JP2003321224A - ペロブスカイト型ランタンコバルト酸化物の製造方法 - Google Patents
ペロブスカイト型ランタンコバルト酸化物の製造方法Info
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Abstract
せず、比較的低温域での焼成反応により、効率よく所望
の粒子径を有する粉末状のランタンコバルト酸化物を収
得しうる改良された製造方法を提供する。 【解決手段】 塩化ランタン、塩化コバルトおよびアル
カリ金属の水酸化物を混合粉砕後熱処理し洗浄すること
を特徴とし、該熱処理としては450〜800℃でなさ
れることが好ましく、塩化ランタン、塩化コバルトおよ
びアルカリ金属の水酸化物の反応モル比としては1:
1:5であることが好ましく、アルカリ金属の水酸化物
としては水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである
ことが好ましい。
Description
性のペロブスカイト型複合酸化物の一種である、ペロブ
スカイト型ランタンコバルト酸化物の製造方法に関す
る。詳細には、自動車用貴金属代替触媒や燃料電池の酸
素用電極として有用な粉末状のペロブスカイト型ランタ
ンコバルト酸化物の製造方法に関する。
は、固相法あるいは共沈澱法等によって得られた前駆体
であるような材料からバインダー混合、焼結および粉砕
工程を経由して製造する方法が知られている。しかしな
がら何れの製造方法も、ペロブスカイト型複合酸化物を
製造する前駆体であるような材料および原材料の焼結に
際して多大なエネルギーを必要とし、また焼結物の粉砕
時に不純物が混入する恐れや、物理的な力による構造的
結晶歪が生起する可能性等種々の問題点を有する。その
ため粉砕工程を伴わない方法、すなわち焼結による粒成
長を抑制するための抑制剤の添加、あるいは粒成長が著
しく進行する前の状態である仮焼程度に焼結を留めてお
く方法等も試みられている。前者の粒成長抑制剤を添加
する方法は、添加する抑制剤の種類によっては製品の特
性に悪影響を及ぼし、また予期せぬ不純物等が混入する
恐れもあるために、粒成長抑制剤の種類および添加方法
が限定され、さらには製造する製品の設計も制限され
る。さらに後者の仮焼程度に留める場合でも、その原材
料の焼結が不完全であるために、使用に際して再度高温
で焼結する必要があり、製品として成型を行なう場合、
焼結過程で原料の収縮等によりひび割れ等が発生しやす
く、特別の注意を必要とする。
ペロブスカイト型複合酸化物粉末を得る水熱合成法およ
びゾル−ゲル法も考案されてはいる。しかしながら前者
の水熱合成法によるペロブスカイト型複合酸化物粉末の
製造には、およそ数十気圧、200℃以上の反応条件を
必要とする工程が含まれるため、実験室レベルでの研究
はかなり行なわれているが、工業化する場合には製造装
置が複雑になり、実用的ではない。また後者のアルコキ
シドを使用したゾル−ゲル法によるペロブスカイト型複
合酸化物粉末の製造方法は、近年電子材料の分野におけ
る微細加工技術の面で注目され研究が行なわれてはいる
が、原材料が高価であるため製造コスト的に問題があっ
た。また、これらいずれの製造方法も、多工程でしかも
得られたペロブスカイト型複合酸化物粉末は、分散性、
流動性等に劣るという欠点を有する。
ペロブスカイト型複合酸化物粉末製造における欠点、す
なわち焼結および粉砕に多大のエネルギーを必要とし、
しかも多工程であり、かつ得られた粉末は分散性、流動
性に劣り、製造コストも高いという欠点を克服するため
に鋭意検討した結果、機械的な化学反応を起こす現象を
利用した合成方法であるメカノケミカル(MC)反応を
使用し、複合酸化物の原料を混合粉砕し、低温加熱によ
り、さらに第3原料成分としてアルカリ金属の水酸化物
を配合することにより、適度な微粒子で高分散性のペロ
プスカイト型複合酸化物の粉末を、前駆体であるような
材料あるいはそれらの混合物からバインダー混合、焼結
及び粉砕、さらには再度焼結および粉砕という煩雑な工
程を経由することなく、直接製造できることを見出し
た。
重ねて検討した結果、本発明を完成するに至ったもので
ある。そして、本発明は、オートクレーブ等の特殊な反
応容器を必要とせず、比較的低温域での焼成反応によ
り、効率よく所望の粒子径を有する粉末状のランタンコ
バルト酸化物を収得しうる改良された製造方法を提供す
ることを目的とする。
めに、本発明は以下の構成からなるものである。 (1)塩化ランタン、塩化コバルトおよびアルカリ金属
の水酸化物を混合粉砕後、熱処理し、洗浄することを特
徴とするペロブスカイト型ランタンコバルト酸化物の製
造方法。 (2)熱処理が450〜800℃でなされることを特徴
とする前記(1)記載のペロプスカイト型ランタンコバ
ルト酸化物の製造方法。
アルカリ金属の水酸化物の反応モル比が、1:1:5で
あることを特徴とする前記(1)記載のペロブスカイト
型ランタンコバルト酸化物の製造方法。 (4)アルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリウムまた
は水酸化カリウムであることを特徴とする前記(1)記
載のペロブスカイト型ランタンコバルト酸化物の製造方
法。
ト型ランタンコバルト酸化物の原料である塩化ランタ
ン、塩化コバルトおよびアルカリ金属の水酸化物(第3
原料成分)をMC処理により水酸化ランタン、水酸化コ
バルトおよびNaClに変化させる。ここで、メカノケ
ミカル反応は、物質に機械的エネルギーを与えることで
物質の結合状態を変化させることにより、その物理化学
的性質の変化や、周囲の物質との反応を生じさせる現象
を利用した反応である。このエネルギー付与操作は、基
本的には非加熱操作であるが、発現する現象のエネルギ
ーレベルは、熱力学のそれを上回るといわれている。こ
れは、加熱では得られない物質もしくはプロセスがメカ
ノケミカル(MC)法により達成できる可能性を示唆し
ている。
は、固体に機械的エネルギーを加えると表面の物理化学
的性質が変化し、周囲に化学変化をもたらすか、または
周囲との界面で化学反応を起すなどの化学的に影響を及
ぼす現象のことを称するものである。すなわち、機械的
な力が加えられることによって、物質に化学的ないし物
理化学的変化が生ずる現象を指す。これには研磨作用や
粉砕作用が固体表面の結晶構造を変化させる現象、粉砕
作用が固体の結晶を変化させたり、固体表面を活性化す
ることによって粉体の電磁的性質を変えたり特異な反応
を誘起する現象、また強い液体の撹拌作用や粉砕作用が
高分子の重合度低下やブロック重合を誘起する現象など
が見出されている。
じさせる装置としては遊星ボールミルを使用する。これ
は広義のボールミルの一種であり、数個のポットないし
円筒状のミルが自転しつつ、その回転軸と平行な軸のま
わりを大きく公転する構造をもっている。この回転軸が
水平(ハイスイングボールミル)のものと垂直のものが
ある。ミルの複雑な運動に伴ってミル内のボールないし
化合物も複雑な動きを示し、比較的大きい粉砕比で微粉
砕から超粉砕まで行うものと考えられる。複雑な構造
上、回分粉砕が一般であるが、連続粉砕操作も行われて
いる。
とによって、下記の作用・効果を生じる。還元反応等の
優れた触媒能を示すペロブスカイト型ランタンコバルト
酸化物の一般的な高温固相反応法による合成では100
0℃以上の高温が必要であり、焼結が進行するため高比
表面積が望めない。これに対しMC反応を利用した低温
加熱合成では焼結が生じないため、しかも、第3原料成
分を併用しているため焼成時の酸化物成分の融着が防止
され、洗浄により生成した第3原料成分からの反応生成
物が溶出除去され、極めて容易に粒子化できるため、微
粒子の凝集体が得られ、比表面積も高温固相反応法のそ
れに比べ高い値を示す。ここで、触媒のような機能性材
料ではより高分散した状態が望ましい。
ような、高価な原料を使用する必要がないため、低廉な
製品が収得できる。しかも、従来の単なるMC法と異な
り、複合酸化物用原料成分に加えて、上記した第3原料
成分としてアルカリ金属の水酸化物を併用したことによ
り、従来のMC法による複合成分に比べて微細な粒径で
ありながら、結晶性、分散性、均一性に優れた粒状のペ
ロブスカイト型ランタンコバルト複合酸化物を製造でき
る。
ルト複合酸化物の原料である塩化ランタンと塩化コバル
トの反応モル比は、1:1であることが好ましい。どち
らかの原料が多いと粒径が小さくなり分散性が低下する
などの障害を生じる。また第3原料成分としてのアルカ
リ金属水酸化物の反応モル比も、前記モル比1:1の原
料混合物に対して5モルであることが好ましい。なお、
焼成温度を450℃以上とするのは、それより低温度で
は、焼成反応の完結に長時間を要し、一方、800℃を
越える高温域では、生成するペロブスカイト結晶粒の成
長粗大化、および粒子同志の焼結を生じ、健全な粒子形
態を有する製品粉末が得られなくなるからである。
化物の混合は、MC反応を行う際に複合酸化物の原料成
分の混合と同時に行う。こうすることにより、アルカリ
金属の水酸化物を第3原料成分として配合し、MC反応
後に焼成反応を行わせる本発明においては、焼成反応過
程で、第3原料成分からの反応生成物が適度に分散され
ているため、最終生成物であるランタンコバルト酸化物
の焼結を防ぐことができる。その焼成反応は常圧で行う
ことができ、水熱法の実施のような特殊な反応容器を必
要としない。また、第3原料成分からの反応生成物は水
に可溶性であるので、反応終了後、焼成物を水等で洗浄
処理することにより、容易に溶解除去することができ
る。しかも、得られるランタンコバルト酸化物の粉末の
粒子径は、原料混合物における第3原料成分の配合量お
よび焼成処理温度により制御することができ、焼成物
は、機械的粉砕処理を必要とせず、第3原料成分からの
生成物を溶解除去する洗浄処理工程で軽度の撹拌ないし
振動を付加する簡単な措置で、所望の粒度を有するラン
タンコバルト複合酸化物粉末が取得される。
カイト型ランタンコバルト酸化物の構成元素Laおよび
Coの塩化物を用い、これらと固体のアルカリ金属の水
酸化物をMC処理(混合粉砕)する。これにより、
(1)微細な構成元素の水酸化物およびアルカリ金属の
塩化物を得る、(2)このアルカリ金属の塩化物により
熱処理時の焼結を抑制する、(3)MC法による合成温
度の低温化により焼結を抑制する、(4)水洗浄により
アルカリ金属の塩化物を溶出し容易に粒子化する、とい
った効果を狙い、高分散性の目的生成物の合成が行え
る。
本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例)本実施例においては、混合粉砕にはFRIT
SCH社製遊星ボールミルP−7を用いた。ポットはZ
rO2製で容量45mlのものを用い、ボールはZrO2
製で直径15mmのものを7個使用した。回転数は70
0rpmとした。原料として塩化ランタンおよび塩化コ
バルトを、副原料(第3原料成分)として水酸化ナトリ
ウムを、モル比1:1:5となるように合計3gを3時
間混合粉砕した。混合粉砕後、空気雰囲気中600℃で
1時間焼成し、イオン交換水で洗浄したのち遠心分離器
で粉体を回収した。粉体は空気雰囲気100℃で2時間
乾燥させた。すなわち、焼成処理後、焼成物から第3原
料成分からの生成物である水酸化ナトリウム(および未
反応残留物)を除去する洗浄処理を施して目的物である
ランタンコバルト酸化物粉末を回収した。
後のサンプルのX線回析(XRD)パターンを示す。混
合粉砕により塩化ナトリウムおよびランタン水酸化物が
生成されており、また焼成処理後の水洗によりLaCo
O3単相のピークが得られた。比較のため、図2に合成
方法の異なるLaCoO3のXRDパターンを示す。高
温固相法600℃で合成したサンプル(C)では未反応
物質のピークが検出されていることから、本発明の方法
では期待していた合成温度の低温化が確認できた。な
お、図2において、(A)は本発明の方法の600℃で
焼成したもの、(B)は混合粉砕のみで焼成を行わない
もの、(C)は混合粉砕なしで600℃で焼成した高温
固相法のサンプル、(D)は混合粉砕なしの高温固相法
1000℃で焼成したサンプルを示す。
A)および走査型電子顕微鏡写真(SEM)による評価
を行った。図3に合成方法の異なるLaCoO3のSE
M写真およびその粉体のSSAを示す。高温固相反応で
得た(C)は、焼結が進行しておりSSAも1m2/g
であった。これに対し本発明の方法(A)では、混合粉
砕のみで焼成処理を行わない方法(B)と同様の微細な
一次粒子で構成されており、しかも分散状態が向上した
ためそれに伴いSSAも向上した。
反応容器を必要とせず、また従来の固相合成法と異なっ
て比較的低温度域での焼成処理により、粉末状のペロブ
スカイト型ランタンコバルト酸化物を得ることができ
る。その製造工程においては、焼成物を粉砕処理する必
要もなく、副原料からの生成物であるアルカリ金属の塩
化物を水で溶出除去することにより、結晶性、分散性、
均一性に優れた微細な機能性材料用のペロブスカイト型
ランタンコバルト複合酸化物の粉末を収得することがで
きる。
の方法の各工程後のX線回析パターンである。
ーンである。
鏡写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 塩化ランタン、塩化コバルトおよびアル
カリ金属の水酸化物を混合粉砕後、熱処理し、洗浄する
ことを特徴とするペロブスカイト型ランタンコバルト酸
化物の製造方法。 - 【請求項2】 熱処理が450〜800℃でなされるこ
とを特徴とする請求項1記載のペロプスカイト型ランタ
ンコバルト酸化物の製造方法。 - 【請求項3】 塩化ランタン、塩化コバルトおよびアル
カリ金属の水酸化物の反応モル比が、1:1:5である
ことを特徴とする請求項1記載のペロブスカイト型ラン
タンコバルト酸化物の製造方法。 - 【請求項4】 アルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリ
ウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求
項1記載のペロブスカイト型ランタンコバルト酸化物の
製造方法。
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CN105084420A (zh) * | 2015-08-24 | 2015-11-25 | 济南大学 | 一种abo3钙钛矿结构纳米金属氧化物的制备方法 |
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- 2002-05-01 JP JP2002129904A patent/JP4067866B2/ja not_active Expired - Fee Related
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