JP2003305553A - 連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置、方法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

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JP2003305553A JP2002111087A JP2002111087A JP2003305553A JP 2003305553 A JP2003305553 A JP 2003305553A JP 2002111087 A JP2002111087 A JP 2002111087A JP 2002111087 A JP2002111087 A JP 2002111087A JP 2003305553 A JP2003305553 A JP 2003305553A
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Hiroyuki Yoshino
博之 吉野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態、具体的
には溶鋼偏流の発生の有無を的確に診断できるようにす
る。 【解決手段】 連続鋳造鋳型4は一対の長辺4aと一対
の短辺4bとを有する平面断面形状とされ、その中央に
両短辺方向に溶鋼を吐出する浸漬ノズル6が配置され
る。このようにした連続鋳造鋳型4内での溶鋼偏流の発
生の有無を診断するために、連続鋳造鋳型4の長辺幅方
向の中心に対して一方の側に埋め込まれた熱電対により
計測された時系列の温度情報から得られた時系列情報
と、他方の側に埋め込まれた熱電対により計測された時
系列の温度情報から得られた時系列情報とに基づいて、
それぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、ア
トラクタを再構成して、それらアトラクタに基づいて2
変数のリカレンスプロットを作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造鋳型内に
注入される溶鋼の流動状態、具体的には溶鋼偏流の発生
の有無を診断するのに好適な連続鋳造鋳型内における溶
鋼流動状態の診断装置、方法、コンピュータプログラ
ム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】図9に示すように、連続鋳造において
は、取鍋1からタンディッシュ2へと供給された溶鋼3
が連続鋳造鋳型4へと注入される。タンディッシュ2か
ら連続鋳造鋳型4への溶鋼注入は、タンディッシュ2の
底部に設けられたスライディングノズル5の下部に位置
する浸漬ノズル6の先端を連続鋳造鋳型4内の溶鋼3に
浸漬した状態で行われる。
【0003】スライディングノズル5の下部に位置する
浸漬ノズル6は連続鋳造鋳型4の中央部に配置され、タ
ンディッシュ2からの溶鋼3はスライディングノズル5
を介して浸漬ノズル6内を流下し左右一対の吐出孔7か
ら連続鋳造鋳型4内に注入される。浸漬ノズル6の吐出
孔7から吐出された溶鋼3は、凝固シェル8に衝突した
後、同図の矢印で表されるように上昇流と下降流とに分
流される。
【0004】定常時では、浸漬ノズル6の左右の吐出孔
7から吐出される溶鋼量はほぼ均等になっている(図9
の一方の連続鋳造鋳型4を参照)が、場合によっては、
左右の吐出孔7から吐出される溶鋼量が左右で不均等と
なる溶鋼偏流が生じることがある(図9の他方の連続鋳
造鋳型4を参照)。
【0005】かかる溶鋼偏流が生じる原因としては、浸
漬ノズル6の内面等にアルミナ等による付着物が付着し
たり、溶鋼流によって左右の吐出孔7が溶損して形状が
不均一となったりすることが挙げられる。また、スライ
ディングバルブ5の構造上、溶鋼3が浸漬ノズル6内の
中央を流下せず、左右いずれかに偏って流下することが
挙げられる。
【0006】上記のような理由により連続鋳造鋳型4内
で溶鋼偏流が生じると、溶鋼量の多い側では、凝固シェ
ル8への衝突力が大きく、溶鋼3が凝固シェル8の内面
に沿って上方及び下方に勢いよく分流することになる。
勢いの強い上昇流は、湯面盛り上がりを生起して湯面上
のフラックスが連続鋳造鋳型4の内壁面と凝固シェル8
との間に供給されるのを阻害し、凝固シェル8の形成が
不均一となりやすく、鋳造される鋳片の湯じわや割れ等
の原因となってしまう。また、勢いの強い下降流は、溶
鋼3の深くまで達して非金属介在物の浮上を妨げ、鋳片
の非金属介在物性欠陥をもたらす等の原因となってしま
う。
【0007】一方、溶鋼量の少ない側では、凝固シェル
8への衝突力が小さく、溶鋼3が凝固シェル8の内面に
沿って上方及び下方に分流する力は弱い。上昇流及び下
降流の勢いが弱いと、吐出孔7内の溶鋼流によどみが発
生しやすく、アルミナ等の付着によりノズル閉塞等の原
因となってしまう。
【0008】以上述べたように連続鋳造鋳型4内におい
て溶鋼偏流が生じると、連続鋳造の操業に支障があるば
かりではなく、鋳片の品質悪化を招き、好ましくないた
め、溶鋼偏流の発生の有無を検知する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】連続鋳造鋳型4内は非
常に高温であり、連続鋳造鋳型4内における溶鋼3の流
動状態を直接観察することは不可能である。そこで、連
続鋳造鋳型4内の左右の湯面レベル差を測定して比較し
たり、連続鋳造鋳型4に埋め込まれた熱電対により左右
の温度差を測定して比較したりすることにより、溶鋼偏
流の発生の有無を検知することが行われている。しかし
ながら、湯面レベルや温度は瞬時に変動するものである
ため、それらを測定して比較することは難しく、溶鋼偏
流の発生の有無を的確に検知しえないことが多い。
【0010】本発明は上記のような点に鑑みてなされた
ものであり、連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態、具体
的には溶鋼偏流の発生の有無を的確に診断できるように
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような点
に鑑みてなされたものであり、本発明の連続鋳造鋳型内
における溶鋼流動状態の診断装置は、一対の長辺と一対
の短辺とを有する平面断面形状とされ、その中央に両短
辺方向に溶鋼を吐出する浸漬ノズルが配置される連続鋳
造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断するための連続鋳造
鋳型内における流動状態診断装置であって、上記連続鋳
造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側に埋め込ま
れた第1の温度検出手段により計測された時系列の温度
情報から得られた時系列情報と、他方の側に埋め込まれ
た第2の温度検出手段により計測された時系列の温度情
報から得られた時系列情報とに基づいて、それぞれ所定
の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アトラクタを再
構成するアトラクタ作成手段と、上記アトラクタに基づ
いて、2変数のリカレンスプロットを作成するリカレン
スプロット作成手段と、上記リカレンスプロットに基づ
いて、上記連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断す
る診断手段とを備えた点に特徴を有する。
【0012】本発明の他の連続鋳造鋳型内における溶鋼
流動状態の診断装置は、一対の長辺と一対の短辺とを有
する平面断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼
を吐出する浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での
溶鋼の流動状態を診断するための連続鋳造鋳型内におけ
る流動状態診断装置であって、上記連続鋳造鋳型の長辺
幅方向の中心に対して一方の側に埋め込まれた第1の温
度検出手段により計測された時系列の温度情報から得ら
れた時系列情報と、他方の側に埋め込まれた第2の温度
検出手段により計測された時系列の温度情報から得られ
た時系列情報とに基づいて、それぞれ所定の次元を有す
る遅延ベクトルを生成し、アトラクタを再構成するアト
ラクタ作成手段と、上記いずれか一方のアトラクタ上の
基準時刻での点の周囲に存在する他方のアトラクタ上の
近傍点が、上記基準時刻から所定時間推移後での点の周
囲にいくつ存在するかの割合を評価指標として求める評
価指標演算手段と、上記評価指標に基づいて、上記連続
鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断する診断手段とを
備えた点に特徴を有する。
【0013】本発明の連続鋳造鋳型内における流動状態
診断方法は、一対の長辺と一対の短辺とを有する平面断
面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出する
浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動
状態を診断するための連続鋳造鋳型内における流動状態
診断方法であって、上記連続鋳造鋳型の長辺幅方向の中
心に対して一方の側に埋め込まれた第1の温度検出手段
により計測された時系列の温度情報から得られた時系列
情報と、他方の側に埋め込まれた第2の温度検出手段に
より計測された時系列の温度情報から得られた時系列情
報とに基づいて、それぞれ所定の次元を有する遅延ベク
トルを生成し、アトラクタを再構成するアトラクタ作成
手順と、上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレン
スプロットを作成するリカレンスプロット作成手順と、
上記リカレンスプロットに基づいて、上記連続鋳造鋳型
内での溶鋼の流動状態を診断する診断手順とを有する点
に特徴を有する。
【0014】本発明の他の連続鋳造鋳型内における溶鋼
流動状態の診断方法は、一対の長辺と一対の短辺とを有
する平面断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼
を吐出する浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での
溶鋼の流動状態を診断するための連続鋳造鋳型内におけ
る流動状態診断方法であって、上記連続鋳造鋳型の長辺
幅方向の中心に対して一方の側に埋め込まれた第1の温
度検出手段により計測された時系列の温度情報から得ら
れた時系列情報と、他方の側に埋め込まれた第2の温度
検出手段により計測された時系列の温度情報から得られ
た時系列情報とに基づいて、それぞれ所定の次元を有す
る遅延ベクトルを生成し、アトラクタを再構成するアト
ラクタ作成手順と、上記いずれか一方のアトラクタ上の
基準時刻での点の周囲に存在する他方のアトラクタ上の
近傍点が、上記基準時刻から所定時間推移後での点の周
囲にいくつ存在するかの割合を評価指標として求める評
価指標演算手順と、上記評価指標に基づいて、上記連続
鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断する診断手順とを
有する点に特徴を有する。
【0015】本発明のコンピュータプログラムは、一対
の長辺と一対の短辺とを有する平面断面形状とされ、そ
の中央に両短辺方向に溶鋼を吐出する浸漬ノズルが配置
される連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断するた
めのコンピュータプログラムであって、上記連続鋳造鋳
型の長辺幅方向の中心に対して一方の側に埋め込まれた
第1の温度検出手段により計測された時系列の温度情報
から得られた時系列情報と、他方の側に埋め込まれた第
2の温度検出手段により計測された時系列の温度情報か
ら得られた時系列情報とに基づいて、それぞれ所定の次
元を有する遅延ベクトルを生成し、アトラクタを再構成
するアトラクタ作成処理と、上記アトラクタに基づい
て、2変数のリカレンスプロットを作成するリカレンス
プロット作成処理と、上記リカレンスプロットに基づい
て、上記連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断する
診断処理とをコンピュータに実行させる点に特徴を有す
る。
【0016】本発明の他のコンピュータプログラムは、
一対の長辺と一対の短辺とを有する平面断面形状とさ
れ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出する浸漬ノズル
が配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断
するためのコンピュータプログラムであって、上記連続
鋳造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側に埋め込
まれた第1の温度検出手段により計測された時系列の温
度情報から得られた時系列情報と、他方の側に埋め込ま
れた第2の温度検出手段により計測された時系列の温度
情報から得られた時系列情報とに基づいて、それぞれ所
定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アトラクタを
再構成するアトラクタ作成処理と、上記いずれか一方の
アトラクタ上の基準時刻での点の周囲に存在する他方の
アトラクタ上の近傍点が、上記基準時刻から所定時間推
移後での点の周囲にいくつ存在するかの割合を評価指標
として求める評価指標演算処理と、上記評価指標に基づ
いて、上記連続鋳造鋳型内での溶鋼の流動状態を診断す
る診断処理とをコンピュータに実行させる点に特徴を有
する。
【0017】本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶
媒体は、上記コンピュータプログラムを格納した点に特
徴を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置、方
法、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取
り可能な記憶媒体の実施の形態について説明する。な
お、以下では、図9で説明した構成要素には同一の符号
を付して説明する。
【0019】(第1の実施の形態)図1には、本実施の
形態の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置
の概略構成を示す。101は逆問題解析部であり、連続
鋳造鋳型4に埋め込まれた熱電対により計測された時系
列の温度情報から、逆問題解析により該熱電対位置に対
応する連続鋳造鋳型4の稼動面での時系列の熱流束情報
を求める。
【0020】ここで、図2を参照して、連続鋳造鋳型4
に埋め込まれた熱電対について説明する。図2(A)に
示すように、連続鋳造鋳型4は一対の長辺4aと一対の
短辺4bとを有する平面断面形状とされており、その中
央に浸漬ノズル6が配置される。浸漬ノズル6には、連
続鋳造鋳型4の両短辺4b方向に溶鋼を吐出する一対の
吐出孔7が形成されている。
【0021】図2(A)、(B)に示すように、連続鋳
造鋳型4のある高さ位置(鋳造方向位置)において、一
方の長辺4a側の面(「F面」と称する)には、長辺幅
方向の中心(図中Y線)を挟んで対称的に配置された複
数の熱電対F1、F3、F5、F7、F9、F11が埋
め込まれている。同様に、他方の長辺4a側の面(「L
面」と称する)には、長辺幅方向の中心(図中Y線)を
挟んで対称的に配置された複数の熱電対L1、L3、L
5、L7、L9、L11が埋め込まれている。
【0022】また、連続鋳造鋳型4のF面及びL面に
は、上記の高さ位置とは異なる一又は複数の高さ位置に
も、同様に熱電対F2、F4、F6、F8、F10、F
12、熱電対L2、L4、L6、L8、L10、L12
が埋め込まれている。
【0023】さらに、図2(C)、(D)に示すよう
に、一方の短辺4b側の面(「S面」と称する)には、
短辺幅方向の中心に配置された熱電対S12が埋め込ま
れている。同様に、他方の短辺4b側の面(「N面」と
称する)には、短辺幅方向の中心に配置された熱電対N
12が埋め込まれている。これら熱電対S12、N12
も、図では1個ずつしか示さないが、上記各高さ位置の
熱電対F1〜F11、L1〜L11に対応して連続鋳造
鋳型4の適当な高さ位置に配置されている。
【0024】図1に説明を戻して、102はアトラクタ
作成部であり、上記長辺幅方向の中心に対して一方の側
(「S側」と称する)の熱電対F7、F9、F11、L
7、L9、L11、S12を用いて上記逆問題解析部1
01により算出された時系列の熱流束情報に基づいて、
所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アトラクタ
と呼ばれる軌道を再構成する。また、上記長辺幅方向の
中心に対して他方の側(「N側」と称する)の熱電対F
1、F3、F5、L1、L3、L5、N12を用いて上
記逆問題解析部101により算出された時系列の熱流束
情報に基づいて、所定の次元を有する遅延ベクトルを生
成し、アトラクタと呼ばれる軌道を再構成する。
【0025】103はリカレンスプロット作成部であ
り、上記アトラクタ作成部102により再構成されたS
側のアトラクタ及びN側のアトラクタに基づいて、2変
数のリカレンスプロット、すなわちS側の熱流束分布及
びN側の熱流束分布を変数とするリカレンスプロットを
作成する。
【0026】104は診断部であり、上記リカレンスプ
ロット作成部103により作成された2変数のリカレン
スプロットに基づいて、連続鋳造鋳型4内での溶鋼の流
動状態、具体的には溶鋼偏流の発生の有無を診断する。
【0027】以下、図3のフローチャートを参照して、
本実施の形態の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の
診断処理について説明する。まず、逆問題解析部101
において、所定の高さ位置の熱電対F1〜F11、L1
〜L11、S12、N12の組により計測された時系列
の温度情報から、逆問題解析により、各熱電対F1〜F
11、L1〜L11、S12、N12位置に対応する連
続鋳造鋳型4の稼動面での時系列の熱流束情報を求める
(ステップS301)。
【0028】逆問題解析では、熱電対F1を例にして説
明すると、熱電対F1、熱電対F1が埋め込まれた連続
鋳造鋳型4等を含む系を対象にした所定の方程式(偏微
分方程式等)と、熱電対F1位置に対応する連続鋳造鋳
型4の稼動面での熱流束の仮定値とを用いて、熱電対F
1位置での温度を算出する。そして、その算出した熱電
対F1位置での温度と、熱電対F1により実際に計測さ
れた温度との誤差が所定の値より小さくなるように上記
熱流束の仮定値を修正し、熱電対F1位置での温度の算
出を繰り返す。その結果、算出した熱電対F1位置での
温度と、熱電対F1により実際に計測された温度との誤
差が所定の値より小さくなったときの熱流束の仮定値
を、熱電対F1位置に対応する連続鋳造鋳型4の稼動面
での熱流束値とする。
【0029】また、例えば、下記の数1に示す式
(1)、(2)に基づいて、熱電対F1位置に対応する
連続鋳造鋳型4の稼動面での熱流束を算出する。
【0030】
【数1】
【0031】上記式(1)は非定常の熱伝導方程式であ
る。式(1)に対して所定の演算等を施すと、式(2)
に示すような積分境界方程式になる。式(2)におい
て、Gは共役方程式の解、uはスカラー量(本例の場
合、温度)、∂u/∂nはスカラー勾配(本例の場合、
熱流束)である。
【0032】上記式(2)において、左辺は熱電対F1
位置に対応する連続鋳造鋳型4の稼動面に関する積分で
あり、右辺は所定の既知境界面、例えば熱電対F1位置
を含む面に関する積分である。したがって、熱電対F1
での計測温度に基づいて、式(2)の右辺の各値が求め
られ、その求められた値から式(2)の左辺のスカラー
勾配∂u/∂n(熱電対F1位置に対応する連続鋳造鋳
型4の稼動面での熱流束)が求められる。
【0033】なお、上記所定の高さ位置の熱電対F1〜
F11、L1〜L11、S12、N12の組をどのよう
にして決めるかについてであるが、高さ方向(鋳造方
向)に熱電対F1〜F11、L1〜L11、S12、N
12の組が複数配置されている場合に、各熱電対F1〜
F11、L1〜L11、S12、N12が最高温度を示
す組を対象とすればよい。このように最高温度を示す熱
電対F1〜F11、L1〜L11、S12、N12で
は、連続鋳造鋳型4内の温度変動すなわち流動状態が最
も直接的に反映されているといえ、凝固シェル8や上方
の空気層による影響が小さい。
【0034】なお、通常は、ある高さ位置の熱電対F1
〜F11、L1〜L11、S12、N12すべてが最高
温度を示すことがほとんどであるが、例えば、一部の熱
電対はある高さ位置で最高温度を示し、残りの熱電対は
別の高さ位置で最高温度を示すような場合は、最高温度
を示す熱電対の数が多い高さ位置の熱電対F1〜F1
1、L1〜L11、S12、N12の組を対象とした
り、各高さ位置から最高温度を示す熱電対F1〜F1
1、L1〜L11、S12、N12をそれぞれ選び出し
てその組を対象としたりしてもよい。
【0035】図4には、実際の連続鋳造鋳型4における
実績例であり、溶鋼偏流が発生していることが分かって
いる鋳造長さ(≒鋳造時間)において、熱電対F1〜F
11、L1〜L11、S12、N12を用いて得られた
熱流束情報を示す。同図に示すように、連続鋳造鋳型4
内で溶鋼偏流が発生している場合、長辺幅方向の中心を
挟んで対称的に配置された熱電対間で熱流束が互いに増
減する方向に変動する。本例の場合、特に熱電対F1/
F11、L1/L11で熱流束が大きな割合で互いに増
減する方向に変動しており、熱流束の大きなN側(熱電
対F1、L1のある側)では溶鋼量が多くなっているの
に対して、熱流束の小さなS側(熱電対F11、L11
のある側)ではS側の溶鋼量が少なくなっているといえ
る。
【0036】図3のフローチャートに説明を戻して、次
にアトラクタ作成部102において、上記長辺幅方向の
中心に対して一方の側(S側)の熱電対F7、F9、F
11、L7、L9、L11、S12を用いて上記逆問題
解析部101により算出された時系列の熱流束情報に基
づいて、所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、ア
トラクタと呼ばれる軌道を再構成する。また、上記長辺
幅方向の中心に対して他方の側(N側)の熱電対F1、
F3、F5、L1、L3、L5、N12を用いて上記逆
問題解析部101により算出された時系列の熱流束情報
に基づいて、所定の次元を有する遅延ベクトルを生成
し、アトラクタと呼ばれる軌道を再構成する(ステップ
S302)。
【0037】すなわち、アトラクタ作成部102は、N
側の熱電対F5、F3、F1、N12、L1、L3、L
5の熱流束情報から、下記の数2に示すように、対象と
する現象の2倍以上の次元mを持つ遅延ベクトルv
N(t)を作成する。同様に、逆問題解析部101により
算出されたS側の熱電対F7、F9、F11、S12、
L11、L9、L7の熱流束情報から、下記の数2に示
すように、対象とする現象の2倍以上の次元mを持つ遅
延ベクトルvS(t)を作成する。なお、x(t)は時刻t
における熱流束、τは時間遅れ間隔である。
【0038】
【数2】
【0039】続いて、遅延ベクトルvN(t)、vS(t)を
所定の次元を有する位相空間にそれぞれ写像する。この
写像した遅延ベクトルvN(t)、vS(t)の時間推移によ
る軌道を作成することによりアトラクタを再構成する。
【0040】次に、リカレンスプロット作成部103に
おいて、上記アトラクタ作成部102により再構成され
たS側のアトラクタ及びN側のアトラクタに基づいて、
2変数のリカレンスプロット、すなわちS側の熱流束分
布及びN側の熱流束分布を変数とするリカレンスプロッ
トを作成する(ステップS303)。リカレンスプロッ
トとは再構成されたアトラクタの非定常挙動を2次元表
示したものであり、ここで作成するリカレンスプロット
は、リカレンスプロットを2変数に拡張したもので、以
下では「相互リカレンスプロット」と称する。
【0041】具体的には、一方の変数の再構成アトラク
タ上にある現在時刻点から所定の範囲内にあるの近傍点
を、他方の変数の再構成アトラクタ上から検索する。そ
の結果、検索された近傍点の時刻を、横軸を現在時刻、
縦軸を上記近傍点の時刻として2次元表示することによ
り、2変数の相互相関性を表す相互リカレンスプロット
を作成する。
【0042】図5には、上記図4で述べたのと同じ連続
鋳造鋳型4での実績例であり、S側の熱流束分布及びN
側の熱流束分布を変数とする相互リカレンスプロットを
示す。
【0043】次に、診断部104において、上記リカレ
ンスプロット作成部103により作成された相互リカレ
ンスプロットに基づいて、連続鋳造鋳型4内での溶鋼の
流動状態の健全性、具体的には溶鋼偏流の発生の有無を
診断する(ステップS304)。
【0044】具体的には、S側の熱流束分布及びN側の
熱流束分布を変数とする相互リカレンスプロットを考え
ると、S側の熱流束分布及びN側の熱流束分布の類似性
が大きければ、相互リカレンスプロット上では対角線
(現在時刻と近傍点の時刻とが同じ点の集合)近傍に平
行な線分が密集して現れる。逆に、連続鋳造鋳型4内で
溶鋼偏流が発生して、S側の熱流束分布及びN側の熱流
束分布に乖離が生じると、相互リカレンスプロット上で
は対角線近傍に平行な線分がほとんど存在しなくなる。
【0045】図5に示す相互リカレンスプロットでは、
中央部分(鋳造長さ45[m]付近)で対角線に平行な線
分がほとんど存在しておらず、対角線上両側が白抜き状
態となっている。すなわち、その白抜き部分ではS側の
熱流束分布及びN側の熱流束分布についての類似性がな
く、連続鋳造鋳型4内で溶鋼偏流が発生していると判断
することができる。
【0046】以上述べたように本実施の形態において
は、S側の熱流束分布及びN側の熱流束分布を変数とす
るリカレンスプロットを作成し、そのリカレンスプロッ
トに基づいて連続鋳造鋳型4内での溶鋼偏流の発生の有
無を診断するようにしたので、溶鋼偏流の発生の有無を
的確に診断することができる。
【0047】すなわち、図4にも示したように、溶鋼偏
流が発生した場合、長辺幅方向の中心を挟んで配置され
た熱電対間で熱流束が互いに増減する方向に変動するこ
とから、上記従来例で述べたようにS側及びN側での温
度を測定して比較し、そういった変動を捉えることによ
り溶鋼偏流の発生の有無を診断することも可能である。
しかしながら、図4に示すように瞬間を捉えた関係から
は明確に理解できるが、実際には温度等は瞬時に変動す
るものであり、それらを比較した上で上記のような変動
を捉えることは難しく、溶鋼偏流の発生の有無を的確に
検知しえないことが多い。
【0048】それに対して、S側の熱流束分布及びN側
の熱流束分布を変数とするリカレンスプロットを作成す
ることにより、長辺幅方向の中心を挟んで配置された熱
電対間で熱流束が互いに増減するといった変動を精度よ
く捉えることができ、溶鋼偏流の発生の有無を的確に診
断することが可能となるものである。
【0049】(第2の実施の形態)図6には、本実施の
形態の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置
の概略構成を示す。なお、同図において、逆問題解析部
101及びアトラクタ作成部102については、上記第
1の実施の形態で説明したものと同じである。また、連
続鋳造鋳型4に埋め込まれた熱電対F1〜F11、L1
〜L11、S12、N12の配置等についても上記第1
の実施の形態と同様であり、以下では詳細な説明を省略
する。
【0050】603は評価指標演算部であり、上記アト
ラクタ作成部102により再構成されたS側及びN側の
いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周囲に
存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準時刻
から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在するかの
割合を評価指標として求める。
【0051】評価対象の状態の挙動、具体的には連続鋳
造鋳型4内でのS側及びN側への溶鋼の流動状態の挙動
をΔtの時間スケールで観察したときに、時間発展の様
子が決定論的、すなわちある法則性に支配されて推移す
るようにみえるということは、図7に示すように、再構
成された軌道群の近接した部分がΔt後に同じように近
傍した部分に移されることを意味する。
【0052】そこで、評価指標演算部603では、S側
及びN側のいずれか一方のアトラクタ上の現時刻点x
(t)を中心とする直径εの超球を考え、そこに含まれる
他方のアトラクタ上の近傍点が、Δt時刻後のx(t+
Δt)を中心とする直径εの超球にいくつ存在するかの
割合を評価指標として定義する。
【0053】具体的には、評価指標は、評価指標=(Δ
t時刻後に生き残った近傍点数)/(時刻tにおける近
傍点数)により表される。この評価指標は、2変数(S
側の熱流束分布及びN側の熱流束分布)の時系列変化の
法則性依存度を表し、法則性依存度が大きいほど1に近
づき、ランダム状態となるほど0に近づく。例えば、図
7において、評価指標は3/5=0.6となる。
【0054】604は診断部であり、上記評価指標演算
部603により求められた評価指標に基づいて、連続鋳
造鋳型4内での溶鋼の流動状態、具体的には溶鋼偏流の
発生の有無を診断する。
【0055】図8には、上記図4及び図5で述べたのと
同じ連続鋳造鋳型4での実績例であり、鋳造長さと評価
指標との関係を示す。S側の熱流束分布及びN側の熱流
束分布の類似性が大きければ、評価指標は1に近くなる
が、連続鋳造鋳型4内で溶鋼偏流が発生して、S側の熱
流束分布及びN側の熱流束分布に乖離が生じると、評価
指標は低くなる。図8では、鋳造長さ45[m]付近で評
価指標が低下しており、S側の熱流束分布及びN側の熱
流束分布についての類似性がなく、連続鋳造鋳型4内で
溶鋼偏流が発生していると判断することができる。
【0056】以上述べたように本実施の形態において
は、S側の熱流束分布及びN側の熱流束分布の類似性を
表す評価指標を求め、その評価指標に基づいて連続鋳造
鋳型4内での溶鋼偏流の発生の有無を診断するようにし
たので、溶鋼偏流の発生の有無を的確に診断することが
できる。
【0057】なお、上記実施の形態では、連続鋳造鋳型
4のS側及びN側にそれぞれ複数の熱電対を埋め込んだ
例を説明したが、その位置や数は限定されるものではな
い。また、例えば、S側及びN側にそれぞれ1つの熱電
対を埋め込んだ場合でも本発明は適用可能である。さら
に、S側の熱電対及びN側の熱電対は、連続鋳造鋳型4
の長辺幅方向の中心を挟んで対称的に配置されるのが望
ましいが、対称的に配置されていない場合にも本発明は
適用可能である。
【0058】また、上記実施の形態では、逆問題解析に
より連続鋳造鋳型4の稼動面での時系列の熱流束情報を
求めるようにしたが、逆問題解析により連続鋳造鋳型4
の稼動面での時系列の温度情報を求めるようにしてもよ
い。また、各熱電対により検出された時系列の温度情報
をそのまま、或いは、温度情報に対して時間遅れ等を考
慮した補正処理を行うようにして時系列情報を得るよう
にしてもよい。
【0059】(その他の実施の形態)上述した実施の形
態の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置
は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、RO
M等により構成され、RAMやROMに記憶されたプロ
グラムが動作することによって実現される。したがっ
て、コンピュータに対し、上記実施の形態の機能を実現
するためのプログラム自体が上述した実施の形態の機能
を実現することになり、そのプログラム自体は本発明を
構成する。
【0060】また、上記プログラムをコンピュータに供
給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した
記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコード
を記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディ
スク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、
CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、
ROM等を用いることができる。
【0061】また、コンピュータが供給されたプログラ
ムを実行することにより、上述の実施の形態の機能が実
現されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータに
おいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)
或いは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の
実施の形態の機能が実現される場合にもかかるプログラ
ムドは本発明の実施の形態に含まれることはいうまでも
ない。
【0062】さらに、供給されたプログラムがコンピュ
ータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能
拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプロ
グラムの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張
ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部
を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が
実現される場合にも本発明に含まれることはいうまでも
ない。
【0063】なお、上記実施の形態において示した各部
の形状及び構造は、何れも本発明を実施するにあたって
の具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらに
よって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはなら
ないものである。すなわち、本発明はその精神、又はそ
の主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施す
ることができる。例えば、本発明をネットワーク環境で
利用すべく、全部或いは一部のプログラムが他のコンピ
ュータで実行されるようになっていてもかまわない。
【0064】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、連続
鋳造鋳型内での溶鋼偏流の発生の有無を的確に診断する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の連続鋳造鋳型内における溶
鋼流動状態の診断装置の概略構成を示すブロック図であ
る。
【図2】連続鋳造鋳型4に埋め込まれた熱電対について
説明するための図である。
【図3】第1の実施の形態の連続鋳造鋳型内における溶
鋼流動状態の診断処理を説明するためのフローチャート
である。
【図4】熱電対F1〜F11、L1〜L11、S12、
N12を用いて得られた熱流束情報の実績例を示す図で
ある。
【図5】S側の熱流束分布及びN側の熱流束分布を変数
とするリカレンスプロットの実績例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態の連続鋳造鋳型内における溶
鋼流動状態の診断装置の概略構成を示すブロック図であ
る。
【図7】アトラクタ近傍点の時間推移を説明するための
図である。
【図8】鋳造長さと評価指標との関係の実績例を示す図
である。
【図9】連続鋳造設備の概要を説明するための模式図で
ある。
【符号の説明】
4 連続鋳造鋳型 4a 長辺 4b 短辺 6 浸漬ノズル 101 逆問題解析部 102 アトラクタ作成部 103 リカレンスプロット作成部 104 診断部 603 評価指標演算部 604 診断部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 貴洋 大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内 (72)発明者 田谷 利之 大分市大字西ノ洲1番地 新日本製鐵株式 会社大分製鐵所内 Fターム(参考) 2F056 WF03 WF08 4E004 MA05 MB20

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の長辺と一対の短辺とを有する平面
    断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出す
    る浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の流
    動状態を診断するための連続鋳造鋳型内における流動状
    態診断装置であって、 上記連続鋳造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側
    に埋め込まれた第1の温度検出手段により計測された時
    系列の温度情報から得られた時系列情報と、他方の側に
    埋め込まれた第2の温度検出手段により計測された時系
    列の温度情報から得られた時系列情報とに基づいて、そ
    れぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アト
    ラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成手段と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上記連続鋳造鋳型
    内での溶鋼の流動状態を診断する診断手段とを備えたこ
    とを特徴とする連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の
    診断装置。
  2. 【請求項2】 一対の長辺と一対の短辺とを有する平面
    断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出す
    る浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の流
    動状態を診断するための連続鋳造鋳型内における流動状
    態診断装置であって、 上記連続鋳造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側
    に埋め込まれた第1の温度検出手段により計測された時
    系列の温度情報から得られた時系列情報と、他方の側に
    埋め込まれた第2の温度検出手段により計測された時系
    列の温度情報から得られた時系列情報とに基づいて、そ
    れぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アト
    ラクタを再構成するアトラクタ作成手段と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算手段と、 上記評価指標に基づいて、上記連続鋳造鋳型内での溶鋼
    の流動状態を診断する診断手段とを備えたことを特徴と
    する連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置。
  3. 【請求項3】 上記周囲として上記基準時刻での点及び
    上記所定時間推移後での点を中心とする一定直径の超球
    を考えることを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造鋳
    型内における溶鋼流動状態の診断装置。
  4. 【請求項4】 上記第1の温度検出手段により計測され
    た時系列の温度情報と、上記第2の温度検出手段により
    計測された時系列の温度情報とから、逆問題解析により
    上記時系列情報として各温度検出手段に対応する連続鋳
    造鋳型の稼動面での時系列の熱流束情報或いは温度情報
    を求める逆問題解析手段を備えたことを特徴とする請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型内におけ
    る溶鋼流動状態の診断装置。
  5. 【請求項5】 上記一対の長辺側の面のうち少なくとも
    いずれか片面には、上記長辺幅方向の中心に対して一方
    の側に上記第1の温度検出手段としての一又は複数の熱
    電対と、上記他方の側に上記第2の温度検出手段として
    の一又は複数の熱電対とが配置されていることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型
    内における溶鋼流動状態の診断装置。
  6. 【請求項6】 上記一方の側の熱電対と上記他方の側の
    熱電対とは上記長辺幅方向の中心を挟んで対称的に配置
    されていることを特徴とする請求項5に記載の連続鋳造
    鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置。
  7. 【請求項7】 上記長辺幅方向の中心に対して一方の側
    の短辺側の面には、上記第1の温度検出手段としての熱
    電対が短辺幅方向の中心に配置され、他方の側の短辺側
    の面には、上記第2の温度検出手段としての熱電対が短
    辺幅方向の中心に配置されていることを特徴とする請求
    項1〜6のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型内におけ
    る溶鋼流動状態の診断装置。
  8. 【請求項8】 上記診断手段は、上記連続鋳造鋳型内で
    の溶鋼の流動状態として溶鋼偏流の発生の有無を診断す
    ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断装置。
  9. 【請求項9】 一対の長辺と一対の短辺とを有する平面
    断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出す
    る浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の流
    動状態を診断するための連続鋳造鋳型内における流動状
    態診断方法であって、 上記連続鋳造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側
    に埋め込まれた第1の温度検出手段により計測された時
    系列の温度情報から得られた時系列情報と、他方の側に
    埋め込まれた第2の温度検出手段により計測された時系
    列の温度情報から得られた時系列情報とに基づいて、そ
    れぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アト
    ラクタを再構成するアトラクタ作成手順と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成手順と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上記連続鋳造鋳型
    内での溶鋼の流動状態を診断する診断手順とを有するこ
    とを特徴とする連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の
    診断方法。
  10. 【請求項10】 一対の長辺と一対の短辺とを有する平
    面断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出
    する浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の
    流動状態を診断するための連続鋳造鋳型内における流動
    状態診断方法であって、 上記連続鋳造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側
    に埋め込まれた第1の温度検出手段により計測された時
    系列の温度情報から得られた時系列情報と、他方の側に
    埋め込まれた第2の温度検出手段により計測された時系
    列の温度情報から得られた時系列情報とに基づいて、そ
    れぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アト
    ラクタを再構成するアトラクタ作成手順と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算手順と、 上記評価指標に基づいて、上記連続鋳造鋳型内での溶鋼
    の流動状態を診断する診断手順とを有することを特徴と
    する連続鋳造鋳型内における溶鋼流動状態の診断方法。
  11. 【請求項11】 一対の長辺と一対の短辺とを有する平
    面断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出
    する浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の
    流動状態を診断するためのコンピュータプログラムであ
    って、 上記連続鋳造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側
    に埋め込まれた第1の温度検出手段により計測された時
    系列の温度情報から得られた時系列情報と、他方の側に
    埋め込まれた第2の温度検出手段により計測された時系
    列の温度情報から得られた時系列情報とに基づいて、そ
    れぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アト
    ラクタを再構成するアトラクタ作成処理と、 上記アトラクタに基づいて、2変数のリカレンスプロッ
    トを作成するリカレンスプロット作成処理と、 上記リカレンスプロットに基づいて、上記連続鋳造鋳型
    内での溶鋼の流動状態を診断する診断処理とをコンピュ
    ータに実行させることを特徴とするコンピュータプログ
    ラム。
  12. 【請求項12】 一対の長辺と一対の短辺とを有する平
    面断面形状とされ、その中央に両短辺方向に溶鋼を吐出
    する浸漬ノズルが配置される連続鋳造鋳型内での溶鋼の
    流動状態を診断するためのコンピュータプログラムであ
    って、 上記連続鋳造鋳型の長辺幅方向の中心に対して一方の側
    に埋め込まれた第1の温度検出手段により計測された時
    系列の温度情報から得られた時系列情報と、他方の側に
    埋め込まれた第2の温度検出手段により計測された時系
    列の温度情報から得られた時系列情報とに基づいて、そ
    れぞれ所定の次元を有する遅延ベクトルを生成し、アト
    ラクタを再構成するアトラクタ作成処理と、 上記いずれか一方のアトラクタ上の基準時刻での点の周
    囲に存在する他方のアトラクタ上の近傍点が、上記基準
    時刻から所定時間推移後での点の周囲にいくつ存在する
    かの割合を評価指標として求める評価指標演算処理と、 上記評価指標に基づいて、上記連続鋳造鋳型内での溶鋼
    の流動状態を診断する診断処理とをコンピュータに実行
    させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  13. 【請求項13】 請求項11又は12に記載のコンピュ
    ータプログラムを格納したことを特徴とするコンピュー
    タ読み取り可能な記憶媒体。
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