JP4833621B2 - 反応容器の温度又は熱流束の推定方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

反応容器の温度又は熱流束の推定方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、高炉、燃焼による鋼材加熱炉、石炭ガス化反応炉などの高温のガス反応又は液体反応等の温度の経時変化を伴う反応容器の操業を管理するための反応容器の温度又は熱流束の推定方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。
高炉、燃焼による鋼材加熱炉、石炭ガス化反応炉などの高温のガス反応又は液体反応を伴う反応容器の操業を管理する場合、反応容器内の状況(例えば、燃焼挙動)を観測し、その状況を管理する必要がある。
従来から、反応容器の壁に埋め込まれた熱電対により測定された温度データ(測温データ)から反応容器内の状況を推定することがなされている。例えば、急激な温度上昇があれば、その熱電対周辺の反応容器内において異常な発熱が生じていると推定し、逆に極端な温度下降があれば、その熱電対周辺の反応容器内において発熱反応域の縮小などの発熱量低下が生じていると推定するなどの経験的な手法である。
しかしながら、上記のような推定では、実際の反応容器内での温度異常の発生タイミングと温度測定したタイミングとの間でタイムラグが発生することは避けられない。これは、反応容器内の温度異常が熱流束変化として反応容器の表面に伝わり、その後、反応容器の壁材料内部での熱伝導によって熱電対に温度変化をもたらすためであり、原理的に熱伝導現象は若干の時間遅れを有する(非定常性)。
これに対して、反応容器壁内の熱伝導現象を非定常1次元の熱伝導逆問題と考えて、1つの熱電対温度変化、又は、1次元方向に並んだ複数の熱電対温度変化から、反応容器の内表面における熱流束変化を推定する手法が提案されている。図1は、複数の熱電対「○」が埋め込まれた反応容器(加熱炉)の炉壁近くの2次元断面を示している。炉壁内に破線で境界を示しているが、1次元とはこの破線に沿った方向の熱流れのみを考慮したことを意味している。すなわち、例えば、1a→1a’や1b→1b’方向の熱伝導を想定した場合に、炉内表面における熱流束を推定する。このとき、炉外表面の冷却条件を既知と仮定して、未知とした炉内表面における熱流束を求めることが一般的である(温度測定点が1ヶ所の場合)。もちろん、既知と未知の境界条件を反対にすることも可能である。
上記推定手法としては、例えば、特許文献1では、高炉炉床に埋め込まれた熱電対から、非定常1次元熱伝導方程式の逆問題解析することにより、端点の熱流束を推定する手法について述べられている。この手法の一つは、1点の熱電対温度変化と、端点の冷却条件(既知と仮定)から、その反対側の端点の熱流束を推定する手法である。このような冷却条件は、熱伝達係数と冷却水温度で与えることになるが、特に、熱伝達係数は、冷却水の平均流速から経験相関式により推定することになるので、不確実な推定値になる場合があり、その値を使って逆問題推定した反対側端点の熱流束推定値の精度に、悪影響を及ぼす可能性がある。
また、もう一つの手法として、2点の熱電対温度変化を用いた推定手法についても述べているが、2点の内、1点を固定温度境界条件として与えて解く手法であるので、2点の相対的な温度変化を捉えて推定することは難しい上に、固定温度境界条件上での熱流束の推定は可能であるが、固定温度境界条件に選んだ側の、その外側延長線上の端点熱流束は推定できないことになる。
更に、前記いずれの方法においても、解析長さを固定して両端の熱流束を求める手法ではなく、耐火物表面に付着する炉内溶融物による厚みの変化と、熱流束変化を同時に推定する手法である。凝固・溶解現象によって付着量を増減するロジックを逆問題解析に導入すると、第一に、計算手続きが複雑になって計算が不安定化しやすくなるという問題がある。第二に、各時間ステップで解析長さを変化させる計算手続きが入ると、長さを変化させた前後の温度分布の推定方法に不確定な要素が混入する可能性があるので、熱流束の推定精度が悪くなる可能性も否定できない。
このように、従来の逆問題解析手法では、不十分な点が多く、複数の熱電対情報から、解析長さを固定して、その両端の熱流束を同時に推定する手法を新たに確立して、非定常な熱流束の変化を精度良く、安定的に推定する技術が重要となる。
これに対して、複数の熱電対の計測温度から、その温度変化を十分に表現できるように、試行錯誤的に温度分布を推定し、両端の温度分布を同時に推定する手法も考えられる。しかし、このような手法では、熱電対の数が増えると計算が複雑化して、全ての熱電対の計測温度変化を満たす温度分布解を得ることは、極めて難しくなる。また、それぞれの熱電対において、計測温度と計算温度の差の絶対値を何処まで小さくすべきかの基準を決めることが困難なので、計算手続きを一般化することが難しい。
この一つの例として、2つの熱電対温度から、特許文献1の手法を応用して、未知の熱流束を、2つの端点で交互に変えて計算し、見かけ上、同時に端点の熱流束を推定する方法が考えられる。即ち、固定温度境界条件とする計測温度を交互に変えて繰り返して計算し、両方の熱電対における計測温度と計算温度が、ある程度一致した時点で、その時間ステップでの両端の熱流束解とするものである。しかし、この手法においては、それぞれの熱電対において、計測温度と計算温度の差の絶対値が、どの程度まで小さくなった時点で解とすべきかを決めることが困難で、場合によっては、片方の熱電対温度を極めてよく表現するが、もう一方の熱電対温度はあまり表現できないような場合でも、解として認識してしまう危険性をはらんでいる。つまり、2つの熱電対位置において、計測温度と計算温度の差の絶対値を最小化するに際して、独立した2つの熱電対位置での最小化のバランスをどの程度にするべきかの基準を、適切に設定することが難しい。さらに、複数の熱電対の場合まで、この方法を拡張すると、解の判定が極めて難しくなることは言うまでもない。
次に、2次元逆問題解析の手法の例としては、例えば、本出願人が特許文献2に開示したものがあり、この手法はそのまま1次元逆問題解析へも適用できる。また、1次元逆問題解析の例として、Beckらにより提案された解析手法が知られている(非特許文献1参照)。
また、逆問題解析の最近の手法として、カルマンフィルター理論や、射影フィルタ理論などの確率的推定法を適用することも考えられる。この手法は、現状では、後述する式(1)の左辺をゼロと置いた、定常熱伝導方程式(観測方程式)への適用が検討されているが、非定常項を含めて適切に観測行列を構成できれば、同様の逆問題解析ができる可能性がある。この定常微分方程式への、確率推定法の適用例としては、非特許文献2に詳しい。
更に、特許文献3には、非定常熱伝導方程式の内挿関数マトリックスについての記述がある。ところが、ここで述べられている内挿関数は、有限要素法などに一般的に用いられている内挿関数の表式を示したものであり、本発明のような非定常熱伝導方程式を満たす内外挿関数とは、全く異なるものである。
また、特許文献4には、反応容器内部の複数の温度測定点で測定された温度データに基いて、非定常熱伝導方程式を満たす内外挿関数を用いた逆問題解析を行うことにより、反応容器の内部又は表面における温度分布又は熱流束分布を演算する加熱又は冷却特性の評価方法が記載されている。
特開2001−234217号公報 特開2002−206958号公報 特開平10−10064号公報 特開2005−134383号公報 J.V.Beck他著、「Inverse Heat Conduction」,1985,Wiley,New York,P1〜P280 登坂 他著、「逆問題の数理と解法・偏微分方程式の逆解析」、東京大学出版会、1999年、P191〜P289
ところが、本来の非定常1次元熱伝導逆問題は、炉内表面及び炉外表面での境界条件を同時推定することであり、特許文献1のように片側の境界条件を既知と仮定した逆問題解法では、未知とした境界条件の近似的な答えしか得ることができない。例えば、ある熱電対の温度変動が、上述のような反応容器内の熱流束変化によるものなのか、反応容器外に設置された冷却装置の接触不良などによって引き起こされるような反応容器外の熱流束変化によるものかを区別することはできないことになる。
即ち、特許文献1では、冷却側の熱伝達係数を一定と仮定して、1つの熱電対温度の経時変化が非定常熱伝導方程式を満たすような解(反応容器内側熱流束)を探索する手法について述べているが、冷却側の熱伝達係数を一定と仮定した時点で、「冷却側に問題はない」と想定していることを意味している。1つの熱電対温度変化は、本来、冷却側及び反応容器内側双方の熱流束寄与により決まるものであるので、冷却側の熱流束を仮定した特許文献1の手法では、実態をモデル化できていない可能性がある。
また、より厳密に評価するには、熱伝導現象は、図1に示す破線を跨いで上下方向にも起こるはずであり、2次元での逆問題を解くことが必要となる。この場合には、図1の上下境界が断熱と仮定した場合においても、左右境界の細かな熱流束分布を推定する2次元逆問題を構成する必要があることになる。
特許文献2では、タンディッシュの壁面内の高さ方向に1列に並べられた複数の熱電対温度経時変化を使って、容器内溶融高温液体の湯面高さを推定する方法について述べられている。この手法は2次元逆問題解析手法を応用して、容器内の湯面上と湯面下の、それぞれの領域を2つの熱流束で表現し、その境界位置を湯面境界(湯面高さ)であると推定する手法である。この手法では、上下方向には複数の熱電対が挿入されているが、容器壁の厚み方向には、1つの熱電対しか埋設されていないので、厚み方向冷却面側の熱伝達係数は一定値であると仮定して、容器内の2つの熱流束を推定する。本来ならば、厚み方向冷却側の熱流束(熱伝達係数)も未知であるが、その推定が困難であるため、既知と仮定した近似解を得ているのである。
また、特許文献4においては、反応容器の内部の温度測定点が、反応容器の表面側と裏面側の内部に程よく分散されている場合は、反応容器表面の所定位置での温度分布又は熱流束分布をうまく推定できるが、温度測定点が表面側又は裏面側に偏って存在する場合等には、推定精度が悪くなることや、計算が不安定化し易くなることがあるという問題があった。
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、温度や熱流束を推定する所定位置近傍の反応容器壁内部に、温度測定点となる熱電対が1本しか設置されていないような場合や、温度測定点が表面側又は裏面側に偏って存在する場合にも、反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度や熱流束を安定して推定可能とする方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
本発明の反応容器の温度又は熱流速の推定方法は、温度の経時変化反応を伴う反応容器の壁内部に、2次元又は3次元に分散して設置された複数の温度測定点における測温データに基いて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する反応容器の温度又は熱流束の推定方法であって、前記複数の温度測定点の中から、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路の周囲に存在し、又は当該熱流路の周囲及び流路上に存在し、且つ、前記反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置距離が異なる温度測定点を含む、少なくとも3点を選択して、当該選択した温度測定点での測温データに基いて前記逆問題解析を行うにあたり、前記選択した温度測定点のうちの少なくとも1点は、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路上に存在し、且つ、残りの前記選択した温度測定点のうちの少なくとも2点は、前記一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在し、前記1次元熱流路上に存在する少なくとも1点の温度測定点での測温データと、前記2次元平面上に存在する選択した少なくとも2点の温度測定点での測温データから、前記1次元の熱流路上の所定位置での温度を予測し、当該予測温度データと、前記一次元の熱流路上に存在する温度測定点での測温データとに基いて、1次元の前記非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行い、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する手順を有する点に特徴を有する。
また、本発明の反応容器の温度又は熱流束の推定装置は、温度の経時変化反応を伴う反応容器の壁内部に、2次元又は3次元に分散して設置された複数の温度測定点における測温データを入力する入力手段と、前記入力された測温データに基いて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する推定手段と、前記推定した温度又は熱流束を出力する出力手段とを備えた反応容器の温度又は熱流束を推定する装置であって、前記複数の温度測定点の中から、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路の周囲に存在し、又は当該熱流路の周囲及び流路上に存在し、且つ、前記反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置距離が異なる温度測定点を含む、少なくとも3点を、前記入力手段で入力する測温データの温度測定点として選択する選択手段を更に備え、前記選択した温度測定点のうちの少なくとも1点は、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路上に存在し、且つ、残りの前記選択した温度測定点のうちの少なくとも2点は、前記一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在し、前記1次元熱流路上に存在する少なくとも1点の温度測定点での測温データと、前記2次元平面上に存在する選択した少なくとも2点の温度測定点での測温データから、前記1次元の熱流路上の所定位置での温度を予測し、当該予測温度データと、前記一次元の熱流路上に存在する温度測定点での測温データとに基いて、1次元の前記非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行い、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する点に特徴を有する。
また、本発明のコンピュータプログラムは、温度の経時変化反応を伴う反応容器の壁内部に、2次元又は3次元に分散して設置された複数の温度測定点における測温データを入力する入力処理と、前記入力された測温データに基いて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する推定処理と、前記推定した温度又は熱流束を出力する出力処理とをコンピュータに実行させ、反応容器の温度又は熱流束を推定するコンピュータプログラムであって、前記複数の温度測定点の中から、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路の周囲に存在し、又は当該熱流路の周囲及び流路上に存在し、且つ、前記反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置距離が異なる温度測定点を含む、少なくとも3点を、前記入力処理で入力する測温データの温度測定点として選択する選択処理を更にコンピュータに実行させ、前記選択した温度測定点のうちの少なくとも1点は、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路上に存在し、且つ、残りの前記選択した温度測定点のうちの少なくとも2点は、前記一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在し、前記1次元熱流路上に存在する少なくとも1点の温度測定点での測温データと、前記2次元平面上に存在する選択した少なくとも2点の温度測定点での測温データから、前記1次元の熱流路上の所定位置での温度を予測し、当該予測温度データと、前記一次元の熱流路上に存在する温度測定点での測温データとに基いて、1次元の前記非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行い、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定することを特徴とする。
また、本発明は、前記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録したことを特徴とする。
尚、本発明における「測温データ」とは、熱電対等で測定した温度データを意味する。
また、本発明における「2次元に分散して設置された複数の温度測定点」とは、複数の温度測定点が同一の直線上に全ては存在せず、平面的に分散していることを意味し、3点以上の温度測定点が必要である。
また、「3次元に分散して設置された複数の温度測定点」とは、複数の温度測定点が同一の平面上に全ては存在せず、空間的に分散していることを意味し、4点以上の温度測定点が必要である。
本発明によれば、温度や熱流束を推定する所定位置近傍の反応容器壁内部に、温度測定点となる熱電対が1本しか設置されていないような場合や、温度測定点が表面側又は裏面側に偏って存在する場合にも、反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度や熱流束を安定して推定することが可能となる。
特に、複数の熱電対の挿入位置が反応容器壁内に大きく分散し、ある2つの境界壁面に挟まれた位置に着目すると1つの熱電対しかないために、その当該両壁面(境界条件位置)の温度又は熱流束を推定することが困難な場合にも、本発明によると、適切に両壁面からの効果を分離することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の反応容器の温度又は熱流束の推定方法、装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体の実施の形態を説明する。
図2には、本発明に関わる装置構成の1例を示す。図2に示すように、反応容器の温度又は熱流束の推定装置は、温度の経時変化を伴う反応容器の壁内部に、2次元又は3次元的に分散して設置された複数の温度測定点(例えば、熱電対の埋め込まれた位置、図1、図3を参照)において測定された温度データ(測温データ)が入力される入力部101と、入力部101に入力される測温データから、非定常熱伝導方程式を満たすように逆問題解析を行うことにより、反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定箇所における温度又は熱流束を演算して推定する演算部102と、演算部102により演算して推定された温度又は熱流束を、例えば図示しないディスプレイに表示などするための出力部103とを備えている。
ここで、非定常熱伝導方程式は、下記の式(1)により表される。
Figure 0004833621
図1のような反応容器壁面内(固体)の熱流れを支配する方程式は、(1)式で表現されるのが一般的である(3次元非定常熱伝導方程式)。ここで、1a→1a’や1b→1b’方向の熱伝導のみを考慮した場合は、1次元非定常熱伝導方程式と言われ、この場合、(1)式右辺の1項のみを考慮して、その他の項は省略して表現される。同様にして、図1の破線を跨いでの熱流れを考慮した場合、2次元非定常熱伝導方程式と言われ、この場合、(1)式右辺のいずれか2項を用いて、表現される。x,y,zの座標の選定は、任意に設定できるため、どの符号を用いても本質的な違いはない。3次元非定常熱伝導方程式の場合は、平面上の熱流れの他に、図1の紙面に垂直な方向の熱流れも考慮した場合と考えることができる。
反応容器内の熱流れをモデル化する場合には、反応容器内の熱流れを物理的に透察し、なるべく次数の少ない熱伝導方程式を選定して表現する方が、計算負荷も下げられて、理想的なモデル化となる。例えば、図1の場合であれば、反応容器内の炉内発熱反応による熱流れの大部分は、高温側である炉内側の反応容器表面から、低温側である炉外側の反応容器表面へと流れる1a→1a’や1b→1b’方向の1次元の熱流れ(熱流路と呼ぶ)であることが推察できる。
この場合、逆問題解析によって1a及び1a’の熱電対温度変化から、炉内2a、炉外3a点の熱流束変化を求めるに際しても、1次元非定常熱伝導方程式だけを元にすれば、十分であると考えられる。従って、図1の場合は、それぞれ破線で区切られた領域ごとに、1次元非定常熱伝導方程式をベースとした逆問題解析を実行し、それぞれの領域に対して、その両端(2a、3aに相当する位置)の熱流束又は温度の経時変化を推定し、個別に評価することは、理に適った方法であると考えられる。
これに対して、反応容器壁内の主要な熱流れが破線に沿った1次元方向であると考察できるにも係わらず、図3のように、破線に沿った各領域には温度計測点(熱電対など)は1点しか存在しない場合も考えられる。
この場合には、もし、1次元非定常熱伝導方程式をベースとした場合、1点の温度変化から、両端の熱流束変化を推定することになる。ところが、1点の温度変化から、両端2点の熱流束又は温度変化を推定する1次元の逆問題解析は、精度の問題だけでなく、解が不安定になりやすい。
そこで、本発明者らは、破線領域を跨いで、上下方向の温度計測点での温度変化を含めて考えることのできる2次元非定常熱伝導方程式を用いて逆問題解析することで、反応容器内表面、外表面、及び壁内部の所定位置における温度又は熱流束変化を推定できることを見出した。例えば、図3における、2b(又は3b)位置での熱流束は、1a、1b’、1c、1dなどの熱電対の経時温度変化を用いて、2次元非定常熱伝導方程式の逆問題解析により推定するのである。
特許文献4においても、2次元の非定常熱流束分布を推定する方法について言及しているが、例えば、特許文献4の図4のような熱電対配置は、理想的な配置のケースと言える。実際の反応容器壁内の熱電対配置は、反応容器外側の冷却側に熱電対が偏っていたり、高さ方向には複数並んでいるが、厚み方向の熱電対数が限られているケースが多く、特許文献4のように、2次元の境界4面に均等な配置で熱電対が配置されている既設のケースは多く無い。一方、本発明は、熱電対配置を自由に設定することが困難であるが、物理的な考察から、主要な熱流れが、1次元熱流路上にあろうことが推察できるようなケースに有効である。
このように、主要な熱流れが1次元熱流路上にあるケースの図3を用いて本発明の実施形態の詳細を説明する。図3において、反応容器表面の所定位置を2b(又は3b)とし、この位置での熱流束を推定する例では、逆問題解析に使用する測温データを経時的にサンプリングする温度測定点の選択は、反応容器の壁内部に2次元に分散して設置されている、1a、1b’、1c、1d、1e'の5点の温度測定点中から、2b(又は3b)の位置を通る反応容器高温側表面(本例では2b)から低温側表面(本例では3b)への1次元の熱流路(本例では2b→1b'→3bを結んだ直線)の周囲、又は、周囲及び熱流路上に存在し、且つ、反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置距離が異なる温度測定点を含む、少なくとも3点を選択する。すなわち、1a、1b’、1c、又は、1a、1b’、1c、1d、又は、1a、1b’、1c、1d、1e'又は1a、1c、1d、1e'等を選択する。
同様にして、例えば、2c(又は3c)位置での熱流束を推定する際には、1b’、1c、1d、又は、1a、1b’、1c、1d、又は、1b’、1c、1d、1e’又は1a、1b’、1d、1e'等の温度測定点を選択する。
温度測定点の選定の考え方としては、2b(又は3b)位置での熱流束を推定する場合、2b(又は3b)を通る反応容器高温側表面から低温側表面への1次元の熱流路(本例では2b→1b'→3bを結んだ直線)上に存在する熱電対1b’は、最も重要な温度情報を有していることが推察できるので選択する温度測定点に含めることが望ましい。
その他の熱電対については、1次元の熱流路の周辺に存在するものの中から、適宜選択することができるが、反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置位置が異なる温度測定点を含むことが必要である。これは、外表面からの設置位置が同じ温度測定点のみの場合は、得られる温度情報は、変化に乏しく、これだけで逆問題解析を行った場合には、精度が悪く、不安定な温度又は熱流束しか得られないことが多いためである。従って、1a、1c、1dのような選択は行わない。
また、温度又は熱流束を推定する所定位置を通る上述した1次元の熱流路から近い順に温度測定点を選択する方がより重要な温度情報を有していると考えられるため好ましい。
また、図3のような2次元だけでなく、3次元においても、本発明の方法を適用することができる。
また、選択する温度測定点の数はできるだけ多い方がよいことが多いが、温度測定点同士の距離が、あまり拡がり過ぎないようにすることが好ましい。そこで、対象が2次元問題の場合は、最低4方向から熱流束寄与がある可能性があるので、4つの温度測定点を選択することがより好ましく、同様に対象が3次元問題の場合は、最低6つの方向から熱流束寄与がある可能性があるので、6つの温度測定点を選択することがより好ましい。
本発明の別の形態として、図4のような場合も考えられる。これは、図3に比べると、温度測定点(熱電対設置位置、「○」で図示)が、反応容器の外表面側(冷却側)に偏っている場合である。この場合には、熱電対設置位置と、推定すべき高温側反応容器表面における熱流束q1(位置はQ1とする)及び低温側反応容器表面における熱流束q2(位置はQ2とする)の距離のバランスが大きく崩れてしまうので、2次元熱伝導方程式単独の逆問題解析では、解析が非常に不安定になりやすく、物理的に意味のない解が得られる可能性が高いことが分かってきた。このような場合にも、本発明者らは鋭意研究を重ね、近似的な手法となるが、1次元と2次元の逆問題解析を組み合わせることが有効であることを見出した。
即ち、温度測定点が反応容器の外表面側に極端に偏っている場合でも、選択した温度測定点のうちの少なくとも1点は、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路上に存在し、且つ、残りの前記選択した温度測定点のうちの少なくとも2点は、前記一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在していることで、逆問題解析の解を安定化し、物理的に意味のある解とすることができる。図4では熱電対が初めから2次元に分散して設置されている場合であるが、3次元に分散して設置されている場合でも、同様に有効である。
詳細について図4を用いて説明すると、先ずは、Q1とQ2を結ぶ1次元の熱流路上に存在する1点の温度測定点「○」と、この一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在する2点の温度測定点「○」の合計3点を選択する。
次に、1次元の熱流路上に存在する1点の温度測定点と、2次元平面上に存在する2点の温度測定点での測温データから、前記1次元の熱流路上の所定位置「△」での温度を予測する。
この「△」位置での予測温度データと、一次元の熱流路上に存在する温度測定点での測温データとに基いて、1次元の非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行い、前記反応容器の内表面、外表面における熱流束q1やq2を推定することができる。
同様の関係を円筒状の反応容器に対して示した図が、図5である。図4及び図5ともに、座標系は異なるが、物理的な考察より主な熱伝導熱流れの方向である反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路を想定し(大きな矢印で図示)、1次元熱伝導を仮定する方向(q1とq2を結んだライン)と一致させている。このようにすれば、多少の推定誤差があったとしても、反応容器内の大まかな熱の動きを捉えることができるのである。同じ様な考え方で、3次元的な解析領域に配置された熱電対温度より反応容器内部の熱流束を推定する場合にも、3次元だけでなく、その次元を落とした2次元、1次元の熱伝導逆問題解析と組み合わせることが有効である。この場合も、幾何学的に、相互にどのような組み合わせをするかは、物理的な考察から、主要の熱流れを判断した上で決定することが望ましい。
また、本発明者らは、さらに鋭意検討を重ね、反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定するに際して、熱電対などの温度計測点で囲われた領域内にある温度を、適当な内挿関数を用いて推定し、その推定した温度を使って、低次の熱伝導逆問題などで、温度又は熱流束を推定することが、実用的に有用であることを見出した。
図4においては、上記領域は、3点の温度測定点「○」で囲われた領域(三角形の破線内)で示している。この破線内は、xy局所座標系で考えると、領域内の全てのxy座標が、3つの「○」に相当するxy座標値を含んでおり、破線内の任意の点は、x,yそれぞれ、3つの「○」の中間点として表現できるので、内挿できる範囲と考えることができる。従って、「△」点の温度は、適当な内挿関数を選定できれば、「○」点の温度からの推定が可能である。このような三角形の場合であれば、例えば、線形の内挿関数として、有限要素法などに用いられる面積座標を適用することが可能である。
図5には、円筒座標系の場合を示している。温度計測点「○」は、それそれθ位置は異なるが、rが等しい位置に、2点ずつ設定されている(合計4点)。破線で囲われた領域は、rの同心円と、直線から構成され、「△」点位置は、rθ座標系で考えると、内挿点に相当するため、「△」点の温度は、適当な内挿関数を設定できれば、推定可能である。内挿の方法としては、いくらでも考えられるが、各計測時間ステップの温度に対して、各「○」点温度間で、1次関数近似をして、その中間に当たる座標値での温度の値を決める方法などが考えられる。また、計測温度「○」点は、必ずしも領域の頂点にある必要はなく、領域内に含まれていても問題はない。この場合は、領域内の温度計測点の数(既知温度点)が増えることになるので、高次の内挿関数を使うことも可能であり、内挿精度の向上が期待される。
さらに、本発明者らは、本発明実施の1形態として、非定常熱伝導方程式を満たす内外挿関数を用いることで、(ア)上述のような熱電対「○」で囲われた領域の温度「△」を推定する内挿ができること、(イ)逆問題解析手法の1つとして、ブロック内の温度分布又は熱流束分布を推定することにも応用が可能(温度の内外挿)であること、を見出した。
上述(ア)については、内外挿関数は、単なる内挿関数ではなく、非定常熱伝導方程式を満たしながら外挿点での温度を推定することが可能なので、熱電対「○」で囲われた領域から多少はみ出ても、十分な精度で温度「△」を推定できるというメリットも有している。
また、上述(イ)については、ブロック内の温度分布又は熱流束分布を推定することは、結局のところ、反応容器の内表面及び外表面における境界条件の変化を推定することと等価である。ここで等価と言うのは、以下説明するように、内外挿関数を用いた解析手法は、後述する(5)式に示すように、任意のxyz位置での温度分布を推定するので、推定位置が反応容器壁の内部であることと、反応容器壁の表面であることの区別はないという意味である。従って、このことは、温度変化から、境界条件を推定する逆問題解析となっているのである。
ここで、内外挿関数とは、測定点での温度を結んで、その点以外の領域、例えば、解析領域全体又は一部を表現する関数である。外挿のできない内挿関数としては、1次関数近似やスプライン補間などが知られているが、非定常熱伝導方程式を満たしながら、外挿も可能な関数は今まで知られていない。内挿とは既知点に囲まれた内部の未知点を推定することをいい、外挿とは既知点の外側や周囲を含めて推定することをいう。
以下、非定常熱伝導方程式を満たす内外挿関数を用いた温度推定方法、及び、逆問題解析手法について説明する。
まず初めに、図2のフローチャートを参照して、上記演算部102において行われる演算処理について説明する。演算部102では、まず、所定の内挿又は外挿関数及びパラメータを用いて非定常熱伝導方程式の解を表現する(ステップS201)。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記の式(2)で表現される非定常熱伝導方程式を満たす内外挿関数形を用いることで、より物理的に意味のある内外挿が施せることを見出した。
Figure 0004833621
上式(2)のtは時間を表し、また、x、y、zは位置ベクトル要素を表し、一般の3次元座標系にも適用可能である。τx、τy、τz、Ax、Ay、Az、X、Y、Zは、適当な任意定数を表し、対象とする系によって、最適な値は変化する。これらの任意定数の値の選択には、注意する必要がある。
別の関数形として、例えば、下式(3)のように表現することも可能である。
Figure 0004833621
同様に上式(3)において、τxy、τz、Axy、Az、X、Y、Zは、適当な任意定数を表し、対象とする系によって、最適な値は変化する。上記式の座標系x,y、zの関係は、相互に交換可能であることは言うまでもない。
また、別の関数形として、例えば、下式(4)のように表現することも可能である。
Figure 0004833621
これも同様に上式(4)において、τxyz、X、Y、Zは、適当な任意定数を表し、対象とする系によって、最適な値は変化する。上述の3種類の内外挿関数は、全て物理的に意味のある内外挿を施すことができるので、どの式を使用しても構わない。
これらの関数F(x,y,z,t)は、自動的に非定常熱伝導方程式(1)式を満たす。この関数F(x,y,z,t)を用いて非定常熱伝導方程式の解を一般的に表現すると、下記の式(5)として表現される。
Figure 0004833621
上式(5)のxj、yj、zjは、任意の基準位置ベクトルの各要素、tiは任意の基準時間を表し、x、y、z及びtは、温度を推定しようとしている点の位置ベクトルの要素及び時間である。また、Nj、Niは、それぞれ基準位置ベクトルの数、及び、時間方向の基準時間の数である。これらの数は、それぞれ、温度情報測定点の数、即ち、熱電対による温度測定点の数、及び、測定温度の時間方向のサンプリング数と一致させることが多いが、必ずしも一致させる必要はない。そして、αj,iはパラメータであるが、この値が決まれば、任意の位置ベクトル(x,y,z)、時間tでの温度分布T(x,y,z,t)を決めることができるのである。
次に、上式(5)により表現される非定常熱伝導方程式の解中のパラメータαj,iの値を、熱電対により測定された温度情報を用いて決める(ステップS202)。このパラメータαj,iの値は、下記の連立方程式(6)を解くことで決めることができる。
Figure 0004833621
上式(6)のaklは熱電対により測定された温度T(xk,yk,zk,tl)を示しており、上付き文字のkは測定位置(xk,yk,zk)、上付き文字のlはサンプリング時間tlを表す。
以上述べた手法を用いることで、空間及び時間方向に離散的な温度測定データがあれば、非定常熱伝導方程式に支配される反応容器壁領域全体(任意の時空間位置)での温度推定値が得られることになる。
ここで、熱伝導逆問題というのは、計算領域を支配する非定常熱伝導方程式を基にして、領域内部の温度情報を既知として領域境界での温度や熱流束などの境界条件又は初期条件を推定する問題を指す。これに対して、熱伝導順問題というのは、既知である境界条件を基にして、領域内部の温度情報を推定する問題を指す。
上記手法においては、反応容器の壁境界での温度分布も同時に推定していることとなり、間接的ではあるが、熱電対により測定された温度情報から反応容器の内表面及び外表面の境界条件を決める逆問題となっている。
また、反応容器の壁境界の温度分布だけではなく、その近傍の温度分布から境界での温度勾配が推定できるので、結果的には反応容器の壁境界位置での熱流束変化も推定できることになる。
本発明の大きな特徴の一つは、反応容器の内表面及び外表面だけでなく解析領域全体の温度分布の経時変化を簡便に推定できることである。通常の熱伝導逆問題では、熱電対の温度(離散測定点の温度)だけではなく、その他の解析領域における、ある時間断面での温度分布(一般には初期温度分布)が既知であることを前提として、定式化していることが普通である。ところが、実際問題として、反応容器壁内の温度分布は、どの時間軸を取っても、不明であることが一般的である。従って、通常の逆問題解法を採用した場合、いろいろな工夫を施して、実際の温度分布を探索・推定しながら、安定的に解を探索する手法を、適宜付加していくことが求められる。ところが、本発明の手法は、原理的には、離散測定点での温度変化さえあれば、解析領域全体の温度分布の経時変化を簡便に推定できるのである。
また、この手法では空間次元数の制約はないので、空間2次元、3次元の逆問題解析手法としてそのまま適用することができる。
上述した実施形態の反応容器の温度又は熱流束の推定装置は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、ROM、及びハードディスクなどにより構成され、ROMやハードディスク等に記録されたプログラムが動作し、上述した手段で入力された温度データがRAMやハードディスク等の入力部に読み込まれた後、当該温度データは、プログラム内にある演算部へ転送され、演算部において上述した手段で壁面境界における温度又は熱流束を演算して推定し、その後、出力部へ推定された温度又は熱流束のデータが送られることによって実現される。従って、コンピュータに対し、上記実施形態の手順を実行するためのプログラム自体が上述した実施形態の手順を実行することになり、そのプログラム自体は本発明を構成する。
尚、逆問題解析に用いる温度測定点の選択も、コンピュータにその手順を実行させるプログラムを用いて、行うこともできる。その場合は、1次元の熱流束に近い順に4点を選択するようにプログラミングする等で、実行が可能である。
また、上記プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記録する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、などを用いることができる。
また、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより、上述の実施形態の手順が実行されるだけでなく、そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフトなどと共同して上述の実施形態の手順が実行される場合にもかかるプログラムは本発明の実施形態に含まれることはいうまでもない。
なお、上記実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、本発明をネットワーク環境で利用すべく、全部或いは一部のプログラムが他のコンピュータで実行されるようになっていてもかまわない。
本発明の実施例について説明する。2次元非定常熱伝導方程式系について検討した。2次元の場合、支配方程式は式(7)のように簡略化される。ここでは逆問題解析手法として、内外挿関数を用いた手法を採用した。この内外挿関数も、同様にして式(8)のように簡略化される。
Figure 0004833621
図6には、ある鋼鉄製反応容器壁面内部に埋め込まれた熱電対を用いて、2次元の非定常熱伝導を仮定して、本発明により逆問題解析を試みたモデルを模式的に示す。厚み0.1mの鋼鉄壁は、図の上下方向に続いているが、本モデルでは、その一部を抜き出している。5つの熱電対TC0〜TC4は、図6に示したように、各高さ位置(y方向位置)に、1本ずつ設置しており、且つ、冷却側に偏って設置されている。
本実施例では、TC3の高さにある両端の熱流束q1、q2(位置としてはQ1、Q2)を推定することにした。熱電対位置TC0〜TC4は、左隅位置を原点(0で図示)として、それぞれx,y成分の座標で表示すると、TC0=(0.045,0.01)、TC1=(0.075,0.05)、TC2=(0.045,0.09)、TC3=(0.075,0.13)、TC4=(0.045,0.17)である(単位はm)。仮定した鋼鉄壁の熱物性値は、比熱Cp=434J/(kg・K)、密度ρ=7500kg/m3、熱伝導度(等方性)kx=30.0W/(m・K)、ky=30.0W/(m・K)である。
それぞれの熱電対位置の実温度経時変化を図7Aに示した。5点の熱電対の温度変化を示しているが、このうち、TC0は、解析対象であるq1位置、q2位置、TC3位置から、かなり離れているので、除外し、Q1からQ2への1次元の熱流路から近い順に4点の温度測定点を選択した。即ち、TC0とTC3高さ位置間では、熱伝導方程式での相互作用は小さいと判断したのである。従って、図7Bに示したようなTC1〜TC4の4つの熱電対温度を使って、Q1及びQ2位置での熱流束q1及びq2を推定した。
2次元の逆問題の場合は、2次元の解析領域全体の温度分布を推定しているので(式(5)参照)、境界面の熱流束は、この温度分布を使って推定しなければならない。従って、Q1面、Q2面に対しては、式(9)を用い、熱流束を推定している。即ち、推定点の位置ベクトル(xp)における温度(Tp)と、推定点極近傍の位置ベクトル(xpより3.0mm内側:xp,c)における温度(Tp,c)を(5)式により推定し、式(9)に代入して、熱流束を計算している。
Figure 0004833621
内外挿関数を用いた逆問題解析の時間ステップは12.0秒であり、基準位置ベクトルは、熱電対位置に一致させた。また、時間方向の既知温度の数は、一つの熱電対に対して3点であり(合計12点)、基準時間を少しずつ前に進めながら経時変化を解析していったが、その最後の点(現在時間)での各端面での熱流束q1、q2を推定した。時間方向の基準点と温度既知点は一致させている。内外挿関数でのパラメータは、X=-2.0m、Y=0m、Ax=1.0、Ay=1.0、τx=205800秒、τy=23400秒として、逆問題解析を実行した。これらのパラメータ値は、別途適当な順問題解析との合わせ込みを行って決定した値である。具体的には、図7Bの熱電対温度変化を用いて逆問題解析を実行し、q1及びq2を推定した結果を図8に示した。これらの結果は、反応壁内へ流入する熱流束を「正」として、流出する熱流束を「負」として表示している。q2の推定結果は、別途冷却側の熱流束を、熱流束計で計測して比較したところ、傾向的には良好に表現していることが分かった。
一方、図7Aのように、ブロックとして、TC0を含めた5点を用いて、同様の逆問題解析を試みたところ、その推定精度は悪化することが分かった。これは、1ブロックの解析範囲が広すぎるためであると考えられる。また、逆に、TC4、TC3、TC2の3点のブロック範囲としても思わしくなかった。この結果は、ブロックの範囲は、その問題の性質(熱電対位置の絶対距離・相対関係や、推定する熱流束や温度の位置など)によって、その最適ブロック範囲は変化すると考えられるので、適宜、問題に合わせて選定する必要があることを示していると考えられる。
本発明の別の実施例について説明する。図9に、円筒形形状の反応容器(高炉)の横断面を示しており、この問題も、2次元非定常熱伝導方程式系に属する。炉内と炉外の間は、2mもの耐熱レンガで仕切られており(r=6.0m〜8.0m)、温度計測点は、極端に冷却面側に偏って設置されている。これらの設置熱電対位置は、(r,θ)円筒座標系で表現すると、4a=(7.95,45)、4b=(7.85,30)、4c=(7.95,15)、4d=(7.95,0)、4e=(7.85,345)、4f=(7.95,330)である。ここでrの単位は、[ m ]であり、θの単位は[ 度 ]である。
この問題は、耐熱レンガの厚みが非常に厚いにも係わらず、熱電対の設置位置が冷却面側に偏っている上に、主な熱流れの方向と思われるr方向に沿った位置には、1点の熱電対しか設定されていないので、炉内側の熱流束q1(位置はQ1)や、炉外側の熱流束q2(位置はQ2)を求める2次元の逆問題解析の対象としては、極めて難しくなる。
そこで、本発明者らは、2次元の内外挿関数((8)式)を用いた解析により、2次元的に拡がった熱電対温度の経時変化する測温データを用いて、まずは、反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路となるr軸上の仮想熱電対位置の温度を予測することを考えた。
例えば、「○」で示した4c、4d、4e、4fの熱電対を1単位として、これらの温度測定点での熱電対温度変化データから、「△」で示した4d’の仮想熱電対位置の温度変化を予測する(4d’の座標位置は(7.85,0))。その後、1次元逆問題解析で、4dの測温データ及び4d’の予測温度データの経時変化から5d位置での熱流束q1を推定するのである。4d’位置は、4eと同心円上の位置に当たり、4つの熱電対4c、4d、4e、4fで囲われた領域からは多少ずれているが、以下に示すように、2次元の内外挿関数(8)式を用いれば、比較的良好に推定できることが分かった。
内外挿関数を用いた4d’位置温度推定における解析時間ステップは28800秒であり、基準位置ベクトルは、熱電対位置に一致させた。また、時間方向の既知温度の数は、一つの熱電対に対して3点であり(合計12点)、基準時間を少しずつ前に進めながら経時変化を解析していったが、その最後の点(現在時間)での4d’位置での温度を推定した。時間方向の基準点と温度既知点は一致させている。内外挿関数を用いた解析では、rθ座標系は使用できないが、図9に示したxy座標系を設定して、それぞれの熱電対位置の座標を変換して導入している。内外挿関数でのパラメータは、X=-13.0m、Y=39.0m、Ax=1.0、Ay=1.0、τx=4320000秒、τy=2880000秒として、解析を実行した。これらのパラメータ値は、別途適当な順問題解析との合わせ込みを行って決定した値である。仮定した耐熱レンガの熱物性値は、比熱Cp=712J/(kg・K)、密度ρ=2300kg/m3、熱伝導度kx=21.2W/(m・K)、熱伝導度ky=21.2W/(m・K)である。
図10Aに、解析に使用した各熱電対の温度変化を示し、図10Bには、4d’位置での推定温度変化を示している。横軸は、いずれも日付になっており、7月13日〜8月12日までの結果を示している。
別の熱流束推定位置(5b)における解析の例として、「○」で示した4a、4b、4c、4dの熱電対を1単位として、これらの位置での熱電対温度変化データから、「△」で示した4b’の仮想熱電対位置の温度変化を推定した(4b’の座標位置は(7.95,30))。解析条件は、上述のものとほとんど同様であるが、内外挿関数でのパラメータは、X=-10.0m、Y=-48.0m、Ax=1.0、Ay=1.0、τx=2880000秒、τy=2880000秒として、解析を実行した。これらのパラメータ値も、別途適当な順問題解析との合わせ込みを行って決定した値である。言うまでもないが、4b’位置での温度データは、4b温度データと合わせて、5b位置での熱流束を求めるための1次元逆問題解析に利用される。
同様に、図11Aに、解析に使用した各熱電対の温度変化を示し、図11Bには、4b’位置での推定温度変化を示している。横軸は、いずれも日付になっており、7月13日〜8月12日までの結果を示している。
次に、4dと4d’の測定温度変化及び推定温度変化を用いて、5dでの熱流束を推定する手段と、4bと4b’の測定温度変化及び推定温度変化を用いて、5bでの熱流束を推定する手段については、1次元の内外挿関数を用いた逆問題解析よって推定した。1次元の場合、支配方程式は式(10)のように簡略化される。また、内外挿関数も、同様にして式(11)のように簡略化される(Ax=1.0)。
Figure 0004833621
図12には、耐熱レンガ内に埋め込まれた熱電対を用いて、1次元の非定常熱伝導を仮定して、本発明により逆問題解析を試みたモデルを模式的に示す。TC1は高温側熱電対(4b又は4d’)TC2は低温側熱電対(4b’又は4d)を示す。これら熱電対TC1、TC2で測定される温度変化から、本発明に示した逆問題解析により、高温熱流束面での非定常熱流束q1と、冷却面での非定常熱流束q2とを同時に推定する。本来ならば、円筒1次元なので、厳密には(10)式では表現できないが、容器の内径が極めて大きいので、近似解を得ることにした。
図13に、基準点(基準位置ベクトルと基準時間)、温度既知点(温度測定している熱電対位置ベクトルと温度既知時間)、推定点(温度推定する位置ベクトルと推定時間)の関係を模式的に示している。基準点と温度既知点は一致させて、時間方向3点の温度既知点を用いていることを示している。推定点は、時間方向には、最も現在に近い点(「現在」と図示)を選び、位置ベクトルとしては、q1、及び、q2の位置に設定した。時間ステップは、28800秒としている。熱流束は、(5)式より求めた温度分布より、(9)式により算出した。内外挿関数でのパラメータは、X=-0.5m、τx=940000秒として、逆問題解析を実行した。これらのパラメータ値は、別途適当な順問題解析との合わせ込みを行って決定した値である。仮定した耐熱レンガの熱物性値は、比熱Cp=712J/(kg・K)、密度ρ=2300kg/m3、熱伝導度kx=21.2W/(m・K)である。
図14に、5b、5d位置での熱流束q1を推定した結果を示した。本プロットを見てみると、特に5d位置の熱流束q2は、7月23日に熱流束の急降下が観察される。これは、高炉の休風日(出銑の休止日)に相当し、この急降下は、炉底溶銑流れ流速の低下に伴う熱流束の低下を見事に捉えていると判断できる。
本実施例においては、空間2次元の例を示したが、本発明は、(1)〜(6)式に示す通り、空間3次元問題を対象として提案しているので、3次元への拡張は、極めて容易である。
また、本発明は、2次元又は3次元熱電対配置を自由に設定することは困難であるが、物理的な考察から、主要な熱流れが、1次元熱流路上にあろうことが推察できるようなケースにおいても、適切に、反応容器内面及び外面の熱流束・温度を推定することが可能となる。
複数の熱電対が埋め込まれた反応容器の炉壁近くの2次元断面を示す図である。 本実施の形態における逆問題解析装置の構成を示す図である。 複数の熱電対が埋め込まれた反応容器の炉壁近くの2次元断面を示す図である。 本実施の形態における適用方法を説明する図である。 本実施の形態における別の適用方法を説明する図である。 実施例1における熱電対の配置関係を示す図である。 実施例1における5つの熱電対実温度変化を示すための図である。 実施例1における4つの熱電対実温度変化を示すための図である。 実施例1における実データによる解析結果を説明するための図である。 実施例2における熱電対の配置関係を示す図である。 実施例2における4つの熱電対実温度変化を示すための図である。 実施例2における仮想熱電対位置の温度推定結果を示すための図である。 実施例2における別の組み合わせの4つの熱電対実温度変化を示すための図である。 実施例2における別の仮想熱電対位置の温度推定結果を示すための図である。 実施例2における1次元方向の熱電対配置関係を示す図である。 実施例2における逆問題解析方法を説明するための図である。 実施例2における実データによる解析結果を説明するための図である。
符号の説明
101 入力部
102 逆問題解析による温度又は熱流束の演算部
103 出力部

Claims (12)

  1. 温度の経時変化反応を伴う反応容器の壁内部に、2次元又は3次元に分散して設置された複数の温度測定点における測温データに基いて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する反応容器の温度又は熱流束の推定方法であって、
    前記複数の温度測定点の中から、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路の周囲に存在し、又は当該熱流路の周囲及び流路上に存在し、且つ、前記反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置距離が異なる温度測定点を含む、少なくとも3点を選択して、当該選択した温度測定点での測温データに基いて前記逆問題解析を行うにあたり、
    前記選択した温度測定点のうちの少なくとも1点は、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路上に存在し、且つ、残りの前記選択した温度測定点のうちの少なくとも2点は、前記一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在し、
    前記1次元熱流路上に存在する少なくとも1点の温度測定点での測温データと、前記2次元平面上に存在する選択した少なくとも2点の温度測定点での測温データから、前記1次元の熱流路上の所定位置での温度を予測し、当該予測温度データと、前記一次元の熱流路上に存在する温度測定点での測温データとに基いて、1次元の前記非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行い、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定することを特徴とする反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
  2. 前記少なくとも3点の温度測定点の選択が、前記一次元の熱流路に近い順に選択されることを特徴とする請求項1に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
  3. 前記逆問題解析を行う際、前記非定常熱伝導方程式を満たす内外挿関数を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
  4. 前記非定常熱伝導方程式は、密度ρ、比熱Cp、x方向の熱伝導度kx、y方向の熱伝導度ky、z方向の熱伝導度kzとして、下式であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
    Figure 0004833621
  5. 前記内外挿関数は、位置ベクトル(x,y,z)、時間tとし、X、Y、Z、τx、τy、τz、Ax、Ay、Azを任意の定数として、下式の関係を有することを特徴とする請求項に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
    Figure 0004833621
  6. 前記内外挿関数は、位置ベクトル(x,y,z)、時間tとし、X、Y、Z、τxy、τz、Axy、Azを任意の定数として、下式の関係を有することを特徴とする請求項に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
    Figure 0004833621
  7. 前記内外挿関数は、位置ベクトル(x,y,z)、時間tとし、X、Y、Z、τxyzを任意の定数として、下式の関係を有することを特徴とする請求項に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
    Figure 0004833621
  8. パラメータαj,i、基準位置ベクトル(xj,yj,zj)、基準時間ti、基準位置ベクトルの数Nj、基準時間の数Niとして、前記非定常熱伝導方程式の解を、下式により表現することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
    Figure 0004833621
  9. kを温度情報測定位置、lを温度サンプリング時間とし、温度情報測定点において測定された温度情報ak,lとして、前記パラメータαj,iを、下式を用いて決めることを特徴とする請求項に記載の反応容器の温度又は熱流束の推定方法。
    Figure 0004833621
  10. 温度の経時変化反応を伴う反応容器の壁内部に、2次元又は3次元に分散して設置された複数の温度測定点における測温データを入力する入力手段と、前記入力された測温データに基いて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する推定手段と、前記推定した温度又は熱流束を出力する出力手段とを備えた反応容器の温度又は熱流束の推定装置であって、
    前記複数の温度測定点の中から、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路の周囲に存在し、又は当該熱流路の周囲及び流路上に存在し、且つ、前記反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置距離が異なる温度測定点を含む、少なくとも3点を、前記入力手段で入力する測温データの温度測定点として選択する選択手段を更に備え
    前記選択した温度測定点のうちの少なくとも1点は、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路上に存在し、且つ、残りの前記選択した温度測定点のうちの少なくとも2点は、前記一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在し、
    前記1次元熱流路上に存在する少なくとも1点の温度測定点での測温データと、前記2次元平面上に存在する選択した少なくとも2点の温度測定点での測温データから、前記1次元の熱流路上の所定位置での温度を予測し、当該予測温度データと、前記一次元の熱流路上に存在する温度測定点での測温データとに基いて、1次元の前記非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行い、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定することを特徴とする反応容器の温度又は熱流束の推定装置。
  11. 温度の経時変化反応を伴う反応容器の壁内部に、2次元又は3次元に分散して設置された複数の温度測定点における測温データを入力する入力処理と、前記入力された測温データに基いて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定する推定処理と、前記推定した温度又は熱流束を出力する出力処理とをコンピュータに実行させて、反応容器の温度又は熱流束を推定するためのコンピュータプログラムであって、
    前記複数の温度測定点の中から、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路の周囲に存在し、又は当該熱流路の周囲及び流路上に存在し、且つ、前記反応容器の壁厚み方向における外表面からの設置距離が異なる温度測定点を含む、少なくとも3点を、前記入力処理で入力する測温データの温度測定点として選択する選択処理を更にコンピューターに実行させ
    前記選択した温度測定点のうちの少なくとも1点は、前記所定位置を通る反応容器高温側表面から低温側表面方向への1次元の熱流路上に存在し、且つ、残りの前記選択した温度測定点のうちの少なくとも2点は、前記一次元の熱流路を含んだ2次元平面上に存在し、
    前記1次元熱流路上に存在する少なくとも1点の温度測定点での測温データと、前記2次元平面上に存在する選択した少なくとも2点の温度測定点での測温データから、前記1次元の熱流路上の所定位置での温度を予測し、当該予測温度データと、前記一次元の熱流路上に存在する温度測定点での測温データとに基いて、1次元の前記非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行い、前記反応容器の内表面、外表面、又は壁内部の所定位置における温度又は熱流束を推定することを特徴とするコンピュータプログラム。
  12. 請求項1に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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