JP2009096116A - 音響振動板用二軸配向多層積層フィルム及びその製造方法 - Google Patents

音響振動板用二軸配向多層積層フィルム及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】音響振動板としての音響再現性に優れたフィルムとして、高弾性率、高内部損失及び層間の密着性に優れる音響振動板用二軸配向多層積層フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】融点が230℃〜275℃のポリエステル(A)を含む第1の層と、ポリエステル(A)より10〜50℃低い融点を有するポリエステル(B)を含む第2の層とを交互に21層以上501層以下の範囲で積層してなり、全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%であって、温度変調示差走査熱量測定により求められる多層積層ポリエステルフィルムの結晶化エネルギーが20J/g以上80J/g以下である音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は音響振動板用二軸配向多層積層フィルム及びその製造方法に関し、さらに詳しくは高弾性率と高内部損失とを兼ね備えた音響振動板用二軸配向多層積層フィルム及びその製造方法に関する。
従来、プラスチックから成る振動板材料としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリプロピレンフィルムが多く用いられている。
ポリエチレンテレフタレートを用いた振動板は弾性率が比較的高いものの、内部損失は低く、音響機器の性能向上に伴い、周波数によっては充分満足いく音響特性が得られないことがある。また、ポリプロピレンを材料として用いた振動板は、コストが比較的安いものの弾性率が低いため、無機材料や炭素繊維を混入させて弾性率を向上させる方法が用いられているが、混入量には限界があり、またコストも高くなる傾向にある。
近年、音響機器の再生周波数域が広がるに伴い、例えば特許文献1では高分子材料からなる層間に力学的内部損失の異なる高分子材料層を有する積層体からなる音響振動板が提案されている。しかしながら、かかる積層体を構成する中間層は、具体的には高分子材料層とは異なる種類のダンプ剤を高分子材料層に塗布して形成されたものであり、このような材料および方法によって多層に積層させるのは煩雑であり、さらには積層数を数十層以上にするのは難しく、引用文献1においても15層までの積層フィルムが開示されているにとどまっている。また各層の厚みについても1〜3μm程度の開示にとどっている。
一方、近年、異なる樹脂層を交互に多層積層したフィルムを用いて光学特性や意匠性に優れた多層積層フィルムが種々検討されている(特許文献2など)。しかしながら、これらの交互多層積層フィルムの音響振動板としての使用可否については何ら検討されていなかった。
特開2006−295245号公報 特開2003−320632号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解消し、音響振動板としての音響再現性に優れたフィルムとして、高弾性率、高内部損失及び層間の密着性に優れる音響振動板用二軸配向多層積層フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、融点差が一定以上異なるポリエステルを交互に多層積層した二軸配向フィルムを用い、フィルム製造工程における熱固定温度を調整して低融点側の層を少なくとも部分的に溶融させることで、低融点側の層における非晶部分を増やすことが可能となり、フィルムが一定の結晶化エネルギーを有するため、高内部損失特性が発現すること、一方、高融点側の層は配向状態を保つため高弾性率特性をも備えたフィルムが得られることを見出した。また、融点差が一定の温度範囲内にあるポリエステルを各層の材料として用いることによって、溶融押出法による多層積層フィルムの製造が可能となり積層数を増やせること、また低融点側の層が非晶部分を有するため層間の密着性が飛躍的に向上し、その界面効果で界面の数が多いほど弾性率が高くなることを見出した。そしてかかる二軸配向多層積層フィルムを音響振動板として用いた場合に、従来の10層台の積層フィルムでは得られなかったような優れた音響再現性、すなわち音への反応が速く、かつ余韻が小さいという作用効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、本発明の目的は、融点が230℃〜275℃のポリエステル(A)を含む第1の層と、ポリエステル(A)より10〜50℃低い融点を有するポリエステル(B)を含む第2の層とを交互に21層以上501層以下の範囲で積層してなり、全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%であって、温度変調示差走査熱量測定により求められる多層積層ポリエステルフィルムの結晶化エネルギーが20J/g以上80J/g以下である音響振動板用二軸配向多層積層フィルムによって達成される。
また本発明の音響振動板用二軸配向多層積層フィルムは、その好ましい態様として、80℃、100Hzにおけるフィルムの弾性率E’が、製膜方向および幅方向の平均値で3000MPa以上であり、80℃、100Hzにおけるフィルムの内部損失tanδが製膜方向および幅方向の平均値で0.03以上であること、ポリエステル(A)を構成する主たる成分がエチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレートであること、ポリエステル(A)を構成する主たる成分以外の共重合成分が、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であること、ポリエステル(A)を構成する共重合成分の含有量が、第1の層を構成するポリエステル(A)の全酸成分を基準として0〜10モル%であること、ポリエステル(B)を構成する主たる成分がエチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、テトラメチレンテレフタレートおよびテトラメチレンナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種であること、ポリエステル(B)を構成する主たる成分以外の共重合成分が、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であること、ポリエステル(B)を構成する共重合成分の含有量が、第2の層を構成するポリエステル(B)の全酸成分を基準として0〜30モル%であること、全層厚みが3〜500μmであること、多層積層フィルムの製膜方向および幅方向の破断強度がいずれも50MPa以上であること、多層積層フィルムの製膜方向および幅方向の破断伸度がいずれも50%以上であること、温度変調示差走査熱量測定により求められる結晶化ピークが、100〜190℃の範囲にあること、音響振動板がマイクロホン、スピーカー及びスクリーンのいずれかの振動板であること、の少なくともいずれか1つを具備するものも包含する。
さらにまた本発明によれば、融点が230℃〜275℃のポリエステル(A)を含む第1の層と、ポリエステル(A)より10〜50℃低い融点を有するポリエステル(B)を含む第2の層とを交互に21層以上501層以下の範囲で、かつ全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%となるように積層し、シート状物とする工程、得られたシート状物を製膜方向および幅方向にそれぞれ2〜7倍の範囲で延伸する工程、およびポリエステル(B)の融点より10℃低い温度からポリエステル(A)の融点より15℃低い温度範囲で熱固定を行う工程を含むことにより、温度変調示差走査熱量測定により求められる多層積層ポリエステルフィルムの結晶化エネルギーを20J/g以上80J/g以下とする音響振動板用二軸配向多層積層フィルムの製造方法も提供される。
本発明によれば、本発明の二軸配向多層積層フィルムは、21層〜501層の多層で層間の密着性に優れることにより、高弾性率でありながら、かつ高内部損失特性をも有しているため、音響振動板として用いた場合に音への反応が速く、かつ余韻が小さいという音響再現性に優れており、マイクロホン、スピーカー、スクリーンなどの振動板の部材として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[第1の層]
本発明における第1の層は、融点が230℃〜275℃のポリエステル(A)を含む層である。かかる融点を有するポリエステル(A)として、具体的には主たる成分がエチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレートであるポリエステルが例示される。ポリエステル(A)の主たる成分は、ポリエステル(A)を構成する全酸成分を基準として90モル%以上100モル%以下であることが好ましい。ポリエステル(A)の主たる成分は、全酸成分を基準として93モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、97モル%以上であることが特に好ましい。主たる成分がかかる範囲にあることにより、ポリエステル(A)の融点が上述の範囲を満たし、第2の層を構成するポリエステル(B)よりも融点を高度に維持でき、多層積層フィルムとしての弾性率を高くすることができる。
ポリエステル(A)の主たる成分量が下限に満たない場合、融点が230℃よりも低下し、それに伴って第2の層を構成するポリエステル(B)の共重合成分量が増えてその上限を超えてしまい、二軸延伸過程での製膜性が低下する。ポリエステル(A)の主たる成分量は、かかる範囲内でより多い方が好ましく、ホモポリマーが最も好ましい。
第1の層を構成するポリエステル(A)の融点は、230〜275℃の範囲である。ポリエステル(A)の融点が下限よりも低いと、それに伴って第2の層を構成するポリエステル(B)の共重合成分量が増えてその上限を超えてしまい、二軸延伸過程での製膜性が低下する。一方、ポリマーの構成上、融点の上限は高々275℃である。
ポリエステル(A)を構成する主たる成分以外の共重合成分は、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等の酸成分や、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等のグリコール成分を好ましく挙げることができる。
これらの共重合成分の中でも、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの共重合成分の中で、例えば主たる成分がエチレンテレフタレートの場合にはイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、主たる成分がエチレンナフタレートの場合にはイソフタル酸、テレフタル酸が好ましい。これらの共重合成分は、単独で用いてもよく、また2成分以上用いることもできる。
なおポリエステル(A)を構成する共重合成分の含有量は、ポリエステル(A)の全酸成分を基準として0〜10モル%であることが好ましい。また、ポリエステル(A)を構成する共重合成分の含有量の上限は、7モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましく、3モル%以下であることが特に好ましい。
ポリエステル(A)は、公知の方法を適用して製造することができる。例えば、主たる成分の酸成分、ジカルボン酸成分、および必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造することができる。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。
第1の層を構成するポリエステル(A)の固有粘度は、好ましくは0.40〜0.80dl/gであり、更には0.45〜0.75dl/gの範囲であることが好ましい。第1の層を構成するポリエステル(A)の固有粘度がかかる範囲内にない場合、第2の層を構成するポリエステル(B)の固有粘度との差が大きくなることがあり、その結果交互積層構成とした場合に層構成が乱れたり、製膜はできるものの製膜性が低下することがある。
[第2の層]
本発明において、第2の層は、ポリエステル(A)より10〜50℃低い融点を有するポリエステル(B)を含む層である。かかるポリエステル(B)として、具体的には主たる成分がエチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、テトラメチレンテレフタレートおよびテトラメチレンナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種が例示される。ポリエステル(B)の主たる成分は、ポリエステル(B)を構成する全酸成分を基準として70モル%以上100モル%以下であることが好ましい。ポリエステル(B)の主たる成分の下限は、全酸成分を基準として80モル%以上であることがより好ましく、85モル%以上であることがさらに好ましい。またポリエステル(B)の主たる成分の上限は、全酸成分を基準として97モル%以下であることがより好ましく、95モル%以下であることがさらに好ましく、90モル%以下であることが特に好ましい。ポリエステル(B)の主たる成分が下限に満たない場合、ポリエステル(B)が非晶性を示し、二軸延伸過程での製膜性が低下する。
第2の層を構成するポリエステル(B)は、ポリエステル(A)の融点より10〜50℃低い融点を有する。ポリエステル(A)とポリエステル(B)との融点差が下限に満たない場合、両者の融点差が小さいため、延伸後に第2の層を少なくとも部分的に非晶化させる熱処理を施す際に温度の制御が困難となり、得られる多層積層フィルムの結晶化エネルギーが小さく、結果的に十分な内部損失を付与することが困難になる。一方、ポリエステル(A)とポリエステル(B)との融点差が上限を超える場合、ポリエステル(A)とポリエステル(B)との組成が大きく異なるため、得られる多層積層フィルムに十分な層間の密着性を付与することが困難になる。ポリエステル(A)とポリエステル(B)との融点差の下限は、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは20℃以上である。またポリエステル(A)とポリエステル(B)との融点差の上限は、より好ましくは45℃以下、さらに好ましくは40℃以下、特に好ましくは30℃以下である。
なお、第2の層を構成するポリエステル(B)の融点は、フィルムにする前の段階からポリエステル(A)に対して一定温度低い必要はなく、フィルム製膜後の融点がかかる範囲を満たしていればよい。例えば、ホモポリマーと他のポリエステルとを用意し、これらを溶融混練時にエステル交換させたものであってもよい。
ポリエステル(B)を構成する主たる成分以外の共重合成分は、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の如き芳香族カルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等の酸成分や、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の如き脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール等のグリコール成分を好ましく挙げることができる。
これらの共重合成分の中でも、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらの共重合成分の中で、例えば主たる成分がエチレンテレフタレートの場合にはイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましく、主たる成分がエチレンナフタレートの場合にはイソフタル酸、テレフタル酸が好ましい。これらの共重合成分は、単独で用いてもよく、また2成分以上用いることもできる。なおポリエステル(B)を構成する共重合成分の含有量は、ポリエステル(B)の全酸成分を基準として0〜30モル%であることが好ましい。
本発明において、第1の層を構成するポリエステル(A)の主たる成分がエチレンテレフタレートの場合、第2の層を構成するポリエステル(B)は、主たる成分をエチレンテレフタレートとするポリエチレンテレフタレート系共重合体であることが好ましい。また第1の層を構成するポリエステル(A)の主たる成分がエチレンナフタレートの場合、第2の層を構成するポリエステル(B)は、主たる成分をエチレンナフタレートとするポリエチレンナフタレート系共重合体であるか、主たる成分をエチレンテレフタレートとするポリエチレンテレフタレートホモポリマーのいずれかであることが好ましく、層間密着性の点でポリエステル(A)とポリエステル(B)の主たる成分が一致する組み合わせが最も好ましく、音響再現性が向上する。
ポリエステル(B)が共重合体の場合は、共重合成分の下限はより好ましくは3モル%以上、さらに好ましくは5モル%以上、特に好ましくは10モル%以上である。またポリエステル(B)が共重合体の場合は、共重合成分の上限はより好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは15%以下である。
ポリエステル(B)は、公知の方法を適用して製造することができる。例えば、主たる成分の酸成分、ジカルボン酸成分、および必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造することができる。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。
第2の層を構成するポリエステル(B)の固有粘度は、好ましくは0.40〜0.80dl/gであり、更には0.45〜0.75dl/gの範囲であることが好ましい。第2の層を構成するポリエステル(B)の固有粘度がかかる範囲内にない場合、第1の層を構成するポリエステル(A)の固有粘度との差が大きくなることがあり、その結果交互積層構成とした場合に層構成が乱れたり、製膜はできるものの製膜性が低下することがある。
[フィルム積層構成]
(積層数)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、ポリエステル(A)を含む第1の層と、ポリエステル(B)を含む第2の層とを交互に21層以上501層以下の範囲で積層してなるフィルムである。
本発明の二軸配向多層積層フィルムの積層数の下限は、好ましくは49層以上、さらに好ましくは101層以上、特に好ましくは151層以上である。また積層数の上限は、生産性などの観点から高々501層であれば特に制限されないが、好ましくは401層以下、より好ましくは301層以下、さらに好ましくは251層以下である。二軸配向多層積層フィルムの積層数が下限に満たない場合、層間の界面数効果による高弾性率化が十分でなく、音響振動板として用いた場合に音への反応速度と音切れ性の両立が十分ではない。
(全層厚みに占める第1の層の総厚み比)
また本発明の二軸配向多層積層フィルムは、全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%である。全層厚みに占める第1の層の総厚み比の下限は、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。他方、全層厚みに占める第1の層の総厚み比の上限は、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下である。
全層厚みに占める第1の層の総厚み比が下限に満たないと、フィルムの状態で実質的に非晶状態である第2の層の割合が高いため、フィルムに腰がなく、弾性率が低くなる結果、音響特性の低下につながる。他方、全層厚みに占める第1の層の総厚み比が上限を超えると、配向層となる第1の層の割合が高いため、弾性率は高いものの、内部損失特性が十分でなく、音響特性の低下につながる。なお第1の層と第2の層の総厚み比が近い方が、より弾性率と内部損失の両特性を両立しやすくなる。
(全層厚み)
本発明の二軸配向多層積層フィルムの全層厚みは3〜500μmであることが好ましい。二軸配向多層積層フィルムの全層厚みの下限は、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。一方、二軸配向多層積層フィルムの全層厚みの上限は、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは300μm以下である。二軸配向多層積層フィルムの全層厚みが下限に満たない場合、フィルムにコシがなくなり、加工時のハンドリング性に劣ることがある。一方、二軸配向多層積層フィルムの全層厚みが上限を超える場合、フィルムが硬すぎて加工時のハンドリング性が低下することがある。
(各層厚み)
また本発明の二軸配向多層積層フィルムにおいて、第1の層の1層あたりの平均厚みが0.002〜2μm、第2の層の1層あたりの平均厚みが0.002〜2μmの範囲であることが好ましい。
第1の層及び第2の層の1層あたりの平均厚みの下限は、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.02μm以上である。また第1の層の1層あたりの平均厚みの上限は、より好ましくは1.7μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、特に好ましくは0.5μm以下、最も好ましくは0.1μm以下である。
なお、1層あたりの平均厚みは、かかる範囲内で、層数及び全層厚みに占める第1の層の総厚み比に対応して変化する。具体的にはかかる範囲内で、層数の増加に応じて薄くなり、また層数の減少に応じて厚くなる関係にある。またかかる範囲内で、全層厚みに占める第1の層の総厚み比の増加に応じて第1の層は厚くなり、全層厚みに占める第1の層の総厚み比の減少に応じて第1の層は薄くなる関係にある。
(塗布層)
また、本発明の二軸配向多層フィルムに不活性粒子を含有させない場合など、二軸配向フィルムの加工工程において、さらに易滑性塗布層を少なくとも片面に設けることが好ましい。塗布層を構成する組成物は、バインダー成分として、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂が例示され、易滑性を付与させるための滑剤粒子として、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機微粒子、触媒残渣の析出微粒子、シリコーン、ポリスチレン架橋体、アクリル系架橋体などの有機微粒子が例示される。
塗布層の塗布方法として、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法などを単独または組合せて用いることができる。なお塗布層は、必要に応じ、フィルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
[二軸延伸フィルム]
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、十分な弾性率を具備する観点から、二軸配向フィルムである必要がある。ここで本発明における二軸配向フィルムとは、少なくとも第1の層が二軸配向状態にあるフィルムを指す。第2の層は、フィルムの結晶化エネルギーを満たす範囲内で、配向状態を有していても、非晶状態であってもよい。かかる二軸配向フィルムは、二軸延伸加工の製膜性を確保し、特性の不均一化を抑制する観点から、二軸延伸加工時には第1の層、第2の層ともに配向状態でもよいが、延伸後に第2の層を少なくとも部分的に非晶状態にするための熱処理を施すことにより、最終的に得られたフィルムは第2の層が、非晶状態を含むものである。
[フィルム特性]
(結晶化エネルギー)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、温度変調示差走査熱量測定により求められる結晶化エネルギーが20J/g以上80J/g以下である。
一般的な二軸配向ポリエステルフィルムは、十分に熱固定(結晶化処理)されていれば結晶化エネルギーを示さないのに対し、本発明の二軸配向多層積層フィルムは、音響振動板に適したフィルムとして内部損失を高める目的で、第2の層が非晶状態を含むよう、延伸後に熱処理を施すことにより、温度変調示差走査熱量測定(DSC)装置で2℃/分の速度で昇温したときに第2の層の非晶部分に由来する結晶化エネルギーが観察される。温度変調示差走査熱量測定により求められる結晶化エネルギーがかかる範囲内にあることによって、音響振動板として用いた場合に余韻が小さく、音切れの良好な音響特性が得られる。二軸配向多層積層フィルムの結晶化エネルギーの下限は、好ましくは28J/g以上、より好ましくは35J/g以上である。また二軸配向多層積層フィルムの結晶化エネルギーの上限は、好ましくは70J/g以下、より好ましくは65J/g以下である。
二軸配向多層積層フィルムの結晶化エネルギーが下限に満たない場合、非晶割合が少なく、音響振動板として用いた際に余韻が残り、音切れ性が良好でない。一方、二軸配向多層積層フィルムの結晶化エネルギーが上限を超える場合、内部損失に関与する非晶割合は増えるものの、同時に第1の層の配向構造も一部失われてしまい、第1の層の配向構造によって発現する弾性率が低下してしまう。
尚、本発明におけるフィルムの結晶化エネルギーとは、二軸配向多層積層フィルムサンプルを温度変調示差走査熱量測定(DSC)装置で2℃/分の速度で昇温したときの結晶化ピーク面積をいう。
かかる結晶化エネルギーの範囲は、第2の層を構成するポリエステル(B)の融点が第1の層を構成するポリエステル(A)の融点よりも10〜50℃低く、かつフィルム延伸後に、第2の層が非晶状態を含むよう、製造方法において説明するような所定の温度範囲で熱処理を行うことにより達成されるものである。
(結晶化ピーク)
また本発明の二軸配向多層積層フィルムは、温度変調示差走査熱量測定により求められる結晶化ピークが100〜190℃の範囲にあることが好ましい。ここで結晶化ピークとは、二軸配向多層積層フィルムサンプルを温度変調示差走査熱量測定(DSC)装置で2℃/分の速度で昇温したときに観察される結晶化ピークの頂点温度を指す。
二軸配向多層積層フィルムの結晶化ピークが下限に満たない場合、フィルムの延伸製膜時に一方の層が急激に結晶化し、製膜時の製膜性が低下しやすく、かつ特性が不均一になりやすい。
かかる結晶化エネルギーの範囲は、第2の層を構成するポリエステル(B)の主たる成分および共重合成分の割合、並びに主たる成分の種類によって定まる。
(弾性率E’)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、80℃、100Hzにおけるフィルムの弾性率E’が、製膜方向および幅方向の平均値で3000MPa以上であることが好ましい。ここで弾性率E’とは、動的粘弾性測定における貯蔵弾性率を指す。該弾性率E’は、3400MPa以上であることがより好ましい。該弾性率E’が下限に満たない場合は、振動の衝撃によってフィルムが変形してしまうなどの問題が生じることがある。該弾性率E’は、より高い方が振動板として好ましいが、本発明のフィルムの性質上、上限は高々5000MPaである。
かかる弾性率E’は、第1の層の主たる成分の種類及び割合、並びに第1の層が二軸配向していることによって達成され、かつ全層厚みに占める第1の層の総厚み比が適切であること、さらに製膜方向及び幅方向にそれぞれ2倍以上で延伸されていること、層数、及び第1の層と第2の層の層間の密着性が高いことによって達成される。
(内部損失tanδ)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、80℃、100Hzにおけるフィルムの内部損失tanδが、製膜方向および幅方向の平均値で0.03以上であることが好ましい。ここで内部損失とは、動的粘弾性測定における損失弾性率E”と貯蔵弾性率E’との比であり、損失正接(tanδ)と称される。該内部損失tanδはより好ましくは0.040以上、さらに好ましくは0.045以上である。内部損失の値が下限に満たない場合は、振動を受けて振動板自体が響いてしまい、余韻が残って音切れ性が十分でないことがある。該内部損失tanδは、より高い方が振動吸収能が高いが、高々0.15である。
かかる内部損失は、第2の層を構成するポリエステル(B)の融点が第1の層を構成するポリエステル(A)の融点よりも10〜50℃低く、全層厚みに占める第2の層の総厚み比が適切であること、かつフィルム延伸後に第2の層の配向構造を部分的に非配向化させるべく、製造方法において説明するような所定の温度範囲で熱処理を行うことにより達成されるものである。
このように、本発明の二軸配向多層積層フィルムの最大の特徴は、第1の層が熱処理後も二軸配向構造を維持することによって高弾性率を維持し、一方、第2の層が熱処理によって非晶状態を含むことによって高内部損失特性を維持することができる点にあり、特に高弾性率化については、第1の層と第2の層の層間の密着性が高く、その界面数も関与している。
(破断強度)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、製膜方向および幅方向の破断強度が、いずれも50MPa以上であることが好ましい。ここで製膜方向とは、フィルムの連続製膜方向を指し、長手方向、縦方向、MD方向と称することがある。また幅方向とは製膜方向と直交方向を指し、横方向、TD方向と称することがある。
フィルムの破断強度が下限に満たないと、スピーカーの形状に合わせた加工性が低下することがある。また、破断強度が低いと弾性率も低いフィルムとなりやすく、音響特性の低下につながりやすい。破断強度が50MPa以上であることにより、フィルムの腰が強くなり、また巻取り性が向上するという利点もある。好ましい破断強度は、製膜方向が80MPa以上、特に100MPa以上で、幅方向が80MPa以上、特に100MPa以上である。また、製膜方向と幅方向の強度比が3以下であると、耐引裂き性をも十分に具備することができる。製膜方向と幅方向の強度比が2以下であるとさらに耐引裂き性を向上できる。破断強度の上限は、特に限定はされないが、延伸工程の安定性を維持する観点から、高々500MPaであることが好ましい。
かかる破断強度は、第1の層の主たる成分の種類及び割合、並びに第1の層が二軸配向していることによって達成され、さらに詳しくは、製膜方向及び幅方向にそれぞれ2倍以上で延伸されていることによって達成される。
(破断伸度)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、製膜方向および幅方向の破断伸度が、いずれも50%以上であることが好ましい。フィルムの破断伸度が下限に満たないと、スピーカーの形状に合わせた加工性が低下することがある。好ましい破断伸度は、製膜方向が70%以上、特に80%以上で、幅方向が55%以上、特に70%以上である。
かかる破断伸度は、第2の層を構成するポリエステル(B)の融点が第1の層を構成するポリエステル(A)の融点よりも10〜50℃低く、かつフィルム延伸後に、第2の層が非晶状態を含むよう、製造方法において説明するような所定の温度範囲で熱処理を行うことにより達成される。
(層間密着性)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、第1の層と第2の層との間の層間密着性に優れており、その界面の効果で界面の数が多いほど弾性率が高くなる。具体的には、測定方法で具体的に説明するように、フィルムの両面に粘着テープ(ニチバン社製、商品名:セロテープ(登録商標))を貼り付け、180度の剥離角度で剥がした後の剥離面を観察することにより確認することができる。
かかる層間密着性は、第1の層を構成するポリエステルAと第2の層を構成するポリエステルBとの種類が記載の範囲であること、また第2の層が非晶状態を含んでいること、すなわちフィルムとしての結晶化エネルギーが所定の範囲にあることによって達成される。またポリエステル(A)とポリエステル(B)の主たる成分がエチレンテレフタレート同士であるか、エチレンナフタレート同士であること、またはエチレンナフタレートとエチレンテレフタレートであることが影響し、特にポリエステル(A)とポリエステル(B)の主たる成分の種類が同一である場合に、さらに密着性を高めることができる。
(フィルム厚み斑)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、製膜方向および幅方向のフィルム厚み斑がそれぞれ0%以上10%未満であることが好ましい。フィルム厚み斑が上限を超える場合、音響振動板として用いた際に部分的に音響特性が異なることがある。ここでフィルム厚み斑とは、製膜方向および幅方向に1m×1mに切り出したフィルムサンプルを用い、縦方向及び幅方向に沿ってそれぞれ2cm幅で25本に切り出し、各サンプルの厚みを電子マイクロメータ及びレコーダー(K−312A,K310B、安立電気(株)製)を使用して連続的に測定し、さらに測定点を200mmごとに細分化し、その中での厚みの最大値と最小値を読み取り、その差を厚み変動幅として求めたものである。
フィルム厚み斑をかかる範囲にするためには、第1の層を構成するポリエステルAおよび第2の層を構成するポリエステルBの組成が既述の組成であること、及び延伸製膜時の製膜温度が両層のガラス転移温度以上で両層が延伸配向することによって達成される。
(熱収縮率)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、製膜方向および幅方向の150℃で30分間処理したときの熱収縮率が、それぞれ0%以上3.0%以下であることが好ましい。150℃で30分間処理したときの熱収縮率の上限は、より好ましくは製膜方向および幅方向それぞれ2.5%以下、更に好ましくはそれぞれ2.0%以下である。
また、二軸配向多層積層フィルムの200℃で10分間処理したときの製膜方向および幅方向の熱収縮率は、それぞれ0%以上5.0%以下であることが好ましい。200℃で10分間処理したときの熱収縮率の上限は、より好ましくは製膜方向および幅方向それぞれ4.0%以下、更に好ましくはそれぞれ3.0%以下である。
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、熱寸法安定性が高いことから、高温となる可能性がある車内の振動板用途などに用いても高い耐久性を示す。
[その他添加剤]
(粒子)
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、フィルムの巻取り性を向上させるため、第1の層または第2の層の少なくとも1方に滑剤粒子を含有していてもよい。その滑剤粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機微粒子、触媒残渣の析出微粒子、シリコーン、ポリスチレン架橋体、アクリル系架橋体などの有機微粒子を挙げることができる。
[音響振動板用途]
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、21層〜501層の多層で層間の密着性に優れており、高弾性率特性と、所定の結晶化エネルギーを有することにより発現する高内部損失特性を兼備しているため、音響振動板として用いた場合に音への反応が速く、かつ余韻が小さいという音響再現性に優れるものである。音への反応性が高いのは、第1の層の特性により高弾性率であるため、振動の衝撃によるフィルム自体の変形が小さいためと考えられる。また音の余韻が小さいのは、第2の層の高内部損失の部分により残響が発生しにくいためと考えられる。
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、音響振動板として、具体的にはマイクロホン、スピーカー、スクリーンなどの振動板として用いることができる。
[フィルム製造方法]
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、融点が230℃〜275℃のポリエステル(A)を含む第1の層と、ポリエステル(A)より10〜50℃低い融点を有するポリエステル(B)を含む第2の層とを交互に21層以上501層以下の範囲で、かつ全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%となるように積層してシート状物とする工程、得られたシート状物を製膜方向および幅方向にそれぞれ2〜7倍の範囲で延伸する工程、およびポリエステル(B)の融点より10℃低い温度からポリエステル(A)の融点より15℃低い温度範囲で熱固定を行う工程を含むことにより、温度変調示差走査熱量測定により求められる多層積層ポリエステルフィルムの結晶化エネルギーを20J/g以上80J/g以下とするフィルムの製造方法により得られる。
さらに具体的には、まず第1の押出機より供給された第1の層用ポリエステル(A)と、第2の押出機より供給された第2の層用ポリエステル(B)とを、多層フィードブロック装置を用いて溶融状態で交互に21層以上501層以下の範囲で、かつ全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%となるように重ね合わせた状態を形成し、その後、ダイを用いて該溶融積層体を回転するドラム上にキャストすることにより、シート状物(多層積層の未延伸フィルム)とする。なおフィードブロックは、第1の層の各層厚み、第2の層の各層厚みがそれぞれ均一な厚みとなるように制御されることが好ましい。
このようにして得られたシート状物は、続いて、製膜方向及びその直交方向である幅方向の2軸方向に延伸される。延伸温度は、第1の層を構成するポリエステル(A)のガラス転移点の温度(Tg)〜Tg+50℃の範囲が好ましい。このときの延伸倍率は、製膜方向および幅方向にそれぞれ2〜7倍の範囲で行い、面積倍率として5〜50倍の範囲で行うことが好ましい。それぞれの方向の延伸倍率の下限は、より好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上である。またそれぞれの方向の延伸倍率の上限は、より好ましくは6倍以下、さらに好ましくは5倍以下である。2方向に延伸する際の延伸方法は、逐次二軸延伸であっても同時二軸延伸であってもよい。
このようにして二軸延伸された多層積層フィルムについて、延伸工程後に熱固定処理を行う。本発明において、高弾性率特性と高内部損失特性とを兼備するフィルムとするためには、以下のような熱固定温度範囲で熱固定処理を行うことが必須であり、その結果、二軸延伸によって第1の層、第2の層共に二軸配向状態とした後、かかる熱固定処理によって第2の層の分子配向を部分的に緩和して非晶状態とすることによって、第1の層の配向構造に由来する高弾性率特性と、第2の層の非晶状態に由来する高内部損失特性とが発現するものである。
ここで、熱固定処理の温度は、ポリエステル(B)の融点より10℃低い温度から、ポリエステル(A)の融点より15℃低い温度範囲で行う。熱固定処理の温度は、好ましくはポリエステル(B)の融点より6℃低い温度からポリエステル(A)の融点より16℃低い温度の範囲、さらに好ましくは、ポリエステル(B)の融点より2℃低い温度からポリエステル(A)の融点より18℃低い温度の範囲である。また第2の層の非晶状態を増やすために、熱固定処理温度の下限は、ポリエステル(B)の融点より5℃以上高い温度が特に好ましく、ポリエステル(B)の融点より8℃以上高い温度が最も好ましい。なお、熱固定処理の時間は、0.5〜60秒が好ましい。
熱固定処理の温度が下限に満たない場合、第2の層の分子鎖の結晶構造を緩和させる効果が不十分となり、得られる多層延伸フィルムの結晶化エネルギー量が十分でないため、十分な内部損失特性を付与できない。一方、熱固定処理の温度が上限を超える場合、第1の層の分子鎖の結晶構造も緩和されて弾性率が低下してしまう。
熱固定温度は、かかる範囲内でより低く設定した場合は第2の層の非晶状態の部分が少なく、かかる範囲内でより高く設定した場合は第2の層の非晶状態の部分が多くなる。
かかる方法により、示差熱熱量計から求められる二軸延伸多層積層ポリエステルフィルムの結晶化エネルギーを20J/g以上80J/g以下とすることができる。
また、塗布層を設ける場合は、例えば縦延伸後に、フィルムの片面ないし両面に水分散性の塗剤を塗布し、横延伸の前に乾燥してフィルムに塗布層を形成させることが好ましい。塗工方法は特に限定されないが、リバースロールコーターによる塗工が好ましい。
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例および比較例において用いた特性の測定方法ならびに評価方法は、次のとおりである。
(1)ポリエステル成分量
フィルムサンプルの各層について、H−NMR測定よりポリエステルの成分および共重合成分及び各成分量を特定した。
(2)固有粘度
ポリエステルの固有粘度([η]dl/g)は、25℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
(3)ポリエステルの融点、ガラス転移点、結晶化エネルギーおよび結晶化ピーク
フィルムサンプルを20mgサンプリングし、温度変調示差走査熱量測定(DSC)装置(TAインスツルメンツ社製、商品名;DSC Q100)を用い、加熱温度20〜320℃、温度変調振幅±2℃、温度変調周期60秒、昇温速度(ステップ)2℃/minの条件で、ガラス転移点、結晶化エネルギー、結晶化ピークおよび融点を測定する。なお試料パンにはアルミニウムパンを用い、窒素50ml/min雰囲気下で測定を行った。
ガラス転移点(Tg)は補外ガラス転移開始温度および補外ガラス転移修了温度の各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度である。また結晶化ピークは不可逆過程に認められ、結晶化ピークの頂点温度とする。結晶化ピークは、ガラス転移点以上、融解温度以下の範囲に認められる。また結晶化エネルギーは結晶化ピークの面積から算出することができる。融点は融解ピークの頂点温度より求める。
(4)各層厚み、層数
フィルムサンプルを三角形に切り出し、包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂にて包埋する。そして、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S、製造元:ライヘルト社)で製膜方向と厚み方向に沿って切断し、厚さ50nmの薄膜切片にした。得られた薄膜切片を、透過型電子顕微鏡(製造元:日本電子(株)、商品名:JEM2010)を用いて、加速電圧100kVにて観察・撮影し、写真から第1の層、第2の層の各層の厚みおよび層数を測定し、それぞれについて平均値より各層厚みを求めた。
(5)全層厚み
フィルムの全層厚みは、電子マイクロメータ(アンリツ(株)製の商品名「K−312A型」)を用いて針圧30gにて10箇所測定し、それらの平均値より求めた。
(6)全層厚みに占める第1の層の総厚み比
(4)の方法で得られた第1の層厚みの平均値に第1の層数を乗じて第1の層厚みの総計を求めた。一方、全層厚みは(5)の方法に準じて求め、全層厚みに占める第1の層の総厚み比(%)を算出した。
(7)弾性率E’、内部損失tanδ
動的粘弾性測定装置(オリエンテック社製、DDV−01FP)を用い、80℃、100Hzの条件で、フィルムサンプルの貯蔵弾性率E’及び内部損失tanδを評価した。サンプル長は4cm×3mmで、製膜方向、幅方向それぞれ評価し、平均値を算出した。
(8)破断強度、破断伸度
製膜方向の破断強度は、サンプルフィルムを試料幅(幅方向)10mm、長さ(製膜方向)150mmに切り出し、チャック間100mmでサンプルを装着し、引張速度100mm/min、チャート速度500m/minの条件でインストロンタイプの万能引張試験装置を用いて室温で引張試験を行う。得られた荷重−伸び曲線から破断強度及び破断伸度を求めた。
また幅方向の破断強度は、サンプルフィルムを試料幅(製膜方向)10mm、長さ(幅方向)150mmに切り出す以外は、製膜方向の破断強度・破断伸度の測定と同様に行った。
(9)熱収縮率
フィルムサンプルを35cm×35cmの正方形に切り出し、標線間距離を30cmとし、150℃に温度設定されたオーブンの中に無緊張状態で30分間フィルムを保持し、加熱処理前後での寸法変化を熱収縮率として下記式により算出する。
熱収縮率%=((L−L)/L)×100
(常識中、Lは熱処理前の標線間距離(単位:mm)、Lは熱処理後の標線間距離(単位:mm)をそれぞれ表わす)
(10)フィルム厚み斑
製膜方向および幅方向にそれぞれ1m×1mとなるように切り出したフィルムサンプルを縦方向及び幅方向に沿ってそれぞれ2cm幅で25本に切り出し、各サンプルの厚みを電子マイクロメータ及びレコーダー(K−312A,K310B、安立電気(株)製)を使用して連続的に測定する。さらに測定点を200mmごとに細分化し、その中での厚みの最大値と最小値を読み取り、その差を厚み変動幅とする。
(11)層間の密着性
サンプルフィルム(10mm×50mm)の両面に24mm幅の粘着テープ(ニチバン社製、商品名:セロテープ(登録商標))を100mm長ずつ貼り付け、180度の剥離角度で剥がした後、剥離面を観察する。これを各10サンプルについて行い、層間剥離の生じた回数を算出して、下記の基準で評価した。
○: 剥離の回数3回以下
△: 剥離の回数3回以上
(12)音響再現性
フィルムサンプル、イソフタル酸18モル%共重合PETを含む熱接着層、及びPET不織布の順に積層してフィルムサンプルとPET不織布とを熱接着させたサンプルを作成し、音響振動板として、口径25mmバランスドーム型ツイーターに組み込み、1kHzから100kHzの周波数帯域について、その再生周波数特性を測定した。元の音圧に対する再生した音圧の比から再現率を求め、以下の指標で判定した。
○: 全ての周波数帯について85%以上の再現率が観察された
△: 80%以上85%未満の再現率を示す周波数帯が観察された
×: 80%未満の再現率を示す周波数帯が観察された
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートホモポリマー(固有粘度:0.65dl/g)を第1の層用ポリエステル(A)とし、第2の層用ポリエステル(B)としてイソフタル酸を12モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.62dl/g)を準備した。そして、第1の層用ポリエステル(A)および第2の層用ポリエステル(B)を、それぞれ170℃で3時間乾燥後、それぞれの押出機に供給し、280℃まで加熱して溶融状態とし、第1の層用ポリエステル(A)を101層、第2の層用ポリエステル(B)を100層に分岐させた後、第1の層と第2の層が交互に積層するような多層フィードブロック装置を使用して、その積層状態を保持したままダイへと導き、キャスティングドラム上にキャストして第1の層と第2の層が交互に積層され、第1の層を両端層とする総数201層の未延伸多層積層フィルムを作成した。このとき第1の層と第2の層の押出量が1:1になるように調整した。なお、フィルムにした時の第1の層の各層厚み、第2の層の各層厚みが均一となるようにフィードブロック間隔が調整されたフィードブロックを使用した。
続いて、この未延伸フィルムを90℃の温度で製膜方向に3.6倍延伸し、更に95℃の温度で幅方向に3.9倍に延伸し、235℃で3秒間熱固定処理を行って、フィルムの全層厚みが15μmの二軸配向多層積層フィルムを得た。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは、内部損失、弾性率特性及び層間密着性ともに優れており、音への反応性、音切れ性が良好で、音響振動板として測定周波数帯域における音響再現性に優れていた。
[実施例2]
第1の層と第2の層の押出量を8:2になるように調整した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは、内部損失、弾性率特性及び層間密着性ともに優れており、音への反応性、音切れ性が良好で、音響振動板として測定周波数帯域における音響再現性に優れていた。
[実施例3]
第1の層と第2の層の押出量を2:8になるように調整した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは、内部損失、弾性率特性及び層間密着性ともに優れており、音への反応性、音切れ性が良好で、音響振動板として測定周波数帯域における音響再現性に優れていた。
[実施例4]
フィルムの全層厚みを300μmとした以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは、内部損失、弾性率特性及び層間密着性ともに優れており、音への反応性、音切れ性が良好で、音響振動板として測定周波数帯域における音響再現性に優れていた。
[実施例5]
第2の層用ポリエステル(B)としてイソフタル酸6モル%及び2,6−ナフタレンジカルボン酸6モル%を共重合したポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.64dl/g)を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは、内部損失、弾性率特性及び層間密着性ともに優れており、音への反応性、音切れ性が良好で、音響振動板として測定周波数帯域における音響再現性に優れていた。
[実施例6]
第1の層用ポリエステル(A)としてイソフタル酸を8モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.63dl/g)を用い、熱固定温度を221℃に変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムの弾性率は良好であった。第1の層と第2の層の融点差が小さく、第2の層を非配向状態にするための熱固定温度の設定条件上、融点差の大きい実施例に比べると若干内部損失の値が小さかった。
[実施例7]
第1の層数を11層、第2の層数を10層に変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは、内部損失、弾性率特性及び層間密着性ともに優れており、音響再現性にも優れていた。なお、層数の影響で本実施例よりも層数の多い実施例1などと比較すると、弾性率は若干低かった。
[実施例8]
第1の層用ポリエステル(A)としてポリエチレン−2,6−ナフタレートホモポリマー(固有粘度:0.60dl/g)を用い、第2の層用ポリエステル(B)としてポリエチレンテレフタレートホモポリマー(固有粘度:0.65dl/g)を用いた以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは、内部損失、弾性率特性ともに優れていたが、層間密着性が実施例1などに比べると良くなく、そのため音響再現性が若干低下した。
[比較例1]
第1の層数を5層、第2の層数を4層に変更した以外は実施例1と同様な操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは内部損失は優れているが、弾性率が十分ではなく、音への反応性が遅いために音響再現性が十分でない周波数域があった。
[比較例2]
第1の層用ポリエステル(A)としてイソフタル酸を10モル%共重合したポリエチレンテレフタレート(固有粘度:0.63dl/g)を用い、熱固定温度を216℃に変更した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムの弾性率は良好であった。一方、第1の層と第2の層の融点差が10℃以下と小さく、第2の層を非配向状態にするための熱固定温度の設定条件上、内部損失に劣るものであった。そのため音切れ性が十分でないために音響再現性が十分でない周波数域があった。
[比較例3]
第1の層と第2の層の押出量を1:9になるように調整した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは内部損失の値は良いが、弾性率が十分ではなく、音への反応性が遅いために音響再現性が十分でない周波数域があった。
[比較例4]
第1の層と第2の層の押出量を9:1になるように調整した以外は実施例1と同様の操作を繰り返した。得られた二軸配向多層積層フィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムは弾性率の値は良いが、内部損失が十分でなく、音切れ性に起因して音響再現性が十分でない周波数域があった。
Figure 2009096116
本発明の二軸配向多層積層フィルムは、21層〜501層の多層で層間の密着性に優れることにより、高弾性率でありながら、かつ高内部損失特性をも有しているため、音響振動板として用いた場合に音への反応が速く、かつ余韻が小さいという音響再現性に優れており、マイクロホン、スピーカー、スクリーンなどの振動板の部材として好適に用いることができる。

Claims (14)

  1. 融点が230℃〜275℃のポリエステル(A)を含む第1の層と、ポリエステル(A)より10〜50℃低い融点を有するポリエステル(B)を含む第2の層とを交互に21層以上501層以下の範囲で積層してなり、全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%であって、温度変調示差走査熱量測定により求められる多層積層ポリエステルフィルムの結晶化エネルギーが20J/g以上80J/g以下であることを特徴とする音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  2. 80℃、100Hzにおけるフィルムの弾性率E’が、製膜方向および幅方向の平均値で3000MPa以上あり、80℃、100Hzにおけるフィルムの内部損失tanδが製膜方向および幅方向の平均値で0.03以上である請求項1に記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  3. ポリエステル(A)を構成する主たる成分がエチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレートである請求項1または2に記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  4. ポリエステル(A)を構成する主たる成分以外の共重合成分が、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  5. ポリエステル(A)を構成する共重合成分の含有量が、第1の層を構成するポリエステル(A)の全酸成分を基準として0〜10モル%である請求項4に記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  6. ポリエステル(B)を構成する主たる成分がエチレンテレフタレート、エチレンナフタレート、テトラメチレンテレフタレートおよびテトラメチレンナフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  7. ポリエステル(B)を構成する主たる成分以外の共重合成分が、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  8. ポリエステル(B)を構成する共重合成分の含有量が、第2の層を構成するポリエステル(B)の全酸成分を基準として0〜30モル%である請求項7に記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  9. 全層厚みが3〜500μmである請求項1〜8のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  10. 多層積層フィルムの製膜方向および幅方向の破断強度が、いずれも50MPa以上である請求項1〜9のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  11. 多層積層フィルムの製膜方向および幅方向の破断伸度が、いずれも50%以上である請求項1〜10のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  12. 温度変調示差走査熱量測定により求められる結晶化ピークが、100〜190℃の範囲にある請求項1〜11のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  13. 音響振動板がマイクロホン、スピーカー及びスクリーンのいずれかの振動板である請求項1〜12のいずれかに記載の音響振動板用二軸配向多層積層フィルム。
  14. 融点が230℃〜275℃のポリエステル(A)を含む第1の層と、ポリエステル(A)より10〜50℃低い融点を有するポリエステル(B)を含む第2の層とを交互に21層以上501層以下の範囲で、かつ全層厚みに占める第1の層の総厚み比が20〜80%となるように積層してシート状物とする工程、得られたシート状物を製膜方向および幅方向にそれぞれ2〜7倍の範囲で延伸する工程、およびポリエステル(B)の融点より10℃低い温度からポリエステル(A)の融点より15℃低い温度範囲で熱固定を行う工程を含むことにより、温度変調示差走査熱量測定により求められる多層積層ポリエステルフィルムの結晶化エネルギーを20J/g以上80J/g以下とすることを特徴とする音響振動板用二軸配向多層積層フィルムの製造方法。
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