JP2003320365A - 汚染物質を含む被処理物の処理方法及び汚染被処理物の処理剤 - Google Patents

汚染物質を含む被処理物の処理方法及び汚染被処理物の処理剤

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JP2003320365A JP2002130621A JP2002130621A JP2003320365A JP 2003320365 A JP2003320365 A JP 2003320365A JP 2002130621 A JP2002130621 A JP 2002130621A JP 2002130621 A JP2002130621 A JP 2002130621A JP 2003320365 A JP2003320365 A JP 2003320365A
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Takaaki Shinohara
隆明 篠原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 土壌や廃棄物などの被処理物にふくまれる有
害な重金属などの汚染物質を、幅広いpH領域に対し
て、しかも長期的に安定な状態で不溶であるように固定
化する汚染物質を含む被処理物の処理方法及び処理剤を
提供する。 【解決手段】 重金属などで汚染された土壌などの被処
理物に対して、チタン塩、又はチタン塩とアルカリ剤と
からなる処理剤を混合することを特徴とする汚染物質を
含む被処理物の処理方法である。前記アルカリ剤は、セ
メントであることが好ましい。また、前記チタン塩は、
硫酸チタニル又は硫酸チタンであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌や廃棄物など
に含まれる有害物を処理するための汚染物質を含む被処
理物の処理方法及び汚染被処理物の処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、土壌や廃棄物などに含まれる
鉛、水銀、カドミウム、銅、ヒ素、セレン、アンチモン
などの有害な重金属やフッ素、シアン、ホウ素などが、
雨水などに溶けて流出しないように処理(不溶化)する
技術が知られている。従来の処理方法としては、(1)セ
メントを使用して物理的に固定化、あるいは有害金属イ
オンを難溶性の水酸化物として不溶化する方法、(2)硫
化ナトリウムなどを加えて硫化物として不溶化する方
法、(3)ジチオカルバミン酸基などの官能基を有する水
溶性キレート高分子を添加し金属錯体を形成して不溶化
する方法等が挙げられる。
【0003】ところで、日本国内では土壌に含まれる汚
染物、例えば重金属の限界値について、環境省告示第4
6号の別表に基準として定められている。分析方法につ
いても前記告示に従い、前記別表の付表に定められた方
法で検液を調製する。具体的には、純水に塩酸を加えて
pH=5.8〜6.3とした溶媒を、所定処理を施した
土壌に所定割合混合し、十分に振とうした後の上澄み液
を検液として、重金属の割合が環境基準内にあるか測定
するのである。以上のように、前記告示は、pH6前後
というかなり中性に近い弱酸性の溶媒に対して土壌から
溶出する重金属の量について定めたもので、前記(1)〜
(3)の方法もこの告示の基準を考慮したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、土壌や
地中に埋められた廃棄物などに流れ込む水(土壌水)
は、必ずしも中性に近いということではなく、酸性雨
(pH5前後)の影響や過去に使用されてきた農薬に含
まれている硫酸塩などにより、pH6よりも高い酸性度
を有することがある。また、地中に含まれる塩成分など
によっては、土壌水がアルカリ性になることもある。こ
のような状況では、前記の従来の方法では次のような問
題が挙げられる。前記(1)の方法では、酸性の溶液に晒
されるとアルカリ性の重金属塩が溶出する可能性があ
る。また、過剰の水酸化カルシウムが生成すると、土壌
等とセメントの混合物のpHが高まり、両性元素である
鉛などの水酸化物の再溶解を引き起こし、安定性の点で
不安がある。(2)の方法では、土壌などが酸性化すると
分解し、しかも、分解の際には有害な硫化水素の発生が
懸念される。(3)ジチオカルバミン酸基の金属錯体は酸
性、アルカリ性に対しては安定であるが、土中の微生物
による分解を受ける可能性があり、長期的には不安定で
ある。以上のように従来の固定化方法は、現実の環境に
十分対応できるものではなかった。
【0005】本発明の課題は、汚染物質を含む被処理物
の処理方法及び汚染被処理物の処理剤において、被処理
物、例えば土壌や廃棄物などにふくまれる有害な重金属
等の汚染物質を、幅広いpH領域に対して、しかも長期
的に安定な状態で不溶であるように処理固定化すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、汚染物質を含む被処理物に対して、チタン塩を添加
混合することを特徴とする汚染物質を含む被処理物の処
理方法である。請求項1に記載の発明によれば、チタン
塩から生成するチタンの水酸化物が析出する際に重金属
などの汚染物質も抱きこまれ、不溶化処理される。チタ
ンの水酸化物は、アルカリ側は勿論のこと、酸性側の水
溶液などに対しても溶解度が低く、有害物質の溶出を抑
制できる。従って、土壌や廃棄物に含まれる有害物質
を、幅広いpH領域において不溶化し、溶出を防ぐこと
ができる。また、微生物による分解を受けない無機塩の
中に取り込まれるので長期的に安定した状態で固定化さ
れる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の汚染物質を含む被処理物の処理方法において、さらに
アルカリ剤を混合することを特徴とする。請求項2に記
載の発明によれば、アルカリ剤の存在によってチタンの
水酸化物の生成が促進され、より汚染物質を不溶化処理
する効果が高い。
【0008】請求項2に記載の発明において、前記アル
カリ剤は、請求項3に記載の発明のように、セメント、
消石灰、水酸化ナトリウム又は生石灰であることが好ま
しい。また、請求項1〜3のいずれかに記載の発明にお
いて、前記チタン塩は、請求項4に記載の発明のよう
に、硫酸チタニル又は硫酸チタンであることが好まし
い。
【0009】請求項2に記載の汚染物質を含む被処理物
の処理方法は、具体的には、請求項5に記載の発明のよ
うに、前記汚染物質が鉛である場合には、前記アルカリ
剤はセメントであり、前記チタン塩は硫酸チタニルであ
ると、酸性からアルカリまでかなり広範囲に固定化する
ことができ、特に効果が高い。
【0010】請求項6に記載の発明は、汚染被処理物に
添加されて汚染物を処理する汚染被処理物の処理剤にお
いて、チタン塩を含むことを特徴とする。請求項6に記
載の処理剤を用いれば、請求項1記載の発明と同様の作
用により、重金属などの汚染物質を長期的に安定した状
態で固定化することができる。
【0011】請求項6に記載の発明は、請求項7に記載
の発明のように、さらにアルカリ剤を含むと、チタン塩
の水酸化物を生成しやすく、より効果が高い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の汚染物質を含む被
処理物の処理方法及び汚染被処理物の処理について詳細
に説明する。本発明の汚染物質を含む被処理物の処理方
法は、汚染物質で汚染された被処理物に対して、チタン
塩、又はチタン塩とアルカリ剤を混合することを特徴と
する。この方法であれば、被処理物中で、チタン塩が反
応することによって生成するチタンの水酸化物が析出す
る際に、汚染物質が抱き込まれ不溶化する。チタンの水
酸化物は、アルカリ側は勿論のこと、酸性側の水溶液な
どに対しても溶解度が低く、幅広いpHの溶液に対して
安定である。従って、汚染された土壌や廃棄物から析出
する有害な汚染物質の量が、幅広いpH領域において環
境基準値以下となるように、長期的に固定化することが
可能となる。
【0013】対象となる汚染物質としては、鉛、水銀、
カドミウム、銅、ヒ素、セレン、アンチモン、クロムな
どの重金属やフッ素、シアン、ホウ素などである。本発
明における被処理物としては、処理剤を混合することが
できるものであれば、特に限定されないが、例えば、土
壌、河川水や地下水、泥状の廃棄物、液状あるいはチャ
ンク状に加工可能な建築あるいは産業廃棄物などが挙げ
られる。
【0014】本発明の汚染物質を含む被処理物の処理方
法で使用される処理剤は、チタン塩、又はアルカリ剤と
チタン塩とを含む。
【0015】本発明で用いられるチタン塩は、処理剤に
含まれるアルカリ剤、あるいは被処理物や汚染物質と反
応可能なものであれば構わないが、反応により有害なガ
ス等が発生しない点から硫酸チタニル(TiOSO4
又は硫酸チタン(Ti2(SO 43またはTi(SO4
2)であることが好ましい。
【0016】本発明で用いられるアルカリ剤としては、
セメント、消石灰(Ca(OH)2)、水酸化ナトリウ
ム及び生石灰(CaO)が好ましい。特にセメントは、
チタン塩と水酸化物を形成するだけでなく、固化するこ
とで物理的に重金属などの汚染物質を固定化することが
できるので、好ましい。加えて、セメントだけでもある
程度固定化の効果を発揮するので、値段の低いセメント
を多めに加え、高価格のチタン塩を少なめにすることが
でき、コストの点からも好ましい。本発明で用いられる
セメントとしては、ポルトランドセメント、ポルトラン
ドセメントに高炉水砕スラグ粉末を混ぜた高炉セメン
ト、ポルトランドセメントにフライアッシュを混ぜたフ
ライアッシュセメント、ポルトランドセメントにシリカ
質鉱物を混ぜたシリカセメントなどを使用することがで
きる。
【0017】重金属が鉛である場合には、アルカリ剤と
してセメントを用い、チタン塩として硫酸チタニルを使
うことで容易に固定化され、特に好ましい。
【0018】また、本発明の処理剤は、チタン塩、又は
チタン塩とアルカリ塩をそれぞれについて2種類以上使
用してもよいし、アルカリ剤及びチタン塩以外の成分を
含んでいてもよい。例えば、塩化鉄(I)、塩化鉄(I
I)、硫酸鉄(I)、硫酸鉄(II)等の鉄塩やリン酸塩を
処理効率向上のために含んでいてもよい。
【0019】本発明の汚染物質を含む被処理物の処理方
法において、被処理物に対して本発明の処理剤を混合す
る際に、被処理物がブロック状になっているなどの理由
により、そのままの状態では十分に均一に処理剤を混合
できないような場合には、粉末あるいはチャンク状に粉
砕してもよい。さらに、被処理物と処理剤とを混合しや
すくするために、あるいはチタン塩の水酸化反応を促進
するために、被処理物に予め水分を添加し、泥状あるい
はクリーム状などにしておいてもよい。被処理物にチタ
ン塩、又はチタン塩とアルカリ剤を混合する際には、い
ずれも粉末状で被処理物に添加してもよいし、水溶液や
懸濁液として添加してもよい。また、これらの添加の順
序は、どのような順序でも良いし、ほぼ同時でもよい。
さらに、被処理物に処理剤を混合した後、均一に行き渡
るように必要に応じて攪拌装置などを用いて、強制的に
攪拌してもよい。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定される
ものではない。なお、以下の実施例1〜4、比較例1、
2における検液の調製方法は、前述の環境省告示46号
に準拠したもので、ここでの鉛の環境基準は告示46号
で検液1リットル当たり0.01mg以下である。ヒ素
は0.01mg/l、シアンは検出されないこと、であ
る。
【0021】[実施例1] 鉛の溶出量に及ぼす硫酸チ
タニルの添加量の影響 次の鉛で汚染された土壌及びを風乾し、2mmの目
の篩にかけて、2mm以下の粒度に揃えたものを土壌試
料とした。 :鉛含有量2100mg/kgの土壌であって、環境
省告示46号に基づく鉛の溶出量0.041mg/Lの
もの。 :鉛含有量10000mg/kgの土壌であって、環
境省告示46号に基づく鉛の溶出量0.269mg/L
のもの。
【0022】前記土壌試料8gずつを複数のポリ容器に
取り分け、純水を加えて含水率20%の湿土壌を得た。
各ポリ容器の湿土壌に対して重量比でセメントを一律3
%(0.24g)混合し、次に硫酸チタニルを約1.5
%〜6%(約0.12〜0.48g)の範囲で混合し、
一晩放置して処理土壌とした。これら処理土壌について
次のようにして鉛の溶出試験を行った。まず、各処理土
壌に対して10倍量の純水を添加し、毎分200回の速
度、及び振とう幅4cmで6時間振とうし、30分間静
置した。その後に遠心分離し上澄み液を0.45μmの
メンブランフィルターによってろ過し、ろ過液中の鉛濃
度をICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析装
置(ICP−AES)によって測定した。その結果を表
1にまとめた。表1において「<0.005」は検出限界
以下であったことを示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1から分かるように、鉛を多く含む及
びのいずれの土壌に対しても、本発明の固定化方法で
セメントと硫酸チタニルを混合して処理することで、鉛
の溶出量が検出限界以下になった。鉛は、セメントと硫
酸チタニルによって形成される水酸化物に取り込まれた
と思われる。また、硫酸チタニルの添加量については、
最も少ない1.5%でも十分効果がある。これは、セメ
ントだけでもある程度固定化の効果があり、硫酸チタニ
ルは比較的少量でよいためと考えられる。
【0025】[実施例2]ヒ素の溶出量に及ぼす硫酸チ
タニル添加量の影響 ヒ素に汚染された土壌(ヒ素含有量150mg/kgの
土壌、環境省告示46号に基づくヒ素の溶出量0.06
5mg/L)を風乾し、2mm以下の粒度に篩い分けし
た。この土壌試料を8gずつポリ容器に分け取り、水を
加え、それぞれ含水率20%とした。これら湿土壌それ
ぞれに対して、セメントを一律3%ずつ添加・混合し、
次に硫酸チタニルを約1〜7%添加・混合し一晩放置し
て処理土壌とした。溶出試験は実施例1同様に、処理土
壌の10倍量の純水を添加し、毎分200回、振とう幅
4cmで6時間振とうし、30分静置後に遠心分離した
上澄み液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過
し、溶出液中のヒ素の濃度を原子吸光光度計(水素化物
発生法)で測定した。その結果を表2にまとめた。表2
中、硫酸チタニルの添加率「0」は、セメントのみという
ことである。
【0026】
【表2】 このように本発明の処理剤は、ヒ素に対しても十分効果
が発揮されていることが分かる。
【0027】[実施例3]シアンの溶出量に及ぼす硫酸
チタニル添加量の影響 シアンに汚染された土壌(シアン含有量25mg/kg
の土壌、環境省告示46号に基づくシアンの溶出量0.
50mg/L)を風乾し、2mm以下の粒度に篩い分け
した。これら土壌試料を8gずつポリ容器に分け取り、
水を加え、それぞれ含水率20%とした。この湿土壌そ
れぞれに対して、硫酸チタニルを約1〜5%添加・混合
し一晩放置して処理土壌とした。溶出試験は実施例1同
様に、処理土壌の10倍量の純水を添加し、毎分200
回、振とう幅4cmで6時間振とうし、30分静置後に
遠心分離した上澄み液を0.45μmのメンブランフィ
ルターでろ過し、溶出液中のシアンの濃度を吸光光度法
で測定した。その結果を表3にまとめた。
【0028】
【表3】 このように、チタン塩単独でもシアンを十分に処理する
ことができる。
【0029】[実施例4] セメント/硫酸チタニル処
理土壌のpH変化に対する安定性 鉛で汚染された土壌(鉛含有量が150mg/kgであ
って、環境省告示46号に基づく鉛の溶出量0.09m
g/L)を風乾し、2mm以下の粒度に篩い分けした。
この土壌に純水を加え含水率20%の湿土壌にし、この
湿土壌100重量部に対してセメントを3重量部混合
し、さらに硫酸チタニルを3重量部混合した後、一晩静
置し処理済み土壌を得た。この処理済み土壌を8gずつ
秤量し容器に取り分け、硝酸及び水酸化ナトリウムによ
りpHを1〜13に調製した10倍量の水溶液と混合
し、24時間振とうした。30分間静置後、遠心分離後
の上澄み液を0.45μmのメンブランフィルターにて
ろ過し、溶出液中の鉛濃度を前記ICP−AESによ
り、振とう後のpHをpHメーターにより測定した。結
果を図1のグラフに示した。図1において横軸はpH、
縦軸は溶出した鉛の濃度であり、検出限界以下の値につ
いては「0.005」とし、pHは振とう後の値でプロッ
トしている。
【0030】[比較例1] 未処理土壌のpH変化に対
する安定性 実施例4で使用した鉛で汚染された土壌を風乾し、2m
m以下の粒度に篩い分けした。この土壌に純水を加え含
水率20%の湿土壌にした。この湿土壌を8gずつ容器
に取り分け、その後は実施例4と全く同様に検液を調製
した。すなわち、湿土壌8gずつに対し、pHを1〜1
3に調製した10倍量の水溶液を混合し、24時間振と
う・30分間静置後、遠心分離後の上澄み液をろ過し、
溶出液中の鉛濃度を前記ICP−AESにより、振とう
後のpHをpHメーターにより測定した。
【0031】[比較例2] セメント処理土壌のpH変
化に対する安定性 実施例4で使用した鉛で汚染された土壌を風乾し、2m
m以下の粒度に篩い分けした。この土壌に純水を加え含
水率20%の湿土壌にした。この湿土壌100重量部に
対してセメントを3.5重量部混合した後、一晩静置し
処理済み土壌を得た。この後は、実施例4と全く同様に
検液を調製した。すなわち、処理済み土壌8gずつに対
し、pHを1〜13に調製した10倍量の水溶液を混合
し、24時間振とう・30分間静置後、遠心分離後の上
澄み液をろ過し、溶出液中の鉛濃度と振とう後のpHを
測定した。比較例1及び比較例2の結果も図1に合わせ
て示した。
【0032】図1から分かるように、比較例1の全く未
処理の土壌については、pH6付近で環境基準よりも高
い溶出量を示し、さらにpH6よりも酸性度、アルカリ
度が上がるにともない鉛の溶出量は著しく多くなってし
まっている。比較例2では、セメント処理による効果
で、硬化したセメント内部に物理的に閉じ込められ、あ
るいは鉛イオンがアルカリには難溶性の水酸化物として
不溶化することにより、pH8〜11の領域では環境基
準以下となり、固定化されている。しかし、強アルカリ
側やpHが中性よりも酸性側によると急激に溶出量が多
くなってしまい、効果がないことが分かった。
【0033】これら比較例1、2と比べて、実施例4で
は、pH4〜12.5までの広範囲にわたって環境基準
値以下を十分に満たす。これは、比較例2で述べたセメ
ントの効果に加えて、セメントと硫酸チタニルとの反応
から生成されるチタンの水酸化物とともに有害金属が共
沈し不溶化するためである。チタンの水酸化物は、酸性
溶液に対しても溶解度が低く、ある程度pH値が低くな
っても溶解しない。このようなメカニズムにより、アル
カリ性から酸性まで広範囲の溶液に対して安定した状態
で固定化できる。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、チタン塩から生成する
チタンの水酸化物が析出する際に重金属などの汚染物質
も抱きこまれ、不溶化処理される。チタンの水酸化物
は、アルカリ側は勿論のこと、酸性側の水溶液などに対
しても溶解度が低く、有害物質の溶出を抑制できる。従
って、土壌や廃棄物に含まれる有害物質を、幅広いpH
領域において不溶化し、溶出を防ぐことができる。ま
た、微生物による分解を受けない無機塩の中に取り込ま
れるので長期的に安定した状態で固定化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4、比較例1及び比較例2から得られた
pH変化に対する鉛の溶出量の変化を示すグラフであ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】汚染物質を含む被処理物に対して、チタン
    塩を添加混合することを特徴とする汚染物質を含む被処
    理物の処理方法。
  2. 【請求項2】さらにアルカリ剤を混合することを特徴と
    する請求項1に記載の汚染物質を含む被処理物の処理方
    法。
  3. 【請求項3】前記アルカリ剤は、セメント、消石灰、水
    酸化ナトリウム又は生石灰であることを特徴とする請求
    項2に記載の汚染物質を含む被処理物の処理方法。
  4. 【請求項4】前記チタン塩は、硫酸チタニル又は硫酸チ
    タンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の汚染物質を含む被処理物の処理方法。
  5. 【請求項5】前記汚染物質が鉛である場合には、前記ア
    ルカリ剤はセメントであり、前記チタン塩は硫酸チタニ
    ルであることを特徴とする請求項2に記載の汚染物質を
    含む被処理物の処理方法。
  6. 【請求項6】汚染被処理物に添加されて汚染物を処理す
    る汚染被処理物の処理剤において、チタン塩を含むこと
    を特徴とする汚染被処理物の処理剤。
  7. 【請求項7】さらにアルカリ剤を含むことを特徴とする
    請求項6に記載の汚染被処理物の処理剤。
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