JP2006069877A - メソポーラスチタニア - Google Patents

メソポーラスチタニア Download PDF

Info

Publication number
JP2006069877A
JP2006069877A JP2004258866A JP2004258866A JP2006069877A JP 2006069877 A JP2006069877 A JP 2006069877A JP 2004258866 A JP2004258866 A JP 2004258866A JP 2004258866 A JP2004258866 A JP 2004258866A JP 2006069877 A JP2006069877 A JP 2006069877A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titania
mesoporous
cationic surfactant
titanium oxide
crystal structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004258866A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Abe
正彦 阿部
Hideki Sakai
秀樹 酒井
Yasushi Shibata
裕史 柴田
Mitsuo Kase
光雄 加瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Marusyo Industry Co Ltd
Original Assignee
Marusyo Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Marusyo Industry Co Ltd filed Critical Marusyo Industry Co Ltd
Priority to JP2004258866A priority Critical patent/JP2006069877A/ja
Publication of JP2006069877A publication Critical patent/JP2006069877A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)

Abstract

【課題】 活性を持つ物質で表面積が大きい材料を提供すること、またその材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】 メソ孔の壁膜が結晶構造を有することを特徴とするメソポーラスチタニア粒子。更に、カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンとを水中で混合し、その後カチオン性界面活性剤を除くことを特徴とするメソポーラスチタニア粒子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なメソポーラスチタニアに関し、更に詳細には、結晶構造を有するチタニアで構成されるメソポーラスチタニアに関する。
触媒活性、吸着活性等の機能性表面を有する材料において、その効果をより発揮させるために、表面積を大きくした材料が望まれている。そして、そのような材料として、メソポーラス材料が知られている。
メソポーラス材料の素材化合物としては、これまでに、シリカ、チタニア等の金属酸化物等が報告されている(特許文献1、非特許文献1及び2)。しかしながら、これら報告の金属酸化物は結晶構造を有さない不定形(アモルファス)であり、結晶構造を有する金属酸化物で構成されるメソポーラス材料は報告されていない。
ところで、一般に金属酸化物等の半導体材料は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射することで、正孔と電子を生成することが知られている。そして、結晶構造を有するチタニア、特にアナターゼ型結晶構造のチタニアは、それが有する化学的安定性および光励起により生じる強い酸化力や還元力が利用され、光反応触媒、有害有機物の除去、湿式太陽電池、光治療等の多岐の用途に応用されている。
そこで、このチタニアなどの金属酸化物を結晶構造を有する状態でメソポーラス材料とする試みがなされているが、主に以下の2つの問題点により実現されていない。
すなわち第一の問題点として、不定形で構成された材料を結晶構造のものへ転移させるために加熱などを行うと、メソポーラス材料ではその壁膜が非常に薄いため、不定形でのメソポーラスの形状を保持することができないことが挙げられる。すなわち、金属酸化物であるチタニアは、現在までに硫酸法や塩素法等の様々な合成方法により調製されているが、メソポーラス材料の調製に通常用いられるチタンアルコキシドを用いて、低温で合成を行った場合には不定形となり、例えばアナターゼ型の結晶構造を持たせる為には高温での焼成処理が必要となる。しかしながら、この高温での焼成処理を行うと、上記したようにその過程でメソポーラスの形状が破壊されてしまうため、結晶構造を持ったメソポーラスチタニアはできなかった。
また、第二の問題点として、結晶成長等の手法を用い、直接結晶構造を有するメソポーラスチタニアを製造しようとする場合、ナノオーダーでの結晶の大きさの制御が難しく、3次元的に規則的に整列した構造を持たせることが非常に困難である点が挙げられる。
このように、メソポーラス材料は表面積を大きくできることが見込まれているが、現在まで、活性をもつ結晶構造を有する金属酸化物でメソポーラス構造を有する材料を作ることができていなかった。
米国特許 第5,098,684号 C.T.Kresge etall, Nature, vol.359, 710-712 (1992) D.M.Autonelliet all, Chem. Int. Ed. Engl.,34, 2014 (1995)
本発明はかかる技術背景に鑑みてなされたものであり、その課題は、活性のある結晶構造を有し、かつ表面積が大きいメソポーラス構造を有する材料を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の製法によれば、焼成処理を行わなくても結晶構造を有するメソポーラスチタニアが得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、結晶構造を有するチタニアで構成されることを特徴とするメソポーラスチタニアを提供するものである。
また本発明は、カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンとを水中で混合し、結晶性チタニアを析出させた後カチオン性界面活性剤を除去することを特徴とする上記メソポーラスチタニアの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、活性を有する結晶構造、特にアナターゼ型の結晶構造を有するメソポーラス材料を提供することができる。
本発明はメソポーラスチタニア材料に係るものであり、本明細書においてメソポーラス材料とは、図1に模式的に示すように、約2nm〜50nmの繰り返し単位で、円筒状構造が組み合わさった材料をいう(以下、メソポーラス材料の有する円筒状孔を「メソ孔」ということがある)。メソ孔の直径とメソ孔の壁膜の厚さの比は特に限定はないが、3:1〜1:3が好ましく、2:1〜1:2が特に好ましい。
このメソポーラス材料は、一般には粒子の状態で得ることができる。この粒子の直径は特に限定はないが、製造の容易さ、表面積の増大等の点で、20〜500nmが好ましく、20〜100nmが特に好ましい。
本発明のメソポーラス材料は、結晶構造を有するチタニアで構成されることを特徴とするものである。このメソポーラス材料が有する結晶構造は、アナターゼ型およびルチル型のいずれでも良いが、アナターゼ型であることが、光反応触媒、有害有機物の除去、湿式太陽電池、光治療等に使用され得るので好ましい。
なお、本発明のメソポーラス材料が結晶構造を有するチタニアで構成されていることは、X線回折により確認される。例えば、アナターゼ型結晶構造を有するチタニアで構成されている場合は、銅KαX線回析において、2.2゜、3.8゜及び4.2°の近辺に回折ピークが現れる。また、本発明のメソポーラス材料では、メソポーラス粒子全体が結晶構造を有していることも好ましいが、必ずしも全てが結晶構造になっている必要はなく、不定形の構造部分があっても良い。
また、本発明のメソポーラス材料では、メソ孔の配列構造がヘキサゴナル構造であることが好ましい。このようなヘキサゴナル構造を有することは、メソポーラス材料の(100)面に起因する銅Kα線の一次回折角2θが、20°〜25°の範囲に、更に高次ピークが、約25°〜60°に現れることにより示される。
本発明のメソ孔の壁膜が結晶構造を有するメソポーラスチタニア粒子は、それ自体新規な粒子である。そしてその製造方法は特に限定はされないが、例えば、カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンとを水中で混合し、結晶性チタニアを析出させた後カチオン性界面活性剤を除去する製造方法で得ることができる。
上記製造方法において用いるカチオン性界面活性剤は、メソポーラス構造の鋳型(テンプレート)となるものである。すなわち、これらカチオン性界面活性剤が水溶液中で規則性をもって配列している状態で、結晶性チタニアを析出させることにより、カチオン性界面活性剤を除く部分に結晶構造を有するチタニアが得られる。そして、このカチオン性界面活性剤を取り除くことにより、メソポーラス構造の結晶性チタニアがえられるのである。
従って、カチオン性界面活性剤には、それらが配列してメソポーラス構造の鋳型となる性質ないし構造が求められ、このような性質を有するものの例としては、アンモニウムに結合する4つの置換基のうち、1つのみが長鎖で、他が短鎖の四級アンモニウム塩が挙げられる。より好ましくはモノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩であり、特に好ましくは、長鎖基の炭素数が10〜20個であるモノ長鎖脂肪族四級アンモニウム塩である。この長鎖基の炭素数は12〜18個であることが好ましく、また、長鎖のアルキル基以外の脂肪族基については特に限定はないが、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
特に好ましいカチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩等が挙げられ、またそのアニオンは特に限定はなく、塩素イオン、臭素イオン、水酸化イオン等が用いられる。
一方、結晶性チタニアの原料となる酸化硫酸チタン(TiOSO)としては、特に制約はなく、市販のものが好適に用いられる。
本発明の製造方法を実施するには、例えば、上記カチオン性界面活性剤の水溶液中に酸化硫酸チタンの水溶液を加え混合する。
上記混合にあたってのカチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンの混合モル比は、1:30〜1:100が好ましく、1:30〜1:70が特に好ましく、1:40〜1:60が更に好ましい。最も好ましくは1:50近傍である。カチオン性界面活性剤に対して酸化硫酸チタンの量が少なすぎても、また多すぎても、銅Kα線の回折角(2θ)2°〜6°付近に現れる回折ピーク(以下、「低角回折ピーク」という)がブロードになるかまたは消失し、メソ孔の規則構造、すなわちメソポーラスチタニアのヘキサゴナル構造の規則性が低下する。
また、カチオン性界面活性剤の濃度は、水溶液中で配列する濃度、例えば、60〜240mM(mモル/L)が好ましい。また、反応液全体に対する酸化硫酸チタンの濃度は特に限定はないが、3000〜6000mM(mモル/L)が好ましい。
本発明の製造方法において、上記カチオン性界面活性剤水溶液と酸化硫酸チタン水溶液の温度は、使用するカチオン性界面活性剤の種類にも依存するが、30〜80℃が好ましく、50〜70℃が特に好ましい。更に好ましくは60℃近傍である。液温が低すぎると生成するチタニアの結晶性が低くなる。逆に液温が高いと、カチオン性界面活性剤がうまく配列せず、メソポーラスチタニアのヘキサゴナル構造の規則性が低下したり、規則性がなくなる場合がある。
なお、本発明の製造方法での反応液のpHは、酸化硫酸チタンの濃度にも依存するが、酸性領域が好ましい。また、カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンとの混合している時間は、酸化硫酸チタンから十分に結晶性チタニアが析出する時間とすれば良く、一般には5〜120時間であり、好ましくは10〜80時間程度、特に好ましくは、15〜60時間、更に好ましくは、20〜40時間である。
この間、撹拌しながら混合させることが好ましい。混合時間が短すぎると、生成するチタニアの結晶性が低下する傾向にあり、逆に混合時間が長すぎると、結晶性は上がるが、メソ孔の配列規則性が低下し、ヘキサゴナル構造が消失する場合がある。また、混合時間が長すぎるとチタニアのアナターゼ型のみならず、ルチル型も形成される傾向にある。
上記方法により、結晶構造を有するチタニアで構成されるメソポーラスチタニアが分散した液を得るが、この分散液をろ過し、必要により水洗を繰り返すことにより、メソポーラスチタニアを粉末として得ることができる。水洗に用いる水は特に限定はないが、超純水を用いることが好ましい。
最後に、上記メソポーラスチタニアからカチオン性界面活性剤を除くことにより、目的の空孔を有するメソポーラスチタニアを得ることができる。カチオン性界面活性剤の除去方法については特に限定はないが、加熱処理により行うことが好ましい。加熱温度は、カチオン性界面活性剤が十分に除去され、かつ、メソポーラスチタニアのヘキサゴナル構造が壊れない程度の温度であることが必要であり、例えば、、400〜500℃が好ましい。加熱時間もカチオン性界面活性剤を除去するのに充分であれば特に限定はないが、2〜10時間が好ましい。
以上のようにして得られる結晶構造を有するチタニアで構成されるメソポーラスチタニアは、その表面活性と表面積の大きさを生かして、光反応触媒、有害有機物の除去、湿式太陽電池、光治療等の用途に用いられ得る。また、メソポーラス構造の特性を生かして、触媒担体、分子レベルのフィルター、吸着剤等の用途に用いられ得る。
本発明のメソポーラスチタニアが生成する原理は、現時点では次のように考えられている。すなわち、カチオン性界面活性剤分子、特にモノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩は、ある一定濃度範囲の水溶液中では、規則正しく配向している。この状態で、酸性である酸化硫酸チタンを結晶析失させると、カチオン性界面活性剤分子のアンモニウムの部分を中心に、下記の反応が起こり、結晶性チタニアが生成すると考えられる。
TiOSO+HO → TiO+HSO
そして前記のように、カチオン性界面活性剤分子が規則正しく配向しているから、生成する結晶性チタニアは、この配向したカチオン性界面活性剤分子の周囲に析出し、結果的にメソポーラス構造を取ることになる。この析出直後のメソポーラスチタニアでは、メソ孔中にカチオン性界面活性剤分子が残っているが、更に、適当な温度まで加温し、当該高分子を除去することにより、結晶構造チタニアにより構成される、メソ孔が空孔であるメソポーラスチタニアが得られるのである。
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
実 施 例 1
反応温度がメソ孔の形成及びチタニアの結晶構造におよぼす影響:
カチオン性界面活性剤として、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを用い、その0.546gを超純水に60mMとなるよう溶解させて、水溶液25mLを得た。次いで、この水溶液と、3000mMの酸化硫酸チタン水溶液25mLとを混合した。カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンのモル比は1:50に固定した。
次いで、種々の温度(室温25℃、45℃、60℃、80℃)で、24時間混合撹拌し続けた。撹拌条件は、ビーカー中でマグネティックスタラーを用い、通常の撹拌速度で行った。
得られた粒子をろ過で回収し、超純水による洗浄を行い、120℃で10時間乾燥した。さらにこの乾燥後の粒子からセチルトリメチルアンモニウムブロミドを除去するために、450℃で6時間焼成処理を行った。こうして得られた粒子は約1.5gであった。
得られた粒子はX線回折(XRD)測定、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により評価した。XRD測定は、フィリップス社製、Xpert−MPDを用い、X線源としては、銅Kα線を用いた。結果を図1〜4に示す。
( 結 果 )
反応液の温度がメソ孔の形成におよぼす影響について、そのXRD測定結果を図1(a)に示す。室温(25℃)、45℃、60℃で調製された粒子は、メソ孔の配列がヘキサゴナル構造になっていることを示す低角回折ピーク(2.2°近傍と4°近傍)を観測することができた。そして、反応液の温度が高くなるにつれて、ヘキサゴナル構造の(100)面に起因するピークが低角にシフトしていることが分かった。このことから、高い温度で撹拌し粒子の調製を行うほど、メソ孔間の距離が増大すること、つまり壁膜が厚くなっていくことがと推測された。しかし、80℃で調製を行った粒子では、メソ孔の規則的配列に起因する低角回折ピークを観測することはできなかった。
次に、反応液の温度がチタニアの結晶構造におよぼす影響について、その結果を図2(b)に示す。図2(b)は、広角(20°〜60°)におけるXRDパターンである。室温(25℃)、45℃で調製を行った粒子では、チタニアのアナターゼ型に起因するピークを観測することはできず不定形であることが分かった。一方、60℃以上で調製をおこなった粒子は、25°、50°及び55°近傍に、チタニアのアナターゼ型に起因する回折ピークを観測することができた。このことから、60℃以上で調製された粒子は、メソ孔の壁膜に、アナターゼ構造を有するチタニアを有することが分かった。また、80℃で調製した粒子は60℃で調製した粒子よりも規則性が高くなっていた。
以上の結果より、カチオン性界面活性剤としてセチルトリメチルアンモニウムブロミドを用い、カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンのモル比を、1:50とした系においては、反応液の温度は60℃近傍が最適温度であることが分かった。
実 施 例 2
セチルトリメチルアンモニウムブロミドと酸化硫酸チタンのモル比がメソ孔の形成
およびチタニアの結晶構造におよぼす影響:
カチオン性界面活性剤として、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを用い、その0.546gを超純水に60mMで溶解させて水溶液25mLを得た。次いで、セチルトリメチルアンモニウムブロミドに対する酸化硫酸チタンの仕込み比を、モル比で1:12、1:50、1:100となるように調整した3種の酸化硫酸チタン水溶液、すなわち720mM、3000mM、6000mM水溶液それぞれ25mL調整した。前記セチルトリメチルアンモニウムブロマイド水溶液と、上記酸化硫酸チタン水溶液をそれぞれ混合し、60℃で24時間撹拌した。その後、実施例1と同様にして、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを除去して、約1.5gのメソポーラスチタニア粒子を得た。
得られたメソポーラスチタニア粒子を実施例1と同様にして、XRD測定を行った。その結果を図3(a)及び(b)に示す。図3(b)から分かるように、モル比1:12、1:50、1:100の全てのXRDパターンにおいて、チタニアのアナターゼ型に起因するピークを観測することができた。これより、どの混合比の条件においても、メソ孔の壁膜はチタニアの結晶化が起こっていることが分かる。
一方、低角XRDパターン(図3(a))において、セチルトリメチルアンモニウムブロミドと酸化硫酸チタンの仕込みモル比1:50のものは、ヘキサゴナル構造に起因するシャープな低角回折ピークを観測することができた。このことはメソ孔が規則性を持って配置されていることを示している。一方、1:12、1:100で調製を行った粒子は、ヘキサゴナル構造に起因するシャープな低角回折ピークを観測することはできなかったが、2θ=2.2℃近傍にブロードなショルダーを観測することができた。これより、3次元的な規則性が低いものの、ある程度規則性を持ったメソ孔の配列構造を有していることが分かった。
実 施 例 3
反応pHがメソ孔の形成およびチタニアの結晶構造におよぼす影響:
720mMの酸化硫酸チタン水溶液に硫酸を加えて、酸化硫酸チタン3000mM水溶液が示すpHと同じpHとした。その後、この液25mLとセチルトリメチルアンモニウムブロミド60mMの水溶液25mLとを混合し、60℃で24時間撹拌を行ないメソポーラスチタニア粒子を調製した。なお、記載されていない条件は実施例1と同様にした。得られたメソポーラスチタニア粒子について、実施例1と同様にして、XRD測定を行った。低角での結果を図4(a)に、広角での結果を(b)に示す。
pH調節をせず1:50で調製した粒子は、低角にヘキサゴナル構造に起因するピークを、広角にチタニアのアナターゼ構造に起因するピークを観測することができた。しかし、1:12およびこれに硫酸を添加した系で調製した粒子は、広角にチタニアのアナターゼ型に起因するピークを観測することができるが、低角にヘキサゴナル構造に起因するピークを観測することはできなかった。ただし、2θ=2.2℃近傍にショルダーが観測できることから、3次元的な規則性は低いが、メソポーラス構造を有していると推測することができる。以上の結果より、メソ孔の形成には酸化硫酸チタンの量が影響を与えていると考えられる。
実 施 例 4
混合時間がメソ孔の形成および結晶構造におよぼす影響:
セチルトリメチルアンモニウムブロミドと酸化硫酸チタンの仕込み比を、モル比で1:50とし、反応液温度を60℃に固定した以外は、実施例1と同様にしてメソポーラスチタニア粒子を得た。次いで、得られたメソポーラスチタニア粒子について、実施例1と同様にして、XRD測定を行った。底角での結果を図5(a)に、広角での結果を(b)に示す。
図5(a)より、混合時間が長くなるにしたがって、3次元的規則構造が低下し、72時間以上の混合時間で調製を行うことで、メソ孔の配列構造が消失してしまうことが分かった。一方、図5(b)から、混合時間が長くなるにしたがって、チタニアの結晶化が促進される事が分かった。これより、結晶化の程度が上がるとメソ孔配列の規則性が悪くなる傾向があることが分かった。なお、48時間以上混合撹拌を行うことで、チタニアのアナターゼ型結晶構造のみでなくルチル型結晶構造も形成している事が分かった。
以上の結果から、セチルトリメチルアンモニウムブロミドと酸化硫酸チタンを用いた場合、アナターゼ型結晶構造を有するメソポーラスチタニアを製造するための最適調製条件は、以下であることが分かった。
混合モル比 :カチオン性界面活性剤:酸化硫酸チタン=1:50(仕込み比)
混合撹拌温度:60℃
撹拌時間 :24時間
実 施 例 5
カチオン性界面活性剤除去の加熱処理がメソ孔の形成および結晶構造におよぼす影
響:
鋳型として用いたセチルトリメチルアンモニウムブロミドを除去するために、上記最適調製条件で調製して得られたメソポーラスチタニア粒子を、450℃で6時間加熱処理を行った。
加熱処理前後のセチルトリメチルアンモニウムブロミドの有無を、フーリエ変換赤外線吸収スペクトル(FT−IR)測定により確認した。その結果を図6に示す。加熱処理前の粒子には、セチルトリメチルアンモニウムブロミドのC−H伸縮振動に起因するピークを2900cm−1付近に観測することができた(図6中、(a))。しかし、加熱処理を行った粒子では同ピークが消失していた(同、(b))。この結果より、焼成処理によりセチルトリメチルアンモニウムブロミドが除去できていることがわかった。
加熱処理後のXRDパターンを観察すると、加熱処理により、ヘキサゴナル構造に起因する低角回折ピークが、わずかにブロードになり、20〜60°に見られるアナターゼ型結晶構造に起因する回折ピークがシャープになっただけであり、ほぼ加熱処理前の状態を保持していた。
このことから、カチオン性界面活性剤除去のための加熱処理程度では、メソ孔の配列規則性及びチタニアの結晶化の程度に大きな影響がないことが分かった。
また上記方法で調製し、セチルトリメチルアンモニウムブロミドを除去したメソポーラスチタニア粒子のTEM像を図7と図8に示す。これから、非常に規則性の高いメソ孔配列を有していることが分かった。
本発明の結晶構造を有するチタニアから構成されるメソポーラスチタニア粒子は、その表面活性と表面積の大きさを生かして、光反応触媒、有害有機物の除去、湿式太陽電池、光治療等の用途に、またメソポーラス粒子の有する微孔の特性を生かして、触媒担体、分子レベルのフィルター、吸着剤等の用途に用いられ得るものである。
メソポーラス材料の模式図である。 反応温度とメソポーラスチタニアのX線回折(XRD)チャートの関係を示す図面である。 セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよび酸化硫酸チタンの仕込みモル比とメソポーラスチタニアのX線回折(XRD)チャートの関係を示す図面である。 反応液の酸化硫酸チタンの割合やpHを変えた場合のX線回折(XRD)チャートの変化を示す図面である。 反応時間とX線回折(XRD)チャートの関係を示す図面である。なお、(b)中、○はアナターゼ型結晶のピーク、△はルチル型結晶のピークである。 加熱処理によるセチルトリメチルアンモニウムブロミドの除去前後のフーリエ変換赤外線吸収スペクトル(FT−IR)チャートである。図中、(a)は加熱処理前の状態を、(b)は加熱処理後の状態を示す。 実施例 で得られたメソポーラスチタニア粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(10万倍)である。 実施例 で得られたメソポーラスチタニア粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)写真(10万倍)である。

Claims (8)

  1. 結晶構造を有するチタニアで構成されることを特徴とするメソポーラスチタニア。
  2. アナターゼ型結晶構造を有する請求項1記載のメソポーラスチタニア。
  3. メソ孔の配列構造がヘキサゴナル構造であり、その(100)面に起因する銅Kα線の1次回折角2θが、2.0°〜2.5°の範囲である請求項1又は請求項2記載のメソポーラスチタニア。
  4. カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンとを水中で混合し、結晶性チタニアを析出させた後、カチオン性界面活性剤を除去することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかの請求項記載のメソポーラスチタニアの製造方法。
  5. カチオン性界面活性剤が、モノ長鎖アルキル四級アンモニウム塩であり、その長鎖アルキル基の炭素数が10〜20である請求項4記載のメソポーラスチタニアの製造方法。
  6. 酸化硫酸チタン水溶液とカチオン性界面活性剤水溶液から結晶性チタニアを析出させる温度が、30〜80℃の範囲である請求項4又は請求項5記載のメソポーラスチタニアの製造方法。
  7. カチオン性界面活性剤と酸化硫酸チタンとの混合モル比が、1:30〜1:100の範囲である請求項4ないし請求項6の何れかの請求項記載のメソポーラスチタニアの製造方法。
  8. カチオン性界面活性剤水溶液と酸化硫酸チタンと水溶液から結晶性チタニアを析出させる時間が、5〜120時間の範囲である請求項4ないし請求項7の何れかの請求項記載のメソポーラスチタニアの製造方法。

JP2004258866A 2004-09-06 2004-09-06 メソポーラスチタニア Pending JP2006069877A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004258866A JP2006069877A (ja) 2004-09-06 2004-09-06 メソポーラスチタニア

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004258866A JP2006069877A (ja) 2004-09-06 2004-09-06 メソポーラスチタニア

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006069877A true JP2006069877A (ja) 2006-03-16

Family

ID=36150870

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004258866A Pending JP2006069877A (ja) 2004-09-06 2004-09-06 メソポーラスチタニア

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006069877A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008222491A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Tokyo Univ Of Science 多孔質酸化チタン及びその製造方法
JP2008280226A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Kao Corp メソポーラスチタニアの製造方法
JP2009114020A (ja) * 2007-11-06 2009-05-28 Hiroshima Univ メソポーラスメタロシリケートおよびその製造方法ならびにその用途
US20110083727A1 (en) * 2009-10-13 2011-04-14 Byong-Cheol Shin Photoelectrode for dye sensitized solar cell, method of manufacturing the same, and dye sensitized solar cell using the same
CN103771509A (zh) * 2014-01-23 2014-05-07 齐鲁工业大学 一种均匀球形介孔二氧化钛的制备方法
CN105013458A (zh) * 2015-06-25 2015-11-04 青岛科技大学 一种高比表面积贵金属/TiO2介孔微球的制备方法
CN112588283A (zh) * 2020-11-25 2021-04-02 内江师范学院 一种碳量子点/介孔层状二氧化钛及其制备方法和应用

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05254827A (ja) * 1991-06-20 1993-10-05 Mobil Oil Corp 合成メソポーラス結晶性物質の改変方法
JP2001146422A (ja) * 1999-11-16 2001-05-29 Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti 結晶性酸化チタンを細孔壁とする無機多孔体及びその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05254827A (ja) * 1991-06-20 1993-10-05 Mobil Oil Corp 合成メソポーラス結晶性物質の改変方法
JP2001146422A (ja) * 1999-11-16 2001-05-29 Natl Inst Of Advanced Industrial Science & Technology Meti 結晶性酸化チタンを細孔壁とする無機多孔体及びその製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008222491A (ja) * 2007-03-13 2008-09-25 Tokyo Univ Of Science 多孔質酸化チタン及びその製造方法
JP2008280226A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Kao Corp メソポーラスチタニアの製造方法
JP2009114020A (ja) * 2007-11-06 2009-05-28 Hiroshima Univ メソポーラスメタロシリケートおよびその製造方法ならびにその用途
US20110083727A1 (en) * 2009-10-13 2011-04-14 Byong-Cheol Shin Photoelectrode for dye sensitized solar cell, method of manufacturing the same, and dye sensitized solar cell using the same
CN103771509A (zh) * 2014-01-23 2014-05-07 齐鲁工业大学 一种均匀球形介孔二氧化钛的制备方法
CN103771509B (zh) * 2014-01-23 2015-01-14 齐鲁工业大学 一种均匀球形介孔二氧化钛的制备方法
CN105013458A (zh) * 2015-06-25 2015-11-04 青岛科技大学 一种高比表面积贵金属/TiO2介孔微球的制备方法
CN112588283A (zh) * 2020-11-25 2021-04-02 内江师范学院 一种碳量子点/介孔层状二氧化钛及其制备方法和应用
CN112588283B (zh) * 2020-11-25 2023-05-23 内江师范学院 一种碳量子点/介孔层状二氧化钛及其制备方法和应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tong et al. Polymorphous ZnO complex architectures: selective synthesis, mechanism, surface area and Zn-polar plane-codetermining antibacterial activity
Huang et al. Flower-like and hollow sphere-like WO3 porous nanostructures: Selective synthesis and their photocatalysis property
Duan et al. TiO2 faceted nanocrystals on the nanofibers: Homojunction TiO2 based Z-scheme photocatalyst for air purification
Yang et al. Graphene-spindle shaped TiO2 mesocrystal composites: Facile synthesis and enhanced visible light photocatalytic performance
Xu et al. Solvothermal synthesis nitrogen doped SrTiO3 with high visible light photocatalytic activity
Dong et al. Controlled synthesis, growth mechanism and highly efficient solar photocatalysis of nitrogen-doped bismuth subcarbonate hierarchical nanosheets architectures
Li et al. Facile tailoring of anatase TiO2 morphology by use of H2O2: From microflowers with dominant {101} facets to microspheres with exposed {001} facets
Bielicka–Giełdoń et al. Morphology, surface properties and photocatalytic activity of the bismuth oxyhalides semiconductors prepared by ionic liquid assisted solvothermal method
Jia et al. Template-free synthesis of mesoporous anatase titania hollow spheres and their enhanced photocatalysis
Zhang et al. Well-crystallized mesoporous TiO 2 shells for enhanced photocatalytic activity: prepared by carbon coating and silica-protected calcination
KR20180057323A (ko) 단일 수열합성법을 이용한 금속 담지 이산화티타늄/그래핀 복합체의 제조방법 및 이에 의해 제조된 이산화티타늄/그래핀 복합체
Shao et al. Programmable synthesis of metal hydroxide/oxide hollow architectures: towards an efficient and robust photocatalyst for water remediation
Lei et al. Additive-free hydrothermal synthesis of novel bismuth vanadium oxide dendritic structures as highly efficient visible-light photocatalysts
Zhao et al. Synthesis of carbon-doped nanosheets m-BiVO 4 with three-dimensional (3D) hierarchical structure by one-step hydrothermal method and evaluation of their high visible-light photocatalytic property
Nguyen-Le et al. Effective photodegradation of dyes using in-situ N-Ti3+ co-doped porous titanate-TiO2 rod-like heterojunctions
Gu et al. Preparation and characterization of highly photocatalytic active hierarchical BiOX (X= Cl, Br, I) microflowers for rhodamine B degradation with kinetic modelling studies
CN1686608A (zh) 高活性球形纳晶二氧化钛粉末光催化剂的水热晶化制备法
Huang et al. In Situ One-Pot Synthesis of C-Decorated and Cl-Doped Sea-Urchin-like Rutile Titanium Dioxide with Highly Efficient Visible-Light Photocatalytic Activity
Wang et al. Casein templated synthesis of porous perovskite and its application in visible-light photocatalytic degradation of methylene blue
JP2006069877A (ja) メソポーラスチタニア
Wang et al. Synthesis of fluorinated SnO 2 3D hierarchical structures assembled from nanosheets and their enhanced photocatalytic activity
CN107913712A (zh) 一种二氧化钛/改性硅藻土复合材料、涂膜及其制备方法和应用
Wang et al. Quasi-Spherical Brookite TiO 2 Nanostructures Synthesized Using Solvothermal Method in the Presence of Oxalic Acid
Neppolian et al. Ultrasonic-assisted pH swing method for the synthesis of highly efficient TiO 2 nano-size photocatalysts
He et al. A facile synthesis of graphene-supported mesoporous TiO2 hybrid sheets with uniform coverage and controllable pore diameters

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20070828

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090501

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20090810

A521 Written amendment

Effective date: 20090810

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100921

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110208