JP7229731B2 - 疲労限度推定装置、疲労限度推定方法及び疲労限度推定プログラム - Google Patents

疲労限度推定装置、疲労限度推定方法及び疲労限度推定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、疲労限度推定装置、疲労限度推定方法及び疲労限度推定プログラムに関する。
従来より、疲労限度を推定する技術が複数知られている。疲労限度を推定する場合、金属材料等の対象物において、負荷を与える疲労損傷過程で生じる不逆的な発熱エネルギ(以下、散逸エネルギという。)を用いている。例えば、異なる負荷による複数の散逸エネルギの測定点から得られる近似線の交点に基づいて、疲労限度を推定する技術が知られている(特許文献1参照)。また、負荷と散逸エネルギとの関係を示す領域を、低温領域と高温領域とに領域分けし、低温領域における散逸エネルギの近似線と高温領域における散逸エネルギの近似線との交点を求め、当該交点から疲労限度を推定する技術も知られている(特許文献2参照)。
また、複数の散逸エネルギの測定点から得られる曲線の交点に基づいて、疲労限度を推定する技術は各種報告されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。
特開2010-223957号公報 特開2016-24056号公報
早房敬祐、中本浩章、因幡和晃、岸本喜久雄、「サーモグラフィによる回転曲げ疲労限度の評価」、エバラ時報、No.230(2011)、pp.3-6. M.P.Luong, "Infrared thermography of fatigue in metals", Proceedings of SPIE, Vol.1682, (1992),pp.222-233. F.Cura, A.E.Gallinatti,R.Sesana, "Dissipative aspects in thermographic methods", Fatigue & Fracture of Engineering Materials & Structures, Vol.35, No.12(2012), pp.1133-1147.
ところで、複数の散逸エネルギの測定点から得られる近似線を用いて疲労限度を導出する場合、領域分けされた低温領域における近似線と高温領域における近似線との交点を求め、当該交点から疲労限度を推定する。ところが、低温領域及び高温領域の各々において独立して近似線を求めるため、低温領域における近似線と高温領域における近似線とが交差せず、交点を求めることができず、疲労限度を推定することが困難な場合がある。
本開示は、複数の近似線が交差する交点を用いて疲労限度を推定する場合と比べて、高精度に疲労限度を推定することができる疲労限度推定装置、疲労限度推定方法及び疲労限度推定プログラムを提供することを目的とする。
本開示の第1態様は、
対象物に対して、大きさを複数段階に異ならせた負荷を複数回繰返し付与する付与部と、前記付与部で付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、前記対象物の表面温度の各々を検出する検出部と、前記検出部で検出された表面温度に基づいて、前記付与部で付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、散逸エネルギを導出する散逸エネルギ導出部と、負荷の複数段階の大きさに応じて予め定めた複数の境界候補の各々毎に、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギを、前記複数の境界候補の中から定めた1つの境界候補に応じた負荷以下の低温グループに属する低温散逸エネルギ群と、前記1つの境界候補に応じた前記負荷を超える高温グループに属する高温散逸エネルギ群とに分類し、前記複数の境界候補毎に前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群の少なくとも一方の散逸エネルギの変動傾向を導出する変動傾向導出部と、前記変動傾向導出部により導出された変動傾向から定まる前記複数の境界候補の各々についての散逸エネルギの値と、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギの導出値との相違に基づいて、前記複数の境界候補の各々の前記散逸エネルギの変動傾向を評価し、評価結果から定まる前記複数の境界候補のうちの最適な境界候補を、前記対象物の疲労限度に対応する負荷を示す境界として推定する推定部と、を備えた疲労限度推定装置である。
本開示の第2態様は、
前記推定部は、前記変動傾向導出部により導出された変動傾向から定まる散逸エネルギの値と、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギの導出値との差分が小さくなるに従って評価値が小さくなる評価を行い、評価値が最小の境界候補を、前記境界と推定する。
本開示の第3態様は、
前記評価値を、前記変動傾向導出部により導出された変動傾向から定まる散逸エネルギの値と、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギの導出値との差分の二乗の総和とする。
本開示の第4態様は、
前記予め定めた複数の境界候補の各々として、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギを、負荷の大きさに従って配列した場合に隣り合う散逸エネルギの各々に対応する負荷の間の負荷を定める。
本開示の第5態様は、
前記予め定めた複数の境界候補の各々として、分類される前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群各々に、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギを少なくとも3つ含むように定める。
本開示の第6態様は、
前記推定部において、前記対象物の疲労限度に対応する負荷として、前記低温散逸エネルギ群に含まれる複数の散逸エネルギの各々に対応する負荷のうちの最大負荷、又は前記高温散逸エネルギ群に含まれる複数の散逸エネルギの各々に対応する負荷のうちの最小負荷、若しくは、前記最大負荷と最小負荷との平均値を推定する。
本開示の第7態様は、
前記散逸エネルギの変動傾向は、前記散逸エネルギの変動を近似した近似関数で定まる近似線により示される
本開示の第8態様は、
前記負荷を、前記付与部で繰返し付与した負荷を示す応力振幅とする。
本開示の第9態様は、
対象物に対して、大きさを複数段階に異ならせた負荷を複数回繰返し付与し、付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、前記対象物の表面温度の各々を検出し、検出された表面温度に基づいて、前記対象物に付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、散逸エネルギを導出し、負荷の複数段階の大きさに応じて予め定めた複数の境界候補の各々毎に、前記導出された散逸エネルギを、前記複数の境界候補の中から定めた1つの境界候補に応じた負荷以下の低温グループに属する低温散逸エネルギ群と、前記1つの境界候補に応じた前記負荷を超える高温グループに属する高温散逸エネルギ群とに分類し、前記複数の境界候補毎に前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群の少なくとも一方の散逸エネルギの変動傾向を導出し、前記導出された変動傾向から定まる前記複数の境界候補の各々についての散逸エネルギの値と、前記導出された散逸エネルギの導出値との相違に基づいて、前記複数の境界候補の各々の前記散逸エネルギの変動傾向を評価し、評価結果から定まる前記複数の境界候補のうちの最適な境界候補を、前記対象物の疲労限度に対応する負荷を示す境界として推定することを含む疲労限度推定方法である。
本開示の第10態様は、
対象物に対して、大きさを複数段階に異ならせた負荷を複数回繰返し付与し、かつ付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、前記対象物の表面温度の各々を取得し、取得した表面温度に基づいて、前記対象物に付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、散逸エネルギを導出し、負荷の複数段階の大きさに応じて予め定めた複数の境界候補の各々毎に、前記導出された散逸エネルギを、前記複数の境界候補の中から定めた1つの境界候補に応じた負荷以下の低温グループに属する低温散逸エネルギ群と、前記1つの境界候補に応じた前記負荷を超える高温グループに属する高温散逸エネルギ群とに分類し、前記複数の境界候補毎に前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群の少なくとも一方の散逸エネルギの変動傾向を導出し、前記導出された変動傾向から定まる前記複数の境界候補の各々についての散逸エネルギの値と、前記導出された散逸エネルギの導出値との相違に基づいて、前記複数の境界候補の各々の前記散逸エネルギの変動傾向を評価し、評価結果から定まる前記複数の境界候補のうちの最適な境界候補を、前記対象物の疲労限度に対応する負荷を示す境界として推定することを含む処理をコンピュータに実行させる疲労限度推定プログラムである。
本開示によれば、複数の近似線が交差する交点を用いて疲労限度を推定する場合と比べて、高精度に疲労限度を推定することができる。
本開示の実施形態に係る疲労限度推定システムの概略構成の一例を示すブロック図である。 疲労限度推定装置を構成する推定装置本体のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 疲労限度推定における試験片に与える負荷に関係する負荷繰返し数と応力振幅との関係の一例を示すイメージ図である。 応力振幅と散逸エネルギとの関係の一例を示すイメージ図である。 疲労限度推定装置による疲労限度推定処理の流れを示すフローチャートである。 負荷エネルギ領域を低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補による境界パターンの一例を示すイメージ図である。 負荷エネルギ領域を低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補による境界パターンの一例を示すイメージ図である。 負荷エネルギ領域を低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補による境界パターンの一例を示すイメージ図である。 負荷エネルギ領域を低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補による境界パターンの一例を示すイメージ図である。 境界候補における残差の二乗の総和を応力振幅に対して整理して模式的に示すイメージ図である。 耐久試験で得られた破断負荷繰返し数と応力振幅との関係を示す曲線を示すイメージ図である。 試験片について、散逸エネルギの測定値を応力振幅に対して整理した結果を示すイメージ図である。 散逸エネルギの変動特性を近似した近似関数による結果の一例を示すイメージ図である。 散逸エネルギの変動特性を近似した近似関数による結果の一例を示すイメージ図である。 散逸エネルギの変動特性を近似した近似関数による結果の一例を示すイメージ図である。 散逸エネルギの変動特性を近似した近似関数による結果の一例を示すイメージ図である。
以下、図面を参照して本開示の技術を実施するための実施形態の一例を説明する。
なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。
図1は、本開示の実施形態に係る疲労限度推定システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
疲労限度推定システム10は、疲労試験機20、及び疲労限度推定装置30を含む。疲労試験機20は、試験機本体22、及びコントローラを備えている。また、疲労限度推定装置30は、推定装置本体32、及び赤外線カメラ34を備えている。疲労試験機20のコントローラ、及び赤外線カメラ34は、疲労限度推定装置30の推定装置本体32に接続されている。
疲労試験機20は、疲労限度を試験する試験片SPを取り付けて、所定の負荷を繰返して与え、疲労試験を行う。
疲労限度推定装置30は、疲労試験機20により負荷が与えられた試験片SPを赤外線撮影した画像を用いて疲労限度を推定する。
次に、疲労限度推定装置30を構成する推定装置本体32のハードウェア構成の一例を説明する。
図2は、疲労限度推定装置30を構成する推定装置本体32のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、推定装置本体32は、CPU(Central Processing Unit)321、ROM(Read Only Memory)322、RAM(Random Access Memory)323、入出力インタフェース(I/O)324、ストレージ325、及び操作表示部326の各構成を有する。各構成は、バス327を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU321は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU321は、ROM322又はストレージ325からプログラムを読み出し、RAM323を作業領域としてプログラムを実行する。CPU321は、ROM322又はストレージ325に記録されているプログラムにしたがって、疲労限度の推定処理を行う。
ROM322は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM323は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ325は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶メディアにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
操作表示部326は、例えばタッチパネル方式を採用して、操作表示部として機能する。操作表示部326は、入力機能を担う入力部として、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うようにしてもよい。また、操作表示部326は、表示機能を担う表示部として、液晶ディスプレイ等の表示装置を含み、各種の情報を表示するようにしてもよい。I/O324は、他の機器とデータやコナン度の入出力を行うためのインタフェースであり、赤外線カメラ34、及び疲労試験機20に接続される。
ここで、疲労限度の推定について説明する。
構造部材に用いられる金属材料では、金属疲労による破壊が主要な破壊要因と言われており、金属疲労による破壊を考慮した疲労設計が望まれている。疲労設計は、疲労特性を把握して行われる。疲労特性は、材料単体の疲労限度を長期間の耐久試験により取得することができる。耐久試験は、ねじり、回転曲げ、軸荷重など各種の負荷様式で実行されるが、材料単体の基本的な疲労特性は軸荷重の引張圧縮疲労限度の評価が重要であることが知られている。本開示では、引張圧縮疲労限度を疲労限度と呼び、推定の対象の一例として説明する。
近年では、疲労限度を取得するため、長期間の耐久試験に代えて、赤外線カメラを用いた疲労限度迅速推定法が知られている。疲労限度迅速推定法は、金属材料の疲労損傷過程での不可逆な発熱(散逸エネルギ)を測定し、散逸エネルギが急増する際の応力振幅(以降、散逸エネルギの急増点と呼ぶ。)から疲労限度を推定する。また、散逸エネルギの測定値には試験機の振動に起因する測定ノイズも含まれるため、疲労限度の推定では、散逸エネルギの急増点を試験者の技量に依存しない客観的な指標を用いて特定することが重要である。散逸エネルギの測定値に測定ノイズが含まれる報告は、河合亮悟、黒川悠、入江庸介、井上裕嗣、“混度変動に基づく疲労限度迅速推定法に関する研究(温度の第二高調波の発生原因)”、日本機械学会論文集、Vol.84、No.858(2018).等の文献がある。
疲労限度は、散逸エネルギqが急激に増加する際の応力振幅と、長期間の耐久試験で得られる疲労限度とで一致することが経験則として知られている。そこで、例えば、疲労試験機20を用いて散逸エネルギを測定する場合、試験片SPに付与する負荷を徐々に増加させつつ、試験片SPの表面温度分布を赤外線カメラ34で計測し、計測結果を用いて、散逸エネルギqを取得する。
図3は、疲労限度を推定する場合における、試験片SPに与える負荷に関係する負荷繰返し数と応力振幅との関係の一例を示す図である。また、図4は、応力振幅と散逸エネルギとの関係の一例を示す図である。
図3に示すように、疲労試験機20によって、試験片SPに、予め定めた負荷繰返し数Nstepで応力振幅を与え、負荷繰返し数Nstepに達する毎に応力振幅を増加させる。そして、予め定めた負荷繰返し数Nmeas(例えば、Nmeas≦Nstep)に達した際に試験片SPを赤外線カメラ34により撮影することで試験片SPの表面温度分布を所定時間連続して計測する。次に、連続して計測された複数の表面温度分布による温度情報を周波数解析し、負荷を繰返し与えた周波数の2倍の周波数における温度変動成分△Tを抽出する。抽出した温度変動成分△T、試験片SPの材料密度ρ、及び比熱cから次に示す(1)式を用いて、散逸エネルギqを導出する。そして、得られた応力振幅と散逸エネルギqの関係から、散逸エネルギqが急激に増加する際の応力振幅を疲労限度として推定する。
q=ρ・c・△T ---(1)
疲労限度として推定する散逸エネルギqが急激に増加する応力振幅は、散逸エネルギqの値が小さい状態から散逸エネルギqの値が大きい状態に移行する部分であると推定できる。このため、対象物に与える負荷である応力振幅と、その応力振幅により生じる散逸エネルギとの関係を示す領域(以下、負荷エネルギ領域という。)を、応力振幅及び散逸エネルギqが共に小さい低温領域と応力振幅及び散逸エネルギqが共に大きい高温領域に領域分けを行い、低温領域及び高温領域の各々で、応力振幅に対する散逸エネルギの変動を近似した特性の近似線を作成する。作成された2本の近似線が交差する点を散逸エネルギqの急増点として、その散逸エネルギqの急増点の応力振幅を疲労限度推定値とする。
しかし、2本の近似線を外挿して交点を求める技術では、疲労試験機20等に起因した測定ノイズ等が含まれると近似線自体が不安定になるだけでなく、交点が得られない場合も生じる。このようなことから再現性が良い結果を得ることが困難となる。より具体的には、2本の近似線が交差する交点を散逸エネルギqの急増点とすることでは、2本の近似線が交差しない場合は、疲労限度を推定できない。
そこで、本開示では、低温領域及び高温領域の各々で求めた近似線の交差の有無に拘らず、少なくとも複数の近似線が交差しない場合であっても疲労限度を推定する。本開示は、低温領域及び高温領域の各々の近似線の交点ではなく、低温領域及び高温領域の境界rの位置を最適化し、最適化された境界における応力振幅を散逸エネルギの急増点とする。
低温領域及び高温領域の境界rの位置の最適化は、例えば、次に示す第1手順から第4手順による境界決定方法に従って行われる。
第1手順は、応力振幅に対する散逸エネルギqである複数の測定点を、低温領域及び高温領域の各々に属する測定点に分類可能な全ての組み合わせを導出することである。すなわち、負荷エネルギ領域を低温領域と高温領域とに境界候補で領域分けする負荷エネルギ領域の境界パターンを、異なる複数の測定点の組み合わせによって定めることである。詳細には、応力振幅の複数段階の大きさに応じて予め定めた複数の境界候補の各々毎に、散逸エネルギを、境界候補に応じた応力振幅以下の低温グループに属する低温散逸エネルギ群と、境界候補に応じた応力振幅を超える高温グループに属する高温散逸エネルギ群とに分類する、境界候補による低温領域及び高温領域を示す境界パターンを定める。例えば、低温領域及び高温領域に少なくとも3点以上の測定点を含むように分類する場合、測定点がn点存在すると(n-5)通りの境界候補となる境界パターンとなる。
第2手順は、低温領域及び高温領域の各々における測定点の変動特性を求めることである。詳細には、第1手順で導出された複数の境界パターンの各々について、低温領域及び高温領域の各々における測定点の変動特性を近似した近似関数を求める。この近似関数を求める一例には、最小二乗法等が挙げられる。また、近似関数の一例には、一次関数、2次以上の多次関数、指数関数、累乗関数、多項式による関数及びこれらを組み合わせた関数が挙げられる。
第3手順は、低温領域及び高温領域の各々において、測定点、すなわち応力振幅に対する散逸エネルギqの値と近似関数上の近似値q’との差分を求めることである。詳細には、境界パターンで定まる低温領域及び高温領域における散逸エネルギqの値と近似関数上の近似値q’との残差の二乗の和Sの総和Sを演算する。より具体的には、次の(2)式に示すように、低温領域における散逸エネルギの測定値q(L)と、近似関数上の近似値q'(L)との残差の二乗の和S(L)を演算する。同様に、(3)式に示すように、高温領域における散逸エネルギの測定値q(H)とその近似関数上の近似値q'(H)との残差の二乗の和S(H)を演算する。そして、(4)式に示すように、低温領域における残差の二乗の和S(L)と、高温領域における残差の二乗の和S(H)とを加算した総和Sを演算する。
Figure 0007229731000001
測定点がn点存在し、1~i番目までの測定値が低温領域で、(i+1)~n番目までが高温領域とする場合、i番目の応力振幅の値と(i+1)番目の応力振幅の値の平均値を境界パターンにおける境界rの代表値とする。なお、代表値は前記平均値に限定されるものではなく、i番目の応力振幅の値、または(i+1)番目の応力振幅の値を境界rの代表値としてもよい。また、i番目の応力振幅の値から(i+1)番目の応力振幅の値までの間の何れか1つの応力振幅の値を境界rの代表値としてもよい。
第4手順は、全ての境界パターンの総和Sを評価し、最適な総和Sの境界パターンによる境界候補を境界rとして散逸エネルギqの急増点に定めることである。詳細には、第1手順における全ての境界パターンに対して、第3手順における残差の二乗の総和Sを演算し、演算された総和Sを評価し、評価結果から定まる総和Sの境界パターンによる境界候補を境界rとして散逸エネルギqの急増点に設定する。総和Sの評価の一例として、予め定めた閾値以下の総和Sによる境界パターンを、最適な総和Sの境界パターンと評価することが挙げられる。この場合、総和Sが最小となる境界パターンによる境界rを最適な総和Sの境界パターンによる境界rとすることが好ましい。また、総和Sの評価の他例として、演算された複数の総和Sのうちが最小となる総和Sの境界パターンによる境界候補を最適な総和Sの境界パターンによる境界rとしてもよい。
次に、本開示の実施形態に係る疲労限度推定システムの作用について説明する。
図5は、疲労限度推定装置30による疲労限度推定処理の流れを示すフローチャートである。
CPU321がROM322又はストレージ325から疲労限度推定プログラムを読み出して、RAM323に展開して実行することにより、疲労限度推定処理が行なわれる。
CPU321は、試験片SPの試験の実行を指示するコマンドを疲労試験機20へ出力する(ステップS100)。これにより、疲労試験機20において、試験片SPに所定周波数による所定の負荷を繰返して与えて疲労試験が行われる。なお、疲労試験機20により試験片SPに付与される負荷の負荷繰返し数Nstep、及び応力振幅は、疲労試験機20に予め設定された情報をCPU321が取得するようにしてもよく、CPU321が指示してもよい。
次に、CPU321は、応力振幅に応じて赤外線カメラ34により撮影した試験片SPの赤外線画像を取得する(ステップS102)。この場合、疲労試験機20から、負荷繰返し数Nmeasに達した際に出力される信号を受信したタイミングで、試験片SPを赤外線カメラ34で撮影することにより、応力振幅に応じて試験片SPの赤外線画像を取得することができる。これによって、試験片SPの表面温度分布を所定時間連続して計測することができる。
次に、CPU321は、応力振幅毎の散逸エネルギの測定値を導出する(ステップS104)。具体的には、応力振幅に応じて取得した試験片SPの赤外線画像に示される温度情報、すなわち、連続して計測された複数の表面温度分布による温度情報を周波数解析し、負荷を繰返し与えた周波数の2倍の周波数における温度変動成分△Tを抽出する。そして、上記(1)式を用いて、散逸エネルギqの測定値を導出する。
次に、CPU321は、上述の境界決定方法による第1手順から第4手順に従って低温領域及び高温領域の境界rの位置を最適化する。まず、CPU321は、散逸エネルギの測定値を、境界パターンにより示される負荷エネルギ領域を領域分けする複数の異なる境界候補毎に、低温領域と高温領域とのデータ群に分類する(ステップS106)。具体的には、上述の境界決定方法の第1手順で述べたように、応力振幅に対する散逸エネルギqである複数の測定点を、低温領域及び高温領域の各々に属する測定点に分類可能な全ての組み合わせを導出する。これにより、複数の境界候補の各々により低温領域及び高温領域に領域分けされる複数の境界パターンが定まる。
例えば、9個の散逸エネルギqの測定値(n=9)が得られる場合、各々少なくとも3つ以上の測定点を含むように異なる境界候補による低温領域及び高温領域の領域分けすると、図6から図9に示すように4通りの境界パターンが存在する。
図6に、低温領域に3つの測定点を含むように低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補r1による境界パターンを示す。図7は、低温領域に4つの測定点を含むように低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補r2による境界パターンを示す。図8は、低温領域に5つの測定点を含むように低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補r3による境界パターンを示す。図9は、低温領域に6つの測定点を含み、高温領域に3つの測定点を含むように低温領域及び高温領域に領域分けする境界候補r4による境界パターンを示す。
次に、CPU321は、複数の境界パターンの各々の境界候補毎に、分類された低温領域と高温領域との各々における近似関数を導出する(ステップS108)。具体的には、上述の境界決定方法の第2手順で述べたように、複数の境界パターンの各々について、低温領域及び高温領域の各々における測定点の変動特性を求める。すなわち、複数の境界候補による境界パターンの各々で領域分けされる低温領域及び高温領域の各々における応力振幅に対する散逸エネルギqの関係を近似する近似関数を求める。求めた近似関数をプロットした近似線が応力振幅に対する散逸エネルギqの変動特性を示す。
低温領域及び高温領域における近似関数の一例を次の表1に示す。表1に関数モードA~関数モードDで示されるように、各種の関数を用いることが可能である。上記境界決定方法の第2手順における近似関数は、これらの関数モードで示される関数を用いることができる。ここでは、説明を簡単にするため、高温領域の測定点の高次関数による近似の一例として、関数モードAの高温領域の近似関数は累乗関数の重ね合わせである指数関数を用いている。
Figure 0007229731000002

次に、CPU321は、複数の異なる境界候補による境界パターン毎に領域分けされた低温領域と高温領域との各々において、散逸エネルギの測定値と、近似関数の近似値との相違を導出する(ステップS110)。測定値と近似値との相違の一例には差及び比が挙げられる。具体的には、上述の境界決定方法の第3手順で述べたように、例えば、散逸エネルギの測定値と、近似関数の近似値との残差の二乗の和を導出することで、散逸エネルギqの測定値と近似関数上の近似値q’との差分を求める。
図6に示す境界候補r1による境界パターンでは、低温領域及び高温領域の各々における総和Sは、測定点における残差をs(i=測定点の位置)とする場合に、次に示す通りである。
(L)=s+s+s
(H)=s+s+s+s+s+s
同様に、境界候補r2(図7)による境界パターンでは、
(L)=s+s+s+s
(H)=s+s+s+s+s
となり、
境界候補r3(図8)による境界パターンでは、
(L)=s+s+s+s+s
(H)=s+s+s+s
となり、
境界候補r4(図9)による境界パターンでは、
(L)=s+s+s+s+s+s
(H)=s+s+s
となる。
次に、CPU321は、全ての境界パターンについて、散逸エネルギの測定値と、近似関数の近似値との相違を評価し、最適な境界候補を境界rとして散逸エネルギの急増点に設定する(ステップS112)。詳細には、上述の境界決定方法の第4手順で述べたように、境界パターンで定まる低温領域及び高温領域における散逸エネルギqの値と近似関数上の近似値q’との残差の二乗の和Sの総和Sを演算する。演算された全ての総和Sを評価する。例えば、総和Sが最小になる境界パターンにおける境界候補を導出する。そして、評価結果である、最適な総和Sに対応する境界候補を、散逸エネルギqの急増点を示す境界rとする。すなわち、例えば最小の総和Sとなる境界パターンによる領域分けを最適な領域分けとして、その境界候補を境界rとした場合、境界rによる応力振幅で散逸エネルギqが急激に増加すると見なし、最適な総和Sに対応する境界候補を境界rとして散逸エネルギの急増点に設定する。これにより、境界rを示す応力振幅を疲労限度として推定することができる。
図10に、境界候補r1~r4の各々における残差の二乗の総和Sを応力振幅に対して整理し、模式的に示す。
図10に示すように、4つの境界パターンが示す境界候補r1~r4の各々では、境界候補r3において総和Sが最小値となり、測定点による散逸エネルギqの変動特性に最もフィッ卜した近似関数になることが理解される。従って、境界候補r3における応力振幅を散逸エネルギqの急増点とすることが可能となる。
以上説明したように、本開示の実施形態によれば、近似関数による近似線が交差しない場合であっても、散逸エネルギqの急増点を特定して疲労限度を推定することができる。このため、散逸エネルギqの測定値のバラツキ(試験機の振動などに起因)などの影響を受けた場合でも、再現性良く疲労限度の推定値を得ることができ、再試験などの手間を抑制することができる。
すなわち、散逸エネルギqの複数の測定点を低温領域または高温領域に領域分けする境界候補を定めた複数の境界パターンを設定する。各境界パターン毎に低温領域用及び高温領域用の近似関数の近似値と散逸エネルギqの測定値との残差の二乗の総和Sを算出し、その最小値を示す境界候補を、最適な境界rとして定め、応力振幅を特定するため、近似線が交差しなくても疲労限度を推定することができる。
次に、本開示の実施形態に係る疲労限度推定システムの実施例を説明する。
また、以下の実施例では、関数モードA~関数モードDの近似関数を用いた場合の疲労限度推定を、本開示に基づいて実施した結果を比較して説明する。
本実施例は、オーステナイト系ステンレス鋼SUS304を供試材とした試験片SPを用いて疲労限度推定を実施したものである。疲労限度推定試験の装置構成は図1に示す本開示の実施形態に係る疲労限度推定システムと同様である。疲労限度推定試験は、室温大気中において、電気油圧サーボ式疲労試験機(株式会社島津製作所、サーボパルサーEHF-FD2-l)を用いて、引張と圧縮の繰返し負荷が付与される試験片SPの時系列の表面温度分布を、冷却式赤外線カメラ(FLIR Inc.、SC6000)を用いて計測した。この赤外線カメラは、検出感度波長域が3~5μmのlnSb(Indium Antimonide)の赤外線素子を搭載している。赤外線カメラには、焦点距離が25mmのレンズを装着し、空間分解能が0.2mm/pixelとなるようにした。また、温度計測性能向上のため、黒体化塗料(黒体スプレー、イチネンTA SCO)を試験片表面に塗布した。
疲労限度推定試験では、同一形状の2本の試験片(試験片SP1、SP2)を使用した。負荷条件は、荷重制御で、応力比を-1、応力波形を正弦波、負荷周波数を5Hzとし、応力振幅σを100MPaから300MPaまで、負荷繰返し数が1300回毎に10MPaずつ階段状に増加させた。
温度計測は、各応力振幅σにおいて負荷繰返し数が1000回に達する毎に実施した。撮影視野は、64pixel×128pixelとして試験片最小断面部が収まるようにして、フレームレートを211Hz、撮影時間を20秒とし、1回の温度計測で4220枚の時系列温度変動データを取得した。試験片SPの中央部の10pixel×10pixel(2mm×2mm相当)の範囲における温度データの平均値を各フレームの時系列温度変動データの代表値とした。
得られた時系列温度変動データを周波数解析し、繰返し負荷の2倍の周波数の温度成分である、散逸エネルギqに起因する温度変動成分△Tを抽出し、上記の(1)式から散逸エネルギqに変換した。散逸エネルギqへの変換では、一般的なオーステナイト系ステンレス鋼のものとして記載されている、文献(例えば、日本熱物性学会編、”新編 熱物性ハンドブック”、著書堅苦堂、p.213(2008).)の値(ρ=7940kg/m、c=477J/kg・K)を用いた。
実測による疲労限度は、同一ロットの試験片SPに対して耐久試験を実施することで求めた。
図11に、耐久試験で得られた破断負荷繰返し数と応力振幅との関係を示す曲線(以下、SN曲線という)を示す。
図11に示すように、σ=255MPa付近に疲労限度が存在すると考えられるが、破断と未破断の完全な境界を判別することが難しい。これは、試験片SP毎の疲労限度のばらつきによるものと考えられる。試験片SP毎に生じる疲労限度のばらつきを考慮するため、ここでは、破断した試験片SPのうち、応力振幅が最小のものと未破断の試験片のうちで応カ振幅の最大値の平均値を疲労限度と定義した。この場合の疲労限度は256MPaとなった。この疲労限度と本開示に基づいて得られた疲労限度推定値とを比較した。
図12に、試験片SP1及びSP2について、散逸エネルギqの測定値を応力振幅に対して整理した結果を示す。
図12に示すように、試験片SP1及びSP2のいずれの試験片も、散逸エネルギqの値は、試験開始後から概ね一定値を示し、或る応力振幅を境界にして急激に増加する傾向を示している。
次に、上記の関数モードA~関数モードDの近似関数の各々を用いて散逸エネルギqの急増点を特定した場合における疲労限度推定について説明する。
図13~図16に、試験片SP1及びSP2について、関数モードA~Dの各々を近似関数とした場合の結果を示す。図13は関数モードAの近似関数を用いて散逸エネルギの変動特性を近似した場合の結果を示す。同様に、図14は関数モードBの近似関数を用いた場合の結果を示し、図15は関数モードCの近似関数を用いた場合の結果を示し、図16は関数モードDの近似関数を用いた場合の結果を示す。
図13~図16に示すように、いずれの試験片SPも応力振幅に対する残差の二乗の総和Sの変化は同様であり、或る応力振幅で極小値を示している。この極小値を示す応カ振幅が本開示における疲労限度推定値である。
残差の二乗の総和Sが極小値となる応力振幅には、関数モード毎に若干の違いが確認された。応力振幅の増加に対する残差の二乗の総和Sの変化に着目すると、関数モードA及び関数モードDと、関数モードB及び関数モードCとが同様の傾向を示している。これは、高温領域において類似の近似関数を設定しているためであると考えられる。関数モードB、Cはいずれも高温領域を一次関数で近似している。関数モードAは指数関数で近似し、関数モードDは累乗関数で高温領域を近似しているが、指数関数が累乗関数の重ね合わせであることから本質的には同様の近似を行っている。高温領域における散逸エネルギqは、低温領域に比べて顕著に高い値が測定されるため、高温領域における近似関数の設定が残差の二乗の総和Sの変化傾向に反映されたものと考えられる。
このように、近似関数によっては若干の差が生じるものの、本開示を適用すれば、いずれも残差の二乗の総和Sが極小値となる応力振幅を得ることができる。
次に、疲労限度推定値と、SN曲線で得られた疲労限度とを比較した結果を説明する。
次の表2に、疲労限度推定値と、SN曲線で得られた疲労限度とを比較した結果を示す。ここで、疲労限度推定値の代表値には、試験片SP1及びSP2の2本の試験片SPで得られた疲労限度推定値の平均値を用いた。関数モードA~関数モードDのいずれの場合も相対誤差10%以内の精度で疲労限度を推定でき、関数モードDの場合に相対誤差が最小となった。一方、関数モードDの場合、疲労限度の推定精度は良好であるものの、SN曲線で得られた疲労限度に比べて高く、注意が必要な高応力振幅側(危険側)に推定されている。これは、低温領域を二次関数で近似したことに依存すると考えられ、低温領域を一次関数で近似した場合に比べて、二次関数で近似した場合では高応力振幅側に疲労限度推定値が推移する傾向にあることは関数の性質上明らかである。このことを考慮しても、本開示により、散逸エネルギの急増点を一意に特定することができ、相対誤差10%以内の精度で疲労限度推定値を得られる。
Figure 0007229731000003

上記の処理は、専用のハードウェア回路によっても実現することもできる。この場合には、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
10 疲労限度推定システム
20 疲労試験機
22 試験機本体
30 疲労限度推定装置
32 推定装置本体
34 赤外線カメラ
A、B、C、D 関数モード
S 総和
SP 試験片
q 散逸エネルギ
r 境界
r1、r2、r3、r4 境界候補
ρ 材料密度
σ 応力振幅
c 比熱

Claims (10)

  1. 対象物に対して、大きさを複数段階に異ならせた負荷を複数回繰返し付与する付与部と、
    前記付与部で付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、前記対象物の表面温度の各々を検出する検出部と、
    前記検出部で検出された表面温度に基づいて、前記付与部で付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、散逸エネルギを導出する散逸エネルギ導出部と、
    負荷の複数段階の大きさに応じて予め定めた複数の境界候補の各々毎に、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギを、前記複数の境界候補の中から定めた1つの境界候補に応じた負荷以下の低温グループに属する低温散逸エネルギ群と、前記1つの境界候補に応じた前記負荷を超える高温グループに属する高温散逸エネルギ群とに分類し、前記複数の境界候補毎に前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群の少なくとも一方の散逸エネルギの変動傾向を導出する変動傾向導出部と、
    前記変動傾向導出部により導出された変動傾向から定まる前記複数の境界候補の各々についての散逸エネルギの値と、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギの導出値との相違に基づいて、前記複数の境界候補の各々の前記散逸エネルギの変動傾向を評価し、評価結果から定まる前記複数の境界候補のうちの最適な境界候補を、前記対象物の疲労限度に対応する負荷を示す境界として推定する推定部と、
    を備えた疲労限度推定装置。
  2. 前記推定部は、前記変動傾向導出部により導出された変動傾向から定まる散逸エネルギの値と、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギの導出値との差分が小さくなるに従って評価値が小さくなる評価を行い、評価値が最小の境界候補を、前記境界と推定する
    請求項1に記載の疲労限度推定装置。
  3. 前記評価値は、前記変動傾向導出部により導出された変動傾向から定まる散逸エネルギの値と、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギの導出値との差分の二乗の総和である
    請求項2に記載の疲労限度推定装置。
  4. 前記予め定めた複数の境界候補の各々は、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギを、負荷の大きさに従って配列した場合に隣り合う散逸エネルギの各々に対応する負荷の間の負荷を定める
    請求項1から請求項3の何れか1項に記載の疲労限度推定装置。
  5. 前記予め定めた複数の境界候補の各々は、分類される前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群各々に、前記散逸エネルギ導出部で導出された散逸エネルギを少なくとも3つ含むように定める
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の疲労限度推定装置。
  6. 前記推定部は、前記対象物の疲労限度に対応する負荷として、前記低温散逸エネルギ群に含まれる複数の散逸エネルギの各々に対応する負荷のうちの最大負荷、又は前記高温散逸エネルギ群に含まれる複数の散逸エネルギの各々に対応する負荷のうちの最小負荷、若しくは、前記最大負荷と最小負荷との平均値を推定する
    請求項1から請求項5の何れか1項に記載の疲労限度推定装置。
  7. 前記散逸エネルギの変動傾向は、前記散逸エネルギの変動を近似した近似関数で定まる近似線により示される
    請求項1から請求項6の何れか1項に記載の疲労限度推定装置。
  8. 前記負荷は、前記付与部で繰返し付与した負荷を示す応力振幅である
    請求項1から請求項7の何れか1項に記載の疲労限度推定装置。
  9. 対象物に対して、大きさを複数段階に異ならせた負荷を複数回繰返し付与し、
    付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、前記対象物の表面温度の各々を検出し、
    検出された表面温度に基づいて、前記対象物に付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、散逸エネルギを導出し、
    負荷の複数段階の大きさに応じて予め定めた複数の境界候補の各々毎に、前記導出された散逸エネルギを、前記複数の境界候補の中から定めた1つの境界候補に応じた負荷以下の低温グループに属する低温散逸エネルギ群と、前記1つの境界候補に応じた前記負荷を超える高温グループに属する高温散逸エネルギ群とに分類し、前記複数の境界候補毎に前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群の少なくとも一方の散逸エネルギの変動傾向を導出し、
    前記導出された変動傾向から定まる前記複数の境界候補の各々についての散逸エネルギの値と、前記導出された散逸エネルギの導出値との相違に基づいて、前記複数の境界候補の各々の前記散逸エネルギの変動傾向を評価し、評価結果から定まる前記複数の境界候補のうちの最適な境界候補を、前記対象物の疲労限度に対応する負荷を示す境界として推定する
    ことを含む疲労限度推定方法。
  10. 対象物に対して、大きさを複数段階に異ならせた負荷を複数回繰返し付与し、かつ付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、前記対象物の表面温度の各々を取得し、
    取得した表面温度に基づいて、前記対象物に付与された負荷の複数段階の大きさの各々毎に、散逸エネルギを導出し、
    負荷の複数段階の大きさに応じて予め定めた複数の境界候補の各々毎に、前記導出された散逸エネルギを、前記複数の境界候補の中から定めた1つの境界候補に応じた負荷以下の低温グループに属する低温散逸エネルギ群と、前記1つの境界候補に応じた前記負荷を超える高温グループに属する高温散逸エネルギ群とに分類し、前記複数の境界候補毎に前記低温散逸エネルギ群及び前記高温散逸エネルギ群の少なくとも一方の散逸エネルギの変動傾向を導出し、
    前記導出された変動傾向から定まる前記複数の境界候補の各々についての散逸エネルギの値と、前記導出された散逸エネルギの導出値との相違に基づいて、前記複数の境界候補の各々の前記散逸エネルギの変動傾向を評価し、評価結果から定まる前記複数の境界候補のうちの最適な境界候補を、前記対象物の疲労限度に対応する負荷を示す境界として推定する
    ことを含む処理をコンピュータに実行させる疲労限度推定プログラム。
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