JP2020090859A - ロックボルト構造の構築方法及び定着材注入治具 - Google Patents

ロックボルト構造の構築方法及び定着材注入治具 Download PDF

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Abstract

【課題】定着材の注入作業に対して外管の引抜のタイミングを調整でき、定着材を適切な状態で充填できると共に、ロックボルト構造の施工効率を高めることができる。【解決手段】中空部21を有するロックボルト本体2の先端にビット3が設けられ、その外側に外管4が周設される自穿孔ロックボルト1を地山100に打設してロックボルト構造を構築するロックボルト構造の構築方法であり、定着材注入治具6で削孔機10の削孔水供給路131とロックボルト本体2の中空部21を流路接続し、且つ削孔機10で外管4を引抜可能に定着材注入治具6を介して削孔機10のウォータースイベル13と外管4を連結する第1工程と、削孔水供給路131と中空部21を通して定着材Fを注入し、定着材Fをビット3の吐出孔31から吐出させると共に、ウォータースイベル13を後退させて地山100に打設された外管4を引き抜く第2工程を備える。【選択図】図4

Description

本発明は、中空のロックボルト本体の先端にビット、外側に外管が配置される二重管式の自穿孔ロックボルトで構築されるロックボルト構造の構築方法、及びそのロックボルト構造を構築する際に用いられる定着材注入治具に関する。
従来、地質が悪く孔壁が自立しないトンネルや斜面の地山にロックボルトを設置する際に、ロックボルト本体の先端に捨てビットが装着された自穿孔ロックボルトが用いられており、自穿孔ロックボルトには中空のロックボルト本体の外側に外管が配置される二重管式のものがある。二重管式の自穿孔ロックボルトは、削孔機が供給する削孔水をロックボルト本体の中空部を通してビット先端から噴出させながらビットで削孔してロックボルト本体とともに外管が打設されるように施工され、その後に外管が地山の孔から抜き出されると共にセメントミルク等の定着材が孔に注入され、ロックボルト構造が構築される。このような自穿孔ロックボルトによるロックボルト構造の構築を開示しているものとして特許文献1、2がある。
特許文献1では、中空のロックボルト本体の外側に外管が配置された自穿孔ロックボルトを打設した後、外管とスイーベルのネジ接続とロックボルト本体とスイーベルのネジ接続を解除し、定着材注入ホースをロックボルト本体の内孔に接続してロックボルト本体の内外に定着材を充填している。そして、定着材の充填後、定着材が硬化しないうちに、外管の後端部に引抜スリーブを装着して引抜スリーブをスイーベルにネジ接続し、削孔機のスイーベルの後退で外管を引き抜いてロックボルト構造を構築している。
特許文献2では、中空のロックボルト本体の外側に外管が配置された自穿孔ロックボルトを打設した後、削孔機からロックボルト本体を外してロックボルト本体の端部に定着材の注入用アダプタを取り付け、ロックボルト本体の内外に定着材を充填している。そして、定着材の充填後、外管の後端部に引抜用アダプタを装着して削孔機の装着部を後退させ、外管を引き抜いてロックボルト構造を構築している。
特許第3878104号公報 特許第4475497号公報
ところで、自穿孔ロックボルトによるロックボルト構造が構築される地山は、孔壁が崩れやすく、注入した定着材が地山の割れ目に沿って逸走することもあるため、定着材の注入作業では、現場ごとに様子を見ながら定着材の流動性の調整や外管の引抜のタイミングを調整することが求められる。しかしながら、特許文献1、2のロックボルト構造の構築では、自穿孔ロックボルトの打設、定着材の注入、外管の引き抜きの都度、ロックボルト本体や外管の削孔機からの分離、定着材注入治具の装着と撤去、外管撤去用治具の装着の硬直的な切替作業を行う必要があり、例えば外管を引抜ながら定着材を注入するなど、定着材の注入作業に対して外管の引抜のタイミングを調整することは困難である。また、このような切替作業は施工効率を低下させる要因ともなる。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、外管を引抜ながら定着材を注入するなど、定着材の注入作業に対して外管の引抜のタイミングを調整することができ、定着材を適切な状態で充填することができると共に、施工効率を高めることができる定着材を適切な状態で充填することができるロックボルト構造の構築方法、及びロックボルト構造の構築に用いられる定着材注入治具を提供することを目的とする。
本発明のロックボルト構造の構築方法は、中空部を有するロックボルト本体の先端にビットが設けられ、前記ロックボルト本体の外側に外管が周設される自穿孔ロックボルトを地山に打設してロックボルト構造を構築するロックボルト構造の構築方法であって、定着材注入治具で削孔機の削孔水供給路と前記ロックボルト本体の前記中空部を流路接続し、且つ前記定着材注入治具を介して前記削孔機の削孔水供給部と前記外管を連結する第1工程と、前記削孔水供給路と前記中空部を通して定着材を注入し、前記定着材を前記ビットの吐出孔から吐出させると共に、前記削孔機の前記削孔水供給部を後退させて地山に打設された前記外管を引き抜く第2工程を備えることを特徴とする。
これによれば、定着材注入治具で削孔水供給路とロックボルト本体の中空部を流路接続し、且つ定着材注入治具を介して削孔機の削孔水供給部と外管を連結した構造とすることにより、削孔水供給路からの定着材注入と、削孔機の削孔水供給部の後退による外管の引抜を並行して行うことが可能となり、例えば外管を引抜ながら定着材を注入するなど、定着材の注入作業に対して外管の引抜のタイミングを調整することができる。換言すれば、外管を任意のタイミングで引き抜くことができるため、孔の周囲の地盤性状に応じて、外管を引抜ながらの定着材注入、外管を少し引き抜いて定着材を注入してまた外管を引き抜く等、定着材の注入作業の自由度を高めることができる。従って、定着材を適切な状態で充填することができ、ロックボルト本体の必要な定着強度を確実に得ることができる。また、この流路接続、連結の構造により、定着材の注入後に定着材注入治具の撤去、外管撤去用治具の装着の多数の切替作業、段取り替えを行うことが不要となり、施工効率を高めることができる。特に、足場を組んで足場上からの作業となることが多い地山斜面にロックボルト構造を構築する場合等に、段取り替えを最小限にして施工効率を高める効果は非常に顕著に発揮される。
本発明のロックボルト構造の構築方法は、前記第2工程において、前記ビットの吐出孔から吐出させた前記定着材を前記外管の外側に充填して削孔口からのリターンの確認後に、前記外管を後退させて前記ビットと前記外管の先端との間に定着材流路を形成し、前記ビットの吐出孔から吐出させた前記定着材を前記定着材流路を介して前記外管の内部に注入し、前記定着材注入治具のエア抜き孔からの前記外管の内部に注入された前記定着材のリターンにより前記定着材の充填を確認することを特徴とする。
これによれば、逸走が起きやすい外管の外側への定着材の充填を確認してから、外管内部への定着材注入を行い、外管内部への定着材の充填も確認することにより、定着材をより適切な状態で充填することができ、ロックボルト本体の必要な定着強度をより確実に得ることができる。
本発明のロックボルト構造の構築方法は、前記第1工程の前に、前記ロックボルト本体の後部に着脱自在なズレ止め部材で前記外管を固定した状態で、前記削孔水供給路と前記中空部を通して供給される削孔水を前記ビットの吐出孔から吐出させながら前記ビットで削孔して前記自穿孔ロックボルトを打設する打設工程を行い、前記第1工程において、前記ズレ止め部材を前記定着材注入治具に取り替えることを特徴とする。
これによれば、削孔水の吐出、自穿孔ロックボルトの打設の際に外管を固定するズレ止め部材を着脱自在とすることにより、ズレ止め部材を簡単に取り外すことができ、簡単にズレ止め部材から定着材注入治具への段取り替えを行うことができる。
本発明のロックボルト構造の構築方法は、前記第1工程と前記第2工程との間に、前記定着材注入治具で流路接続された前記削孔水供給路と前記中空部を通して供給される削孔水を前記ビットの吐出孔から吐出させながら前記ビットで削孔して前記自穿孔ロックボルトを打設する打設工程を行うことを特徴とする。
これによれば、定着材注入治具を設置した状態のまま、自穿孔ロックボルトの打設工程、定着材の注入と外管の引抜の工程を行うことができ、これらの工程を通じて段取り替えを最小限にし、ロックボルト構造の施工効率を非常に高めることができる。即ち、自穿孔ロックボルトの打設後のロックボルト本体や外管の削孔機からの分離、その後の定着材注入治具の装着と撤去、その後の外管撤去用治具の装着の切替作業を行わなくても、自穿孔ロックボルトの打設から、定着材の注入と外管の引抜までの工程を行うことができる。
本発明の定着材注入治具は、中空部を有するロックボルト本体の先端にビットが設けられ、前記ロックボルト本体の外側に外管が周設される自穿孔ロックボルトの前記ロックボルト本体が地山に打設され、前記ロックボルト本体の周囲に定着材が充填されるロックボルト構造の構築に用いられる定着材注入治具であって、軸方向に延びる中空部を有する治具本体と、前記治具本体の先端部に設けられ、前記外管の後端部に固定される第1の連結固定部と、前記治具本体の後端部に設けられ、削孔機の削孔水供給部に固定される第2の連結固定部と、前記治具本体に内装され、軸方向に貫通する環状シール材を備えることを特徴とする。
これによれば、治具本体の中空部で削孔水供給部の削孔水供給路とロックボルト本体の中空部を流路接続することが可能となり、且つ、第1の連結固定部と第2の連結固定部による固定で削孔機で外管を引抜可能に定着材注入治具を介して削孔機と外管を連結することが可能となる。従って、削孔水供給路からの定着材注入と、削孔機の削孔水供給部の後退による外管の引抜を並行して行うことを可能にし、例えば外管を引抜ながら定着材を注入するなど、定着材の注入作業に対する外管の引抜のタイミングの調整を実現することができる。従って、定着材を適切な状態で充填し、ロックボルト本体の定着強度の確保も可能となる。また、この流路接続、連結の構造は、定着材の注入後に定着材注入治具の撤去、外管撤去用治具の装着の多数の切替作業、段取り替えを行うことを不要とするものであり、施工効率を高めることが可能となる。特に、足場を組んで足場上からの作業となることが多い地山斜面にロックボルト構造を構築する場合等に、段取り替えを最小限にして施工効率を高める効果は非常に顕著に発揮される。また、環状シール材により、充填された定着材が削孔水供給部側に流れ込むことを防止することができる。
本発明の定着材注入治具は、前記治具本体の前記環状シール材よりも先端部側の周壁にエア抜き孔が形成されていることを特徴とする。
これによれば、エア抜き孔からの定着材のリターンにより外管内部への定着材の充填を確認することが可能となり、定着材をより適切な状態で充填することが可能となる。
本発明の定着材注入治具は、後端部が前記削孔水供給部の削孔水供給路に流路接続され、先端部が前記ロックボルト本体の前記中空部に内挿される注入パイプを備えることを特徴とする。
これによれば、注入パイプによって定着材をロックボルト本体の中空部により確実に導入することができ、例えば外管の引抜の際にもロックボルト本体の中空部に内挿された状態の注入パイプから中空部内に定着材をより確実に注入することができる。
本発明によれば、外管を引抜ながら定着材を注入するなど、定着材の注入作業に対して外管の引抜のタイミングを調整することができ、定着材を適切な状態で充填することができると共に、ロックボルト構造の施工効率を高めることができる。
(a)は本発明による実施形態のロックボルト構造の構築方法における自穿孔ロックボルトの打設前の状態を示す説明図、(b)はその部分拡大図。 (a)は実施形態のロックボルト構造の構築方法における自穿孔ロックボルトの打設を説明する説明図、(b)はその部分拡大図。 (a)は実施形態のロックボルト構造の構築方法における定着材の注入を説明する説明図、(b)はその部分拡大図。 (a)は実施形態のロックボルト構造の構築方法における定着材の注入と外管の引抜を説明する説明図、(b)はその部分拡大図。 (a)は実施形態のロックボルト構造の構築方法における定着材の充填完了後の状態を示す説明図、(b)はその地山側の部分拡大図、(c)はその削孔機側の部分拡大図。 実施形態のロックボルト構造の構築方法における定着材注入時の定着材注入治具の周辺を示す断面説明図。 実施形態の定着材注入治具の断面説明図。 (a)は実施形態の定着材注入治具のケーシングアダプタの平面図、(b)はその左側面図、(c)はそのA−A断面図。 (a)は実施形態の定着材注入治具の係合具の正面図、(b)はその側面図、(c)はそのB−B断面図、(d)はそのC−C断面図。 本発明による変形例のロックボルト構造の構築方法で用いる定着材注入治具の断面説明図。
〔実施形態のロックボルト構造の構築方法及び定着材注入治具〕
本発明による実施形態のロックボルト構造の構築方法で構築されるロックボルト構造は、図1〜図5に示すように、中空部21を有するロックボルト本体2の先端にビット3が設けられ、ロックボルト本体2の外側に外管4が周設される自穿孔ロックボルト1を地山100に打設して構築されるものであり、打設される自穿孔ロックボルト1は二重管式の自穿孔ロックボルトである。
自穿孔ロックボルト1のロックボルト本体2は、軸方向に貫通する中空部21が形成された筒状であり、中空部21は横断面の略中央に位置するように設けられている。ロックボルト本体2の外周面には、図示省略する雄ねじが全長に亘って形成されており、雄ねじによる螺着により、ビット3や、削孔機10の削孔水供給部に固定可能になっており、又、この螺着により必要な場合には定着材注入治具にも固定可能になっている。
ビット3には、削孔水や定着材を吐出する吐出孔31が先端近傍に設けられていると共に、後端面で開口する雄ねじ穴32が形成されており、雄ねじ穴32は吐出孔31に連通している。雌ねじ穴32にはロックボルト本体2の先端部の雄ねじが螺合され、ロックボルト本体2の先端にビット3が固定されると共に、ロックボルト本体2の中空部21がビット3の吐出孔31に連通される。また、ビット3の後側には、外管4の先端面が水密に当接する段差面を有する環状のパッキン33が配設されており、パッキン33にはロックボルト本体2が内挿される。
自穿孔ロックボルト1における外管4の後端には雌ねじ41が形成されていると共に、外管4の後端は着脱自在なズレ止め部材5でロックボルト本体2に対して固定される。図示例のズレ止め部材5は、ロックボルト本体2の外周面の雄ねじに螺合される固定ナット51と、固定ナット51に対して外管4側に設けられる筒状の固定キャップ52と、固定キャップ52の段差面に当接するようにして嵌合されるパッキン53とから構成されている。パッキン53は外管4の後端面に当接するように配置されており、固定ナット51の先端側への螺入によって固定キャップ52が先端側に押圧され、固定キャップ52の段差面でパッキン53を介して外管4の後端面が先端側に押圧され、外管4の後端面がパッキン53に水密に当接されると共に、外管4の先端面がパッキン33の段差面に水密になるように押圧され当接されている。
そして、自穿孔ロックボルト1を用いてロックボルト構造を構築する際には、図1に示すように、ロックボルト本体2の後部に着脱自在なズレ止め部材5で外管4が固定された状態の自穿孔ロックボルト1を削孔機10に設置する。削孔機10は、ガイドセル11と、ガイドセル11に案内されて進退すると共に自穿孔ロックボルト1に回転、打撃動作を供給するドリフター12と、ドリフター12の先端部に設けられた削孔水供給部に相当するウォータースイベル13を備える。ウォータースイベル13には、削孔水供給路131が設けられていると共に、その先端部に削孔水供給路131と連通する雌ねじ部132が設けられている。
雌ねじ部132に自穿孔ロックボルト1のロックボルト本体2の後端部の外周面に設けられた雄ねじが螺着され、ドリフター12及びウォータースイベル13に自穿孔ロックボルト1が機械的に固定されると共に、削孔水供給路131とロックボルト本体2の中空部21が流路接続される。また、削孔機10に設置された自穿孔ロックボルト1の先端寄りの部分は、保持部14で進退自在に保持される。
その後、図2に示すように、ウォータースイベル13の削孔水供給路131から供給される削孔水Wをロックボルト本体2の中空部21に供給し、更にロックボルト本体2の中空部21からビット3に削孔水Wを供給してビット3の吐出孔31から削孔水Wを吐出させながら、自穿孔ロックボルト1の回転、打撃動作で地山100をビット3で削孔して孔101を形成して、自穿孔ロックボルト1を打設すると共に、削孔による削孔ズリRを外管4と地山100の孔壁102との間の隙間Sを通して孔外に排出する。この削孔工程において、ロックボルト本体2に対して固定されている外管4はロックボルト本体2と同方向に回転しながら進行する。
その後、図3及び図6に示すように、ロックボルト本体2と固定ナット51の螺合を外してズレ止め部材5をロックボルト本体2から取り外し、ズレ止め部材5を定着材注入治具6に取り替える。本実施形態の定着材注入治具6は、ケーシングアダプタ61と、係合具62と、連結キャップ63と、連結キャップ63に嵌合されている環状シール材64と、注入パイプ65を備え、本実施形態における定着材注入治具6の軸方向に延びる中空部を有する治具本体は、ケーシングアダプタ61と、係合具62と、連結キャップ63とから構成される。
ケーシングアダプタ61は、図6〜図8に示すように、略円筒形であり、周壁611の先端部には雄ねじ612が形成されている。周壁611の前寄りの位置にはエア抜き孔613が形成されており、エア抜き孔613は、定着材注入治具6の治具本体の環状シール材64よりも先端部側の周壁に形成されたエア抜き孔に相当する。また、周壁611の後寄りの位置には係合突起614が外方に突出して形成されている。係合突起614はケーシングアダプタ61の軸方向に延びる細長の略直方体形であり、周壁611の対向する位置に一対の係合突起614・614が形成されている。
係合具62は、図6、図7、図9に示すように、略円筒形であり、周壁621の後端部に雌ねじ622が形成されている。また、周壁621の対向する位置には一対の略Ω字形の係合孔623・623が形成されており、ケーシングアダプタ61の係合突起614を係合孔623の隘路6231を通して挿入し、ケーシングアダプタ61を係合具62に対して相対的に回転させて係合突起614を係合孔623の側部6232に押し当てることにより、係合具62に対して前後移動不能な状態でケーシングアダプタ61が係合具62に取り付けられる。
連結キャップ63には、フランジ631の前側に円筒形で外周面に雄ねじが形成された雄ねじ部632が設けられ、雄ねじ部632の中空部633には環状シール材64が嵌合される。環状シール材64は、定着材注入治具6の治具本体に内装され、軸方向に貫通する環状シール材に相当する。連結キャップ63の雄ねじ部632の雄ねじは係合具62の後端部の雌ねじ622に螺着されて、環状シール材64が嵌合された連結キャップ63が係合具62に固定される。また、フランジ631の後側には外周面に雄ねじが形成された雄ねじ部634が設けられており、雄ねじ部634には中空部633よりも小径の軸方向に延びる中空部635が設けられている。雄ねじ部634の外周面の雄ねじはロックボルト本体2の外周面の雄ねじと同一の形状、大きさ、ピッチになっている(図6、図7参照)。
注入パイプ65には、後端に外方に突出するフランジ651が形成されている。注入パイプ65は、連結キャップ63の中空部635、環状シール材64、係合具62に取り付けられたケーシングアダプタ61の内部を挿通するように設けられ、フランジ651が連結キャップ63の雄ねじ部634の後端面に当接するようにして配置される(図6、図7参照)。
定着材注入治具6におけるケーシングアダプタ61の雄ねじ612は自穿孔ロックボルト1の外管4の後端部の雌ねじ41に螺着されて、定着材注入治具6が外管4に固定される。ケーシングアダプタ61の雄ねじ612は、定着材注入治具6の治具本体の先端部に設けられ、外管4の後端部に固定される第1の連結固定部に相当する。この連結して固定された状態において、注入パイプ65の先端部は、自穿孔ロックボルト1のロックボルト本体2の中空部21に内挿される。
定着材注入治具6における連結キャップ63の後端部の雄ねじ部634は、ウォータースイベル13の削孔水供給路131と連通する雌ねじ部132に注入パイプ65のフランジ651を挟んだ状態で螺着されて、定着材注入治具6がウォータースイベル13に固定される。連結キャップ63の後端部の雄ねじ部634は、定着材注入治具6の治具本体の後端部に設けられ、削孔機10の削孔水供給部に固定される第2の連結固定部に相当する。この連結して固定された状態において、注入パイプ65の後端部は、削孔水供給部に相当するウォータースイベル13の削孔水供給路131に流路接続される。また、ロックボルト本体2の後端部はケーシングアダプタ61の内側に配置され、図示例ではロックボルト本体2の後端面が環状シール材64に当接或いは近接する位置に配置されている。
上記のように定着材注入治具6に取り替えた状態では、定着材注入治具6或いはその注入パイプ65により、削孔機10の削孔水供給路131とロックボルト本体2の中空部21が流路接続されると共に、ケーシングアダプタ61の雄ねじ612と外管4の後端部の雌ねじ41との螺着により、削孔機10で外管4を引抜可能に定着材注入治具6を介して削孔機10と外管4が連結される。
その後、ウォータースイベル13に定着材注入ホース15を取り付け(図6参照)、削孔水供給路131とロックボルト本体2の中空部21を通して定着材Fを注入し、定着材Fをビット3の吐出孔31から吐出させると共に、削孔機10の削孔水供給部に相当するウォータースイベル13を後退させて地山100に打設された外管4を引き抜いていく(図3、図4参照)。
この際、図3に示すように、ビット3の吐出孔31から吐出させた定着材Fを外管4の外側に充填して削孔口103からの定着材Fのリターンの確認後に、図4に示すように、ウォータースイベル13の後退で外管4を後退させてビット3と外管4の先端との間に定着材流路104を形成し、ビット3の吐出孔31から吐出させた定着材Fを定着材流路104を介して外管4の内部に注入する。そして、定着材注入治具6のケーシングアダプタ61のエア抜き孔613からの外管4の内部に注入された定着材Fのリターンにより定着材Fの充填を確認する。尚、削孔水供給路131に定着材Fを流した後には削孔水供給路131内を水で洗い流して清掃することが好ましい。
その後、図5に示すように、ウォータースイベル13の後退で外管4を完全に引き抜き、孔101にロックボルト本体2、ビット3、パッキン33が存置され、これらと孔101との間及びロックボルト本体2の内部に定着材Fが充填された状態とする。そして、充填された定着材Fの硬化により、自穿孔ロックボルト1のロックボルト本体2が打設されたロックボルト構造が構築される。
本実施形態によれば、定着材注入治具6で削孔水供給路131とロックボルト本体2の中空部21を流路接続し、且つ定着材注入治具6を介して削孔機10のウォータースイベル13と外管4を連結した構造とすることにより、削孔水供給路131からの定着材注入と、削孔機10のウォータースイベル13の後退による外管4の引抜を並行して行うことが可能となり、外管4を引抜ながら定着材Fを注入するなど、定着材Fの注入作業に対して外管4の引抜のタイミングを調整することができる。換言すれば、外管4を任意のタイミングで引き抜くことができるため、孔101の周囲の地盤性状に応じて、外管4を引抜ながらの定着材注入、外管4を少し引き抜いて定着材Fを注入してまた外管4を引き抜く等、定着材Fの注入作業の自由度を高めることができる。従って、定着材Fを適切な状態で充填することができ、ロックボルト本体2の必要な定着強度を確実に得ることができる。また、この流路接続、連結の構造により、定着材の注入後に定着材注入治具の撤去、外管撤去用治具の装着の多数の切替作業、段取り替えを行うことが不要となり、施工効率を高めることができる。
また、逸走が起きやすい外管4の外側への定着材Fの充填を削孔口103からの定着材Fのリターンで確認した後、定着材流路104を形成して外管4の内部に定着材Fを注入し、エア抜き孔613からの定着材Fのリターンで外管4の内部への定着材Fの充填を確認することにより、ロックボルト本体2の必要な定着強度をより確実に得ることができる。
また、削孔水Wの吐出、自穿孔ロックボルト1の打設の際に外管4を固定するズレ止め部材5を着脱自在とすることにより、ズレ止め部材5を簡単に取り外すことができ、簡単にズレ止め部材5から定着材注入治具6への段取り替えを行うことができる。
また、環状シール材64により、充填された定着材Fがウォータースイベル13側に流れ込むことを防止することができる。また、ロックボルト本体2の中空部21に内挿される注入パイプ65により、定着材Fをロックボルト本体2の中空部21により確実に導入することができ、例えば外管4の引抜の際にもロックボルト本体2の中空部21に内挿された状態の注入パイプ65から中空部21内に定着材Fをより確実に注入することができる。
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記追加内容や変形例も含まれる。
本発明の定着材注入治具には、軸方向に延びる中空部を有する治具本体と、治具本体の先端部に設けられ外管の後端部に固定される第1の連結固定部と、治具本体の後端部に設けられ削孔機の削孔水供給部に固定される第2の連結固定部と、治具本体に内装され軸方向に貫通する環状シール材を備える適宜の定着材注入治具が包含され、上記実施形態の定着材注入治具6に限定されない。更に、本発明の定着材注入治具には、上記実施形態の注入パイプ65を有しないものも含まれる。
また、本発明のロックボルト構造の構築方法には、定着材注入治具で削孔機の削孔水供給路とロックボルト本体の中空部を流路接続し、且つ削孔機で外管を引抜可能に定着材注入治具を介して削孔機の削孔水供給部と外管を連結する第1工程と、削孔水供給路と中空部を通して定着材を注入し、定着材をビットの吐出孔から吐出させると共に、削孔機の削孔水供給部を後退させて地山に打設された外管を引き抜く第2工程を備える適宜の構築方法が包含され、上記実施形態のロックボルト構造の構築方法に限定されない。
例えば図10に示す変形例における入治具6aを用いてロックボルト構造の構築を行ってもよい。この定着材注入治具6aは、ケーシングアダプタ61と、係合具62と、連結キャップ63aと、連結キャップ63aに嵌合されている環状シール材64aと、注入パイプ65を備え、ケーシングアダプタ61、係合具62、注入パイプ65の構成や、これらの設置、取付の構造は上記実施形態と同様である。変形例における入治具6a軸方向に延びる中空部を有する治具本体は、ケーシングアダプタ61と、係合具62と、連結キャップ63aから構成される。
連結キャップ63aには、フランジ631aの前側に円筒形で外周面に雄ねじが形成され且つ内周面に雌ねじが形成された筒部632aが設けられている。筒部632aの内周面の雌ねじはロックボルト本体2の外周面の雄ねじと同一の形状、大きさ、ピッチになっている。筒部632aの先端部には環状の段差の嵌合凹部633aが設けられ、環状シール材64aが嵌合されている。環状シール材64aは、定着材注入治具6aの治具本体に内装され、軸方向に貫通する環状シール材に相当する。連結キャップ63aの筒部632aの雄ねじは係合具62の後端部の雌ねじ622に螺着されて、環状シール材64aが嵌合された連結キャップ63aが係合具62に固定される。また、フランジ631aの後側には外周面に雄ねじが形成された雄ねじ部634aが設けられており、雄ねじ部634aには中空部635aが設けられている。雄ねじ部634aの外周面の雄ねじはロックボルト本体2の外周面の雄ねじと同一の形状、大きさ、ピッチになっている。
注入パイプ65は、連結キャップ63aの中空部635a、筒部632a、環状シール材64a、係合具62に取り付けられたケーシングアダプタ61の内部を挿通するように設けられ、フランジ651が連結キャップ63aの雄ねじ部634aの後端面に当接するようにして配置される。
定着材注入治具6aにおけるケーシングアダプタ61の雄ねじ612は自穿孔ロックボルト1の外管4の後端部の雌ねじ41に螺着されて、定着材注入治具6aが外管4に固定される。ケーシングアダプタ61の雄ねじ612は、定着材注入治具6aの治具本体の先端部に設けられ、外管4の後端部に固定される第1の連結固定部に相当する。
そして、自穿孔ロックボルト1の打設及び削孔水供給時には、ロックボルト本体2の後端部の外周面の雄ねじが連結キャップ63aの筒部632aの内周面の雌ねじに螺着されると共に、注入パイプ65の先端部がロックボルト本体2の中空部21に内挿され、注入パイプ65を介して削孔水Wをロックボルト本体2の中空部21に供給可能な状態とされる。また、定着材供給時には、ロックボルト本体2の後端部の外周面の雄ねじと連結キャップ63aの筒部632aの内周面の雌ねじとの螺着が解除されると共に、注入パイプ65の先端部がロックボルト本体2の中空部21に内挿され、注入パイプ65を介して定着材Fをロックボルト本体2の中空部21に供給可能で且つ外管4の引抜可能な状態とされる。
また、定着材注入治具6aにおける連結キャップ63aの後端部の雄ねじ部634aは、上記実施形態の雄ねじ部634と同様に、ウォータースイベル13の削孔水供給路131と連通する雌ねじ部132に注入パイプ65のフランジ651を挟んだ状態で螺着され、定着材注入治具6aがウォータースイベル13に固定される。連結キャップ63aの後端部の雄ねじ部634aは、定着材注入治具6aの治具本体の後端部に設けられ、削孔機10の削孔水供給部に固定される第2の連結固定部に相当する。この連結して固定された状態において、注入パイプ65の後端部は、削孔水供給部に相当するウォータースイベル13の削孔水供給路131に流路接続される。
定着材注入治具6aを用いてロックボルト構造を構築する際には、定着材注入治具6aをウォータースイベル13に固定し、更に、ケーシングアダプタ61の雄ねじ612を自穿孔ロックボルト1の外管4の後端部の雌ねじ41に螺着し、ロックボルト本体2の雄ねじを連結キャップ63aの筒部632aの内周面の雌ねじに螺着すると共に、注入パイプ65の先端部をロックボルト本体2の中空部21に内挿するようにして、定着材注入治具6aを介して自穿孔ロックボルト1を削孔機10に設置する。即ち、定着材注入治具6aで削孔機10の削孔水供給路131とロックボルト本体2の中空部21を流路接続し、且つ定着材注入治具6aを介して削孔機10の削孔水供給部に相当するウォータースイベル13と外管4を連結する。
その後、定着材注入治具6aで流路接続された削孔水供給路131とロックボルト1の中空部21を通して供給される削孔水Wをビット3の吐出孔31から吐出させながらビット3で削孔して自穿孔ロックボルト1を打設する。自穿孔ロックボルト1の打設完了の後、ロックボルト本体2の雄ねじと連結キャップ63aの筒部632aの内周面の雌ねじとの螺着を解除し、削孔水供給路131とロックボルト本体2の中空部21を通して定着材Fを注入し、定着材Fをビット3の吐出孔31から吐出させると共に、削孔機10の削孔水供給部に相当するウォータースイベル13を後退させて地山100に打設された外管4を引き抜く工程を行う。この際、削孔口103からの定着材Fのリターンとエア抜き孔613からの定着材Fのリターンの確認によって定着材Fの充填を確認する。その後は、上記実施形態と同様の工程を行ってロックボルト構造が構築される(図1〜図5参照)。
この変形例によれば、上記実施形態と対応する構成から対応する効果が得られると共に、定着材注入治具6aを設置した状態のまま、自穿孔ロックボルト1の打設工程、定着材Fの注入と外管4の引抜の工程を行うことができ、これらの工程を通じて段取り替えを最小限にし、ロックボルト構造の施工効率を非常に高めることができる。
本発明は、中空のロックボルト本体の先端にビット、外側に外管が配置される二重管式の自穿孔ロックボルトでロックボルト構造を構築する際に利用することができる。
1…自穿孔ロックボルト 2…ロックボルト本体 21…中空部 3…ビット 31…吐出孔 32…雌ねじ穴 33…パッキン 4…外管 41…雌ねじ 5…ズレ止め部材 51…固定ナット 52…固定キャップ 53…パッキン 6、6a…定着材注入治具 61…ケーシングアダプタ 611…周壁 612…雄ねじ 613…エア抜き孔 614…係合突起 62…係合具 621…周壁 622…雌ねじ 623…係合孔 6231…隘路 6232…側部 63…連結キャップ 631…フランジ 632…雄ねじ部 633…中空部 634…雄ねじ部 635…中空部 63a…連結キャップ 631a…フランジ 632a…筒部 633a…嵌合凹部 634a…雄ねじ部 635a…中空部 64、64a…環状シール材 65…注入パイプ 651…フランジ 10…削孔機 11…ガイドセル 12…ドリフター 13…ウォータースイベル 131…削孔水供給路 132…雌ねじ部 14…保持部 15…定着材注入ホース 100…地山 101…孔 102…孔壁 103…削孔口 104…定着材流路 W…削孔水 R…削孔ズリ S…隙間 F…定着材

Claims (7)

  1. 中空部を有するロックボルト本体の先端にビットが設けられ、前記ロックボルト本体の外側に外管が周設される自穿孔ロックボルトを地山に打設してロックボルト構造を構築するロックボルト構造の構築方法であって、
    定着材注入治具で削孔機の削孔水供給路と前記ロックボルト本体の前記中空部を流路接続し、且つ前記定着材注入治具を介して前記削孔機の削孔水供給部と前記外管を連結する第1工程と、
    前記削孔水供給路と前記中空部を通して定着材を注入し、前記定着材を前記ビットの吐出孔から吐出させると共に、前記削孔機の前記削孔水供給部を後退させて地山に打設された前記外管を引き抜く第2工程
    を備えることを特徴とするロックボルト構造の構築方法。
  2. 前記第2工程において、前記ビットの吐出孔から吐出させた前記定着材を前記外管の外側に充填して削孔口からのリターンの確認後に、前記外管を後退させて前記ビットと前記外管の先端との間に定着材流路を形成し、前記ビットの吐出孔から吐出させた前記定着材を前記定着材流路を介して前記外管の内部に注入し、前記定着材注入治具のエア抜き孔からの前記外管の内部に注入された前記定着材のリターンにより前記定着材の充填を確認することを特徴とする請求項1記載のロックボルト構造の構築方法。
  3. 前記第1工程の前に、前記ロックボルト本体の後部に着脱自在なズレ止め部材で前記外管を固定した状態で、前記削孔水供給路と前記中空部を通して供給される削孔水を前記ビットの吐出孔から吐出させながら前記ビットで削孔して前記自穿孔ロックボルトを打設する打設工程を行い、
    前記第1工程において、前記ズレ止め部材を前記定着材注入治具に取り替えることを特徴とする請求項1又は2記載のロックボルト構造の構築方法。
  4. 前記第1工程と前記第2工程との間に、前記定着材注入治具で流路接続された前記削孔水供給路と前記中空部を通して供給される削孔水を前記ビットの吐出孔から吐出させながら前記ビットで削孔して前記自穿孔ロックボルトを打設する打設工程を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のロックボルト構造の構築方法。
  5. 中空部を有するロックボルト本体の先端にビットが設けられ、前記ロックボルト本体の外側に外管が周設される自穿孔ロックボルトの前記ロックボルト本体が地山に打設され、前記ロックボルト本体の周囲に定着材が充填されるロックボルト構造の構築に用いられる定着材注入治具であって、
    軸方向に延びる中空部を有する治具本体と、
    前記治具本体の先端部に設けられ、前記外管の後端部に固定される第1の連結固定部と、
    前記治具本体の後端部に設けられ、削孔機の削孔水供給部に固定される第2の連結固定部と、
    前記治具本体に内装され、軸方向に貫通する環状シール材
    を備えることを特徴とする定着材注入治具。
  6. 前記治具本体の前記環状シール材よりも先端部側の周壁にエア抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項5記載の定着材注入治具。
  7. 後端部が前記削孔水供給部の削孔水供給路に流路接続され、先端部が前記ロックボルト本体の前記中空部に内挿される注入パイプを備えることを特徴とする請求項5又は6記載の定着材注入治具。
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