JP4888850B2 - 多孔質酸化ジルコニウムの製造方法 - Google Patents

多孔質酸化ジルコニウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、壁膜に結晶構造を有し、固体酸触媒として使用可能な多孔質酸化ジルコニウムの製造方法に関する。
光触媒機能や吸着機能等の機能性表面を有する材料において、その機能を向上させるために表面積を大きくした多孔質材料が注目されている。中でも、均一で規則的な細孔の配列を有する多孔質材料、所謂メソポーラス材料と呼ばれている材料は、高い比表面積や規則的な細孔構造を有するため、触媒や触媒担体としての応用が検討されている。また、酸化ジルコニウムは、耐酸性及びアルカリ性に優れている触媒材料として注目を集めている。特に硫酸イオンを担持した酸化ジルコニウムは、固体超強酸としての機能を発現するため、硫酸のような液体酸の代替触媒として期待されている。
このようなことから、酸化ジルコニウムの多孔質材料、特にメソポーラス材料への応用が検討されてきた。
非特許文献1には、塩化酸化ジルコニウム8水和物を水酸化アンモニウムに溶解させることにより、酸化ジルコニウムゲルを調製し、その後硫酸アンモニア水溶液を添加することにより硫酸イオンを担持した酸化ジルコニウムを調製する方法が開示されている。
Bull.Chem.Soc.Jpn.,69.1191−1194(1996)
しかしながら、上記非特許文献1を始めとする公知の多孔質酸化ジルコニウムは、その壁膜が一様にアモルファスであるため、触媒や触媒担体等の用途に用いられる際には壁膜が結晶構造であることが要求されていた。しかしながら、壁膜を結晶構造にするためには、非特許文献1に記載されているように、焼成処理を行う必要がある。その場合、アモルファスから結晶への転移により規則的な細孔構造が崩壊してしまうというおそれがあった。
このように、硫酸イオンを担持した酸化ジルコニウムは、固体酸触媒としての機能を発現することがわかっているが、酸化ジルコニウム自体が結晶構造を有するものは、製造することが困難であった。
以上の課題に鑑み、壁膜に結晶構造を有し、かつ、固体酸触媒として使用可能な多孔質酸化ジルコニウムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らはカチオン性界面活性剤に、スルホン酸基を有する有機化合物を添加して調製したミセルを鋳型にしてジルコニウム塩を反応させることにより、壁膜に結晶構造を有する多孔質酸化ジルコニウムを製造することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には以下のようなものを提供する。
本発明は、結晶構造を有する多孔質酸化ジルコニウムの製造方法であって、カチオン性界面活性剤と、スルホン酸基を有する有機化合物と、ジルコニウム塩と、を混合する混合工程を有する多孔質酸化ジルコニウムの製造方法を提供する。
ここで、本発明における「多孔質酸化ジルコニウム」とは、均一で規則的な配列の空孔(以下、メソ孔とする)(直径2nm〜50nm)が形成されている、所謂メソポーラス構造を有する多孔質酸化ジルコニウムをいう。この多孔質酸化ジルコニウムとしては、メソ孔を有する円筒状の結晶が、ハチの巣状の断面を形成するように複数個組み合わさった構造をヘキサゴナル構造と、平板上のメソ孔を有する結晶が層状に積層したラメラ構造が含まれる。
本発明によれば、壁膜に結晶構造を有し、固体酸触媒として使用可能な多孔質酸化ジルコニウムの製造方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明に係る多孔質酸化ジルコニウムの製造方法は、カチオン性界面活性剤と、スルホン酸基を有する有機化合物と、ジルコニウム塩と、を混合する混合工程を有する。
カチオン性界面活性剤は、水中でミセルを形成する。このミセルは、外側がプラスの電荷を有し、その外側にマイナスの電荷を有する対イオンが存在することになる。これに対し、ジルコニウム塩から生じるプラスの電荷を有するジルコニウムイオンは、まず、ミセルの対イオンと結合し、その後、ミセルと結合して多孔質酸化ジルコニウムになる。即ち、カチオン性界面活性剤が形成するミセルが鋳型となり、ミセル集合体の表面で酸化ジルコニウムの結晶が析出する。このように、カチオン性界面活性剤が形成するミセルを鋳型にして上記酸化ジルコニウム形成反応を進行させることにより、璧膜が結晶性の多孔質酸化ジルコニウムを得ることが可能となる。
本発明では、ここにスルホン酸基を有する有機化合物(以下、単に有機化合物ともいう)を更に含有する。この有機化合物は、カチオン性界面活性剤のプラスの電荷(親水基)と結合して鋳型を形成する。そのため、使用する有機化合物の分子構造や、添加量によってはミセルの充填状態(相構造)や表面電荷を変化させ、所望の細孔径を有する多孔質酸化ジルコニウムを形成することが可能となる。また、有機化合物がスルホン酸基を有することにより、形成された多孔質酸化ジルコニウムに硫酸イオンを担持させることが可能となる。これによって形成される多孔質酸化ジルコニウムに、固体酸触媒能を付与することが可能となる。
ここで、カチオン性界面活性剤としては、水溶液中で配列してメソポーラス構造の鋳型となる性質ないし構造を有するものであれば、特に限定されるものではない。具体的には、アンモニウムに結合する4つの置換基のうち、1つの置換基のみが長鎖で、他が短鎖の四級アンモニウム塩が挙げられる。より好ましくはモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩であり、特に好ましくは、長鎖基の炭素数が10〜20個であるモノ長鎖脂肪族四級アンモニウム塩である。この長鎖基の炭素数は12〜18個であることが好ましく、また、長鎖のアルキル基以外の脂肪族基については特に限定はないが、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
特に好ましいカチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられる。またそのアニオンとしては特に限定はなく、塩素イオン、臭素イオン、水酸化イオン等が用いられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
スルホン酸基を有する有機化合物としては、炭素数5〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を有するアルキル硫酸及びその塩、芳香族スルホン酸及びその塩が挙げられる。
アルキル硫酸としては、オクチル硫酸、ラウリル硫酸等が挙げられる。アルキル硫酸塩としては、オクチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム等が挙げられる。
芳香族スルホン酸は、炭素数1〜10のアルキル基やハロゲン等の置換基を有していてもよい。具体的には、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、モノクロロベンゼンスルホン酸、ジクロロベンゼンスルホン酸、トリクロロベンゼンスルホン酸、テトラクロロベンゼンスルホン酸、ペンタクロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、アントラキノンスルホン酸等が挙げられる。また、芳香族スルホン酸塩としては、これらのナトリウム塩やカリウム塩等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
このような有機化合物を添加することにより、カチオン性界面活性剤が形成するミセルの充填構造をコントロールすることが可能となる。これによって形成される多孔質酸化ジルコニウムのメソ孔の構造を所望の形状とすることが可能となる。さらに、従来の製造方法とは異なり、多孔質酸化ジルコニウムの壁膜の内側に硫酸イオンが担持されることになるため、メソ孔の内側に固体酸触媒能を付与することが可能となる。そのため、外側に硫酸イオンを担持した従来の製造方法により得られる多孔質酸化ジルコニウムと比べ、触媒活性能を向上させることが可能となる。
ジルコニウム塩としては、硫酸塩、オキシ塩化物、リン酸塩、酢酸塩及び硝酸塩が挙げられる。具体的には、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等が挙げられる。
このうち、より高い触媒活性能を付与することが可能な硫酸塩であることが好ましい。
本発明に係る多孔質酸化ジルコニウムの製造方法における、混合工程の具体的な手順としては、まず、所定量のカチオン性界面活性剤を所定量の水に溶解させる。次いで、ここに有機化合物を所定量溶解させることにより、ミセルの水溶液(以下、ミセル溶液とする)を調製する。
上記水溶液の濃度としては、6mM(mモル/L)〜60mMであることが好ましく、36mM〜60mMであることがより好ましい。また、添加する有機化合物の量は、その種類や、目的とする多孔質酸化ジルコニウムの形状によって異なるが、0mM(mモル/L)より大きく、24mM以下であることが好ましい。
また、カチオン性界面活性剤1モルに対する前記有機化合物の混合モル量は、使用するカチオン性界面活性剤と有機化合物及び、目的とする多孔質酸化ジルコニウムの形状によって異なるが、0モルよりも大きく、0.5モル以下である。このような範囲とすることにより、カチオン性界面活性剤が形成するミセルの充填構造を変化させることが可能となる。そのため、添加量を調製することにより所望の形状を有する多孔質酸化ジルコニウムを得ることが可能となる。
具体的なモル比としては、例えば、カチオン性界面活性剤として、セチルトリメチルアンモニウムブロミド1モルを用い、有機化合物として、ドデシル硫酸ナトリウムを用いた場合であって、混合モル比が0モルよりも大きく、0.2モル以下の場合には形成された多孔質酸化ジルコニウムの形状は、ヘキサゴナル構造である。また、混合モル比が0.2モルを超えると、ラメラ構造となる。
本工程によって調製されるミセル溶液の調製条件としては、使用するカチオン性界面活性剤や有機化合物の種類によって異なるが、以下の通りであることが好ましい。混合温度としては、40℃から100℃であることが好ましく、50℃〜90℃であることがより好ましく、60℃〜80℃であることが更に好ましい。混合時間としては、1時間〜200時間であることが好ましく、10時間〜150時間であることがより好ましく、24時間〜120時間であることが更に好ましい。このような条件とすることにより、本発明に係る多孔質酸化ジルコニウムを形成することが可能となる。
このようにして調製したミセル溶液に、所定量のジルコニウム塩を添加する。ジルコニウム塩の添加量としては、上記カチオン性界面活性剤1モルに対し、1モル〜50モルであることが好ましく、12モル〜50モルであることがより好ましく、12モル〜24モルであることが最も好ましい。添加量をこのような範囲の量とすることにより、ミセルを鋳型にして酸化ジルコニウム形成反応を進行させることが可能となる。この酸化ジルコニウム形成反応により形成される酸化ジルコニウムは結晶性であるため、従来行われていた焼成工程を経ることなく、結晶性の璧膜を有する多孔質酸化ジルコニウムを得ることが可能となる。これによって、より高い触媒活性能を付与することが可能となる。
なお、上記ミセル溶液全体に対するジルコニウム塩の濃度は特に限定はないが、200mM〜3000mM(mモル/L)が好ましい。
ジルコニウム塩を添加した後、所定温度で所定時間、混合撹拌することが好ましい。これによって酸化ジルコニウム形成反応をより効率よく進行させることが可能となる。なお、混合温度は、使用するカチオン性界面活性剤の種類によって異なるが、40℃から100℃であることが好ましく、50℃〜90℃であることがより好ましく、60℃〜80℃であることが更に好ましい。液温が低すぎると生成する酸化ジルコニウムの結晶性が低くなる傾向にある。また逆に液温が高いと、カチオン性界面活性剤がうまく配列せず、ヘキサゴナル構造やラメラ構造の規則性が低下する可能性がある。
混合時間は、ジルコニウム塩から十分に結晶性の酸化ジルコニウムが析出する時間とであれば、特に限定されるものではなく通常、1時間〜200時間であることが好ましく、10時間〜150時間であることがより好ましく、24時間〜120時間であることが更に好ましい。混合時間が短すぎると、生成する酸化ジルコニウムの結晶性が低下する傾向にあり、逆に混合時間が長すぎると、結晶性は上がるが、メソ孔の配列規則性が低下し、ヘキサゴナル構造やラメラ構造が消失する場合がある。また、混合時間が長すぎるとメソ孔の配列の規則性が低下する傾向にある。
なお、本発明の製造方法での反応液のpHは、酸性領域であることが好ましい。
酸化ジルコニウム形成反応の終了後は、生成した多孔質酸化ジルコニウムを濾過により分離し、水やアルコールを用いて洗浄し、乾燥させる。このときの乾燥温度は、100℃〜150℃であることが好ましく、110℃〜140℃であることがより好ましい。乾燥時間は2時間〜20時間であることが好ましく、5時間〜15時間であることがより好ましい。
また、本発明に係る多孔質酸化ジルコニウムの製造方法において、得られた多孔質酸化ジルコニウムの構造がヘキサゴナル構造である場合には上記混合工程を経た後に、カチオン性界面活性剤や有機化合物を除去する除去工程を更に有していてもよい。これによって目的のメソ孔を有する多孔質酸化ジルコニウムを得ることができる。除去方法としては、特に限定はないが、アルコールによりカチオン性界面活性剤や有機化合物を溶解させて除去する方法や、加熱処理により除去する方法を用いることが好ましい。
加熱温度は、カチオン性界面活性剤が十分に除去され得る程度の温度であることが必要であれば特に限定されるものではない。形成された多孔質酸化ジルコニウムがヘキサゴナル構造を有する場合には、その構造が壊れない程度の温度、例えば、200℃〜600℃であることが好ましく、400℃〜500℃であることが特に好ましい。加熱時間もカチオン性界面活性剤を除去するのに充分であれば特に限定はないが、2時間〜10時間が好ましい。
このような工程を経て製造された多孔質酸化ジルコニウムのメソ孔の直径は、ヘキサゴナル構造及びラメラ構造共に、約5nm〜50nm、好ましくは約7nm〜15nmである。ヘキサゴナル構造は上記のメソ孔を有する円筒状の結晶が、ハチの巣状の断面を形成するように複数個組み合わさった構造を有している。メソ孔の直径とメソ孔の壁膜の厚さの比は特に限定はないが、5:1〜50:1が好ましく、7:1〜15:1が特に好ましい。また、壁膜の厚さは0.5nm〜5nmであることが好ましく、0.8nm〜1.5nmであることが特に好ましい。このような範囲とすることにより、比表面積を効率的に拡大することが可能となる。
一方、ラメラ構造の場合は、上記のメソ孔を有する平板状の結晶が、層状に積層された構造を有している。
この多孔質酸化ジルコニウムは、一般に粒子の状態で得ることができる。この粒子の直径は特に限定はないが、製造の容易さ、表面積の増大等の点で、20nm〜500nmであることが好ましく、20nm〜100nmであることが特に好ましい。
本発明に係る多孔質酸化ジルコニウムは、粒子全体が結晶構造を有していることも好ましいが、必ずしも全てが結晶構造になっている必要はなく、不定形の構造部分があってもよい。さらに、ヘキサゴナル構造とラメラ構造が混在していてもよい。
なお、本発明の多孔質酸化ジルコニウムの構造は、X線回折により確認される。形成された多孔質酸化ジルコニウムが結晶構造を有している場合には、結晶由来の広角側のピークは、銅KαX線回析における1次回折角2θが約25°〜55°の範囲に観察される。
また、形成された多孔質酸化ジルコニウムのメソ孔の配列構造が、ヘキサゴナル構造である場合には、(110)面に起因する銅Kα線の1次回折角2θが、3.5°〜4.0°の範囲に、更に(210)面に起因するピークが、6.0°付近に現れることにより確認することができる。一方、ラメラ構造の場合には、(200)面に起因する1次回折角2θが、4.5°〜5.5°の範囲に、(300)面に起因するピークが、7.0°〜7.5°に現れることにより確認することができる。
本発明に係る製造方法により得られる多孔質酸化ジルコニウムは、その表面活性と表面積の大きさを生かして、主に固体触媒の用途に用いられ得る。また、メソポーラス構造の特性を生かして、触媒担体、分子レベルのフィルター、吸着剤等の用途に用いることが可能である。さらに、ラメラ構造の多孔質酸化ジルコニウムの場合には、上記の固体触媒の用途に加え、ナノシートに用いることが可能である。
[実施例1〜3]
カチオン性界面活性剤として、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、CTABとする)を、有機化合物としてドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDSとする)を、ジルコニウム塩として硫酸ジルコニウムを用いた。
まず、CTABとSDSを水に順次溶解させ、全濃度60mMのミセル溶液を調製した。このときのCTABとSDSのモル比(CTAB:SDS)は9:1(実施例1)、8:2(実施例2)、7:3(実施例3)であった。
次いで、これを60℃で、約1時間撹拌した。その後720mMの硫酸ジルコニウム水溶液を添加し、60℃で24時間更に撹拌した。このときのCTAB及びSDSと硫酸ジルコニウムとのモル比(CTAB+SDS:硫酸ジルコニウム)は、1:12であった。
次いで、反応が終了した溶液を濾過し、得られた生成物を水で洗浄した。そして120℃のもと10時間乾燥させた。
さらに、これを500℃で6時間乾燥させた。
得られた多孔質酸化ジルコニウムはX線回折(XRD)測定、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により評価した。XRD測定は、フィリップス社製、Xpert−MPDを用い、X線源としては、銅Kα線を用いた。その結果を図1(低角XRDパターン)及び図2(高角XRDパターン)に示す。それぞれの図に向かって下側から1番目から3番目が本実施例1〜3の回折ピークである。これより、全ての面の回折ピーク(2θ/deg.)が2°〜5°付近に観察された。
図2より全ての広角XRDパターンにおいて、ジルコニウムの単斜晶に帰属されるピークが25°及び55°付近に観測された。一方、図1においては、実施例1にはヘキサゴナル構造由来のピークが3.5°付近に、実施例3にはラメラ構造由来のピークが4.2°付近に観測された。なお、実施例2はヘキサゴナル構造とラメラ構造が混在しているものが生成したことが示唆された。X線回折の結果から算出した実施例1の細孔間距離は、約4nmであった。
また、実施例1のTEM像を図3に示す。これより実施例1に係る多孔質酸化ジルコニウムがヘキサゴナル構造を有していることが示された。
[比較例1]
有機化合物を含有しない以外は実施例1と同様の方法で多孔質酸化ジルコニウムを調製した。比較例1に係る多孔質酸化ジルコニウムのX線回折の結果を図1及び2に示す。図に向かって上側が比較例の回折ピークである。実施例1と同様に、ヘキサゴナル構造由来のピークが3.5°付近に観察された。また、細孔間距離は、約4nmであった。
[実施例4]
有機化合物として、p−トルエンスルホン酸ナトリウムを用い、CTABとの混合モル比をCTAB:p−トルエンスルホン酸ナトリウム=6:4とした以外は、実施例1と同様の方法で多孔質酸化ジルコニウムを調製した。実施例4に係る多孔質酸化ジルコニウムのX線回折の結果を図4及び5に示す。図に向かって上側が比較例の回折ピークである。実施例1と同様に、ヘキサゴナル構造由来のピークが3.5°付近に観察された。また、細孔間距離は、約4nmであった。
[触媒活性能の検討]
実施例1の多孔質酸化ジルコニウムの触媒活性能の評価を行った。
1−トリメチルシロキシシクロヘキサン0.4Mとベンズアルデヒド0.4Mと、ジクロロメタン7.5mlと、更に実施例1の多孔質酸化ジルコニウムを窒素雰囲気のもと0℃で1時間混合撹拌した。次いで、これをろ過し、水を加え溶媒を留去した。この一連の反応は以下の合成スキームの通りである。
得られた生成物のH−NMRを図6に、出発原料のH−NMRを図7,8示す。図6において、出発原料の1−トリメチルシロキシシクロヘキサンに帰属されるピーク及びベンズアルデヒドに帰属されるピーク以外のピークが7.5ppm、5.5ppm2〜3ppm付近に観察されたことから、実施例1の多孔質酸化ジルコニウムが固体酸触媒として機能していることが示された。
実施例1〜3、比較例1に係る多孔質酸化ジルコニウムのX線回折(低角側)の結果を示した図である。 実施例1〜3、比較例1に係る多孔質酸化ジルコニウムのX線回折(広角側)の結果を示した図である。 実施例1のTEM像を示した図である。 実施例4に係る多孔質酸化ジルコニウムのX線回折(低角側)の結果を示した図である。 実施例4に係る多孔質酸化ジルコニウムのX線回折(広角側)の結果を示した図である。 成物のH−NMRスペクトルを示した図である。 発原料のH−NMRスペクトルを示した図である。 発原料のH−NMRスペクトルを示した図である。

Claims (6)

  1. 壁膜が結晶構造を有する多孔質酸化ジルコニウムの製造方法であって、
    カチオン性界面活性剤と、スルホン酸基を有する有機化合物と、ジルコニウム塩と、を水中で混合する混合工程を有し、
    前記カチオン性界面活性剤が、長鎖基の炭素数が10〜20個であるモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩である多孔質酸化ジルコニウムの製造方法。
  2. 前記スルホン酸基を有する有機化合物は、アルキル硫酸及びその塩、芳香族スルホン酸及びその塩、からなる群から選ばれる少なくともいずれか1種の化合物である請求項1に記載の多孔質酸化ジルコニウムの製造方法。
  3. 前記ジルコニウム塩は、硫酸塩、オキシ塩化物、リン酸塩、酢酸塩及び硝酸塩からなる群から選ばれる少なくともいずれか1種である請求項1又は2に記載の多孔質酸化ジルコニウムの製造方法。
  4. 前記カチオン性界面活性剤1モルに対する前記有機化合物の混合モル量は、0モルよりも大きく0.5モル以下である請求項1から3いずれかに記載の多孔質酸化ジルコニウムの製造方法。
  5. 前記混合工程における混合温度は、50℃から80℃である請求項1から4いずれかに記載の多孔質酸化ジルコニウムの製造方法。
  6. 前記混合工程を経た後に、前記カチオン性界面活性剤及び前記有機化合物を除去する除去工程を更に有する請求項1から5いずれかに記載の多孔質酸化ジルコニウムの製造方法。
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