JP3138487U - 掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナーおよびそれを装着した掘削ドリル - Google Patents

掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナーおよびそれを装着した掘削ドリル Download PDF

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Abstract

【目的】引き揚げられたアウタードリルに脱落防止具の破片等の異物が残らず、再使用のための付着土除去や洗浄などの保守作業の軽減が図られるサステイナーとすること。
【解決手段】掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナー21は、先端が板ばね的弾発力によってアウタードリル1のテーパホール6の反切羽側開口よりも拡径した内壁8への接触を持続するとともに拡径により生じた段差部9に係止されるプレートフィン22を備える。プレートフィンは高圧水・圧縮エア供給時には破損しないが、補強筋でインナードリル2を叩き落とすときには破損されるものである。プレートフィンと一体をなすボディ23はインナードリル2の反切羽側に形成しておいた小径円筒状部11に外嵌すべく弾発的に縮径し、プレートフィンの基部22aから切羽側へ延びた略C形断面をなし、インナードリル2に設けられたフランジ14に当接部24を当て、抜け止め作用する。
【選択図】図1

Description

本考案は掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナーおよびそれを装着した掘削ドリルに係り、詳しくは、傾斜した地山に多数の深い削孔を形成し、それぞれに鉄筋を配してグラウトの凝固で地盤に固定するようにした地山崩落防止の補強分野で使用されるもので、特に、その削孔の際に使用されるアウタードリルとインナードリルからなる掘削ドリルにおけるインナードリルの脱落防止用サステイナーと、それを備えた掘削ドリルに関するものである。
傾斜地を補強する工法はいろいろ存在するが、地山の地盤を強化する補強は地山表面の崩落を防止するための補強とは異なり、地山に深い孔を多数形成して補強筋を埋設し、これをグラウトの固化により定着させるなどのために掘削機械を導入した規模の大きい工事となることが多い。地山に例えば6メートルの補強筋を埋設しようとすれば、それに見あった深さまでドリルで掘り進まなければならず、スクリューコンベア式の排土が不可能な工事の場合には、そのための工夫が余儀なくされる。
掘削ドリルにより深孔を形成し補強筋を建て込んでのちグラウトを注入する工法の一つが、特開2003−106100に開示されている。その工事に使用される機械装置の詳細は当該公報に記載されているので説明を省くが、地山を削孔するにあたっては回転させながら軸力や打撃力が及ぼされる掘削ドリルの一例を、図8ないし図10をもとにしてその構造と工事の概略を説明する。
図8の(a)に示したように、掘削ドリル51はビットホルダ52とドリルシャンク53からなり、ビットホルダ52の切羽54に臨む側にはカッタビット7が幾つか取りつけられ、ビットホルダ52よりは小径のドリルシャンク53の周面にはスパイラル溝53aが与えられる。このドリルシャンク53にはドリルロッド26が螺着され、掘り進むごとに地表ではドリルロッドが継ぎ足される。このドリルロッド26は、地上の駆動装置による回転や軸力、打撃力を掘削ドリル51に伝達するものである。
カッタビット7の回転により形成されるカッティングディスクの実質的な直径はドリルロッド26の外径よりも大きいため、掘削ドリル51の前進によってドリルロッド26と削孔壁55との間に空隙16が形成される。しかし、カッタビット7によって粉状となった掘削土は空隙16に沿って地表まで自然排土されるわけでない。
掘削は途中で一旦停止されかつ掘削ドリル51が適宜量後退されると、地上からドリルロッド26内に高圧水が供給され、それがドリルシャンク53を経てビットホルダ52に到り、図8の(b)のC−C線矢視断面を示す(c)に表されたごとくの略放射状に延びる壁孔15などから噴出される。掘削土はスライムと化し、高圧水と同時もしくは爾後的に供給された圧縮エアにより空隙16をたどって地表に排泥される。スライムが除去されれば、掘削ドリル51を後退前の位置へ戻して従前と同じ動作が繰り返される。
所定深さの削孔がなされれば、図9の(a)に示したように地上から補強筋17が挿入される。このままでは、掘削ドリル51を孔底に残さざるを得なくなるので、(b)にあるようにロストビットとすることができるインナードリル51Aをアウタードリル51Bの後述するテーパホール6に嵌着させた掘削ドリルが使用される。それゆえ、補強筋17でインナードリル51Aの背後を叩いて脱落させれば、補強筋の先端をアウタードリル51Bから下方へ出すことができ、またアウタードリルはドリルロッド26(図8を参照)を介して引き揚げ、回収することもできる。
アウタードリル51Bを少し後退(上昇)させ、グラウトホース(図示せず)をドリルロッドからアウタードリルの中に配し、テーパホール6から出た補強筋の周囲にグラウトを充填し、徐々にアウタードリル51Bを引き揚げてグラウト充填面を上昇させる。アウタードリルが地表に現れた時点では削孔に補強筋が納まり、それが削孔に充満されたグラウトの凝固により地盤と一体化される。このような操作によれば、掘削ドリルのうちインナードリルは失うものの、アウタードリルが回収されるので、経済的損失は生じるにしても、それをコスト面で補うに十分な工期の短縮が図られる。
ところで、アウタードリルはドリルシャンクを介してドリルロッドと一体にされるが、インナードリルは図9の(a)に示したように脱落させる必要があるので、(b)に示すように嵌め込み式とされる。すなわち、アウタードリル51Bの軸芯部には、切羽側から反切羽側に向かうにつれて縮径するテーパホール6が形成される。もちろん、これに相応してインナードリル51Aの外周の全部もしくは一部がテーパホール6と密着するコーン面57に形成される。
なお、インナードリル51Aには軸芯部を縦通する貫通孔58が形成され、スライムを生成させる高圧水やスライムを押し出す圧縮エアを切羽側に向けて流すことができるようにしている。一方、アウタードリル51Bには先に述べた壁孔15のほかに、貫通孔58から切羽側に出た高圧水や圧縮エアを空隙16に送るための図8(a)に示す溝59や、壁孔15から出た水やエアを空隙16へ案内する溝60が形成されている。
上記したインナードリル51Aは削孔中切羽に押しつけられるから、コーン面57がテーパホール6と密着した状態にあっては、ドリルロッド26からのいずれの力もアウタードリル51Bを介して伝達される。しかし、その密着が解かれるとすなわち緩むと、インナードリル51Aは所定速度での回転ができなくなり、掘削ドリルには機能しなくなる部分が生じる。また密着していた面が荒らされたり土が噛み込んたりすると地中での再密着は不可能となる。その一方で、図9の(a)に示したように叩き落とすことができるようになっていることも必要とされる。
前掲した特開2003−106100には、高圧水や圧縮エアを供給している間はインナードリルがアウタードリルから脱落するのを防止し、補強筋でインナードリルを叩き落としてロストビットとする際には折損させることができるようにした固定機構が開示されている。それは、図10に示すごとくのアウタードリル51Bからインナードリル51Aを横断するシェアピン61で実現される。
特開2003−106100
そのシェアピンは掘削時インナードリルをアウタードリルに固定しておくためのロックピンとして機能するが、補強筋によってインナードリルの背後を叩いたとき作用する剪断力により折損して、インナードリルをアウタードリルから離脱させた際にアウタードリル51Bのピン孔にシェアピンの折損片を残す。孔底に落とされるインナードリルに折損片が残っても問題ないが、再使用されるアウタードリルには、ピン孔から泥の絡んだ残留片を除去する面倒な作業が課せられることになる。
掘削ドリルを横断するピン孔は、インナードリルとアウタードリルとがテーパ嵌合であるゆえアライメントが維持されにくく、したがって、シェアピンを通しても、アウタードリルとインナードリルとの間での完全密着を達成できることは常に保証されるわけではない。密着面またはピン孔内でガタが残れば、アウタードリルからインナードリルに入る回転力、軸力、打撃力の繰り返しがシェアピンを疲労させ、所望外の時点で折損させかねない。
本考案は上記した問題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、引き揚げたアウタードリルに脱落防止具の破片等の異物が残らず、再使用のための付着土除去や洗浄などの保守作業の軽減が図られること、脱落防止具がインナードリルのアウタードリルに対する密着性に影響を与えず、またインナードリルのアウタードリルへの嵌着操作が脱落防止具の装着性を損なわせないようにしておくことを実現する掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナーおよびそれを装着した掘削ドリルを提供することである。
本考案は、地山に補強筋を挿入しグラウトを注入して固化させるための削孔を形成する掘削ドリルが、アウタードリルとその軸芯部に設けたテーパホールに切羽側から嵌着されるインナードリルとからなり、高圧水による掘削土のスライム化と圧縮エアによる排泥の際にはインナードリルの脱落を防止し、補強筋の挿入とグラウト注入の際には、それに先立ちインナードリルを孔底に捨てるべく補強筋でインナードリルを叩いてアウタードリルとの一体性を解くサステイナーに適用される。その特徴とするところは図1を参照して、切羽側に向って開脚し、先端が板ばね的弾発力によってアウタードリル1のテーパホール6の反切羽側開口よりも拡径した円筒状内壁8への接触を持続するとともに、拡径により生じた段差部9もしくは反切羽側開口よりもさらに反切羽側に設けられた段差部に係止され、高圧水・圧縮エア供給時には破損しないが、補強筋でインナードリル2を叩き落とすときには破損する複数のプレートフィン22を備える。そして、そのプレートフィンと一体をなすボディ23はインナードリル2の反切羽側に形成しておいた小径円筒状部11に外嵌すべく弾発的に縮径し、プレートフィン22の基部22aから切羽側または反切羽側へ延びた略C形断面をなし、そのボディ23の反切羽側端が円筒状部11の反切羽側に設けられたフランジ14との当接部24を形成して円筒状部から抜け止めされていることである。
図7(a)を参照して、プレートフィン22Cと一体をなすボディ23Cには、インナードリルの反切羽側の端面に固定するためのビス止め座面30が形成され、このボディの軸芯部にはインナードリルの貫通孔12Cに向かう高圧水や圧縮エアの流通を可能にする空間31や透孔32(図7(b)を参照)が確保されたものとしておいてもよい。掘削ドリルには上記したいずれかのサステイナーを装着しておくとよい。
本考案によれば、板ばね的弾発力を有した複数のプレートフィンが切羽側に向って開脚し、プレートフィンと一体となったボディを介してインナードリルの反切羽側に取りつけられるようにしているので、インナードリルを切羽側からアウタードリルに嵌着させるときにはテーパホールの内壁面がプレートフィンの開脚度合いを狭めて通過させ、プレートフィンがテーパホールの背後へ抜け出るとその先端がテーパホールの反切羽側開口よりも拡径した円筒状内壁への接触を持続する。プレートフィンは高圧水や圧縮エアの通過によって変形や破損するものでないから、その先端を段差部に押しつけた状態にして、インナードリルのアウタードリルからの脱落が防止される。
一方、プレートフィンは段差部に係止された状態にあるから、補強筋でインナードリルを強く叩けば簡単に変形もしくは破損し、インナードリルをアウタードリルから脱落させてロストビットとして孔底に捨てることができる。その際にアウタードリルにはプレートフィンの破損片が残ることはなく、泥土を洗い流す程度でアウタードリルは再使用できるようになる。新しいインナードリルにサステイナーを予め取りつけておけば、アウタードリルの新旧の別なく嵌着操作も同じ要領でよく、インナードリルのテーパホールへの嵌着深さに僅かな違いがあってもサステイナーの装着性は阻害されることがない。また、サステイナーの装着がインナードリルとアウタードリルとの嵌着性に影響を及ぼすこともないので、テーパホールでの完全な密着が常に保たれる。これによって、サステイナーに大きな荷重負担を強いることもない。
サステイナーのボディはインナードリルの反切羽側に形成しておいた小径円筒状部に外嵌すべく、弾発的に縮径可能でプレートフィンの基部から切羽側または反切羽側へ延びた略C形断面としているので、輪開部を弾発力に抗して拡大させれば、インナードリルへの取りつけ取り外しも容易にできる。このボディの反切羽側端は円筒状部の反切羽側に設けられたフランジとの当接部を形成しているので、ボディの円筒状部からの抜けは防止される。それゆえ、サステイナーのインナードリルへの装着状態はプレートフィンが破壊されたり変形されないかぎり維持される。また、ドリルシャンクをボディよりも長くしておけばボディが円筒状部上で変位可能となり、テーパホールでの嵌着深さに多少の差が生じても、プレートフィンの段差部での係止を常時可能にしておくことができる。
サステイナーは複数のプレートフィンを備えるが、これが切羽側に延伸させた開脚状態となっているので、プレートフィンがアウタードリルのいずれかの壁孔と重なる位置に配置されることがあっても、高圧水や圧縮エアの流れは阻害されず、却ってプレートフィンによって滑らかな流れが助成されるようになる。
ボディをインナードリルの反切羽側に固定するビス止め座面が形成されていれば、サステイナーの固定が確実となり、ボディ自体の剛性は高くすることを要しなくなる。インナードリルをアウタードリルに嵌着させた後であっても、ドリルロッドが接続されていなければ、アウタードリルの背後からビスを外してサステイナーをインナードリルから分離すれば、プレートフィンを傷めることなくサステイナーをアウタードリルの背後から取り出すことができる。
上記したサステイナーを掘削ドリルに備えさせておけば、インナードリルのロストビット化を図って工事の進捗性を高め、またアウタードリルの再使用時のメンテナンス処理も軽減されたドリルとなる。
以下に、本考案に係る掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナーおよびそれを装着した掘削ドリルを、添付図面をもとにして詳細に説明する。図1の(a)は、アウタードリル1とインナードリル2からなる掘削ドリル3の主要部の断面図を示す。この掘削ドリルは、言うまでもなく、地山補強筋の挿入とそれを固定するためのグラウトを注入することができる削孔を形成するものである。
背景技術の項でも述べたが、アウタードリル1はビットホルダ4とドリルシャンク5からなる。ビットホルダ4の軸芯部には、切羽側から反切羽側に向かうにつれて縮径したテーパホール6が形成される。このテーパホールの切羽側開口面の外周部には、幾つかのカッタビット7が備えられる。そのうち最外周に位置するものは、その回転軌跡がビットホルダ4やドリルロッド(図8(a)中の符号26を参照)の外径よりも大きくなるような取りつけ方となっている。
テーパホール6の反切羽側には円筒状の内壁8が形成され、ビットホルダ4からドリルシャンク5に跨がっている。この掘削ドリル3の内部空間は、補強筋やグラウトホースを通過させることができる。その内壁8はテーパホール6の反切羽側開口よりも少し拡径して形成されており、その境界部分には輪状の段差部9が形成されている。
インナードリル2は図1の(b)に示すようなもので、テーパホールに切羽側から嵌着されるビットホルダ10と、その反切羽側に形成されビットホルダよりも小径の円筒状部(ドリルシャンク)11とからなる。このインナードリル2の軸芯部にはそこを縦通する貫通孔12が形成され、後述する高圧水や圧縮エアの切羽側への流通を可能にしている。ビットホルダ10の貫通孔12の切羽側開口面の外周部にはカッタビット13が備えられる一方、ドリルシャンク11の反切羽側端には後述するサステイナーのボディ抜け止め用のフランジ14が形成されている。
このような掘削ドリル3においても、図8ないし図10で説明したごとく、前進中に背後で順次継ぎ足されるドリルロッドを介して削孔途中一時的に後退される。貫通孔12ならびにアウタードリル1に設けられた略放射状に延びる壁孔15(図1(a)および図8(c)を参照)からは、高圧水と圧縮エアが同時もしくは時間的ずれをもたせて噴出される。高圧水は掘削ドリル3が後退した後の切羽側空間でスライム(泥土)を生成させ、圧縮エアはアウタードリル1の外面と孔壁との間の空隙16(図8(a)を参照)を通してスライムを地上へ排送する。
削孔完了後は図9の(a)と同様に補強筋の挿入とグラウト注入に先立ちインナードリル2の背後を補強筋17の先端で叩いて孔底に捨てる。アウタードリル1を経て孔底側に出た部位の補強筋の周囲に、テーパホール6を通過して注入されたグラウトを充填して固化させる。そのアウタードリル1はドリルロッドを介してグラウト注入中に徐々に地上に引き揚げられ、回収した後再び使用される点についても、背景技術の記載と変わるところがない。
このような掘削ドリル3には、本発明に係る図1の(c)に示すようなサステイナー21が使用される。これは、高圧水や圧縮エアを供給している間はインナードリル2がアウタードリル1から脱落するのを防止し、かつ補強筋でインナードリルを叩き落としてロストビットとする際には変形もしくは破損されるようにしたものである。これは、切羽側に向って開脚する複数のプレートフィン22と、プレートフィンと一体をなしプレートフィンの基部22aから切羽側へ延びた略C形断面のボディ23とからなる。
プレートフィン22は放射状に配置され、その先端は、図1の(a)のごとく板ばね的弾発力によってアウタードリル1の円筒状内壁8への接触を持続するとともに、段差部9に係止されるものである。したがって、自由状態ではプレートフィン22の先端の包絡円は内壁8よりも大きい直径を呈するものとされている。図1の(c)に戻って、ボディ23には輪開部21aが設けられ、(b)に示すインナードリル2のドリルシャンク11に外嵌すべく弾発的に縮径可能となっている。すなわち、自由状態ではドリルシャンクの外形よりも小さな円筒をなす。したがって、輪開部21aを弾発力に抗して拡大させれば、インナードリルの取りつけ取り外しは極めて容易となる。これは金属板からプレス加工するなどして製作すればよいが、素材としてばね鋼を使用しておくと、プレートフィン22もボディ23もアウタードリル1やインナードリル2に対する密着性が高いものとなる。
プレートフィン22は、高圧水・圧縮エアの供給時には破損しないが、補強筋でインナードリルを叩くと変形するなどして破損させることにより、アウタードリル1とインナードリル2との一体性を解いて落とすことができるようにするためのものである。したがって、その機能が発揮されるかぎりは上記したごとくの金属製にかぎらずプラスチック成形品としてもよい。ボディ23はプレートフィン22を切羽側に延伸させた状態に保たせるものであるが、その反切羽側端がドリルシャンク11の端に形成されたフランジ14に当たる(c)に示した当接部24を持ち、これによって抜けが防止される。この例では、ボディ23から折り返されたかたちとなっているプレートフィン22の基部22aがそれにあたる。
このようなサステイナー21は、以下のようにして掘削ドリルに取りつけられ、また破損される。図2の(a)に示すサステイナー21には(b)に描かれたプライヤー25が掛けられ、握ると輪開部21aの縁部に形成した凹み23aで横滑りが防止されて、弾発力により縮径傾向にあるボディ23の径が拡げられる。(c)のフランジ14を越える程度に輪開部21aを拡げれば、簡単にドリルシャンク11をとり巻いて密着させることができる。(d)のようにインナードリル2をアウタードリル1のテーパホール6に嵌めると、プレートフィン22の先端がテーパホールの壁に押さえられてプレートフィンの開脚度は小さくなる。インナードリル2がテーパホール6に完全に嵌め込まれると、二点鎖線で示したように、プレートフィン22はテーパホールから外れて開脚し、先端が内壁8に接触する。このとき先端は段差部9に係止される。
アウタードリル1のドリルシャンク5にドリルロッド26(図8の(a)を参照)を螺着させ、駆動装置に搭載して削孔に供される。ドリルロッドは回転されたり軸力や打撃力が及ぼされ、掘削ドリル3が切羽に押圧されている間はインナードリル2がアウタードリル1と一体性を維持し、テーパホール6における摩擦でインナードリルも回転される。ある程度掘り進むと掘削土を排出する必要があり、掘削ドリルは少し引き揚げられる。そして、高圧水を流して掘削土をスライム化し、圧縮エアにより排泥させる。このときサステイナー21には高圧水や圧縮エアの流勢を受けるが、プレートフィン22はそれに耐えるように設計されているので、サステイナーが変形したり破損することはない。図1の(a)のごとく、プレートフィン22が段差部9に押しつけられた状態にあること、ボディ23がフランジ14に当接していることから、インナードリル2はテーパホール6から落ちることがない。
再度掘削ドリル3は前進され、掘削と排泥が繰り返されて所望の深さの削孔が得られると、再び掘削ドリルは少し引き揚げられ、ドリルロッドから図3の(a)に示すドリルシャンク5に通された補強筋17によってインナードリル2の背後すなわちドリルシャンク11の反切羽側の端面が叩かれる。サステイナー21が金属性であれば、図3の(b)ないし(d)ように座屈しつつ最後には逆反りし、プラスチック製であれば(e)のようにプレートフィン22を折損させるなどして段差部9での係止が解除される。いずれにしてもサステイナー21はロストビットとなるインナードリル2とともに、テーパホール6から切羽側に捨てられる。
ドリルロッドを引き挙げて地上に回収されたアウタードリルにはプレートフィンの破損片が残ることはなく、泥土を洗い流す程度でアウタードリルを再使用できるようになる。新しいインナードリルにサステイナーを予め取りつけておけば、アウタードリルの新旧の別なく嵌着操作も同じ要領でよい。また、サステイナーの装着がインナードリルとアウタードリルとの嵌着性に影響を及ぼすこともないのでテーパホールでの密着が保たれる。これによって、サステイナーに大きな荷重負担を強いることもない。
次に、インナードリルのアウタードリルとの嵌着状態とプレートフィンの段差部への係止状態との関連について少し触れる。まず、図4の(a)を経て、インナードリル2がアウタードリル1に完全に嵌め込まれた状態で、(b)のようにプレートフィン22の先端がすでに段差部9より深く入るようになっていれば、サステイナー21の装着操作はワンタッチで済む。高圧水やアウタードリルを作用させた際にインナードリル2がテーパホール6の中で切羽側へ動くいたなら(c)のようにプレートフィン22の先端が段差部9に当接し、インナードリル2の抜けが阻止される。
ところで、インナードリル2がアウタードリル1に完全に嵌め込まれた状態で図5の(a)のようにプレートフィン22の先端がいまだ段差部9に達していない場合には、(b)のように、アウタードリル1のドリルシャンク5の開口からフック27を挿入するなどして、サステイナー21を反切羽側に変位させる。操作としてはこれを含めて2ステップが必要となるが、(a)に示すごとくインナードリル2のドリルシャンク11がボディ23の幅よりもΔLだけ長く与えられているかぎり、プレートフィン22の係止不完は免れる。なお、ボディ23が変位不可能であるか僅かである場合には、(c)のように各プレートフィン22を上記のごとくのフックで引いてアーチ状にするようにしてもよい。
上の例からも分かるように、ボディ23をドリルシャンク11上で軸方向に変位可能としておけば、すなわちドリルシャンク11のフランジ14を除いた部分がボディの幅よりも長くなっていると、テーパホール6での嵌着深さに多少の差が生じても、プレートフィン22の段差部9での係止を達成させることができる融通の効いた構造となる。サステイナー21の装着性も阻害されることはない。サステイナーは複数のプレートフィン22を備えるが、これが切羽側に延伸させた開脚状態となっているので、プレートフィンがアウタードリル1のいずれかの壁孔15と重なる位置に配置されることがあっても、高圧水や圧縮エアの流れを阻害せず、却ってプレートフィン22によって壁孔への滑らかな流れが助成される。
図6の(a)は、輪開部21aを部分的に拡幅させたサステイナー21Aの例である。ボディ23Aのプレートフィン寄りの変形を容易にすることによって、プレートフィン22Aの変形も助長させようとの意図による。(b)はボディ23Bがプレートフィン22Bの基部から反切羽側へ延ばされたサステイナー21Bの例である。この場合には、(c)に示すドリルシャンク11Bのフランジ14Bで抜けが防止される当接部24Bは、ボディ23Bの切り口23bとなる。なお、ドリルシャンク11Bには第二のフランジ28Bが設けられ、プレートフィン22Bの基部に第二フランジ28Bの反切羽側の面に当接する立ち上がり部29Bを形成しておけば、インナードリル2Bがテーパホール6に嵌着されるとき、サステイナー21Bも円滑に進入させることができる。
図7は、ボディにインナードリルの反切羽側の端面に固定するためのビス止め座面30が形成されたサステイナー21C,21Dの例である。(a)のボディ23Cの軸芯部にはインナードリル2Cの貫通孔12Cに向かう高圧水や圧縮エアの流通を可能にする空間31が確保され、(b)のボディ23Dの軸芯部には貫通孔12Dに一致する透孔32が形成されている。いずれも、プレートフィン22C,22Dを切羽側に延伸させた状態に保つ。前者は箱状の筒体33の反切羽側からプレートフィン22Cを開脚させるもので、ビス止め座面30Cは箱体33の切羽側に形成される。なお、筒体はインナードリル2Cの反切羽側の面に直接取りつけられる。後者ではボディ23Dが単なる円形板であり、これ自体がビス止め座面30Dとなっている。この場合、インナードリル2Dにはドリルシャンク11Dを形成しておき、その反切羽側の面に取りつけることになる。
ビス止め座面を備えたボディの場合、インナードリルに対する固定のための剛性は高く要求されなくて済む。インナードリルをアウタードリルに嵌着させた後であっても、ドリルロッドが接続されていない時点では、ドリルシャンク側からビス34を外せばステイナーをインナードリルから分離することができる。プレートフィンを傷めることなくサステイナーをアウタードリルの背後から取り出せ、その後にインナードリルの反切羽側を叩けば、インナードリルも無傷でアウタードリルから外すことができる。テーパホールにおけるインナードリルの嵌着深さに原因して、プレートフィンの先端を爾後的に切除して短くしたり、サステイナーを別のものに代えることができるようにもなる。
以上はサステイナーについて幾つかの例を述べたが、それを掘削ドリルに備えさせておけば、インナードリルのロストビット化を図った進捗性の高くなった工事が可能となる。また、アウタードリルの再使用前のメンテナンス処理も軽減された掘削ドリルとすることができる。この掘削ドリルのアウタードリルに形成される段差部は、今まで述べたいずれの例においても、テーパホールの反切羽側開口よりも拡径した円筒状内壁を形成する際に生じたものであるとして説明した。しかし、それに限らず、テーパホールの反切羽側開口よりもさらに反切羽側となる位置に形成した段差部であってもよい。要するに、プレートフィンの長さやボディの寸法に応じた位置となっていればよい。
本考案に係る掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナーおよびそれを装着した掘削ドリルの断面図および斜視図。 サステイナーのインナードリルに対する装着ならびにアウタードリルのテーパホールへの嵌着操作説明図。 プレートフィンの変形や破損の状況の説明図。 サステイナーのアウタードリル内における位置調整説明図。 サステイナーのアウタードリル内における位置調整の異なる説明図。 異なる形状をしたサステイナーの斜視図ならびにアウタードリルへの装着説明図。 さらに異なる例のサステイナーの斜視図。 本考案が適用される掘削ドリルにおけるアウタードリルの構造図。 アウタードリルとインナードリルとの嵌着説明図、ただし(a)は図8の(b)におけるA−A線相当部での断面図。 背景技術におけるインナードリルの固定要領説明図。
符号の説明
1…アウタードリル、2,2B,2C,2D…インナードリル、3…掘削ドリル、6…テーパホール、8…内壁、9…段差部、11,11B,11D…ドリルシャンク(円筒状部)、12,12C,12D…貫通孔、14,14B…フランジ、17…補強筋、21,21A,21B,21C,21D…サステイナー、22,22A,22B,22C,22D…プレートフィン、22a…基部、23,23A,23B,23C,23D…ボディ、24,24B…当接部、30,30C,30D…ビス止め座面、31…空間、32…透孔。

Claims (3)

  1. 地山に補強筋を挿入しグラウトを注入して固化させるための削孔を形成する掘削ドリルが、アウタードリルとその軸芯部に設けたテーパホールに切羽側から嵌着されるインナードリルとからなり、高圧水による掘削土のスライム化と圧縮エアによる排泥の際にはインナードリルの脱落を防止し、補強筋の挿入とグラウト注入の際には、それに先立ちインナードリルを孔底に捨てるべく補強筋でインナードリルを叩いてアウタードリルとの一体性を解くサステイナーにおいて、
    切羽側に向って開脚し、先端が板ばね的弾発力によってアウタードリルの前記テーパホールの反切羽側開口よりも拡径した円筒状内壁への接触を持続するとともに、拡径により生じた段差部もしくは反切羽側開口よりもさらに反切羽側に設けられた段差部に係止され、高圧水・圧縮エア供給時には破損しないが、補強筋でインナードリルを叩き落とすときには変形もしくは破損する複数のプレートフィンを備え、
    該プレートフィンと一体をなすボディはインナードリルの反切羽側に形成しておいた小径円筒状部に外嵌すべく弾発的に縮径し、プレートフィンの基部から切羽側または反切羽側へ延びた略C形断面をなし、該ボディの反切羽側端が前記円筒状部の反切羽側に設けられたフランジとの当接部を形成して円筒状部から抜け止めされていることを特徴とする掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナー。
  2. 前記プレートフィンと一体をなすボディは請求項1に記載されたボディに代えて、前記インナードリルの反切羽側の端面に固定するためのビス止め座面が形成されたボディとされ、このボディの軸芯部にはインナードリルの貫通孔に向かう高圧水や圧縮エアの流通を可能にする空間や透孔が確保されていることを特徴とする請求項1に記載された掘削ドリルのインナードリル脱落防止用サステイナー。
  3. 請求項1または請求項2に記載されたインナードリル脱落防止用サステイナーが装着されたことを特徴とする掘削ドリル。
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