JP6573035B2 - 溶鋼中りん濃度推定方法及び転炉吹錬制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、多機能転炉法による操業における転炉吹錬吹止め時の溶鋼中りん濃度を高精度で推定する、溶鋼中りん濃度推定方法及び溶鋼中りん濃度推定装置に関する。
転炉吹錬において、吹止め時の溶鋼中成分の制御(特に、溶鋼中りん濃度の制御)は、鋼の品質管理上非常に重要である。溶鋼中りん濃度の制御のために、吹込み酸素量、生石灰またはスケール等の副原料の投入量、当該副原料の投入タイミング、上吹きランス高さ、上吹き酸素流量、および、底吹きガス流量等が、一般に操作量として用いられている。これらの操作量は、目標りん濃度、溶銑データおよび過去の操業実績等に基づいて作成された基準などといった、吹錬開始前に得られる情報により決定されることが多い。
しかしながら、同じような操業条件であっても、実際の吹錬における脱りん挙動の再現性は低く、吹止め時の溶鋼中りん濃度のばらつきが大きくなるという問題があった。そのため、上記のような吹錬開始前に得られる情報のみに基づいて決定された操作量による吹錬では、吹止め時の溶鋼中りん濃度のばらつきを抑制することは困難であった。
上記問題に対応すべく、吹錬時に逐次的に得られる排ガス成分および排ガス流量等の測定値を活用した技術が開発されている。例えば、下記特許文献1には、吹錬に係る操業条件および排ガスに関する測定値を用いて脱りん速度定数を推定し、推定された脱りん速度定数を用いて吹錬時の溶鋼中りん濃度を推定する技術が開示されている。さらに、下記特許文献1には、推定された溶鋼中りん濃度と目標溶鋼中りん濃度とを比較し、その比較結果に基づいて吹錬に係る操業条件を変更することにより溶鋼中りん濃度を制御する技術が開示されている。
特開2013−23696号公報
近年、一次精錬において、転炉を用いた脱りん処理等の溶銑予備処理が一般に行われている。特に、多機能転炉法(MUlti Refining Converter:MURC)と呼ばれる、一次精錬において溶銑予備処理と脱炭処理とを同一の転炉により一貫して行うことが可能な技術の開発が進められている。MURCは、具体的には、溶銑を転炉に装入し(第1工程)、フラックスの添加および上吹きランスによる酸素の吹込みによる脱りん処理を含む溶銑予備処理を行い(第2工程)、当該転炉を傾動させて第2工程で生じたスラグを排滓する中間排滓処理を行い(第3工程)、その後当該転炉により脱炭処理を行う(第4工程)工程からなる、一次精錬の操業法である。MURCは、従来のシンプル・リファイニング・プロセス(Simple Refining Process:SRP)のような、脱りん処理と脱炭処理とを異なる転炉で行う一次精錬の操業法と比較して、熱損失が少なくリードタイムも短いため、製鋼プロセスにおける生産効率が高いという利点を有する。
このMURCにおいては、上述した第2工程である脱りん処理において生じたスラグは、第3工程である中間排滓処理により排滓される。このとき、脱りん処理において生じたスラグ量またはスラグの質によっては、中間排滓処理により排滓されるスラグ量が操業ごとに異なる。
中間排滓処理後の溶銑に含まれるりんは、脱炭処理時において、脱炭反応と並行して生じ得る、下記化学式(101)で示す脱りん反応により、溶銑から脱離してスラグに取り込まれたり、逆にスラグから脱離して溶銑に再び取り込まれたりすることがある。なお、下記化学式(101)において、「[物質X]」との表記は、物質Xが溶銑中に存在する物質であることを示し、「(物質Y)」との表記は、物質Yがスラグ中に存在する物質であることを示す。
Figure 0006573035
上記化学式(101)で表される脱りん反応の進む方向は、中間排滓処理時に排滓されたスラグの量および成分(または、転炉内に残存するスラグの量および成分)に応じて変化する。すなわち、脱りん反応の反応方向および反応速度は、中間排滓処理時に排滓されるスラグの量に左右される。したがって、中間排滓処理時に排滓されるスラグの量が、脱炭処理時における溶鋼中りん濃度に影響すると考えられる。
上記特許文献1では、転炉吹錬の操業時の操業条件等を用いて溶鋼中りん濃度の推定が行われている。しかしながら、上記特許文献1では、中間排滓処理時に排滓されるスラグの量については考慮されていない。脱炭処理時における溶鋼中りん濃度が中間排滓処理時に排滓されるスラグの量に影響することを考慮すると、上記特許文献1に開示された技術では、中間排滓処理を伴う一次精錬における溶鋼中りん濃度を精度高く推定することは困難である。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、MURC操業における転炉吹錬吹止め時の溶鋼中りん濃度を精度高く推定することが可能な、溶鋼中りん濃度推定方法および転炉吹錬制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、脱りん処理と、上記脱りん処理で生成されたスラグを排滓する中間排滓処理と、脱炭処理と、を同一の転炉を用いて行う一次精錬に用いられる溶鋼中りん濃度推定方法であって、上記脱りん処理前の溶銑に関する溶銑データを取得する溶銑データ取得ステップと、上記脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグレベルを取得するスラグレベルデータ取得ステップと、上記脱炭処理時の排ガス成分および排ガス流量を取得する排ガスデータ取得ステップと、上記脱炭処理時におけるサブランス測定により溶鋼温度および溶鋼中の炭素濃度を取得する溶鋼データ取得ステップと、上記スラグレベル、上記排ガス成分、上記排ガス流量、上記溶鋼温度および上記炭素濃度に係るデータ、並びに、上記脱りん処理、上記中間排滓処理および上記脱炭処理に係る操業条件を用いて脱りん速度定数を算出し、算出された上記脱りん速度定数と、上記脱りん処理開始時の溶銑りん濃度とを用いて、上記サブランス測定以降の上記脱炭処理時における上記溶鋼中のりん濃度を推定するりん濃度推定ステップと、を含む、溶鋼中りん濃度推定方法が提供される。
上記脱りん速度定数の算出において、過去の操業において取得された複数の上記スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングにより得られるクラスタを識別するカテゴリ変数を用いてもよい。
上記脱りん速度定数の算出において、上記脱りん処理時に得られる上記スラグレベルの時系列データの平均値を用いてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、脱りん処理と、上記脱りん処理で生成されたスラグを排滓する中間排滓処理と、脱炭処理と、を同一の転炉を用いて行う一次精錬に用いられる転炉吹錬制御装置であって、上記脱りん処理前の溶銑に関する溶銑データを取得する溶銑データ取得部と、上記脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグレベルを取得するスラグレベルデータ取得部と、上記脱炭処理時の排ガス成分および排ガス流量を取得する排ガスデータ取得部と、上記脱炭処理時におけるサブランス測定により溶鋼温度および溶鋼中の炭素濃度を取得する溶鋼データ取得部と、上記スラグレベル、上記排ガス成分、上記排ガス流量、上記溶鋼温度および上記炭素濃度に係るデータ、並びに、上記脱りん処理、上記中間排滓処理および上記脱炭処理に係る操業条件を用いて脱りん速度定数を算出し、算出された上記脱りん速度定数と、上記脱りん処理開始時の溶銑りん濃度とを用いて、上記サブランス測定以降の上記脱炭処理時における上記溶鋼中のりん濃度を推定するりん濃度推定部と、を備える、転炉吹錬制御装置が提供される。
前記りん濃度推定部は、上記脱りん速度定数の算出において、過去の操業において取得された複数の上記スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングにより得られるクラスタを識別するカテゴリ変数を用いてもよい。
前記りん濃度推定部は、上記脱りん速度定数の算出において、上記脱りん処理時に得られる上記スラグレベルの時系列データの平均値を用いてもよい。
上記溶鋼中りん濃度推定方法および上記転炉吹錬制御装置では、スラグレベルを含む種々のデータおよび操業条件を用いて脱りん速度定数が算出され、算出された脱りん速度定数を用いて溶鋼中りん濃度が推定される。これにより、脱りん処理、中間排滓処理および脱炭処理を同一転炉により一貫して行う一次精錬において当該転炉内で生じるスラグの排滓に係る操業要因を、溶鋼中りん濃度の推定に反映させることができる。したがって、溶鋼中りん濃度をより精度よく推定することができる。
以上説明したように本発明によれば、MURC操業における転炉吹錬吹止め時の溶鋼中りん濃度を、精度高く推定することが可能である。
脱りん処理時におけるスラグレベルの時系列データを示すグラフである。 スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングの結果を示す図である。 スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングの結果を示す図である。 スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングの結果を示す図である。 スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングの結果を示す図である。 スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングの結果を示す図である。 スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングの結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る転炉吹錬システムの構成例を示す図である。 同実施形態に係る転炉吹錬システムによる溶鋼中りん濃度推定方法のフローチャートの一例を示す図である。 サブランス測定時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 サブランス測定時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 サブランス測定時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 サブランス測定時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 サブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。 サブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。 サブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。 サブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。 終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、脱炭処理時の転炉内には、その炭素濃度に応じて銑鉄又は鋼が存在し得るが、以下の説明では、説明が煩雑になることを避けるために、「転炉内の溶銑又は溶鋼」のことを、便宜的に、いずれも「溶鋼」と呼称することとする。また、脱りん処理時については、「溶銑」という単語を用いる。
<<1.本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定方法>>
本実施形態に係る転炉吹錬システム1の構成および機能について説明する前に、本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定方法について説明する。なお、以下の説明においては、特に説明がない限り、各成分の濃度の単位である(質量%)は、(%)と記載する。
(操業条件、操業要因を用いた溶鋼中りん濃度の推定方法)
吹錬中の溶鋼中りん濃度[P](%)の時間変化が1次反応式で表されると仮定すると、当該1次反応式は、下記式(1)のように示される。
Figure 0006573035
ここで、上記式(1)において、[P]iniは、りん濃度初期値(溶銑りん濃度)(%)であり、kは、脱りん速度定数(sec−1)である。なお、ここで言う「りん濃度初期値」とは、脱りん処理開始時におけるりん濃度を意味する。
正確な脱りん速度定数kが得られれば、溶鋼中りん濃度を高精度に推定することができる。ただし、一般に実際の吹錬における脱りん速度定数kは一定ではなく、様々な操業条件の影響を受けて変動すると考えられる。そのため、例えば上記特許文献1(特開2013−23696号公報)に開示されているように、溶銑成分および溶銑温度のようなスタティックな情報だけではなく、逐次的に測定される排ガス成分に係るデータおよび排ガス流量に係るデータ等の排ガスデータのような吹錬中のダイナミックな情報を活用して、脱りん速度定数kを推定することが行われる。以下、脱りん速度定数kの推定方法について説明する。
上記式(1)より、吹錬開始(脱りん処理開始)からt秒後における溶鋼中りん濃度は、下記式(2)のように示される。
Figure 0006573035
そうすると、過去の操業実績データを用いて、チャージ毎の脱りん速度定数kを求めることができる。例えば、チャージiにおける脱りん速度定数kは、下記式(3)を用いて算出される。
Figure 0006573035
ここで、上記式(3)において、[P]end,iは、吹止め時の溶鋼中りん濃度(%)であり、tend,iは、脱りん処理開始時(吹錬開始時)から吹止め時点までの経過時間(秒)である。
そして、上記式(3)により得られた脱りん速度定数kを目的変数とするモデル式を、予め作成しておく。このモデル式は、種々の統計的手法により適宜構築可能である。本実施形態では、当該モデル式として、周知の重回帰分析手法によって得られる、種々の操業要因Xを説明変数とする回帰式が用いられる。当該回帰式は、下記式(4)のように構築される。実際の吹錬では、当該吹錬時における操業要因Xを下記式(4)に代入することにより、脱りん速度定数kが推定され、当該脱りん速度定数kを上記式(2)に適用することにより、溶鋼中りん濃度が推定され得る。
Figure 0006573035
ここで、上記式(4)において、αは、j番目の操業要因Xに対応する回帰係数であり、αは、定数である。また、操業要因Xの具体例としては、下記表1に示す操業要因が挙げられる。ただし、下記表1に示す操業要因はあくまでも一例であって、脱りん速度定数kの推定においては、あらゆる操業要因Xが考慮されてよい。また、脱りん速度定数kの推定には、下記表1に含まれる操業要因の全部または一部が用いられてもよい。
Figure 0006573035
また、上記特許文献1によれば、吹錬中の排ガス流量、排ガス成分、上底吹きガス流量、副原料投入量および溶銑成分から酸素収支を計算して得られる炉内蓄積酸素量原単位が、脱りん速度定数に及ぼす影響が大きいことが示された。したがって、上記特許文献1では、排ガスデータ等を活用して得られる炉内蓄積酸素量原単位、並びに、上吹きランス高さ、酸素ガス流量および底吹きガス流量等の吹錬中のダイナミックな操業要因を、上記式(4)に示される回帰式の説明変数として、表1に記載の説明変数に加えてさらに採用することにより、より精度よく脱りん速度定数の推定が可能であると示されている。
(スラグレベルに係るデータの活用)
ところで、上述したMURCのような転炉吹錬方式では、脱りん処理、中間排滓処理および脱炭処理が、同一転炉により連続的に行われる。そのため、上記特許文献1に開示されたような、脱りん処理および脱炭処理に係る操業条件だけではなく、中間排滓処理に係る操業条件も、本実施形態に係る脱りん速度定数の推定に用いられ得る。中間排滓処理に係る操業条件として、例えば、中間排滓時間および中間排滓されるスラグ量が挙げられる。
このうち、中間排滓されるスラグ量は、脱炭処理時における溶鋼中りん濃度に大きく影響すると考えられる。本発明者らは、この中間排滓されるスラグ量が、脱りん処理時におけるスラグレベル(スラグ高さ)と関係が深いことを見出した。例えば、中間排滓処理において、スラグレベルが高い場合にはスラグが排滓されやすく、スラグレベルが低い場合にはスラグが排滓され難いと考えられる。すなわち、中間排滓されるスラグ量は、スラグレベルに応じて変化し得る。したがって、本発明者らは、脱りん処理時の吹錬において転炉内に生じ得るスラグのスラグレベルを溶鋼中りん濃度の推定に係る操業要因として採用することにより、溶鋼中りん濃度の推定精度をより向上させることができる旨に想到した。以下、スラグレベルに係るデータ、およびその活用例について説明する。
図1は、脱りん処理時におけるスラグレベルの時系列データを示すグラフである。なお、当該グラフにより示されるデータは、実際に得られたスラグレベルのデータに対し、平均=0となり、かつ、標準偏差=1となるように標準化処理を施すことにより得られたデータである。当該時系列データは、脱りん処理における吹錬の開始時から吹止め時までに取得された時系列データである。
図1を参照すると、脱りん処理末期において、スラグレベルが上昇していることが分かる。つまり、スラグの生成(スラグフォーミング)が進行しているのは、脱りん処理末期においてである。したがって、本実施形態では、脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグレベルに係るデータを、式(4)の説明変数である操業要因Xの一つとして用いることができる。なお、「脱りん処理末期(「脱りん処理時の吹錬末期」とも称する。)」とは、脱りん処理における吹錬開始時から吹止め時点までの全経過時間の1/3〜1/4程度に対応する時間分だけ、吹止め時点から遡った時点までの期間を意味する。例えば、吹錬開始時から吹止め時点までの全経過時間が180秒であった場合に、上記脱りん処理末期は、吹錬開始時から120秒〜135秒程が経過した時点から、吹止め時点までの期間に対応する。
本実施形態では、例えば、脱りん処理末期におけるスラグレベルの時系列データの平均値が、脱りん速度定数kを推定するための回帰式である式(4)の説明変数である操業要因Xとして用いられてもよい。これにより、脱りん処理により生じたスラグ量を、脱りん速度定数kの推定に反映させることができる。
また、本実施形態では、例えば、スラグレベルの時系列データに対して時系列クラスタリングを施して得られるクラスタを識別するカテゴリ変数が、説明変数として用いられてもよい。時系列クラスタリングとは、時系列データ同士の距離を求め、当該距離に基づいてクラスタリングを行う手法である。スラグレベルの推移を時系列データとして扱うことにより、単純な平均値では表現できないスラグレベルの複雑な挙動(換言すれば、平均値を算出する過程で平均化されてしまうような、スラグレベルの時間的な挙動変化)を有意なものとして捉え、このようなスラグレベルの複雑な挙動を、より精度良く反映させることが可能となる。
以下では、スラグレベルの時系列データに対して時系列クラスタリングを施して得られるクラスタを識別するカテゴリ変数を、説明変数として用いる場合について、詳細に説明する。
本実施形態では、まず、過去の操業データから取得される吹錬末期におけるスラグレベルの時系列データに対して、予め時系列クラスタリングが行われる。なお、本実施形態では、時系列クラスタリングの手法として、階層クラスタリングの最近隣法が用いられる。時系列クラスタリングの手法としては、本手法に限定されるものではなく、例えば非階層クラスタリングのk−means法などでもよい。また、本実施形態では、これらの時系列データに対して6つのクラスタに分類されるよう時系列クラスタリングが行われるが、クラスタの数については特に限定されない。クラスタの数については、クラスタリングの結果に応じて適宜設定される。
図2A〜図2Fは、スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングの結果を示す図である。図2A〜図2Fは、各カテゴリ変数(No.1〜6)に対応するクラスタについての時系列クラスタリングの結果をそれぞれ示す図である。なお、各図に示されるスラグレベルに係るデータは、実際に得られたスラグレベルのデータに対し、平均=0となり、かつ、標準偏差=1となるように標準化処理を施すことにより得られたデータである。また、本実施形態に係る時系列クラスタリングに用いられたスラグレベルの時系列データは、それぞれ脱りん処理における吹錬吹止め時から50秒遡った時点までのスラグレベルから得られるデータである(図2A〜図2Fにおいて、吹錬時間=50秒の時点が、脱りん処理における吹錬吹止め時に対応しており、吹錬時間=0秒の時点が、吹止め時から50秒遡った時点に対応している。)。この時系列クラスタリングに用いられるスラグレベルの時系列データを選択する時間範囲は、特に限定されず、例えば、当該対象範囲は、実際にレベル計により得られるスラグレベルの時系列データのトレンド、または転炉吹錬設備の操業状態等に基づいて、適宜設定され得る。
図2A〜図2Fにおいて、各図中に存在している折れ線のそれぞれが、ある1回の脱りん処理におけるスラグレベルの経時変化を示している。図2A〜図2Fに示すように、スラグレベルの時系列データの類似性が高いデータ同士が、それぞれ同一のクラスタに分類されている。例えば、クラスタNo.2には、スラグレベルの上昇率が高く、かつ中間排滓時におけるスラグレベル(すなわち、脱りん処理における吹錬吹止め時におけるスラグレベル)が高い時系列データが分類されている。一方、クラスタNo.5には、スラグレベルの推移の変化が小さい時系列データが分類されている。
このように、予め実行されたクラスタリングにより分類される各クラスタと、脱りん処理における吹錬時に得られるスラグレベルの時系列データとを比較して、最も類似度の高いクラスタを選択し、当該クラスタに対応するカテゴリ変数を、式(4)の説明変数である操業要因Xとして採用することができる。これにより、単に脱りん処理において生じたスラグ量だけではなく、脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグフォーミングの傾向を、溶鋼中りん濃度の推定に反映させることができる。スラグフォーミングの傾向の違いは、スラグ成分等のスラグ性状に基づくものと考えられる。したがって、脱りん反応におけるスラグ性状による影響もさらに溶鋼中りん濃度の推定に対して加味されるので、溶鋼中りん濃度の推定精度をさらに向上させることが可能となる。
ここで、実際の操業時において、スラグレベルデータのクラスタリング結果を脱りん速度定数kの推定に用いる方法について説明する。まず、過去の操業データから取得される吹錬末期におけるスラグレベルの時系列データに対して、予め時系列クラスタリングを行い、当該時系列データを複数のクラスタに分類しておく。そして、これらのクラスタごとのカテゴリ変数を説明変数の一つとする回帰式(上記式(4))を、クラスタ毎に予め構築しておく。
次に、各クラスタに分類されるスラグレベルの複数の時系列データの、測定点j(j=1〜n)における平均値βave,jを、測定点ごとに算出する。測定点とは、当該時系列データの対象範囲における、スラグレベルの測定時点を意味する。例えば、図2A〜図2Fに示した各クラスタには、吹止め時点から50秒遡った時点までの各時系列データが分類されている。スラグレベルが1秒ごとに測定されている場合、測定点数は50点となる。
次いで、脱りん速度定数kを推定する対象である、実際の脱りん処理時におけるスラグレベルの時系列データ(S)を取得し、取得したスラグレベルの時系列データと各クラスタとの類似度として、例えば、当該時系列データSと上記の平均値βave,jとの差分を、クラスタごとに求める。当該差分の最も小さいクラスタを、時系列データ(S)が属するクラスタであると判断して、このクラスタに対応するカテゴリ変数が、操業要因に係る説明変数として用いられる。当該差分としては、公知の任意のものを用いることが可能であるが、当該差分は、例えば、下記式(5)で示す差分二乗和(Sum of Squared Difference:SSD)であってもよい。当該差分は、公知の統計的手法により適宜求められる。
Figure 0006573035
以上、スラグレベルの時系列データに対して時系列クラスタリングを施して得られるクラスタを識別するカテゴリ変数を、説明変数として用いる場合について、詳細に説明した。
なお、スラグレベルの時系列データに基づく説明変数は、上述した例に限られない。例えば、脱りん処理における吹錬の吹止め時におけるスラグレベル、または吹錬末期におけるスラグレベルの時系列データの中間値もしくは当該時系列データの変化率等が、説明変数として用いられてもよい。
以上、本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定方法について説明した。
<<2.本実施形態に係る転炉吹錬システム>>
<2.1.転炉吹錬システムの構成>
続いて、上記に示した本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定方法を実現するためのシステムの一例について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る転炉吹錬システム1の構成例を示す図である。図3を参照すると、本実施形態に係る転炉吹錬システム1は、転炉吹錬設備10、転炉吹錬制御装置20、計測制御装置30および操業データベース40を備える。
(転炉吹錬設備)
転炉吹錬設備10は、転炉11、煙道12、上吹きランス13、サブランス14、排ガス成分分析計101、排ガス流量計102およびレベル計103を備える。転炉吹錬設備10は、例えば、計測制御装置30より出力された制御信号に基づいて、上吹きランス13による溶銑への酸素の供給の開始および停止、サブランス14による溶鋼中の成分濃度および溶鋼温度の測定、冷材の投入、並びに、転炉11による溶銑およびスラグの排滓に関する処理を行う。転炉吹錬設備10には、上吹きランス13に対して酸素を供給するための送酸装置、転炉11に対して冷材を投入するための駆動系を有する冷材投入装置、および転炉11に対して副原料を投入するための駆動系を有する副原料投入装置等、転炉による吹錬に一般的に用いられる各種装置が設けられ得る。
転炉11の炉口からは吹錬に用いられる上吹きランス13が挿入されており、送酸装置から送られた酸素15が上吹きランス13を通じて炉内の溶銑に供給される。また、溶銑の撹拌のために、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス等が底吹きガス16として転炉11の底部から導入され得る。転炉11内には、高炉から出銑された溶銑、少量の鉄スクラップ、溶銑(溶鋼)温度を調整するための冷材、および生石灰等のスラグ形成のための副原料が装入/投入される。なお、副原料が粉体である場合、粉体の副原料は、上吹きランス13を通じて酸素15とともに転炉11内に供給されてもよい。
一次精錬では、上記化学式(101)に示されるように、溶銑に含まれるりんが、転炉内のスラグに含まれる酸化鉄、および酸化カルシウム含有物質を含む副原料と化学反応することにより(脱りん反応)、スラグに取り込まれる。つまり、吹錬によりスラグの酸化鉄の濃度を増加させることにより、脱りん反応が促進される。
また、一次精錬では、溶銑中の炭素が、上吹きランス13から供給された酸素と酸化反応する(脱炭反応)。これにより、COまたはCOの排ガスが生成される。これらの排ガスは、転炉11から煙道12へ排出される。
このように、転炉吹錬では、吹込まれた酸素と、溶銑中の炭素、りん、または珪素等とが反応し、酸化物が生じる。吹錬により生じた酸化物は、排ガスとして排出されるか、またはスラグとして安定化する。吹錬における酸化反応によって炭素が除去されるとともに、りん等がスラグに取り込まれて除去されることにより、低炭素で不純物の少ない鋼が生成される。
また、転炉11の炉口から挿入されるサブランス14は、脱炭処理時に、その先端が所定のタイミングで溶鋼に浸漬され、炭素濃度を含む溶鋼中の成分濃度、および溶鋼温度等を測定するために用いられる。このサブランス14による成分濃度および/または溶鋼温度等の溶鋼データの測定のことを、以下では、「サブランス測定」と呼ぶ。サブランス測定により得られた溶鋼データは、計測制御装置30を介して転炉吹錬制御装置20に送信される。
吹錬により発生した排ガスは、転炉11外に設けられる煙道12へと流れる。煙道12には、排ガス成分分析計101、および排ガス流量計102が設けられる。排ガス成分分析計101は、排ガスに含まれる成分を分析する。排ガス成分分析計101は、例えば、排ガスに含まれるCOおよびCOの濃度を分析する。排ガス流量計102は、排ガスの流量を測定する。排ガス成分分析計101および排ガス流量計102は、所定のサンプリング周期(例えば5〜10秒周期)で、逐次的に、排ガスの成分分析および流量測定を行う。排ガスの成分分析および流量測定は、少なくとも脱炭処理時に行われるが、上記式(4)に示した回帰式の説明変数として用いられる炉内蓄積酸素量原単位の算出のために、転炉吹錬全体を通して行われることが好ましい。排ガス成分分析計101によって分析された排ガス成分に係るデータ、および排ガス流量計102によって測定された排ガス流量に係るデータ(以下、これらのデータを「排ガスデータ」と呼称する。)は、計測制御装置30を介して転炉吹錬制御装置20に、時系列データとして出力される。なお、転炉吹錬制御装置20が溶鋼中りん濃度を逐次的に推定するためには、この排ガスデータは、逐次、転炉吹錬制御装置20に出力されることが好ましい。
また、転炉吹錬設備10は、転炉11の開口の近傍において、レベル計103を備える。レベル計103は、転炉吹錬時における転炉11内の溶銑(溶鋼)およびスラグ等の浴面レベルを測定する装置である。なお、本明細書においては、この浴面レベルのことをスラグレベルと称する。
レベル計103により得られるスラグレベルは、スラグの滓化状況を反映する情報であり、上記式(4)に示した回帰式の説明変数として、直接的に、または間接的に用いられる。レベル計103は、所定のサンプリング周期(例えば1秒周期)で、逐次スラグレベルの測定を行う。レベル計103により得られたスラグレベルに係るデータは、計測制御装置30を介して転炉吹錬制御装置20に、時系列データとして出力される。
なお、このレベル計103は、例えば、特開2015−110817号公報に開示されているような、マイクロ波射出装置、アンテナ、および演算装置等により実現され得る。上記文献に開示されたレベル計では、マイクロ波射出装置が転炉の内部へマイクロ波を射出し、アンテナが浴面で反射された反射波を検出し、演算装置が、射出されたマイクロ波および検出された反射波に基づいて、浴面レベルを計測する。
(転炉吹錬制御装置)
転炉吹錬制御装置20は、データ取得部201、クラスタ決定部202、クラスタリング実行部203、りん濃度推定部204、転炉吹錬データベース21および入出力部22を備える。転炉吹錬制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージおよび通信装置等のハードウェア構成を備え、これらのハードウェア構成によって、データ取得部201、クラスタ決定部202、クラスタリング実行部203、りん濃度推定部204および転炉吹錬データベース21の各機能が実現される。また、入出力部22は、キーボード、マウス、またはタッチパネル等の入力装置、ディスプレイ、またはプリンタ等の出力装置、および通信装置により実現される。
転炉吹錬制御装置20は、転炉吹錬データベース21に格納されている各種データ、排ガス成分分析計101および排ガス流量計102から取得される排ガスデータ、サブランス14から取得される溶鋼データ、およびレベル計103から取得されるスラグレベルに係るデータ(すなわち、スラグレベルの時系列データ)を入力値として、溶鋼中りん濃度を推定する。溶鋼中りん濃度は、転炉吹錬制御装置20の各機能部が有する機能により推定される。また、転炉吹錬制御装置20は、推定された溶鋼中りん濃度を、転炉吹錬における操業の制御に用いてもよい。例えば、推定された溶鋼中りん濃度が、目標データ212の一つとして格納されている目標溶鋼中りん濃度を超えていると判断された場合、転炉吹錬制御装置20は、溶鋼中りん濃度が目標溶鋼中りん濃度を下回るように、転炉吹錬の操業条件を変更し得る。このように、溶鋼中りん濃度を高精度で推定することができれば、一次精錬により得られる溶鋼の品質を高く維持することができる。
なお、本実施形態に係る転炉吹錬制御装置20の各機能部が有する具体的な機能については、後述する。
また、転炉吹錬制御装置20は、例えば、転炉11への酸素の吹込み、並びに冷材および副原料の投入等の溶銑予備処理に関するプロセス全体を制御する機能を有する。また、例えば、転炉吹錬制御装置20は、一般的なスタティック制御において行われている、吹錬開始前に所定の数式モデル等を用いて転炉11への吹込み酸素量、冷材の投入量(以降、冷材量と呼称する)および副原料の投入量等を決定する機能等を有する。また、例えば、転炉吹錬制御装置20は、一般的なダイナミック制御において行われているサブランス測定について、その測定対象や測定タイミング等を制御する機能を有する。
図示しない各機能における具体的な処理(例えば、上述した、冷材および副原料投入の制御方法、スタティック制御において吹錬開始前に吹込み酸素量や各種冷材および副原料の投入量等を決定する方法、並びにサブランス測定の制御方法)としては、各種の公知の方法が適用され得るため、ここでは詳細な説明は省略する。
転炉吹錬データベース21は、転炉吹錬制御装置20において用いられる各種データを格納するデータベースであり、ストレージ等の記憶装置により実現される。転炉吹錬データベース21は、例えば、図3に示したように、溶銑データ211、目標データ212、およびパラメータ213等を格納する。これらのデータは、不図示の入力装置や通信装置を介して追加、更新、変更、または削除されてもよい。例えば、後述する操業データベース40に格納されている各種データのうち転炉吹錬に用いられるデータが、転炉吹錬データベース21に追加されてもよい。転炉吹錬データベース21に記憶されている各種データは、データ取得部201により呼び出される。なお、本実施形態に係る転炉吹錬データベース21を有する記憶装置は、図3に示すように転炉吹錬制御装置20と一体となって構成されているが、他の実施形態においては、転炉吹錬データベース21を有する記憶装置は、転炉吹錬制御装置20とは分離された構成であってもよい。
溶銑データ211は、転炉11内の溶銑に関する各種のデータである。例えば、溶銑データ211には、溶銑についての情報(チャージごとの初期の溶銑重量、溶銑成分(炭素、りん、珪素、鉄、マンガン等)の濃度、溶銑温度、溶銑率等)が含まれる。溶銑データ211には、その他にも、一般的に溶銑予備処理および脱炭処理において用いられる各種の情報(例えば、副原料および冷材の投入についての情報(副原料および冷材量についての情報)、サブランス測定についての情報(測定対象や測定タイミング等についての情報)、吹込み酸素量についての情報等)が含まれ得る。目標データ212には、脱りん処理後、脱炭処理後、およびサブランス測定時等における溶銑中(溶鋼中)の目標成分濃度および目標温度などのデータが含まれる。パラメータ213は、クラスタ決定部202およびりん濃度推定部204において用いられる各種のパラメータである。例えば、パラメータ213には、操業要因を説明変数とする回帰式におけるパラメータ、およびりん濃度を推定するためのパラメータ(脱りん速度定数等)が含まれる。
入出力部22は、例えば、りん濃度推定部204による溶鋼中りん濃度の推定結果等を取得し、各種出力装置に出力する機能を有する。例えば、入出力部22は、推定された溶鋼中りん濃度をオペレータに表示させてもよい。また、転炉吹錬制御装置20が推定された溶鋼中りん濃度に基づいて転炉吹錬制御を行う場合、入出力部22は、推定された溶鋼中りん濃度に基づく転炉吹錬に係る指示を、計測制御装置30に出力してもよい。この場合、当該指示は、転炉吹錬制御装置20の有する転炉吹錬制御に係る機能により自動的に生成される指示であってもよいし、表示された溶鋼中りん濃度(推定値)に係る情報を閲覧したオペレータの操作により入力される指示であってもよい。また、入出力部22は、転炉吹錬データベース21に格納されている各種データを追加、更新、変更、または削除するための入力インタフェースの機能を有してもよい。また、入出力部22は、データ取得部201により取得された各種データ、クラスタ決定部202による決定結果、およびりん濃度推定部204による推定結果を、操業データベース40に出力してもよい。
(計測制御装置)
計測制御装置30は、CPU、ROM、RAM、ストレージおよび通信装置等のハードウェア構成を備える。計測制御装置30は、転炉吹錬設備10の備える各装置と通信し、転炉吹錬設備10の全体の動作を制御する機能を有する。例えば、計測制御装置30は、転炉吹錬制御装置20からの指示に応じて、中間排滓処理のための転炉11の傾動、転炉11への冷材および副原料の投入、上吹きランス13の酸素15の吹込み、並びにサブランス14の溶鋼への浸漬およびサブランス測定等に係る操作を制御する。また、計測制御装置30は、排ガス成分分析計101、排ガス流量計102、レベル計103およびサブランス14等の転炉吹錬設備10の各装置から得られたデータを取得して、転炉吹錬制御装置20に送信する。
(操業データベース)
操業データベース40は、ストレージ等の記憶装置により実現されるデータベースであり、転炉吹錬の操業に係る各種データを格納するデータベースである。当該各種データは、データ取得部201により取得された転炉吹錬設備10の各装置から得られるデータ、並びにクラスタ決定部202による決定結果、およびりん濃度推定部204による推定結果を含む。本実施形態に係る操業データベース40は、レベル計103により測定されたスラグレベルに係るデータ(すなわち、スラグレベルの時系列データ)を操業ごとに蓄積する。また、本実施形態に係る操業データベース40は、操業ごとのスラグレベルの時系列データをクラスタリング実行部203に出力する。なお、本実施形態に係る操業データベース40を有する記憶装置は、図3に示すように転炉吹錬制御装置20とは分離されて構成されているが、他の実施形態においては、操業データベース40を有する記憶装置は、転炉吹錬制御装置20と一体になった構成であってもよい。
<2.2.各機能部の構成および機能>
次に、本実施形態に係る転炉吹錬制御装置20の各機能部の構成および機能について、説明する。
再度図3を参照すると、本実施形態に係る転炉吹錬制御装置20には、データ取得部201、クラスタ決定部202、クラスタリング実行部203およびりん濃度推定部204の各機能部が備えられる。
(データ取得部)
データ取得部201は、溶鋼中りん濃度を推定するための各種データを取得する。例えば、データ取得部201は、転炉吹錬データベース21に記憶されている溶銑データ211、目標データ212およびパラメータ213を取得する。すなわち、データ取得部201は、溶銑データ取得部としての機能を有する。これらのデータは、遅くとも、りん濃度推定部204による溶鋼中りん濃度の推定処理が開始される前に取得される。本実施形態に係るデータ取得部201は、転炉吹錬データベース21に記憶されている各種データを、転炉吹錬開始前に取得する。
また、データ取得部201は、排ガス成分分析計101および排ガス流量計102から出力される排ガスデータを取得する。すなわち、データ取得部201は、排ガスデータ取得部としての機能を有する。取得される排ガスデータは、時系列データである。本実施形態に係るデータ取得部201は、排ガス成分分析計101および排ガス流量計102が逐次的に測定する排ガスデータを逐次的に取得する。なお、他の実施形態においては、データ取得部201は、当該排ガスデータを、脱りん処理後に一括して取得してもよい。
また、データ取得部201は、レベル計103から出力されるスラグレベルに係るデータを取得する。すなわち、データ取得部201は、スラグレベルデータ取得部としての機能を有する。取得されるスラグレベルに係るデータは時系列データである。スラグレベルの取得は、脱りん処理時に行われる。本実施形態に係るデータ取得部201は、脱りん処理時にレベル計103が逐次的に測定するスラグレベルに係るデータを逐次的に取得する。なお、他の実施形態においては、データ取得部201は、当該スラグレベルに係るデータを、脱りん処理後に一括して取得してもよい。
また、データ取得部201は、脱炭処理時にサブランス14によるサブランス測定により得られる溶鋼データを取得する。すなわち、データ取得部201は、溶鋼データ取得部としての機能を有する。
なお、データ取得部201は、上述した各種データ以外にも、脱りん処理、中間排滓処理および脱炭処理に係るデータを取得する。データ取得部201は、転炉吹錬設備10に備えられる各種装置から出力されるデータを、計測制御装置30を介して取得する。
データ取得部201は、取得したデータをクラスタ決定部202およびりん濃度推定部204に出力する。また、データ取得部201で取得されたデータは操業データベース40に格納される。
(クラスタ決定部、クラスタリング実行部)
クラスタ決定部202は、クラスタリング実行部203により取り出される複数のクラスタのうち、データ取得部201から取得したスラグレベルの時系列データについて最も類似度の高いクラスタを決定する。ここで、類似度の算出方法については、特に限定されず、公知の各種の方法を適宜利用することができる。かかる類似度として、例えば上記のように、着目しているスラグレベルの時系列データと、各クラスタとの差分二乗和を用いることができる。クラスタ決定部202により決定されたクラスタに対応するカテゴリ変数は、りん濃度推定部204に出力される。当該カテゴリ変数は、りん濃度推定部204による推定に用いられる式(4)に示した回帰式の説明変数である操業要因Xとして用いられる。
また、クラスタリング実行部203は、操業データベース40から取得した過去の操業におけるスラグレベルの時系列データに対してクラスタリングを行い、複数のクラスタを取り出す。クラスタリング実行部203により取り出されたクラスタに係る情報は、クラスタ決定部202に出力される。また、当該クラスタに係る情報は、操業データベース40に出力されてもよい。また、クラスタリング実行部203は、操業データベース40に格納されている過去の操業におけるスラグレベルの時系列データが更新された場合に、適宜クラスタリングを実行してもよい。
なお、他の実施形態において上記カテゴリ変数を説明変数として用いない場合、クラスタ決定部202およびクラスタリング実行部203は、転炉吹錬制御装置20に含まれなくてもよい。
(りん濃度推定部)
りん濃度推定部204は、データ取得部201から出力された各種データ、およびクラスタ決定部202から出力されたクラスタを識別する変数であるカテゴリ変数を用いて、脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度を推定する。具体的には、りん濃度推定部204は、まず、上記の各種データおよびカテゴリ変数を説明変数として、上記式(4)に示す回帰式に代入することにより、脱りん速度定数kを算出する。そして、りん濃度推定部204は、上記式(2)に算出した脱りん速度定数kを代入することにより、溶鋼中りん濃度を推定する。りん濃度推定部204は、サブランス14によるサブランス測定以降(すなわち、データ取得部201による溶鋼データの取得の開始以降)、逐次的に脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度を推定する。すなわち、サブランス測定以降、脱炭処理の吹止め時(終点時)までの範囲における脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度が、りん濃度推定部204により推定される。
以上、図3を参照して、本実施形態に係る転炉吹錬制御装置20の各機能部の構成および機能について説明した。なお、図3には示されていないが、転炉吹錬制御装置20は、操作量算出部をさらに備えてもよい。操作量算出部は、りん濃度推定部204により推定された溶鋼中りん濃度に基づいて、脱炭処理における吹込み酸素量もしくは冷材量、または上吹きランス高さ等の操作量を算出してもよい。操作量算出部の機能は、例えば、上記特許文献1に開示されている機能と同一であってもよい。本実施形態に係るりん濃度推定部204により推定される溶鋼中りん濃度は、上記特許文献1に開示された技術により推定される溶鋼中りん濃度よりも精度が高い。そのため、操作量算出部により算出される操作量の信頼度も高いので、実際の溶鋼中りん濃度を、目標溶鋼中りん濃度により近づけることが可能となる。
<<3.溶鋼中りん濃度推定方法のフロー>>
図4は、本実施形態に係る転炉吹錬システム1による溶鋼中りん濃度推定方法のフローチャートの一例を示す図である。図4を参照しながら、本実施形態に係る転炉吹錬システム1による溶鋼中りん濃度推定方法のフローについて説明する。なお、図4に示す各処理は、図3に示す転炉吹錬制御装置20によって実行される各処理に対応している。そのため、図4に示す各処理の詳細については省略し、各処理の概要を説明するに留める。
本実施形態に係る溶鋼中りん濃度推定方法では、まず、転炉吹錬開始前に、転炉吹錬データベース21に格納されたデータ等の各種データが取得される(ステップS101)。具体的には、ステップS101では、データ取得部201は、溶銑データ211、目標データ212、およびパラメータ213を取得する。
次に、脱りん処理時および中間排滓処理時において、脱りん処理および中間排滓処理に係るデータが取得される(ステップS103)。具体的には、ステップS103では、データ取得部201は、レベル計103により測定されたスラグレベルに係るデータをレベル計103から逐次的に取得する。
次に、ステップS103において取得された脱りん処理時のスラグレベルの時系列データに基づいて、操業要因として用いられるクラスタが決定される(ステップS105)。具体的には、ステップS105では、クラスタ決定部202は、本チャージの脱りん処理時のスラグレベルの時系列データについて、クラスタリング実行部203により取り出された各クラスタのうち最も類似度の高いクラスタを決定する。ここで決定されたクラスタに対応するカテゴリ変数が、りん濃度推定部204に出力される。
次に、脱炭処理に係るデータが取得される(ステップS107)。具体的には、ステップS107では、データ取得部201は、排ガス成分分析計101および排ガス流量計102によって測定された排ガスデータを、排ガス成分分析計101および排ガス流量計102から逐次的に取得する。排ガスデータの取得は、脱炭処理の開始時から終点時まで連続的に行われる。また、サブランス測定が行われるタイミングにおいては、データ取得部201は、溶鋼データを取得する。
本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定方法において、サブランス測定が既に行われているか否かによって、その後の処理が変化する(ステップS109)。サブランス測定がまだ行われていない場合(S109/NO)、溶鋼中りん濃度の推定は行われず、繰り返し排ガスデータ等の脱炭処理に係るデータが取得される(ステップS107)。一方、サブランス測定が既に行われている場合(S109/YES)、溶鋼中りん濃度の推定が行われる(ステップS111)。具体的には、りん濃度推定部204は、データ取得部201により取得された各種データを用いて、まず、サブランス測定時の脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度の推定を行う。これは、サブランス測定で得られる溶鋼温度実績値および溶鋼中炭素濃度実績値が、脱りん速度定数kの推定の高精度化により有効であるためである。より詳細には、まず、サブランス測定で得られる溶鋼温度実績値および溶鋼中炭素濃度実績値を含む各種データに基づく説明変数を上記式(4)の回帰式に代入することにより、脱りん速度定数kを得る。次に、得られた脱りん速度定数kが脱りん処理開始時からサブランス測定時まで同一の値であるとみなして、溶銑りん濃度をりん濃度初期値[P]iniとし、かつ、脱りん処理開始からサブランス測定時までの経過時間をtとして上記式(2)に代入することにより、サブランス測定時のりん濃度[P]を求める。このように、サブランス測定時に推定された脱りん速度定数kを用いて脱りん処理開始からサブランス測定時におけるりん濃度を推定しても、下記実施例に示すように、十分な精度でりん濃度を推定可能であるので、実用上の問題はない。
サブランス測定以降脱炭処理が終了する時点まで、上記のサブランス測定時の溶鋼中りん濃度推定値を初期値として、上記式(4)による脱りん速度定数kの推定と、推定されたkを用いた、上記式(2)による溶鋼中りん濃度の推定は、繰り返し行われる(ステップS113)。具体的には、脱炭処理が終了していない場合(S113/NO)、ステップS107〜ステップS111に係る処理が繰り返し行われる。一方、脱炭処理が終了した場合(S113/YES)、本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定処理を終了する。
以上、図4を参照して、本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定方法のフローについて説明した。なお、図4に示した本実施形態に係る溶鋼中りん濃度の推定方法に係るフローチャートに示したステップは、あくまでも一例にすぎない。
例えば、ステップS101〜ステップS105に係る処理が実行されるタイミングは、ステップS111における溶鋼中りん濃度の推定処理が開始される以前であれば、特に限定されない。具体的には、他の実施形態において、データ取得部201が排ガスデータおよびスラグレベルに係るデータを一括して各種装置から取得する場合、ステップS101およびステップS103におけるデータの取得処理、並びにS105におけるクラスタの決定処理は、ステップS111における溶鋼中りん濃度の推定処理が開始される以前に完了していればよい。ステップS111における溶鋼中りん濃度の推定処理の開始時に溶鋼中りん濃度の推定に用いられるデータがそろっていれば十分だからである。
<<4.まとめ>>
中間排滓処理において排滓されるスラグ量は、溶鋼中りん濃度に影響する脱りん反応の反応方向および反応速度に影響する。また、脱りん処理におけるスラグレベルは、中間排滓処理において排滓されるスラグ量に関係すると言われている。本実施形態によれば、脱りん速度定数kを算出するための説明変数に用いられる操業要因の一つとして、脱りん処理における吹錬時のスラグレベルの時系列データ(および/またはスラグレベルの時系列データの平均値)が用いられる。すなわち、脱りん反応に関係する中間排滓処理時のスラグの排滓量が、溶鋼中りん濃度の推定に適用される。したがって、本実施形態によれば、中間排滓処理が行われる転炉吹錬における溶鋼中りん濃度の推定精度をより高くすることができる。
また、本実施形態によれば、過去の操業時におけるスラグレベルの時系列データに対して行われる時系列クラスタリングにより得られるクラスタを識別するカテゴリ変数が、操業要因に係る説明変数として用いられる。そして、実際の操業時において得られるスラグレベルの時系列データの示す傾向と類似するクラスタが決定され、決定されたクラスタに対応するカテゴリ変数が、当該チャージの操業要因に係る説明変数として回帰式に代入される。これにより、単に脱りん処理において生じたスラグ量だけではなく、脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグフォーミングの傾向を、脱りん速度定数kの推定に反映させることができる。すなわち、中間排滓処理が行われる転炉吹錬における溶鋼中りん濃度の推定精度をさらに高くすることができる。
なお、図3に示す構成は、あくまで本実施形態に係る転炉吹錬システム1の一例であり、転炉吹錬システム1の具体的な構成はかかる例に限定されない。転炉吹錬システム1は、以上説明した機能を実現可能に構成されればよく、一般的に想定され得るあらゆる構成を取ることができる。
例えば、転炉吹錬制御装置20が備える各機能は、1台の装置においてその全てが実行されなくてもよく、複数の装置の協働によって実行されてもよい。例えば、データ取得部201、クラスタ決定部202、クラスタリング実行部203およびりん濃度推定部204のうちの1又は複数のいずれかの機能のみを有する一の装置が、他の機能を有する他の装置と通信可能に接続されることにより、図示する転炉吹錬制御装置20と同等の機能が実現されてもよい。
また、図3に示す本実施形態に係る転炉吹錬制御装置20の各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、PC等の処理装置に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。本発明の効果を確認するために、本実施例では、本実施形態に係る溶鋼中りん濃度推定方法により得られる脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度の推定精度について検証した。なお、以下の実施例は本発明の効果を検証するために行ったものに過ぎず、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
上記式(4)で示される回帰式に用いられる説明変数として、比較例1では、上記表1に示す操業要因が用いられた。一方、実施例1では、説明変数として、上記表1に示す操業要因に加え、脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグレベルの時系列データの平均値が用いられた。実施例2では、説明変数として、上記表1に示す操業要因に加え、上記スラグレベルの時系列データについてクラスタ決定部202により決定されたクラスタに対応するカテゴリ変数が用いられた。また、実施例3では、説明変数として、上記表1に示す操業要因および上記スラグレベルの時系列データの平均値に加え、上記スラグレベルの時系列データについてクラスタ決定部202により決定されたクラスタに対応するカテゴリ変数が用いられた。
各実施例および比較例について、サブランス測定時および脱炭処理における吹止め時(終点時)の脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度が、それぞれ算出された。脱りん速度定数kは、上記式(4)を用いて算出された。また、溶鋼中りん濃度は、上記式(4)により得られた脱りん速度定数kを上記式(2)に代入することにより算出された。算出された脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度を、以下「推定値」と称する。
なお、各実施例および比較例に係る脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度の推定精度の検証のため、サブランス測定時および終点時の溶鋼中りん濃度の実績値が測定された。また、溶鋼中りん濃度の実績値を上記式(2)に代入することにより、当該実績値に基づく脱りん速度定数kが算出された。各実施例および比較例に係る脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度の推定値と実績値との誤差(推定誤差)をそれぞれ算出し、当該推定誤差の標準偏差S.D.(%)を求めた。標準偏差S.D.が小さいほど、推定誤差が小さい(すなわち、推定精度が高い)と言える。
まず、サブランス測定時の脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度の推定精度に係る結果を図5A〜図6Dに示す。図5A〜図5Dは、サブランス測定時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。図5Aは、実施例1におけるサブランス測定時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。図5Bは、実施例2におけるサブランス測定時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。図5Cは、実施例3におけるサブランス測定時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。図5Dは、比較例におけるサブランス測定時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。
また、図6A〜図6Dは、サブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図6Aは、実施例1におけるサブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図6Bは、実施例2におけるサブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図6Cは、実施例3におけるサブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図6Dは、比較例におけるサブランス測定時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。
図5A〜図5Dを参照すると、各実施例では、比較例に比べて、脱りん速度定数kの推定精度が向上していることが分かる。具体的には、図5Dに示すように、比較例では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00395であった。一方、図5A、図5Bおよび図5Cにそれぞれ示すように、実施例1では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00385であり、実施例2では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00368であり、実施例3では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00361であった。
また、図6A〜図6Dを参照すると、各実施例では、比較例に比べて、溶鋼中りん濃度の推定精度が向上していることが分かる。具体的には、図6Dに示すように、比較例では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00420であった。一方、図6A、図6Bおよび図6Cにそれぞれ示すように、実施例1では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00406であり、実施例2では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00385であり、実施例3では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00377であった。
上記の結果から、各実施例では、比較例に比べて、サブランス測定時の脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度を精度よく推定できることが分かった。特に、スラグレベルに係る時系列データから得られるクラスタに対応する変数を説明変数として用いる実施例2および実施例3では、脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度をさらに精度よく推定できることが示された。
次に、脱炭処理における終点時の脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度の推定精度に係る結果を図7A〜図8Dに示す。
図7A〜図7Dは、終点時の脱りん速度定数kの実績値に対する推定誤差を示す図である。図7Aは、実施例1における終点時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。図7Bは、実施例2における終点時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。図7Cは、実施例3における終点時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。図7Dは、比較例における終点時の脱りん速度定数kの推定誤差を示す図である。
また、図8A〜図8Dは、終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図8Aは、実施例1における終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図8Bは、実施例2における終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図8Cは、実施例3における終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。図8Dは、比較例における終点時の溶鋼中りん濃度の実績値に対する推定誤差を示す図である。
図7A〜図7Dを参照すると、各実施例では、比較例に比べて、脱りん速度定数kの推定精度が向上していることが分かる。具体的には、図7Dに示すように、比較例では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00664であった。一方、図7A、図7Bおよび図7Cにそれぞれ示すように、実施例1では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00656であり、実施例2では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00656であり実施例3では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00650であった。
また、図8A〜図8Dを参照すると、各実施例では、比較例に比べて、溶鋼中りん濃度の推定精度が向上していることが分かる。具体的には、図8Dに示すように、比較例では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.00102であった。一方、図8A、図8Bおよび図8Cにそれぞれ示すように、実施例1では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.000101であり、実施例2では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.000986であり実施例3では、推定誤差の標準偏差S.D.が0.000982であった。
上記の結果から、各実施例では、比較例に比べて、終点時の脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度を精度よく推定できることが分かった。特に、スラグレベルに係る時系列データから得られるクラスタに対応する変数を説明変数として用いる実施例2および実施例3では、脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度をさらに精度よく推定できることが示された。
以上より、各実施例では、比較例に比べて、サブランス測定時および終点時の脱りん速度定数kおよび溶鋼中りん濃度を精度よく推定できることが示された。特に、実施例2および実施例3に示したように、スラグレベルに係る時系列データから得られるクラスタに対応する変数を説明変数として脱りん速度定数kの算出に用いることにより、さらに精度が向上することが示された。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 転炉吹錬システム
10 転炉吹錬設備
11 転炉
12 煙道
13 上吹きランス
14 サブランス
20 転炉吹錬制御装置
21 転炉吹錬データベース
22 入出力部
30 計測制御装置
40 操業データベース
101 排ガス成分分析計
102 排ガス流量計
103 レベル計
201 データ取得部
202 クラスタ決定部
203 クラスタリング実行部
204 りん濃度推定部

Claims (6)

  1. 脱りん処理と、前記脱りん処理で生成されたスラグを排滓する中間排滓処理と、脱炭処理と、を同一の転炉を用いて行う一次精錬に用いられる溶鋼中りん濃度推定方法であって、
    前記脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグレベルを取得するスラグレベルデータ取得ステップと、
    前記脱炭処理時の排ガス成分および排ガス流量を取得する排ガスデータ取得ステップと、
    前記脱炭処理時におけるサブランス測定により溶鋼温度および溶鋼中の炭素濃度を取得する溶鋼データ取得ステップと、
    前記スラグレベル、前記排ガス成分、前記排ガス流量、前記溶鋼温度および前記炭素濃度に係るデータ、並びに、前記脱りん処理、前記中間排滓処理および前記脱炭処理に係る操業条件を用いて脱りん速度定数を算出し、算出された前記脱りん速度定数と、前記脱りん処理開始時の溶銑りん濃度とを用いて、前記サブランス測定以降の前記脱炭処理時における前記溶鋼中のりん濃度を推定するりん濃度推定ステップと、
    を含む、溶鋼中りん濃度推定方法。
  2. 前記脱りん速度定数の算出において、過去の操業において取得された複数の前記スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングにより得られるクラスタを識別するカテゴリ変数を用いる、請求項1に記載の溶鋼中りん濃度推定方法。
  3. 前記脱りん速度定数の算出において、前記脱りん処理時に得られる前記スラグレベルの時系列データの平均値を用いる、請求項1または2に記載の溶鋼中りん濃度推定方法。
  4. 脱りん処理と、前記脱りん処理で生成されたスラグを排滓する中間排滓処理と、脱炭処理と、を同一の転炉を用いて行う一次精錬に用いられる転炉吹錬制御装置であって、
    前記脱りん処理時の吹錬末期におけるスラグレベルを取得するスラグレベルデータ取得部と、
    前記脱炭処理時の排ガス成分および排ガス流量を取得する排ガスデータ取得部と、
    前記脱炭処理時におけるサブランス測定により溶鋼温度および溶鋼中の炭素濃度を取得する溶鋼データ取得部と、
    前記スラグレベル、前記排ガス成分、前記排ガス流量、前記溶鋼温度および前記炭素濃度に係るデータ、並びに、前記脱りん処理、前記中間排滓処理および前記脱炭処理に係る操業条件を用いて脱りん速度定数を算出し、算出された前記脱りん速度定数と、前記脱りん処理開始時の溶銑りん濃度とを用いて、前記サブランス測定以降の前記脱炭処理時における前記溶鋼中のりん濃度を推定するりん濃度推定部と、
    を備える、転炉吹錬制御装置。
  5. 前記りん濃度推定部は、前記脱りん速度定数の算出において、過去の操業において取得された複数の前記スラグレベルの時系列データに対して行われた時系列クラスタリングにより得られるクラスタを識別するカテゴリ変数を用いる、請求項4に記載の転炉吹錬制御装置。
  6. 前記りん濃度推定部は、前記脱りん速度定数の算出において、前記脱りん処理時に得られる前記スラグレベルの時系列データの平均値を用いる、請求項4または5に記載の転炉吹錬制御装置。
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