JP4093934B2 - モデルパラメータ決定方法及びそのプログラム,モデル予測方法及びそのプログラム - Google Patents

モデルパラメータ決定方法及びそのプログラム,モデル予測方法及びそのプログラム Download PDF

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Description

本発明は,所定のモデル対象のモデル式におけるモデルパラメータの値を過去の実績データに基づいて精度高く決定するモデルパラメータ決定方法,及びこれによりモデルパラメータが決定されたモデル式を用いてモデル対象の観測値を予測するモデル予測方法に関するものであり,特に,転炉における炭素濃度や温度,リン濃度等の観測値を予測するモデル式のモデルパラメータの決定及びモデル予測への適用に好適なモデルパラメータ決定方法及びモデル予測方法に関するものである。
転炉の主な役割は,吹錬によって溶銑中の炭素分を取り除き,処理後の炭素分と温度を目標通りにすることである。この転炉には,高炉から出銑され,脱珪,脱燐,脱硫などの処理を経た後の溶銑が装入される。
図5は,転炉の概略構成を表す模式図である。
転炉1内では,ランス2から酸素がマッハを超えるスピードで溶銑に吹き付けられ,その酸素が溶銑中の炭素分と結びついて(脱炭),COを主成分とするガスが生成され,これが排ガスとなって炉外へ排出される。ここで,脱炭(2C+O2→2CO)は発熱反応であるため,吹錬によって溶銑が溶鋼に変化しながらその温度は非常に高い温度まで上昇する。
この吹錬の最中は,高温かつ悪環境であるため,炭素濃度や温度を連続的に計測するのは困難である。このため,吹錬プロセスの後半に転炉1内にサブランス3を挿入し,溶鋼の炭素濃度や温度(観測値)をサンプル計測(検出)することが一般的である。そして,その計測値(観測値)に基づいて,所定の予測モデルを用いて炭素濃度と溶鋼温度の時系列変化をリアルタイムで予測し,炭素濃度と溶鋼温度がともに目標値(目標範囲)に至ったところで吹錬を停止する。なお,溶鋼温度が目標より高い場合には,鉄鋼石などを副原料投入ホッパ4を通じて転炉内に投入することによって溶鋼を冷却する。
従来,転炉の予測モデルは,まず,所定の理論式に基づいてモデル式を作成し,そのモデル式のパラメータ(以下,モデルパラメータという)の値を,転炉の過去の実績データ(実績操業データ)に基づいて決定することにより得ることが多い。具体的には,モデル式による予測値と過去の実績データの値とが近似するように,重回帰計算法や二次計画法等を用いてモデルパラメータを決定する。
ここで,転炉のような外乱や不確定要因が大きなモデル対象において,高精度にモデルパラメータを決定するためには,これから行う溶銑・溶鋼の吹錬条件(成分,温度,性質等)が極力共通する多数の過去の実績データを必要とする。
一方,多品種少量生産を実施している転炉においては,吹錬条件が様々であるため,これから行う吹錬の吹錬条件と同一の吹錬条件の過去の実績データが多数存在しないことが多い。
そこで従来,吹錬条件が比較的近似するもの(略同一種類のもの)ごとに過去の実績データをグループ化し,これから行う吹錬の条件と同一グループに属する(略同一種類の対象の)過去の実績データをモデルパラメータの決定に用いていた。
また,特許文献1には,精錬計算における誤差を予測するモデル式において,現在の操業の要因だけでなく,過去の操業の誤差と過去の操業の要因とを考慮した時系列モデル式を用いるバッチ式溶融精錬炉(転炉等)の精錬制御方法が提案されている。
また,特許文献2には,現在のチャージの入力値に近いデータ(近傍データ)を,過去の実績データの中から一定個数(N個)抽出し,このN個の近傍データの出力を平均し,この平均値を現在のチャージの出力推定値とするとともに,このN個の近傍データの出力の標準偏差を出力の推定誤差とする方法が提案されている。
特開平2−190413号公報 特開2002−236119号公報
しかしながら,操業頻度の少ない特殊材や新しい品種の鋼種については,過去の実績データの蓄積が少ないため,重回帰計算等に必要な数の過去の実績データが存在せず,モデルパラメータを求めることができない,或いはモデルの予測精度が著しく悪化するという問題点があった。この場合,精度の劣化を覚悟で他グループのモデルパラメータを用いたり,オペレータが経験と試行錯誤でモデルパラメータを手動補正したりして,対処せざるを得なかった。
また,操業頻度の少ない特殊材については,必要数分の過去の蓄積データを集めるためには,相当過去まで遡らなければなない。この場合,過去の実績データ相互間に,転炉の経時変化の影響が大きく反映されているため,精度の高いモデルを求めることができないという問題点があった。
一方,特許文献1に示される技術は,モデル式の構造の改良に関するものであり,重回帰計算法等の統計解析手法を用いて行うモデルパラメータの決定方法について特に特徴をなすものではない。よって,前述の問題点は解決されない。
また,特許文献2に示される技術では,モデル式の構造を決定しなくてもよい反面,モデル式がないために,操作入力を最適化するような場合に使うことができないという問題点がある。もちろん,操作入力の全パターンについて出力予測値をシミュレートするような力作業な手法を用いれば可能ではあるが,そのようなことは現実的ではない。
また,モデル式(理論式であればなお良い)を用いれば,過去の実績データがない領域や,計測エラー等による異常データが一部に含まれる領域でも外挿・内挿計算によってある程度の精度を補償することができるが,モデル式がない特許文献2に示される技術では,過去の実績データがない領域では予測精度が全く補償されず,異常データから大きな悪影響を受けやすいという問題点もある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,モデル対象と同一の或いは同一グループに属する対象の過去の実績データが少ない場合であっても,他の適切なデータを補充することにより,モデル式のパラメータの値を重回帰計算法や二次計画法等の計算等によって精度高く求めることができるモデルパラメータ決定方法,及びこれによりモデルパラメータが決定されたモデル式を用いてモデル対象の観測値を正確に予測するモデル予測方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は,転炉のモデル式におけるモデルパラメータの値を過去の実績データに基づいて決定するモデルパラメータ決定方法において,前記モデルパラメータの値の決定に用いる予め定められた数の前記過去の実績データである使用実績データ群の一部として第1の過去の実績データが与えられた場合に,前記第1の実績データと前記第1の過去の実績データ以外で存在する第2の過去の実績データとの値の近さを,各実績データを構成するデータの組を座標空間に表したときの該座標空間における前記データの組の位置の距離に基づき算出する近似度算出工程と,前記第2の過去の実績データの中から,前記近似度算出工程により求めた前記値の近さが近いものから順に選出すること又は前記値の近さが予め設定された許容範囲に収まるものを選出することによって前記使用実績データ群の不足分を決定する不足データ決定工程と,前記第1の過去の実績データに前記不足データ決定工程で決定されたデータを加えた前記使用実績データ群に基づいて前記モデルパラメータの値を決定するパラメータ値決定工程と,を有してなることを特徴とするモデルパラメータ決定方法である。
本発明により,モデル対象と略同一種類(同一グループ)の対象の過去の実績データ(前記第1の過去の実績データ)が不足する場合であっても,他種類(他グループ)の対象の実績データ(前記第2の過去の実績データ)から適切なデータ(モデル対象の実績データに近いデータ)が補充される。
また,前記モデル式としては,例えば,複数パラメータからなる前記モデルパラメータの一次結合で表されるものが考えられる。
さらに,前記モデル式としては,転炉のスタティックモデル,転炉のダイナミックモデル,転炉における主原料配合量計算モデル,転炉における副原料投入量計算モデル,転炉における合金鉄添加量計算モデル,又は転炉の前プロセスである溶銑予備処理における脱硫(S)モデル,脱燐(P)モデル,脱珪(Si)モデル若しくは温度モデル等が考えられる。
また,本発明は前記モデルパラメータ決定方法によりモデルパラメータが決定されたモデルによってモデル対象の所定の観測値を予測するモデル予測方法として捉えたものであってもよい。
この場合,所定のモデル対象のモデル式により該モデル対象の所定の観測値を予測するモデル予測方法において,前述したモデルパラメータ決定方法によりモデルパラメータが決定された前記モデル式による予測値と前記所定のモデル対象の観測値との偏差に基づいて,前記モデル式による予測値を補正する予測値補正工程を有してなることを特徴とするモデル予測方法が考えられる。
また,本発明は,前記モデルパラメータ決定方法における各工程をコンピュータに実行させるためのモデルパラメータ決定プログラムとして捕らえたものであってもよい。
同様に,前記モデル予測方法における各工程をコンピュータに実行させるためのモデル予測プログラムとして捉えたものであってもよい。
本発明によれば,以上示したように,モデル対象と略同一種類の対象の過去の実績データが不足する場合であっても,他の種類の対象の実績データから適切なデータ(モデル対象の実績データに近いデータ)が補充されるので,モデルパラメータの値を重回帰計算法や二次計画法等の計算によって精度高く求めることができる。
本発明に係るモデルパラメータ決定方法によりパラメータが決定されたモデル式による予測値とモデル対象の観測値との偏差に基づいて,モデル式による予測値を補正すれば,モデルの予測値にオフセット誤差が生じた場合でも,その誤差を補償でき,より正確なモデル予測が可能となる。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法の手順を表すフローチャート,図2は過去の実績データのn次元空間におけるユークリッドノルムを模式的に表した図,図3は本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法で用いる過去の実績データの一例を表す散布図,図4は本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法と従来のモデルパラメータ決定方法とを用いた場合のモデル予測精度を比較するグラフ,図5は本発明を適用可能なモデル対象である転炉の概略構成を表す模式図である。
以下,図1のフローチャートを用いて,モデル対象が転炉である場合を想定して,本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法の手順について説明する。
ここで,図1の手順に入る前に,これから生産しようとするある鋼種Aについての転炉の吹錬プロセスのモデル式Ymが与えられているものとし,該モデル式Ymに含まれる複数のモデルパラメータを過去の実績データに基づく重回帰計算等によって求める際に,N組の過去の実績データ(使用実績データ群)が必要であるとする。この必要数Nの値は,モデル構造やパラメータ数,データのばらつき等から経験的に決める。モデル式としては,転炉のスタティックモデル,転炉のダイナミックモデル,転炉における主原料配合量計算モデル,転炉における副原料投入量計算モデル又は転炉における合金鉄添加量計算モデル等が考えられる。
(ステップ1)
まず,対象鋼種A又はこれと近似するほぼ同一種類の(同一グループに属する)鋼種についての過去の実績データの中から,M組(N>M>0)の実績データを選定する(S1)。
本ステップでは,原則として,鋼種Aについての(同種の)過去の実績データを選定するが,鋼種Aについての過去の実績データが存在しない,或いは極端に少ない場合には,鋼種Aの条件(鋼材の成分,吹錬温度,性質等)と所定の条件範囲にある同一種類といえる鋼種(同一グループに属する鋼種)についての過去の実績データを,前記M組の過去の実績データに含めてもよい。
また,鋼種Aについての過去の実績データがN個以上存在する場合でも,転炉の経時変化の影響が大きくなると考えられる所定の期間以上過去の実績データや,計測エラー等の異常が明らかな実績データは選択しないようにすることも考えられる。
また,鋼種Aについての最近の異常のない実績データが十分(N個以上)存在する場合は,本発明の適用対象外となる。
以下,このM個の過去の実績データを同一グループ実績データ(モデル対象と略同一種類の対象の過去の実績データ)という。
ここで,各実績データは,n個の説明変数に対応するn次元(n個)のデータの組からなり,前記同一グループ実績データ(各組)をpk=(p1k,p2k,…,pnk),(k=1,2,…M)と表すものとする。kは前記同一グループ実績データの番号(1番目〜M番目)を表す。
(ステップ2)
次に,鋼種A以外,或いは鋼種Aと同一グループに属する鋼種以外の鋼種についての過去の実績データ(以下,他グループ実績データという)と前記同一グループ実績データとの値の近さを表す指標である近傍指数を計算する(S2)。
ここでは,前記近傍指数は,前記同一グループ実績データそれぞれに対するn次空間における重み付き距離を計算し(M個分),これらを加算等により総合した指標とする。
具体的には,i番目(複数ある前記他グループ実績データの番号)の前記他グループ実績データをxi=(x1i,x2i,…,xni)とし,n次空間における各軸についての重み(各説明変数の重み)をwj(j=1,2,…,n)とすると,前記重み付き距離rikは,次の(1)式により計算する。
Figure 0004093934
この(1)式における係数β(β>0)を2とすると,前記重み付き距離rikは,ユークリッドノルムとなる。
図2は,過去の実績データのn次元空間におけるユークリッドノルムを模式的に表した図である。
さらに,前記近傍指数Jiは,次の(2)式により計算する。
Figure 0004093934
ここで,係数αは,(0<α≦2)とすることが望ましい。
このような近傍指数Jiの計算を,予め与えられた前記他グループ実績データ全てについて計算する。前記他グループ実績データとしては,前記同一グループ実績データを除く他の全ての実績データを与えることや,計算の効率化のため,鋼種Aと条件が比較的近似する鋼種についての実績データのみを与えること,さらには,モデル対象(転炉等)の経時変化を考慮して最近の所定期間内の実績データのみを与えること等が考えられる。
また,モデルの説明変数(実績データ)は,標準偏差が1となるように,或いはさらに平均値が0となるように正規化しておくことが望ましい。
以上示した例では,実績データの必要数Nを予め設定しているが,これに限ることはなく,例えば,必要数Nを調整しながら上記ステップを繰り返し,前記近傍係数Jiがより小さくなるように,最適なNを見つけるようにしてもよい。
同様に,重み係数wjを順に調整しながら上記ステップを繰り返し,最適な重みの組み合わせを見つけるようにしてもよい。
(ステップ3)
次に,前記近傍指数Jiを求めた前記他グループ実績データのうち,前記近傍指数Jiの小さなものから順に,(N−M)組分を抽出し,これをM個の前記同一グループ実績データに加えて,モデルパラメータの値計算に用いるデータ(使用実績データ群)とする。
(ステップ4)
最後に,N組の前記使用実績データ群を用いて,重回帰計算や線形制約条件付き最小自乗法(二次計画法),主成分回帰(PCR:Principal Component Regression),PLS(Partial Least Squares)等によって,モデルパラメータの値を算出(決定)する。入力変数(説明変数)間に強い相関関係(多重共線性)が存在する場合は,主成分回帰やPLSが有効であることが知られている。
また,前記近傍指数Jiの小さなもの(値の近さが近いもの)から順に前記使用実績データ群の不足分を決定する以外にも,予め前記近傍指標Jiの許容値を設定し,該許容値の範囲内に収まる前記近傍指標Jiを有する実績データが(N−M)組分得られるまで前記近傍指標Jiの計算を実行すること等も考えられる。
次に,図3,図4を用いて,前述した手順によるモデルパラメータ決定方法を,転炉の温度予測モデル(転炉ダイナミックモデル)における,実際の転炉操業データ(過去の実績データ)を用いたモデルパラメータ決定に適用した結果について説明する。
図3は,モデルパラメータ決定に用いる過去の実績データ(前記ランス2から吹く酸素量や,転炉内の溶銑量(装入量),前記サブランス3による計測値等)の一例を表す散布図であり,横軸及び縦軸は,転炉操業データにおける各々所定のデータ項目1(説明変数1)及びデータ項目2(説明変数2)を表す。なお,各データ項目の値は,平均値0,標準偏差1に正規化されている。
図3において,前記同一グループ実績データに相当する,対象鋼種(A)の回帰用データは4個(=M)であり,図中,黒丸印「●」で表している。
また,本発明に係る(前述した手順による)モデルパラメータ決定方法により抽出(選択)された前記他グループ実績データに相当する他鋼種の回帰用データは96個(=N−M)であり,図中,濃い点印で表している。即ち,モデルパラメータの決定(重回帰計算等)に必要な実績データ数N=100である。
また,図中,白丸印「○」で表した20個のデータは,対象鋼種(A)(モデル対象)の検証用データであり,決定されたモデルパラメータの検証用に用いる対象鋼種(A)の実績データである。
その他のデータは,回帰用として抽出されたもの以外の他鋼種の実績データである。
図3に示すように,本発明に係るモデルパラメータ決定方法により,前記対象鋼種の回帰用データに近い(近傍の)他鋼種データが,回帰用として抽出されていることがわかる。
図4は,実際の転炉操業データ(実績データ,図3はその一例)に基づいて,本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法(図1の手順)と従来のモデルパラメータ決定方法とを用いた場合のモデル予測精度を比較するグラフである。
具体的には,Mの数を4,8,12及び16に各々変更した(横軸)場合における,転炉のモデルの予測精度の評価指標の大きさ(縦軸)を表し,予測精度の評価指標としては,モデルによる予測値と前記検証用データの値との差(誤差)の標準偏差を正規化したものを用いている。このモデルの予測値は,従来法と前述した本発明の方法それぞれによって選択(抽出)した100(=N)個の回帰用データを用いた重回帰計算によりモデルパラメータを求め,そのモデルパラメータを適用した転炉のモデルにより転炉の所定の観測値を計算した予測値である。なお,横軸は,M/Nとして正規化(N=100)している。
ここで,従来の方法としては,与えられたM個の前記対象鋼種の回帰用データのみを用いて((N−M)個のデータが不足したままで)重回帰計算を行い,モデルパラメータを求めた。
また,検証結果の偏りをなくすために,M個の対象鋼種の選び方,及び20個の検証用の対象鋼種の選び方は,それぞれランダムとし,以上の操作を1万回繰り返した。
図4中,M=4(M/N=0.04)の場合の従来法による予測精度を表すグラフが途切れているが,その値は12.24である。
図4から,本発明に係るモデルパラメータ決定方法によれば,従来法に比べてモデル精度を飛躍的に改善できることがわかる。特に,従来法では,対象鋼種の回帰用データが少ない場合(例えば,M=4又は8の場合)に,予測精度が急激に悪化するのに対し,本発明によれば,対象鋼種の回帰用データが少なくても予測精度が安定しており,対象鋼種のデータ数が少ない領域で,飛躍的にモデル精度を改善できることがわかる。
これは,対象鋼種と似たデータを他鋼種から補うことにより,回帰用の一つ一つのデータ精度は劣るが,それを数多く用いることによって,外乱や不確定要因の影響が少なくなるからである。
その結果,操業頻度の少ない特殊な鋼種や新鋼種等においても,転炉の脱炭制御,温度制御等を高い精度で行うことができ,歩留まりの高い生産及び高品質の鋼材の生産が可能となる。
また,モデルを用いているので,過去の実績データが存在しないような領域でも,外挿・内挿により精度の高い予測が可能である。
ところで,本発明に係るモデルパラメータ決定方法によりパラメータが決定されたモデルは,オフセット誤差(平均的なずれ)を持つ場合が生じ得る。即ち,モデルによる予測値と実際に検出される観測値との誤差(偏差)に関し,誤差の標準偏差は小さい(=モデル精度は良い)が,誤差の平均値が大きい場合が生じ得る。このような場合は,以下のよ
うにしてオフセット誤差を補償すればよい。
説明の簡単化のために,対象鋼種Aのモデル式Ym(温度等の予測式)を次の(3)式とする。
Ym=Θ T X …(3)
ここで,
Θ=[θ0 θ1 θ2 ・・・θN] T :パラメータ(係数)ベクトル
X=[ 1 x1 x2 ・・・ xN] T :計測値等,あるいは計測値等から算出される値
とする。この(3)式は,複数パラメータ(θ0,θ1,…)からなるモデルパラメータΘの一次結合で表される式である。
さらに,モデル式(3)に加法的に補正項Δを設けると,補正後のモデル式Ypは次の(4)式となる。
Yp=Θ T X+Δ …(4)
或いは,次の(4’)式のように,乗法的に補正項を設けることも考えられる。
Yp=Θ T XΔ …(4’)
一般に,モデル式(3)の予測値の大小に関わらず,誤差がほぼ一定であれば,(4)式のように加法的にモデル式を補正すればよく,モデル式(3)の予測値が大きくなるに応じて誤差も大きくなる傾向にあれば,(4’)式のように乗法的にモデル式を補正すればよい。
ここで,(4)式のように加法的にモデル式を補正する場合を考える。ある時点kにおける補正項をΔ(k),モデル式の値をYm(k),モデル対象から検出される観測値をYr(k)とする。この場合,次の(5)式のようにΔを随時更新することによって補正項を学習させることが考えられる。
Δ(k+1)=γ{Yr(k)−Ym(k)}+(1−γ)Δ(k), 0<γ≦1 …(5)
なお,ここでは指数平滑を用いたが,過去の有限区間の移動平均によってΔを更新すること等も考えられる。
このように,本発明に係るモデルパラメータ決定方法により得られたモデル式による予測値を,モデル対象の観測値との偏差(誤差)に基づいて,モデル式による予測値を補正すれば,モデルのオフセット誤差を補償でき,より正確なモデル予測が可能となる。
本発明は,転炉等の制御対象のモデルのパラメータ決定及びモデル予測や,遺伝子解析におけるモデルのパラメータ決定及びモデル予測等,モデル化を伴う各種分野へ利用できる。
本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法の手順を表すフローチャート。 過去の実績データのn次元空間におけるユークリッドノルムを模式的に表した図。 本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法で用いる過去の実績データの一例を表す散布図。 本発明の実施の形態に係るモデルパラメータ決定方法と従来のモデルパラメータ決定方法とを用いた場合のモデル予測精度を比較するグラフ。 本発明を適用可能なモデル対象である転炉の概略構成を表す模式図。
符号の説明
1…転炉
2…ランス
3…サブランス
4…副原料投入ホッパ
S1,S2,,,…処理手順(ステップ)

Claims (6)

  1. 転炉のモデル式におけるモデルパラメータの値を過去の実績データに基づいて決定するモデルパラメータ決定方法において,
    前記モデルパラメータの値の決定に用いる予め定められた数の前記過去の実績データである使用実績データ群の一部として第1の過去の実績データが与えられた場合に,
    前記第1の過去の実績データと前記第1の過去の実績データ以外で存在する第2の過去の実績データとの値の近さを,各実績データを構成するデータの組を座標空間に表したときの該座標空間における前記データの組の位置の距離に基づき算出する近似度算出工程と,
    前記第2の過去の実績データの中から,前記近似度算出工程により求めた前記値の近さが近いものから順に選出すること又は前記値の近さが予め設定された許容範囲に収まるものを選出することによって前記使用実績データ群の不足分を決定する不足データ決定工程と,
    前記第1の過去の実績データに前記不足データ決定工程で決定されたデータを加えた前記使用実績データ群に基づいて前記モデルパラメータの値を決定するパラメータ値決定工程と,
    を有してなることを特徴とするモデルパラメータ決定方法。
  2. 前記モデル式が,複数パラメータからなる前記モデルパラメータの一次結合で表されるものである請求項1に記載のモデルパラメータ決定方法。
  3. 前記モデル式が,転炉のスタティックモデル,転炉のダイナミックモデル,転炉における主原料配合量計算モデル,転炉における副原料投入量計算モデル,転炉における合金鉄添加量計算モデル,又は溶銑予備処理における脱硫モデル,脱燐モデル,脱珪モデル若しくは温度モデルのいずれかである請求項1又は2のいずれかに記載のモデルパラメータ決定方法。
  4. 転炉のモデル式により該転炉の所定の観測値を予測するモデル予測方法において,
    請求項1〜3のいずれかに記載のモデルパラメータ決定方法によりモデルパラメータが決定された前記モデル式による予測値と前記転炉の観測値との偏差に基づいて,前記モデル式による予測値を補正する予測値補正工程を有してなることを特徴とするモデル予測方法。
  5. 転炉のモデル式におけるモデルパラメータの値を過去の実績データに基づいて決定する処理をコンピュータに実行させるためのモデルパラメータ決定プログラムであって,
    前記モデルパラメータの値の決定に用いる予め定められた数の前記過去の実績データである使用実績データ群の一部として第1の過去の実績データが与えられた場合に,
    前記第1の過去の実績データと前記第1の過去の実績データ以外で存在する第2の過去の実績データとの値の近さを,各実績データを構成するデータの組を座標空間に表したときの該座標空間における前記データの組の位置の距離に基づき算出する近似度算出処理と,
    前記第2の過去の実績データの中から,前記近似度算出工程により求めた前記値の近さが近いものから順に選出すること又は前記値の近さが予め設定された許容範囲に収まるものを選出することによって前記使用実績データ群の不足分を決定する不足データ決定処理と,
    前記第1の過去の実績データに前記不足データ決定工程で決定されたデータを加えた前記使用実績データ群に基づいて前記モデルパラメータの値を決定するパラメータ値決定処理と,
    をコンピュータに実行させるためのモデルパラメータ決定プログラム。
  6. 転炉のモデル式により該転炉の所定の観測値を予測する処理をコンピュータに実行させるためのモデル予測プログラムにおいて,
    請求項5に記載のモデルパラメータ決定プログラムの実行によりモデルパラメータが決定された前記モデル式による予測値と前記転炉の観測値との偏差に基づいて,前記モデル式による予測値を補正する処理をコンピュータに実行させるためのモデル予測プログラム。
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