JP2003320632A - 二軸延伸多層積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
二軸延伸多層積層フィルムおよびその製造方法Info
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Abstract
性多層積層フィルムの提供。 【解決手段】 第1の層と第2の層とを11層以上交互
に積層した二軸延伸多層積層フィルム。第1の層は、厚
みが0.05〜0.5μm。第2の層は、第1の層を構
成するポリエステル組成物とは組成を異にするポリエス
テル組成物からなり、厚みが0.05〜0.5μm。そ
して波長350〜2000nmの光に対する反射率曲線
に、最大反射率が反射率のベースラインよりも20%以
上高い反射ピークを有する。さらには、フィルム中のエ
チレンテレフタレート成分の割合が、ポリエステルの全
繰返し単位を基準として、80モル%以上である。
Description
折率の高い層とを交互に規則的に配置させた、層間の屈
折率差および各層の厚みによって任意の波長帯の光を選
択的に反射する多層積層フィルムに関する。
高い層とを交互に多数積層したものであり、層間の構造
的な光干渉によって、特定波長の光を選択的に反射また
は透過する光学干渉フィルムとすることができる。この
ような多層積層フィルムは、選択的に反射または透過す
る光の波長を可視光領域とすれば、構造的な発色により
意匠性に優れた、例えば、玉虫色に見える真珠光沢フィ
ルムとできる。しかも、ここで得られる意匠性は、多層
積層フィルムの構造的な発色によることから、染料など
による発色と異なり退色の問題もない。また、このよう
な多層積層フィルムは、膜厚を徐々に変化させたり、異
なる反射ピークを有するフィルムを貼り合せたりするこ
とで金属を使用したフィルムと同等の高い反射率を得る
ことができ、金属光沢フィルムや反射ミラーとして使用
することもできる。
−99307号公報などでポリエチレンテレフタレート
とポリメチルメタクリレートなどの異なる素材の熱可塑
性樹脂を用いた多層積層フィルムが提案されている。ま
た、特表平9−506837号公報やWO01/477
11号公報などで、例えば屈折率の高い層として、ポリ
エチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレートからな
る層を用い多層延伸フィルムも提案されている。
うな多層積層フィルムは、層間の屈折率差を大きくする
ために、組成の異なる樹脂を組み合わせるため、各層間
の密着が弱く層間剥離現象が発生しがちであった。ま
た、組成の異なる樹脂を組み合わせるため、どうしても
延伸を均一に行うのが難しく、強度の不十分な裂けやす
いフィルムになり易かった。
各層の屈折率差は、各層を構成する樹脂の有する屈折率
差に由来していた。例えば、特開昭56−99307号
公報に記載されているように、屈折率の高い層には、ポ
リエチレンテレフタレートを使用し、屈折率の低い層に
は、ポリメタクリレートのような屈折率の低い樹脂を用
いてきていた。しかし、樹脂の有する屈折率に頼って層
間の屈折率差を設ける従来の考え方では、各層を構成す
る樹脂は、どうしても組成の大きく異なる樹脂を選択す
る必要があり、層間の密着性の劣るものしか得られなか
った。例えば、特表平9−506837号公報やWO0
1/47711号公報では、屈折率の高い層に屈折率の
高いポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレー
ト(以下、PENと称することがある。)を使用し、屈
折率の低い層に熱可塑性エラストマーを使用した2軸延
伸フィルムや屈折率の高い層に屈折率の高いPENを使
用し、屈折率の低い層にイソフタル酸を30モル%共重
合したPENを使用した1軸延伸多層延伸フィルムが例
示されている。これらの多層積層フィルムは屈折率の低
い層を実質的に非晶質にしており、このような多層積層
フィルムに延伸処理を施しても、層間密着性が十分に得
られなかったり、2軸延伸処理が面方向に均一に行え
ず、膜質が不均一化したりして、実用上課題が潜在して
いた。
る上述の課題を解消し、層間の密着性が高く、しかも裂
けにくい多層積層フィルムを提供することにある。
層フィルムは、厚みが0.05〜0.5μmの範囲にあ
る第1の層と、第1の層を構成するポリエステル組成物
とは組成を異にするポリエステル組成物からなる厚みが
0.05〜0.5μmの範囲にある第2の層とを11層
以上交互に積層した、波長350〜2000nmの光に
対する反射率曲線に、最大反射率が反射率のベースライ
ンよりも20%以上高い反射ピークを有する積層フィル
ムであって、フィルム中のエチレンテレフタレート成分
の割合が、ポリエステルの全繰返し単位を基準として、
80モル%以上であることを特徴とする。
層を構成する樹脂組成を極限まで近くしても、屈折率の
低い層を構成する樹脂の融点を屈折率の高い層を構成す
る樹脂より低くして、かつ2軸延伸処理後に該融点の低
い樹脂からなる層の分子配向を緩和させることにより、
層間の屈折率差を発現させつつ、2軸延伸加工性もすぐ
れ、層間密着性も優れた多層延伸フィルムが得られる。
こうした本発明は、各層を構成する樹脂の組合せとし
て、従来から層間の屈折率差を発現させ難いとされてい
た極めて組成の近い樹脂の組合せを採用して、多層積層
フィルムに十分な強度と層間の密着性を具備させなが
ら、驚くべきことに層間の屈折率差も十分に具備させた
ものである。
走査熱量測定法により測定される融点が2つ以上存在
し、そのそれぞれが少なくとも5℃以上異なること、ま
た示差走査熱量測定法により測定される結晶化ピークが
100℃〜190℃の範囲に存在すること、フィルム中
の全繰返し単位の1.5〜20モル%がテレフタル酸ま
たはイソフタル酸成分であること、第1の層を構成する
ポリエステルが、結晶性ポリエステルであり、全繰返し
単位の95モル%以上をエチレンテレフタレート成分で
占められていること、第2の層を構成するポリエステル
が、結晶性ポリエステルであり、全繰返し単位の75〜
97モル%をエチレンテレフタレート成分で占められて
いること、フィルムの製膜方向および幅方向の破断強度
が、いずれも50MPa以上であることのいずれかを具
備する二軸延伸多層積層フィルムも提供される。
レフタレートを主たる成分とする融点が250〜260
℃の第1の層用ポリエステルと該第1の層用ポリエステ
ルよりも融点が15℃以上低い第2の層用ポリエステル
とを11層以上交互に積層したシート状物とする工程、
得られたシート状物を製膜方向および幅方向にそれぞれ
2〜50倍延伸する工程、および第2の層用ポリエステ
ルの融点よりも10℃低い温度から第1の層用ポリエス
テルの融点よりも15℃低い温度で熱固定する工程から
なる二軸延伸多層積層フィルムの製造方法も提供され
る。
ムは、ポリエステル組成物からなる厚みが0.05〜
0.5μmの第1の層と、同じくポリエステル組成物か
らなる厚みが0.05〜0.5μmの第2の層とを交互
に少なくとも11層積層されたものである。なお、第1
の層と第2の層とを構成するポリエステル組成物は、組
成は非常に近いものであるが組成を異にすることが必要
である。積層数が11層未満だと、多重干渉による選択
反射が小さく、十分な反射率が得られない。積層数の上
限は、生産性などの観点から高々501層であることが
好ましい。また、第1の層および第2の層は、層間の光
干渉によって選択的に光を反射するために、それぞれ1
層の厚みが0.05〜0.5μmである。本発明の多層
積層フィルムが示す選択反射は、紫外光、可視光、近赤
外光の範囲において、適宜、その層厚を調整することで
実現できる。それぞれの1層厚みが0.05μm未満で
あると、その反射光はポリエステル組成分の吸収によっ
て反射性能が得られなくなる。一方、0.5μmを超え
ると、層間の光干渉によって選択的に反射する光が赤外
光の領域に達し、光学的特性としての有用性がえられな
くなる。なお、説明の便宜上、屈折率の高い層を第1の
層、屈折率の低い層を第2の層と、以下、称する。
は、波長350〜2000nmの光に対する反射率曲線
に、最大反射率が反射率のベースラインよりも20%以
上高い、好ましくは30%以上高い、さらに好ましくは
50%以上高い反射ピークを有する。図1は、本発明の
二軸延伸多層積層フィルムの反射率曲線の一例を示す。
該図1中の、1は最大反射率と反射率のベースラインの
差、2は反射率のベースラインを示す。二軸延伸多層積
層フィルムに、最大反射率が反射率のベースラインより
も20%以上高い反射ピークが存在しないと、特定波長
の光を選択的に反射または透過する光学干渉フィルムと
しては使用できず、例えば真珠光沢フィルムとして使用
できない。
厚み構成で、二軸延伸多層積層フィルムを構成する第1
の層と第2の層に、従来の樹脂の屈折率差に頼らず、十
分な屈折率差を付与したことにある。樹脂の屈折率差に
頼らずに二軸延伸多層積層フィルムを構成する第1の層
と第2の層に十分な屈折率差を付与するには、例えば延
伸後の熱処理によって屈折率差を付与する方法が挙げら
れる。そして、本発明の二軸延伸多層積層フィルムは、
極めて組成の類似した樹脂を第1の層および第2の層を
構成する樹脂として選択でき、そのような組成の類似し
た樹脂の選択によって層間の密着性が飛躍的に向上され
たものである。したがって、本発明の二軸延伸多層積層
フィルムは、全繰返し単位の80モル%以上がエチレン
テレフタレート成分のポリエステルからなる。エチレン
テレフタレート成分が全繰返し単位の80モル%未満だ
と、層間の密着性が低下する。なお、エチレンテレフタ
レート成分以外の共重合成分としては、融点を低下させ
やすいことから、2,6−ナフタレンジカルボン酸また
はイソフタル酸成分が好ましい。2,6−ナフタレンジ
カルボン酸またはイソフタル酸成分の共重合割合は、繰
返し単位を基準として、1.5〜20モル%の範囲であ
る。2,6−ナフタレンジカルボン酸またはイソフタル
酸成分のモル数が、下限よりも少ないと、第1の層と第
2の層に十分な屈折率差を付与しがたく、他方、2,6
−ナフタレンジカルボン酸またはイソフタル酸成分のモ
ル数が上限よりも多いと、第1の層と第2の層を構成す
るポリエステルの組成が大きく異なり、層間の密着性が
低下しやすい。
構成する樹脂は、主たる繰返し単位がエチレンテレフタ
レート成分からなるポリエステルである。好ましくは、
後述の第2の層を構成するポリエステルよりも融点を高
度に維持できることから、ホモポリエチレンテレフタレ
ートまたは繰返し単位の90モル%以上がエチレンテレ
フタレート成分からなる共重合ポリエチレンテレフタレ
ートである。エチレンテレフタレート成分のモル数が繰
返し単位の90モル%未満だと、融点が低下し、後述の
第2の層を構成するポリエステルとの融点差が得られが
たく、結果として、多層延伸フィルムに十分な屈折率差
を付与しがたい。これらの中でも、融点を高度に維持で
きることから、ホモポリエチレンテレフタレートが好ま
しい。エチレンテレフタレート成分以外の共重合成分と
しては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸のような他の芳香
族カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;
シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸
等の酸成分や、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の
如き脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノールの如
き脂環族ジオール等、グリコール成分を好ましく挙げる
ことができる。
は、250〜260℃の範囲であることが、後述の第2
の層を構成する樹脂との融点差を比較的大きくできるこ
とから好ましい。第1の層を構成する樹脂の融点が下限
よりも低いと、第2の層を構成する樹脂との融点差が小
さくなり、結果として、得られる多層延伸フィルムに十
分な屈折率差を付与することが困難になる。なお、共重
合していないポリエチレンテレフタレートの融点は、通
常256℃近傍である。
構成する樹脂は、主たる繰返し単位がエチレンテレフタ
レート成分からなるポリエステルである。特に2軸延伸
における製膜性の観点から、結晶性ポリエステルである
ことが好ましい。また、前述の第1の層を構成するポリ
エステルよりも融点を低くできることから、繰返し単位
の75〜97モル%がエチレンテレフタレート成分から
なり、3〜25モル%がそれ以外の共重合成分からなる
共重合ポリエチレンテレフタレートである。エチレンテ
レフタレート成分のモル数が繰返し単位の75モル%未
満であるか共重合成分のモル数が25モル%を超える
と、実質的にポリマーが非晶性を示し、2軸延伸での製
膜性が低下し、かつ前述の第1の層を構成するポリエス
テルとの組成が大きく異なり、層間の密着性が低下しや
すい。他方、エチレンテレフタレート成分のモル数が繰
返し単位の97モル%を超えるか共重合成分のモル数が
3モル%未満だと、前述の第1の層を構成するポリエス
テルとの融点差が小さくなり、結果として、多層延伸フ
ィルムに十分な反射率を付与することが困難となる。エ
チレンテレフタレート成分以外の共重合成分としては、
イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,
7−ナフタレンジカルボン酸のような他の芳香族カルボ
ン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン
ジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキ
サンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等の酸成分
や、ブタンジオール、ヘキサンジオール等の如き脂肪族
ジオール;シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジ
オール等、グリコール成分を好ましく挙げることができ
る。これらの中でも、比較的、延伸性を維持しながら融
点を低下させやすいことから2,6−ナフタレンジカル
ボン酸またはイソフタル酸が好ましい。
は、200〜245℃の範囲であることが、前述の第1
の層を構成する樹脂との融点差を比較的大きくできるこ
とから好ましい。第2の層を構成する樹脂の融点が上限
よりも高いと、第1の層を構成する樹脂との融点差が小
さくなり、結果として、得られる多層延伸フィルムに十
分な屈折率差を付与することが困難になる。一方、第2
の層を構成する樹脂の融点が下限よりも低くするには、
第1の層を構成する樹脂との組成が大きく変更すること
になり、得られる二軸延伸多層積層フィルムに十分な層
間の密着性を付与することが困難になる。なお、第2の
層を構成する樹脂の融点は、フィルムにする前の段階か
ら低い必要はなく、延伸処理後に低くなっていれば良
い。例えば、ホモポリエチレンテレフタレートとそれ以
外の他のポリエステルとを用意し、これらを溶融混練時
にエステル交換させたものであってもよいことは容易に
理解されるであろう。
軸延伸多層積層フィルムは、上述の第1の層および第2
の層を、交互に少なくとも11層積層したものである。
なお、本発明の二軸延伸多層積層フィルムは、前述のと
おり、十分な機械的強度を具備する観点から、2軸方向
に延伸されていることが必要である。
は、層間の密着性及び2軸延伸加工の製膜性を確保する
観点から、第1の層、第2の層ともに、結晶性を示し、
かつ第2の層の樹脂は、延伸後には、少なくとも部分的
に溶融されていることが好ましい。このようにして得ら
れた二軸延伸多層積層フィルムは、示差走査熱量測定法
(DSC)装置で測定される融点が2つ以上存在し、か
つそれらの融点か5℃以上異なることが好ましい。ここ
で、測定される融点は、高融点側が高屈折率を示す第1
の層であり、低融点側は、低屈折率を示す第2の層であ
ることは容易に想像がつくであろう。また、さらに好ま
しくは、延伸後に第2の層は少なくとも部分的に溶融さ
れているために、DSC装置で測定される結晶化ピーク
が100℃〜190℃の範囲に存在することが好まし
い。結晶化ピークが100℃未満であると、フィルムの
延伸時に一方の層が急激に結晶化し、製膜時の製膜性が
低下しやすく、かつ、膜質の均質性が低下しやすく、結
果として、色の斑などが発生することがある。一方で結
晶化ピークが190℃を越えると、熱固定処理で第二の
層を融解するときに、結晶化が同時に起こり、十分な屈
折率差を発現させ難くなる。
ィルムは、ともに結晶性を示す第一の層の樹脂と第二の
層の樹脂を延伸することによって、均質な膜質のフィル
ムが得られ、かつ延伸工程の後に第二の層を融解するこ
とで、層間密着性を向上させることと同時に反射性能を
向上させることができる。従って、本発明の二軸延伸多
層積層フィルムでは、DSC装置による結晶ピークが1
00℃〜190℃に存在し、融点差が5℃以上異なる2
つ以上の融解ピークが観測される二軸延伸多層積層フィ
ルムが好ましい。
は、延伸処理された方向の破断強度は、それぞれ50M
Pa以上であることが好ましい。破断強度が50MPa
未満だと、多層延伸フィルムの加工時における取り扱い
性が低下したり、製品にしたときの耐久性が低下したり
する。また、破断強度が50MPa以上であると、フィ
ルムの腰が強くなり、巻取り性が向上するという利点も
ある。好ましい破断強度は、縦方向が80MPa以上、
特に100MPa以上で、横方向が80MPa以上、特
に100MPa以上である。また、縦方向と横方向の強
度比は、3以下であることが耐引裂き性を十分に具備で
きることから好ましい。特に縦方向と横方向の強度比が
2以下であると、さらに耐引裂き性を向上できることか
ら好ましい。破断強度の上限は、特に限定はされない
が、延伸工程の安定性を維持する観点から、高々500
MPaであることが好ましい。
は、熱寸法安定性が高いことが特徴であり、延伸処理さ
れた方向(製膜方向および幅方向)の150℃で30分
間処理したときの熱収縮率が、それぞれ3.0%以下が
好ましい。より好ましくは、2.5%以下、更に好まし
くは、2.0%以下である。また、本発明の二軸延伸多
層積層フィルムの200℃で10分間処理したときの製
膜方向および幅方向の熱収縮率は、それぞれ5.0%以
下が好ましい。より好ましい熱収縮率はそれぞれ4.0
%以下、更に好ましい熱収縮率はそれぞれ3.0%以下
である。熱寸法安定性が高いことから、本発明の二軸延
伸多層積層フィルムは、PVCシートとの貼り合せや、
エンボス加工などの工程適性に優れているといえる。
は、第1の層および第2の層を構成する樹脂が、ともに
結晶性樹脂であることが好ましい。第1の層および第2
の層を構成する樹脂がともに結晶性樹脂であると、延伸
などの処理が不均一になりがたく、結果としてフィルム
の厚み斑を小さくすることができる。この厚み斑の範囲
は、光学的影響を及ぼすことが可能な面積を考慮した範
囲内におけるフィルム厚みの最大値と最小値の差が、5
μm未満であることが好ましい。これはより好ましくは
3μm未満であり、さらにより好ましくは1.5μm未
満である。フィルム厚みの変動率が5μm以上になる
と、反射する光の色が変化してしまい、色の斑となって
現れる。
ィルムの巻取り性を向上させるため、第1の層または第
2の層の少なくとも1方に、平均粒径が0.01μm〜
2μmの不活性粒子を、多層延伸フィルムの重量を基準
として、0.001重量%〜0.5重量%含有すること
が好ましい。不活性粒子の平均粒径が下限よりも小さい
か、含有量が下限よりも少ないと、多層延伸フィルムの
巻取り性を向上させる効果が不十分になりやすく、他
方、不活性粒子の含有量が上限を超えるか、平均粒径が
上限を超えると、粒子による多層延伸フィルムの光学特
性の悪化が顕著になる。好ましい不活性粒子の平均粒径
は、0.05〜1μm、特に0.1〜0.3μmの範囲
である。また、好ましい不活性粒子の含有量は、0.0
05〜0.2重量%の範囲である。
活性粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カル
シウム、燐酸カルシウム、カオリン、タルクのような無
機不活性粒子、シリコーン、架橋ポリスチレン、スチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体のような有機不活性粒子
を挙げることができる。これらの不活性粒子は、その長
径と短径の比が1.2以下、さらには1.1以下である
球状粒子(以下、真球状粒子ということがある)である
ことが、フィルムの滑り性と光学特性を高度に維持でき
ることから好ましい。また、これらの不活性粒子は、粒
度分布がシャープであることが好ましく、例えば相対標
準偏差が0.3未満、さらには0.2未満のものが好ま
しい。相対標準偏差が大きい粒子を使用すると、粗大粒
子の頻度が多くなり、光学的な欠陥を生ずる場合があ
る。ここで、不活性粒子の平均粒径、粒径比及び相対標
準偏差は、まず粒子表面に導電性付与のための金属を極
く薄くスパッターし、電子顕微鏡にて、1万〜3万倍に
拡大した像から、長径、短径および面積円相当径を求
め、次いでこれらを次式に当てはめることで算出され
る。 平均粒径=測定粒子の面積円相当径の総和/測定粒子数 粒径比=粒子の平均長径/該粒子の平均短径
層フィルムに不活性粒子を含有させない場合などには、
二軸延伸フィルムの加工工程において、易滑性塗布層を
少なくとも片面に設けることが好ましい。塗布層を構成
する組成物は、ポリエステル樹脂組成物やアクリル樹脂
組成物に易滑性を付与させるために滑剤(フィラー、ワ
ックス)を添加することが好ましい。滑剤を添加するこ
とで滑性、耐ブロッキング性が更に良化することができ
る。
点(Tg)が50〜100℃、更に好ましくは60〜9
0℃のものである。該ポリエステル樹脂は、水に可溶性
または分散性のポリエステルが好ましいが、多少の有機
溶剤を含有しても良い。
は、以下のような多塩基酸またはそのエステル形成誘導
体とポリオールまたはそのエステル形成誘導体からなる
ものを好ましく挙げることができる。すなわち、多塩基
酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、無水フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられ
る。これら酸成分を2種以上用いて共重合ポリエステル
樹脂を合成する。また、若干量ながら不飽和多塩基酸成
分のマレイン酸、イタコン酸等及びp−ヒドロキシ安息
香酸等の如きヒドロキシカルボン酸を用いることができ
る。また、ポリオール成分としては、エチレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコ
ール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシ
ド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリ
コール等が挙げられる。また、これらモノマーが挙げら
れるがこれらに限定されるものではない。
ラス転移点(Tg)が−50〜50℃、更に好ましくは
−50〜25℃のものを好ましく挙げることができる。
該アクリル樹脂は、水に可溶性または分散性のアクリル
樹脂が好ましいが、多少の有機溶剤を含有しても良い。
かかるアクリル樹脂としては以下のようなアクリルモノ
マーから共重合できる。このアクリルモノマーとして
は、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート
(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキ
シル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレ
ート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエ
ーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタ
クリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロ
トン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム
塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)
等のカルボキシ基またはその塩を含有するモノマー;ア
クリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリ
ルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジ
アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリ
レート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n
−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブ
チル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロ
ヘキシル基等)、Nーアルコキシアクリルアミド、N−
アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシア
クリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド
(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブ
トキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリ
ン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フ
ェニルメタクリルアミド等のアミド基を含有するモノマ
ー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモ
ノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネー
ト、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエー
テル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシ
ラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマ
ール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステ
ル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニ
リデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニ
ル、ブタジエン等のモノマーが挙げられる。また、これ
らモノマーを挙げられるがこれらに限定されるものでは
ない。
らポリエステルフィルムの滑り性付与剤として知られて
いるものを好適に用いることができる。例えば、炭酸カ
ルシウム粒子、酸化カルシウム粒子、酸化アルミニウム
粒子、カオリン粒子、酸化珪素粒子、酸化亜鉛粒子、カ
ーボンブラック粒子、炭化珪素粒子、酸化錫粒子、架橋
アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミ
ン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等が挙げられる。
特に、酸化珪素粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリ
スチレン樹脂粒子などが塗布層への分散性などの観点か
ら特に好ましい。
分散液或いは乳化液等の水性塗液の形態で使用されるの
が好ましい。塗膜を形成するために、必要に応じて、前
記組成物以外の他の樹脂、例えばオキサゾリン基を有す
る重合体、メラミン、エポキシ、アジリジン等の架橋
剤、帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、
滑剤(フィラー、ワックス)などを添加することができ
る。塗液が水性塗液である場合の固形分濃度は、通常2
0重量%以下であり、更には1〜10重量%であること
が好ましい。この割合が1重量%未満であると、ポリエ
ステルフィルムへの塗れ性が不足し、一方、20重量%
を越えると塗剤の安定性や塗布外観が悪化することがあ
る。
階で実施することができるが、二軸延伸多層積層フィル
ムの製造過程で実施するのが好ましく、さらには配向結
晶化が完了する前のフィルムに塗布するのが好ましい。
ここで、結晶配向が完了する前のフィルムとは、未延伸
フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れ
か一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方
向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの
(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶
化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むもの
である。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向
せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を
塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定
とを施すのが好ましい。
布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面に
コロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理
を施すか、あるいは組成物と共にこれと化学的に不活性
な界面活性剤を併用することが好ましい。かかる界面活
性剤は、ポリエステルフィルムへの水性塗液の濡れを促
進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エ
ステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルス
ルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン
型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面
活性剤は、塗膜を形成する組成物中に、1〜10重量%
含まれていることが好ましい。
0.3μm、好ましくは0.07〜0.25μmの範囲
となるような量であるのが好ましい。塗膜の厚さが薄過
ぎると、接着力が不足し、逆に厚過ぎると、ブロッキン
グを起こしたり、ヘーズ値が高くなったりする可能性が
ある。
適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート
法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナ
イフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独ま
たは組合せて用いることができる。なお、塗膜は、必要
に応じ、フィルムの片面のみに形成してもよいし、両面
に形成してもよい。
の厚み分布が均一であると、特定の波長帯の光を選択的
に反射できることから好ましい。なお、厚み分布は、第
1の層だけの厚み分布と第2の層だけの厚み分布が均一
であればよく、第1の層と第2の層の厚みは、異なって
いても良い。また、使用する用途が、例えば反射ミラー
や金属光沢フィルムなどの場合、特定の波長帯だけでな
く、可視光線の波長帯全体を反射することが好ましい。
このような場合、反射する光の波長帯が異なる本発明の
二軸延伸多層積層フィルムを複数枚貼合わせたり、第1
の層と第2の層の厚みを徐々に変化させた二軸延伸多層
積層フィルムを用いることが好ましく、これらも本発明
の二軸延伸多層積層フィルムに含まれることは、容易に
理解されるであろう。
ーズが10%以下であることが好ましい。不活性粒子に
よる光の散乱などでヘーズが10%以下になると、フィ
ルム自体が白っぽくなり、光沢が失われる。
本発明の二軸延伸多層積層フィルムは、融点が250〜
260℃のエチレンテレフタレート成分を主たる繰返し
単位とするポリエステル(第1の層用)と、該第1の層
を構成するポリエステルよりも、延伸処理後の融点が少
なくとも10℃以上低い、エチレンテレフタレート成分
を主たる繰返し単位とするポリエステル(第2の層用)
とを、溶融状態で交互に少なくとも11層以上重ね合わ
せた状態で、押出し、多層未延伸フィルム(シート状物
とする工程)とする。なお、第1の層および第2の層を
構成するポリエステルは、前述の第1の層および第2の
層で説明したのと、同様である。第1の層用ポリエステ
ルの融点が250℃未満だと、第2の層用ポリエステル
との融点差が十分につかず、結果として、得られる多層
延伸フィルムの層間に十分な屈折率差が付与できない。
一方、ホモポリエチレンテレフタレートの融点が256
℃近傍であることから、第1の層用ポリエステルの融点
の上限は高々260℃程度である。また、第2の層用ポ
リエステルの融点が、第1の層用ポリエステルよりも1
5℃以上低くないときは、第2の層用ポリエステルとの
融点差が十分につかず、結果として、得られる多層延伸
フィルムの層間に十分な屈折率差が付与できない。第1
の層用ポリエステルの融点と第2の層用ポリエステルの
融点差の上限は、両者の密着性を維持する観点から、高
々50℃であることが好ましい。
ムは、製膜方向とそれに直交する幅方向の2軸方向(フ
ィルム面に沿った方向)に延伸される。延伸温度は、第
1の層のポリエステルのガラス転移点の温度(Tg)〜
Tg+50℃の範囲が好ましい。このときの面積倍率は
5〜50倍であることが好ましい。延伸倍率が大きい
程、第1の層および第2の層の個々の層における面方向
のバラツキが、延伸による薄層化により小さくなる、す
なわち、多層延伸フィルムの光干渉が面方向に均一にな
るので好ましい。2方向に延伸する際の延伸方法は、逐
次2軸延伸でも同時2軸延伸であってもよい。
伸された多層フィルムを、第2の層用ポリエステルの融
点よりも10℃低い温度から、第1の層用ポリエステル
の融点よりも15℃低い温度の範囲で熱処理して、第2
の層内の分子鎖の配向を緩和させ、第2の層の屈折率を
低下させることにある。熱処理の温度が、第2の層用ポ
リエステルの融点よりも10℃を超えて低いと、第2の
層内の分子鎖の配向を緩和させて屈折率を低下させる効
果が不十分となり、得られる多層延伸フィルムに十分な
屈折率差を付与できない。一方、熱処理の温度が、第1
の層用ポリエステルの融点よりも10℃以上低い温度で
ないと、第1の層内の分子鎖の配向も緩和されて屈折率
が低下し、得られる多層延伸フィルムに十分な屈折率差
を付与できない。好ましい熱処理の温度は、第2の層用
ポリエステルの融点よりも6℃低い温度から、第1の層
用ポリエステルの融点よりも16℃低い温度、さらには
第2の層用ポリエステルの融点よりも2℃低い温度か
ら、第1の層用ポリエステルの融点よりも18℃低い温
度である。なお、熱処理の時間は、1〜60秒が好まし
い。
ることにより、樹脂の組成を変化させることなく、第2
の層の屈折率を調整することができる、すなわち樹脂の
組成を変化させることなく、多層延伸フィルムの反射特
性を変化させることができる。
なお、実施例中の物性や特性は、下記の方法にて測定ま
たは評価した。
ス転移点(Tg) ポリエステル樹脂試料を10mgサンプリングし、DS
C装置(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC2
920)を用い、20℃/min.の昇温速度で、融点
を測定する。
エポキシ樹脂にて包埋する。そして、包埋されたサンプ
ルをミクロトーム(ULTRACUT−S、製造元:ラ
イヘルト社)で製膜方向と厚み方向に沿って切断し、厚
さ50nmの薄膜切片にした。得られた薄膜切片を、透
過型電子顕微鏡(製造元:日本電子(株)、商品名:J
EM2010)を用いて、加速電圧100kVにて観察
・撮影し、写真から各層の厚みを測定した。
化ピークの測定 サンプルフィルムを10mgサンプリングし、DSC装
置(TAインスツルメンツ社製、商品名:DSC292
0)にて、20℃/min.の昇温速度で、結晶化温度
および融点を測定する。
い、各波長でのアルミ蒸着したミラーとの相対鏡面反射
率を波長350nmから2000nmの範囲で測定す
る。その測定された反射率の中で最大のものを、最大反
射率としその波長を反射波長とする。
工業(株)製、NDH−20)を使用して全光線透過率
Tt(%)と散乱光透過率Td(%)とを測定し、以下の
式からヘーズ(%)を算出する。 ヘーズ(%)=(Td/Tt)×100
方向)10mm、長さ(製膜方向)150mmに切り出
し、チャック間100mm、引っ張り速度100mm/
minで、チャート速度500m/minの条件でイン
ストロンタイプの万能引っ張り試験装置にてサンプルを
引っ張る。そして得られた荷重−伸び曲線から破断強度
を測定した。
ルムを試料幅(製膜方向)10mm、長さ(幅方向)1
50mmに切り出す以外は、製膜方向の破断強度の測定
と同様に行った。
℃に温度設定されたオーブンの中に無緊張状態で30分
間フィルムを保持し、加熱処理前後での寸法変化を熱収
縮率として下記式により算出する。 熱収縮率%=((L0−L)/L0)×100 L0:熱処理前の標点間距離。 L :熱処理後の漂点間距離。
熱収縮率は、200℃に温度設定されたオーブンの中に
無緊張状態で10分間フィルムを保持し、加熱処理前後
での寸法変化を熱収縮率として上記式により算出する。
に切り出したフィルムサンプルを縦方向及び幅方向に沿
ってそれぞれ2cm幅で25本に切り出し、各サンプル
の厚みを電子マイクロメータ及びレコーダー(K−31
2A,K310B、安立電気(株)製)を使用して連続
的に測定する。さらに測定点を200mmごとに細分化
し、その中での厚みの最大値と最小値を読み取り、その
差を厚み変動幅とする。
mm幅の粘着テープ(ニチバン社製、商品名:セロテー
プ)を100mm貼り付け、180度の剥離角度で剥が
した後、剥離面を観察する。これを各10サンプルにつ
いて行い、層間剥離の生じた回数を算出した。
れのサンプルフィルムを白色の普通紙に重ね、30ルク
スの照明の下、目視にてサンプルフィルム内の透過色の
色の斑を評価した。また、A4サイズのサンプルフィル
ムを10枚用意し、それぞれのサンプルフィルムの裏面
を黒色のスプレーにて着色した後、30ルクスの照明の
下、目視にてサンプルフィルム内の反射色の色の斑を評
価した。
合して、以下の評価基準で判断した。 ○:サンプル内に視認できる色の斑がない。 △:サンプル内に一部、色の異なる部分が見られる。 ×:明らかに斑や筋となって見える色斑が確認できる。
℃)0.63のポリエチレンテレフタレート(表1中で
「PET」と表記)を第1の層用ポリエステルとし、第
2の層用ポリエステルとしてイソフタル酸を12モル%
共重合した固有粘度(オルトクロロフェノール、35
℃)0.61の共重合ポリエチレンテレフタレート(表
1中で「IA12PET」と表記)に、不活性粒子とし
て真球状シリカ粒子(平均粒径:1.5μm、長径と短
径の比:1.02、粒径の平均偏差:0.1。表1中で
は種類「ア」と表記)を0.10重量%添加したものを
準備した。そして、第1の層用ポリエステルおよび第2
の層用ポリエステルを、それぞれ170℃で3時間乾燥
後、押出し機に供給し、280℃まで加熱して溶融状態
とし、第1の層用ポリエステルを101層、第2の層用
ポリエステルを100層に分岐させた後、第1の層と第
2の層が交互に積層するような多層フィードブロック装
置を使用して、その積層状態を保持したままダイへと導
き、キャスティングドラム上にキャストして各層の厚み
が等しくなるように第1の層と第2の層が交互に積層さ
れた総数201層の未延伸多層積層フィルムを作成し
た。このとき第1の層と第2の層の押出し量が1:1に
なるように調整し、かつ、両端層が第1の層になるよう
に積層した。この多層未延伸フィルムを90℃の温度で
製膜方向に3.6倍延伸し、更に95℃の温度で幅方向
に3.9倍に延伸し、230℃で3秒間熱固定処理を行
った。
を表2に示す。
ルおよび製造条件を表1に示すように変更する以外は、
実施例1と同様な操作を繰り返した。なお表1で各層の
樹脂の種類として記した記号は、「IA8PET」がイ
ソフタル酸を8モル%共重合した固有粘度(オルトクロ
ロフェノール、35℃)0.65のポリエチレンテレフ
タレートであり、「IA20PET」がイソフタル酸を
20モル%共重合した固有粘度(オルトクロロフェノー
ル、35℃)0.58のポリエチレンテレフタレートで
ある。また不活性粒子の種類として記した記号は、
「イ」が塊状炭酸カルシウム(平均粒径:1.5μm、
長径と短径の比:1.30、粒径の平均偏差:0.3)
であり、「ウ」が真球状シリコーン粒子(平均粒径:
0.1μm、長径と短径の比:1.10、粒径の平均偏
差:0.2)である。
示す。
℃)0.63のポリエチレンテレフタレート(PET)
を第1の層用ポリエステルとし、第2の層用ポリエステ
ルとして2,6−ナフタレンジカルボン酸を10モル%
共重合した固有粘度(オルトクロロフェノール、35
℃)0.70の共重合ポリエチレンテレフタレート(表
1中で「NDC10PET」と表記)を準備した。そし
て、第1の層用ポリエステルおよび第2の層用ポリエス
テルを、それぞれ170℃で3時間乾燥後、押出し機に
供給し、280℃まで加熱して溶融状態とし、第1の層
用ポリエステルを101層、第2の層用ポリエステルを
100層に分岐させた後、第1の層と第2の層が交互に
積層するような多層フィードブロック装置を使用して、
その積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティ
ングドラム上にキャストして各層の厚みが等しくなるよ
うに第1の層と第2の層が交互に積層された総数201
層の未延伸多層積層フィルムを作成した。このとき両端
層が第1の層になるように積層した。この多層未延伸フ
ィルムを90℃の温度で製膜方向に3.6倍延伸し、そ
の片面に下記塗膜用組成物の濃度1.6%の水性塗液を
ロールコーターで、乾燥後の厚みが0.1μmになるよ
うに均一に塗布した。
モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸12モル
%、グリコール成分がブチレングリコール80モル%/
ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物20
モル%である共重合ポリエステル樹脂:45重量% ・メチルメタクリレート80モル%/エチルアクリレー
ト10モル%/N−メチロールアクリルアミド5モル%
/2−ヒドロキシエチルメタクリレート5モル%からな
るアクリル樹脂:35重量% ・メチルメタクリレート・ジビニルベンゼン共重合体か
らなる40nmの平均粒子径を有する滑剤:15重量% ・ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテルから
なる界面活性剤:5重量% こうした組成からなる塗液を塗布後、80℃で乾燥し、
95℃の温度でフィルムを幅方向に3.9倍に延伸し、
230℃で3秒間熱固定処理を行った。
を表2に示す。
℃)0.65のポリエチレン2,6−ナフタレンジカル
ボキシレート(表1中で「PEN」と表記)に、不活性
粒子として真球状シリカ粒子(平均粒径:0.20μ
m、長径と短径の比:1.02、粒径の平均偏差:0.
1。表1中では種類「エ」と表記)を0.10重量%添
加したものを第1の層用ポリエステルとし、イソフタル
酸を12モル%共重合した固有粘度(オルトクロロフェ
ノール、35℃)0.61の共重合ポリエチレンテレフ
タレート(IA12PET)を第2の層用ポリエステル
として準備した。そして、第1の層用ポリエステルおよ
び第2の層用ポリエステルを、それぞれ170℃で5時
間乾燥後、押出し機に供給し、300℃まで加熱して溶
融状態とし、第1の層用ポリエステルを101層、第2
の層用ポリエステルを100層に分岐させた後、第1の
層と第2の層が交互に積層するような多層フィードブロ
ック装置を使用して、その積層状態を保持したままダイ
へと導き、キャスティングドラム上にキャストして各層
の厚みが等しくなるように第1の層と第2の層が交互に
積層された総数201層の未延伸多層積層フィルムを作
成した。このとき第1の層と第2の層の押出し量が1:
1になるように調整し、かつ、両端層が第2の層になる
ように積層した。この多層未延伸フィルムを110℃の
温度で製膜方向に3.6倍延伸し、更に115℃の温度
で幅方向に3.9倍に延伸し、200℃で3秒間熱固定
処理を行った。
く、層間の剥離特性の劣るフィルムであった。その物性
を表2に示す。
以外は、比較例1と同様な操作を繰り返した。なおなお
表1で各層の樹脂の種類として記した記号において、
「IA3PET」はイソフタル酸を3モル%共重合した
固有粘度(オルトクロロフェノール、35℃)0.65
のポリエチレンテレフタレートである。比較例2と3で
得られたフィルムは、反射性能に劣るフィルムであっ
た。比較例4で得られたフィルムは比較例1同様、色斑
がひどく、層間の剥離特性の劣るフィルムであった。そ
の物性を表2に示す。
構造的な発色により玉虫色に見えるなど優れた意匠性を
有するだけでなく、優れた層間の密着性および高度の破
断強度を有することから、その工業的価値は高い。特に
本発明の二軸延伸多層積層ポリエステルフィルムは、外
来光にさらされ、装飾性だけでなく、取り扱い性や内容
物を保護しうる高度の機械特性が求められる包装用フィ
ルムをはじめ、極狭幅にスリットされた装飾性繊維や、
その選択波長反射性能からホログラムシールの代替用偽
造防止フィルムなどに極めて好適である。
Claims (8)
- 【請求項1】 厚みが0.05〜0.5μmの範囲にあ
る第1の層と、第1の層を構成するポリエステル組成物
とは組成を異にするポリエステル組成物からなる厚みが
0.05〜0.5μmの範囲にある第2の層とを11層
以上交互に積層した、波長350〜2000nmの光に
対する反射率曲線に、最大反射率が反射率のベースライ
ンよりも20%以上高い反射ピークを有する積層フィル
ムであって、フィルム中のエチレンテレフタレート成分
の割合が、ポリエステルの全繰返し単位を基準として、
80モル%以上であることを特徴とする二軸延伸多層積
層フィルム。 - 【請求項2】 示差走査熱量測定法により測定される融
点が2つ以上存在し、その融点差が5℃以上であること
を特徴とする請求項1記載の二軸延伸多層積層フィル
ム。 - 【請求項3】 示差走査熱量測定法により測定される結
晶化ピークが、100〜190℃の範囲にあることを特
徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の二軸延伸多層
積層フィルム。 - 【請求項4】 全繰返し単位の1.5〜20モル%が、
イソフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸成
分であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
載の二軸延伸多層積層フィルム。 - 【請求項5】 第1の層を構成するポリエステルが、結
晶性ポリエステルであり、全繰返し単位の90モル%以
上がエチレンテレフタレート成分であることを特徴とす
る請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸多層積層フ
ィルム。 - 【請求項6】 第2の層を構成するポリエステルが、結
晶性ポリエステルであり、全繰返し単位の75〜97モ
ル%がエチレンテレフタレート成分であることを特徴と
する請求項1〜5のいずれかに記載の二軸延伸多層積層
フィルム。 - 【請求項7】 フィルムの製膜方向および幅方向の破断
強度が、いずれも50MPa以上であることを特徴とす
る請求項1〜6のいずれかに記載の二軸延伸多層積層フ
ィルム。 - 【請求項8】 エチレンテレフタレートを主たる成分と
する融点が250〜260℃の第1の層用ポリエステル
と、第1の層用ポリエステルよりも融点が15℃以上低
い第2の層用ポリエステルとを、11層以上交互に積層
したシート状物とする工程、得られたシート状物を製膜
方向および幅方向にそれぞれ2〜50倍延伸する工程、
および第2の層用ポリエステルの融点よりも10℃低い
温度から第1の層用ポリエステルの融点よりも15℃低
い温度で熱固定する工程からなることを特徴とする二軸
延伸多層積層フィルムの製造方法。
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