JP4884344B2 - 固結材の注入充填装置及び注入充填工法 - Google Patents
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Description
このナトム工法では、トンネル工事等においてトンネル掘削した後に、地盤面(トンネル内面)にコンクリート吹付けを行った後、地盤面に直角にロックボルトの打込みを行って、トンネル周りの地盤の強化を行う。
そしてロックボルトの先端にアンカープレートを取り付けて、アンカープレートにて地盤面を締め付けることで地盤の強化を行う。
その対策を図ったものが下記特許文献1,特許文献2に開示されている。
従ってこの水圧に抗して固結材を穿孔に注入充填するには、その水圧よりも高い注入圧で固結材を注入しなければならないが、そのような高い注入圧で固結材を穿孔に注入したとき、穿孔に注入充填された固結材にその高い注入圧が働くため、その圧力によって固結材が膨出部材を径方向内方に押し込みながら、膨出部材と穿孔内面との間に生じた隙間を通じて孔外に漏出してしまうといった問題を生ずる。
そして穿孔に固結材が充填された後においては、固結材の過剰分がそのリターンチューブを通じて孔外へと流出せしめられる。そしてこの固結材の流出によって、穿孔に固結材が充填されたことを確認することができる。
従って注入圧力が高ければ高いほど、ゴムシール管はより強い力で穿孔の口元内面に圧接される。
更にゴムシール管をエア等の流体の圧力で膨らませるものでもないため、そのためのチューブを設けることも必要でなく、全体として装置の構造を、それらチューブによって複雑化させることなく簡単な構造となすことができる。
このようにすれば、受リングにてゴムシール管に働く軸方向の力を良好に受けつつ、かかる受リングを通過して固結材を穿孔の奥側に流入させることができ、またリターンチューブをロックボルトに沿って穿孔内に簡単に配置することができるとともに、受リングにてこれを保持することができる。
このようにすれば、押込リングと注入用管体との間にリターンチューブ及び固結材の通過空間を形成するための構造を設けなくてもよく、装置の構造を簡単化することができる。またリターンチューブを押込リングにて保持することができる。
このようにすれば、注入用管体の前端を閉鎖した構造(注入口及び流出口を除いて)となしておいた場合であっても、注入用管体を分離することで、上記雌ねじリングのねじ込み操作、及びこれによるゴムシール管の軸方向圧縮を支障無く行い得て、ゴムシール管による穿孔の口元シールを行うことができる。
また各分割体を連結することで、注入用管体を通じての固結材の注入充填を行うことができる。
即ちゴムシール管による口元シールを行わせることができる。
図1において、10は地盤12に形成された穿孔で、14は穿孔10に挿入された鋼製のロックボルト、16はロックボルト14を穿孔10に挿入した状態で、穿孔10にセメントミルク,モルタル等の固結材を注入充填する本実施形態の固結材の注入充填装置である。尚18は、トンネルの内面等の地盤面である。
ここでロックボルト14は長さが例えば4〜5mの長いものである。また穿孔10は孔径がφ65mmほどの孔である。
更に図4は注入充填装置16を各部材に分解して表している。
これらの図において、19は穿孔10の口元シール用の、ゴム弾性体にて構成されたゴムシール管で、ロックボルト14を軸方向に挿通させる状態に、且つロックボルト14との間に固結材の通過空間を形成する状態にロックボルト14に外挿されている。
ゴムシール管19は、ここでは軸方向にストレート形状をなす直管状のもので、軸方向の両端が開口形状をなしている。
この実施形態において、ゴムシール管19はその長さが200mm程度、外径Dがφ55mm程度のものである。尚内径はφ32mm程度である
このリターンチューブ20は、図1に示しているようにロックボルト14とともに穿孔10内にその奥部まで挿入される。
尚、このリターンチューブ20は外径がφ12mm程度のものである。
大径部24には、円環状の嵌込凹所28が備えられており、そこにゴムシール管19の奥側(図中右側)の端部が嵌め込まれ、同端部が受リング22にて軸方向に受けられている。尚、受けリング22は、上記の溶接でロックボルト14に固定するほか、ロックボルト14に螺合したダブルナットによる固定、或いは中心方向に貫通する雌ねじ部を有するナットをロックボルト14に螺合し、その雌ねじ部に雄ねじをロックボルトに押し付ける状態までねじ込んで固定するなど、他の固定手段にて固定するようになしても良い。
この貫通穴30は、リターンチューブ20及び固結材の通過空間を形成するもので、この貫通穴30にリターンチューブ20が挿通されて保持され、そしてその周りに固結材の通過空間が形成されている。
尚この実施形態において、貫通穴30は小径部26の一部を平坦に切り欠いて形成してある。図3及び図4において、32はその平坦な切欠面を表している。
ここで注入用管体34はゴムシール管19から切離し可能である。
注入用管体34には、前端側に固結材の注入口36及びリターンチューブ20を通じて穿孔10内の空気や、そこに流れ込んだ水、更には固結材の過剰分を穿孔10外に流出させる流出口38が設けられている。
またこの受部40の図中右側には円環状の嵌込凹所44が備えられていて、そこにゴムシール管19の左側の端部が受部40に当接する状態に切離し可能に嵌め込まれている。
流出口38にはチューブ継手62が設けられており、このチューブ継手62にリターンチューブ20が接続されている。
具体的には、分割体46と48とには径方向外向きのフランジ部52,54が設けられており、そしてそれらが連結ナット58にてねじ結合されている。詳しくは連結ナット58が内向きのフランジ状の係合部56を分割体46のフランジ部52に軸方向に係合させる状態で、内周面の雌ねじ部においてフランジ部54の外周面の雄ねじ部に螺合され、かかる連結ナット58にて分割体46と48とが軸方向に分離可能にねじ結合されている。
押込リング64は、上記の受リング22と概略同形状のもので、図4にも示しているように図中右側に大径部68を、左側に小径部70を有しており、そしてその大径部68において注入用管体34の上記当接部42に当接するようになっている。
この貫通穴72もまた、上記受リング22の貫通穴30と同様にリターンチューブ20の通過空間及び固結材の通過空間を形成する。
具体的には、この貫通穴72をリターンチューブ20が軸方向に挿通して保持され、そしてこのリターンチューブ20の周りに固結材の通過空間が形成されている。
尚この押込リング64においても、貫通穴72が小径部70を一部平坦に切り欠くことによって形成してある。
図中74はその平坦な切欠面を表している。
尚、この雌ねじリング66と押込リング64との間に単数若しくは複数のスペーサリングを介装しておいても良い。
本実施形態の工法では、図5に示しているように注入用管体34の分割体48を分割体46から切り離した状態で注入充填装置16をロックボルト14に組み付けておき、その状態でロックボルト14を穿孔10の奥深くまで挿入するとともに、注入充填装置16を穿孔10の口元近くに挿入した状態とする。
すると雌ねじリング66の螺進によって、押込リング64が図中右方向に前進移動し、その前進の力を注入用管体34の分割体46を介してゴムシール管19に作用させ、分割体46を図中右方向に前進移動させるとともに、ゴムシール管19を軸方向に圧縮する。
そして注入された固結材が穿孔10に隅々まで充填されたところで、その過剰分がリターンチューブ20を通じて注入用管体34外に、即ち穿孔10外に流出する。
従ってその固結材の流出によって、穿孔10内に固結材が充填されたことを確認することができる。
このため、本実施形態では高い注入圧で固結材を穿孔10に注入した場合においても、ゴムシール管19にて穿孔10の口元部分を良好にシールでき、穿孔10内に注入された固結材がそのシール部を乗り越えて外部に漏出するのが良好に防止される。
一方穿孔10に充填された固結材が固まったところで、図7(III)に示しているようにロックボルト14の端部にアンカープレート86を取り付け、アンカープレート86にて地盤面78を締め付ける。
更にゴムシール管19をエア等の流体の圧力で膨らませるものでもないため、そのためのチューブを設けることも必要でなく、全体として装置の構造を、それらチューブによって複雑化させることなく簡単な構造となすことができる。
また各分割体46,48を連結することで、注入用管体34を通じての固結材の注入充填を行うことができる。
例えば上記実施形態では押込リング64が注入用管体34の分割体46と別体に構成されているが、これを注入用管体34に一体に設けておくことも可能である。
また図8に示しているように注入用管体34内部でリターンチューブ20をコネクタ80にて接続し、そしてそのリターンチューブ20を流出口38を通じて注入用管体34外部に伸ばしておくといったことも可能である。
更に同図に示しているように注入用管体34を閉鎖部45近くの位置で軸方向に分割して、それらを様々なジョイント50にて分離可能に連結するようになしておくことも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態,態様で構成,実施可能である。
12 地盤
14 ロックボルト
16 注入充填装置
19 ゴムシール管
20 リターンチューブ
22 受リング
24 大径部
26 小径部
34 注入用管体
36 注入口
38 流出口
40 受部
42 当接部
46,48 分割体
50 ジョイント
64 押込リング
66 雌ねじリング
Claims (7)
- 地盤に形成された穿孔にロックボルトを挿入した状態で該穿孔に固結材を注入充填する装置であって、
(イ)前記ロックボルトを軸方向に挿通させる状態に且つ該ロックボルトとの間に前記固結材の通過空間を形成する状態に該ロックボルトに外挿される、前記穿孔の口元シール用のゴムシール管と、
(ロ)該ゴムシール管を挿通する状態で前記ロックボルトに沿って前記穿孔内に挿入され、該穿孔に注入された前記固結材の過剰分を該穿孔外に流出させるリターンチューブと、
(ハ)前記ゴムシール管に対して前記穿孔の奥側で前記ロックボルトに外挿固定され、該ゴムシール管の奥側の端部を軸方向に受ける、前記リターンチューブ及び前記固結材の通過空間を有する受リングと、
(ニ)前記ゴムシール管の前側で該ゴムシール管に連接される管体であって、前端側に前記固結材の注入口及び前記リターンチューブを通じて該固結材の過剰分を流出させる流出口を有し、内部に該固結材及び該リターンチューブの通過空間を形成する固結材の注入用管体と、
(ホ)前記注入用管体の内部で前記ロックボルトに外挿され、前記穿孔の奥側への前進移動により、該注入用管体の前進移動を伴って前記ゴムシール管を軸方向に圧縮し、径方向外方に膨らませて該穿孔の内面に弾性密着させ、該ゴムシール管にて該穿孔の口元シールを行わせる押込リングと、
(ヘ)前記注入用管体の内部で且つ前記押込リングの前側で前記ロックボルトに螺合され、螺進によって前記押込リングを前進移動させる雌ねじリングと、
を有し、前記ゴムシール管にて前記穿孔の口元をシールした状態で前記穿孔への固結材の注入充填を行うとともに、該固結材の注入圧力を該ゴムシール管に対する内圧として作用させ、該内圧を該ゴムシール管に対する径方向外方への膨出圧力として作用させるようになしてあることを特徴とする固結材の注入充填装置。 - 請求項1において、前記受リングは前側の大径部と奥側の小径部とを有するものとなし、該大径部と小径部とにまたがって前記リターンチューブ及び固結材の通過空間が形成してあることを特徴とする固結材の注入充填装置。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記押込リングは奥側の大径部と前側の小径部とを有するものとなし、それら大径部と小径部とにまたがって前記リターンチューブ及び固結材の通過空間が形成してあることを特徴とする固結材の注入充填装置。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記注入用管体は軸方向に分割されていて、各分割体がジョイントにて分離可能に連結されていることを特徴とする固結材の注入充填装置。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記押込リングが前記注入用管体と別体に構成されているとともに、該注入用管体の奥側の端部には、径方向内方に突出する形状で前記ゴムシール管の前端部を受ける受部及び前記押込リングを当接させる当接部が設けてあり、該注入用管体が該押込リングの前進移動の力を該当接部で受けて該押込リングとともに前進移動するとともに、該押込リングの前進移動の力を前記ゴムシール管に伝えるようになしてあることを特徴とする固結材の注入充填装置。
- 請求項1〜5の何れかの固結材の注入充填装置を用いて、前記地盤の穿孔に前記固結材を注入充填することを特徴とする固結材の注入充填工法。
- 請求項6において、前記穿孔に注入した前記固結材が固化する前の状態で前記注入用管体,押込リング及び雌ねじリングを取り出して再利用することを特徴とする固結材の注入充填工法。
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