JP2004292880A - 反応容器内の状態を評価する評価方法、操業管理方法、評価装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents

反応容器内の状態を評価する評価方法、操業管理方法、評価装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】反応容器内の状態の非定常性の強さを評価し得るようにする。
【解決手段】温度変化反応を伴う反応容器の壁内部に配置された熱電対で測定される温度データに基づいて、反応容器内の状態を評価する評価方法であって、熱電対で測定される温度データに基づいて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、ある定点における温度或いは熱流束を求める逆問題解析部102と、熱電対で測定される温度データに基づいて、定常法による解析を行うことにより、上記定点における温度或いは熱流束を求める定常法による解析部103とを備え、比較部104では、逆問題解析部102により求められた温度或いは熱流束と、定常法による解析部103により求められた温度或いは熱流束との差を求めて評価の指標とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高炉、燃焼による鋼材加熱炉、石炭ガス化反応炉等の温度変化反応を伴う反応容器の状態を評価するのに好適な評価方法、その評価に基づいて反応容器の操業を管理する操業管理方法、評価装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、高炉炉底の溶銑湯流れを監視する手法として、炉底の煉瓦内に熱電対を埋め込んでおき、その熱電対で測定される温度から炉内の状態を判断することが行われている。
【0003】
ところが、この温度変化は、炉内湯流れの変化が起こった後の遅れ時間を経たものであるため、現在の湯流れを反映したものではない。これは、炉内の温度異常が熱流束変化として高炉の表面に伝わり、その後、煉瓦内部に熱が溜まりつつ、熱伝導効果によって熱が徐々に伝わって、最終的に熱電対に温度変化をもたらすためであり、原理的に熱容量を有する固体内の熱伝導現象は時間遅れを有する(非定常性)。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1に開示されているように、高炉等の反応容器の壁内部での熱伝導現象を非定常の熱伝導逆問題と考えて、熱電対での温度変化から反応容器の内表面における熱流束変化を推定する手法が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−234217号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これまでは、逆問題解析により求めた熱流束の時間推移を単独プロットして評価していたが、熱流束の変化が大きい、小さいだけでは非常に曖昧であり、このままでは、炉内の溶銑湯流れの変化がどの程度非定常性のある変化(急激な流れの変化)なのかを判断することが難しかった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、反応容器内の状態の非定常性の強さを評価し得るようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明では、温度変化反応を伴う反応容器の壁内部に配置された温度測定点で測定される温度データに基づいて、上記反応容器内の状態を評価するに際して、上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、ある定点における温度或いは熱流束を求め、また、上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、定常法による解析を行うことにより、上記定点における温度或いは熱流束を求める。そして、上記逆問題解析により求められた温度或いは熱流束と、上記定常法による解析により求められた温度或いは熱流束とを比較する点に特徴を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明による反応容器の状態を評価する評価方法、操業管理方法、評価装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の好適な実施の形態について説明する。
【0010】
図1には、本実施の形態での評価装置の構成を示す。同図において、101は入力部であり、温度変化反応を伴う反応容器の壁内部に埋め込まれた熱電対(図2を参照)で測定される温度データが入力される。
【0011】
102は逆問題解析部であり、入力部101を介して得られる温度データに基づいて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、反応容器の表面における温度或いは熱流束を求める。
【0012】
103は定常法による解析部であり、入力部101を介して得られる温度データに基づいて、定常法による解析を行うことにより、反応容器の表面における温度或いは熱流束を求める。
【0013】
104は比較部であり、逆問題解析部102により求められた温度或いは熱流束と、定常法による解析部103により求められた温度或いは熱流束とを比較し、具体的には両者の差を求めて評価の指標とする。
【0014】
105は出力部であり、比較部104により比較された結果を、例えば図示しないディスプレイに表示等する。
【0015】
まず、本実施の形態で利用する逆問題解析について説明する。上述した特許文献1にあるように、反応容器の壁内部での熱伝導現象を非定常1次元の熱伝導逆問題と考えて、1つの熱電対温度変化、又は、1次元方向に並んだ複数の熱電対温度変化から、反応容器の内表面における熱流束変化を推定する手法が提案されている。
【0016】
図2は、複数の熱電対「×」が埋め込まれた反応容器(高炉)の炉壁近くの2次元断面を示している。炉壁内に破線で境界を示しているが、1次元とはこの破線に沿った方向の熱流れのみを考慮したことを意味している。すなわち、例えば、1a→1b→1cや1d→1e方向の熱伝導を想定した場合に、炉内表面における熱流束を推定する。このとき、炉外表面の冷却条件を既知と仮定して、未知とした炉内表面における熱流束を求めることが一般的である。もちろん、既知と未知の境界条件を反対にすることも可能である。
【0017】
ところが、本来の非定常1次元の熱伝導逆問題は、炉内表面及び炉外表面での境界条件を同時推定することであり、片側の境界条件を既知と仮定した逆問題解法では、未知とした境界条件の近似的な答えしか得ることができない。例えば、ある熱電対により測定された温度変動が、上述のような反応容器の内表面における熱流束変化によるものなのか、反応容器外に設置された冷却装置の接触不良等によって引き起こされるような反応容器の外表面における熱流束変化によるものかを区別することはできないことになる。
【0018】
また、より厳密に評価するには、熱伝導現象は、図2に示す破線を跨いで上方向にも起こるはずであり、2次元での熱伝導逆問題を解くことが必要となる。この場合には、図2の上下境界が断熱と仮定した場合においても、左右境界の細かな熱流束分布を推定する2次元逆問題を構成する必要があることになる。
【0019】
そこで、本願出願人は、反応容器の内表面及び外表面における熱流束変化や温度変化を同時推定可能とするための逆問題解析について提案している。以下、本願出願人が提案する逆問題解析について詳細に説明すると、逆問題解析に用いられる非定常熱伝導方程式は、下記の数1に示すように表される。
【0020】
【数1】
Figure 2004292880
【0021】
数1において、ρは反応容器の材料の密度、Cは反応容器の材料の比熱、Tは反応容器内部の温度の計算値、tは時間、kは反応容器の材料(例えば、煉瓦)の熱伝導度を表す。
【0022】
熱伝導逆問題解析というのは、計算領域を支配する非定常熱伝導方程式を基にして、領域内部の温度を既知として、領域境界での温度や熱流束等の境界条件を推定することをいう。これに対して、熱伝導順問題解析というのは、既知である領域境界での温度や熱流束等の境界条件から領域内部の温度を推定することをいう。
【0023】
2次元逆問題解析の手法の例としては、例えば、本願出願人が特開2002−206958号公報に開示したものがあり、この手法はそのまま1次元逆問題解析へも適用できる。また、1次元逆問題解析の例として、Beckらにより提案された解析手法が知られている(Beckその他、Inverse Heat Conduction,1985,Wiley,New York)。
【0024】
また、逆問題解析の最近の手法として、カルマンフィルター理論や、射影フィルタ理論等の確率的推定法を適用することも考えられる。この手法は、現状では、上記数1の左辺をゼロと置いた、定常熱伝導方程式(観測方程式)への適用が検討されているが、非定常項を含めて適切に観測行列を構成できれば、同様の逆問題解析ができる可能性がある。この定常微分方程式への、確率推定法の適用例としては、登坂その他、「逆問題の数理と解法・偏微分方程式の逆解析」(東京大学出版会(1999))に詳しい。
【0025】
本実施の形態では、逆問題解析の手法として上記特開2002−206958号公報に開示した考え方を用いる。すなわち、下記の数2に示すように、ある1次元方向(図2に示す1a→1b→1cや1d→1e等)に配置された各熱電対で測定された温度Yと、反応容器の内表面及び外表面における熱流束の仮定値から非定常熱伝導方程式により算出された各熱電対位置での温度Tとの差の二乗の和が最小となる仮定値を反応容器の内表面及び外表面における熱流束として求める。なお、Jは熱電対の数を表す。
【0026】
【数2】
Figure 2004292880
【0027】
このように複数の熱電対位置での温度T、Yを完全に一致させるような解(反応容器の内表面及び外表面における熱流束)を求めるのではなく、最小二乗的に満たすような解を求めることにより、現実的な熱流束変化の推定が可能となる。その理由は、測定温度には様々な測定誤差要因が含まれるため、完全に一致させることは実用的に意味がないといえるからである。
【0028】
なお、計算を安定化させるために、正則化項を付加するようにしてもよい。下記の数3には、0次の正則化項の例を示す。pは推定熱流束の分割数の数であり、αは経験値から得られる正則化パラメータである。
【0029】
【数3】
Figure 2004292880
【0030】
以下に、より具体的に、複数の熱電対位置での温度Yを既知として、反応容器の内表面及び外表面における熱流束を推定する定式化と、計算手続きの一例を示す。
【0031】
下記の数4のSは全体の目的関数を表し、下記の数5は、実測温度Yと計算温度Tの偏差を表す目的関数である。下記の数6は、計算を安定化するために付加した目的関数であり、空間分割方向の値の急激な変化を抑える働きがある。数6中のαやαは、一定の経験値から得られる正則化パラメータである。
【0032】
【数4】
Figure 2004292880
【0033】
【数5】
Figure 2004292880
【0034】
【数6】
Figure 2004292880
【0035】
上記数5では、ある熱電対で測定された温度Yと、熱流束の仮定値から熱伝導方程式モデルにより算出された温度Tの差の二乗が最小となるように目的関数を設定している。また、上記数6では、温度測定誤差があっても解が安定するように空間方向の正則化を施す目的関数を設定している。そして、数4を全体の目的関数として、下記の数7に示すように、未知である熱流束分割領域に対して極小点を探す。
【0036】
【数7】
Figure 2004292880
【0037】
ここで、数8に示すように、解を安定させる目的で、各時間ステップの熱流束値が、一定の未来時間まで不変であると仮定する。時間ステップは、対象とする材料の熱物性・形状等によって変わる。数8のqは熱流束を示し、m時間ステップにおける熱流束qから、将来時間m+r−1時間ステップにおける熱流束qm+r−1が一定であると仮定している。
【0038】
【数8】
Figure 2004292880
【0039】
そして、数7の極小化を、数8の仮定を用いて展開すると、数9に示すように、マトリクス形に展開することができる。
【0040】
【数9】
Figure 2004292880
【0041】
数9のXXは数4の右辺第1項から導かれ、XXに続く2項(α +α )は、数4の右辺第2項から導かれる(上付のTは、転置行列を表す)。Xの構成は、補足式数10として下部に、Xj,i,kとして示している。ここで、時間方向の分割数を示すiは、最大M時間ステップまで変化し、熱電対の数を示すjは、最大J個まで変化して、熱流束分布の分割数を示すkは、最大pまで変化する。なお、数9の上付の*は、繰り返し収束計算での参照値であることを示しており、Tは温度参照値、qは熱流束参照値である。1次元の場合は、両端の境界条件を推定するので、熱流束分布の分割数kは、最大p=2である。
【0042】
【数10】
Figure 2004292880
【0043】
数9は、温度変化が起きた場合の熱流束の変化を推定する連立方程式であり、各時間ステップにおいて、この数9を用いて両端の熱流束qを求める。まずは、前時間ステップでの熱電対位置での計算温度を初期Tとし、数9によりqを求める。このqを、並行して計算している順問題熱伝導方程式モデルの境界条件として与え、温度分布を計算する。ここで求めた温度計算値を、次の温度参照値Tとして、qを再修正する(数9に代入してqを再び求める)。この操作を、数5が一定残差以下になる(収束)まで、qとTの修正を繰り返し、各時間ステップにおける両端の熱流束(最終的なq)を求めていく。この計算手続きを繰り返すことにより、両端の熱流束qの変化を、2つ同時に推定することが可能となる。
【0044】
数10は、一種の感度行列を表しており、端的に言うと、境界端点での熱流束qの単位変化に対する熱電対位置での計算温度Tの変化の大きさの比率を示している。数10は、逆解析と同時に計算している順問題計算によって、各時間ステップにおいて、単位時間ステップあたりの値の計算が可能である。
【0045】
以下、1次元の逆問題解析を例にして、より望ましい解法について説明する。上述のように、2つの端面(反応容器の内表面及び外表面)の熱流束を未知の境界条件とした1次元逆問題を構成(定式化)しても、原理上は解を求めることができる。
【0046】
ただし、熱電対の数や材料の熱物性条件等によって多解となる場合があり、計算が不安定となる可能性がある。その理由の一つは、「未知両端面の熱流束差」の組み合わせを適当に選ぶことができれば、離散的な温度測定点の温度変化を表現する熱流束の組み合わせは無数に存在する可能性があるためである。特に、熱伝導度の低い物質の場合、表面温度が極端に大きくなったり、小さくなったりしてしまうような境界条件を推定してしまう場合でも、離散測定点の温度の変化だけを再現すれば、一つの解として認識してしまうことも起こり得る。これは、現実の現象としてはあり得ないことであるばかりでなく、逆問題計算を非常に不安定なものとする。
【0047】
また、実際の問題として、逆問題解析を開始する時の熱電対の温度(離散測定点の温度)は既知として与えられるが、その他の解析領域での温度分布の初期条件は不明であることが一般的である。このため、任意に与えた仮初期温度分布から計算を始め、計算ステップを進める中で、実際の温度分布を探索・推定し、妥当な温度分布へと徐々に修正しながら、安定的に計算を進めていけるような計算ロジックにすることが求められる(ここで言う温度分布とは、例えば、逆問題解析の計算手続きの中で、上記数9の解を修正するために並行して計算している順問題熱伝導方程式モデルの計算値である)。このように、初期温度分布が不確定であることも、逆問題計算を不安定なものとする大きな要因の一つとなる。
【0048】
以上のことは、逆問題を安定化するためには、逆問題解析の過程で、ある程度の表面温度の目安(拘束条件)を与える必要性があることを示しているといえる。この考え方に基づき、拘束条件を適当に与える手法を、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
まず、反応容器の内表面及び外表面のいずれか片側、ここでは外表面における熱流束として仮の熱流束qを与える。この仮の熱流束qの与え方として、熱伝達率hと参照温度Tとを用いて、
q=h(Tsurf−T
として与える(ステップS201)。
【0050】
surfは未知境界、ここでは反応容器の外表面における温度を示している。この表面温度Tsurfは、逆問題解析の過程で熱流束の値を修正するために、通常は順問題解析も同時に行うが、この順問題解析で求めた表面温度に相当する。
【0051】
また、参照温度Tは反応容器の内部及び内外表面以外での温度である。本実施の形態では、反応容器の冷却条件、例えば、水冷ならば水温等に基づいて定めるようにしている。
【0052】
結果として、上式の左辺である熱流束qをあたかも既知の熱流束情報として与えることができる。このように仮の熱流束情報を与えることで、熱伝達率hと参照温度Tという2つの拘束条件を与えることとなり、任意の熱流束を与えるのに比べて物理的な妥当性を確保して、極端な温度分布が生じることを防ぐことが可能となる。
【0053】
次に、反応容器の外表面における仮の熱流束q(=h(Tsurf−T))を与えて、上記数2、又は、数5に示した温度T、Yの差の二乗の和が最小となる反応容器の内表面における熱流束を、反応容器の内表面における仮の熱流束として算出する(ステップS202)。このステップは、逆問題解析のメインの計算手続きであり、具体的な解法の一つとして、数4から数9に示した定式化と計算手続きが、そのまま適用できる。この場合では、数9を解く際に、反応容器の外表面における仮の熱流束q(=h(Tsurf−T))は既知として与え、反応容器の内表面における仮の熱流束を未知として解くことを意味する。
【0054】
ここで、上記のように片側(反応容器の外表面)の熱流束情報を与えて、逆問題解析により求めた反対側(反応容器の内表面)の熱流束は、一つの解の可能性を示しているに過ぎない。また、既知と仮定した熱伝達率hや参照温度Tも概算値であり、本来ならば未知の値である。
【0055】
そこで、熱伝達率h及び外部参照温度Tの両方或いはいずれかを数点変化させて、すなわち、反応容器の外表面における仮の熱流束qの値を数点(K点)振って、反応容器の外表面における仮の熱流束qと、各仮の熱流束情報qを与えたとき温度T、Yの差の二乗の和が最小となる反応容器の内表面における熱流束との組み合わせをK個得る(ステップS203)。
【0056】
そして、下記の数11に示すように、反応容器の外表面における仮の熱流束qと、各仮の熱流束情報qに対応して得られた反応容器の内表面における熱流束とのK個の組み合わせのうち、温度T、Yの差の二乗の値が最も小さくなる組み合わせを選び出し、その組み合わせを反応容器の内表面及び外表面における熱流束とする(ステップS204)。
【0057】
【数11】
Figure 2004292880
【0058】
上式の大括弧の中は、片側の熱流束を既知として逆問題解析した1ケースの計算結果を示し、その計算をKケース計算した中から更に最小二乗差の最も小さな結果を選び出すことを意味する。
【0059】
この手続を、各時間ステップにおいて繰り返し行うことにより、反応容器の内表面及び外表面における熱流束経時変化を逐次同時計算していくことができる。
【0060】
以上述べたように、反応容器の内表面及び外表面における熱流束変化を同時に求めるような1次元逆問題解析を安定して実行することができる。そして、反応容器の内表面及び外表面における温度変化や熱流束変化を同時推定できれば、例えば、ある温度測定点における温度変動が、反応容器の内表面における熱流束変化によるものなのか、反応容器外に設置された冷却装置の接触不良等によって引き起こされるような反応容器の外表面における熱流束変化によるものかを区別するようなことが可能となる。
【0061】
上記手法は1次元逆問題解析に適用すると簡便であり、実際問題として有効である場合が多い。その理由は、一般的には、反応容器の上端と下端とは断熱条件(対称)とする場合が多く、実用的にも問題ないからである。
【0062】
従って、図2の破線で区切られた範囲での厚み方向1次元を仮定して逆問題解析し、その結果を上下方向に組み合わせることで、2次元化することも可能である。
【0063】
より厳密に図2の上下方向の熱流れも考慮したい場合には、2次元逆問題解析が必要である。このような2次元解析は、図2の左右両端部の熱流束分割を上方向に細かくして、これらの熱電対位置での温度を最小二乗的に最小な熱流束分布を求めることと等価であり、上述した特開2002−206958号公報に開示した逆問題定式化と同様の手法に従って本発明を適用すればよいこととなる。
【0064】
この場合に、図2の上端下端の熱流束に関しては、未知としても、既知としても構わないが、計算の安定性を考慮すると、物理的な考察から適当な熱流束(例えば、断熱等)を与えて既知とした方が望ましい。
【0065】
同様の考えに基づいて、3次元解析への拡張も容易に行うことができる。
【0066】
次に、本実施の形態で利用する定常法による解析について説明する。1次元定常法で、深さ方向(壁(煉瓦)の厚み方向)2点での温度測定値から反応容器の内表面での温度を求める場合は、図4に示すように、2点における温度を直線で結んで、外挿した点の温度を反応容器の内表面での温度とする。また、熱流束は、その直線の傾きであるので、傾きに熱伝導度kを掛けて求めることができる(下記の数12の中間項)。
【0067】
また、深さ方向に2点より多い複数点での温度測定値を含む場合は、図5に示すように、例えば線形の最小二乗法により、複数点における温度を最も満たす直線を求めて、その外挿点の温度を反応容器の内表面での温度とする。また、熱流束は、その直線の傾きに熱伝導度kを掛けて求めることができる(下記の数12の最右項)。
【0068】
【数12】
Figure 2004292880
【0069】
定常法による解析の結果得られる熱流束(定常熱流束)は直線で表現することができるので、どの断面を取っても等しい値となり、そこが逆問題解析の結果得られる熱流束(非定常熱流束)と異なる点でもある。
【0070】
壁の厚み方向の熱移動を支配しているのは、上記数1に示した1次元の非定常熱伝導方程式であるが、概略の平均的な熱流束を簡易的に求めるためには、定常法を用いても問題ない。ところが、実際には、非定常熱伝導方程式の左辺項で表現される煉瓦の熱容量効果によって、煉瓦内の1次元温度分布は定常法のように直線の温度分布とはならず、温度勾配の分布を持った曲線で表現される。これは、熱量が伝達していくには、温度勾配による熱流れ現象(熱伝導率kの効果)だけではなく、煉瓦内に蓄熱していく現象(熱容量ρCの効果)も関係しているからである。
【0071】
特に、外部と接する煉瓦境界面近く(境界条件を与える部分近傍)は、外部の影響により温度勾配が敏感に変化するので、定常法の直線からは大きく剥離しやすい。図6に示すように、例えば、流入熱量が突然に増加すれば、局所的に温度勾配が上昇するし、流入熱量が突然に減少すれば、局所的に温度勾配が減少する。このような変化が瞬間的なものではなく長時間に渡る場合(定常化)、徐々に温度勾配の分布は解消され、ある一定の直線に収斂していくのである(定常状態)。
【0072】
非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析により反応容器の内表面における熱流束を推定する意味合いは、この局所的な温度勾配の変化を的確に捉える点にあり、その非定常変化の大きさを判断できるようにすることが重要である。
【0073】
ここで、ある定点での非定常熱流束・温度で比較することが重要である。求めるべき定点の位置が変わると、温度は勿論のこと、非定常熱流束は変化してしまうからである。その変化の様子を示すために、図7に示すような問題を設定し、4m位置で階段状に変化する熱流束を与えた場合のそれぞれの断面位置での熱流束と温度の推移を検討した。その結果を図8、9に示す。なお、初期の温度分布は27℃一定で与えている。
【0074】
この試行計算が示唆していることは、例えば2m位置、1m位置での温度変化を用いて、逆問題解析により3m位置の熱流束を推定することと、4m位置の熱流束を推定することでは、推定する熱流束の変化は異なることである。2m位置、1m位置に対してより深い位置である4m位置の方が、より鋭角な変化を推定することができることを示しており、3m位置では、かなり鈍化した熱流束しか推定することができないのである。
【0075】
従って、逆問題解析の結果を評価する際には、「どの位置で」評価しているかが非常に重要な要素となり、推定位置が熱電対位置に対して深ければ深いほど、熱流束の変化を正確に再現できることになる。その半面、推定位置が深くなれば、熱電対の位置まで伝わってくる温度が小さくなるので、逆問題解析は不安定化しやすくなり、解が得られ難くなることは言うまでもない。
【0076】
既述したように、これまでは、逆問題解析により求めた定位置での熱流束の時間推移を単独プロットして評価していたが、熱流束の変化が大きい、小さいだけでは非常に曖昧であり、このままでは、炉内の溶銑湯流れの変化がどの程度非定常性のある変化(急激な流れの変化)なのかを判断することが難しかった。
【0077】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、非定常性の評価を明確にするために、逆問題解析により求めた熱流束(非定常熱流束)と、定常法による解析により求めた熱流束(定常熱流束)とを一緒にプロットして比較することで、非常に明解に区別できることを見出した。
【0078】
すなわち、非定常熱流束が定常熱流束よりも低い側にくれば、今後、定常熱流束(平均的な熱流束)は、低下傾向になると推定することができる。その反対に、非定常熱流束が定常熱流束よりも高い側にくれば、今後、定常熱流束(平均的な熱流束)は、上昇傾向になると推定することができる。また、その熱流束差が大きいと、非定常性が大きいので、今後、平均的な熱流束には急激な上昇・低下が起こることを示唆していると判断することができる。
【0079】
これは、定位置の熱流束を比較するのではなく、定位置の推定温度について逆問題解析と定常法による解析の解を比較することでも同様の評価が可能である。また、両者の熱流束差が急激に変わり始める起点を調べれば、急激な上昇、又は、低下の原因が何であったかを特定することも可能となる。
【0080】
このことは、その時点で講じた操業アクションの良否を判断する場合にも、非常に有効な情報となりうる。場合によっては、その操業変更が望ましい熱流束変化を引き起こしていなければ、操業諸元を元に戻したり、他に変更したりするための参考データともなりうる。
【0081】
その非定常変化をより明確化するために、定位置での非定常熱流束(或いは温度)と、定常熱流束(或いは温度)の差をとって非定常性指標として、非定常性の強度を評価する方法も考えられる。非定常性指標は、下記の数13に示す式(1)、(2)等のように定義することが可能であり、定位置での熱流束差、又は、温度差を数値化することにより定量的な把握が可能となる。非定常性指標は、どの定位置で定義した値なのかを明らかにすることが重要であり、その定義位置によって値が変化することは上述した通りである。
【0082】
【数13】
Figure 2004292880
【0083】
この非定常熱伝導方程式による逆問題モデルは、あくまでもモデルであるので、その非定常性を評価する目的で、実際には壁がないと考えられるような深部位置を定位置と定めて、非定常熟伝導逆問題解析を施すことも可能である。このようにあえて深い位置に設定すると、計算は不安定になりやすいが、非定常変化がシャープに表れるので、変化の起点を明確に示すことができる。また、深さは異なるが、同じ種類の反応炉の操業実績と比較する際には、定位置の基準を決めて解析結果を比較できた方が、同じ土俵で議論しやすい。
【0084】
あまり浅い位置に定位置の基準を固定すると、図8に示すように、非定常性が鈍ってしまい、望ましい比較結果が得られない場合もある。このような場合は、仮想的にでも、最も煉瓦厚みが深い反応炉に基準を設定した方が望ましいと考える。
【0085】
また、臨界の非定常性指標を定めておき、その値を超えた場合に、適切な操業アクションを付与するような一定の基準を定めることも可能となる。ただし、非定常性指標は、現状の定常熱流束(定常定位置温度)を基準として、その後の変化の大きさ・方向性を推定しているだけなので、その時の熱流束の大きさによって意味合いは変わってくる。即ち、非定常性指標と熱流束の絶対値の両者の関係が重要である。
【0086】
図10に、その考え方をマッピングした一例を模式的に示す。横軸に非定常性指標ΔTtran、縦軸に定常熱流束を取っている。この操業では、定常熱流束をある基準値Q以上に保持することが求められているとする。さらに、時系列の解析結果を本図のマップ上にプロットすると、○プロットが「→」で示した軌跡で変化しているとする。最後の(直前の)○プロットは基準値以上の定常熱流束を示しているが、非定常性指標ΔTtranは臨界値−20℃を超えてマイナス方向に大きく振れている。このことは、定常熱流束の現在の値は基準値以上であるが、非定常性指標ΔTtranの臨界値−20℃を大きく超えて、将来的には大きく低下するであろうと、警報を鳴らしていると解釈することができる。
【0087】
この例では、非定常性指標ΔTtranの臨界値を−20℃としているが、その値は、操業の安定化への考え方や許容できる熱流束の変化代、反応容器壁の熱物性値、推定する定位置(厚み位置)によっても勿論変化する。また、ここでは、縦軸の値を定常熱流束としているが、非定常熱流束としてもなんら問題はない。
【0088】
(実施例)
図11には、高炉炉底の底盤に設置されているカーボン煉瓦内に埋め込まれた熱電対を用いて、1次元の非定常熱伝導モデルを仮定して、逆問題解析を試みた例を模式的に示す。熱電対は、冷却面側に偏って2本埋め込まれており、TC1は高温側熱電対、TC2は低温側熱電対を示す。これら熱電対TC1、TC2で測定される温度変化から、上述した逆問題解析により、高温熱流束面での非定常熱流束q1と、冷却面での非定常熱流束q2とを同時に推定する。高温熱流束面位置は冷却面から4.0m奥の定点である。仮定したカーボン煉瓦の熱物性値は、比熱Cp=712J/(kg・K)、密度ρ=2300kg/m、熱伝導度k=21.2W/(m・K)である。また、逆問題解析の時間ステップは8時間であり、5分間隔でサンプリングした小数点以下1桁までの温度データを1時間で平均化して計算に用いた。
【0089】
図12(c)、(d)には、高温側熱電対TC1での温度及び低温側熱電対TC2での温度(逆問題解析に用いる温度データ)の推移を示す。なお、横軸は日付であり、9月1日から11月25日までの結果を示す。
【0090】
図12(a)には、上記温度データを用いて推定した高温熱流束面(4m位置)での逆問題解析による熱流束と、定常法による熱流束の結果を示す。逆問題解析による非定常熱流束の推移の方が大きな変動を示す一方で、定常法による定常熱流束はゆったりと推移している。この推移を比較すると、11月8日頃より、両手法による熱流束の違いが大きくなり、非定常な炉内溶銑流の変化があったことを推定することができる。
【0091】
図12(b)には、上記温度データを用いて推定した高温熱流束面(4m位置)での逆問題解析による温度推定値と、定常法による温度推定値の結果を示す。この結果からも、熱流束の場合と同様の傾向を読み取ることが可能である。
【0092】
図12(a)、(b)に共通して言えることは、いずれも非定常熱流束(温度)の方が、定常熱流束(温度)よりも早めに動いている点である。非定常熱流束(温度)が上がれば(下がれば)、2〜3日遅れて定常熱流束(温度)が上がっている(下がっている)。特に、顕著に表れているのが11月8日頃の両者の挙動である。
【0093】
また、同様の時間遅れは、図12(d)に示す熱電対温度の傾向と、図12(a)、(b)のグラフを比較することでも定性的に確認できる。
【0094】
図12(e)には、温度で表した高温熱流束面(4m位置)での非定常性指標ΔTtranの変化を示す。このような指標で表現することにより、いつ変化の起点があったのかが見えやすくなる。
【0095】
図13には、この計算結果を、非定常性指標ΔTtranと定常熱流束との間でマッピングした結果を示す。この結果は、定常熱流束の最低基準値を3500W/mとして、非定常性指標ΔTtranの臨界値を−30℃に設定した。ところが、−30℃では、この値を切った後に急速に定常熱流束が低下して、最終的には大幅に基準値を下回る結果となっている。−30℃を切る前には、熱流束を上げる特別な操業アクションはとっていなかった。
【0096】
この結果から、この計算条件では、もう少し非定常性指標の臨界設定値の絶対値を小さめに設定すべきことを示唆している。今後は、試行的に、「非定常性指標ΔTtranの臨界値を−15℃程度に合わせ、この値を勢いよく切った場合に適切な操業アクションを取るようにする」というような操業基準に厳格化する等、基準設定後の操業結果に応じて設定値を適正化することが求められる。
【0097】
非定常性指標ΔTtranは、炉の内部定点での定常性からの偏倚を示すものなので、従来よりも早期に変化の兆候を捉えることができる。従って、この指標の特性を活用して適切なアクション基準を設定することができれば、生産コスト低減には結びつくが、操業条件として悪条件であるような、ぎりぎりの操業を進めながらも、炉内の状況が悪化する兆候を早期に検知して、即座に回復アクションを打つ機動的な操業設計が可能となる。
【0098】
(他の実施の形態)
以上説明した評価装置は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、ROM、RAM等で構成されるものであり、上述のようにRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0099】
従って、プログラム自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、本発明を構成する。プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネット等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線回線や無線回線等)を用いることができる。
【0100】
さらに、上記プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した記憶媒体は本発明を構成する。かかる記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0101】
なお、上記実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、本発明をネットワーク環境で利用すべく、一部のプログラムが他のコンピュータで実行されるようになっていてもかまわない。
【0102】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、逆問題解析により求めた熱流束と定常法により求めた熱流束とを比較することで、反応容器内の状態の非定常性の強さを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態での評価装置の構成を示す図である。
【図2】複数の熱電対が埋め込まれた反応容器(高炉)の炉壁近くの2次元断面を示す図である。
【図3】逆問題解析における処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】定常法による解析を説明するための図である。
【図5】定常法による解析を説明するための図である。
【図6】流入熱量が突然に変化した状態を説明するための図である。
【図7】問題設定を説明するための図である。
【図8】4m位置で階段状に変化する熱流束を与えた場合のそれぞれの断面位置での熱流束変化を表すグラフである。
【図9】4m位置で階段状に変化する熱流束を与えた場合のそれぞれの断面位置での温度変化を表すグラフである。
【図10】横軸を非定常性指標、縦軸を定常熱流束としてマッピングした例を示す図である。
【図11】実施例における熱電対TC1、TC2の配置関係を示す図である。
【図12】実施例における解析結果を説明するための図である。
【図13】実施例において、横軸を非定常性指標、縦軸を定常熱流束としてマッピングした例を示す図である。
【符号の説明】
101 入力部
102 逆問題解析部
103 定常法による解析部
104 比較部
105 出力部

Claims (9)

  1. 温度変化反応を伴う反応容器の壁内部に配置された温度測定点で測定される温度データに基づいて、上記反応容器内の状態を評価する評価方法であって、
    上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、ある定点における温度或いは熱流束を求める逆問題解析手順と、
    上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、定常法による解析を行うことにより、上記定点における温度或いは熱流束を求める定常法による解析手順と、
    上記逆問題解析手順により求められた温度或いは熱流束と、上記定常法による解析手順により求められた温度或いは熱流束とを比較する比較手順とを有することを特徴とする評価方法。
  2. 上記比較手順では、上記逆問題解析手順により求められた温度或いは熱流束と、上記定常法による解析手順により求められた温度或いは熱流束との差を求めることを特徴とする請求項1に記載の評価方法。
  3. 上記定点は上記反応容器の内表面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の評価方法。
  4. 上記反応容器の壁内部の少なくとも厚み方向に複数の温度測定点が配置されており、上記逆問題解析手順では、上記反応容器の内表面及び外表面における温度或いは熱流束を求めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
  5. 上記各温度測定点で測定される温度と、上記反応容器の内表面及び外表面における温度或いは熱流束の仮定値から非定常熱伝導方程式により算出された上記各温度測定点位置での温度との差の二乗の和が最小となる上記仮定値を上記反応容器の内表面及び外表面における温度或いは熱流束として求めることを特徴とする請求項4に記載の評価方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法による評価に基づいて、上記反応容器の操業を管理する操業管理方法。
  7. 温度変化反応を伴う反応容器の壁内部に配置された温度測定点で測定される温度データに基づいて、上記反応容器内の状態を評価する評価装置であって、
    上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、ある定点における温度或いは熱流束を求める逆問題解析手段と、
    上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、定常法による解析を行うことにより、上記定点における温度或いは熱流束を求める定常法による解析手段と、
    上記逆問題解析手段により求められた温度或いは熱流束と、上記定常法による解析手段により求められた温度或いは熱流束とを比較する比較手段とを備えたことを特徴とする評価装置。
  8. 温度変化反応を伴う反応容器の壁内部に配置された温度測定点で測定される温度データに基づいて、上記反応容器内の状態を評価する処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
    上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、非定常熱伝導方程式を用いた逆問題解析を行うことにより、ある定点における温度或いは熱流束を求める逆問題解析処理と、
    上記温度測定点で測定される温度データに基づいて、定常法による解析を行うことにより、上記定点における温度或いは熱流束を求める定常法による解析処理と、
    上記逆問題解析処理により求められた温度或いは熱流束と、上記定常法による解析処理により求められた温度或いは熱流束とを比較する比較処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  9. 請求項8に記載のコンピュータプログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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