JP4307313B2 - メカノケミカル法によるペロブスカイト型複合酸化物の合成方法 - Google Patents

メカノケミカル法によるペロブスカイト型複合酸化物の合成方法 Download PDF

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本発明は、微粒子状で高分散性のペロブスカイト型複合酸化物(ABO3)の一種である、LaFeO3のFeの一部をCo−Pdで置換したLaFeCoPdO3の合成方法に関する。詳細には、長期間使用可能な自動車の排気ガス浄化用触媒として有用なペロブスカイト型複合酸化物の合成方法に関する。
具体的には、本発明は、ペロブスカイト型ランタン鉄酸化物の鉄の一部をコバルトおよびパラジウムで置換したペロブスカイト型複合酸化物の合成方法に関する。
従来から、ペロブスカイト型複合酸化物は、固相法あるいは共沈澱法等によって得られた前駆体であるような材料からバインダー混合、焼結および粉砕工程を経由して製造する方法が知られている。しかしながら何れの製造方法も、ペロブスカイト型複合酸化物を製造する前駆体であるような材料および原材料の焼結に際して多大なエネルギーを必要とし、また焼結物の粉砕時に不純物が混入する恐れや、物理的な力による構造的結晶歪が生起する可能性等種々の問題点を有する。そのため粉砕工程を伴わない方法、すなわち焼結による粒成長を抑制するための抑制剤の添加、あるいは粒成長が著しく進行する前の状態である仮焼程度に焼結を留めておく方法等も試みられている。前者の粒成長抑制剤を添加する方法は、添加する抑制剤の種類によっては製品の特性に悪影響を及ぼし、また予期せぬ不純物等が混入する恐れもあるために、粒成長抑制剤の種類および添加方法が限定され、さらには製造する製品の設計も制限される。さらに後者の仮焼程度に留める場合でも、その原材料の焼結が不完全であるために、使用に際して再度高温で焼結する必要があり、製品として成型を行なう場合、焼結過程で原料の収縮等によりひび割れ等が発生しやすく、特別の注意を必要とする。
他方、焼結あるいは粉砕工程を伴わないでペロブスカイト型複合酸化物粉末を得る水熱合成法およびゾル−ゲル法も考案されてはいる。しかしながら前者の水熱合成法によるペロブスカイト型複合酸化物粉末の製造には、およそ数十気圧、200℃以上の反応条件を必要とする工程が含まれるため、実験室レベルでの研究はかなり行なわれているが、工業化する場合には製造装置が複雑になり、実用的ではない。また後者のアルコキシドを使用したゾル−ゲル法によるペロブスカイト型複合酸化物粉末の製造方法は、近年電子材料の分野における微細加工技術の面で注目され研究が行なわれてはいるが、原材料が高価であるため製造コスト的に問題があった。また、これらいずれの製造方法も、多工程でしかも得られたペロブスカイト型複合酸化物粉末は、分散性、流動性等に劣るという欠点を有する。
ところで、自動車から排出される排気ガス浄化用三元触媒としては、アルミナ担体にPt、Rh、Pdなどの貴金属を担持した貴金属触媒が実用化されて広く使用されている。また、希土類金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から構成されるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物に貴金属を共存(担持)させた触媒は、CO、HC及びNOxを浄化する安価な排気ガス浄化用三元触媒として実用化が期待されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの触媒では微細なペロブスカイト型複合酸化物表面に、Pdなどの貴金属が分散された状態で担持されている。しかし、貴金属元素がペロブスカイト型複合酸化物の表面に担持された状態では、高温で使用され続けている間に貴金属元素が凝集体となり、貴金属元素の分散度が小さくなって触媒活性等の特性が劣化し易い。
そこで、貴金属元素の分散度を向上させて触媒活性を良好に維持させるために、貴金属元素をペロブスカイト型構造の結晶格子中に取り込む方法(ドーピング)が提案されている(例えば、非特許文献1及び2参照)。一例としてPdをドープした場合、排ガスが酸化雰囲気中ではそのPdはペロブスカイト構造中に留まっているが、還元雰囲気になると1nm〜3nmの金属微粒子としてペロブスカイト型酸化物の表面に析出し触媒として機能する。そして再度酸化雰囲気となった際にはペロブスカイト構造中に戻り複合酸化物となるため粒子成長を抑制することができ、長期間使用可能な自動車の排気ガス浄化用触媒になりうるとの報告がある(例えば、非特許文献3参照)。
その製造方法としては、貴金属元素を含むペロブスカイト型複合酸化物を構成する金属元素の塩とクエン酸とを溶解した水溶液を調製し、それを乾燥させることにより金属元素とクエン酸との錯体を形成した後、その錯体を真空中又は不活性ガス中で350℃以上に加熱して仮焼成体とし、それを酸化雰囲気中で焼成することによりペロブスカイト型複合酸化物を形成する方法(例えば、特許文献4参照)や、貴金属元素を除く金属元素の金属アルコキシアルコラートを有機溶媒に溶解して混合アルコキシアルコラート溶液としたものを、ペロブスカイト型複合酸化物を構成する貴金属の塩の水溶液により加水分解した後、有機溶媒及び水分を除去してペロブスカイト型複合酸化物の前駆体を形成する工程と、その前駆体を酸化雰囲気中、500〜800℃、好ましくは500〜600℃で焼成してペロブスカイト型複合酸化物とする方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。これらの方法は溶液法であり、原料が高価なことや、加水分解速度のコントロール等、複雑な工程が含まれている。
特開昭59−87046号公報 特開昭60−82138号公報 特開平1−168343号公報 特開平6−100319号公報 特開平8−217461号公報 D.B.Meadowcr,NATURE,226(1970)847−848 W.F.Libby,SCIENCE,171(1971)499−500 Y.Nishihata,J.Mizuki,T.Akao,H.Tanaka,M.Uenishi,M.Kimura,T.Okamoto,N.Hamada,NATURE,418(2002)164−167
本発明者等は、従来のペロブスカイト型複合酸化物粉末製造における欠点、すなわち焼結および粉砕に多大なエネルギーを必要とし、しかも多工程であり、かつ得られた粉末は分散性、流動性に劣り、製造コストも高いという欠点を克服するために鋭意検討した結果、機械的な化学反応を起こす現象を利用した合成方法であるメカノケミカル(MC)反応を使用し、複合酸化物の原料を混合粉砕し、低温加熱により、さらに第3原料成分としてアルカリ金属の水酸化物を配合することにより、適度な微粒子で高分散性のペロブスカイト型複合酸化物の粉末を、前駆体であるような材料あるいはそれらの混合物からバインダー混合、焼結及び粉砕、さらには再度焼結および粉砕という煩雑な工程を経由することなく、直接製造できることを見出した。
本発明者等は、かかる知見に基づきさらに重ねて検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。そして、本発明は、オートクレーブ等の特殊な反応容器を必要とせず、比較的低温域での焼成反応により、効率よく所望の粒子径を有する粉末状の複合酸化物(ABO3)を収得しうる改良された合成方法を提供することを目的とする。
本発明者等は上記の目的を達成するために、本発明者等がこれまで提案してきた簡単・確実なペロブスカイト型酸化物(ABO3)の合成法において、同酸化物構造中のBサイトに複数種の金属イオンを置換できるかどうかについて鋭意研究を続け、LaFeO3を基本とし、Feの一部をCo−Pdで置換したLaFe0.57Co0.38Pd0.053(以下LFCPO)の合成に成功するに至った。
すなわち、本発明は上記の目的を達成するために下記の構成からなるものである。
(1)塩化ランタン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化パラジウムおよびアルカリ金属の水酸化物を混合粉砕後、熱処理し、洗浄することを特徴とするペロブスカイト型複合酸化物の合成方法。
(2)熱処理が500〜600℃でなされることを特徴とする請求項1記載のペロプスカイト型複合酸化物の合成方法。
(3)塩化ランタン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化パラジウムおよび水酸化ナトリウムのモル比が、La:Fe:Co:Pd:Na=1:0.57:0.38:0.05:5.57であることを特徴とする請求項1記載のペロブスカイト型複合酸化物の合成方法。
(4)アルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする前記(1)記載のペロブスカイト型複合酸化物の合成方法。
本発明では、MC処理−加熱処理−水洗・遠心分離により高分散性ペロブスカイト型複合酸化物(ABO3)の合成において、Bサイトに複数の金属イオン(Co、Fe、Pd)を同時に置換するMC法によるペロブスカイト型複合酸化物の合成方法において、以下の優れた効果を得た。
(1)本プロセスにより高分散性La−Fe−Co−O系複合酸化物(LFCO)が合成でき、また、この物質に微量のPdをドープできる。
(2)PdO等のパラジウム化合物は750℃以上で金属Pdに分解してしまうため、高温固相法によりドープすることは難しいが、本発明の方法によると、焼成過程で600℃程度の加熱操作でLa−Fe−Co−Pd系ペロブスカイト型複合酸化物が合成できる。
本発明においては、MC反応を生じさせる装置としては遊星ボールミルを使用する。これは広義のボールミルの1種であり、数個のポットないし円筒状のミルが自転しつつ、その回転軸と平行な軸のまわりを大きく公転する構造をもっている。この回転軸が水平(ハイスイングボールミル)のものと垂直のものがある。ミルの複雑な運動に伴ってミル内のボールないし化合物も複雑な動きを示し、比較的大きい粉砕比で微粉砕から超粉砕まで行うものと考えられる。複雑な構造上、回分粉砕が一般であるが、連続粉砕操作も行われている。
上記の反応原理および反応装置を用いることによって、下記の作用・効果を生じる。還元反応等の優れた触媒能を示すペロプスカイト型複合酸化物の一般的な高温固相反応法による合成では1000℃以上の高温が必要であり、焼結が進行するため高比表面積が望めない。これに対しMC反応を利用した低温加熱合成では焼結が生じないため、しかも、第3原料成分を併用しているため焼成時の酸化物成分の融着が防止され、洗浄により生成した第3原料成分からの反応生成物が溶出除去され、極めて容易に粒子化できるため、微粒子の凝集体が得られ、比表面積も高温固相反応法のそれに比べ高い値を示す。ここで、触媒のような機能性材料ではより高分散した状態が望ましい。
本発明のペロブスカイト型の複合酸化物の原料である塩化ランタンと塩化鉄および塩化コバルトまたは塩化コバルトと塩化パラジウムを合わせたものの反応モル比は、1:1であることが好ましい。どちらかの原料が多いと粒径が小さくなり分散性が低下するなどの障害を生じることがある。また第3原料成分としてのアルカリ金属水酸化物の反応モル比も、前記モル比1:1の原料混合物に対しておおよそ5.6モルであることが好ましい。なお、焼成温度を500℃以上とするのは、それより低温度では、焼成反応の完結に長時間を要し、一方、600℃を超える高温域では、生成するペロブスカイト結晶粒の成長粗大化、および粒子同志の結晶を生じ、健全な粒子形態を有する製品粉末が得られなくなるからである。
本発明の方法では、原材料としてペロブスカイト型複合酸化物の構成元素La、Fe、Co、Pdの塩化物を用い、これらと固体のアルカリ金属の水酸化物をMC処理(混合粉砕)する。これにより、
(1)微細な構成元素の水酸化物およびアルカリ金属の塩化物を得る、(2)このアルカリ金属の塩化物により熱処理時の焼結を抑制する、(3)MC法による合成温度の低温化により焼結を抑制する、(4)水洗浄によりアルカリ金属の塩化物を溶出し容易に粒子化する、といった効果を狙い、高分散性の目的生成物の合成が行える。
以下に、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
A.試料と実験方法
1.試料とMC処理
原料には、塩化ランタン(LaCl3、粒径=〜10mesh,Aldrich Chemical Company,Inc.製)、塩化コバルト(CoCl2 和光純薬工業(株)製)、塩化鉄(III)(FeCl3 和光純薬工業(株)製)、水酸化ナトリウム(NaOH、粒状、和光純薬工業(株)製)、塩化パラジウム(II)(PdCl2 和光純薬工業(株)製)を使用した。これらをLa:Fe:Co:Pd:Na=1:0.57:0.38:0.05:5.57(モル比)となるように混合した。
メカノケミカル(MC)反応を発現させるための粉砕機として遊星ミル(Fritsch社(Germany)Pulverisette−7)を用いた。本実施例ではミルポット(容量45cm3、ZrO2製)に混合試料3gと媒体(ボール)(直径15mm、ZrO2製)を7個装填し、ミル回転速度700rpmという一定速度で粉砕時間を1時間とし、空気雰囲気下でMC処理(粉砕処理)した。次に、得られた前駆体(粉砕産物)をアルミナ製ルツボで600℃、1時間加熱処理を行った。最後に焼成物を純水で洗浄し、遠心分離機で固液分離することを繰り返すことによって不要な塩化ナトリウムを除去した後、得られた固体粉末を乾燥機により105℃で乾燥させた。
2.試料の評価
1)構成相同定および化学結合状態の測定
前駆体、焼成後サンプルおよび洗浄後サンプルの構成相同定にはX線回折装置((株)リガク製 RAD−B)を用いた。ターゲットはCuであり、加速電圧35kV、管電流20mAとし、グラファイト製モノクロメーターを使用し、CuKα線で測定を行った。これにより得られたX線の回折角と相対強度をJCPDSカードと照合し、試料の組成相の同定を行った。また、Perkin Elmer社製 PHI 5600 ESCA systemを用いて表面層の化学結合状態を測定した。
2)走査型電子顕微鏡(SEM)による表面の形態観察
試料の表面形態観察には走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所(株)製 S−4100L)を用いた。試料を試料台上にカーボンテープで固定し、Ptコーティングしたものを加速電圧10kVで観察した。
3)透過型電子顕微鏡(TEM)による一次粒子の観察
合成物粒子の観察には透過型電子顕微鏡(TEM、Zeiss LEO 912 OMEGA microscope、加速電圧100kV)を用いた。観察用の試料はコロジオン膜貼り付けメッシュ(日新EM製、400メッシュ)上にサンプルを分散させたエタノールを数滴滴下し、室温で乾燥させて作成した。
4)比表面積測定
得られた試料の比表面積の測定は高速比表面積・細孔分布測定装置(マイクロメリティックス社製 ASAP2010)を使用した。吸着ガスにはN2を用いて、比表面積の解析法としてBET法で計算し、測定値を算出した。
B.実験結果と考察
1.La―Fe−Co−Pd−O(LFCPO)の合成
図1にLaCl3、FeCl3、CoCl2、PdCl2およびNaOHの混合物を出発物質とし、遊星ミルを用いてMC処理した試料のXRDパターンをそれぞれ示す。
15分間のMC処理でLa(OH)3およびNaClのピークが観察され、MC処理が短時間で進行することが確認された。1時間粉砕以降に、ペロブスカイト型酸化物のピークも確認できた。
得られた前駆体を600℃で加熱し、水を用いてNaClを除去した洗浄試料のXRDパターンを、図2(LFCPO)に示す。いずれのMC処理時間においても、単相のペロブスカイト型酸化物のピークが確認された。また、そのピーク強度に関しても、Co系同様に違いは認められなかった。いずれのMC処理時間でも、合成は600℃で完了していると考えられ、600℃においてペロブスカイト型酸化物が合成できることが確認された。
図3にMC処理時間と比表面積(SSA)との関係を示す。Co系同様、MC処理時間の延長にともない比表面積は増大するが1時間をピークとし、その後低下する傾向が見られた。粉砕時間の延長は生成した前駆体微粒子の再凝集をもたらし、それが要因となり比表面積が低下したものと考えられる。また比表面積はおよそ10m2/g〜14m2/g程度であったものかを確認するため、図2のXRDパターンより結晶子サイズを計算した。X線回折角47°付近に見られる(002)面のピークから結晶子サイズを計算した結果を図4に示す。粉砕時間とともに結晶子サイズは増大する傾向があることがわかった。
LFCPOで一番比表面積が高かったMC処理1時間で合成したサンプルの一次粒子径は30nm〜35nmと低い値を示した。図5に示すTEM写真からも、凝集はしているものの一次粒子径が50nm以下の微粒子で構成されていることが確認された。
2.Pdドープの確認
上記のように、Bサイトに複数の金属イオンを同時に置換することを試み、どちらの複合酸化物もXRD的に単一なペロブスカイト型酸化物が合成可能であることがわかった。しかしながら、Pd系に関してはその含有量が微量であるため、仮にPdがドープされていなくともXRDでは検出不可能である。そこで、F.A.Cotton, G Wilkinson, C.A.Marillo,and M.Bochmann,Advanced Inorganic Chemistry,John Wiley & Sons,1999に開示されたPdOが750℃以上で分解し、金属Pdに分解する性質を利用することとした。具体的には、X線光電子分光法(XPS)で試料中のPdの状態を推測し、金属Pdの結合の有無を確認した。
洗浄サンプルの一部を900℃、2時間熱処理しX線電子分光法(XPS)により測定を行った結果を図6に示す。Pdの価数を同定したところ、金属パラジウムの結合エネルギーは観察されず、PdO(II)、もしくはPdO2(IV)という結果を得た。以上より、サンプル中には確実にPdが存在し、ペロブスカイト型酸化物内にドープされているものと考えられる。高温固相法のPdドーピングにおいては、1000℃以上の温度が必要となるため、Pdは酸化物として存在できず合成不可能であるが、MC法ではそれが可能であるため、この点において本プロセスは有利であるといえる。
本発明によれば、高分散性La−Fe−Co−O系複合酸化物に、焼成温度600℃で微量のPdをドープして、長期間使用可能な自動車の排気ガス浄化用触媒になりうるLa−Fe−Co−Pd系ペロブスカイト型複合酸化物を合成でき、自動車製造業分野にとって低コストでの排ガス浄化対策を提供するために極めて有用である。
LFCPO前駆体の粉砕時間に伴うX線回折パターンの変化を示す図である。 LFCPO洗浄サンプルの粉砕時間に伴うX線回折パターンの変化を示す図である。 LFCPOの粉砕時間に伴う比表面積の変化を示すグラフである。 LFCPOの粉砕時間に伴う結晶子サイズの比表面積の変化を示すグラフである。 LFCPOの分散状態を示す透過型電子顕微鏡写真である。 X線光電子分光法による結合状態の同定を示す図である。

Claims (4)

  1. 塩化ランタン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化パラジウムおよびアルカリ金属の水酸化物を混合粉砕後、熱処理し、洗浄することを特徴とするペロブスカイト型複合酸化物の合成方法。
  2. 熱処理が500〜600℃でなされることを特徴とする請求項1記載のペロプスカイト型複合酸化物の合成方法。
  3. 塩化ランタン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化パラジウムおよび水酸化ナトリウムのモル比が、La:Fe:Co:Pd:Na=1:0.57:0.38:0.05:5.57であることを特徴とする請求項1記載のペロブスカイト型複合酸化物の合成方法。
  4. アルカリ金属の水酸化物が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1記載のペロブスカイト型複合酸化物の合成方法。
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