JP4081392B2 - スラグ流出検知方法、スラグ流出検知装置、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及びコンピュータプログラム - Google Patents

スラグ流出検知方法、スラグ流出検知装置、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及びコンピュータプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスラグ流出検知方法、スラグ流出検知装置、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及びコンピュータプログラムに関し、特に、溶融金属とスラグが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に溶融金属を注入する際に、前記シールされた流通管を通過して前記スラグが他の容器に流出するのを検知するために用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造においては、転炉で精練された溶鋼は取鍋に移された後、エアシールパイプを介してタンディッシュに注湯される。通常は、前記取鍋には溶鋼とともにスラグが入っているため、取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入する際に、注湯末期においてスラグが大量にタンディッシュに流入すると、タンディッシュ内の溶鋼にスラグが混入し、結果としてスラグが連続鋳造機の鋳型に巻き込まれ、連続鋳造された鋳片に内部欠陥として残留することになる。
【0003】
したがって、前記タンディッシュ内にはスラグを極力流出させないようにして操業が行われている。図8は、このような溶鋼がタンディッシュに注湯されている状態を示す図である。図8において、符号81は取鍋、82は取鍋81内のスラグ、83は取鍋81内の溶鋼、84はロングノズル、85はタンディッシュ、86は浸漬ノズル、87は鋳型、SNは取鍋開閉弁である。
【0004】
前記取鍋81内の溶鋼83の湯面にはスラグ82が浮遊しているが、タンディッシュ85への注湯の進行にともない、溶鋼83の湯面レベルが一定レベルまで下がると、ロングノズル84の上部に渦が発生し、スラグ82が溶鋼83とともにタンディッシュ85に流出する。
【0005】
このような取鍋81からタンディシュ85へのスラグ82の流出を検知する方法として、ロングノズル84に発生する振動レベルを経時的に測定し、振動レベルの変化に基づいてスラグ流出を検知する方法がある。このスラグ流出検知方法は、次のような原理に基づいている。
【0006】
前記取鍋81内の溶鋼83は、ロングノズル84を通って、重力により自由落下して、タンディッシュ85内の湯面85aに衝突する。この流体衝突により、ロングノズル84の先端が加振され、ロングノズル84に振動が発生する。
【0007】
その際に、溶鋼83に代わってスラグ82が流出した場合には、スラグ82の比重は溶鋼83の比重の1/3程度であるので、その比重差により、流体衝突によって発生するエアによってロングノズル84への加振力が低下し、ロングノズル84に発生する振動レベルは、溶鋼83の場合よりも減少する。
【0008】
このような原理に基づいてスラグが取鍋81からタンディッシュ85へ流出するのを検知する具体的な従来の方法としては、例えば、特許文献1に開示された技術がある。この技術に基づくスラグ流出検知方法は、溶融金属を取鍋からロングノズル(エアシールパイプ)を介してタンディッシュ85に注湯する連続鋳造装置において、取鍋注湯終点を検出する際に、前記ロングノズルの互いに異なる少なくとも2方向の振動加速度を感知し、感知された振動よりスラグ流出を検出するというものである。
【0009】
すなわち、このスラグ流出検知方法は、スラグが流出するときには、注湯設備から発生する振動強度が、溶融金属が流れているときに発生する振動強度に対して変化することを利用している。
【0010】
しかしながら、前述した特許文献1に開示されたスラグ流出検知方法には、次のような問題点がある。すなわち、(イ)取鍋からタンディッシュに注湯される単位時問当たりの溶鋼流量は、鋳片の鋳造速度や鋳造幅等により変化するが、それによって振動強度も変化するので、一定の振動強度を基準として、振動強度が変化したか否かを検知することは難しい。
【0011】
(口)振動の発生は流体力による加振に基づくものであるため、振動強度が不規則に変化し、この変化の中からスラグ流出時の振動変化を検知することが難しく、振動強度の変化量の定量化が難しい。
【0012】
このような問題点を解消するために、特許文献2において、スラグ流出による振動強度の変化を、信号処理回路により自動的に検知することができるようにするスラグ流出検知方法が提案された。
【0013】
前記「スラグ流出検知方法」によれば、ロングノズル84で発生する振動レベルを経時的に計測し、計測した振動レベルの大きさを平均する時間の長さが異なる2つの時間毎に移動平均処理を行い、前記移動平均処理後の平均する時間の短い方の平均化された振動レベルの大きさを、移動平均処理後の平均する時間の長い方の平均化された振動レベルの大きさで除した値が、所定の値よりも小さくなったときに、スラグが流出したとオペレータが判断するようにしていた。
【0014】
【特許文献1】
特開平7−164124号公報
【特許文献2】
特開2000−117407号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来は前述のようにしてスラグ流出を判定していたので、オペレータがスラグ流出を判定できるのは、スラグ流出が実際に発生してから一定の時間が経過してからであった。
【0016】
したがって、従来はスラグ82がタンディッシュ85内に多く流入されてしまうので、鋳造される鋳片の品質が低下してしまい、製品の歩留まりを向上させる妨げとなっていた。
【0017】
本発明は前述の問題点にかんがみてなされたもので、スラグ流出判定を迅速に且つ正確に行うことができるようにすることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のスラグ流出検知方法は、溶融金属とスラグとが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に前記溶融金属を注入する際に、前記スラグが前記シールされた流通管を通して前記他の容器に流出するのを検知するスラグ流出検知方法であって、前記シールされた流通管で発生する1次元、2次元または3次元方向の振動レベルを経時的に測定し、前記測定した信号を基に遅延ベクトルを作成し、前記作成した遅延ベクトルが描く再構成アトラクタ上で、各時刻の振動強度を主成分分析法によって求めた主成分値を使って数値指標化し、同数値の減衰を基にスラグの流出を検出することを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、前記シールされた流通管で発生する振動レベルを経時的に測定するにあたり、1.5秒以下のサンプリング周期信号を使用することを特徴としている。
【0019】
本発明のスラグ流出検知装置は、溶融金属とスラグとが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に前記溶融金属を注入する際に、前記スラグが前記シールされた流通管を通して前記他の容器に流出するのを検知するスラグ流出検知装置であって、前記シールされた流通管で発生する1次元、2次元または3次元方向の振動レベルを経時的に測定する振動レベル測定手段と、前記振動レベル測定手段で測定した信号を基に遅延ベクトルを作成する遅延ベクトル作成手段と、前記遅延ベクトル作成手段で作成した遅延ベクトルが描く再構成アトラクタ上で、各時刻の振動強度を主成分分析法によって求めた主成分値を使って数値指標化する数値指標化手段と、前記数値指標化手段によって指標化された数値の減衰を基にスラグの流出を検出するスラグ流出検出手段とを有することを特徴としている。
また、本発明のその他の特徴とするところは、前記シールされた流通管で発生する振動レベルを経時的に測定するにあたり、1.5秒以下のサンプリング周期信号を使用することを特徴としている。
【0020】
本発明のコンピュータプログラムは、溶融金属とスラグとが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に前記溶融金属を注入する際に、前記スラグが前記シールされた流通管を通して前記他の容器に流出するのを検知するスラグ流出検知方法における処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記シールされた流通管で発生する1次元、2次元または3次元方向の振動レベルを経時的に測定し、前記測定した信号を基に遅延ベクトルを作成し、前記作成した遅延ベクトルが描く再構成アトラクタ上で、各時刻の振動強度を主成分分析法によって求めた主成分値を使って数値指標化し、同数値の減衰を基にスラグの流出を検出する処理をコンピュータに実行させることを特徴としている。
【0021】
本発明の記録媒体は、前記に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録したことを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照しながら本発明のスラグ流出検知方法、スラグ流出検知装置、コンピュータ読み取り可能な記録媒体及びコンピュータプログラムの実施の形態について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係るスラグ流出検知装置の実施の形態を示す機能構成図である。図1に示すように、本実施の形態のスラグ流出検知装置は、演算部10及び振動レベル測定部11により構成されている。
【0024】
前記振動レベル測定部11は、振動レベル測定手段として設けられているものであり、前述したシールされた流通管(ロングノズル)20(図2参照)で発生する振動レベルを経時的に測定して振動レベル計測信号を作成する。
【0025】
前記演算部10は、遅延ベクトル作成部10a、スラグ流出判定部10b等によって構成されている。前記遅延ベクトル作成部10aは、遅延ベクトル作成手段として設けられているものであり、前記振動レベル測定部11によって作成した振動レベル計測信号を基に遅延ベクトルを作成する。
【0026】
前記スラグ流出判定部10bは、スラグ流出判定手段として設けられているものであり、前記遅延ベクトル作成部10aで作成した遅延ベクトルが描く再構成アトラクタの時間挙動に基いてスラグ流出を判定する。
【0027】
前記ロングノズル制御装置12は、前記スラグ流出判定部10bの判定結果に基いてロングノズル13の開閉状態を制御して、前述した取鍋内のスラグがタンディッシュ内に流入するのを防止する。
【0028】
本実施の形態において、前記スラグ流出判定部10bは、前記遅延ベクトル作成部10aが描く再構成アトラクタ上の基準時刻における点の周囲に存在する再構成アトラクタ上の近傍点が、位相空間上でどのように空間的な広がりを持っているかを、各時刻の振動強度を主成分分析法によって求めた主成分値を使い、振動状態を数値指標化する手段を有している。そして、前記数値指標が変化することを検出したときにスラグ流出が発生したと判定するようにしている。
【0029】
図2は、ロングノズル20の昇降装置の概略を示す図である。オペレータは前記ロングノズル20の振動変化を、ロングノズル20から約1.5m離れた位置にある昇降装置の操作ハンドル21の振動変化として感知している。
【0030】
そこで、本実施の形態においては、前記操作ハンドル21の最右端に加速度センサ22を取り付けて、前記ロングノズル20の振動変化を前記加速度センサ22で計測し、計測結果に基づいてロングノズル20をスライドさせ、ノズル開度を閉にしている。
【0031】
次に、図3のフローチャートを参照しながら、前述のように構成された本実施の形態のスラグ流出検知装置の処理手順を説明する。
処理が開始されると、最初のステップS31において、振動レベル測定部11(図2の加速度センサ22)によりロングノズル20の振動レベルを経時的に測定する。
【0032】
次に、ステップS32に進み、再構成アトラクタを作成する。再構成アトラクタは、振動レベル計測信号から、相関次元を求め、相関次元の2倍以上の次元を持つ遅延ベクトルV(t)を求めて作成するものであり、この処理は後で詳細に説明する。
【0033】
次に、ステップS33においてスラグが流出したか否かを判定する。この判定の結果、スラグが流出していない場合には前記ステップS31に戻って前述した処理を繰り返し行う。また、ステップS33の判定の結果、スラグが流出した場合にはステップS34に進み、ロングノズル20の開度を閉にする処理を行う。
【0034】
図4は、スラグ流出時に発生する現象を説明するための図である。図4において、40は取鍋であり、dはロングノズル20の内径、Hは取鍋40内の湯面高さ、lはロングノズル20の長さである。
【0035】
図5は、図2のロングノズル昇降装置の最右端に設置した加速度センサ22により計測したデータ時系列の一例を示す図である。本実施の形態では、振動変化を見易くするために、0.05秒のサンプリング間隔で得たデータの2秒間の移動平均値を表示している。
【0036】
また、横軸の鋳造時間目盛りは、オペレータが判定したスラグ流出タイミングをゼロとして表示した。図5の振動加速度の時系列データをみただけでは、オペレータが感知しているロングノズル振動の減衰を検出することは困難である。
【0037】
図5で、オペレータの感知しているノズル振動の減衰を検出できない理由として、ノズル振動の次元が大きく、その1次元射影の結果である各軸振動加速度計測値を単独で監視していたのでは情報量が不足しているため振動の微妙な変化をとらえきれていないことが考えられる。
【0038】
そこで、本実施の形態においては、カオス時系列解析の手法を使って、各軸の振動加速度計測値をもとに再構成した高次元の位相空間上で、ノズル振動変化の特徴をとらえることを考えた。
【0039】
そして、再構成アトラクタ上でのノズル振動の大きさを評価するため、再構成アトラクタ各時刻点の近傍点が位相空間上でどのように空間的な広がりを持っているかを主成分分析法により定量化するようにした。すなわち、再構成アトラクタ上の近傍点が、各時刻の振動の性質を代表しており、振動の大きさと近傍点の空間的な広がりの大きさが対応していると考えた。解析手順は以下のとおりである。
【0040】
(1)x、y、z各軸のロングノズル振動加速度の次元を計算する。
時系列データからの系の次元は以下に示す相関次元で決定する。すなわち、或る次元数mを仮定し、下記の(1)式に基づいて作成した再構成アトラクタ上の或る点vk(i)を中心に描いた半径εの超球内に含まれる点vk(i)の近傍点数を数える。
【0041】
同様の操作を再構成アトラクタの全体にわたって行い、これら近傍点数の総和N(ε)を下記の(2)式にて求める。
【0042】
【数1】
Figure 0004081392
【0043】
ここで、Skは各時刻における振動加速度の計測値を示し、τはサンプリング周期である0.05秒を採用した。また、I(t)はヘビサイド関数で(3)式で定義される。
I(t)=1(t≧0)、0(t<0) ・・・(3)
【0044】
このとき、系の次元mとN(ε)、εの間には(4)式に示す関係が成立するので、
log(N(ε))∝m・log(ε) ・・・(4)
log(N(ε))とlog(ε)の関係をプロットし、直線の勾配より相関次元mを決定する。
【0045】
図6に、x,y及びz軸、各々のlog(N(ε))とlog(ε)との関係を示す。各々のグラフにおける直線の勾配より、各軸の振動加速度の相関次元を以下のように決定した。
x軸相関次元mx=7.2 ・・・(5)
y軸相関次元my=6.9 ・・・(6)
z軸相関次元my=8.2 ・・・(7)
【0046】
これら3軸の相関次元の平均値をとり、ロングノズル振動加速度の代表相関次元mを以下の値に決定した。
代表相関次元 m=7.43 ・・・(8)
【0047】
(2)ロングノズル振動加速度の再構成アトラクタ形成のための遅延ベクトルを作成する。埋め込み次元は、前記(8)式で決定した振動加速度の代表相関次元7.43の2倍以上の値を採用して、15とした。
【0048】
そして、x,y及びz軸の振動加速度計測値を使い、15次元の遅延ベクトルを下記(9)式のように構成する。
【0049】
【数2】
Figure 0004081392
【0050】
(3)次いで、前記遅延ベクトルv(t)により再構成アトラクタを作成する。
【0051】
v(tn)の最近接ベクトルvk NN(tn)、(1≦k≦N)を使って下記(10)式と(11)式より共分散マトリックスWの構成要素Wijを計算する。前記Nは、最近接ベクトルの数を表し、埋め込み次元+1である16を採用した。
【0052】
【数3】
Figure 0004081392
【0053】
共分散マトリックスWの固有値λiを計算する。
【0054】
活動度を(12)式により定義し、計算する。
【0055】
【数4】
Figure 0004081392
【0056】
解析結果を図7に示す。図7における上段の図は、図5の各軸の振動加速度計測値sk(k=x、y、z)を下記の(13)式により統計処理した図である。
【0057】
【数5】
Figure 0004081392
【0058】
各軸の振動加速度計測値sk(k=x、y、z)を前記(13)式のように統計処理しただけでは、図5と比較すると、改善はみられるものの、ノズル振動加速度の明確な減衰として認知できるに至っていない。
【0059】
図7における下段の図は、前記(12)式に基づき計算した活動度の計算結果を示す図である。鋳造時間−100秒以降、鋳造の進行に伴い、活動度が減衰して行くのが確認できる。これは、鋳造末期において、鋳造の進行に従い取鍋スラグ流出量が増加し、ロングノズル20を通過する流体密度が低下して行くと言う事象に良く対応している。
【0060】
図4に示したように、R.Sankaranarayama[1995−14THPTD Conference Proceedings]らによれば、取鍋スラグ流出が発生する取鍋湯面高さHは、ロングノズル内径dに対し下記の(14)式の関係があると報告している。
d/2≦H≦3d ・・・(14)
【0061】
図5で使用したロングノズルの内径dは100mmであり、前記(14)式より、
50mm≦H≦300mm ・・・(15)
となる。これを鋳造時間に変換すると、約2500mmの初期湯面高さの取鍋内溶鋼を約30分で鋳造することより、スラグ流出の時間域Tは下記の(16)式の範囲となる。
−216sec.≦T≦−36scc. ・・・(16)
【0062】
図7における下段の図で観察される「−100秒」から活動度が減衰して行くことは、前述のスラグ流出の時間域内であり、当解析結果の妥当性を示すものであると考える。したがって、本実施の形態のように、ロングノズル振動の時系列計測値をもとに再構成した位相空間上での再構成アトラクタの挙動を、主成分分析により算出した固有値の2乗和の平方根で定義した活動度で評価することにより、取鍋スラグ流出時の振動減衰挙動を定量化することができる。
【0063】
すなわち、従来のように、振動計測値の時系列データだけをみていたのでは判別困難な微弱な減衰挙動も、本実施の形態のスラグ流出検知方法を用いることにより、高精度で検出できることが判った。
【0064】
図9は、本実施の形態のスラグ流出検知装置を構成可能なコンピュータシステムの構成例を示すブロック図である。図9において、900はコンピュータPCである。PC900は、CPU901を備え、ROM902またはハードディスク(HD)911に記憶された、あるいはフレキシブルディスクドライブ(FD)912より供給されるデバイス制御ソフトウェアを実行し、システムバス904に接続される各デバイスを総括的に制御する。
【0065】
前記PC900のCPU901,ROM902またはハードディスク(HD)911に記憶されたプログラムにより、本実施形態の各機能手段が構成される。
【0066】
903はRAMで、CPU901の主メモリ、ワークエリア等として機能する。905はキーボードコントローラ(KBC)であり、キーボード(KB)909から入力される信号をシステム本体内に入力する制御を行なう。906は表示コントローラ(CRTC)であり、表示装置(CRT)910上の表示制御を行なう。907はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム(起動プログラム:パソコンのハードやソフトの実行(動作)を開始するプログラム)、複数のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイルそしてネットワーク管理プログラム等を記憶するハードディスク(HD)911、及びフレキシブルディスク(FD)912とのアクセスを制御する。
【0067】
908はネットワークインタフェースカード(NIC)で、LAN920を介して、ネットワークプリンタ、他のネットワーク機器、あるいは他のPCと双方向のデータのやり取りを行う。
【0068】
(本発明の他の実施の形態)
本発明は複数の機器から構成されるシステムに適用しても1つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0069】
また、前述した実施の形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させるように、前記各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、記録媒体から、またはインターネット等の伝送媒体を介して前記実施の形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0070】
また、この場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0071】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施の形態で説明した機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施の形態で示した機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施の形態に含まれることは言うまでもない。
【0072】
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、溶融金属とスラグとが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に前記溶融金属を注入する際に、前記スラグが前記シールされた流通管を通して前記他の容器に流出するのを検知する際に、前記シールされた流通管で発生する1次元、2次元または3次元方向の振動レベルを経時的に測定し、前記測定した信号を基に遅延ベクトルを作成し、前記作成した遅延ベクトルが描く再構成アトラクタの時間挙動に基いてスラグ流出を判定するようにしたので、前記検出対象のシールされた流通管の状態の時間的な変化を正確に捉えることができ、スラグ流出判定を迅速に且つ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示し、スラグ流出検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】ロングノズルの昇降装置の概略を示す図である。
【図3】スラグ流出検知装置の処理手順の概略を説明するためのフローチャートである。
【図4】スラグ流出時に発生する現象を説明するための図である。
【図5】ロングノズル昇降装置の最右端に設置した加速度センサにより計測したデータ時系列の一例を示す図である。
【図6】ロングノズル振動加速度の相関積分と超球径の関係を説明する図である。
【図7】既存手法とカオス判定の比較結果の一例を示す図である。
【図8】本発明が適用される状態を説明する図であって、溶鋼がタンディッシュに注湯されている状態を示す図である。
【図9】本発明のスラグ流出検知装置を構成可能なコンピュータシステムの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 演算部
10a 遅延ベクトル作成部
10b スラグ流出判定部
11 振動レベル測定部
12 ロングノズル制御装置
13 ロングノズル
20 ロングノズル
21 操作ハンドル
22 加速度センサ
40 取鍋
81 取鍋
82 スラグ
83 溶鋼
84 ロングノズル
85 タンディッシュ
85a タンディッシュ内の湯面
86 浸漬ノズル
87 鋳型
SN 取鍋開閉弁
900 コンピュータPC
901 CPU
902 ROM
903 RAM
904 システムバス
905 KBC
906 CRTC
907 DKC
908 NIC
909 KB
910 CRT
911 HD
912 FD
920 LAN

Claims (6)

  1. 溶融金属とスラグとが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に前記溶融金属を注入する際に、前記スラグが前記シールされた流通管を通して前記他の容器に流出するのを検知するスラグ流出検知方法であって、
    前記シールされた流通管で発生する1次元、2次元または3次元方向の振動レベルを経時的に測定し、前記測定した信号を基に遅延ベクトルを作成し、前記作成した遅延ベクトルが描く再構成アトラクタ上で、各時刻の振動強度を主成分分析法によって求めた主成分値を使って数値指標化し、同数値の減衰を基にスラグの流出を検出することを特徴とするスラグ流出検知方法。
  2. 前記シールされた流通管で発生する振動レベルを経時的に測定するにあたり、1.5秒以下のサンプリング周期信号を使用することを特徴とする請求項1に記載のスラグ流出検知方法。
  3. 溶融金属とスラグとが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に前記溶融金属を注入する際に、前記スラグが前記シールされた流通管を通して前記他の容器に流出するのを検知するスラグ流出検知装置であって、
    前記シールされた流通管で発生する1次元、2次元または3次元方向の振動レベルを経時的に測定する振動レベル測定手段と、
    前記振動レベル測定手段で測定した信号を基に遅延ベクトルを作成する遅延ベクトル作成手段と、
    前記遅延ベクトルが描く再構成アトラクタ上で、各時刻の振動強度を主成分分析法によって求めた主成分値を使って数値指標化する数値指標化手段と、
    前記数値指標化手段によって指標化された数値の減衰を基にスラグの流出を検出するスラグ流出検出手段とを有することを特徴とするスラグ流出検知装置。
  4. 前記シールされた流通管で発生する振動レベルを経時的に測定するにあたり、1.5秒以下のサンプリング周期信号を使用することを特徴とする請求項に記載のスラグ流出検知装置。
  5. 溶融金属とスラグとが入った容器から、シールされた流通管を介して他の容器に前記溶融金属を注入する際に、前記スラグが前記シールされた流通管を通して前記他の容器に流出するのを検知するスラグ流出検知方法における処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記シールされた流通管で発生する1次元、2次元または3次元方向の振動レベルを経時的に測定し、前記測定した信号を基に遅延ベクトルを作成し、
    前記作成した遅延ベクトルが描く再構成アトラクタ上で、各時刻の振動強度を主成分分析法によって求めた主成分値を使って数値指標化し、同数値の減衰を基にスラグの流出を検出する処理をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  6. 請求項に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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