JP7110969B2 - 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム - Google Patents
転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム Download PDFInfo
- Publication number
- JP7110969B2 JP7110969B2 JP2018236436A JP2018236436A JP7110969B2 JP 7110969 B2 JP7110969 B2 JP 7110969B2 JP 2018236436 A JP2018236436 A JP 2018236436A JP 2018236436 A JP2018236436 A JP 2018236436A JP 7110969 B2 JP7110969 B2 JP 7110969B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- converter
- molten steel
- correction term
- phosphorus concentration
- value
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Description
3(CaO)+5(FeO)+2[P]=(3CaO・P2O5)+5[Fe]
※()はスラグ内、[]は溶銑内を示す
上記の構成によれば、溶鋼中りん濃度の予測値を算出するための補正項の学習を逐次実行することができ、補正項に含まれる本質的なプロセス変動の影響とノイズとを区別することができる。従って、吹錬開始前の時点における溶鋼中りん濃度の予測精度を向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る転炉吹錬制御装置を含む精錬設備の概略的な構成を示す図である。図1に示されるように、精錬設備1は、転炉設備10と、計測制御装置20と、転炉吹錬制御装置30とを含む。このうち、転炉設備10は、転炉11と、上吹きランス12と、投入装置13とを含む。転炉設備10では、転炉11の炉口から挿入された上吹きランス12が溶銑111に供給する酸素ガスによって、一次精錬の脱炭処理が行われる。脱炭処理を経た溶銑111は、溶鋼112として次工程に送られる。また、脱炭処理では、溶銑111内のりんおよびケイ素も酸素ガス121、またはスラグ113に含まれる副原料と反応し、スラグ113中に取り込まれて安定化する。投入装置13は、スラグ113を構成する生石灰などを含む副原料131を転炉11内に投入する。なお、副原料131が粉体である場合は、上吹きランス12を用いて酸素ガス121とともに吹き込むことも可能である。
図2は、本発明の一実施形態に係る転炉吹錬制御方法の工程を概略的に示すフローチャートである。図示された工程は、転炉11における吹錬処理の開始前に実行される。図示された例では、まず、転炉吹錬制御装置30の溶鋼中りん濃度予測部321が、記憶部33から溶銑・副原料データ331および予測実績データ332を読み込む(ステップS11,S12)。ここで、補正項算出部322が、読み込まれた予測実績データ332に基づいて、溶鋼中りん濃度予測のための補正項を算出する(ステップS13)。次に、溶鋼中りん濃度予測部321は、算出された補正項を用いて溶鋼中りん濃度の予測値を算出する(ステップS14)。次に、媒溶材量修正部323が、目標データ333に含まれる溶鋼中りん濃度の目標値と、溶鋼中りん濃度予測部321によって算出された溶鋼中りん濃度の予測値とに基づいて媒溶材の投入量を修正する(ステップS15)。修正された投入量を含む制御信号は、通信部31を介して副原料投入制御装置23に送信される。その後、吹錬処理の初期において、修正された投入量に従って副原料投入制御装置23が副原料131として生石灰などの媒溶材を投入する。
本実施形態では、溶鋼中りん濃度(以下、[P](%)とも表記する)の時間変化が、以下の式(1)の一次反応式で表されるものとする。なお、[P]ini(%)は[P]の初期値(溶銑中りん濃度)、k(sec-1)は脱りん速度定数を表す。
カルマンフィルタは、対象プロセスのダイナミクスが線形の状態空間モデルに従う場合に、観測値からモデル内部の状態量を逐次的に推定する手法である。本実施形態では、式(4)における補正項βpの状態空間モデルが線形であると仮定しているため、カルマンフィルタの適用が可能である。カルマンフィルタは、以下の式(5)で表されるような線形ガウス状態空間モデルを対象にする。なお、xtは状態量ベクトル、ytは観測値ベクトル、Ftは時変のn×m行列、Gtは時変のn×1行列、Htは時変のn×m行列、Rnはn次元ベクトル空間を表す。
上述のように、本実施形態では、溶鋼中りん濃度の予測値を算出するための式(4)における補正項βpを状態空間モデルで表現し、この状態空間モデルに対してカルマンフィルタを適用することによって補正項βpを算出する。
さらに、補正項βpが操業要因の影響を受けると考え、操業要因による回帰効果を導入して状態量xt(補正項βpの真の値)および観測値ytを算出してもよい。この場合、上記の状態空間モデルの式(11),(12)を、以下の式(13),(14)のように書き換えることができる。ここで、X1,X2,X3は、いずれも操業要因に対応する変数である。具体的には、例えば、X1を溶銑温度(℃)、X2をホットリサイクルスラグ中のCaO成分濃度(%)、X3をホットリサイクルスラグ量(ton)とする。これらの変数は、いずれも操業上の知見から脱りん反応への影響が大きいことが知られている。他の例では、より多い、またはより少ない変数が用いられてもよく、また上記の例とは異なる変数が用いられてもよい。
図4~図6は、本発明の一実施形態における状態空間モデルの使用の効果について説明するためのグラフである。それぞれのグラフにおいて、溶鋼中りん濃度[P]の予測値および実測値は、いずれも中間サブランス測定の時点における値であり、従ってSL[P]calおよびSL[P]actと記載されている。なお、SL[P]calおよびSL[P]actの値はいずれも正規化されている。図4には、ケース0として、補正項βpを含まない上記の式(2)を用いて[P]を予測した場合の予測値SL[P]calと実測値SL[P]actとの関係が示されている。図5には、ケース1として、補正項βpを含む上記の式(4)、および式(5)~式(12)を用いて、補正項βpを導入して[P]を予測した場合の予測値SL[P]calと実測値SL[P]actとの関係が示されている。図6には、ケース2として、状態空間モデルの式として上記の式(13),(14)を用い、操業要因による回帰効果を導入した場合の予測値SL[P]calと実測値SL[P]actとの関係が示されている。
上記のようにして補正項βpを導入して算出された溶鋼中りん濃度[P]の予測値を用いることによって、吹錬処理の初期に投入されるCaO含有副原料、具体的には生石灰などの媒溶材の投入量を適正化することができる。既に述べたように、転炉吹錬ではスタティック制御とダイナミック制御とを組み合わせた吹錬制御が行われている。本実施形態では、スタティック制御において、予め物質収支や熱収支に基づいた数式モデルなどを用いて決定された生石灰などの媒溶材の投入量を、補正項βpを含む[P]の予測値を用いて修正する。
Claims (7)
- 転炉で吹錬処理される溶銑に関する溶銑データ、および前記転炉に投入される副原料に関する副原料データを前記転炉における吹錬処理時の溶鋼中りん濃度に関連付ける関数に、前記転炉における過去の吹錬処理時の溶鋼中りん濃度の予測値および実績値を含む予測実績データに基づいて学習される補正項を加えることによって前記溶鋼中りん濃度の予測値を算出する予測値算出手段と、
前記補正項を状態空間モデルで表現し、前記状態空間モデルに対して前記予測実績データに含まれる前記予測値と前記実績値との差分を観測値とするカルマンフィルタを適用することによって前記補正項を算出する補正項算出手段と
を備える転炉吹錬制御装置。 - 前記予測実績データは、前記転炉における過去の吹錬処理時の中間サブランス測定の時点における溶鋼中りん濃度の予測値、および前記中間サブランス測定で取得された前記実績値を含む、請求項1に記載の転炉吹錬制御装置。
- 前記補正項算出手段は、前記状態空間モデルにおける状態量をランダムウォークさせる、請求項1または請求項2に記載の転炉吹錬制御装置。
- 前記補正項算出手段は、前記状態空間モデルにおける状態量を前記吹錬処理の操業要因による回帰効果を導入することによって算出する、請求項1または請求項2に記載の転炉吹錬制御装置。
- 前記溶鋼中りん濃度の予測値に基づいて前記副原料に含まれるCaO含有副原料の投入量を修正する投入量修正手段をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の転炉吹錬制御装置。
- 転炉で吹錬処理される溶銑に関する溶銑データ、および前記転炉に投入される副原料に関する副原料データを前記転炉における吹錬処理時の溶鋼中りん濃度に関連付ける関数に、前記転炉における過去の吹錬処理時の溶鋼中りん濃度の予測値および実績値を含む予測実績データに基づいて学習される補正項を加えることによって前記溶鋼中りん濃度の予測値を算出する予測値算出工程と、
前記補正項を状態空間モデルで表現し、前記状態空間モデルに対して前記予測実績データに含まれる前記予測値と前記実績値との差分を観測値とするカルマンフィルタを適用することによって前記補正項を算出する補正項算出工程と
を含む、転炉吹錬制御方法。 - 転炉で吹錬処理される溶銑に関する溶銑データ、および前記転炉に投入される副原料に関する副原料データを前記転炉における吹錬処理時の溶鋼中りん濃度に関連付ける関数に、前記転炉における過去の吹錬処理時の溶鋼中りん濃度の予測値および実績値を含む予測実績データに基づいて学習される補正項を加えることによって前記溶鋼中りん濃度の予測値を算出する予測値算出手段と、
前記補正項を状態空間モデルで表現し、前記状態空間モデルに対して前記予測実績データに含まれる前記予測値と前記実績値との差分を観測値とするカルマンフィルタを適用することによって前記補正項を算出する補正項算出手段と
を備える転炉吹錬制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018236436A JP7110969B2 (ja) | 2018-12-18 | 2018-12-18 | 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018236436A JP7110969B2 (ja) | 2018-12-18 | 2018-12-18 | 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020097768A JP2020097768A (ja) | 2020-06-25 |
JP7110969B2 true JP7110969B2 (ja) | 2022-08-02 |
Family
ID=71106689
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018236436A Active JP7110969B2 (ja) | 2018-12-18 | 2018-12-18 | 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7110969B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7135850B2 (ja) * | 2018-12-28 | 2022-09-13 | 日本製鉄株式会社 | 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001343444A (ja) | 2000-06-02 | 2001-12-14 | Mitsubishi Electric Corp | 測位装置、測位方法および測位プログラムを記録した媒体 |
JP2004292880A (ja) | 2003-03-26 | 2004-10-21 | Nippon Steel Corp | 反応容器内の状態を評価する評価方法、操業管理方法、評価装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11117013A (ja) * | 1997-10-13 | 1999-04-27 | Nisshin Steel Co Ltd | 転炉吹錬方法 |
JP3882705B2 (ja) * | 2002-07-25 | 2007-02-21 | Jfeスチール株式会社 | 転炉吹錬制御方法 |
JP4915316B2 (ja) * | 2007-08-28 | 2012-04-11 | 住友金属工業株式会社 | 転炉吹錬制御方法及び転炉吹錬制御システム |
JP5582105B2 (ja) * | 2011-07-15 | 2014-09-03 | 新日鐵住金株式会社 | 転炉吹錬制御方法 |
-
2018
- 2018-12-18 JP JP2018236436A patent/JP7110969B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001343444A (ja) | 2000-06-02 | 2001-12-14 | Mitsubishi Electric Corp | 測位装置、測位方法および測位プログラムを記録した媒体 |
JP2004292880A (ja) | 2003-03-26 | 2004-10-21 | Nippon Steel Corp | 反応容器内の状態を評価する評価方法、操業管理方法、評価装置、コンピュータプログラム、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020097768A (ja) | 2020-06-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3770279B1 (en) | Molten metal component estimation device, molten metal component estimation method, and molten metal production method | |
JP7135850B2 (ja) | 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム | |
JP6897261B2 (ja) | 溶鋼中りん濃度推定方法、転炉吹錬制御装置、プログラム及び記録媒体 | |
JP4093934B2 (ja) | モデルパラメータ決定方法及びそのプログラム,モデル予測方法及びそのプログラム | |
JP4915316B2 (ja) | 転炉吹錬制御方法及び転炉吹錬制御システム | |
JP7110969B2 (ja) | 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム | |
JPWO2015045766A1 (ja) | 転炉吹錬設備の制御装置及び制御方法 | |
JP2017025379A (ja) | 溶銑予備処理方法及び溶銑予備処理制御装置 | |
JP2012167366A (ja) | リン濃度予測装置及び吹錬制御方法 | |
JP5854171B2 (ja) | 補正装置、補正方法及び鉄鋼精錬方法 | |
CN111032887B (zh) | 钢水中磷浓度估计方法、转炉吹炼控制装置、程序和记录介质 | |
JP5821656B2 (ja) | 生石灰濃度予測装置及び吹錬制御方法 | |
US20220235428A1 (en) | Heat treatment furnace, information processing apparatus and information processing method | |
JP2001294928A (ja) | 転炉吹錬の終点制御方法 | |
CN108138246B (zh) | 铁水预处理方法以及铁水预处理控制装置 | |
JP7043949B2 (ja) | T.Fe推定方法、T.Fe制御方法、転炉吹錬制御装置、およびプログラム | |
JP2018095943A (ja) | 溶銑予備処理方法、溶銑予備処理制御装置、プログラム及び記録媒体 | |
JP2012149341A (ja) | 溶湯成分推定方法及び溶湯成分推定装置 | |
JP2024005899A (ja) | 統計モデル構築装置、方法及びプログラム、並びに溶鋼中りん濃度推定装置、方法及びプログラム | |
JP7319538B2 (ja) | 転炉吹錬制御装置、転炉吹錬制御方法およびプログラム | |
RU2817694C1 (ru) | Устройство управления процессом рафинирования и способ управления процессом рафинирования | |
JP2004059955A (ja) | 転炉吹錬制御方法 | |
RU2282666C1 (ru) | Устройство для управления выплавкой стали в конвертере | |
JP5211600B2 (ja) | 工業プロセスの制御方法および装置 | |
EP3943618A1 (en) | Blowing control method of converter-type dephosphorization refining furnace and blowing control device |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210810 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220613 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220621 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220704 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7110969 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |