JP2019038720A - セシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法、セシウムタングステン酸化物焼結体及び酸化物ターゲット - Google Patents

セシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法、セシウムタングステン酸化物焼結体及び酸化物ターゲット Download PDF

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Abstract

【課題】大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体及びその製造方法の提供。【解決手段】セシウムタングステン酸化物の粉末から製造されるセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法であって、秤量工程では、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm2以上となるようにセシウムタングステン酸化物の粉末を秤量し、焼結工程では、セシウムタングステン酸化物の粉末を、真空又は不活性雰囲気下、焼結温度が900℃以上1100℃未満、最高温度での保持時間が4時間以上、最高温度までの昇温速度が7℃/min以下、焼結保持後の冷却速度が3℃/min以下、24.5MPa以上の圧力、昇圧速度1.5MPa/min以下、降圧速度1.5MPa/min以下の条件でホットプレス又は熱間静圧プレスする。【選択図】図1

Description

本発明は、セシウムタングステン酸化物薄膜を形成するために用いられる、セシウムタングステン酸化物の粉末から製造されるセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法、セシウムタングステン酸化物焼結体及びセシウムタングステン酸化物焼結体を用いた酸化物ターゲットに関する。
従来、太陽光線等を遮蔽するために、窓材などの遮光部材として、金属を蒸着した乾式膜が用いられている。
例えば特許文献1ではアルミニウムなどの金属を蒸着した乾式膜のハーフミラータイプの遮光部材が用いられている。しかしながら、特許文献1に記載されたような遮光部材は、外観がハーフミラーとなることから、野外で使用するには反射光がまぶしく、景観上の問題がある。
これに対して、特許文献2では、湿式法による複合タングステン酸化物薄膜を遮光部材として用いることを提案している。複合タングステン酸化物薄膜は、太陽光線、特に近赤外線領域の光を効率よく遮蔽すると共に、可視光領域の高透過率を保持するなど、優れた光学特性を発現する材料として知られている。
このような複合タングステン酸化物薄膜を得る別の手段として、蒸着法やスパッタリング法などの乾式法がある。大型の窓材の処理が可能な大型のスパッタリング装置などの製造設備が使用可能であれば、膜厚が均一で高品質な膜を得られ、かつ、生産性も高いという観点から、乾式法を用いることは好ましいといえる。なお、このような大型のスパッタリング装置などは、商業的に入手可能である。
特許文献3では、乾式法により複合タングステン酸化物薄膜を形成するために用いられる、複合タングステン酸化物焼結体を得るために、セシウムなどアルカリ金属、アルカリ土類金属を含む複合タングステン酸化物のターゲット材をホットプレス法で製造する製法が記載されている。
特開平9−107815号公報 特許第4096205号公報 特許第5169888号公報
しかしながら、上記の文献で作製されている焼結体は給粉重量が100g程度であり、記載されているターゲット密度と、ターゲット材として用いられている材料の厚みが一般に5〜15mm程度であることを考慮すると、大きさはφ30〜60mm程度(14〜28cm程度)であり小面積である。一方、焼結体の面積をそれ以上大きくすると割れが発生しやすいという問題があった。
そこで本発明は、乾式法によりセシウムタングステン酸化物薄膜を形成するために用いられるセシウムタングステン酸化物焼結体で、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法、セシウムタングステン酸化物焼結体及びセシウムタングステン酸化物ターゲットを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、セシウムタングステン酸化物の粉末から製造されるセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法であって、前記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量する秤量工程と、前記秤量工程で得られた前記セシウムタングステン酸化物の粉末をプレスし焼結する焼結工程とを有し、前記秤量工程では、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上となるように前記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量し、前記焼結工程では、前記セシウムタングステン酸化物の粉末を、真空又は不活性雰囲気下、焼結温度が900℃以上1100℃未満、最高温度での保持時間が4時間以上、最高温度までの昇温速度が7℃/min以下、焼結保持後の冷却速度が3℃/min以下、24.5MPa以上の圧力、昇圧速度1.5MPa/min以下、降圧速度1.5MPa/min以下の条件でホットプレス又は熱間静圧プレスすることを特徴とする。
このようにすれば、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を製造することができる。
このとき、本発明の一態様では、前記秤量工程では、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で181cm〜676cmとなるように前記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量しても良い。
このようにすれば、さらに大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を製造することができる。
このとき、本発明の一態様では、前記セシウムタングステン酸化物の粉末のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1としても良い。
このようにすれば、タングステンとセシウムの原子数の比率が最適となり、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を製造することができる。
このとき、本発明の一態様では、セシウムタングステン酸化物の粉末からなるセシウムタングステン酸化物焼結体であって、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上であり、前記セシウムタングステン酸化物焼結体のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1であり、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の曲げ強度の10点測定最小値が、40MPa以上であることを特徴とする。
このようにすれば、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を提供することができる。
このとき、本発明の一態様では、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で181cm〜676cmとしても良い。
このようにすれば、さらに大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を提供することができる。
このとき、本発明の一態様では、セシウムタングステン酸化物の粉末からなるセシウムタングステン酸化物焼結体を用いた酸化物ターゲットであって、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上であり、前記セシウムタングステン酸化物焼結体のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1であり、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の曲げ強度の10点測定最小値が、40MPa以上であるセシウムタングステン酸化物焼結体を用いたことを特徴とする。
このようにすれば、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を用いた酸化物ターゲットを提供することができる。
本発明によれば、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を提供することができる。ゆえに、大型のスパッタリングターゲットを用いることによって大面積基板に複合タングステン酸化物薄膜を形成することができる。特に本発明は遮光部材として好適な複合タングステン酸化物薄膜を大面積で形成する分野においてきわめて有用なものである。
図1は、本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法の概略を示す工程図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
本発明者らは、大型のセシウムタングステン酸化物焼結体の種々の製造上のパラメータが、焼結体の曲げ強度に影響を与え、自身の内部応力や工程上のハンドリングや機械加工等による外力によって割れに至っているという知見を見出しこの発明を完成するに至った。以下図面を用いながら詳細に説明する。
1.セシウムタングステン酸化物焼結体
2.セシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法
2−1.秤量工程
2−2.焼結工程
3.セシウムタングステン酸化物ターゲット
[1.セシウムタングステン酸化物焼結体]
本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体は、セシウムタングステン酸化物の粉末からなる。また、上記のセシウムタングステン酸化物焼結体は、セシウムタングステン酸化物薄膜を形成するために用いられる。
本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体は、タングステンとセシウムを主成分としている。遮光部材としては、特許文献3にあるようにCs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの1種とタングステンとの複合タングステン酸化物ターゲットが開示されている。また、この複合タングステン酸化物の相は、立方晶、正方晶、六方晶、および単斜晶のいずれか1種以上の結晶構造からなることが好ましい。
そこで、本発明では、赤外吸収特性を示す六方晶タングステンブロンズのうちもっとも赤外吸収特性が高いと言われており、遮蔽材料用として一般に用いられているセシウムタングステン酸化物について検討を行ったものである。CsとWの原子数の比率は、0.15〜0.50:1とする。
また、上記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上である。これは、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が100cm未満では大面積基板に適したスパッタリングターゲットを作製することができない。小さいサイズの焼結体を大量に並べて使うことも考えられるが、一般にスパッタリングターゲットは分割部が多いと放電が不安定になり異常放電を発生しやすい。またターゲット製造面の生産性でも大量に焼結体を作る必要があり好ましくない。焼結体平面の面積の上限は装置能力に制限され、ホットプレス又は熱間静圧プレス時のプレス圧を確保できる平面面積に制限される。たとえば装置能力上の最大荷重が300Ton、プレス圧条件を24.5MPa(250kgf/cm)とした場合1200cmが焼結体平面面積の上限となる。好ましくは、181cm〜676cmである。
このようにすれば、さらに大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を製造することができる。また、焼結体の生産効率も向上できる。さらに、焼結体を大型化して使用することで、小さいサイズの焼結体を大量に並べて使う場合と比べ、放電が安定し異常放電をより防止できる。
また、曲げ強度として40MPa以上の酸化物焼結体である必要がある。曲げ強度が40MPaより低いと焼結体の内部応力や工程上のハンドリングや機械加工等による外力によって割れを生じやすい。よって、焼結材の曲げ強度を40MPa以上とすることで、割れの抑制をすることが可能となる。また、強度が高いとターゲットになったときに高パワー密度の成膜を行っても割れを生じづらく、成膜レートを早くできるため生産性が向上する。
[2.セシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法]
図1は、本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法の概略を示す工程図である。本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法は、上記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量する秤量工程と、上記秤量工程で得られた前記セシウムタングステン酸化物の粉末をプレスし焼結する焼結工程とを有する。また、本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法によって得られたセシウムタングステン酸化物焼結体は、セシウムタングステン酸化物薄膜を形成するために用いられる。
最も赤外吸収特性が高いと言われており遮蔽材料用として一般に用いられているCsWOについて従来の製法に則って、例えば特許文献3の製造方法で100cm以上の大型の焼結体を作製したところ、焼結体の割れを発生しやすいという問題が明らかになった。従って上記の製造方法について大型の複合タングステン酸化物からなるターゲット材にそのまま適用できるわけではない。そこで本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法によれば、上記の問題を解決できる。以下工程ごとに詳細に説明する。
[2−1.秤量工程]
まず、既知の方法を用いてセシウムタングステン粉末を用意する。例えば、特許文献3にあるように、タングステン酸(HWO)に炭酸セシウムを添加して加水分解させた後に溶媒を蒸発させて得たタングステンの水和物を、乾式混合し、得られた混合粉体を、不活性ガス雰囲気および/ または還元性ガス雰囲気下で、熱処理(焼成)する。このセシウムタングステン酸化物の粉末を用いて、セシウムタングステン酸化物焼結体を製造する。
図1に示す秤量工程では、上記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量する。このとき、上記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上となるように上記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量する。
ここで面積が板状で100cmの焼結体とは、後述するホットプレス法又は熱間静圧プレス法にて焼結された焼結体を、切断加工および研削加工等の機械加工して所定の寸法に得られた焼結体とする。セシウムタングステン酸化物焼結体は板状であり、直方体の場合は、最も面積が広い2面のうち、1面を示す。円柱の場合は、円形の面積を示す。以下面積とは上記を示すものとする。よって、セシウムタングステン酸化物の粉末を板状で上記面積が100cm以上となるよう秤量することは、焼結後、所定の寸法が得られる焼結体形状に機械加工取り代を見込んだ量を秤量することとなる。
上記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で181cm〜676cmとなるように上記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量することがより好ましい。
また、上記セシウムタングステン酸化物の粉末のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1とすることが好ましい。0.15未満だとWOの焼結性が悪いため、焼結が十分進まず強度が低下する。0.50を超えると、潮解性のCsWO(タングステン酸セシウム)が出現するため、焼結体が空気中の水分と反応性して強度が低下する。好ましくは、0.33:1である。このようにすれば、タングステンとセシウムの原子数の比率が最適となり、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を製造することができる。
[2−2.焼結工程]
図1に示す焼結工程では、上記秤量工程で得られた上記セシウムタングステン酸化物の粉末をモールド型に充填する。その後、ホットプレス法又は熱間静圧プレス法にて焼結する。焼結された焼結体は、所定の寸法に切断加工および研削加工等の機械加工を行い、セシウムタングステン酸化物焼結体を得る。以下、詳細に説明する。
まず、セシウムタングステン酸化物焼結体は、セシウムタングステン酸化物の粉末を、上記のように秤量し、カーボン製のモ−ルド型に充填する。モールド型の材質は、特に限定されず、他の例としてはアルミナや窒化物系セラミックスなどのモールドが挙げられる。
次は、セシウムタングステン酸化物の粉末を充填したモ−ルド型をホットプレス法又は熱間静圧プレス法にて焼結する。このとき、上記セシウムタングステン酸化物の粉末を、真空又は不活性雰囲気下、焼結温度が900℃以上1100℃未満、最高温度での保持時間が4時間以上、最高温度までの昇温速度が7℃/min以下、焼結保持後の冷却速度が3℃/min以下、24.5MPa以上の圧力、昇圧速度1.5MPa/min以下、降圧速度1.5MPa/min以下の条件でホットプレス又は熱間静圧プレスする。
燒結温度が900℃よりも低いと、研削加工に耐えうる強度の焼結体が得られず、1100℃を超えると、Csなどの沸点の低い元素が揮散することより、上記セシウムタングステン酸化物焼結体を用いた酸化物ターゲット材における組成ずれを起したり、ターゲット材中にメタル相が析出したりするので好ましくない。
プレス圧も焼結体の強度の観点から24.5MPa(250kgf/cm)以上とする。プレス圧が24.5MPa(250kgf/cm) 未満では、曲げ強度が低下し好ましくない。なおプレス圧の上限は装置負荷の観点から決定すればよい。例えば、500Kgf/cm程度である。
本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法では、曲げ強度の最小値が40MPa以上になるように、焼結体の密度ムラを抑え、内部応力のバラツキを極力抑えることが重要である。例えば、最高温度までの昇温速度は7℃/min以下である。最高温度までの昇温速度が7℃/minより早いと焼結体に密度ムラが生じ、内部応力が残留し、焼結体取り出し後に割れを生じる。割れずに残った領域からサンプリングして曲げ強度を測定すると、曲げ強度は非常にバラツキの大きい結果が得られ、最小値は曲げ強度が低い値となる。
ここで、曲げ強度の測定について説明する。曲げ強度の測定は3点曲げ試験であり、これは試料の下側より2支点で試料を支え、支点間中央を試料の上から荷重(曲げ荷重)を加え破断させるというものである。荷重をかけたとき試料の下側には引張応力が生じる(試料の上側は圧縮応力となる)。試料下側に生じた引張応力が試料の引張強度を超えたときに試料が破断する。
次に試料内部に内部応力が残留している場合について説明する。内部応力には圧縮応力と引張応力がある。内部応力に圧縮応力が存在している場合は曲げ荷重によって試料下側に生じる引張応力に抗い、より高い荷重でも試料の引張強度に達せず、破断する曲げ荷重が大きくなる。結果として曲げ強度は大きく算出される。一方で試料内部の内部応力に引張応力が存在している場合は、曲げ荷重によって生じる引張応力に加算され、より低い荷重で引張強度に達し、破断する荷重が小さくなる。結果として曲げ強度は小さく算出される。
焼結体の密度ムラによって生じる内部応力は、密度の高い領域が密度の低い領域に拘束され生じる引張応力、逆に密度の低い領域は圧縮応力であるため、引張応力と圧縮応力が混在する。このため結果として曲げ強度が非常にバラツキの大きいものとなってしまう。
焼結体が割れを生じない曲げ強度の最小値は、40MPa以上である。よって、曲げ強度の最小値が40MPa以上になるようにするためには、焼結体の密度ムラを抑え、内部応力のバラツキを極力抑えることが重要である。この焼結体の密度ムラは、最高温度までの昇温速度、最高温度での保持時間、昇圧速度に影響を受ける。最高温度までの昇温速度は7℃/min以下である。なお、昇温速度の下限は生産性を考慮して決定すればよい。好ましくは、生産性を考慮し7℃/min〜2℃/minである。
最高温度での保持時間は4時間以上がよい。最高温度での保持時間が4時間より短いと、温度の均熱が悪く焼結体に密度ムラを生じ、内部応力が残留し、焼結体取り出し後に割れを生じる。保持時間の上限は生産性を考慮して決定すればよい。好ましくは、4時間から10時間である。このようにすれば、焼結体の温度の均熱が良く、密度ムラを防止し内部応力の残留をより抑えて割れをより防止できる。
昇圧速度は1.5MPa/min以下である。昇圧速度は、ホットプレス法又は熱間静圧プレス法でモールド型に圧力を掛ける時の速度である。昇圧は、昇温とともに開始し、所定の圧力に到達した時点で圧力を保持する。昇圧速度が1.5MPa/minより速いと、焼結が開始するより低温において、粉末が加圧され密度が高まる過程では粉末が移動しながら充填がなされていくが、昇圧が早すぎると粉末の移動が追随できずに密度ムラを生じる。結果、密度ムラによる内部応力が残留するため割れやすくなる。昇圧速度の下限は生産性を考慮して決定すればよい。好ましくは、0.5MPa/min〜1.5MPa/minである。
また、冷却速度は、3℃/min以下である。冷却速度が3℃/minより速いと焼結体中にマイクロクラックが多数発生し強度低下を引き起こし、焼結体取り出し後に割れを生じる。割れずに残った領域からサンプリングして曲げ強度を測定すると、極めて小さい曲げ強度を示す。これはマイクロクラックに応力集中するためである。冷却速度の下限は生産性を考慮して決定すればよい。好ましくは、3℃/min〜1℃/minである。このようにすれば、マイクロクラックに応力が集中することをより防止できる。
また、降圧速度1.5MPa/min以下とする。降圧速度は、ホットプレス法又は熱間静圧プレス法でモールド型に圧力を減圧する時の速度である。降圧は、温度保持終了後に降圧を開始する。降圧速度が、1.5MPa/minより速いと、スプリングバックにより焼結体に割れを生じる。降圧速度の下限は生産性を考慮して決定すればよい。好ましくは、0.5MPa/min〜1.5MPa/minである。
上記のように本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法によれば、上記焼結体は内部応力が少なく、曲げ強度の最小値が40MPa以上になり、焼結体の割れを防止することが可能となる。
その後、焼結された焼結体は、切断加工および研削加工等の機械加工を行い、板状で100cm以上のセシウムタングステン酸化物焼結体を得る。
本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法によれば、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を提供することができる。ゆえに、上記の大型のセシウムタングステン酸化物焼結体を用いた大型のスパッタリングターゲットによって、大面積基板に複合タングステン酸化物薄膜を形成することができる。本来、遮光部材は窓材など広い面積を覆う目的で使用されることから本発明は遮光部材として好適な複合タングステン酸化物薄膜を大面積で形成する分野においてきわめて有用なものである。
[3.セシウムタングステン酸化物ターゲット]
本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物ターゲットは、セシウムタングステン酸化物の粉末からなるセシウムタングステン酸化物焼結体を用いた酸化物ターゲットである。また、上記のセシウムタングステン酸化物ターゲットは、セシウムタングステン酸化物薄膜を形成するために用いられる。
本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物ターゲットは、上記のセシウムタングステン酸化物焼結体を用いて銅材やステンレス材などのバッキングプレートにインジウム等の接合材を用いて張合わせた(ボンディング)構造である。
上記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上である。また、上記セシウムタングステン酸化物焼結体のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1である。なお、好ましくは、0.33:1である。そして、上記セシウムタングステン酸化物焼結体の曲げ強度の10点測定最小値が、40MPa以上であるセシウムタングステン酸化物焼結体を用いる。
よって、焼結材の曲げ強度を40MPa以上とすることで、割れの抑制をすることが可能となる。また、強度が高いとターゲットになったときに高パワー密度の成膜を行っても割れを生じづらく、成膜レートを早くできるため生産性が向上する。
次に、本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法、セシウムタングステン酸化物焼結体及び酸化物ターゲットについて、実施例により詳しく説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
大口電子株式会社製セシウムタングステン酸化物粉末(型番:YM−01)を2200g秤量した。そして、200×200mmのカーボン製モ−ルドに充填し、プレス圧24.5MPa(250kgf/cm)、昇圧速度1.1MPa/min、降圧速度1.1MPa/minで、真空雰囲気で、昇温速度5℃/minで950℃まで昇温し、950℃で4時間保持したのち、冷却速度を3℃/minで冷却を行った。
得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は400cmであった。また、上記の焼結体を切断加工および研削加工し、φ152×5mmの円盤に加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で181.3cmとし、φ180mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて接着(ボンディング)しスパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りのセシウムタングステン酸化物焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は70.1MPa、最小値は61.9MPaであった。
なお、曲げ強度測定の条件は支点間距離30mm、支点間中央を圧子で1mm/minで変位させ荷重をかけ試料が破断した荷重から曲げ強度を算出した。支点および圧子の先端はR5mmのものを用いた。曲げ強度の算出に用いた関係式は以下のとおりである。
曲げ強度(MPa)=3×荷重(N)×支点間距離(mm)/(2×幅(mm)×厚み(mm)×厚み(mm))
(実施例2)
セシウムタングステン酸化物粉末を300×300mmのカーボン製モ−ルドに充填した以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は900cmであった。このセシウムタングステン酸化物焼結体を260×260×5mmに加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で676.0cmとし、同じものを8枚用意した。300×2200mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて8枚並べてボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りの焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は68.0MPa、最小値は61.3MPaであった。
(実施例3)
セシウムタングステン酸化物粉末を、200×200mmのカーボン製モ−ルドに充填し、プレス圧を24.5MPa(250kgf/cm)、真空雰囲気で、昇温速度7℃/minで900℃まで昇温し、900℃で4時間保持したのち、3℃/minで冷却を行った。それ以外は実施例1と同様とした。
得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は400cmであった。また、セシウムタングステン酸化物焼結体を切断加工および研削加工し、φ152×5mmの円盤に加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で181.3cmとし、φ180mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて接着(ボンディング)しスパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りの焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は52.3MPa、最小値は41.3MPaであった。
(実施例4)
セシウムタングステン酸化物粉末を、200×200mmのカーボン製モ−ルドに充填し、プレス圧を24.5MPa(250kgf/cm)、真空雰囲気で、昇温速度5℃/minで950℃まで昇温し、950℃で4時間保持したのち、3℃/minで冷却を行った。それ以外は実施例1と同様とした。
得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は400cmであった。また、セシウムタングステン酸化物焼結体を切断加工および研削加工し、φ113×5mmの円盤に加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で100.0cmとし、φ140mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて接着(ボンディング)しスパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りのセシウムタングステン酸化物焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は71.0MPa、最小値は62.2MPaであった。
(実施例5)
セシウムタングステン酸化物粉末を400×400mmのカーボン製モ−ルドに充填した以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は1600cmであった。このセシウムタングステン酸化物焼結体を350×350×5mmに加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で1225.0cmとし、同じものを8枚用意した。500×2200mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて8枚並べてボンディングし、スパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りのセシウムタングステン酸化物焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は70.5MPa、最小値は60.0MPaであった。
(実施例6)
セシウムタングステン酸化物粉末を、200×200mmのカーボン製モ−ルドに充填し、プレス圧を24.5MPa(250kgf/cm)、真空雰囲気で、昇温速度5℃/minで950℃まで昇温し、950℃で4時間保持したのち、1℃/minで冷却を行った。それ以外は実施例1と同様とした。
得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は400cmであった。また、セシウムタングステン酸化物焼結体を切断加工および研削加工し、φ152×5mmの円盤に加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で181.3cmとし、φ180mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて接着(ボンディング)しスパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りのセシウムタングステン酸化物焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は80.1MPa、最小値は63.5MPaであった。
(実施例7)
セシウムタングステン酸化物粉末を、200×200mmのカーボン製モ−ルドに充填し、プレス圧を24.5MPa(250kgf/cm)、真空雰囲気で、昇温速度5℃/minで950℃まで昇温し、950℃で6時間保持したのち、3℃/minで冷却を行った。それ以外は実施例1と同様とした。
得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は400cmであった。また、セシウムタングステン酸化物焼結体を切断加工および研削加工し、φ152×5mmの円盤に加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で181.3cmとし、φ180mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて接着(ボンディング)しスパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りのセシウムタングステン酸化物焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は82.3MPa、最小値は70.2MPaであった。
(実施例8)
セシウムタングステン酸化物粉末を、200×200mmのカーボン製モ−ルドに充填し、プレス圧を24.5MPa(250kgf/cm)、昇圧速度1.5MPa/min、降圧速度1.5MPa/minとした。それ以外は実施例1と同様とした。
得られたセシウムタングステン酸化物焼結体の面積は400cmであった。また、セシウムタングステン酸化物焼結体を切断加工および研削加工し、φ152×5mmの円盤に加工し、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が板状で181.3cmとし、φ180mmの無酸素銅製のバッキングプレートにインジウムロウ材を用いて接着(ボンディング)しスパッタリングターゲットを得た。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りのセシウムタングステン酸化物焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は60.5MPa、最小値は53.7MPaであった。
(比較例1)
昇温速度を10℃/minとした以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、残りのセシウムタングステン酸化物焼結体を100mm×7mm×5mmの短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は69.4MPa、最小値は18.6MPaであった。
(比較例2)
冷却速度を4℃/minとした以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、セシウムタングステン酸化物焼結体を短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は19.9MPa、最小値は8.9MPaであった。
(比較例3)
保持時間2時間とした以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、焼結体を短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は71.3MPa、最小値は19.1MPaであった。
(比較例4)
焼結温度を800℃とした以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、セシウムタングステン酸化物焼結体を短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は30.8MPa、最小値は18.4MPaであった。
(比較例5)
プレス圧を19.6MPaとした以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、セシウムタングステン酸化物焼結体を短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は29.4MPa、最小値は20.8MPaであった。
(比較例6)
昇圧速度を2.0MPa/minとした以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、セシウムタングステン酸化物焼結体を短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は51.0MPa、最小値は28.8MPaであった。
(比較例7)
降圧速度を2.0MPa/minとした以外は実施例1と同様に焼結体を作製した。また、製造工程中での割れの有無を確認した。
また、セシウムタングステン酸化物焼結体を短冊上に加工し、10回曲げ強度を測定したところ最大値は43.3MPa、最小値は26.5MPaであった。
(参考例)
カーボン製モールドφ110mmを用いた以外は、比較例1〜5の条件にてセシウムタングステン酸化物焼結体を作製した。また、製造工程中での割れを確認した。以上の結果を表1に示す。
Figure 2019038720
*φは円の形状を示し、□は四角形の形状を示す。
全ての実施例において、製造工程中での焼結体の割れは確認されなかった。また、全ての実施例において、曲げ強度の10点測定最小値が24.5MPa以上(41.3MPa以上)となり、高い値を示した。さらに、昇温速度、冷却速度及び保持時間がそれぞれ、5℃/min、3℃/min、4時間とした条件において、セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が181cm〜676cmとした実施例1、2は、曲げ強度の10点測定最小値が特に高く、割れに対して有効であった。
また、昇温速度、冷却速度、昇圧速度及び降圧速度が小さいほど、曲げ強度の10点測定最小値が高くなる傾向にあった。さらに、保持時間が長いほど、曲げ強度の10点測定最小値が高くなる傾向にあった。また、昇温温度が小さいほど、曲げ強度の10点測定最小値が小さくなる傾向にあった。
一方、昇温速度を10℃/minとした比較例1、冷却速度を4℃/minとした比較例2及び、保持時間2時間とした比較例3において、モールドから取り外し後すぐに焼結体の割れが確認された。
また、焼結温度を800℃とした比較例4及び、プレス圧を19.6MPaとした比較例5において、モールドから取り外した際は焼結体の割れが確認されなかったが、研削加工において割れが確認された。比較例6では、研削加工において割れが確認された。比較例7ではモールドから取り外し後すぐに焼結体の割れが確認された。
また、カーボン製モールドφ110mmを用いた参考例において、いずれの場合も割れを生じることはなかったが、スパッタリングターゲットとした際にφ90mm程度のものしか作製することができず、大面積の基板の成膜に用いることはできなかった。小さいサイズの焼結体を大量に並べてボンディングすることも考えられるが、一般にスパッタリングターゲットは分割数が多いと放電が不安定になり異常放電を発生しやすい。またターゲット製造の生産性の面でも好ましくない。
以上より、本発明の一実施形態に係るセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法、セシウムタングステン酸化物焼結体及び酸化物ターゲットによれば、大型化しても割れを抑制することが可能なセシウムタングステン酸化物焼結体を提供することができた。ゆえに、大型のスパッタリングターゲットを用いることによって大面積基板に複合タングステン酸化物薄膜を形成することができた。特に本発明は遮光部材として好適な複合タングステン酸化物薄膜を大面積で形成する分野においてきわめて有用なものである。
なお、上記のように本発明の各実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法、セシウムタングステン酸化物焼結体及び酸化物ターゲットの構成、動作も本発明の各実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
S1 秤量工程、S2 焼結工程

Claims (6)

  1. セシウムタングステン酸化物の粉末から製造されるセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法であって、
    前記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量する秤量工程と、
    前記秤量工程で得られた前記セシウムタングステン酸化物の粉末をプレスし焼結する焼結工程とを有し、
    前記秤量工程では、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上となるように前記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量し、
    前記焼結工程では、前記セシウムタングステン酸化物の粉末を、真空又は不活性雰囲気下、焼結温度が900℃以上1100℃未満、最高温度での保持時間が4時間以上、最高温度までの昇温速度が7℃/min以下、焼結保持後の冷却速度が3℃/min以下、24.5MPa以上の圧力、昇圧速度1.5MPa/min以下、降圧速度1.5MPa/min以下の条件でホットプレス又は熱間静圧プレスすることを特徴とするセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法。
  2. 前記秤量工程では、前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で181cm〜676cmとなるように前記セシウムタングステン酸化物の粉末を秤量することを特徴とする請求項1に記載のセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法。
  3. 前記セシウムタングステン酸化物の粉末のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のセシウムタングステン酸化物焼結体の製造方法。
  4. セシウムタングステン酸化物の粉末からなるセシウムタングステン酸化物焼結体であって、
    前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上であり、
    前記セシウムタングステン酸化物焼結体のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1であり、
    前記セシウムタングステン酸化物焼結体の曲げ強度の10点測定最小値が、40MPa以上であることを特徴とするセシウムタングステン酸化物焼結体。
  5. 前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で181cm〜676cmであることを特徴とする請求項4に記載のセシウムタングステン酸化物焼結体。
  6. セシウムタングステン酸化物の粉末からなるセシウムタングステン酸化物焼結体を用いた酸化物ターゲットであって、
    前記セシウムタングステン酸化物焼結体の面積が、板状で100cm以上であり、
    前記セシウムタングステン酸化物焼結体のセシウムとタングステンの原子数の比率が、0.15〜0.50:1であり、
    前記セシウムタングステン酸化物焼結体の曲げ強度の10点測定最小値が、40MPa以上であるセシウムタングステン酸化物焼結体を用いたことを特徴とするセシウムタングステン酸化物ターゲット。
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