JP2008150237A - 金属酸化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒の担体材料として、高温雰囲気下において使用したときにも、熱的耐久性に優れた金属酸化物の製造方法を提供すること。
【解決手段】水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加して金属水酸化物を調製する工程と、得られた金属水酸化物を焼成する工程とを含んでなる金属酸化物の製造方法において、前記両工程の間に金属水酸化物を水熱処理する工程と、水熱処理された該金属水酸化物を界面活性剤で処理する工程とを含むことを特徴とする方法。
【選択図】なし

Description

本発明は金属酸化物の製造方法、特に触媒の担体材料として、高温に晒される排気ガスの雰囲気において使用したときにも、耐久性や耐熱性に優れた金属酸化物の製造方法に関する。
排気ガスの浄化用触媒の触媒担体として種々の金属酸化物が用いられている。浄化効率の向上の視点から、より大きな比表面積を有する触媒担体の開発に対する要求が高まっており、最近、金属酸化物を、それらの水酸化物を特殊な処理をして製造する方法が提案されている。たとえば、化学反応によって得られた金属水酸化物をオートクレーブ処理した後,仮焼して酸化物を得る方法(たとえば特許文献1参照)あるいは得られた金属水酸化物を常温で界面活性剤処理した後焼成する方法(たとえば特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、これらの従来方法によってつくられる金属酸化物は、高い比表面積をもつものの、高温で長時間使用すると次第に比表面積が低下し、これと共に触媒機能が劣化し、必ずしも十分満足できる耐久性を有するとはいい難い。特に自動車の排気ガス用触媒においては、それがいったん自動車本体に組み込まれると、長期に亘り使用されるので、耐久性に対する改善の要求が常に存在している。
特開平6−226094号公報 特開2004−2148号公報
本発明は、自動車など特に高温の下に長時間曝される排気ガスの浄化触媒の触媒担体として、特に好適に用いることのできる材料を製造する方法を提供すること目的としている。すなわち、本発明は耐久性に優れ、高温条件下で長時間の使用後も、比表面積の低下が少なく、したがって触媒担体材料として使用したとき触媒効果の劣化が小さい金属酸化物の製造方法を提供しようとするものである。
上記した課題を解決するため、請求項1に記載した金属酸化物の製造方法は、水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加して金属水酸化物を調製する工程と、得られた金属水酸化物を焼成する工程とを含んでなる金属酸化物の製造方法において、前記両工程の間に金属水酸化物を水熱処理する工程と、水熱処理された該金属水酸化物を界面活性剤で処理する工程とを含むことを特徴とする。
請求項2に記載した金属酸化物の製造方法は、水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加して金属水酸化物を調製する工程と、得られた金属水酸化物を焼成する工程とを含んでなる金属酸化物の製造方法において、前記両工程の間に金属水酸化物を水熱処理する工程を含みかつこの工程が該金属水酸化物を攪拌しながら行われることを特徴とする。
請求項3に記載した金属酸化物の製造方法は、水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加して金属水酸化物を調製する工程と、得られた金属水酸化物を焼成する工程とを含んでなる金属酸化物の製造方法において、前記両工程の間に金属水酸化物を水熱処理する工程と、水熱処理された該金属水酸化物を界面活性剤で処理する工程とを含み、かつ水熱処理する工程が金属水酸化物を攪拌しながら行われることを特徴とする。
請求項4に記載した金属酸化物の製造方法は、請求項1に記載の方法において、金属水酸化物の水熱処理が100℃ないし250℃の温度で行われることを特徴とする。
請求項5に記載した金属酸化物の製造方法は、請求項2または請求項3に記載する方法において、金属水酸化物の水熱処理が100℃ないし300℃の温度で行われることを特徴とする。
請求項6に記載した金属酸化物の製造方法は、請求項1から請求項5いずれか一つに記載する方法において、水溶性金属化合物の水溶液が複数の水溶性金属化合物を含む混合水溶液であることを特徴とする。
請求項7に記載した金属酸化物の製造方法は、請求項6に記載の方法において、水溶性金属化合物の水溶液が、セリウム塩とジルコニウム塩とを含む混合水溶液であることを特徴とする。
請求項8に記載した金属酸化物の製造方法は、請求項1から請求項7いずれか一つに記載する方法において、水熱処理後の冷却工程が、金属水酸化物の温度が少なくとも50℃の温度に達するまでは、5〜20℃/hの冷却速度で行われることを特徴とする。
請求項9に記載した金属酸化物の製造方法は、請求項1から請求項8いずれか一つに記載する方法において、水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加する前に、該水溶液を50〜150℃の温度に加熱することを特徴とする。
本発明の方法によれば、高い比表面積を有しかつ高温耐久性に優れた金属酸化物を製造することができる。したがって、一旦使用を開始したならば、長期間に亘って所定の触媒機能を維持することが求められる自動車用の触媒担体材料として特に好適に使用することができる。
本発明の目的である金属酸化物の耐久性向上について種々の実験を繰り返した結果、高温耐久性が、酸化物粒子の結晶性、粒径分布、および一次粒子が集まってできる二次粒子の中心細孔径等によって大きく影響されること、そして前駆物質である金属水酸化物の処理方法によって、前記特性が変化すること、さらに予め水溶性金属化合物の水溶液を加熱して一定時間その温度で保持、換言するとエージングした後、アルカリ性物質を添加して調製した金属水酸化物からつくった酸化物は、その耐久性が改善することを見出し、本発明をするにいたった。
図1、図2、そして図5ないし図9は金属水酸化物の調製あるいは処理条件によって、最終的に得られる金属酸化物の物理的性質がどのように変化するかを、CeO2−ZrO2系混成酸化物(重量%比Ce:Zr:La:Pr=60:30:3:7)を例にして示したグラフである。なお、いずれのデータも水熱処理する際の水性液中の共沈殿物固形分濃度は5重量%、水熱処理における最高温度保持時間は4時間である。
図1はこれら金属の共沈殿水酸化物を水熱処理し、さらに界面活性剤処理を行ったとき、得られる金属酸化物の耐熱性の変化を示すグラフ、図2は得られた金属酸化物の二次粒子の中心細孔径の変化を示すグラフである。図3および図4は、共沈殿水酸化物を水熱処理し、界面活性剤処理したときの水酸化物ミセル径の分布図を示したものである。
図5〜図8は水熱処理を攪拌しながら行ったとき、最終的に得られる酸化物の物理的性質がどのように変化するかを示したグラフである(いずれも界面活性剤処理なし)。
図9は水熱処理(水熱処理温度150℃)した後の冷却速度が耐熱性などの金属酸化物の物理的性質におよぼす影響を示すグラフである。
なお、本発明において「水熱処理」とは、金属水酸化物の沈殿物を含む水性沈殿液またはこの水性沈殿液から金属水酸化物の沈殿物を一旦分離し洗浄後、再び水に分散させた水性分散液を、100℃以上の高温加圧下で保持することをいう。これは金属水酸化物粒子を熟成することを目的とする。また、「界面活性剤処理」とは、金属水酸化物の沈殿物を含む水性沈殿液または金属水酸化物粒子を含む水性分散液に界面活性剤を添加し、あるいは界面活性剤の水溶液に前記金属水酸化物を入れ、これらの水性液を攪拌することをいう。
これらの図の結果から、次のことがいえる。
金属水酸化物は、100〜250℃の温度で水熱処理することにより、粒径の均一化が図られまた多少の粒子成長を行い(図5および図6)、結晶性も向上する(図7)。このような状態で界面活性剤処理すると界面活性剤分子が水酸化物粒子表面に吸着してミセルを形成し(図3および図4)、その中心細孔径を広げる(図2)。この結果、得られる酸化物のシンタリングが抑制され、耐久性が向上する(図1)。これらの効果は、水熱処理を攪拌しながら行うことにより一層高められる(図5から図8)。
水熱処理後の冷却は、その速度を5〜20℃/hに制御することによって(所定の水熱処理温度から50℃の温度に達するまで)、自然冷却したものに比べて、製造される金属酸化物の耐久性が向上する(図9)。
これらの図のy軸において定義される用語に関し、「1000℃R/L耐久後SSA」とは、1000℃の高温下での排気ガスを模擬し、可燃ガス量を調節して還元(Rich)/酸化(Lean)雰囲気を繰り返し、耐久処理した後の比表面積(ガス吸着法による)をいう。また、「中心細孔径」とは、ガス吸着法による細孔分布計で測定した細孔径分布の平均値をいう。「SAXS粒径分布分散」とは、SAXS(X線小角散乱)法による粒径分布測定において粒径分布がγ分布の形状を持つと仮定して算出した分散値をいう。そして「XRD結晶子径」とは、XRD(X線回析)にて検出されたCe−Zr酸化物(111)面ピークの拡がりをCanchy関数近似にて算出した結晶子の大きさをいう。「XRD歪度」とは、上記したと同じピークの拡がりをHallの方法にて結晶子の大きさと分離して求めた格子歪をいう。
本発明において用いられる水溶性金属化合物は、アルカリ性物質と反応して非水溶性の金属水酸化物を形成するものであれば使用することができる。好ましくは、形成される金属水酸化物がコアゲル状態で得られることが望ましい。コアゲルとは、ゾルの粒子がコロイド状の沈殿として液相から分離した状態のものをいう。形成される金属水酸化物がゾルの状態である場合には、加熱手段あるいは凝結剤を用いる等して凝結させることができる。
上記した視点から本発明において、好ましく使用できる水溶性金属化合物としては、たとえばアルミニウム、シリコン、鉄、チタン、ジルコニウム、そしてセリウムその他の希土類元素などの、硝酸塩、塩化物、硫酸塩およびオキシ硝酸塩、オキシ硫酸塩、オキシ塩化物などがあるが、もちろんこれらの化合物に限定されるものではない。水溶性金属化合物は単独で使用してもよく、また目的に応じて金属の種類を異にする複数種の水溶性金属化合物を組み合わせて使用してもよい。
自動車の排気ガス用触媒の担体を製造するため、特に好ましく使用できる水溶性金属化合物としては、硝酸セリウム(III )、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸セリウム(III )、硫酸セリウム(IV)、塩化セリウム(III )、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムなどがある。また、アルカリ性物質としては、アンモニアのような揮発性のアルカリ性物質が好しい。この理由は、焼成後の酸化物に不純物として残留することがないからである。水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物はじめこれ以外のアルカリ性物質を使用する場合には、得られる金属水酸化物組織内にアルカリ性物質が残留しないよう、十分に洗浄を行うことが必要である。
アルカリ性物質の添加量は、水溶性金属化合物水溶液が等電点に達した時点を目安とする。あるいは、水溶液が弱アルカリ性を呈した時点を目安にしてもよい。水溶液が等電点に達する前に、アルカリ性物質の添加を止めることも可能ではあるが、液相に未反応の水溶性金属化合物が含まれることになり、得られる金属水酸化物の量がその分少なくなるばかりでなく、金属水酸化物中に不純物として残留する可能性があるので、これは好ましい方法とはいえない。
本発明において、金属水酸化物の水熱処理は、上記した反応によって得られた金属水酸化物を、分離することなく、そのままオートクレーブに入れ、高温高圧水蒸気の下で一定時間保持して行うことができる。しかしながら、不揮発性のアルカリ性物質、たとえば水酸化ナトリウム水溶液を使用して金属水酸化物を調製した場合には、これを不純物として残存させないため、得られた金属水酸化物を一旦分離してから精製水で洗浄を行った後、再び精製水に戻してから水熱処理することが望ましい。水熱処理は、最高温度で100℃〜250℃の温度範囲、より好ましくは150〜200℃で行われる。最高温度が100℃より低いと金属水酸化物の結晶の成長が十分ではなく、また250℃を超えると一旦成長した結晶が、崩壊し、いずれの場合にも得られる酸化物の耐熱性が減少する。しかしながら、後述するように、攪拌しながら水熱処理を行うことにより、300℃の温度で水熱処理しても、得られる酸化物の耐熱性の低下を小さくすることができる。
請求項1に記載した発明では、このように水熱処理した金属水酸化物を含む水性液に界面活性剤を添加、攪拌し、水酸化物粒子表面に界面活性剤分子を吸着させる。このように界面活性剤処理を行った後に、金属水酸化物を焼成すると、耐熱性に優れた触媒担体をつくることができる。これは水熱処理による結晶の成長と結晶粒子の粒径分布の均一化に加え(図5〜図8参照)、界面活性剤処理によって、得られる金属酸化物の二次粒子の中心細孔径の拡大(図1および図2参照)による相乗的効果と考えられる。
界面活性剤処理に使用する界面活性剤としては、公知のイオン性界面活性剤、両性界面活性剤、あるいは非イオン性界面活性剤いずれでもよいが、金属水酸化物の粒子表面への吸着性と水中での安定性を考慮すると、カチオン性やアニオン性の界面活性剤の使用が好ましい。カチオン性界面活性剤としては、例えば脂肪酸第一、第二および第三アミン塩、トリアルキルベンジルアンモシウム塩、テトラアルキルアンモシウム塩などが使用できる。またアニオン性界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸とその塩、α―オレフィンスルホン酸とその塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、フェニルエーテル硫酸エステル塩などが使用できる。
界面活性剤で処理することによって、金属水酸化物粒子の表面に界面活性剤の化合物分子が配向して吸着し、金属水酸化物粒子の凝集を防ぐことができる。イオン性界面活性剤を使用する場合には、形成されるミセルを安定化するため、カチオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤を併用することが望ましい。
界面活性剤は金属水酸化物粒子の凝集防止し、最終的につくられる金属酸化物の二次粒子の中心細孔径を拡大する目的のために用いられるので、その使用量に関しては、理論的には処理すべき金属水酸化物の全粒子表面を界面活性剤分子が覆うことのできる相当量である。これは金属水酸化物の界面状態によって大きく異なるので、限界値を一律に規定することは難しいが、通常、金属水酸化物を金属酸化物として換算した時の値で、金属酸化物:界面活性剤=60〜20:40〜80 の範囲で使用することが好ましい。
界面活性剤を使用すると、界面活性剤を使用しない場合(上限温度250℃)に比べて水熱処理の際の最高温度の上限温度を、高くすることができる。すなわち、上限温度を300℃の温度まで拡張しても、耐熱性に優れた触媒担体をつくることができることができる。
請求項2および請求項3の発明では、金属水酸化物を攪拌しながら水熱処理行う。水熱処理の全時間に亘って攪拌を行う必要はなく、少なくとも最高温度に保持して熟成している間、攪拌すれば十分である。攪拌することにより、水酸化物の結晶性が向上し、250℃以上の高温での水熱処理においても結晶崩壊が抑制される。この結果、得られる酸化物の粒子粒径分布の分散値が小さくなり、すなわち粒径が均一化し、製造される酸化物の耐久性が改善する(図5〜図8)。
請求項8の発明は、水熱処理後の冷却速度に関するもので、金属水酸化物の温度が少なくとも50℃に達するまでは1時間に5〜20℃の冷却速度で徐冷する。これによって自然冷却した場合に比べて酸化物の耐熱性が向上する(図9)。これは徐冷によって新規核生成が抑えられ、水酸化物粒子の成長が促進するためと思われる。
請求項9の発明は、水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性化合物を添加する前、この水溶液を加熱してエージングすることを内容とするもので、このような処理をすることによって製造される金属酸化物の熱的耐久性を改善するものである。なぜ耐久性が改善するのかこの理由は定かではないが、加熱処理によって水溶液に変色現象が観察されることより、水溶液中に金属錯体が形成され、これが作用しているものと推察される。加熱温度は50〜150℃、より好ましくは80〜120℃である。80℃以上の温度に加熱するには、オートクレーブを使用する。加熱温度50℃より低いと金属錯体の形成が十分行われず、また150℃より高いと金属錯体が加水分解され酸化物あるいは水酸化物に分解してしまうと考えられる。好ましい加熱時間は加熱温度によって異なるが、通常30分ないし数時間である。あまり長時間加熱するとむしろ熱耐久性が低下する傾向を示す。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1
[金属酸化物の調製]
下記の方法によって、水熱処理温度を異にする3種類のセリウムージルコ二ウム系混成酸化物を調製した。
イ .金属水酸化物の調製
硝酸二アンモニウムセリウム95.55g、オキシ硝酸ジルコニウム32.53g、硝酸プラセオジム8.94g,および硝酸ランタン3.99gを、精製水500mlに溶解(オキシ硝酸ジルコニウムは温浴にて溶解)して金属塩混合水溶液を調製した。次いでこの水溶液を攪拌しながら、28%アンモニア水150mlを300mlの精製水で希釈したアンモニア水を加えて中和し、水酸化セリウムと水酸化ジルコ二ウムを含むゲル状複合沈殿物を調製した。
ロ .水熱処理
上記のゲル状複合沈殿物の水性液を、オートクレーブに入れ、高温加圧の条件下で水熱処理して3種類の沈殿物をつくった。水熱処理の条件は次のとおりである。
最高温度 : 120,150、180および250℃の4種類
昇温速度 : 60℃/時間
最高温度保持時間 : 各温度で4時間
冷却速度 : 各最高温度から50℃の温度まで、10℃/時間
ハ .洗浄処理
オートクレーブから取り出し、遠心分離機で沈殿物を分離した後、精製水で洗浄し、再び遠心分離機で分離した。このような洗浄処理を3種類の沈殿物について各2回行った。
ニ .界面活性剤処理
前記ハで得られた混成水酸化物に、精製水1800mlを加えて固形分量0.3重量%程度とし、ホモジナイザー(回転数13000〜20000rpm)で攪拌しながらカチオン性界面活性剤(商品名:アーマック(ライオン株式会社の登録商標))21.9g添加して5分間攪拌し、次いでアニオン性界面活性剤(商品名:アーモフロー(ライオン株式会社の登録商標))21.9g添加して5分間攪拌した。
ホ .脱水洗浄処理
上記ハの工程と同様に、遠心分離機を使用し、脱水と洗浄を2回繰り返し行った。
へ .仮焼および焼成
このようにして得られた共沈殿物を120℃の温度で15時間乾燥した後、電気炉で400℃の温度で5時間仮焼して含有する界面活性剤を除去した。引き続き700℃の温度まで3時間かけて加熱し、この温度に5時間維持して焼成を行い、プラセオジムとランタンの酸化物を含有するセリウムージルコ二ウム系混成酸化物を調製した。
[比較例試料の調製]
イ.300℃の温度で水熱熟成処理を行ったことを除いて、上記実施例1と同様な方法によって酸化物を調製した。
ロ.水熱処理を行わなかったことを除いて、上記実施例1と同様な方法によって酸化物を調製した。
ハ.界面活性剤処理をせずに水熱熟成処理(180℃)を行ったことを除き上記実施例1と同じ方法によって酸化物を調製した。
[比表面積の測定]
得られた酸化物について1000℃R/L耐久後比表面積を測定し、耐久前の比表面積と比較した。
得られた結果を表1に示す。
Figure 2008150237
実施例2
沈殿物を攪拌しながら水熱熟成処理を行ったことおよび界面活性剤処理を行わなかったことを除いて、実施例1において述べたと同じ方法で金属酸化物を調製した。得られた酸化物について、実施例1と同じ方法で比表面積を測定した。この結果を表2に示す。
Figure 2008150237
実施例3
沈殿物を攪拌しながら水熱熟成処理を実施したことを除いて、実施例1において述べたと同じ方法で金属酸化物を調製した。得られた酸化物について、実施例1と同じ方法で比表面積を測定した。この結果を表3に示す。
Figure 2008150237
実施例4
実施例1で述べた金属塩混合水溶液と同一の組成をもつ金属塩混合水溶液を調製した。この金属塩混合水溶液を加熱し、所定の温度で所定時間保持してエージングした。次いでこの水溶液にアンモニア水を加えて水酸化物沈殿物を調製し、この沈殿物を実施例1で述べた方法で処理して種々のプラセオジムとランタンの酸化物を含むセリウムージルコニウム系混成酸化物を調製した。
これらの酸化物について、1000℃R/L耐久後比表面積を測定した。
エージング処理条件、酸化物の調製条件および耐久後比表面積の測定の結果を、表4に示す。
Figure 2008150237
表4の結果から、本発明の方法によれば、得られる酸化物の耐久後比表面積は高い値を示しており、耐久性が一層向上することが判る。
硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコニウムの混合水溶液にアンモニア水を加えて調製した水酸化セリウムと水酸化ジルコニウムの共沈殿物を、種々の条件の下で加熱熟成し、製造したCeO2−ZrO2系混成酸化物の物理的性状(1000℃R/L耐久後SSA)を比較したグラフである。 硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコニウムの混合水溶液にアンモニア水を加えて調製した水酸化セリウムと水酸化ジルコニウムの共沈殿物を、種々の条件の下で加熱熟成し、製造したCeO2−ZrO2系混成酸化物の物理的性状(中心細孔径)を比較したグラフである。 前記した共沈殿水酸化物を水熱処理し、界面活性剤処理したときの水酸化物ミセル径の分布図である。 前記した共沈殿水酸化物を水熱処理し、界面活性剤処理したときの水酸化物ミセル径の分布図である。 硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコニウムの混合水溶液にアンモニア水を加えて調製した水酸化セリウムと水酸化ジルコニウムの共沈殿物を、種々の条件の下で加熱熟成し、製造したCeO2−ZrO2系混成酸化物の物理的性状(粒径分布分散@700℃)を比較したグラフである。 硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコニウムの混合水溶液にアンモニア水を加えて調製した水酸化セリウムと水酸化ジルコニウムの共沈殿物を、種々の条件の下で加熱熟成し、製造したCeO2−ZrO2系混成酸化物の物理的性状(XRD結晶子径)を比較したグラフである。 硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコニウムの混合水溶液にアンモニア水を加えて調製した水酸化セリウムと水酸化ジルコニウムの共沈殿物を、種々の条件の下で加熱熟成し、製造したCeO2−ZrO2系混成酸化物の物理的性状(XRD歪度@700℃)を比較したグラフである。 硝酸セリウム(III )とオキシ硝酸ジルコニウムの混合水溶液にアンモニア水を加えて調製した水酸化セリウムと水酸化ジルコニウムの共沈殿物を、種々の条件の下で加熱熟成し、製造したCeO2−ZrO2系混成酸化物の物理的性状(1000℃R/L耐久後SSA)を比較したグラフである。 水熱処理後の冷却速度が耐熱性などの金属酸化物の物理的性質(SAXS粒径分布分散@700℃)におよぼす影響を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加して金属水酸化物を調製する工程と、得られた金属水酸化物を焼成する工程とを含んでなる金属酸化物の製造方法において、前記両工程の間に金属水酸化物を水熱処理する工程と、水熱処理された該金属水酸化物を界面活性剤で処理する工程とを含んでいることを特徴とする金属酸化物の製造方法。
  2. 水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加して金属水酸化物を調製する工程と、得られた金属水酸化物を焼成する工程とを含んでなる金属酸化物の製造方法において、前記両工程の間に金属水酸化物を水熱処理する工程を含みかつこの工程が該金属水酸化物を攪拌しながら行われることを特徴とする金属酸化物の製造方法。
  3. 水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加して金属水酸化物を調製する工程と、得られた金属水酸化物を焼成する工程とを含んでなる金属酸化物の製造方法において、前記両工程の間に金属水酸化物を水熱処理する工程と、水熱処理された該金属水酸化物を界面活性剤で処理する工程とを含み、かつ水熱処理する工程が金属水酸化物を攪拌しながら行われることを特徴とする金属酸化物の製造方法。
  4. 金属水酸化物の水熱処理が100℃ないし250℃の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載する方法。
  5. 金属水酸化物の水熱処理が100℃ないし300℃の温度で行われることを特徴とする請求項2または請求項3に記載する方法。
  6. 水溶性金属化合物の水溶液が複数の水溶性金属化合物を含む混合水溶液であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載する方法。
  7. 水溶性金属化合物の水溶液が、セリウム塩とジルコニウム塩とを含む混合水溶液であることを特徴とする請求項6に記載する方法。
  8. 水熱処理後の冷却工程が、金属水酸化物の温度が少なくとも50℃の温度に達するまでは、5〜20℃/hの冷却速度で行われることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つに記載する方法。
  9. 水溶性金属化合物の水溶液にアルカリ性物質を添加する前に、該水溶液を50〜150℃の温度に加熱することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載する方法。
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