JP2003321211A - 細孔充填鋳型を用いた非シリカ系メソポーラス酸化物の細孔壁の結晶化方法 - Google Patents
細孔充填鋳型を用いた非シリカ系メソポーラス酸化物の細孔壁の結晶化方法Info
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Abstract
造やその均一性をできる限り維持できる細孔壁の結晶性
を改善する方法の提供 【解決手段】 メソ多孔体の前駆体の少なくとも細孔内
に前記細孔壁の結晶化熱処理時に形状を維持し、前記熱
処理後に焼成、水、または酸またはアルカリを添加した
水により除去可能な充填鋳型を形成させ、該充填鋳型の
存在下で、前記結晶化熱処理をし、次いで前記充填鋳型
を焼成、水、または酸またはアルカリを添加した水によ
り除去して結晶性を向上させたメソ多孔質を形成する方
法。
Description
の結晶性を、メソ多孔体の細孔形状、構造を保持して、
改善した細孔壁を有するメソ多孔体の形成方法に関す
る。本明細書において、メソ多孔体の前駆体とは、アモ
ルファス乃至結晶性の進んでいない細孔壁からなるメソ
多孔体を意味する。
50nmというナノスケ−ルの細孔を有する結晶構造を
有するメソポ−ラス物質が種々合成されてきた。該細孔
構造を持つ無機材料の合成に利用されている技術の1つ
にゾル−ゲル法がある。該方法は、ゾル−ゲル法による
無機材料の合成方法と該合成系に添加した界面活性剤の
形成するミセル集合体により形成される細孔構造鋳型を
利用して無機材料の多孔性物質を合成するものである。
そしてこのようにして合成された多孔質材料は触媒をは
じめ様々な機能性を持つ材料として期待されている。し
かし、これまで合成される非シリカ系メソポ−ラス物質
は、ほとんどが非晶質乃至結晶性が低いものであるの
で、その構造安定性が良くないなどの点から、利用分野
が制限されるという問題があった。このような事情の中
で、本発明者らは、この問題を取り除く技術の開発、す
なわち、メソポ−ラスを形作る細孔壁を構成する材料を
結晶構造とする技術の開発に取り組んで来た。その中で
単結晶が発達した孔壁を持つメソ細孔を持つ、特に一次
粒子全体に亘って結晶構造が保持されているメソポーラ
ス遷移金属酸化物、特に結晶性メソポ−ラスNbTa酸
化物などの合成に成功した(特願2000-175306号:平成
12年6月12日、セラミックス,36(2001)No.12,p91
3-916)。しかし、細孔壁の結晶性が充分でない点や、
結晶化度が充分高くなるように高温で結晶化処理をする
と細孔がつぶれたり、細孔の周期構造が崩れるなどの問
題があった。すなわち、メソ多孔体の細孔壁を充分な結
晶性、例えば原子スケ−ルの結晶性などを有するものに
熱処理により改質する際、結晶化前の細孔、細孔の周期
性を維持することが困難であった。
合成時の環境から大きな影響を受けることから、均一な
細孔径及び周期的な細孔構造を有する遷移金属酸化物、
例えばNbTa酸化物を合成する技術の開発にも取り組
み、細孔の構造およびその均一性並びに該細孔構造の周
期の一様性などを同時に満たすメソ多孔体の合成方法の
確立に成功している(特願2002-61591、平成14年3月7日
出願)。しかしながら、前記改善した方法などにより得
られたメソ多孔体の細孔壁の結晶性を改善するために加
熱処理をしようとすると、前記細孔の維持、および細孔
構造やその均一性を維持するのが難しいという問題があ
った。
化熱処理後において、前記熱処理前の細孔の維持、およ
び細孔構造やその均一性をできる限り維持できる細孔壁
の結晶性を改善する方法を提供することである。前記課
題を解決するために、結晶化熱処理前のメソ多孔体の前
駆体の細孔、および細孔構造やその均一性をできる限り
維持するための手段を検討した。該検討の中で、前記細
孔内に充填可能であり、結晶化熱処理時に形状を維持で
きる耐熱性を有し、かつ、前記結晶化熱処理の完了、ま
たはその後に前記細孔内から除去可能な細孔充填材料
(以下、充填鋳型という場合もある。)を用いることを
発想し、前記充填鋳型として有用なものの発見に種々の
試行錯誤をした。その中で、前記細孔内に、炭化処理に
より部分炭化ないし完全炭化を受ける有機物を充填し、
該有機物を炭化処理することにより、又は炭化処理によ
り部分炭化乃至完全炭化させたものを前記細孔内に充填
することにより、耐熱性の部分炭化ないし完全炭化物の
充填鋳型を細孔内に形成することができること、前記メ
ソ多孔体の前駆体をテトラエチルオルトシリケ−ト(T
EOS)或いは珪酸ナトリウム溶液と室温で混合し、該
溶液を細孔内に充填後80〜100℃でゲル化させるこ
とにより充填鋳型を細孔内に形成することができるこ
と、前記メソ多孔体の前駆体とBaCl2或いはNaC
lの飽和水溶液を室温で混合し、該溶液を細孔内に充填
後80〜100℃で蒸発乾固させると細孔内にBaCl
2或いはNaClの充填鋳型が形成することができるこ
とを発見し、前記充填鋳型を形成する手段により、メソ
多孔体の前駆体の細孔内に前記充填鋳型の形成、結晶化
熱処理、次いで、前記充填鋳型を、前記部分炭化ないし
完全炭化の場合は焼成により、他の場合は酸またはアル
カリ溶液または水により洗浄除去することにより、細孔
壁の結晶性を改善したメソ多孔体が得られることを見出
し、前記課題を解決した。
前駆体の少なくとも細孔内に前記細孔壁の結晶化熱処理
時に形状を維持し、前記熱処理後に焼成、水、または酸
またはアルカリを添加した水により除去可能な充填鋳型
を形成させ、該充填鋳型の存在下で、前記結晶化熱処理
をし、次いで前記充填鋳型を焼成、水、酸またはアルカ
リを添加した水により除去して結晶性を向上させたメソ
多孔質を形成する方法である。好ましくは、メソ多孔体
の前駆体の少なくとも細孔内に充填鋳型を形成させる手
段が、炭化処理により部分炭化乃至完全炭化する有機物
を前記細孔内に形成、前記有機物を炭化処理により前記
細孔内に部分炭化乃至完全炭化からなる充填鋳型を形成
させる工程又は炭化処理により部分炭化乃至完全炭化さ
せたものを前記細孔内に充填して充填鋳型を形成させ工
程を含むものであることを特徴とする前記結晶性を向上
させたメソ多孔質を形成する方法であり、より好ましく
は、炭化処理により部分炭化乃至完全炭化する有機物が
フルフリルアルコールの重合物、−グルコース、フルク
トース、またはこの誘導体であり、また炭化処理により
部分炭化乃至完全炭化させたものを前記細孔内に充填し
て充填鋳型を形成させる工程で使用される炭化処理され
る化合物が炭化水素であり、炭化処理が熱分解処理また
は/および濃硫酸の脱水分解処理であることを特徴とす
る前記結晶性を向上させたメソ多孔質を形成する方法で
あり、更に好ましくは、メソ多孔体の前駆体が、有機溶
媒に高分子界面活性剤を溶解した溶液に、遷移金属酸化
物の前駆体である遷移金属塩または/および金属アルコ
キシドを加え溶解させ、該遷移金属の塩または/および
金属アルコキシドを加水分解、ポリマー化および自己組
織化したゾル溶液とし、前記ゾル溶液から組織の安定化
したゲルを得、該ゲルを酸素が存する雰囲気中において
350℃〜550℃で焼成することにより得られたもの
であり、結晶化熱処理が、酸素不存在の不活性下におい
て、前記焼成温度より高い温度で実施するものであるこ
とを特徴とする前記各結晶性を向上させたメソ多孔質を
形成する方法である。
も細孔内に充填鋳型を形成させる手段が、前記前駆体を
テトラエチルオルトシリケ−ト(TEOS)或いは珪酸ナ
トリウム溶液と室温で混合し、テトラエチルオルトシリ
ケ−ト(TEOS)或いは珪酸ナトリウム溶液を細孔内に
充填後80〜100℃でゲル化させる工程を含むもので
あることを特徴とする、又は前記前駆体をBaCl2或
いはNaClの飽和水溶液と室温で混合し、BaCl2
或いはNaClの飽和水溶液を細孔内に充填後、80〜
100℃で蒸発乾固させると細孔内にBaCl2或いは
NaClの充填鋳型を細孔内に形成する工程を含むもの
であることを特徴とする前記結晶性を向上させたメソ多
孔質を形成する方法である。より好ましくは、メソ多孔
体の前駆体が、有機溶媒に高分子界面活性剤を溶解した
溶液に、遷移金属酸化物の前駆体である遷移金属塩また
は/および金属アルコキシドを加え溶解させ、該遷移金
属の塩または/および金属アルコキシドを加水分解、ポ
リマー化および自己組織化したゾル溶液とし、前記ゾル
溶液から組織の安定化したゲルを得、該ゲルを酸素が存
する雰囲気中において350℃〜550℃で焼成するこ
とにより得られたものであり、結晶化熱処理が、酸素存
在下において、前記焼成温度より高い温度で実施するも
のであることを特徴とする前記各結晶性を向上させたメ
ソ多孔質を形成する方法である。
非晶質細孔壁の結晶性を向上させる場合の概念図1によ
り説明する。図1において、(A)はアモルファスの非
晶質細孔壁を示す。細孔内に炭素源を導入後炭化処理し
た状態を(B)に示す。炭素が充填された非晶質細孔壁
を熱処理して結晶化した状態を(C)に示す。結晶化を
完了した後炭素源を酸化して除去した状態を(D)に示
す。これから理解されるように炭素は熱処理により結晶
化する際の細孔の形状維持の機能を発揮する。前記
(A)および(B)からなる工程は、以下の1,〜3,
ような態様がある。 1,フルフリルアルコ−ル蒸気を結晶化前駆体に流通
し、少なくとも細孔内フルフリルアルコ−ルを堆積さ
せ、該堆積したフルフリルアルコ−ルを加熱または固体
酸、p-トルエンスルホン酸等の酸触媒により重合させ、
その重合物を炭化(乾留)することにより、炭素からな
る充填鋳型をを形成する。 2,ショ糖、D(+)-グルコ−ス等の濃硫酸の脱水作用に
より炭素まで分解される有機物を希硫酸溶液とし、該溶
液をメソ多孔体の前駆体と室温で混合し、少なくとも細
孔内に該溶液を充填し、次いで、100℃に加熱された
オ−ブン中で希硫酸を濃縮し濃硫酸として、前記有機物
を脱水作用により部分炭化し、必要に応じて、その後1
60℃に温度を上げて乾燥させる。この操作を繰り返す
ことにより、少なくとも細孔内に炭素(質)からなる充填
鋳型が形成される。必要に応じて乾留により十分に炭素
に分解させる。 3,炭化水素蒸気を熱分解しながらメソ多孔体の前駆体
に流通し、少なくとも細孔内に炭素(質)を堆積させる。
いずれの場合も、細孔壁の結晶化後において細孔内に存
在する炭素の除去は空気雰囲気下の電気炉などの加熱手
段中で加熱することによりCO2として除去される〔図
1、(C)、(D)〕。
合。 メソ多孔体の前駆体とテトラエチルオルトシリケ−ト
(TEOS)或いは珪酸ナトリウム溶液とを室温で混合
し、少なくとも細孔内に前記溶液を充填し、次いで、8
0〜100℃でゲル化させる。次に、空気雰囲気下電気
炉焼成により結晶化させる。その後、アルカリによる洗
浄でシリカを除去することにより結晶性を向上させたメ
ソ多孔質を形成できる。 C.BaCl2或いはNaClを充填鋳型として用いる
場合。 メソ多孔体の前駆体とBaCl2或いはNaCl飽和水
溶液とを室温で混合し、少なくとも細孔内に前記溶液を
充填し、次いで、80〜100℃で蒸発乾固させ、Ba
Cl2或いはNaClの充填鋳型を形成させる。次に、
酸素が存在する雰囲気下、例えば空気雰囲気下の電気炉
焼成により結晶化させる。その後、水洗浄でBaCl2
或いはNaClの充填鋳型を除去する。
知の方法により形成されたものを使用できるが、本発明
者らが開発した遷移金属酸化物からなるメソ多孔体を製
造する方法により得られたもを好ましいものとして挙げ
ることができる。前記メソ多孔体の前駆体の製造方法と
しては、有機溶媒に高分子界面活性剤を溶解した溶液
に、遷移金属酸化物の前駆体である遷移金属塩または/
および金属アルコキシドを加え溶解させ、該遷移金属の
塩または/および金属アルコキシドを加水分解、ポリマ
ー化および自己組織化したゾル溶液とし、前記ゾル溶液
から組織の安定化したゲルを得、該ゲルを酸素が存する
雰囲気中において350℃〜550℃で焼成することか
らなるもの、特に、TaCl5、NbCl5またはこれ
ら混合物並びにAlイソプロポキシドを脂肪族直鎖アル
コール10gおよびテンプレート化合物1gからなる溶
液当たり0.003−0.01mol配合してゾル溶液
形成用混合物を調製し、該混合物に水または無機酸水溶
液を前記金属化合物に対して5〜35モル倍加えて加水
分解および重縮合させゾル溶液を形成し、該ゾルを酸素
が存する雰囲気中に移し40℃〜100℃の温度で熟成
してゲルを形成し、該ゲルを酸素が存する雰囲気中にお
いて350℃〜550℃で焼成することからなるメソポ
ーラス酸化物の製造方法を挙げることができる。遷移金
属酸化物のメソ多孔体は、前駆体化合物として、La、
Ta、Nb、Ti、Zr、Mg、Alなどの塩化物、ア
ルコキシドなどから選択されるものを、少なくとも1つ
用いて製造される。
テンプレート材料は、従来使用されていた界面活性剤を
使用可能であるが、ポリエチレンオキシド鎖(CH2C
H2O)mとポリプロピレンオキシド鎖〔CH2CH
(CH3)O〕nとから構成されるブロックコポリマー
からなるノニオン界面活性剤(ここで、mおよびnは1
0〜70であり、該ポリマーの末端はH、アルコールや
フェノールでエーテル化されている)、例えば商品名;
P123等(BASF社製)、および商品名;P85、
P103〔(HO(CH2CH2O)56(CH2CH
(CH3)O)1 7(CH2CH2O)56)H〕等
(旭電化工業社製)などを、所望の自己組織化ゾル、該
ゾルからの安定なゲルの形成の観点から好ましい。前記
ゾルを形成するのに有用な有機溶媒としては、脂肪族ア
ルコールを挙げることができ、具体的には、メタノー
ル、ブタノール、プロパノール、ヘキサノールまたはこ
れらの2種以上の混合物を好ましいものとして挙げるこ
とができる。
以下の方法により測定された。 1,XRD(Rigaku社製 RINT 2100、CuKa線)法:X線
回折法:低角度(1〜6°)ピークパターンによりメソ
細孔の周期構造が観察される。 2,窒素吸着等温線(Coulter 社製 SA3100):窒素吸
着量(Y軸/容積(mL/g))の急激に増加する相対
圧(P/P0)(X軸)領域と細孔径とが対応するす
る。立ち上がりの程度は細孔容積と関連する。 3,TEM:透過型電子顕微鏡(JEOL 社製 JEM 2010
F、加速電圧200 kV):メゾポーラスNbTa酸化物の
六方配列構造のTEM象が観察された。 4,電子線回折像(JEOL 社製 JEM 2010F、加速電圧200
kV):細孔に対して垂直に、一つのスポットの周りに
等距離に六つのスポットが規則的に配列した像から細孔
の六方配列構造が観察された。
るが、この例示により本発明が限定的に解釈されるもの
ではない。 実施例1、 メソポ−ラスNbTa酸化物、(NbTa)2O5の結
晶化。 界面活性剤として、P123〔商品名、BASF社製:(H
O(CH2CH2O)2 0(CH2CH(CH3)O)
70(CH2CH2O)20)H〕1gをビーカー内に
仕込み、これに10gのエタノール(関東化学製)を加
え、撹拌して前記界面活性剤を溶解させた。これに塩化
ニオブ(NbCl5)と塩化タンタル(TaCl5)の
混合物の合計0.003〜0.01モルを加え、20分
間撹拌溶解させた。次いで加水分解のために水を0.3
2〜6.00g(モル数では0.018〜0.333モ
ル)を加えて更に10分間撹拌した。得られた透明ゾル
溶液をシャーレーに移し、空気中で40℃〜80℃の温
度に保たれたオーブン中で3〜7日熟成しゲルを形成す
る。次いで、得られた透明ゲルを空気雰囲気下の電気炉
中で400〜550℃5時間焼成により、細孔構造の鋳
型成分である前記界面活性剤(P123)が除去され、
塩化ニオブ(NbCl5)と塩化タンタル(TaC
l5)の混合物の配合量および加える水の量に応じた制
御された細孔構造をもつ白色のNbTa酸化物が合成さ
れた。
をメソ多孔体の前駆体として用い、以下の細孔壁の結晶
化熱処理をした。 結晶化熱処理;200℃のフルフリルアルコ−ル蒸気
を、キャリヤ−ガスとして窒素ガスを用い、前記メソ多
孔体の前駆体に3時間供給した。これにより、フルフリ
ルアルコ−ル重合反応により細孔内にも重合物が堆積充
填された。次に、重合物を、酸素不在下で、400℃〜
600℃で熱処理して熱分解(乾留)した。このとき細
孔壁の結晶化は進行していなかった。続いて、充填鋳型
の炭素(質)が除去されるのを防ぐため酸素不在下、65
0℃で、1〜10時間処理することにより、非晶質の細
孔壁の結晶化が進行した。その後、空気中において焼成
することにより炭素(質)が除去され、原子スケ−ルでの
結晶構造を持った結晶性メソポ−ラスのNbTa酸化物
が得られた。前記NbTa酸化物の低角度X線回折(X
RD)および高角度X線回折をそれぞれ図2および3に
示す。図2から細孔の周期性の維持特性が、図3から細
孔壁の結晶化の改善の特性が理解できた。また、図4の
窒素吸着等温線のY軸の窒素吸着量(容量/g;mL/g)
の増加している相対圧P/P0(X軸)領域と細孔径は対
応し、また、立ち上がりの程度は細孔容積と関係するこ
とから、結晶加熱処理後も細孔の開口部、および細孔の
空孔はつぶれずに維持されていることが確認できた。因
みに、炭素からなる充填鋳型が存在しない場合には、図
2および3の特性は観察されなかった。TEM(透過型
電子顕微鏡像)観察から、粒子が結晶化していることを
示す電子線回折パタ−ン、細孔壁の結晶化を示す格子縞
が見られ、細孔の開口のヘキサゴナル構造、および細孔
の周期性が維持されていることが確認された。
結晶化処理。 金属源に塩化マグネシウムと塩化タンタルの混合物を用
い、実施例1と同様の方法でメソ多孔体の前駆体を調製
した。このとき金属源として用いているMgCl 2とT
aCl5とはMg:Ta=1:2になるように配合し
た。結晶化方法も実施例1と同様の手順で行った。た
だ、条件としては、酸素不在下で850℃で1時間の焼
成という方法をで行った。実施例1と同様に、図5〜図
7のに低角度パタ−ンおよび高角度パターンおよび窒素
吸着等温線から実施例1の場合より特性は悪いが細孔の
維持、構造および周期性の維持を確認できる。
iO2酸化物の結晶化。 非イオン性界面活性剤として、P85〔商品名、旭電化
工業社製:(HO(CH 2CH2O)39(CH2CH
(CH3)O)26(CH2CH2O)39)H〕をノ
ルマルアルコ−ルであるプロパノ−ル中に撹拌溶解後、
金属源としてのチタンテトライソプロポキシドを導入す
る。その中に、反応の触媒として37%塩酸を添加して
透明のゾル溶液が得られる。その後、熟成、焼成による
鋳型除去を行いメソ多孔体の前駆体を得た。結晶化方法
は、実施例1と同様の手順で行った。条件としては、4
00℃で10時間、酸素不在下という比較的緩和な条件
での熱処理により結晶化を進行させた。炭素(質)除去は
空気中350℃で15時間行った。図8〜図10に実施
例1と同様に低角度パタ−ンおよび高角度パターンおよ
び窒素吸着等温線から実施例1の場合より特性は悪いが
細孔の維持、構造および周期性の維持を確認できる。
と、すなわち、細孔内に充填鋳型を充填した状態で、細
孔壁の結晶化熱処理をすることにより、細孔開口、細孔
の周期性、および細孔空孔を維持して細孔壁の結晶性を
改善できたという、従来得られ難かった高結晶性の細孔
壁を持ったメソ多孔体が得られものであり、本発明は、
今後のメソ多孔体技術の発展にに極めて貢献することは
明らかである。
て非晶質細孔壁の結晶性を向上させる場合の概念図を示
す
物の低角度X線回折パターンを示す
物の高角度X線回折パターンを示す
物の窒素吸着等温線を示す
物の低角度X線回折パターンを示す
物の高角度X線回折パターンを示す
物の窒素吸着等温線を示す
TiO2酸化物の低角度X線回折パターンを示す
TiO2酸化物の高角度X線回折パターンを示す
型TiO2酸化物の窒素吸着等温線を示す
Claims (8)
- 【請求項1】 メソ多孔体の前駆体の少なくとも細孔内
に前記細孔壁の結晶化熱処理時に形状を維持し、前記熱
処理後に焼成、水、または酸またはアルカリを添加した
水により除去可能な充填鋳型を形成させ、該充填鋳型の
存在下で、前記結晶化熱処理をし、次いで前記充填鋳型
を焼成、水、または酸またはアルカリを添加した水によ
り除去して結晶性を向上させたメソ多孔質を形成する方
法。 - 【請求項2】 メソ多孔体の前駆体の少なくとも細孔内
に充填鋳型を形成させる手段が、炭化処理により部分炭
化乃至完全炭化する有機物を前記細孔内に形成、細孔内
に形成された前記有機物を酸化分解して前記細孔内に部
分炭化乃至完全炭化からなる充填鋳型を形成させる工程
又は炭化処理により部分炭化乃至完全炭化させたものを
前記細孔内に充填して充填鋳型を形成させ工程を含むも
のであることを特徴とする請求項1に記載の結晶性を向
上させたメソ多孔質を形成する方法。 - 【請求項3】 炭化処理により部分炭化乃至完全炭化す
る有機物がフルフリルアルコールの重合物、−グルコー
ス、フルクトース、またはこの誘導体であり、また炭化
処理により部分炭化乃至完全炭化させたものを前記細孔
内に充填して充填鋳型を形成させる工程で使用される化
合物が炭化水素であり、前記炭化処理が熱分解処理また
は/および濃硫酸の脱水分解処理であることを特徴とす
る請求項2に記載の結晶性を向上させたメソ多孔質を形
成する方法。 - 【請求項4】 メソ多孔体の前駆体が、有機溶媒に高分
子界面活性剤を溶解した溶液に、遷移金属酸化物の前駆
体である遷移金属塩または/および金属アルコキシドを
加え溶解させ、該遷移金属の塩または/および金属アル
コキシドを加水分解、ポリマー化および自己組織化した
ゾル溶液とし、前記ゾル溶液から組織の安定化したゲル
を得、該ゲルを酸素が存する雰囲気中において350℃
〜550℃で焼成することにより得られたものであり、
結晶化熱処理が、酸素不存在の不活性下において、前記
焼成温度より高い温度で実施するものであることを特徴
とする請求項1、2または3に記載の結晶性を向上させ
たメソ多孔質を形成する方法。 - 【請求項5】 メソ多孔体の前駆体の少なくとも細孔内
に充填鋳型を形成させる手段が、前記前駆体をテトラエ
チルオルトシリケ−ト(TEOS)或いは珪酸ナトリウム
溶液と室温で混合し、テトラエチルオルトシリケ−ト
(TEOS)或いは珪酸ナトリウム溶液を細孔内に充填後
80〜100℃でゲル化させる工程を含むものであるこ
とを特徴とする請求項1に記載の結晶性を向上させたメ
ソ多孔質を形成する方法。 - 【請求項6】 メソ多孔体の前駆体が、有機溶媒に高分
子界面活性剤を溶解した溶液に、遷移金属酸化物の前駆
体である遷移金属塩または/および金属アルコキシドを
加え溶解させ、該遷移金属の塩または/および金属アル
コキシドを加水分解、ポリマー化および自己組織化した
ゾル溶液とし、前記ゾル溶液から組織の安定化したゲル
を得、該ゲルを酸素が存する雰囲気中において350℃
〜550℃で焼成することにより得られたものであり、
結晶化熱処理が、酸素存在下において、前記焼成温度よ
り高い温度で実施するものであることを特徴とする請求
項5に記載の結晶性を向上させたメソ多孔質を形成する
方法。 - 【請求項7】 メソ多孔体の前駆体の少なくとも細孔内
に充填鋳型を形成させる手段が、前記前駆体をBaCl
2或いはNaClの飽和水溶液と室温で混合し、BaC
l2或いはNaClの飽和水溶液を細孔内に充填後、8
0〜100℃で蒸発乾固させると細孔内にBaCl2或
いはNaClの充填鋳型を細孔内に形成する工程を含む
ものであることを特徴とする請求項1に記載の結晶性を
向上させたメソ多孔質を形成する方法。 - 【請求項8】 メソ多孔体の前駆体が、有機溶媒に高分
子界面活性剤を溶解した溶液に、遷移金属酸化物の前駆
体である遷移金属塩または/および金属アルコキシドを
加え溶解させ、該遷移金属の塩または/および金属アル
コキシドを加水分解、ポリマー化および自己組織化した
ゾル溶液とし、前記ゾル溶液から組織の安定化したゲル
を得、該ゲルを酸素が存する雰囲気中において350℃
〜550℃で焼成することにより得られたものであり、
結晶化熱処理が、酸素存在下において、前記焼成温度よ
り高い温度で実施するものであることを特徴とする請求
項7に記載の結晶性を向上させたメソ多孔質を形成する
方法。
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