JP2003301448A - 地盤注入材の注入装置および注入工法 - Google Patents

地盤注入材の注入装置および注入工法

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JP2003301448A JP2002104346A JP2002104346A JP2003301448A JP 2003301448 A JP2003301448 A JP 2003301448A JP 2002104346 A JP2002104346 A JP 2002104346A JP 2002104346 A JP2002104346 A JP 2002104346A JP 2003301448 A JP2003301448 A JP 2003301448A
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  • Consolidation Of Soil By Introduction Of Solidifying Substances Into Soil (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】注入口から注入した地盤改良材が注入口を通っ
て装置内部に逆流することを確実に防止することができ
る地盤改良材の注入装置および注入工法を提供する。 【解決手段】注入装置100を構成する外管5の外周面
5cにテーパー面5eを形成するとともに、このテーパ
ー面5eの周方向に環状のエッジ部7bを設け、弾性体
からなる逆止弁用のスリーブ6を、テーパー面5eに穿
孔した注入口5dとエッジ部7bを覆うようにテーパー
面5eに装着する。そして、このような注入装置100
を地盤Gに形成した掘削孔Hに挿入した後、地盤注入材
MLを注入口5dから噴出させ、テーパー面5eとスリ
ーブ6との接合部Tをテーパー面5eが狭くなるD方向
へ導いてスリーブ6の端部6aから地盤G中へ注入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤中へ地盤注入
材を注入する注入装置の逆流防止構造に関し、またこの
注入装置を用いた注入工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】地盤の液状化防止対策や軟弱地盤の強化
対策等として、地盤改良材を注入して地盤を改良する注
入工法が採用されている。この工法は、特開平10−3
31144号公報や特開平10−331145号公報に
開示されているように、地盤に形成した掘削孔に注入装
置を挿入して地盤改良用の薬液からなる地盤改良材を注
入し、これを地盤中に浸透させて硬化させることにより
地盤を強化させるものである。
【0003】図5〜図7は、従来の地盤改良材の注入装
置とこれを用いた注入工法の一例を示す図であり、図5
は注入装置および注入工法を示す全体図、図6および図
7は注入装置および注入工法を示す要部拡大図である。
図5において、Gは地盤であり、Hは地盤Gに形成した
掘削孔である。CBは掘削孔Hと後述する外管55との
間に充填されたシールグラウトであり、たとえばセメン
トベントナイト等からなる。MLは地盤改良用の薬液か
らなる地盤改良材である。50は掘削孔Hに挿入された
注入装置であり、この注入装置50は内管51と、内管
51を挿入する外管55を備えている。
【0004】内管51は外周面51aに軸方向へ所定間
隔をおいてゴム製のパッカー52を複数備えていて、隣
接するパッカー52間に地盤改良材MLを吐出する吐出
口51bを複数設けている。また、内管51は地盤改良
材用ホース53を介して地上に設置された地盤改良材供
給源MSに連結されていて、この地盤改良材供給源MS
からホース53を通して内部に地盤改良材MLの供給を
受ける。54はパッカー用ホースであり、このホース5
4は、図6に示すように内管51の内部に挿入され、複
数のパッカー52の内部に連通するとともに、地上に設
置した流体供給源LS(図5)に連結されている。この
流体供給源LSからホース54を通して、たとえば水や
空気等のパッカー52を膨張させる流体が供給される
と、流体はパッカー52の内部に入り込んでパッカー5
2を膨張させる。
【0005】外管55は、図6に示すように、D方向の
端部に雌ねじ部55a、U方向の端部に雄ねじ部55b
がそれぞれ形成されていて、複数の外管55の雌ねじ部
55aと雄ねじ部55bを締結することで組み立てられ
ている。このため、外管55は締結する外管55の数に
より掘削孔Hの深度に合わせて軸方向の長さを調節でき
る。外管55の外周面55cには地盤注入材MLを注入
するための注入口55dが複数穿孔されていて、この注
入口55dを覆うようにゴム等の弾性体からなるスリー
ブ56が装着されている。このスリーブ56は、スリー
ブ56自体の弾性力により外周面55cを締め付けて注
入口55dを封止し、注入口55dから注入した地盤注
入材MLの逆流を防止する逆止弁として機能している。
また、このような機能を有するスリーブとしては、図7
に示すようなスリット57aの形成されたゴム等の弾性
体からなるスリーブ57も採用されている。58はスリ
ーブ57の両端部を外周面55cに固定するリング状の
固定部材である。
【0006】次に、以上の構成からなる注入装置50を
用いた注入工法の施工手順を説明する。まず、ケーシン
グパイプ(図示省略)を用いてボーリングにより地盤G
中に、図5に示すように所定深度の掘削孔Hを形成す
る。次に、ケーシングパイプ内にシールグラウトCBを
充填し、充填後ただちに外管55を挿入する。そして、
シールグラウトCBが硬化しないうちにケーシングパイ
プを掘削孔Hから引き抜き、シールグラウトCBを外管
55と掘削孔Hとの間に充填させ、所定時間をおいて硬
化させる。シールグラウトCBが硬化すると、外管55
の注入口55dと内管51の吐出口51bが掘削孔H内
で略同じ深度位置となるように内管51を外管55内部
に挿入する。このとき、流体供給源LSから流体を送り
込んでパッカー52を膨張させると、図6に示すように
内管51が外管55の内部に固定されるとともに、複数
のパッカー52により外管55の内部が軸方向へ所定間
隔をおいて区切られ、隣接するパッカー52間の外管5
5と内管51の間に空間部Xが形成される。
【0007】そして、地盤改良材供給源MSから内管5
1内部に地盤改良材MLを送り込み、この地盤改良材M
Lを吐出口51bから高圧で吐出させると、地盤改良材
MLは矢印で示すように、空間部Xを充填した後、外管
55の注入口55dからスリーブ56を2点鎖線で示す
ように押し上げて噴出し、外周面55cとスリーブ56
との接合部Tを通ってスリーブ56の両端部56aから
シールグラウトCB中へ流出して行く。このとき、地盤
改良材MLの流出圧力により両端部56a近傍のシール
グラウトCBにクラックCRが発生し、スリーブ56の
端部56aから地盤Gへ通じる地盤改良材MLの注入路
が形成される。
【0008】一方、図7に示すスリーブ57を採用した
外管55においては、上述したように地盤改良材MLを
内管51の吐出口51bから高圧で吐出させると、地盤
改良材MLは矢印で示すように、空間部Xを充填した
後、外管55の注入口55dからスリーブ57を2点鎖
線で示すように押し上げて噴出し、外周面55cとスリ
ーブ57との接合部Tを通ってスリーブ57のスリット
57aからシールグラウトCB中へ流出して行く。この
とき、地盤改良材MLの流出圧力によりスリット57a
近傍のシールグラウトCBにクラックCRが発生し、ス
リット57aから地盤Gへ通じる地盤改良材MLの注入
路が形成される。
【0009】図6において、上述したようにシールグラ
ウトCBにクラックCRが発生した後、引き続き、地盤
改良材MLを内管51の吐出口51bから吐出させる
と、地盤改良材MLは外管55の注入口55dからスリ
ーブ56(図7ではスリーブ57)を押し上げて噴出
し、接合部TとクラックCRを通って、図5に示すよう
に地盤G中に流出し、地盤G中に浸透して行く。この
後、地盤G中に浸透した地盤改良材MLが硬化すると地
盤Gが強化される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の地盤改良材MLの注入装置50においては、外管5
5の外周面55cが軸方向に対し平行であり、スリーブ
56またはスリーブ57が内周面全体で外管55の外周
面55cと面接触して接合しているので、外周面55c
を締め付けるスリーブ56、57の締め付け力が接合部
T全体に分散されて弱くなり、スリーブ56、57の止
水性能があまりよくなく、注入口55dを強固に封止で
きないという問題がある。このため、地盤注入材MLと
してセメントミルク等の懸濁タイプの薬液を使用する場
合には、長時間の連続注入や断続的な注入を行うと、接
合部Tにセメント等の粒子が堆積して隙間ができてしま
い、スリーブ56、57の逆止弁としての機能が著しく
低下するという問題がある。また、地盤Gに複数の掘削
孔Hを形成してそれぞれに注入装置50を挿入し、地盤
改良材MLの注入を行う場合に、隣接する掘削孔Hの注
入装置50から高い注入圧力がかかると、止水性能が十
分でない注入装置50では、注入した地盤改良材MLが
接合部Tおよび注入口55dを通って外管55の内部に
逆流してしまい、内部で硬化して地盤改良材MLを注入
できなくなるという問題がある。
【0011】本発明は、上記問題点を解決するものであ
って、その課題とするところは、注入口から注入した地
盤改良材が注入口を通って装置内部に逆流することを確
実に防止することができる地盤改良材の注入装置および
注入工法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる地盤注入
材の注入装置は、外周面にテーパー面を設け、該テーパ
ー面に弾性体からなる逆止弁用のスリーブを注入口を覆
うように装着している。
【0013】このようにすることで、テーパー面の広が
る方向に向かってテーパー面を締め付けるスリーブの締
め付け力が増大するため、スリーブの止水性能を向上さ
せて注入口を強固に封止し、注入口から注入した地盤改
良材が注入口を通って装置内部に逆流することを確実に
防止することができる。また、テーパー面の狭くなる方
向に向かってテーパー面を締め付けるスリーブの締め付
け力が減少するため、注入口から噴出した地盤改良材
を、テーパー面とスリーブとの接合部のテーパー面が狭
くなる方向へ導いて、スリーブの端部からシールグラウ
ト中にスムーズに抜け出させることができ、地盤改良材
が接合部に堆積することなく、スリーブの逆止弁として
の機能を維持することが可能となる。さらに、注入装置
を組み立てる際、テーパー面にスリーブを無理なく容易
に装着することができ、スリーブ自体の弾性力を損なう
おそれがなくなる。
【0014】本発明にかかる地盤注入材の注入装置にお
いては、テーパー面の周方向に、環状のエッジ部を設け
るのが好ましい。
【0015】このようにすることで、スリーブがテーパ
ー面に面接触ではなく線接触するため、テーパー面を締
め付けるスリーブの締め付け力がエッジ部に集中して増
大され、スリーブの止水性能を一層向上させることがで
きる。
【0016】また、本発明にかかる地盤注入材の注入装
置においては、外周面の周方向に、テーパー面が狭くな
る方向のスリーブの端部と対向する環状の突起を設ける
のが好ましい。
【0017】注入口から噴出された地盤改良材がテーパ
ー面とスリーブとの接合部を通ってスリーブの端部から
流出した後、掘削孔の径方向へ流れて行かず、掘削孔と
外周面の間に充填されたシールグラウトと、外周面との
界面に流れて行くと、地盤改良材が地盤中に注入されな
いおそれがあるが、上記のような突起を設けることで、
地盤改良材がスリーブの端部から流出した後、突起に衝
突して掘削孔の径方向に飛び散るため、この方向のシー
ルグラウト中に複数のクラックを発生させることがで
き、この複数のクラックを通して地盤中へ地盤改良材を
注入することが可能となる。
【0018】また、本発明にかかる地盤注入材の注入装
置においては、テーパー面を覆うように設けられたチュ
ーブ状のメッシュ部材と、該メッシュ部材の端部を封止
し、メッシュ部材を外周面に固定する封止部材とを備え
るのが好ましい。
【0019】このようにすることで、外周面とシールグ
ラウトの間にメッシュ部材が介在するため、注入口から
噴出された地盤改良材がテーパー面とスリーブとの接合
部を通ってスリーブの端部から流出した後、メッシュ部
材とシールグラウトとの界面を割裂させ、この界面にお
けるエッジ部分で広範囲にシールグラウト中に複数のク
ラックを発生させることができる。この結果、広範囲に
発生した複数のクラックを通して地盤中へ地盤改良材を
注入し、地盤中に均一に浸透させることが可能となる。
【0020】さらに、本発明にかかる地盤注入材の注入
装置を用いた注入工法は、地盤に所定深度の掘削孔を形
成し、該掘削孔に注入装置を挿入して、地盤改良用の薬
液からなる地盤注入材を、注入口から噴出させてテーパ
ー面とスリーブとの接合部を通して地盤中へ注入する。
【0021】このようにすることで、地盤に複数の掘削
孔を形成して、それぞれの掘削孔に注入装置を挿入し、
各注入装置から地盤改良材の注入を行う場合に、隣接す
る注入装置から高い注入圧力がかかっても、地盤改良材
が注入口を通って装置内部に逆流せず、地盤中へ地盤改
良材を安定して注入することが可能となる。また、地盤
改良材が接合部に堆積することなく、スリーブの逆止弁
としての機能が維持されるため、地盤中に地盤改良材を
長時間に渡って連続注入することや断続的に注入するこ
とが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
図を参照しながら説明する。図1〜図4は、本発明にか
かる地盤改良材の注入装置とこれを用いた注入工法を示
す図であり、図1は注入装置および注入工法を示す全体
図、図2および図3は図1における要部拡大図、図4は
図3におけるA−A断面図である。なお、本発明にかか
る注入装置および注入工法を示す各部の符号は、図5〜
図7と同一部分については同一符号で示す。
【0023】図1において、Gは地盤であり、Hは地盤
Gに形成した掘削孔である。CBは掘削孔Hと後述する
外管5との間に充填されたシールグラウトであり、たと
えばセメントベントナイト等からなる。MLは地盤改良
用の薬液からなる地盤改良材であり、たとえばセメント
ミルク等の懸濁タイプの薬液が使用される。100は掘
削孔Hに挿入された注入装置であり、この注入装置10
0は内管1と、この内管1が挿入される外管5を備えて
いる。
【0024】内管1は外周面1aに軸方向へ所定間隔を
おいてゴム製のパッカー2を複数備えていて、隣接する
パッカー2間に地盤改良材MLを吐出する吐出口1bを
複数設けている。また、内管1は地盤改良材用ホース3
を介して地上に設置された地盤改良材供給源MSに連結
されていて、この地盤改良材供給源MSからホース3を
通して内部に地盤改良材MLの供給を受ける。4はパッ
カー用ホースであり、このホース4は、図2に示すよう
に内管1の内部に挿入され、複数のパッカー2の内部に
連通するとともに、地上に設置した流体供給源LS(図
1)に連結されている。このため、この流体供給源LS
からホース4を通して、たとえば水や空気等のパッカー
2を膨張させる流体が供給されると、流体はパッカー2
の内部に入り込んでパッカー2を膨張させる。
【0025】外管5は、図2に示すように、D方向の端
部に雌ねじ部5a、U方向の端部に雄ねじ部5bがそれ
ぞれ形成されていて、複数の外管5の雌ねじ部5aと雄
ねじ部5bを締結することで組み立てられている。この
ため、外管5は締結する外管5の数により掘削孔Hの深
度に合わせて軸方向の長さを調節できる。また、外管5
は外周面5cにテーパー面5eを設け、このテーパー面
5eに地盤注入材MLを注入するための注入口5dが穿
孔されている。本実施形態では、注入口5dは小径であ
り、テーパー面5eに複数穿孔されているが、注入口5
dの径の大きさと穿孔の数は地盤Gへ注入する地盤改良
材MLの注入量等により適宜設定すればよい。
【0026】6はシリコンゴムや天然ゴム等の弾性体か
らなるスリーブであり、注入口5dを覆うようにテーパ
ー面5eに装着されている。このスリーブ6は、スリー
ブ6自体の弾性力によりテーパー面5eを締め付けて注
入口5dを封止していて、注入口5dから注入した地盤
注入材MLの逆流を防止する逆止弁として機能してい
る。また、スリーブ6のテーパー面5eの広くなるU方
向側の端部6bは、リング状の封止部材10bによっ
て、テーパー面5eのU方向側に形成された環状の溝7
fの底部7hに固定されているが、テーパー面5eの狭
くなるD方向側の端部6aはテーパー面5eや外周面5
cに固定されておらず、スリーブ6の径方向に伸縮自在
である。このため、端部6aは逆止弁として機能するス
リーブ6の開閉口として作用する。このようにテーパー
面5eにスリーブ6が装着されることで、テーパー面5
eを締め付けるスリーブ6の締め付け力がテーパー面5
eの広がるU方向に向かって増大して行くため、スリー
ブ6は注入口5dを強固に封止する。また、テーパー面
5eを締め付けるスリーブ6の締め付け力がテーパー面
5eの狭くなるD方向に向かって減少して行くため、注
入口5dから噴出した地盤改良材MLが、図3に示す矢
印のように常にテーパー面5eとスリーブ6との接合部
TをD方向へ導かれ、スリーブ6のD方向側の端部6a
から流出する。なお、図3において示す矢印は地盤改良
材MLの流動方向を示しており、以下の説明における地
盤改良材MLはこの矢印を指している。さらに、注入装
置100を組み立てる際に、テーパー面5eの狭くなる
方向からスリーブ6を装着することで、テーパー面5e
にスリーブ6を無理なく容易に装着することができ、ス
リーブ6自体の弾性力を損なうおそれがなくなる。
【0027】図2において、7aはテーパー面5eが狭
くなるD方向側に形成された環状の溝であり、この溝7
aのD方向側の端部には環状のエッジ部7bが設けられ
ている。このため、スリーブ6は溝7aを覆って溝7a
の底面7cを締め付けるとともに、エッジ部7bに線接
触する。このようにスリーブ6がエッジ部7bに線接触
することで、テーパー面5eを締め付けるスリーブ6の
締め付け力がエッジ部7bに集中して増大される。
【0028】8は外周面5cの周方向に設けられた環状
の突起部材であり、この突起部材8はスリーブ6の端部
6aに対向している。このような突起部材8により、ス
リーブ6の端部6aから流出した地盤改良材MLは外周
面5cに沿ってD方向に流れて行かず、図3に示すよう
に突起部材8に衝突して外管5の径方向に飛び散り、こ
の方向のシールグラウトCB中に複数のクラックCRを
発生させることができる。この後、複数のクラックCR
はスリーブ6の端部6aから地盤Gへ通じる地盤改良材
MLの注入路となり、この複数のクラックCRを通して
外管5の周囲にある地盤G中に地盤改良材MLを浸透さ
せることが可能となる。
【0029】図2において、9はポリプロピレンやポリ
エチレン等の合成樹脂からなるチューブ状のメッシュ部
材であり、テーパー面5eを覆うように設けられてい
る。このメッシュ部材9のD方向側の端部9aは、リン
グ状の封止部材10aにより封止されて、外周面5cに
固定されている。また、メッシュ部材9のU方向側の端
部9bは、封止部材10bにより封止されて、上述した
スリーブ6の端部6bとともに溝7fの底部7hに固定
されている。また、メッシュ部材9は、図1に示す掘削
孔Hの最下位置にある外管5に取り付けられる場合は、
端部9cが袋状に閉じて封止されているものを用いても
よい。このようなメッシュ部材9を、テーパー面5eに
装着されたスリーブ6とシールグラウトCBとの間に介
在させることにより、スリーブ6の端部6aから流出し
た地盤改良材MLは、突起部材8に衝突して外管5の径
方向に飛び散って行くとともに、メッシュ部材9の網9
d(図4に図示)とシールグラウトCBとの界面Kを割
裂させる。このため、地盤改良材MLは界面Kのエッジ
部においてシールグラウトCB中に、外管5の径方向お
よび軸方向へ広範囲に複数のクラックCRを発生させる
ことができるとともに、図4に示すように外管5の周方
向へ広範囲に複数のクラックCRを発生させることがで
きる。この後、複数のクラックCRはスリーブ6の端部
6aから地盤Gへ通じる地盤改良材MLの注入路とな
り、広範囲に発生された複数のクラックCRを通して外
管5の周囲にある地盤G中に地盤改良材MLを均一に浸
透させることが可能となる。
【0030】次に、以上の構成からなる注入装置100
を用いた注入工法について説明する。まず、ケーシング
パイプ(図示省略)を用いてボーリングにより地盤G中
に、図1に示すように所定深度の掘削孔Hを形成する。
次に、ケーシングパイプ内にシールグラウトCBを充填
し、充填後ただちに外管5を挿入する。そして、シール
グラウトCBが硬化しないうちにケーシングパイプを掘
削孔Hから引き抜き、シールグラウトCBを外管5と掘
削孔Hとの間に充填させ、所定時間をおいて硬化させ
る。シールグラウトCBが硬化すると、外管5の注入口
5dと内管1の吐出口1bが掘削孔H内で略同じ深度位
置となるように内管1を外管5内部に挿入する。このと
き、流体供給源LSから流体を送り込んでパッカー2を
膨張させると、内管1が外管5の内部に固定されるとと
もに、パッカー2により外管5の内部が軸方向へ所定間
隔をおいて区切られ、隣接するパッカー2間の外管5と
内管1の間に空間部X(図2)が形成される。
【0031】そして、地盤改良材供給源MSからホース
3を通して内管1の内部に地盤改良材MLを送り込み、
図3に示すように地盤改良材MLを吐出口1bから高圧
で吐出させると、地盤改良材MLは空間部Xを充填した
後、外管5の注入口5dからスリーブ6を押し上げて噴
出し、外周面5cに形成されたテーパー面5eとスリー
ブ6との接合部TをD方向に導かれ、エッジ部7bとス
リーブ6の間を抜けてスリーブ6の端部6aから流出す
る。この後、スリーブ6の端部6aから流出した地盤改
良材MLは、即座に端部6aに対向する突起部材8に衝
突し、外管5の径方向に飛び散って、この方向のシール
グラウトCB中にクラックCRを発生させる。また、同
時に地盤改良材MLはU方向にも飛び散り、メッシュ部
材9の網9dとシールグラウトCBとの界面Kを割裂さ
せ、界面Kのエッジ部分においてシールグラウトCB中
に、外管5の径方向および軸方向へ広範囲に複数のクラ
ックCRを発生させるとともに、図4に示すように外管
5の周方向へ広範囲に複数のクラックCRを発生させ
る。
【0032】シールグラウトCB中に複数のクラックC
Rを発生させることで、地盤改良材MLの注入路が複数
形成されたので、引き続き、地盤改良材供給源MSから
ホース3を通して内管1の内部に地盤改良材MLを供給
し、地盤改良材MLを内管1の吐出口1bから吐出させ
る。そして、地盤改良材MLを空間部Xを通した後、外
管5の注入口5dからスリーブ6を押し上げて噴出さ
せ、テーパー面5eとスリーブ6との接合部TをD方向
に導いて、エッジ部7bとスリーブ6の間を通過させ、
スリーブ6の端部6aから流出させる。さらに、スリー
ブ6の端部6aから流出させた地盤改良材MLを突起部
材8に衝突させ、複数のクラックCRを通して、図1に
示すように地盤G中に注入して浸透させて行く。この
後、地盤G中に浸透した地盤改良材MLを硬化させるこ
とで地盤Gが強化される。
【0033】以上のようにすることにより、テーパー面
5eの広がるU方向に向かってテーパー面5eを締め付
けるスリーブ6の締め付け力が増大するため、スリーブ
6の止水性能を向上させて注入口5dを強固に封止し、
注入口5dから注入した地盤改良材MLが注入口5dを
通って外管5の内部に逆流することを確実に防止するこ
とができる。また、テーパー面5eの狭くなるD方向に
向かってテーパー面5eを締め付けるスリーブ6の締め
付け力が減少するため、注入口5dから噴出した地盤改
良材MLを、テーパー面5eとスリーブ6との接合部T
のテーパー面5eが狭くなるD方向へ導いて、スリーブ
6の端部6aからシールグラウトCB中にスムーズに抜
け出させることができ、地盤改良材MLが接合部Tに堆
積することなく、スリーブ6の逆止弁としての機能を維
持することが可能となる。また、テーパー面5eの周方
向に環状のエッジ部7bを設けることにより、スリーブ
6がテーパー面5eに面接触ではなく線接触するため、
テーパー面5eを締め付けるスリーブ6の締め付け力が
エッジ部7bに集中して増大され、スリーブ6の止水性
能を一層向上させることができる。
【0034】さらに、地盤Gに複数の掘削孔Hを形成し
て、それぞれに注入装置100を挿入し、各注入装置1
00から上述したように地盤改良材MLの注入を行う場
合に、隣接する掘削孔Hの注入装置100から高い注入
圧力がかかっても、地盤改良材MLが注入口5dを通っ
て外管5の内部に逆流せず、地盤G中へ地盤改良材ML
を安定して注入することが可能となる。また、地盤改良
材MLが接合部Tに堆積することなく、スリーブ6の逆
止弁としての機能が維持されるため、地盤改良材MLを
地盤G中に長時間に渡って連続注入することや断続的に
注入することが可能となる。
【0035】以上述べた実施形態においては、外管5の
外周面5cを直接テーパー状に加工してテーパー面5e
を形成している場合を例に挙げているが、本発明はこれ
に限定するものではなく、外周面をテーパー状に加工し
た中空管を外管5とは別に形成し、この中空管を注入口
5eを覆うように外管5の外周面5cへ圧入等により取
り付けるようにしてもよい。なお、この場合、中空管に
は外管5の注入口5eと同じ径で同じ数の穿孔を施し、
この穿孔が注入口5eと連通するように外管5の外周面
5cに中空管を取り付ける。
【0036】また、上記実施形態では、外管5のテーパ
ー面5eに環状の溝7aを形成し、この溝7aのD方向
側の縁を環状のエッジ部7bとしている場合を例にあげ
ているが、本発明はこれに限定するものではなく、外周
面をエッジ状に加工したリング状の部材を外管5とは別
に形成し、このリング状の部材を外管5の外周面5cに
取り付けるようにしてもよい。
【0037】また、上記実施形態では、外管5の外周面
5cに突起部材8を連結して環状の突起とした場合を例
にあげているが、本発明はこれに限定するものではな
く、スリーブ6の端部6aに対向するように、外管5と
一体となった突起を外周面5cに形成してもよい。
【0038】また、上記実施形態では、ホース3を介し
て地盤改良材供給源MSに連結された内管1を外管5の
内部に挿入し、内管1に備わる複数のパッカー2を膨張
させた後、隣接するパッカー2間に設けた吐出口1bか
ら地盤改良材MLを吐出し、この吐出した地盤改良材M
Lを外管5のそれぞれの注入口5dからシールグラウト
CB中や地盤G中へ注入する場合を例に挙げているが、
本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に
も、地盤改良材供給源MSに連結された複数のホースを
外管5のそれぞれの注入口5dに直結し、この複数のホ
ースを通して地盤改良材MLをそれぞれの注入口5dへ
直接送り込むことで、シールグラウトCB中や地盤G中
へ注入するようにしてもよい。
【0039】さらに、上記実施形態では、外管5の内部
を地盤Gの深度方向へ多段に区切り、区切った内部空間
に連通する複数の注入口5dのそれぞれから、掘削孔H
が形成された深度までの地盤G全体に地盤改良材MLを
注入する場合を例にあげているが、本発明はこれのみに
限定するものではなく、掘削孔H内の特定の深度に位置
する注入口5dから特定の深度の地盤Gのみに地盤改良
材MLを注入するようにしてもよい。なお、この場合、
上記実施形態のような内外管方式の注入装置100を必
ずしも用いる必要はなく、たとえば、先端が閉塞され、
後端に地盤改良材供給源MSに連結されたホースが連結
され、外周面に注入口が穿孔された管状の部材に、上述
したような逆止弁構造を適用したものを用いて、特定の
深度の地盤Gへ地盤改良材MLを注入してもよい。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、テーパー面の広がる方
向に向かって外周面を締め付けるスリーブの締め付け力
が増大するため、スリーブの止水性能を向上させて注入
口を強固に封止し、注入口から注入した地盤改良材が注
入口を通って装置内部に逆流することを確実に防止する
ことができる。また、テーパー面の狭くなる方向に向か
って外周面を締め付けるスリーブの締め付け力が減少す
るため、注入口から噴出した地盤改良材を、テーパー面
とスリーブとの接合部のテーパー面が狭くなる方向へ導
いて、スリーブの端部からシールグラウト中にスムーズ
に抜け出させることができ、地盤改良材が接合部に堆積
することなく、スリーブの逆止弁としての機能を維持す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる地盤改良材の注入装置および注
入工法を示す図である。
【図2】同要部拡大図である。
【図3】同要部拡大図である。
【図4】図3におけるA−A断面図である。
【図5】従来の地盤改良材の注入装置および注入工法を
示す図である。
【図6】同要部拡大図である。
【図7】同要部拡大図である。
【符号の説明】 5 外管 5c 外周面 5d 注入口 5e テーパー面 6 スリーブ 7b エッジ部 8 突起部材 9 メッシュ部材 10a 封止部材 10b 封止部材 100 注入装置 G 地盤 H 掘削孔 ML 地盤注入材 T 接合部
フロントページの続き (72)発明者 神出 明 大阪府東大阪市菱屋東1丁目13番8号 Fターム(参考) 2D040 AB01 CA01 CB03 DA00 DA01 DA03 DA08 DC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】地盤に形成した掘削孔に挿入し、外周面に
    穿孔した注入口から地盤中へ地盤注入材を注入する注入
    装置において、 前記外周面にテーパー面を設け、該テーパー面に弾性体
    からなる逆止弁用のスリーブを前記注入口を覆うように
    装着したことを特徴とする地盤注入材の注入装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の地盤注入材の注入装置に
    おいて、 前記テーパー面の周方向に、環状のエッジ部を設けたこ
    とを特徴とする地盤注入材の注入装置。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2に記載の地盤注入
    材の注入装置において、 前記外周面の周方向に、前記テーパー面が狭くなる方向
    の前記スリーブの端部と対向する環状の突起を設けたこ
    とを特徴とする地盤注入材の注入装置。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれかに記載
    の地盤注入材の注入装置において、 前記テーパー面を覆うように設けられたチューブ状のメ
    ッシュ部材と、該メッシュ部材の端部を封止し、メッシ
    ュ部材を外周面に固定する封止部材と、を備えたことを
    特徴とする地盤注入材の注入装置。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれかに記載
    の地盤注入材の注入装置を用いた注入工法であって、 地盤に所定深度の掘削孔を形成し、該掘削孔に前記注入
    装置を挿入して、地盤改良用の薬液からなる地盤注入材
    を、前記注入口から噴出させて前記テーパー面と前記ス
    リーブとの接合部を通して地盤中へ注入することを特徴
    とする地盤注入材の注入工法。
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