JP2010089416A - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の波長の光を反射する玉虫色の金属光沢性の意匠性に富み、更にその意匠性を損なう欠点が少ないことにより、フィルムに施される絵柄印刷の視認性に優れ、ラベル加工時に欠点による印刷抜けが発生しにくく、PETボトルなどの容器に貼り付け可能な熱収縮性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供する。
【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)を含む第1の層と、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)を含む第2の層とが交互に25層以上1001層以下の範囲で積層された積層構造(I)を含むフィルムにおいて、該フィルムの少なくとも片面の表面粗さ(SRz)が200nm以上600nm以下であり、波長400〜800nmの範囲の反射率曲線において反射率30%以上の反射ピークを少なくとも1つ有し、80℃の温水中に10秒間放置したときの熱収縮率がフィルム長手方向および幅方向のいずれか一方において30%以上、該方向と直交方向において絶対値で0%以上10%未満である熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は特定の波長の光を反射する意匠性に富んだ熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、さらに詳しくは、特定の波長の光を反射する光沢性の意匠性に富むと同時に、光沢意匠性を損ねる欠点が少なく、PETボトルなどの容器や電線の外面に貼り付け可能な熱収縮性を有し、シュリンクラベルや電線被覆等に用いられる熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する。
近年、飲料容器の包装、例えば、金属缶のラミネートフィルムや、PETボトルの外面に貼り付け可能なシュリンクフィルムとして種々のポリエステルフィルムが用いられている。また包装用袋などにおいては、より高品質な意匠性を付与するため印刷品位に優れたグラビアなどによる印刷を施したフィルムを熱融着により貼り合せたフィルムを包装用の袋などとして使用する方法などが提案されている。
最近シュリンクラベルに対しても、従来の熱収縮率性、ハンドリング性、耐薬品性などの改良だけでなく、ますます美麗なものが求められつつある。
シュリンクラベル用フィルムとして、ポリエステル系からなるフィルムが種々検討されてきており、例えば特許文献1には熱風型の収縮トンネルでの収縮ムラの発生を抑制するために、ナフタレンジカルボン酸残基を含有する熱収縮性ポリエステル系フィルムが開示されている。また、特許文献2においてラベル化した際のミシン目カット性、接着部の強度、耐衝撃性、ボトル装着時の意匠性の全てに優れる熱収縮性ポリエステル系フィルムとして多層積層の熱収縮性ポリエステルフィルムが提案されており、ブレンド比の異なるポリエステルをそれぞれの層に用いることが開示されている。一方、特許文献2で検討されている意匠性とは角型のボトルに装着した際に縦引けによって意匠性が損なわれないことであり、熱収縮性に起因した表面外観性についてであって金属光沢性といった美麗な意匠性については検討されていない。
一方、光沢性を有するフィルムとして、光干渉性に着目したポリエステル系多層フィルムが検討されてきており、例えば特許文献3にはポリエチレンナフタレート層と共重合ポリエチレンナフタレート層などの他層とを交互に積層し、これらの層間の構造的な光干渉によって特定の波長を選択的に反射する多層積層フィルムが開示されている。しかしながら特許文献3は、反射偏光子またはミラーに適した偏向および反射特性の向上を目的とするものであり、意匠性としての美麗性の向上は特に検討されていない。またシュリンクラベルとしての熱収縮特性について何ら検討されていない。また特許文献4には任意の波長帯の光を選択的に反射させる目的でポリエチレン−2,6−ナフタレート層とポリエチレン−2,6−ナフタレートよりも屈折率が低い熱可塑性樹脂からなる層が交互に少なくとも11層積層された多層積層フィルムが開示されているものの、意匠性としての美麗性の向上は特に検討されていない他、シュリンクラベルとしての熱収縮性についての検討は行われていない。
また、特許文献5には、玉虫色の金属光沢性を有する11層以上の積層熱収縮性フィルムが開示されているものの、さらにその金属光沢性を向上させることに関する開示はない。
このように、従来の熱収縮性ポリエステルフィルムは、シュリンクラベルに対して求められている熱収縮性、ハンドリング性等の改良を目的としたものがほとんどであり、最近、意匠性も備えた熱収縮性ポリエステルフィルムが検討され始めたところである。
一方、このような光干渉性を有する多層積層フィルムは、その金属光沢性の特性ゆえ、粗大突起、内部異物などによる欠点が、従来のポリエステル系フィルムに較べて非常に見えやすく、意匠性に影響を与えることから、さらなる改良が求められているのが現状である。
特開平9−174684号公報 特開2007−152943号公報 特表平9−506837号公報 特開2002−160339号公報 特開2007−237434号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、特定の波長の光を反射する玉虫色の金属光沢性の意匠性に富み、更にその意匠性を損なう欠点が少ないことにより、フィルムに施される絵柄印刷の視認性に優れ、ラベル加工時に欠点による印刷抜けが発生しにくく、PETボトルなどの容器に貼り付け可能な熱収縮性を有する熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、屈折率の異なる樹脂を交互に多層積層することで玉虫色の金属光沢性の意匠性が発現する一方で、その干渉による金属光沢性故に滑剤による欠点が目立ちやすく、意匠性を損なう原因となっていることを見出し、Rzで表わされる表面粗さを特定の範囲にすれば光沢意匠性を損ねる欠点のない美麗な意匠性を有するフィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、本発明の目的は、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)を含む第1の層と、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)を含む第2の層とが交互に25層以上1001層以下の範囲で積層された積層構造(I)を含むフィルムにおいて、該フィルムの少なくとも片面の表面粗さ(SRz)が200nm以上600nm以下であり、波長400〜800nmの範囲の反射率曲線において反射率30%以上の反射ピークを少なくとも1つ有し、80℃の温水中に10秒間放置したときの熱収縮率がフィルム長手方向および幅方向のいずれか一方において30%以上、該方向と直交方向において絶対値で0%以上10%未満である熱収縮性ポリエステル系フィルムによって達成される。
また、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、その好ましい態様として、積層構造(I)およびその両面に配置されてなる厚み調整層(II)で構成される積層構造であり、積層構造(I)における第1の層の平均厚みが0.02〜0.4μm、第2の層の平均厚みが0.03〜0.5μmであり、かつ厚み調整層(II)はエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)を含む層であること、第1の層、第2の層及び厚み調整層(II)からなる群から選ばれる少なくとも1つの層において、粒子の含有量が0.001重量%以上0.08重量%未満の範囲であること、全フィルム厚みに対する第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計が86%以上96%以下であること、全フィルム厚みに対する厚み調整層(II)の層厚みの総計が50〜85%であること、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)が70℃を超え100℃以下の範囲であること、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)と、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg)との差が下記式(1)を満足すること、
−55℃<(Tg−Tg)<−20℃ ・・・(1)
の少なくともいずれか1つを具備するものも包含する。
また本発明によれば本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるシュリンクラベルが提供される。
本発明によれば、金属光沢性の意匠性に富むだけでなく、更にその光沢意匠性を損なう欠点が抑制されることにより、フィルムに施される絵柄印刷の視認性に優れ、さらにラベル加工時に欠点による印刷抜けが発生しにくい熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することができ、PETボトルのシュリンクラベルなどに好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[第1の層]
本発明における第1の層は、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)を含む。ここで「主たる」とは、ポリエステル(A)を構成する全酸成分を基準として80モル%以上100モル%以下を指す。ポリエステル(A)を構成する主たる成分の割合の下限値は、好ましくは全酸成分を基準として85モル%である。
本発明の第1の層を構成するポリエステル(A)は、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステルであることにより、シュリンクラベルとしてシュリンク加工を施す際に十分な収縮特性を発現することができる。
第1の層を構成するポリエステル(A)は、ポリエチレンテレフタレート単独でもよく、小割合の他の種類のポリエステル樹脂とブレンドしたもの、又は共重合ポリエステルであってもよい。ここで小割合とは、ポリエステル(A)を構成する全酸成分を基準として0モル%以上20モル%以下の割合を指し、好ましい上限は15モル%である。
共重合成分のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸を例示することができる。共重合成分のジオール成分としては、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。これらの共重合成分の中でも、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これら共重合成分は単独で用いても2成分以上用いてもよい。
イソフタル酸を共重合成分として用いる場合は、第2の層を構成するポリエステルとの屈折率差が2,6−ナフタレンジカルボン酸を使用した場合よりも大きくなるため金属光沢性が強くなる利点がある。また2,6−ナフタレンジカルボン酸を共重合成分として用いる場合は第2の層を構成するポリエステルと成分が近いため、製膜性、層構造の制御がしやすくなる利点がある。さらにイソフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸を共重合成分として併用することにより双方の特徴を兼備することができる。
他のポリエステル樹脂をブレンドする場合、ブレンド成分として、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートを例示することができる。
エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg1)は、70℃を超え100℃以下の範囲であることが好ましい。ポリエステル(A)のガラス転移温度の下限値は75℃であることがさらに好ましい。またポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg1)の上限値は、より好ましくは95℃、さらに好ましくは90℃、特に好ましくは85℃である。
ポリエステル(A)のガラス転移温度が下限に満たない場合、金属光沢性を発現するための交互積層層を構成するもう一方の層、すなわち第2の層を構成するエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)とのガラス転移温度差が大きくなりすぎ、フィルム製膜性が低下することがある。一方、ポリエステル(A)のガラス転移温度が上限を超える場合、シュリンク加工を施す際の加工温度で十分な収縮率(シュリンク)特性が発現しないことがある。
第1の層は、本質的にエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、紫外線吸収剤などをごく少量含有しても良い。
エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)は、公知の方法を適用して製造することができる。例えば、テレフタル酸、エチレングリコールおよび必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造することができる。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。また、ポリエステル(A)は、ポリエチレンテレフタレートと他の種類のポリエステル樹脂とをブレンドし、溶融時の熱でエステル交換反応させる方法で製造することもできる。
第1の層を構成するポリエステル(A)の固有粘度は、好ましくは0.55〜0.80dl/gであり、更には0.55〜0.75dl/gの範囲であることが好ましい。第1の層を構成するポリエステル(A)の固有粘度がかかる範囲内にない場合は、製膜はできるものの製膜性が低下することがある。
[第2の層]
本発明における第2の層は、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)を含む。ここで「主たる」とは、ポリエステル(B)を構成する全酸成分を基準として80モル%以上100モル%以下を指す。ポリエステル(B)を構成する主たる成分の割合の下限値は、好ましくは全酸成分を基準として85モル%、さらに好ましくは90モル%である。
本発明の第2の層を構成するポリエステル(B)は、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステルであることにより、第1の層との屈折率差が0.05以上となり、交互積層構造とした場合に波長400〜800nmの範囲の反射率曲線において反射率30%以上の反射ピークが出現し、金属光沢性が発現する。なお、第1の層を構成するポリエステル(A)の屈折率は1.60〜1.70の範囲であり、第2の層を構成するポリエステル(B)の屈折率は1.70〜1.80の範囲であり、かつ第2の層の屈折率が第1の層の屈折率よりも0.05以上大きいことが好ましい。なお、第2の層のポリエステルがエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)であることにより、ポリエチレンテレフタレートを主たる成分とする層同士を積層した場合に比べ、屈折率差が大きくなり、反射率がより高くなるものである。
第2の層を構成するポリエステル(B)は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート単独でもよく、小割合の他の種類のポリエステル樹脂とブレンドしたもの、又は他の共重合成分を共重合したものであってもよい。ここで小割合とは、ポリエステル(B)を構成する全酸成分を基準として0モル%以上20モル%以下の割合を指し、好ましい上限は15モル%、さらに好ましくは10モル%である。
共重合成分のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸を例示することができる。共重合成分のジオール成分としては、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。これらの共重合成分の中でも、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましいが、テレフタル酸は第1の層を構成するポリエステルと成分が近いため、製膜性、層構造の制御がしやすくなる利点がある。
小割合の他のポリエステル樹脂をブレンドする場合、ブレンド成分として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートを例示することができる。
第2の層を構成するエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)は、ガラス転移温度(Tg2)が95℃以上125℃以下の範囲であることが好ましい。ポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg2)の下限値は、より好ましくは100℃、さらに好ましくは105℃であり、一方ポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg2)の上限値は、より好ましくは120℃である。ポリエステル(B)の主たる成分および共重合成分の構成上、ポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg2)の下限は自ずと上述の範囲に限定される。一方、ポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg2)が上限を超える場合、金属光沢性を発現するための積層構造を構成するもう一方の層、すなわち第1の層を構成するエチレンテレフタレートを必須成分とするポリエステル(A)とのガラス転移温度差が大きくなりすぎ、フィルム製膜性が低下し、また熱収縮性が低下することがある。
第2の層は、本質的にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、紫外線吸収剤などをごく少量含有しても良い。
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)は、公知の方法を適用して製造することができる。例えば、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコールおよび必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造することができる。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。また、ポリエステル(B)は、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートと他の種類のポリエステル樹脂とをブレンドし、溶融時の熱でエステル交換反応させる方法で製造することもできる。
第2の層を構成するポリエステル(B)の固有粘度は、好ましくは0.40〜0.65dl/gであり、更には0.45〜0.62dl/gの範囲であることが好ましい。第2の層を構成するポリエステル(B)の固有粘度がかかる範囲内にない場合は、製膜はできるものの製膜性が低下することがある。
[ガラス転移温度]
本発明のエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)と、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg)との差は、下記式(1)を満足することが好ましい。
−55℃<(Tg−Tg)<−20℃ ・・・(1)
ポリエステル(A)とポリエステル(B)とのガラス転移温度差(Tg−Tg)は、より好ましくは−50℃以上−25℃以下であり、さらに好ましくは−45℃以上−25℃以下である。かかるガラス転移温度差(Tg−Tg)が下限に満たない場合、交互積層層を構成するポリエステル(A)とポリエステル(B)とのガラス転移温度差が大きくなりすぎ、フィルム製膜性が低下することがある。また各層のポリエステル成分の構成上、ガラス転移温度差(Tg−Tg)の上限はかかる範囲に制限される。
かかるガラス転移温度差とするためには、第1の層を構成するポリエステル(A)および第2の層を構成するポリエステル(B)の主たる成分の種類、小割合の成分の種類およびそれらの成分量について、それぞれ既述の範囲のものを用いることによって達成される。
[厚み調整層(II)]
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムが厚み調整層(II)を含む層構成を有する場合、厚み調整層(II)はエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)を含んでなる。ここで「主たる」とは、ポリエステル(A’)を構成する全酸成分を基準として80モル%以上100モル%以下を指す。ポリエステル(A’)を構成する主たる成分の割合の下限値は、好ましくは全酸成分を基準として85モル%である。
本発明における厚み調整層(II)は、積層構造(I)の第1層の平均厚み、第2層の平均厚みのうち、数値の大きい方を基準として少なくとも5倍以上の厚みを有する層で定義される。
厚み調整層(II)を含む層構成を有する場合、該厚み調整層(II)は、第1の層と第2の層との交互積層構造(I)の両面に設けられる。
厚み調整層(II)を有する場合、PETボトルのシュリンクラベルを収縮させる80℃近傍での熱収縮率を高めるために該加工温度に近いガラス転移温度を有する樹脂であるポリエステル(A’)を一定量以上含みながら、なおかつ第1の層と第2の層との厚みを均一にすることが容易になり、その結果、反射ピークを可視光域にコントロールしやすく、金属光沢性も高めやすくなる。また、厚み調整層(II)を両方の最表面に配置することにより、最表層の表面が平滑になるため、フィルムの透明性を高めることができる。
本発明のフィルムが厚み調整層(II)を有していない場合、十分な熱収縮性を得るために、フィルム厚みに対する第1層厚みの割合が相対的に増える結果、光学的厚みの規則性から極めて狭い幅の波長域しか選択的に反射しないことがあり、反射ピークを可視光域にコントロールするのが難しいことがある。また表面近傍の層厚みが乱れやすく、フィルム透明性が低下しやすい。
また、厚み調整層(II)を構成するポリエステル(A’)が、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステルであることにより、シュリンクラベルとしてシュリンク加工を施す際に十分な収縮特性を発現しやすくなる。
エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)は、ポリエステル(A)に規定されるポリエステルに準じる。すなわち、ポリエステル(A’)は、ポリエチレンテレフタレート単独でもよく、小割合の他の種類のポリエステル樹脂とブレンドしたもの、又は共重合ポリエステルであってもよい。ここで小割合とは、ポリエステル(A’)を構成する全酸成分を基準として0モル%以上20モル%以下の割合を指し、好ましい上限は15モル%である。
共重合成分のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸を例示することができる。共重合成分のジオール成分としては、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。これらの共重合成分の中でも、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。これら共重合成分は単独で用いても2成分以上用いてもよい。
他のポリエステル樹脂をブレンドする場合、ブレンド成分として、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートを例示することができる。
エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)のガラス転移温度(Tg1’)は、70℃を超え100℃以下の範囲であることが好ましい。ポリエステル(A’)のガラス転移温度の下限値は75℃であることがさらに好ましい。またポリエステル(A’)のガラス転移温度(Tg1’)の上限値は、より好ましくは95℃、さらに好ましくは90℃、特に好ましくは85℃である。
ポリエステル(A’)のガラス転移温度が下限に満たない場合、ポリエステル(A)、ポリエステル(B)とのガラス転移温度差が大きくなりすぎ、フィルム製膜性が低下することがある。一方、ポリエステル(A’)のガラス転移温度が上限を超える場合、シュリンク加工を施す際の加工温度で十分な収縮率(シュリンク)特性が発現しないことがある。
厚み調整層(II)を有する場合、厚み調整層(II)は本質的にエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)からなり、本発明の目的を損なわない範囲で着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、紫外線吸収剤などをごく少量含有しても良い。
エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)は、公知の方法を適用して製造することができる。例えば、テレフタル酸、エチレングリコールおよび必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造することができる。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。また、ポリエステル(A’)は、ポリエチレンテレフタレートと他の種類のポリエステル樹脂とをブレンドし、溶融時の熱でエステル交換反応させる方法で製造することもできる。
厚み調整層(II)を構成するポリエステル(A’)の固有粘度は、好ましくは0.55〜0.80dl/gであり、更には0.55〜0.75dl/gの範囲であることが好ましい。ポリエステル(A’)の固有粘度がかかる範囲内にない場合は、製膜はできるものの製膜性が低下することがある。
エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)は、第1の層を構成するエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)と同一組成であっても、例示された範囲内でポリエステル(A)と異なる組成であってもよい。ポリエステル(A’)がポリエステル(A)と同一組成である場合は、フィルム製造工程において同じ押出機を用いることができる。
[フィルム積層構成]
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)を含む第1の層と、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)を含む第2の層とが交互に積層された積層構造(I)を含み、さらに該積層構造(I)の両面にエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)を含む厚み調整層(II)を有することが好ましい。
また、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、第1の層と第2の層とが交互に25層以上1001層以下の範囲で積層されることが必要である。
積層構造(I)の層数の下限は、好ましくは45層、さらに好ましくは75層である。また積層構造(I)の総数の上限は1001層以下であれば金属光沢性の点で特に制限されないが、工業的観点で好ましくは701層以下、より好ましくは501層以下、さらに好ましくは201層以下である。
積層数が下限に満たない場合、光の干渉が十分でないため発色しない。積層数が上限を超える場合、各層の厚みが1層あたりの厚みの下限よりも薄く、反射波長が紫外線領域になり発色しない。
かかる積層構造(I)は、光の干渉による金属光沢発色性の観点から、第1の層の1層あたりの厚みが平均厚みとして0.02〜0.4μm、第2の層の1層あたりの厚みが平均厚みとして0.03〜0.5μmの範囲であることが好ましい。なお、それぞれの層の1層あたりの平均厚みは、層数の増加に応じて薄くなり、また層数の減少に応じて厚くなる関係にある。
第1の層および第2の層それぞれの1層あたりの厚みがかかる範囲にある場合、波長400〜800nmの範囲において反射ピークが出現しやすく、可視光での反射色を発現する。各層の厚みがそれぞれ下限に満たない場合、反射波長が紫外線領域になるために発色しない。一方、各層の厚みがそれぞれ上限を超える場合、反射波長が赤外線領域になるために発色しない。
本発明の熱収縮率性ポリエステル系フィルムは、かかる層厚み範囲内で第1の層および第2の層の各層の厚み斑が小さく、均一な層厚みを有することにより、反射率曲線における反射ピーク強度が高くなり、発色性を高めることができる。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、全フィルム厚みに対する第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計が86%以上96%以下であることが好ましい。第1の層と厚み調整層(II)は、いずれもエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステルからなり、PETボトルのシュリンクラベルを収縮させる80℃近傍の加工温度に近いガラス転移温度を有する樹脂である。第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計が全フィルム厚みに対して下限に満たない場合、シュリンク加工温度において十分な熱収縮性が得られないことがある。一方、第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計が全フィルム厚みに対して上限を超える場合、積層構造(I)の各層厚みが乱れて発色が十分に発現しないことがある。
また本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、全フィルム厚みに対する第2の層の層厚みの総計が4%以上14%以下であることが好ましい。ポリエステル(B)からなる第2の層の層厚みの総計が全フィルム厚みに対して下限に満たない場合、積層構造(I)の各層厚みが乱れて発色が十分に発現しないことがある。一方、ポリエステル(B)からなる第2の層の層厚みの総計が全フィルム厚みに対して上限を超える場合、シュリンク加工温度において十分な熱収縮性が得られないことがある。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの全フィルム厚みに対する厚み調整層(II)の層厚みの総計は50〜85%であることが好ましい。厚み調整層(II)の層厚みの総計が全フィルム厚みに対して下限に満たない場合、フィルム中で第1の層の占めるポリエステル(A)量が相対的に増えて第1の層厚みが上限を超えることがあり、反射波長が赤外線領域になるため発色しないことがある。一方、厚み調整層(II)の層厚みの総計が全フィルム厚みに対して上限を超える場合、フィルム中での第1の層の占めるポリエステル(A)量が相対的に低下して第1の層厚みが下限に満たないことがあり、反射波長が紫外線領域になるために発色しないことがある。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの全フィルム厚みは30〜80μmであることが好ましく、更に好ましくは35〜60μmである。全フィルム厚みが下限に満たない場合、フィルムにコシがなくなり、加工時のハンドリング性に劣ることがある。一方、全フィルム厚みが上限を超える場合、フィルムが硬すぎて加工時のハンドリング性が低下することがある。
[粒子]
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、滑り性の付与などを目的として粒子を含有させる場合には、ごく少量の範囲で添加させることが好ましく、具体的には、第1の層、第2の層及び厚み調整層(II)からなる群から選ばれる少なくとも1つの層において、粒子の含有量が0.001重量%以上0.08重量%未満の範囲で含有することが好ましい。粒子含有量は、かかる範囲内で粒子の種類によって最適量が異なり、例えば真球状シリカ粒子の場合は0.001重量%以上0.008重量%未満の範囲がさらに好ましい。また凝集シリカ粒子、カオリンなどの場合は0.001重量%以上0.08重量%未満の範囲が好ましい。また、第2の層については、フィルムの透明性を高める場合には、粒子を含有しない方がより好ましい。
かかる粒子含有量は、粒子含有層の重量を基準として、該層に含まれる粒子の重量の比(%)で表わされる。
粒子の含有量が下限に満たない場合、フィルム表面の滑り性が悪くなり、シュリンク加工時に部分的に不均一な収縮が生じシワが入るなどハンドリング性が低下する場合がある。一方、粒子の含有量が上限を超える場合、SRzで表わされる表面粗さが上限を超え、意匠性を損なう欠点が発生しやすくなる。
粒子の種類として、例えば炭酸カルシウム、凝集シリカ、真球状シリカ、タルク、カオリンなどといったクレーなどの無機粒子、シリコーン、アクリルなどの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれかからなる有機粒子などを少なくとも1種用いることができ、これらの中でも真球状シリカ粒子が好ましい。
粒子の粒子径は0.001μm以上5μm以下の範囲であれば特に限定されないが、0.01μm以上3μm以下であることがより好ましい。粒子の粒子径が下限に満たない場合、フィルム表面の滑り性が悪くなり、ハンドリングしにくいばかりでなく、ブロッキングを起こす場合がある。一方、粒子の粒子径が上限を超える場合、SRzで表わされる表面粗さが上限を超え、意匠性を損なう欠点が発生しやすくなる。
本発明における粒子の粒子径は、粒度分布測定による90%体積粒径(D90)で表わされる値である。
[フィルム特性]
(表面粗さ(SRz))
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、少なくとも片面の表面粗さ(SRz)が200nm以上600nm以下である。表面粗さの下限値は、好ましくは300nmであり、さらに好ましくは400nmである。
該表面粗さSRzがかかる範囲内にあることにより、意匠性を損なう表面欠点の発生を抑制することができる。一方、表面粗さが下限に満たない場合、フィルム表面の滑り性が悪くなりハンドリングしにくいばかりでなく、ブロッキングを起こす場合がある。一方、表面粗さが上限を超える場合、光沢意匠性を損なう濃淡の異なる点状の欠点が発生し、フィルムに施される絵柄印刷の視認性が低下し、さらにはラベル加工時に欠点による印刷抜けが発生することがある。
ここで、本発明における表面粗さ(SRz)は、三次元粗さ測定機を用い、JIS規格B0601に準拠した10点平均粗さSRzで表わされる。
かかる表面粗さ(SRz)を達成する手段として、第1の層、第2の層及び厚み調整層(II)からなる群から選ばれる少なくとも1つの層に、例えば炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレーなどの無機粒子、シリコーン、アクリルなどの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれかからなる有機粒子などを少なくとも1種の粒子を一定量含有せしめることにより達成される。
(反射ピーク)
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、各層がかかる樹脂成分からなり、かつ上述の層構成を有することにより、波長400〜800nmの範囲の反射率曲線において反射率30%以上の反射ピークが少なくとも1つ観察される。反射ピークの反射率は、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上であり、反射率が高くなるほど金属光沢発色性が鮮明になる。反射ピークの反射率はより高い方が好ましいが、上限は95%以下、さらには90%以下である。
反射ピークが波長400nmに満たない範囲に存在する場合、または反射ピークが波長800nmを超える範囲に存在する場合は、可視光領域からはずれるため、金属光沢発色性が発現しない。また反射ピークの反射率が下限に満たない場合、十分に反射色を認識することができない。
ここで反射率曲線とは、分光光度計を用い、主配向方向(収縮率の大きい方向または主収縮方向と称することがある)に合わせてフィルムと受光部の間に偏光板を挟み、400〜800nmの各波長でのアルミ蒸着したミラーとの相対鏡面反射率を測定して得られる曲線であり、反射率曲線において反射率30%以上とは、波長ごとに測定された反射率の中でピークとなる反射率が30%以上であることを指す。
かかる反射率特性は、屈折率の異なる交互積層を構成する各層厚みが、可視光波長域の波長を反射するような特定厚みを有することで達成され、その具体的な手段として、第1の層と第2の層の各層が屈折率の異なる樹脂として、エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)とエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)を交互に25層以上1001層以下の範囲で積層し、またそれら両樹脂の各層厚みが、第1の層は0.02〜0.4μmの範囲内で、また第2の層は0.03〜0.5μmの範囲内で均一である態様が挙げられる。
(熱収縮率特性)
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、80℃の温水中に10秒間放置したときの熱収縮率がフィルム長手方向及び幅方向のいずれか一方において30%以上の特性を有する。80℃の温水中に10秒間放置したときの収縮率の大きい方向における熱収縮率が下限に満たない場合、シュリンクラベルの加工温度域での収縮量が小さく、シュリンクラベルとしてPETボトルと十分な密着性を示さない。80℃の温水中に10秒間放置したときの熱収縮率はかかる範囲内でより大きい方が密着性の観点から好ましいが、シュリンク後の外観を考慮して上限は高々70%程度である。
かかる熱収縮率特性を達成する手段として、ポリエステル(A)からなる第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計が全フィルム厚みに対して86%以上であり、2.5〜4.5倍の所定の延伸倍率で主収縮方向に延伸することにより達成される。
また本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、80℃の温水中に10秒間放置したときの熱収縮率が30%以上である方向と直交方向において絶対値で0%以上10%未満の特性を有する。80℃の温水中に10秒間放置したときの収縮率の小さい方向における熱収縮率の絶対値が上限を超える場合、タテヒケと呼ばれる収縮斑部分が発生する。80℃の温水中に10秒間放置したときの収縮率の小さい方向における熱収縮率の絶対値はかかる範囲内でより小さい方が好ましく、5%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることが特に好ましい。
かかる熱収縮率特性を達成する手段は、上述の収縮率の大きい方向と直交方向については、収縮率を下げるためにフィルムを延伸しないのが好ましく、フィルム強度を高める場合には1.5倍以下の低倍率で延伸することによって達成される。
なお80℃の温水中に10秒間放置したときの熱収縮率とは、サンプルを10cm×10cmの正方形に切り出して80℃の温水に10秒間浸漬し、その後冷水中で冷却して標線間の長さを測定し、原寸法に対する収縮量の割合を熱収縮率として求めた値である。
[製造方法]
次に、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造方法の一例について詳述する。
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムを製造するためには、まず第1の押出機より供給された第1の層用ポリエステル(A)と、第2の押出機より供給された第2の層用ポリエステル(B)とを、多層フィードブロック装置を用いて溶融状態で交互に25層以上1001層以下の範囲で重ね合わせた状態(積層構造(I))を形成する。厚み調整層(II)を有する場合は、さらに、第3の押出機より供給された厚み調整層(II)用ポリエステル(A’)を、厚み調整されたフィードブロック最外層を通じて、積層構造(I)の両面に積層する。また厚み調整層(II)用ポリエステル(A’)が第1の層用ポリエステル(A)と同一の場合は、第1の押出機より供給されたポリエステル(A)の一部を厚み調整層として、厚み調整されたフィードブロック最外層を通じて積層構造(I)の両面に積層すればよい。
その後、ダイを用いて該溶融積層体を回転するドラム上にキャストすることにより、多層未延伸フィルムとする。なお積層構造(I)の部分のフィードブロックは、第1の層の各層厚み、第2の層の各層厚みがそれぞれ均一な厚みとなるように制御される。その結果、第1の層の各層厚みのばらつき、第2の層の各層厚みのばらつきをなくすことができる。また積層構造(I)における最外層は特に規定されないが、第1の層を奇数層、第2の層を偶数層とすることが好ましい。
このようにして得られた多層未延伸フィルムは、製膜方向またはその直交方向である幅方向のいずれか1軸方向に延伸される。延伸温度は、第1の層を構成するポリエステル(A)のガラス転移点の温度(Tg)〜(Tg+50)℃の範囲が好ましい。このときの面積倍率は2〜6倍、更に好ましくは2.5〜5倍であることが好ましい。延伸倍率が大きい程、第1の層および第2の層の個々の層における層厚みのバラツキが、延伸による薄層化により小さくなり、多層延伸フィルムの光干渉が面方向に均一になる一方、収縮特性に対しては、延伸倍率が高すぎると、結晶化により主収縮方向の収縮率が得られないばかりか、主収縮方向の直交方向の収縮率も大きくなってしまうことから、延伸倍率は主収縮方向について2.5〜4.5倍の範囲とする必要があり、主収縮方向の直交方向は延伸しないか、最大でも1.5倍以下の範囲で延伸する必要がある。また収縮率の精度を高めるために、さらに70℃以上80℃未満の温度で熱処理を施してもよい。
粒子を含む場合、粒子はポリエステルの重合段階で添加することが好ましい。また、粒子を含むマスターペレットを作成し、フィルム製膜時にペレットブレンドする方法で添加することもできる。また、フィルム製膜時に粒子を直接添加させる方法も挙げることができるが、これらの方法のうち、重合添加が最も好ましい。
上記工程中にプライマー層などを塗設する場合は、例えば縦延伸後にフィルムの片面ないし両面に、水分散性の塗剤を塗布し、横延伸の前に乾燥してフィルムに皮膜を形成させることが好ましい。塗工法は限定されないが、リバースロールコーターによる塗工が好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例および比較例において用いた特性の測定方法ならびに評価方法は、次のとおりである。
(1)熱収縮率
フィルムサンプルを10cm×10cmの正方形に切り出し、80℃の温水に浸漬し、10秒後に引き上げて冷水に入れた。標線間の長さを測定し、フィルムの収縮量を原寸法に対する割合として百分率で表した。
S=100×(L−L)/L
(上式中、Sは熱収縮率(単位:%)、Lは熱処理後の標線間長さ(単位:mm)、Lは熱処理前の標線間長さ(単位:mm)をそれぞれ表わす)
(2)光線反射率
分光光度計(島津製作所製、MPC−3100)を用い、主配向方向(収縮率の大きい方向または主収縮方向)に合わせてフィルムと受光部の間に偏光板を挟み、各波長でのアルミ蒸着したミラーとの相対鏡面反射率を波長400nmから800nmの範囲で測定する。その測定された反射率の中で最大のものを最大反射率とし、その波長を反射波長とした。
更に意匠性について、目視評価により以下の基準で評価した。
○: 金属光沢の色調が観察される
×: 金属光沢の色調が観察されない
(3)収縮(シュリンク)フィルムとしての評価
フィルムサンプルを収縮ラベルとして円筒形にした後、PETボトルに被せ、設定温度85℃のシュリンクトンネルを通過させて収縮させた。トンネル通過後、該フィルムが十分にPETボトルに密着しているかを目視評価により以下の基準で評価した。
○: PETボトルの形状に密着しており、PETボトルとの間に隙間が観察されない
△: PETボトルとの間に、一部、線状(幅2mm未満)の隙間が観察される
×: PETボトルとの間に、一部、隙間(幅2mm以上)が観察される
またシュリンクトンネル通過後のフィルムの収縮斑について、上端部又は下端部が収縮後に斜めになったり歪んでいないかを目視評価により以下の基準で判定した。
○: 上端部または下端部のいずれかに収縮斑により斜めになったり歪んだ部分が観察されない
×: 上端部または下端部のいずれにも収縮斑により斜めになったり歪んだ部分が観察される
さらにシュリンクトンネル通過後のフィルムの意匠性について、金属光沢性、意匠性を損なう表面欠点の有無を目視評価により以下の基準で評価した。
A: 金属光沢の色調が観察され、かつ濃淡の異なる点状の表面欠点が見られない
B: 金属光沢の色調が観察されるが、濃淡の異なる点状の表面欠点が見られる
C: 金属光沢の色調が観察されず、濃淡の異なる点状の表面欠点は見られない
D: 金属光沢の色調が観察されず、かつ濃淡の異なる点状の表面欠点が見られる
(4)表面粗さ(SRz)
三次元粗さ測定機(小坂研究所製SE−3CK)を用いて、針径2μmR、針圧30mg、測定長1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、縦方向拡大率2万倍、横方向拡大率200倍、走査本数100本の条件にてフィルム表面の三次元表面プロファイルをイメージさせる。得られたプロファイルから解析し、JIS規格B0601に準拠して10点平均粗さSRzを求めた。
(5)各層厚み、層数
フィルムサンプルの断面を株式会社日立サイエンスシステムズ製の走査電子顕微鏡(S−4300SE/N形)で観察し、厚さ方向で略中心付近の第1の層および第2の層の各層の厚みを3層ずつn=3で測定し、平均値より求めた。厚み調整層(II)を有する場合は、厚み調整層(II)の層厚みについても同じ測定装置を用い、両層について3箇所ずつ測定し、平均値より求めた。
また、層数についても、同様にフィルムサンプルの断面を株式会社日立サイエンスシステムズ製の走査電子顕微鏡(S−4300SE/N形)で観察して求めた。
(6)全フィルム厚み
フィルムの全フィルム厚みは、電子マイクロメータ(アンリツ(株)製の商品名「K−312A型」)を用いて針圧30gにて10箇所測定し、それらの平均値より求めた。
(7)全フィルム厚みに対する第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計
(5)の方法で得られた第1の層の厚みに第1の層数を乗じて第1の層厚みの総計を求め、また厚み調整層(II)を有する場合は、(5)の方法で得られた厚み調整層(II)の層厚みを用いて、第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計を求めた。一方、全フィルム厚みは(6)の方法に準じて求め、全フィルム厚みに対する第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計(%)を算出した。
(8)全フィルム厚みに対する厚み調整層(II)の層厚みの総計
(5)の方法で得られた厚み調整層(II)の層厚み、および(6)の方法で得られた全フィルム厚みをもとに、全フィルム厚みに対する厚み調整層(II)の層厚みの総計(%)を算出した。
(9)ガラス転移温度
フィルムサンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷する。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(Tg:℃)を測定した。
(10)固有粘度
固有粘度([η]dl/g)は、25℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
(11)ポリエステル成分量
フィルムサンプルの各層について、H−NMR測定よりポリエステルの成分および共重合成分及び各成分量を特定した。
(12)粒子の粒度分布測定
島津製作所製レーザー散乱式粒度分布測定装置SALD−7000を使用して測定した。
測定前のエチレングリコールへの分散は、粒子粉体を5質量%スラリー濃度相当になるよう計量して、市販のミキサー(例えばNatioal MXV253型料理用ミキサー)で10分間攪拌し、常温まで冷却したのち、フローセル方式供給装置に供給した。そして該供給装置中で、脱泡のために30秒間超音波処理(超音波処理装置のMAX値の60%の処理強度)を行い、測定に供した。粒度分布測定結果より、90%体積粒径(D90)を求め、粒子径とした。なお、超音波処理は脱泡の目的で施されるものであり、粒子径に影響しない条件内で処理を行ったものである。
[実施例1]
第1の層用のポリエステル(A)及び厚み調整層(II)用のポリエステル(A’)として、固有粘度0.70dl/g、ガラス転移温度(Tg)83℃のポリエチレンテレフタレート−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:12モル%)に内添フィラーとして、粒子径1.7μmの凝集シリカ粒子を該層の重量を基準として0.004重量%添加したものを用意し、第2の層用のポリエステル(B)として、固有粘度0.51dl/g、ガラス転移温度(Tg2)117℃のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートホモポリマー(内添フィラーなし)を用意し、それぞれペレットを攪拌しながら110℃で10時間加熱し表面を結晶化させたものを用意した。なお厚み調整層(II)用のポリエステル(A’)は第1の層用のポリエステル(A)と同一のポリマーであるため、以降はポリエステル(A)として記載した。
ポリエステル(A)およびポリエステル(B)を、それぞれ170℃で4時間乾燥後、ポリエステル(A)を第1の押出機に、またポリエステル(B)を第2の押出機に供給し、290℃まで加熱して溶融状態にして、ポリエステル(A)を第1の層として99層と厚み調整層2層に分岐させ、ポリエステル(B)を第2の層として100層に分岐させた後、第1の層と第2の層が交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して、積層状態の溶融体とし、その積層状態を保持したままキャスティングドラム上にキャストして、第1の層と第2の層が交互に積層された総数199層とその両面に厚み調整層を有する未延伸多層積層フィルムを作成した。なお押出量の比は第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)87%(第1層として26%、厚み調整層(II)として61%)、第2の層用ポリエステル(B)13%に調整した。またフィードブロックの第1の層の各層厚み、第2の層の各層厚みは均一層となるように制御した。
この多層未延伸フィルムを80℃の温度で連続製膜方向は延伸せずに、幅方向に3.0倍延伸し、75℃で3秒間熱処理を行い、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[実施例2]
ポリエステル(A)を固有粘度0.65dl/g、ガラス転移温度(Tg)79℃のポリエチレンテレフタレートホモポリマーに内添フィラーとして、粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子を該層の重量を基準として0.03重量%添加したものを用い、ポリエステル(B)を固有粘度0.51dl/g、ガラス転移温度(Tg2)117℃のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーに内添フィラーとして、粒子径0.9μmのカオリン粒子を該層の重量を基準として0.02重量%添加したものを用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を90%(第1層として27%、厚み調整層(II)として63%)、第2の層用ポリエステル(B)を10%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[実施例3]
ポリエステル(A)を固有粘度0.71dl/g、ガラス転移温度(Tg)74℃のポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(イソフタル酸含有量:12モル%)に内添フィラーとして、粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子を該層の重量を基準として0.01重量%添加したものを用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を92%(第1層として28%、厚み調整層(II)として64%)、第2の層用ポリエステル(B)を8%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[実施例4]
ポリエステル(A)を固有粘度0.71dl/g、ガラス転移温度(Tg)83℃のポリエチレンテレフタレート−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:12モル%)に内添フィラーとして、粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子を該層の重量を基準として0.05重量%と粒子径1.7μmの凝集シリカ粒子を該層の重量を基準として0.005重量%添加したものを用い、ポリエステル(B)を、固有粘度を0.58dl/g、ガラス転移温度(Tg2)109℃のポリエチレンナフタレート−テレフタレート共重合体(テレフタル酸含有量:8モル%)(内添フィラーなし)を用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を92%(第1層として28%、厚み調整層(II)として64%)、第2の層用ポリエステル(B)を8%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[実施例5]
第1の層及び厚み調整層(II)用のポリエステル(A)を、固有粘度0.71dl/g、ガラス転移温度(Tg)74℃のポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(イソフタル酸含有量:12モル%)に内添フィラーとして、粒子径0.9μmのカオリン粒子を該層の重量を基準として0.04重量%添加したものと、固有粘度0.70dl/g、ガラス転移温度(Tg)83℃のポリエチレンテレフタレート−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:12モル%)を重量比1:1でブレンドした樹脂とし、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を90%(第1層として27%、厚み調整層(II)として63%)、第2の層用ポリエステル(B)を10%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[実施例6]
ポリエステル(A)を固有粘度0.70dl/g、ガラス転移温度(Tg)83℃のポリエチレンテレフタレート−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:12モル%)に内添フィラーとして、粒子径0.9μmのカオリン粒子を該層の重量を基準として0.03重量%添加したものを用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を90%(第1層として27%、厚み調整層(II)として63%)、第2の層用ポリエステル(B)を10%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[比較例1]
ポリエステル(A)に内添フィラーとして粒子径1.7μmの凝集シリカ粒子を該層の重量を基準として0.008重量%添加したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[比較例2]
ポリエステル(A)を固有粘度0.71dl/g、ガラス転移温度(Tg)74℃のポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(イソフタル酸含有量:12モル%)に内添フィラーとして、粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子を該層の重量を基準として0.05重量%添加したものを用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を83%(第1層として25%、厚み調整層(II)として58%)、第2の層用ポリエステル(B)を17%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[比較例3]
ポリエステル(A)を固有粘度0.70dl/g、ガラス転移温度(Tg)83℃のポリエチレンテレフタレート−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:12モル%)(内添フィラーなし)とし、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を90%(第1層として27%、厚み調整層(II)として63%)、第2の層用ポリエステル(B)を10%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。得られたフィルムはブロッキングが発生し、部分的なボトルへのはりつき、ボトルとフィルムとの滑り不良によって発生した収縮斑により、綺麗にラベル加工を行うことができなかった。
[比較例4]
第1の層及び厚み調整層(II)用のポリエステル(A)を、固有粘度を0.51dl/g、ガラス転移温度(Tg)117℃のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーに内添フィラーとして、粒子径1.7μmの凝集シリカ粒子を該層の重量を基準として0.001重量%添加したものを用い、第2の層用のポリエステル(B)を、固有粘度0.71dl/g、ガラス転移温度(Tg)74℃のポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合体(イソフタル酸含有量:12モル%)(内添フィラーなし)とし、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を87%(第1層として26%、厚み調整層(II)として61%)、第2の層用ポリエステル(B)を13%とし、延伸温度を130℃とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[比較例5]
比較例4と同じポリエステル樹脂を用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を92%(第1層として28%、厚み調整層(II)として64%)、第2の層用ポリエステル(B)を8%とした以外は比較例4と同様にして製膜したところ、第2の層用ポリエステル(B)の層をダイの幅方向に均一に押出すことができず、フィルムを製膜することができなかった。
[比較例6]
ポリエステル(A)を固有粘度0.70dl/g、ガラス転移温度(Tg)83℃のポリエチレンテレフタレート−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:12モル%)に内添フィラーとして、粒子径0.9μmのカオリン粒子を該層の重量を基準として0.01重量%添加したものを用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を88%(第1層として26%、厚み調整層(II)として62%)、第2の層用ポリエステル(B)を12%とし、ポリエステル(A)を第1の層として9層に、ポリエステル(B)を第2の層として10層に分岐させた以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[比較例7]
比較例6と同じポリエステル樹脂を用い、押出量の比を第1の層用ポリエステル(A)を86%、第2の層用ポリエステル(B)を14%とし、ポリエステル(A)を第1の層として101層、ポリエステル(B)を第2の層として100層に分岐させ、厚み調整層(II)を付与しない以外は、実施例1と同様にして厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[比較例8]
比較例1と同様のポリマーを用い、比較例7と同様に厚み調整層(II)を付与しない層構成で厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
[比較例9]
ポリエステル(A)を固有粘度0.70dl/g、ガラス転移温度(Tg)83℃のポリエチレンテレフタレート−ナフタレート共重合体(2,6−ナフタレンジカルボン酸含有量:12モル%)(内添フィラーなし)とし、第2の層用のポリエステル(B)を、固有粘度0.51dl/g、ガラス転移温度(Tg)117℃のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーに内添フィラーとして、粒子径1.5μmの真球状シリカ粒子を該層の重量を基準として0.10重量%添加したものを用い、押出量の比を第1の層及び厚み調整層用ポリエステル(A)を83%(第1層として25%、厚み調整層(II)として58%)、第2の層用ポリエステル(B)を17%とした以外は、実施例1と同様にして、厚さ60μmのフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。
Figure 2010089416
Figure 2010089416
本発明は、金属光沢性の意匠性に富むだけでなく、更にその光沢意匠性を損なう欠点が抑制されることにより、フィルムに施される絵柄印刷の視認性に優れ、さらにラベル加工時に欠点による印刷抜けが発生しにくい熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することができ、PETボトルのシュリンクラベルなどに好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)を含む第1の層と、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)を含む第2の層とが交互に25層以上1001層以下の範囲で積層された積層構造(I)を含むフィルムにおいて、該フィルムの少なくとも片面の表面粗さ(SRz)が200nm以上600nm以下であり、波長400〜800nmの範囲の反射率曲線において反射率30%以上の反射ピークを少なくとも1つ有し、80℃の温水中に10秒間放置したときの熱収縮率がフィルム長手方向および幅方向のいずれか一方において30%以上、該方向と直交方向において絶対値で0%以上10%未満であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  2. 積層構造(I)およびその両面に配置されてなる厚み調整層(II)で構成される積層構造であり、積層構造(I)における第1の層の平均厚みが0.02〜0.4μm、第2の層の平均厚みが0.03〜0.5μmであり、かつ厚み調整層(II)はエチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A’)を含む層である請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  3. 第1の層、第2の層及び厚み調整層(II)からなる群から選ばれる少なくとも1つの層において、粒子の含有量が0.001重量%以上0.08重量%未満の範囲である請求項1または2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  4. 全フィルム厚みに対する第1の層と厚み調整層(II)の層厚みの総計が86%以上96%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  5. 全フィルム厚みに対する厚み調整層(II)の層厚みの総計が50〜85%である請求項2〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  6. エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)が70℃を超え100℃以下の範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
  7. エチレンテレフタレートを主たる成分とするポリエステル(A)のガラス転移温度(Tg)と、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる成分とするポリエステル(B)のガラス転移温度(Tg)との差が下記式(1)を満足する、請求項1〜6のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
    −55℃<(Tg−Tg)<−20℃ ・・・(1)
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるシュリンクラベル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015147895A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 ユニチカ株式会社 ポリエステル樹脂組成物及びそれからなる射出成形体、ブロー成形体

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