JP5448191B2 - 削孔工法 - Google Patents
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Description
例えば、既存建造物から離隔した箇所から当該既存建造物直下の領域まで削孔して、当該既存建造物直下の領域の液状化防止を行うことができる(特許文献1参照)。
また、任意の地点に機器を設置して、所定のラインに沿って地中を削孔し、所望の領域に充填剤を注入することができる(特許文献2参照)。
或いは、離隔した箇所から汚染土壌まで所定のラインに沿って地中を削孔し、削孔されたボーリング孔を利用して当該汚染土壌を浄化することができる(特許文献3参照)。
これらの応用例に関しては、本出願人は既に提案している。
しかし、例えば砂地盤の様な軟弱な地盤であれば、自在ボーリングロッドを引き抜くことにより、削孔されたボーリング孔が崩壊或いは崩落してしまう恐れが存在する。ボーリング孔が崩壊或いは崩落してしまうと、その後の作業に必要な部材を地中の所定箇所まで到達させることが出来ない。
一方、比較的地盤が強固で、削孔されたボーリング孔が崩壊或いは崩落しない場合であっても、自在ボーリングロッドを引き抜いた後に、削孔されたボーリング孔内に土砂や泥水等が流入して、その後の作業に必要な機器が挿入出来なくなる可能性が存在する。
上述した従来技術(特許文献1〜特許文献3)は有用な技術ではあるが、係る問題を解決するものではない。
或いは、本発明において、前記閉鎖部材(3A)の羽口側端部(3Ar)は、閉鎖部材(3A)の中心軸に対して傾斜する平面を有している。
さらに本発明において、閉鎖部材(3)を押圧するに際しては、前記ロッド(10)内部の中空部分(13)に流体圧(F)を付加し、当該流体圧(F)を昇圧させるのが好ましい。
或いは、閉鎖部材(3)を押圧するに際しては、前記ロッド(10)内部の中空部分(13)に押圧ロッド(6)を挿入し、押圧ロッド(6)を押圧するのが好ましい。
ここで、当該計測作業を行なうに際しては、計測作業に必要な計測用機器(8:TVカメラ、磁気探査装置、間隙水圧計測装置等)を前記ロッド(10)内側の中空部分(13)内へ挿入して当該ロッド(10)の先端まで移動する工程と、前記計測用機器(8)をロッド(10)の先端よりも外側に出して計測(例えば、地盤状況確認、磁気探査、間隙水圧計測)を行なう工程と、計測後に計測用機器(8)をロッド(10)内部に収容する工程と、計測用機器(8)を収容したロッド(10)を次の計測作業を行なう羽口側の位置まで移動する工程を有するのが好ましい。
そのため、削孔後の作業(例えば、スリーブ管7或いは薬液注入管7Bによる注入、計測用機器8を用いた計測)に必要な機器(7、7B、8)は、ロッド(10)内側の中空部分(13)を移動して、ロッド(10)の先端に形成された開口部分(閉鎖部材3、3Aが押し出された後の部分)を通過して、ロッド(10)外側の地中の領域(地中の領域101)まで到達出来る。その結果、ロッド(10)外側の地中の領域(地中の領域101)において、前記必要な機器(7、7B、8)により、削孔後の作業を実行することが出来る。
そして、ロッド(10)が地中に残存しているため、ボーリング孔(100)を掘削した土壌が軟弱で、崩壊或いは崩落し易くても、ロッド(10)内側の中空部分(13)が前記機器(7、7B、8)の移動用経路として確保される。
そして、ボーリング孔(100)の掘削により土壌から土砂や泥水等が発生しても、ロッド(10)内側の中空部分(13)に流入しなければ、或いは、公知の手段により中空部分(13)内から土砂や泥水を除去すれば、ロッド(10)内側の中空部分(13)内で前記機器(7、7B、8)を移動して、ロッド(10)外側の地中の領域(地中の領域101)に到達させることが出来る。
すなわち、本発明によれば、掘削されたボーリング孔の崩壊或いは崩落を防止して、その後の作業に必要な機器を確実に予定箇所へ到達させることが可能である。
そのため、閉鎖部材(3)を地上側に回収する作業を行なう必要がなく、削孔後の作業に必要な機器(7、7B、8)は閉鎖部材(3)が押し出された後、直ちに、地中の所定箇所(領域101)に到達させることが出来る。
そのため、少なくとも、削孔完了後、閉鎖部材(3)を地上側に回収する時間を節約することが可能となり、作業の短縮化、効率化を図ることが出来る。
そして、前記固定手段(20)が剪断破壊するまで閉鎖部材(3)を押圧するための条件は、事前に正確に設定することが可能である。
そのため、本発明によれば、予定箇所(ロッド10外側の地中領域101)以外の地中の領域で閉鎖部材(3、3A)を前記ロッド(10)外側の領域(地中の領域101)に押し出して、ロッド(10)の先端が開口してしまうことが防止される。
換言すれば、いわゆる「曲がりボーリング」による削孔は、既存の「曲がりボーリング」技術と同様に、好適に行なわれるのである。
なお、図1〜図37において、同一の部材には、同一の符号が付してある。
(a) 曲がりボーリングにより所定領域を掘削した後、パッカを具備したスリーブ管や、その他のタイプの薬液注入管を挿入して、固化材その他の薬液を注入する作業、
(b) 曲がりボーリングにTVカメラを挿入して、地盤の状況を確認する作業、
(c) 曲がりボーリングに磁気探査装置を挿入して、磁気探査を行う作業、
(d) 曲がりボーリングにサンプリング装置を挿入して、回収する作業(地盤のサンプリング)、
等に適用可能である。
項目(b)のTVカメラの挿入は、挿入されたTVカメラによって掘削孔の先端の状況や、掘削孔先端位置が把握するために行なわれる。正確な掘削経路を確認しつつ施工できると言うメリットがある。
項目(c)において、磁気探査装置は、施工領域に存在する異物(管や杭等)の探査を行う装置である。既存の異物の位置を把握できるので、当該異物と干渉せずに掘削することが可能である。
項目(d)のサンプリングは、掘削しようとする地盤の土壌を採取して、当該土壌を分析することにより、施工地盤の性状を予め把握し、適正な施工を可能ならしめる作業である。
図1では、可撓性を有するボーリングロッド10(自在ボーリングロッド)により、土壌Gを所定距離まで削孔した状態が示されている。
図1において、ボーリングロッド10の先端には、修正用反力板2、閉鎖部材(以下、「先端コア部」と記載)3が設けられている。
図示において、掘削直後であれば修正用反力板2の先端部分が最外殻となるボーリング孔(修正用反力板2の先端部分と、ボーリングロッド10の図示しない中心線の間の距離を半径とするボーリング孔)が削孔される。しかし、削孔された土壌が直ちに崩れてしまうので、当該ボーリング孔は、図示のようにボーリングロッド10や修正用反力板2の外側表面まで縮径される。
第1ロッド1は、長手方向(図1の左右方向)の先端(図1の左端)の中空部12、中央の中空部13、接続部18を有している。接続部18は、第1ロッド1における中央の中空部13の羽口側端部に形成され、接続管4を接続している。
第1ロッド1の先端には、傾斜した平面の端面11が形成されている。そして第1ロッド1の先端には、修正用反力板2が取り付けられている。修正用反力板2は、図1の左方且つ上方に延在している。
なお、第1ロッド1の先端における中空部12は、中央の中空部13よりも内径寸法が大きい。
ボーリングロッド10先端において、中空部12は、端面11を貫通するように形成されている。そして、修正用反力板2にも、中空孔2hが形成されている。
先端コア部3は、その前面3fが、修正用反力板2の前面2fと面一となる様に構成されている。
先端コア部3は、中空部12の形状と相補的な形状をしている部分と、中空部分13の形状と相補的な形状をしている部分から構成されている。そして、先端コア部3の先端部31の径方向寸法は中空部12と同一であり、先端コア部3の中央部32の径方向寸法は中空部分13と同一である。
また先端コア部3には半径方向に延在する流路35が形成されている。この流路35はセンター穴34に連通しており、半径方向すなわちセンター穴34と直交する方向に延在し、中央部32の先端部31寄りの外周面に到達して開口している。
流路35と羽口側端部33の間の領域における外周面(中央部32の外周面)には、Oリング3Oを介装するためのリング溝36が形成されている。
そして、第1ロッド1の外郭部分(半径方向外方の部分)には削孔水流路15が形成されており、削孔水流路15は流路14に連通している。
第1ロッド1における中空部13に到達した削孔水(削孔流体)は、センター穴34、流路35、流路14、削孔水流路15を介して、第1ロッド1の先端11近傍に形成された削孔水吐出口16から噴射される。
なお、削孔水吐出口16には逆止弁16Vが設けられている。
図1において、雄ねじ41の右方に隣接し且つ不完全ねじ部を含む領域42は、その直径は接続管4の外径部43の外径寸法よりも小さいが、雄ねじ41の山の径よりも大きい。そして、接続管4の外周面には、Oリング4Oを介装するためのリング溝42cが形成されている。
接続管4における羽口側端面4eには雌ねじ形成部45が開口しており、雌ねじ形成部45には雌ねじ46が形成されている。この雌ねじ形成部45には、ボーリングロッド10の図示しない接続管4が螺合される。
また、図1中、符号44は接続管4の中空部の内周面を示している。ここで、接続管4の内周面44の内径寸法は、第1ロッド1の中央空間部13の内径寸法と等しい。
そして、先端コア部3の先端部31の径方向寸法、中央部32の径方向寸法よりも大きく形成されている。そのため、先端コア部3は、第1ロッド1の前方側すなわち切羽側(図1の左側)には移動可能であるが、羽口側(地上側)50には移動しない。このことは、例えば掘削時において、切羽側(図1の左側)の土圧により、先端コア部3が図1で示す先端位置から、羽口側(図1では右側)に移動してしまうことが防止されることを意味している。
図2において、押圧部材5は、大径円柱部51、小径円柱部52を有している。
小径円柱部52の先端52fは円錐形状であり、小径円柱部52における円錐形状の先端52f近傍の領域には、Oリング5Oを介装するためのリング溝52cが形成されている。
押圧部材5を図2の左方に押圧する圧力流体としては、例えば、ベントナイト(泥水)が用いられており、当該圧力流体は掘削用流体としても用いられる。
大径円柱部51の直径は、第1ロッド1における中空部13の直径に対して、隙間嵌めの関係にある。
ここで、圧力流体の流体圧は、例えば地上側に配置された圧力流体吐出用のポンプの吐出圧を増加することにより、昇圧される。
図3は、先端コア部3部及び押圧部材5を、ボーリングロッド10外へ押し出した(排除した)状態を示している。
先端コア部3部及び押圧部材5を、ボーリングロッド10外へ押し出して(第1ロッド1の中空部12、13から切羽側に押し出して)排除する旨については、図11〜図15を参照して施工手順を説明する際に詳述する。
剪断ピン20については、図1のX-X断面矢視形状が図4で示されており、詳細な側面形状が図5で示されている。
頭部21は全体が円柱状をしており、その外周面全域に雄ねじ24が形成されている。
頭部21において、ボーリングロッドの半径方向外方(先端コア係合部22と離隔する側:図5では右方)の端面21eには、六角穴25が形成されている。先端コア部3をボーリングロッド10の第1ロッド1に係合する際には、剪断ピン20を締め付ける。剪断ピン20の締め付けには、六角レンチ、マイナスドライバーその他の器具が利用できる。
先端コア係合部22も円柱状をしており、その径寸法は頭部21よりも小さい。
換言すれば、中間括れ部23の最小直径部の径寸法、素材の種類、熱処理の態様等は、頭部21と先端コア係合部22との間に予め設定された剪断力が作用作すると、当該最小直径部が剪断破壊される様に設計されている。
剪断ピン20の先端コア係合部22は、先端コア部3に形成された嵌入穴35に嵌入され、頭部21に形成された雄ねじ24は、第1ロッド1に形成された雌ねじ19に螺合する。そして、嵌入穴35と雌ねじ19は、その円周方向位置が同一となる様に構成されている。
図4において、剪断ピン20における括れ部23の最小直径部は、第1ロッド1と先端コア部3の境界に位置している。
したがって、先端コア部3に対して、図4において紙面に直交する方向に所定以上の力が作用すると、剪断ピン20は当該最小直径部(最弱断面)で剪断破壊する。
図1〜図5で説明した第1実施形態では、押圧部材5を切羽側へ押圧するに際しては、高圧流体を供給して昇圧することにより押圧している。
これに対して、図6の第2実施形態では、押圧部材5を押圧する手段として、機械的な手段である押圧ロッド6を用いている。すなわち、羽口側から押圧ロッド6を挿入して押圧部材5の大径円柱部51に当接して、さらに切羽側(図6の左側)に押し込むことにより、押圧部材5及び先端コア部3を第1ロッド1の外側(図6の左側)に押し出している。
なお、図示はされていないが、第2実施形態において、押圧ロッド6の先端部が先端コア部3のセンター穴34を閉塞することが出来るのであれば、押圧部材5を廃止することも可能である。
図6の第2実施形態におけるそれ他の構成及び作用効果に関しては、図1〜図5の第1実施形態と同様である。
図1〜図5の第1実施形態及び図6の第2実施形態は、先端コア部3の羽口側(図1〜図3の右側)端面3rは、ボーリングロッド10の中心軸に対して垂直であった。
これに対して、図7、図8の第3実施形態では、先端コア3Aの羽口側端面3Arが、ボーリングロッド10の中心軸に対して傾斜している。
図8は、図7に対して、先端コア部3Aの羽口50側の傾斜した端面3Arに押圧部材5Aを接触させた状態を示している。
図8において、押圧部材5Aは、大径円柱部51A、小径円柱部52、テーパー部53を有している。
テーパー部53は、大径円柱部51Aと小径円柱部52とを接続する様に形成されている。テーパー部53の傾斜角度は、先端コア部3Aにおける傾斜した端面3Arの傾斜角度に一致している。
ボーリングロッド10によりボーリング孔100を計画通りに掘削施工する上で、修正用反力板2の進行方向を監視することは、きわめて重要である。
図9では、第3実施形態において、修正用反力板2のボーリングロッド10の中心軸に対する回転角度或いは傾きを計測する態様が示されている。
先端コア部3Aの傾斜した端面3Arの中心軸に対する傾きを計測すれば、修正用反力板2の中心軸に対する傾きを判断できる。
大径円柱部71において、羽口50側(図9の右側)の端面はボーリングロッド10の中心軸に対して垂直である。これに対して、切羽側(図9の左側)の端面71sは、先端コア部3の羽口側傾斜面3Arと相補的な形状となっており、ボーリングロッド10の中心軸に対して傾斜している。
計測治具7の小径円柱部72は、大径円柱部71における傾斜した端面71sの中心から切羽側に突出しており、その先端72fは円錐状である。そして小径円柱部72は、先端コア部3Aのセンター孔34に挿入可能に構成されている。
計測治具7は、小径円柱部72が先端コア部3Aのセンター孔34に挿入され且つ大径円柱部71の傾斜面71sが先端コア部3の羽口側傾斜面3Arと面接触をした状態で、傾斜面71sの傾斜方向(ボーリングロッド10の中心軸に対する傾斜方向或いは傾斜角度)を計測する様に構成されている。
係る構成については、公知の傾斜角度計測技術が適用可能である。
図9の状態で、計測治具7は、傾斜面71sの傾斜方向(ボーリングロッド10の中心軸に対する傾斜方向或いは傾斜角度)を計測することが出来る。
そして、傾斜面71sの傾斜方向(ボーリングロッド10の中心軸に対する傾斜方向或いは傾斜角度)から、修正用反力板2の傾き、ボーリングロッド10の進行方向を正確に決定することができる。
すなわち、先端コア3Aの羽口側端面3Arが、ボーリングロッド10の中心軸に対して傾斜しているのは、羽口側端面3Arと相補的な形状をしておりかつ面接触可能な傾斜面71sを有する計測治具7を使用して、ボーリングロッド10の進行方向を決定するためである。
押圧部材5Aのテーパー部53の傾斜角度は、先端コア部3Aにおける傾斜した端面3Arの傾斜角度に一致しており、押圧部材5Aを先端コア部3Aに当接させた際に、押圧部材5Aのテーパー部53は先端コア部3Aの傾斜した端面3Arと接触(線接触)する。
羽口50側から高圧流体Fを注入して、その圧力を昇圧することにより、押圧部材5Aは、先端コア部3Aを切羽側(図8の左方)に押圧する。その際に、押圧部材5Aのテーパー部53は先端コア部3Aの傾斜した端面3Arと線接触しているので、ボーリングロッド10の中心軸に対して偏奇することなく、ボーリングロッド10の中心軸と平行に、押圧部材5Aが先端コア部3Aを切羽側(図8の左方)に押圧する。
図7、図8の第3実施形態の上述した以外の構成及び作用効果に関しては、図1〜図5の第1実施形態と同様である。
図7〜図9を参照して説明した第3実施形態は、押圧部材5Aを押圧する手段が高圧流体Fであった。
それに対して、図10の第4実施形態では、押圧部材5Aを押圧する手段として、図6の第2実施形態と同様の押圧ロッド6を用いている。
図10の第4実施形態のその他の構成及び作用効果は、図7〜図9を参照して説明した第3実施形態と同様である。
(a) 曲がりボーリングにより所定領域を掘削した後、パッカを具備したスリーブ管或いはその他の薬液注入管を挿入して固化材その他の薬液を注入する作業、
について、詳説する。
図11では、可撓性を有するボーリングロッド10により(いわゆる「曲がりボーリング」に係る公知技術により)、所定の位置までボーリング孔100が削孔された状態が示されている。
削孔に際しては、ボーリングロッド10の中空部を介して、地上側から高圧の掘削流体を先端コア部3に供給し、先端コア部3のセンター穴34、流路35、第1ロッド1の流路14、15、吐出孔16を経由して、高圧のジェットJを掘削するべき土壌に対して噴射しつつ削孔を行なう。
図12における符号101は、ボーリングロッド10を羽口側(図12の右側)に引き戻した後、地中に残存した中空の領域を示しており、余掘りされた領域である。本明細書では、「ボーリングロッド10先端の領域」或いは「ボーリング孔先端の領域」と記載する場合がある。
余掘りする長さは、当該領域101が、ボーリングロッド10から押し出される先端コア部3を収容するのに十分な長さ(ボーリングロッド10の軸方向或いは長手方向長さ)となる様に設定される。
そして、高圧流体の圧力によって、押圧部材5の大径円柱部51の左端面が閉鎖部材3の羽口側端面3r(図1参照)に当接せしめる。
図14で示す工程では、例えば、地上側に設けた高圧流体の吐出ポンプ(図示せず)の吐出圧を上昇して、押圧部材5に作用する流体圧を昇圧する。その結果、押圧部材5が先端コア部3を押圧する力が増加して、第1ロッド1と先端コア部3を係合していた1対の剪断ピン20(図4参照)に作用する剪断力も増加する。
剪断力が予め設定された数値(剪断ピン20は括れ部23で破断する値)以上になると、剪断ピン20は括れ部23で破断して、先端コア部3は第1ロッド1内を移動して、ボーリングロッド10の外側の領域(ボーリング孔100先端の領域)101に向かって押し出される。
なお、図15以下においては、図示の簡略化のため、領域101には先端コア部3のみを表示している。
図17で示す工程では、スリーブ管7の先端7tが第1ロッド1の切羽側の空間101まで到達した後、ボーリングロッド10を引き抜いて、地上側(羽口50側)に回収する。図17は、ボーリングロッド10が羽口50側に回収された後の状態を示している。
図17において、符号70はスリーブ管7に取り付けられたパッカを示す。
すなわち、スリーブ管7に取り付けられたパッカ70に、図示しない供給ラインを介して、例えば圧縮エアの様な膨張用流体を供給して、パッカ70の外周がボーリング孔100の内壁面に接触してボーリング孔を完全に閉塞するまで、パッカ70を膨張させる。
図19の工程では、パッカ70を膨張させた状態で、スリーブ管7のパッカ70と先端7tとの間に設けられた複数のノズル7nから、薬液として例えば固化材Kを噴出して、ボーリング孔100先端の領域101に固化材Kを充填して、その周辺の土壌に固化材Kを注入する。
図20において、スリーブ管7を羽口50側に引き戻す量は、1回の固化材注入分の長さ(いわゆる「1ピッチ」)分である。
図20において、符号KCは、充填及び注入された固化材Kが固化した状態を示している。
すなわち、図19の工程と同様に、パッカ70を膨張して、複数のノズル7nから固化材Kを噴出して、スリーブ管7とボーリング孔100との間の領域に固化材Kを充填して、その周辺の土壌に固化材Kを注入する。
以下、図19〜図21で説明したのと同様の作業を繰り返して、施工計画領域全域の土壌について、固化材Kを注入する。
図11〜図21で示す作業(a)について、その他の構成及び作用効果については、図1〜図10で示す実施形態と同様である。
しかし、地盤によっては、パッカによっては薬液のシールが困難な場合が存在する。或いは、膨張、収縮することによりパッカが破損してしまう様な場合も存在する。そのような土壌については、図11〜図21で示す様な薬液注入は困難である。
図22〜図29は、パッカを使用した薬液注入が困難な施工条件において、薬液を注入する作業を示している。
図22で示す薬液注入管7Bは、図11〜図21で示すスリーブ管7と同様に、切羽側(図22では左側)先端近傍の領域に、複数のノズル7nを備えている。
ただし、薬液注入管7Bはパッカを備えておらず、図11〜図21で示すスリーブ管7のパッカ70の位置には、円周方向に等間隔に配置された複数の第2のノズル7n−Sを設けている。
なお、複数の第2のノズル7n−Sの各々には、逆止弁RVが設けられている。第2のノズル7n−Sから噴射された薬液(固化材)が逆流することを防止して、第2のノズル7n−S或いは流路7BI−2内で固結することを防止するためである。
後述するように、流路7BI−2と複数の第2のノズル7n−Sにより構成される経路には、瞬結タイプの固化材(早い時間で固まる固化材:A液とB液を混合すると固化する2液混合タイプの固化材において、短時間で固化する瞬結タイプのB液)が流れる。
一方、中空ロッド7IR中央の流路7IPと中空部分7BI−1により構成される経路には、長結タイプの固化材(固化するまでの時間が比較的長い固化材:A液とB液を混合すると固化する2液混合タイプの固化材におけるA液及びB液の混合液であって、長結タイプの混合液)が流れる。
図22において、符号7tは、薬液注入管7Bの先端部分を示している。
そして、図16で示すのと同様に、先端に開口部分が形成されたボーリングロッド10の中空部分13に薬液注入管7Bを挿入する。薬液注入管7Bを挿入したならば、ボーリングロッド10を地上側に引き抜く。
図23は図17に対応する状態を示しており、薬液注入管7Bの挿入後、ボーリングロッド10を引き抜いた状態を示しており、ボーリング孔100内に薬液注入管7Bが配置されている。なお、図23〜図29において、ボーリングロッド10から押し出された先端コア部3及び押圧部材5(5A)の図示は省略している。
図22〜図29で説明する薬液注入作業では、瞬結タイプの固化材LBSは、2種類の液体(A液とB液)を混合すると固化する2液混合タイプの固化材の内で、瞬結タイプのB液を用いる。
一方、中空ロッド7IR中央の流路7IPと中空部分7BI−1により構成される経路を介して、ノズル7nからは、長結タイプの固化材(固化するまでの時間が比較的長い固化材)が噴射される。
図22〜図29の薬液注入作業では、長結タイプの固化材として、2種類の液体(A液とB液)を混合すると固化する2液混合タイプの固化材において、A液及びB液の混合液であって、長結タイプの混合液が用いられる。
第2のノズル7n−Sから固化材LBS(瞬結タイプのB液)が噴射された領域において、A液及びB液の長結タイプの混合液と瞬結タイプのB液とが混合し、瞬時に固化する。
図25において、A液及びB液の長結タイプの混合液と瞬結タイプのB液とが混合して固化した領域(第2のノズル7n−Sから瞬結タイプのB液である固化材LBSが噴射された領域)は、符号KCSで示されている。
そのため、図26で示すように、ノズル7nから噴射されたA液及びB液の長結タイプの混合液LABLは、羽口側(図26の右側)に流出すること無く、薬液注入管7B周辺の領域に注入、浸透される。図26において、ノズル7nから噴射されたA液及びB液の長結タイプの混合液(固化材)LABLが注入された領域は、符号KCLで示されている。
領域KCLにおいて、比較的長時間である固結時間が経過すれば、固化材LABLは固化する。
薬液注入管7Bを、いわゆる「1ピッチ」分(領域KCLの薬液注入管7Bの長手方向長さ分)だけ羽口50側に引き抜いたならば、図28で示すように、第2のノズル7n−Sから瞬結タイプのB液である固化材LBSを、領域KCSに噴射して、領域KCSを固化する。
図25、図26で説明したように、領域KCSを固化すれば、ノズル7nから噴射されたA液及びB液の長結タイプの混合液(固化材)LABLは領域KCSよりも羽口側には流出せず、図29で示すように、周辺土壌に注入される。
以下、図27〜図29で示す工程を繰り返し、ノズル7nから噴射されたA液及びB液の長結タイプの混合液(固化材)LABLを、予定した施工領域全域に注入する。
或いは、パッカが膨張、収縮することにより破損してしまう様な施工現場であっても、適用することが出来る。
そして、瞬結する領域KCSよりも羽口側の領域に、注入薬液が流出してしまうことが防止出来る。
しかし、既存のセンターホールジャッキは重量が大きく、また、発生する圧力が高いので、取り扱いが容易ではない。また、別体のロッドホルダーを使用しなければならないので、部品管理の労力が大きくなってしまう。
これに対して、図30〜図34で示されているジャッキシステムであれば、上述した様な問題を生じること無く、薬液注入管7Bを好適に地上側へ引き抜くことが出来る。
ジャッキ112は、シリンダー116(ジャッキ用シリンダー)と、ピストン118(ジャッキ用ピストン)を有している。そして、ジャッキ用ピストン118のロッド先端に、ロッドホルダー114が固定されている。
ロッドホルダー114は、シリンダー120(ホルダー用シリンダー)と、ピストン122(ホルダー用ピストン)を有しており、ホルダー用ピストン122の先端は、薬液注入管7Bを保持する保持具124を構成している。
ホルダー用シリンダー120において、薬液注入管7B側(図30では半径方向内方)の内部空間120aには、油圧ラインLa2が連通している。そして、ホルダー用シリンダー120の薬液注入管7Bとは反対側(図30では半径方向外方:図31、図32参照)の内部空間120b(図31、図32参照)には、油圧ラインLb2が連通している。
そして、図31で示すように、油圧ラインLb2を介してロッド用シリンダー120の内部空間120bに圧油を供給し(矢印AP31)、油圧ラインLa2を介して内部空間120aの圧油を排出する(矢印AD31)。その結果、ホルダー用ピストン122は矢印A31方向に移動して、保持具124により薬液注入管7Bが保持される。
そして、油圧ラインLb1を介してジャッキ用シリンダー116の内部空間116に圧油を供給し(矢印AP32)、油圧ラインLa1を介して内部空間116a(図30、図31参照)の圧油を排出する(矢印AD32)。
その結果、ピストン118は伸長して、その先端は地上側(図32では右側)に移動し、ピストン118先端のロッドホルダー114に保持されている薬液注入管7Bも、地上側に引き抜かれる。ここで、薬液注入管7Bの引き抜き量は、ピストン118のストロークに等しい。
これにより、ロッドホルダー114のピストン122は矢印A33方向に移動して、保持具124が薬液注入管7Bを保持した状態が解除される。
図33の状態では、油圧ラインLa1、La2は閉鎖している。
これにより、ジャッキ112のピストン118は収縮する。
図34では、油圧ラインLa2、Lb2は閉鎖している。
以下、図30〜図34で示す工程を繰り返す毎に、ジャッキ112のピストン118のストローク分ずつ、薬液注入管7Bは地上側(図30〜図34の右側)に引き抜かれる。
そして、ロッドホルダー114はピストン118と一体化されているので、センターホールジャッキとロッドホルダーを用いた場合に比較して、部品管理が極めて容易である。
図35で示す工程に先立って、図1〜図15を参照して説明したのと同様に、先端コア部3、3Aをボーリングロッド10から外す。そして、計測作業に必要な計測用機器8(TVカメラ、磁気探査装置、間隙水圧計測装置等)をボーリングロッド10内側の中空部分13内へ挿入して、ボーリングロッド10の先端まで移動する。
そして、図35で示すように、計測用機器8をボーリングロッド10の先端よりも外側(図35では右側)の地中領域に出して、必要な計測(例えば、TVカメラによる地盤状況確認、磁気探査装置挿入による磁気探査、間隙水圧計測装置による間隙水圧の計測等)を行なう。
図36では、計測用機器8を装着したロッド7aを、ボーリングロッド10に対して、羽口側(矢印50側)に移動している。しかし、ボーリングロッド10を切羽側(矢印50の反対側)に移動して、計測用機器8を収容しても良い。
ここで、図37で示す工程で移動する「次の計測位置」は、図35で計測を行なった位置よりも、羽口側(矢印50側)に存在する。
以下、図35〜図37の工程を繰り返し、切羽先端から羽口までの間のボーリング孔100の計測箇所で、必要な計測を実行する。
その他の構成及び作用効果については、図35〜図37で示す計測作業は、図1〜図34を参照して説明したのと同様である。
その際に、ボーリングロッド10内部の中空部分により、上述の必要な機器(スリーブ管7、薬液注入管7B、計測用機器8)の移動経路を確保することが出来るので、軟弱な地盤が崩落等を起こしても、当該必要な機器(7、7B、8)を所定箇所へ配置して、地上側に回収することが出来る。そして、当該中空部13には異物は侵入し難いので、異物により機器の移動が妨げられてしまう恐れもない。
すなわち、ボーリング孔削孔後に、先端コア部3を羽口側(地上側)に回収することなく、必要なボーリング孔を削孔した直後に、作業に必要な機器(7、7B、8)をボーリングロッド10の中空部13を通して、ボーリングロッド10先端の必要箇所に送り込むことができる。
そのため、作業の短縮、効率化が図られる。
2・・・修正用反力板
3、3A・・・閉鎖部材/先端コア部
4・・・ボーリングロッドの接続部材
5、5A・・・押圧部材
6・・・押圧ロッド
7・・・スリーブ管
7a・・・ロッド
7B・・・薬液注入管
8・・・計測用機器
10・・・ボーリングロッド
12・・・先端の中空部
13・・・中央の中空部
14・・・削孔流体流路
15・・・削孔水吐出口
20・・・剪断ピン
34・・・センター孔
50・・・羽口
70・・・パッカ
100・・・ボーリング孔
101・・・ボーリング孔先端の領域
Claims (4)
- 先端に削孔手段及び削孔方向制御手段を設けた可撓性を有する中空のロッドを用いてボーリング孔を削孔する削孔工法において、前記ロッド内部の中空部分は削孔流体の流路を構成し、前記ロッド先端を閉鎖している閉鎖部材は固定手段により前記ロッドに固定されており、前記削孔手段から削孔流体を噴射して地盤を削孔する削孔工程と、閉鎖部材を押圧し前記固定手段を剪断破壊して閉鎖部材を前記ロッド外側の領域に押し出す工程と、削孔後の作業に必要な機器を前記ロッド内側の中空部分内へ挿入して当該ロッドの先端まで移動する工程を有することを特徴とする削孔工法。
- 前記閉鎖部材を押し出す工程では、前記ロッド内部の中空部分に押圧部材を挿入して押圧部材を閉鎖部材に当接させる工程を含み、閉鎖部材は押圧部材を介して押圧される請求項1の削孔工法。
- 前記閉鎖部材の羽口側端部は、閉鎖部材の中心軸に対して直交する平面を有している請求項1、2の何れかの削孔工法。
- 前記閉鎖部材の羽口側端部は、閉鎖部材の中心軸に対して傾斜する平面を有している請求項1、2の何れかの削孔工法。
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