファスマークを記録した(記録ピッチ:1.2μm、
λ:685nm、NA=0.55)。この記録の際、図
3に示すようなオフパルスを付加したレーザー変調パタ
ーンを使用し、オフパルスパワー(Poff)およびリ
ードパワー(Pr)を1mW、また、ピークパワーの幅
を50ns、オフパルスの幅は33nsとした。バイア
スパワー(Pb)を5mWとしてピークパワー(Pp)
を変化させアモルファスマークを記録し、CNRが最大
となるPpを最適Pp(Pp0)とした。次に、Pb=
5mW、Pp=Pp0としてアモルファスマークを記録
し、種々のパワーのレーザービームを照射してアモルフ
ァスマークを消去した。この時、消去前後でのキャリア
レベルの差を消去率として測定し、消去率が最大となる
レーザーパワーを最適Pb(Pb0)とした。次に、P
pを(Pp0−1)mW、Pbを(Pb0−1)mWとし
てアモルファスマーク(マーク長:0.6μm)を記録
し、(Pb0−1)mWのレーザーで消去する。この記
録−消去を1トラック当たり20回行なった(以下、こ
の工程を初期化処理と称す)。
【0067】初期化処理したトラックに対して、Pb=
Pb0mWとして、線速度6m/secでアモルファス
マーク(マーク長:0.6μm)を記録し、CNRの記
録パワー(Pp)依存性(以下パワーカーブと称す)を
測定した。また、初期化処理したトラックに対して、線
速度6m/secで0.6μmの長さのアモルファスマ
ークをPr=1mW、Poff=1mW、Pp=P
0、Pb=Pb0のレーザーパワーで記録し(記録ピッ
チ:1.2μm)、この記録マークを12m/secの
線速度、種々の消去パワーで消去し、消去前後でのキャ
リアレベルの差を測定し、その最大値を消去率として定
義した。
【0068】実施例1で得られたスパッタリングターゲ
ットを用いて作製された相変化光記録媒体IのCNRの
パワーカーブを図4に示す。パワーカーブがCNR=3
0dBと交わる交点を各々の相変化光記録媒体の記録感
度(Pth)として定義した。
【0069】実施例1及び実施例2(実施例2−1〜
8)のスパッタリングターゲットに対する評価結果を表
1に示す。表1から明らかなように、実施例1及び実施
例2のいずれのスパッタリングターゲットにおいても7
0%以上の相対密度が得られており、焼結時、スパッタ
リング時ともに割れやクラックの発生がなかった。ま
た、スパッタリング時の異常放電の発生もなく、パーテ
ィクルの発生も見られなかった。消去率では、Ta
25、SiO2、Al23、TiO2、Nb25が特に良
好であった。
【0070】
【表1】 実施例1、実施例3(実施例3−1〜8)、比較例1
(比較例1−1、2)及び比較例2(比較例2−1)の
スパッタリングターゲットに対する評価結果を表2に示
す。表2から明らかなように、これらのいずれのスパッ
タリングターゲットにおいても70%以上の相対密度が
得られているが、添加物に炭化物を用いた実施例1及び
実施例3(実施例3−1〜8)のスパッタリングターゲ
ットでは、焼結時、スパッタリング時ともに割れやクラ
ックの発生はなく、また、スパッタリング時の異常放電
の発生もなく、パーティクルの発生も見られなかった。
【0071】特に、SiC、TaC、TiC、Nb
2C、WCでは消去率が減少せずに高感度化が可能であ
り良好な結果であった。これに対して、窒化物を添加し
た比較例1(比較例1−1、2)のスパッタリングター
ゲットではスパッタ時に割れや異常放電が発生し、記録
感度も低く、また、何も添加していない比較例2(比較
例2−1)のスパッタリングターゲットでは記録感度が
低かった。
【0072】
【表2】 実施例1、実施例4(実施例4−1〜6)及び比較例2
(比較例2−1、2)のスパッタリングターゲットに対
する評価結果を表3に示す。炭化物粉末含有量が20w
t%以下では消去率が低下せず、記録感度Pthの観点
から、炭化物粉末含有量が0.1〜20wt%のものが
良好であり、特に1〜10wt%ものが良好であること
が分かる。なお、これらのスパッタリングターゲットで
は、焼結時及びスパッタリング時に割れやクラックの発
生がなかった。また、スパッタリング時の異常放電の発
生もなく、パーティクルの発生も見られなかった。
【0073】
【表3】 実施例1、実施例5(実施例5−1〜3)及び比較例3
(比較例3−1、2)のスパッタリングターゲットに対
する評価結果を表4に示す。混合粉末の平均粒径が15
μm以下では、十分な焼結密度が得られ、焼結時及びス
パッタリング時に割れやクラックの発生がなかった。ま
た、スパッタリング時の異常放電の発生もなく、パーテ
ィクルの発生も見られなかった。
【0074】
【表4】 実施例1、実施例6(実施例6−1、2)及び比較例4
のスパッタリングターゲットに対する評価結果を表5に
示す。焼結終了後の降温速度が300℃/hr以下では
焼結時及び、スパッタリング時に割れやクラックの発生
がなかった。また、スパッタリング時の異常放電の発生
もなく、パーティクルの発生も見られなかった。
【0075】
【表5】 実施例1、実施例7(実施例7−1〜3)、実施例8
(実施例8−1〜4)及び比較例5のスパッタリングタ
ーゲットに対する評価結果を表6に示す。焼結温度90
0℃以上では、十分な焼結密度が得られ、特にホットプ
レス法により高い相対密度が得られた。焼結温度を90
0℃以上としたものでは、焼結時及びスパッタリング時
に割れやクラックの発生はなかった。また、スパッタリ
ング時の異常放電の発生もなく、パーティクルの発生も
見られなかった。
【0076】なお、ホットプレス法においても、常圧焼
結法においても、焼結温度1300℃で得られたスパッ
タリングターゲット(実施例7−2、実施例8−3)で
は、X線回折測定の結果、TaCの生成が認められた。
このTaCの生成が認められたスパッタリングターゲッ
トを用いて作製された相変化光記録媒体では、相変化光
記録媒体I及び相変化光記録媒体IIのいずれにおいて
も、相対的に消去率が低下していることが認められた。
【0077】
【表6】 実施例1及び実施例9(実施例9−1、2)のスパッタ
リングターゲットに対する評価結果を表7に示す。焼結
時の圧力が100kg/cm2以上で、十分な焼結密度
が得られ、焼結時及びスパッタリング時に割れやクラッ
クの発生はなかった。また、スパッタリング時の異常放
電の発生もなく、パーティクルの発生も見られなかっ
た。
【0078】
【表7】 実施例1、実施例10(実施例10−1、2)及び比較
例6のスパッタリングターゲットに対する評価結果を表
8に示す。焼結時の保持時間が0.5hr以上では、十
分な焼結密度が得られ、焼結時及びスパッタリング時に
割れやクラックの発生はなかった。また、スパッタリン
グ時の異常放電の発生もなく、パーティクルの発生も見
られなかった。
【0079】
【表8】 実施例1、実施例11及び実施例12のスパッタリング
ターゲットに対する評価結果を表9に示す。これらのス
パッタリングターゲットでは、いずれも十分な焼結密度
が得られ、焼結時及びスパッタリング時に割れやクラッ
クの発生はなく、また、スパッタリング時の異常放電の
発生もなく、パーティクルの発生も見られなかった。
【0080】焼結体を構成する酸化物として、Taの酸
化物に加えてInの酸化物又はZrの酸化物を含む焼結
体からなるスパッタリングターゲットを用いて得られた
相変化光記録媒体では、相変化光記録媒体I及び相変化
光記録媒体IIのいずれにおいても、焼結体を構成する
酸化物としてTaの酸化物のみを含む焼結体からなるス
パッタリングターゲットを用いて得られた相変化光記録
媒体に比べて、記録感度特性がさらに向上していること
が認められた。
【0081】
【表9】 上記のように、基板上に、保護層、記録層を含む多層
膜、又は、保護層、界面層、記録層を含む多層膜を形成
し、この記録層の結晶相とアモルファス相との間の可逆
的な相変化を利用して、情報の記録・消去を行なう相変
化光記録媒体において、酸化物から選ばれる1種類以上
の物質と、炭化物から選ばれる1種類以上の物質とから
構成され、該炭化物の含有量が総量で0.1wt%以上
20wt%以下である材料により、保護層又は界面層を
形成することにより、線速12m/sec以上でのオー
バーライトが可能な相変化光記録媒体を得ることができ
る。なお、酸化物としては、Ta、Si、Al、Ti、
Nb、Zr、Zn、In及びSnの酸化物から選ばれる
1種類以上の酸化物であることが好ましく、また、炭化
物としては、Si、Ta、Ti、Nb及びWの炭化物か
ら選ばれる1種類以上の炭化物であることが好ましい。
特に、Ta25等のTaの酸化物とSiC等のSiの炭
化物とを含み、かつ、Siの炭化物の含有量が0.1w
t%以上20wt%以下である材料により保護層又は界
面層を形成することにより、消去率特性及び記録感度特
性のさらに優れた相変化光記録媒体を得ることができ
る。
【0082】また、Ta25等のTaの酸化物に加え
て、In23等のInの酸化物又はZrO2等のZrの
酸化物を含み、かつ、0.1wt%以上20wt%以下
のSiC等のSiの炭化物を含む材料により保護層又は
界面層を形成することにより、記録感度特性がさらに優
れた相変化光記録媒体を得ることができる。
【0083】なお、記録層の保護、記録層の結晶化の促
進、記録層への原子拡散の防止等のために形成する層
を、単層の保護層としてではなく、界面層+保護層とし
て形成して、それらの機能を分担させることにより、相
変化光記録媒体の設計の自由度を増大させることがで
き、記録再生特性、耐久性、信頼性等においてさらに優
れた相変化光記録媒体を得ることができる。このような
界面層の厚さは、0.1〜20nmであることが好まし
く、より好ましくは0.2〜10nm、さらに好ましく
は0.2〜2.5nmである。
【0084】
【発明の効果】本発明のスパッタリングターゲットは、
スパッタリングを行っても割れやクラック、異常放電が
発生することがなく、高速かつ安定に成膜することがで
きるものである。したがって、本発明のスパッタリング
ターゲットを使用することで、記録再生特性の優れた相
変化光記録媒体を高い生産性で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で用いた焼結の際の温度パタ
ーンと加圧パターンを示す図である。
【図2】実施例及び比較例で作製した相変化光記録媒体
I及び相変化記録媒体IIの構造を示す断面図である。
(a)相変化記録媒体I、(2)相変化記録媒体II
【図3】実施例及び比較例で作製した相変化光記録媒体
の評価に用いたレーザー変調パターンを示す図である。
【図4】実施例1で作製した相変化光記録媒体IのCN
Rのパワーカーブを示す図である。
【符号の説明】
311、321:基板 312、322:第一保護層 323:第一界面層 313、324:記録層 325:第二界面層 314、326:第二保護層 315、327:反射層 316、328:保護コート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA16 AA17 AA20 AA21 AA32 AA34 AA36 AA37 AA39 AA44 AA45 AA47 BA14 CA09 GA04 GA11 GA29 GA30 4K029 AA11 AA24 BA21 BA43 BA55 BB02 CA05 DC05 DC09 DC35 5D121 AA04 EE03 EE09 EE11 EE13

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物から選ばれる1種類以上の物質
    と、炭化物から選ばれる1種類以上の物質とから構成さ
    れ、該炭化物の含有量が0.1wt%以上20wt%以
    下であり、かつ、相対密度が70%以上である焼結体か
    らなることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 【請求項2】 焼結体を構成する酸化物がTa、Si、
    Al、Ti、Nb、Zr、Zn、In及びSnの酸化物
    から選ばれる1種類以上の酸化物であることを特徴とす
    る請求項1記載のスパッタリングターゲット。
  3. 【請求項3】 焼結体を構成する炭化物がSi、Ta、
    Ti、Nb及びWの炭化物から選ばれる1種類以上の炭
    化物であることを特徴とする請求項1又は2記載のスパ
    ッタリングターゲット。
  4. 【請求項4】 焼結体を構成する炭化物がSiの炭化物
    であることを特徴とする請求項1又は2記載のスパッタ
    リングターゲット。
  5. 【請求項5】 焼結体が、Si以外の他の元素の炭化物
    を実質的に含まないことを特徴とする請求項4記載のス
    パッタリングターゲット。
  6. 【請求項6】 Taの酸化物とSiの炭化物とを含む焼
    結体であって、該焼結体中のSiの炭化物の含有量が
    0.1wt%以上20wt%以下であり、かつ、相対密
    度が70%以上である焼結体からなることを特徴とする
    スパッタリングターゲット。
  7. 【請求項7】 焼結体がSi以外の他の元素の炭化物を
    実質的に含まないことを特徴とする請求項6記載のスパ
    ッタリングターゲット。
  8. 【請求項8】 酸化物と炭化物の原料粉末を混合して得
    られた混合粉末を焼結して焼結体を得る工程を有する、
    酸化物から選ばれる1種類以上の物質と、炭化物から選
    ばれる1種類以上の物質とから構成される焼結体からな
    るスパッタリングターゲットの製造方法であって、前記
    混合粉末として平均粒径が15μm以下の混合粉末を用
    いるとともに、前記混合粉末中の炭化物粉末の含有量を
    0.1wt%以上20wt%以下とし、焼結温度900
    ℃以上、焼結温度での保持時間30分以上、かつ、焼結
    終了後の降温速度300℃/hr以下で焼結することを
    特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  9. 【請求項9】 Taの酸化物とSiの炭化物とを含む混
    合粉末を焼結して焼結体を得る工程を有する、Taの酸
    化物とSiの炭化物とを含む焼結体からなるスパッタリ
    ングターゲットの製造方法であって、前記混合粉末とし
    て平均粒径が15μm以下の混合粉末を用いるととも
    に、前記混合粉末中のSiの炭化物の含有量を0.1〜
    20wt%とし、焼結温度900℃以上、焼結温度での
    保持時間30分以上、かつ、焼結終了後の降温速度30
    0℃/hr以下で焼結することを特徴とするスパッタリ
    ングターゲットの製造方法。
  10. 【請求項10】 焼結温度を900℃以上1200℃以
    下として焼結することを特徴とする請求項9記載のスパ
    ッタリングターゲットの製造方法。
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