JP2004224040A - 相変化型光記録媒体とその製造方法及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基板上に、少なくとも第一中間層、記録層、第二中間層、反射層、保護層をこの順に有し、該記録層が、GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金からなり、10m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相(アモルファス相)と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能であることを特徴とする相変化型光記録媒体。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ビームを照射することにより記録層材料に光学的な変化を生じさせ、情報の記録、再生を行ない、かつ書換えが可能な相変化型光記録媒体とその製造方法及び記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1には、GaSb又はInSbの組成比50:50近傍の合金に金属又はカルコゲナイド元素Mを添加した記録材料を用いることが開示されており、GaSb又はInSbだけでは結晶化速度が速すぎてアモルファス化することができないが、これに金属又はカルコゲナイド元素Mを添加することにより結晶化速度を遅くすることができ、結晶−アモルファス間の相転移を用いた情報記録が行なえると記載されている。
しかしながら、Ga50Sb50(原子%)組成近傍の合金は融点が710℃、結晶化温度が350℃と高く、現在市販されている初期化装置ではパワーが足りないため、初期結晶化させようとしても周内での均一な結晶状態が得られず反射率が不均一となる。反射率が不均一な状態でマークを記録すると信号のノイズが大きく、特にDVDのように高密度で信号を記録することは困難である。
【0003】
特許文献2には、GaSbを主成分とする合金を記録材料として用いた相変化型光記録媒体が開示されているが、この光記録媒体は、結晶−結晶間の相変化を用いて情報を記録するものであって、変調度は良くても29%であり実用上問題がある。また、「Gaが20%未満の場合には、レーザー光照射部に気泡が生じたのが原因と思われる膜の盛り上がりが出来るため、反射率の変化するレベルが不安定になり実用上問題がある。」との記載がある。
更に、結晶−結晶間の相変化では、結晶粒径の違いによる反射率差を利用するため、微小なマークを記録する必要がある高密度の情報記録には不向きであり、この光記録媒体にDVD−ROMと同容量の密度で情報を記録することはできない。
非特許文献1には、超高速で相変化可能なGeSb薄膜を用いた光記録媒体に関する知見が記載されているが、Fig1の電子回折パターンでは本発明で重要視している結晶の配向は見られず、しかも、このときの結晶相とアモルファス相の変調度は15〜20%であって実用上問題がある。
【0004】
特許文献3には、記録層に(SbxGe1−x)1−yIny(但し0.65≦x≦0.95,0<y≦0.2)なる合金を主成分とする材料を用いた相変化型光記録媒体が開示されている。
しかしながら、初期化条件については、レーザーパワー密度に換算して2.6mW/μm2程度で初期結晶化したという記載があるのみで、本発明で必要としている高い初期化レーザーパワー密度については何も記載されていない。
上記の程度の低いパワー密度では、結晶の配向性が小さく結晶の反射率が小さい媒体しか得られないと推測される。また、開示された記録線速範囲は、2.4〜9.6m/sという低線速であって、本発明のような高線速記録への対応については記載されていない。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第4818666号明細書
【特許文献2】
特開昭61−168145号公報
【特許文献3】
特開2001−39031号公報
【非特許文献1】
「Appl.Phys.Lett.」60(25),22 June
1992,p3123−3125
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、DVD−ROMと同容量で10m/s以上の線速度で記録層の非晶質相(アモルファス相)と結晶相との可逆的な相変化を利用して記録・消去が可能であり、変調度が大きく、アモルファスマークの安定性が良い相変化型光記録媒体とその製造方法及び記録方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜15)の発明によって解決される。
1) 基板上に、少なくとも第一中間層、記録層、第二中間層、反射層、保護層をこの順に有し、該記録層が、GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金からなり、10m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相(アモルファス相)と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能であることを特徴とする相変化型光記録媒体。
2) 5≦α≦15、85≦β≦95であることを特徴とする1)記載の相変化型光記録媒体。
3) 前記記録層が、更に前記合金の10原子%以下のAg、Au、Cu、B、Al、In、Mn、Sn、Zn、Bi、Pb、Ge、Si、Nから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする1)又は2)記載の相変化型光記録媒体。
4) 14m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
5) 28m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能であることを特徴とする4)記載の相変化型光記録媒体。
6) 記録層の膜厚が5〜25nmの範囲内にあることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
7) 記録層の膜厚が8〜20nmの範囲内にあることを特徴とする6)記載の相変化型光記録媒体。
8) 基板上に、少なくとも第一中間層、記録層、第二中間層、反射層、保護層をこの順に積層して光記録媒体を作製したのち、該光記録媒体を3〜18m/sの範囲内の一定の線速度で回転させ、パワー密度が5〜50mW/μm2のレーザー光を半径方向に一定の速度で移動させながら該光記録媒体に照射して初期結晶化を行なうことを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の相変化型光記録媒体の製造方法。
9) 記録媒体の回転線速度が6〜14m/sの範囲内の一定の線速度であり、レーザー光のパワー密度が15〜40mW/μm2であることを特徴とする8)記載の製造方法。
10) GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金からなる、相変化型光記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
11) GaαSbβ(但し、5≦α≦15、85≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金からなる10)記載の相変化型光記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
12) GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金を主成分とし、前記合金の10原子%以下のAg、Au、Cu、B、Al、In、Mn、Sn、Zn、Bi、Pb、Ge、Si、Nから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする相変化型光記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
13) 記録線速を28m/sとしたときに、記録層材料に光学変化を起こすための光ビームを単一パルス又は複数のパルス列により形成すると共に、そのパルスビームの記録パワーPwにおけるパワー密度を20mW/μm2以上とすることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の相変化型光記録媒体の記録方法。
14) 記録線速を10〜35m/sとし、媒体に照射される光ビームを単一パルス又は複数のパルス列により形成すると共に、消去パワーPeと記録パワーPwの比が、0.10≦Pe/Pw≦0.65となるように設定することを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の相変化型光記録媒体の記録方法。
15) 0.13≦Pe/Pw≦0.60となるように設定することを特徴とする14)記載の相変化型光記録媒体の記録方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の相変化型光記録媒体は、基板上に、少なくとも第一中間層、記録層、第二中間層、反射層、保護層をこの順に有するものである。この基本的な構造を図1に示す。図1(a)は、媒体の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の切り欠き部の断面(層構造)を模式的に示したものである。
本発明1における、「10m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相(アモルファス相)と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能である」という記載は、10m/s以上の線速度で記録・消去できる能力を有するという意味であって、10m/s未満の線速度での記録・消去能力は有っても無くても構わない。
基板材料としては一般にガラス、セラミックス又は樹脂が用いられるが、成形性、コストの点から樹脂製基板が望ましい。樹脂の例としては、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられるが、加工性、光学特性等の点からポリカーボネート樹脂が好ましい。また、基板の形状は、ディスク状、カード状、シート状などの何れであってもよい。基板の厚さは、1.2mm、0.6mm、0.1mm等任意のものが使用できる。
【0009】
第一中間層及び第二中間層に用いられる材料としては、SiO2、TiO2、ZnO、ZrO2等の金属酸化物;AlN、Si3N4、TiN等の窒化物;ZnS、In2S3、TaS3等の硫化物;SiC、TiC、ZrC等の炭化物;或いはそれらの混合物が挙げられる。
第一中間層は、基板から水分等の不純物が記録層に混入しないように記録層を保護する役目、基板に熱的ダメージを与えないようにする役目、光学的特性を調整する役目等を担うため、水分を透過し難く、耐熱性が良く、吸収率kが小さく、屈折率nが大きい材料がよい。第一中間層の膜厚は、40〜500nm、好ましくは60〜200nmである。40nm未満では、記録層が加熱されたときに同時に基板も加熱されてしまうため基板が変形してしまい、500nmを越えると基板と第一中間層の界面で剥離が生じ易くなるので好ましくない。
【0010】
第二中間層は、記録層の熱的な特性を調整する役目を担う。第二中間層の膜厚を薄くすると熱は逃げ易くなり、膜厚を厚くすると逃げ難くなる。第二中間層の膜厚は、5〜100nm、好ましくは5〜20nmである。100nmを越えると、熱が篭りすぎてアモルファス相を形成し難くなり、5nm未満では記録感度が悪くなる。
結晶−アモルファス相の相変化を利用した書換えが可能な相変化型光記録媒体を高速化する場合、その記録線速に適した結晶化速度の速い記録材料を用いるためアモルファスマークの周辺からの再結晶化が進み易くマークが小さくなり変調度が小さくなるという問題が起こる。そのため結晶化速度の速い記録材料を用いる場合ほど再結晶化が起こる時間を短くするため第二中間層の膜厚を薄くし熱が逃げ易い急冷構造にするのが好ましい。また、第二中間層を二層以上にし更に熱が逃げ易い構成にしても良い。
【0011】
記録層には、GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金を用いる。好ましい組成範囲は、5≦α≦15、85≦β≦95である。この組成範囲であれば、10m/s以上の線速度で記録層の非晶質相(アモルファス相)と結晶相との可逆的な相変化を利用して記録・消去ができ、変調度が大きく、アモルファスマークの安定性が良い相変化型光記録媒体が得られる。
これまでCD−RWやDVD+RWに使用されているAgInSbTe系材料は、母相材料SbTeに添加元素としてAg、Inを入れた材料である。SbTeの結晶化温度は120℃と低くSb量を増やすほど結晶化温度は下がるため、DVDの5倍速である18m/s記録が限界である。これに対し、本発明のGaSbは結晶化温度が194.5℃と高く、結晶化速度が速い組成範囲でもアモルファスマークの安定性が良い。これは、SbTeと比較してGaSbの格子定数aが小さいため共有結合の力が強く、アモルファス相を熱的に結晶化させるために共有結合を切ってネットワークを組み替えるのに大きなエネルギーを必要とするためである。
【0012】
更に、上記合金に対し、全体の10原子%以下のAg、Au、Cu、B、Al、In、Mn、Sn、Zn、Bi、Pb、Ge、Si、Nから選ばれる少なくとも1種の元素を添加することにより、記録パワー、記録可能な線速、アモルファスマークの安定性等の物性を向上させることができる。
記録層の膜厚は、5〜25nmの範囲ならば、DVDの規格を満足する変調度60%以上が得られる。更に望ましい膜厚は8〜20nmであり、この範囲では変調度が65%以上となり、更に安定したシステムを得ることができる。
反射層には各種金属が使用可能であるが、Al、Ag、Cu、Auなどの金属材料又はそれらにTi、Cr、Si、Pd、Cu、In、Mnなどを添加した合金が望ましい。高速記録のときは、特に熱伝導率の高いAg、Cu、Auが好ましい。これにより熱が逃げ易い急冷構造となるため、高い変調度を得ることができる。反射層の膜厚は、60〜300nmが良い。60nm未満では放熱効果が得られなくなりアモルファス化が形成し難くなり、300nmを越えると界面剥離が生じ易くなる。
【0013】
本発明の相変化型光記録媒体を製造するには、初期結晶化条件が重要である。具体的には、基板上に上記各層を積層した後、3〜18m/sの範囲内の一定の線速度で回転させ、5〜50mW/μm2のパワー密度のレーザー光を半径方向に一定の速度で移動させながら照射して初期結晶化を行なう。好ましい回転線速度及びパワー密度は6〜14m/s及び15〜40mW/μm2である。
本発明の条件で初期結晶化を行なった場合、配向性が強い結晶が得られ、それに伴って高い反射率の光記録媒体を提供することができる。
本発明の相変化型光記録媒体の記録方法としては、記録線速を28m/sとしたときに、記録層材料に光学変化を起こすための光ビームを単一パルス又は複数のパルス列により形成すると共に、そのパルスビームの記録パワーPwにおけるパワー密度を20mW/μm2以上とすることが好ましい。この記録方法によりDVD8倍速相当である28m/sで安定した記録が可能となる。
また、記録線速を10〜35m/sとし、媒体に照射される光ビームを単一パルス又は複数のパルス列により形成すると共に、消去パワーPeと記録パワーPwの比が、0.10≦Pe/Pw≦0.65となるように設定することが好ましい。更に好ましい範囲は、0.13≦Pe/Pw≦0.60である。この記録条件に設定することにより、10m/s以上の記録線速でC/N比が高い記録が可能となる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0015】
実施例1
トラックピッチ0.74μm、溝深さ400Åの案内溝を有する厚さ0.6mm、直径120mmφのポリカーボネート基板上に、スパッタリング法により、SiO220モル%のZnS−SiO2混合ターゲットを用いて第一中間層を厚さ75nm、Ga12Sb88(原子%)合金ターゲットを用いて記録層を厚さ16nm、第一中間層と同じターゲットを用いて第二中間層を厚さ14nm、Ag−Pd(1原子%)−Cu(1原子%)ターゲットを用いて反射層を厚さ140nmを、この順に設けた。
記録層の合金ターゲットは、予め仕込み量を秤量しガラスアンプル中で加熱溶融し、その後これを取り出して粉砕機により粉砕し、得られた粉末を加温焼結することによって円盤状のターゲット形状とした。製膜後の記録層の組成比を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により測定したところ、ターゲット仕込み量と同じ組成比であった。ICP発光分光分析法には、セイコーインスツルメンツ製:シーケンシャル型ICP発光分光分析装置SPS4000を使用した。
なお、後述する実施例及び比較例においても、記録層の合金組成とスパッタリングターゲットの合金組成とは同一である。
次いで反射層の上に、スピンコート法によりアクリル系樹脂からなる保護層を厚さ約5〜10μm設け、その上に基板と同じ厚さ0.6mmの基板を紫外線硬化樹脂により接着して本実施例の光記録媒体を作製した。
この光記録媒体を一定線速3m/sで回転させ、パワー密度が8mW/μm2のレーザー光を半径方向に送り36μm/rで移動させながら照射することにより初期結晶化を行なった。
【0016】
該光記録媒体に対し、波長660nm、NA0.65のピックアップを用いて記録再生を行った。記録線速17m/s、DVD−ROMと同容量の記録線密度0.267μm/bit、記録パワーPw=20mW、消去パワーPe=7mWという記録条件で、DVDの変調方式であるEFM+変調方式により、ランダムパターンを記録した。
図2に初回記録後の記録層の透過電子顕微鏡像を示す。
図2から分るように、レーザービーム走査方向の長さが短いもので約0.4μm、長いもので約1.8μmのマーク(図の中で白黒のコントラストが見えない灰色の部分)がランダムに記録されているのが観察された。灰色の部分を電子線回折で調べた結果、非晶質相(アモルファス相)であることを示すハローパターンであった。白と黒のコントラストがはっきりしている部分の電子線回折は、結晶相であることを示すスポットが観察された。
また、ダイレクトオーバーライト(DOW)10回後の記録層を透過電子顕微鏡像により観察したところ、初回記録と同様な像が観察され、アモルファス相と結晶相の相変化により繰り返し記録を行えることが確認された。
【0017】
上記と同様な方法で、記録層の組成のみを変えた光記録媒体を作製し、記録線速10m/sでの初回記録及びDOW10回記録後の透過電子顕微鏡像により、アモルファス相と結晶相が形成されているかどうかを観察した。
表1に合金組成及び結果を示す。表中の「○」は結晶相とアモルファス相が観察されたことを示す。また、「×(1)」では、どのような記録条件でもアモルファス相が観察されなかった。これは材料の結晶化速度が速すぎて、現在の記録装置で設定可能な記録条件の範囲では十分な急冷条件を作ることができず全て結晶化してしまうためである。更に、「×(2)」では、アモルファス相は観察されたものの、本来、全て結晶相となるべきスペース部分にアモルファス相が形成されてしまっていた。
【表1】
【0018】
書換え型光記録媒体では、一般的に図3に示すような記録ストラテジにより記録・消去を行なう。通常、パワーが高い方から記録パワーPw(mW)、消去パワーPe、バイアスパワーPbの3値よりなり、PwからPbに急激にパワーを落とすパルスを照射することにより記録層を急冷させてアモルファス相を形成させ、一定パワーのPeを照射することにより記録層を徐冷させてスペース(結晶相)を形成させる。本来結晶相となるべきスペース部分にアモルファス相が形成されてしまったのは、材料の結晶化速度に対して記録線速が速すぎるためである。
これらの結果から、記録層の合金組成は、GaαSbβ(α、βは原子%)として、5≦α≦20、80≦β≦95の範囲がよい。
特許文献2の詳細な説明において、「Gaの組成は20%以下になると気泡が原因と思われる膜の盛り上がりが出来るため、反射率の変化するレベルが不安定になり、実用上問題がある。」としており、本発明の光記録媒体と特許文献2の光記録媒体は本質的に異なるものであることが確認された。
この事実は、本発明のようにアモルファス−結晶間の相変化を用いる場合には、良好な記録特性が得られる組成範囲が、特許文献2に開示される結晶−結晶間の相変化を用いる場合と明らかに異なることを示している。
【0019】
実施例2
記録層用の合金ターゲットを、表2に示した記録層組成と同一組成のGaSb合金に変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製し初期結晶化した。
これらの光記録媒体に対して、実施例1と同一の記録条件で3Tを10回オーバーライトしたときのC/N比〔スペクトルアナライザを用いてノイズ(N)レベルと信号強度(C:キャリア)との比を測定〕を表2、図4に示す。
書換え型の光ディスクシステムを実現する場合、そのC/N比は、少なくとも45dB必要であり、50dB以上あれば更に安定したシステムを得ることができる。
【表2】
【0020】
更に、記録層用の合金ターゲットを、表3に示した記録層組成と同一組成のGaSb合金に変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製し初期結晶化した。
これらの光記録媒体について、記録線速を10、14、28、35m/sとした点以外は実施例1と同一の記録条件で3Tを10回オーバーライトしたときのC/N比〔スペクトルアナライザを用いてノイズ(N)レベルと信号強度(C:キャリア)との比を測定〕を表3に示す。
【表3】
上記の結果から、GaαSbβ(5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)の範囲ならば、記録線速10〜35m/sでも記録可能であることが確かめられた。しかし、Ga3Sb97ではアモルファス化することができず、Ga25Sb75では繰り返し記録することができなかった。
確実にC/N比が45dB以上の安定したシステムを得るには、5≦α≦15、85≦β≦95であることが望ましい。
【0021】
実施例3
記録層用の合金ターゲットを、Ga12Sb88に対しAg、In、Sn、Geをそれぞれ5原子%添加した合金に変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製し初期結晶化した。
得られた4種類の光記録媒体について実施例1と同様にして記録試験を行ったところ、Ag又はInを添加した合金では、28m/sの記録速度条件において、Ga12Sb88のみの場合にPw=30mWで記録したのと同じ変調度を得るのに必要な記録パワーを、Agを添加した合金で約10%、Inを添加した合金で約13%減少させることができた。但し、記録可能な線速範囲の判定基準をC/N比で45dB以上として、Ga12Sb88のみの場合は36〜38m/sまで記録可能であったが、Agを添加した合金では10%低下し、Inを添加した合金では5%以内の低下が見られた。
Snを添加した合金では、28m/sの記録速度条件において、同じ変調度が得られる記録パワーはGa12Sb88のみの場合とほぼ同じであったが、記録可能な線速範囲は約7%早くなった。
Geを添加した合金では、記録線速範囲が約10%低下し、記録パワーは約5%高くする必要があったが、80℃85%RHの高温高湿下の保存信頼性テストを行ったところ、Ga12Sb88のみの場合の500時間後のジッタ上昇が約1.5%であったのに対し、0.5%以内に低減できることが分った。
同様に、Ga12Sb88に対する添加元素をAu、Cu、B、Al、Mn5原子%に変えた光記録媒体を作製したところ、AgやInと同様に記録パワーを下げることができた。また、Ga12Sb88に対する添加元素をZn、Si、Bi、Pb5原子%に変えた光記録媒体を作製したところ、Snと同様に記録可能な線速が速くなった。また、Ga12Sb88に対する添加元素をN2原子%に変えた光記録媒体を作製したところ、Geと同様にアモルファスマークの安定性が良くなった。
実際の組成設計においては、GaSbのみでも充分な記録特性が得られるが、更に使用目的に応じて上記の元素を単独で或いは複合して添加することにより、記録層材料の特性をコントロールできる。
【0022】
更に、Ga12Sb88にInを添加した合金を用いてInの適正な添加量を評価したところ、10原子%を超えると、記録線速範囲が10m/s以下になってしまい、80℃85%RHの高温高湿下の保存信頼性テストを行うと反射率変化が著しく悪化してしまうという不具合が見られ、本発明の目的である高速記録が出来なくなることが分った。この傾向はAg、Au、Cu、B、Al、In、Mnを添加した合金でも同様である。また、Snを添加した合金では、添加量が10%を超えると5%添加した合金に比べて記録パワーを30%大きくしても同じ変調度を得られなかった。このような場合には現状で想定される記録システムの最大記録パワーPwを用いても十分な信号が得られない恐れがある。この傾向はZn、Bi、Pbを添加した合金でも同様である。また、Geを添加した合金では添加量が10%を超えると、記録線速範囲が、Inを添加した合金と同様に10m/s以下となってしまうことと、記録パワーがGa12Sb88のみの場合に比べて30%以上多く必要となった。
なお、Nは、記録層のスパッタ時の気相反応により合金中に取り込まれるが、5%以上の配合量とすることは困難であった。
【0023】
実施例4
記録層の膜厚を3、5、8、10、15、20、25、30nmと変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製し、初期結晶化した後、実施例1と同様にしてC/N比と変調度を評価した。結果を表4及び図5に示す。
記録層の膜厚が5〜25nmのときに、DVDの規格を満足する変調度60%以上が得られた。望ましい記録層の膜厚は8〜20nmであり、この範囲では変調度が65%以上であり、更に安定したシステムを得ることができる。
【表4】
【0024】
実施例5
実施例1で作製した光記録媒体を一定線速9m/sで回転させ、パワー密度が18mW/μm2のレーザー光を半径方向に送り36μm/rで移動させながら照射することにより初期結晶化を行なった。
この光記録媒体の貼り合せ部分を物理的に剥がした後、粘着テープで(環境)保護層及び反射層を剥がし、記録層が残っている側の基板を有機溶剤に浸して記録層を基板から剥離させ、ろ過した。この粉末をキャピラリに充填し、入射ビームの平行性と輝度が極度に高い放射光を利用して波長0.419Åで粉末X線回折測定を行なった。
図6に粉末X線回折スペクトルを示す。主な回折スペクトルのピークは、2θ=6.36、6.875、7.804、10.737、11.334°であった。これらの各ピークに対応する格子面の面間隔を下記のブラッグの式により計算すると、順に、d=3.78、3.49、3.08、2.24、2.12であった。これらのピークはSb構造と同様の菱面体構造により指数付けすることができ、記録層は単相であることが分った。
ブラッグの式 2dsinθ=nλ
(d:格子面の間隔、n:反射の次数、λ:X線の波長)
【0025】
上記と同じ光記録媒体の貼り合せ部分を物理的に剥がし記録層が最表面になった状態で、In−planeX線回折(試料の基板面に対し垂直な格子面を測定する方法)により測定を行った。〔この測定法の詳細は、The Rigaku−Denki Journal 31(1)2000に記述されている。〕図7に概略図を示す。
装置はフィリプス社製X′pert MRD、X線の入射光源には銅のKα線(波長λ=1.54Å)を用いた。基板面に対し殆ど平行にX線を入射(入射角0.2〜0.5°)し、X線が当っている部分を回転軸として試料を45°ずつ回転させ、X線回折スペクトルの測定を行なった。この測定法によれば、基板面に対し殆ど平行にX線を入射することにより浸入深さを数nmに抑えることができるので、膜厚が薄い記録層の結晶構造を正確に調べることができる。
光記録媒体の半径位置40mm付近にX線が当るように試料をセットし、光記録媒体のトラック方向に平行にX線を入射させた。このときの角度を0°とし、X線が当っている部分を回転軸として45°ずつ試料を回転させ、それぞれ2θ=20〜70°まで測定したスペクトルを図8に示す。
【0026】
多結晶の膜がある特定の方向に配向していると、該当のピークの強度が強くなるという関係がある。先に述べた粉末X線回折は、試料を基板から剥がし粉末化させたことによって結晶の配向性を取り除いた状態で測定したものであり、粉末X線回折と面内回折(In−planeX線回折)の結果を比較することにより、結晶の配向性がより顕著に判る。
粉末X線回折の結果を波長λ=1.54Åに換算した結果を図9に示す。これを面内回折の結果と比較すると、粉末X線回折では2θ=29°付近のピークの強度が最も強いのに対し、面内回折では29°のピークが小さくなり、現れるピークの数も少なくなる。これは結晶が配向しているため、ブラッグの回折条件を満たさない格子面が出てくるためである。トラック方向に対し90°にX線を入射したとき、格子間隔dが2.12Å(2θ=42.6°)の格子面に強く配向している。
【0027】
次に、パワー密度を3、5、7、15、25、40、50、52mW/μm2とし、それぞれ最適な線速で初期化したときの初期化後の状態及び反射率を表5に示す。評価基準は、結晶の配向性が見られないとき「×(1)」、結晶の配向性があるとき「○」、結晶の配向性が強いとき「◎」、膜剥がれが起きたとき「×(2)」とした。
【表5】
線速が3〜18m/s、パワー密度が5〜50mW/μm2の範囲で結晶の配向性が見られ、特に線速が6〜14m/s、パワー密度が15〜40mW/μm2のとき強い配向性が見られ、それに伴って高い反射率が得られた。
結晶の配向性があり反射率が高い光記録媒体は、記録線速10〜35m/sの記録条件において、C/N比45dB以上の良好な記録特性を示し、記録後の光記録媒体を80℃85%RH環境下で保存した後のジッタ値の変化を調べたところ、300時間後でもジッタ値は変化せず、アモルファスマークの安定性が良いことが確認された(図10)。
ジッタ値は、マークエッジのばらつきを示す値であり、小さい程ばらつきが少なく良好な記録ができていることを示す。加速試験によりアモルファスマークのエッジから結晶化が始まると、ジッタ値は急激に悪くなることが分っている。
上記加速試験の結果を室温での寿命に概算すると10年以上となり、光記録媒体の寿命は十分保証される。従って、本発明の目的とする10m/s以上の記録線速での高速記録が可能な媒体を得るのに上記初期化条件が適していることも確かめられた。
【0028】
記録層用の合金ターゲットをAg2In5Sb68Te25、その母相材料となるSb78Te22、Sb88Te12及びIn31.7Sb68.3(以上比較例)、Ge16.7Sb83.3(参考例)、Ga12Sb88に変えた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製した。
これらの光記録媒体を一定線速8m/sで回転させ、パワー密度が20mW/μm2のレーザー光を半径方向に送り36μm/rで移動させながら照射することにより初期結晶化を行なった。
これらの光記録媒体について、上記と同様の処理をして粉末X線回折を行った。比較のために粉末Sbについても粉末X線回折を行なった。結果を纏めて図11に示す。Ag2In5Sb68Te25、Sb78Te22、In31.7Sb68.3のそれぞれのピークはcubic(正方晶)構造で指数付けすることができ、Sb88Te12、Ga12Sb88、Ge16.7Sb83.3はSb構造と同様のhexagonal(六方晶)構造で指数付けすることができた。
材料の結晶構造を比較するため、全ての材料をhexagonal構造の単位格子(図12)を基準として格子定数a(Å)、c(Å)を計算した結果及び熱分析により求めた結晶化温度Tc(℃)を表6に示した。c/a比が2.45のときcubic構造と等価である。結晶化温度は、ガラス上に記録層の単膜を製膜し、アモルファス状態の膜を示差走査熱量測定器により昇温速度10℃/分で昇温させ結晶化が起こる温度を結晶化温度とした。結晶化温度が高いほど、アモルファス相が安定で、結晶化し難いと言える。
【表6】
【0029】
Ag2In5Sb68Te25系材料は、母相材料SbTeに添加元素としてAg、Inを入れた材料である。母相材料のSbTeのSb量を増やすことにより材料の結晶化速度を速く出来ることが分っているが、Sbを増やした材料系では低温でもアモルファス相が結晶化してしまうという欠点があり、DVDの5倍速である18m/s記録が限界であると見積もっている。SbTeの結晶化温度が、120.5℃、79.5℃と低いのに比較して、GaSb、GeSbはそれぞれ194.5、255.5℃と高く、非常にアモルファス相が結晶化し難く、アモルファスマークの保存安定性が良いことが分る。これらの現象は、材料の構造から説明することができる。今回粉末X線回折を測定した材料は、全てSbに何かが添加されている材料系と考えることができる。Sb単独では結晶化速度は速いものの、室温でもすぐに結晶化してしまうほどアモルファス相の安定性が悪いため、光記録媒体の材料としては利用できない。そこで、アモルファス相の安定性を良くするために、Sb以外の元素を入れることにより結合力を強めていると考えられる。
格子定数aと結晶化温度の関係を図13に示す。格子定数aが小さい材料は共有結合の力が強く、アモルファス相を熱的に結晶化させるために共有結合を切ってネットワークを組み替えるのに大きなエネルギーを必要とするため、結晶化温度が高くなっていると考えられる。
【0030】
比較例1
実施例1で作製した光記録媒体を一定線速2m/sで回転させ、パワー密度が4.5mW/μm2のレーザー光を半径方向に送り36μm/rで移動させながら照射することにより初期結晶化を行なった。
この光記録媒体の貼り合せ部分を物理的に剥がし記録層が最表面になった状態で、実施例5と同様にして面内回折(In−planeX線回折)を行った。即ち、基板面に対し殆ど平行にX線を入射(入射角0.2〜0.5°)し、試料を45°ずつ回転させ、X線回折スペクトルの測定を行なった。トラック方向に平行にX線を入射させたときの角度を0°とし、45°ずつ試料を回転させ135°まで測定した結果を図14に示した。
上記初期結晶化を行なった光記録媒体を実施例1と同じ記録再生装置を用いて実施例1と同条件で記録したところ、反射率は17%、変調度は55%と低かった。この材料は配向性が小さく結晶性が悪いため反射率が低く、変調度が小さくなっている。
【0031】
実施例6
実施例1で作製した光記録媒体に対し、波長660nmのLD(レーザーダイオード)とNA0.65の光学系を用い、記録線速度28m/sのときに図3に示すようなパルス列のレーザービームにより、Pe/Pwを0.2とし、Pwを変化させて記録テストを行った結果を図15に示す。
テストはDVDの変調方式であるEFM+変調における3T、6T、8T、14Tの単一マークをそれぞれ10回DOWして、そのC/N比をモニターすることによって行った。8Tマークは、他に1回のみの記録(初回記録)を行ったときの結果も合わせてプロットした。記録に用いたパルスは、それぞれ各Tに最適化してそのパルス数とパルス幅、Pbレベルの幅を最適化して用いた。
Ga12Sb88を記録材料として用いた記録媒体において、C/N比を30dB以上確保するためには記録パワーPwは15mW以上、更に安定した記録が可能な45dB以上の記録特性を得るには20mW前後以上の記録パワーPwが必要である。
今回用いた光学系では、ビームパワーが1/e2となるビーム径は、計算から約0.9ミクロン程度であるため、記録に必要な記録パワーPwにおけるビームのパワー密度は少なくとも20mW/μm2、望ましくは30mW/μm2以上必要であることが分った。
【0032】
実施例7
実施例1で作製した光記録媒体を用いて、記録速度を10m/s、28m/s、35m/sとし、図3記載のパルスビームを用いて記録を行い、そのC/N比をプロットしたのが図16である。また、記録に用いるレーザー光の、消去パワーPeとピークパワーPwの比をそれぞれの記録線速条件下で最適化して、C/N比が最大となるパワー条件を記録線速に対してプロットしたのが図17である。
実施例6と同様に各Tに対するパルス数は、それぞれの線速条件で変更し最適なものを用いた。記録はEFM+変調方式を用い、各Tのマークをランダムに記録した場合の結果である。
10m/s記録線速条件でPe/Pwを変えた場合にC/N比が良好な範囲は0.42≦Pe/Pw≦0.65であり、特にC/N比を50dBに出来るのは、0.47≦Pe/Pw≦0.60程度であった。また、35m/s記録線速条件ではC/N比が良好な範囲は0.10≦Pe/Pw≦0.25であり、特にC/N比を50dBに出来るのは、0.13≦Pe/Pw≦0.22程度であった。記録線速10m/sと35m/sの条件の間は各線速条件で埋められるため、記録線速を10〜35m/sとしたときに良好な記録特性が得られるPe/Pw比の範囲は、0.10≦Pe/Pw≦0.65であり、望ましくは0.13≦Pe/Pw≦0.60である。
【0033】
【発明の効果】
本発明1によれば、DVD−ROMと同容量で10m/s以上の線速度で記録層の非晶質相(アモルファス相)と結晶相との可逆的な相変化を利用して記録・消去が可能な光記録媒体を提供できる。
本発明2によれば、10m/s以上の記録線速でC/N比が高い光記録媒体を提供できる。
本発明3によれば、使用目的に応じて記録層材料の特性をコントロールすることができる光記録媒体を提供できる。特に、Ag、Au、Cu、B、Al、In、Mnを用いると、必要とする記録パワーを下げることができ、Sn、Si、Zn、Bi、Pbを用いると、記録可能な線速を速くすることができ、Ge、Nを用いると、アモルファスマークの安定性を良くすることができる
本発明4によれば、DVDの4倍速(14m/s)以上の記録線速で繰り返し記録が可能な光記録媒体を提供できる。
本発明5によれば、DVDの8倍速(28m/s)以上の記録線速で繰り返し記録が可能な光記録媒体を提供できる。
本発明6〜7によれば、変調度が高い光記録媒体を提供できる。
本発明8〜9によれば、DVD−ROMと同容量で10m/s以上の記録線速で高速記録が可能な光記録媒体の製造方法を提供できる。
本発明10〜12によれば、DVD−ROMと同容量で10m/s以上の記録線速で高速記録が可能な光記録媒体製造用スパッタリングターゲットを提供できる。
本発明13によれば、安定した記録が可能な光記録媒体の記録方法を提供できる。
本発明14〜15によれば、10m/s以上の記録線速でC/N比が高い光記録媒体の記録方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の相変化型光記録媒体の基本的な構造を示す図。
(a) 斜視図
(b) (a)の切り欠き部の断面(層構造)を模式的に示す図。
【図2】初回記録後の記録層の透過電子顕微鏡像を示す図。
【図3】書換え型光記録媒体で一般的に用いる記録ストラテジを示す図。
【図4】実施例2のGaSb合金を用いた場合のC/N比の測定結果を示す図。
【図5】実施例4の記録層の膜厚を変化させた場合の変調度の評価結果を示す図。
【図6】実施例5の粉末X線回折スペクトルを示す図。
【図7】In−planeX線回折を説明するための図。
【図8】実施例5の光記録媒体について、In−planeX線回折により測定したスペクトルを示す図。
【図9】実施例5の光記録媒体について、粉末X線回折の結果を波長λ=1.54Åに換算した結果を示す図。
【図10】実施例5の光記録媒体について、記録後の媒体を80℃85%RH環境下で保存した後のジッタ値の変化を示す図。
【図11】実施例5及び比較例の光記録媒体の粉末X線回折の結果を示す図。
【図12】hexagonal構造の単位格子を示す図。
【図13】格子定数aと結晶化温度の関係を示す図。
【図14】比較例1の光記録媒体について、In−planeX線回折により測定したスペクトルを示す図。
【図15】実施例1で作製した光記録媒体に対し、記録テストを行った結果を示す図。
【図16】実施例1で作製した光記録媒体を用いて、記録速度を変えて記録を行ったときのC/N比をプロットした図。
【図17】実施例1で作製した光記録媒体を用い、記録に用いるレーザー光のPe/Pwをそれぞれの記録線速条件下で最適化して、C/N比が最大となるパワー条件を記録線速に対してプロットした図。
【符号の説明】
a 格子定数
c 格子定数
Claims (15)
- 基板上に、少なくとも第一中間層、記録層、第二中間層、反射層、保護層をこの順に有し、該記録層が、GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金からなり、10m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相(アモルファス相)と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能であることを特徴とする相変化型光記録媒体。
- 5≦α≦15、85≦β≦95であることを特徴とする請求項1記載の相変化型光記録媒体。
- 前記記録層が、更に前記合金の10原子%以下のAg、Au、Cu、B、Al、In、Mn、Sn、Zn、Bi、Pb、Ge、Si、Nから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の相変化型光記録媒体。
- 14m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
- 28m/s以上の線速度においても記録層の非晶質相と結晶相との可逆的な相変化を利用した記録・消去が可能であることを特徴とする請求項4記載の相変化型光記録媒体。
- 記録層の膜厚が5〜25nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の相変化型光記録媒体。
- 記録層の膜厚が8〜20nmの範囲内にあることを特徴とする請求項6記載の相変化型光記録媒体。
- 基板上に、少なくとも第一中間層、記録層、第二中間層、反射層、保護層をこの順に積層して光記録媒体を作製したのち、該光記録媒体を3〜18m/sの範囲内の一定の線速度で回転させ、パワー密度が5〜50mW/μm2のレーザー光を半径方向に一定の速度で移動させながら該光記録媒体に照射して初期結晶化を行なうことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の相変化型光記録媒体の製造方法。
- 記録媒体の回転線速度が6〜14m/sの範囲内の一定の線速度であり、レーザー光のパワー密度が15〜40mW/μm2であることを特徴とする請求項8記載の製造方法。
- GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金からなる、相変化型光記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
- GaαSbβ(但し、5≦α≦15、85≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金からなる請求項10記載の相変化型光記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
- GaαSbβ(但し、5≦α≦20、80≦β≦95、α、βは原子%)で示される組成の合金を主成分とし、前記合金の10原子%以下のAg、Au、Cu、B、Al、In、Mn、Sn、Zn、Bi、Pb、Ge、Si、Nから選ばれる少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする相変化型光記録媒体製造用スパッタリングターゲット。
- 記録線速を28m/sとしたときに、記録層材料に光学変化を起こすための光ビームを単一パルス又は複数のパルス列により形成すると共に、そのパルスビームの記録パワーPwにおけるパワー密度を20mW/μm2以上とすることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の相変化型光記録媒体の記録方法。
- 記録線速を10〜35m/sとし、媒体に照射される光ビームを単一パルス又は複数のパルス列により形成すると共に、消去パワーPeと記録パワーPwの比が、0.10≦Pe/Pw≦0.65となるように設定することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の相変化型光記録媒体の記録方法。
- 0.13≦Pe/Pw≦0.60となるように設定することを特徴とする請求項14記載の相変化型光記録媒体の記録方法。
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