JP3223266U - 削孔器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】穴に注入されるセメントミルク等の硬化剤の量を減らすことができる削孔器具を提供する。【解決手段】削孔器具は、掘削機に取付可能となっており、掘削機に取り付けられたときに当該掘削機により打撃力および回転力が与えられる中空の筒状部材(例えば、パイプロッド10)と、筒状部材に着脱自在に取り付けられ、先端側に複数の突起22が設けられているとともに後端部には棒状部材が取付可能となっている削孔ビット20とを備えており、削孔ビット20の直径の大きさは筒状部材の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっている。【選択図】図2
Description
本考案は、地盤の補強用のロックボルトや鉄筋を埋設するために地盤を削孔する際に用いられる削孔器具に関する。
軟弱地盤の補強のためにロックボルトや鉄筋を埋設する方法が広く用いられている。具体的には、地盤に所定の深さの穴を掘削し、この穴にロックボルトや鉄筋等を挿入した状態でセメントミルク等の固化剤を注入して固化することにより、軟弱地盤の補強を行うようになっている。
ここで、地盤に所定の深さの穴を掘削し、この穴にロックボルトや鉄筋等を挿入する際に、従来では二重管掘りといわれる方法が用いられていた。このような二重管掘りの方法では、厚肉の外管の先端部にリングビットを設け、先端部にパイロットビットを設けたパイプロッドを外管の内部に挿通して、これらのパイロットビットおよびリングビットを用いて地盤に穴を掘削していた。そして、所定の深さの穴が掘削されると、パイプロッドをパイロットビットとともに引き抜き、代わりにロックボルトを挿入してセメントミルクを注入し、外管をリングビットとともに抜き取っていた。
しかしながら、このような二重管掘りの方法では、穴の掘削速度が遅く、また、パイプの構造が複雑で高価なものとなり、しかも作業に時間がかかるという問題点があった。このような問題点を改良するものとして、特許文献1、2等に開示される技術が知られている。
特許文献1には、穿孔用ビット本体の中央部に通孔を設け、この通孔を開閉自在な蝶番式の蓋ビットで覆蓋して穿孔を行う方法が開示されている。穿孔に際しては、穿孔用ビットをパイプロッドの先端部に取付け、このパイプロッドに打撃と回転と推力を与えつつ所定の深さの穴を穿孔する。所定の深さの穴が穿孔されたら、パイプロッドを少し後退させ、当該パイプロッド内に挿入した鉄筋、ボルト等で蓋ビットを前方へ押し開いて、該鉄筋等を突出させた状態として、パイプロッドを穿孔用ビットとともに抜き取り、鉄筋等を穴内に残留させる。このような特許文献1に開示される発明は、開閉式の穿孔用ビットを用いることにより、鉄筋等を穴内に残留させたまま穿孔用ビットをパイプロッドとともに抜き取って回収できるので、経済的であり、穿孔も能率よく行うことができる。しかしながら、蝶番式の蓋ビットを備えた穿孔用ビットは、構造的に複雑となりがちで、強度的な問題が生じるおそれがあると考えられる。
また、特許文献2には、中空構造で固化材との結合性を良くした外面を有する削孔ロッドの先端部に、外管の外径よりも若干大きい径を有するロストビットを螺着して所定の深さの孔を削孔し、その後、削孔ロッドの内孔を通して供給した固化材を削孔ロッドの排出口から排出して穴内に充填するとともに、ロストビットと削孔ロッドを穴内に残留させた状態で外管を引き抜く方法が開示されている。しかしながら、このような特許文献2に開示される発明は、ロストビットを装着した削孔ロッドと外管とで同時に削孔したのち、ロストビットをそのまま削孔ロッドに装着した状態で穴内に残留させるので、不経済であるという問題点がある。
これに対し、特許文献3には、二重管式の工法で効率よく鉄筋等を埋設することができ、穿孔用ビットは一部を除いて本体を回収できるようにすることができるような穿孔用ビットが開示されている。特許文献3に開示される穿孔用ビットは、ビット本体の先端中央部にロストビットを取り付けることのできる取付部が設けられており、当該取付部にロストビットを取り付けるとともに、ビット本体を外管であるパイプロッドに取り付けることにより、能率よく穿孔を行うことができるようになっている。
特許文献3に開示される穿孔用ビットでは、ロストビットが取り付けられるビット本体(アウタービット)の直径の大きさがパイプロッドの直径よりも十分に大きいため、穿孔される穴の直径が比較的大きくなってしまう。これに対し、取り扱いが容易でありかつ穿孔される穴の直径ができるだけ小さくなるような削孔器具が求められている。具体的には、特許文献3に開示される穿孔用ビットにおいてパイプロッドの直径の大きさを例えば60.5mm以下にすることが望まれている。しかしながら、このような穿孔用ビットにおいてパイプロッドの直径の大きさが60.5mm以下であるときに、埋設されるべき鉄筋の最外径の大きさが例えば25mmである場合には、強度を確保するためにロストビットの直径を45mm〜50mmよりも大きくしなければならず、このときには特許文献3に開示される穿孔用ビットにおいてビット本体(アウタービット)の製作が構造上困難であるという問題があった。
本考案は、このような点を考慮してなされたものであり、削孔を行った後に削孔ビットの後端部に棒状部材を取り付けてこの削孔ビットから筒状部材を取り外すだけでよいため取り扱いが容易となり、かつ、掘削される穴の直径をできるだけ小さくすることができ、よって穴に注入されるセメントミルク等の硬化剤の量を減らすことができる削孔器具を提供することを目的とする。
本考案の削孔器具は、掘削機に取付可能となっており、前記掘削機に取り付けられたときに当該掘削機により打撃力および回転力が与えられる中空の筒状部材と、前記筒状部材に着脱自在に取り付けられ、先端側に複数の突起が設けられているとともに後端部には棒状部材が取付可能となっている削孔ビットと、を備え、前記削孔ビットの直径の大きさは前記筒状部材の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっていることを特徴とする。
このような削孔器具によれば、削孔ビットの先端側に複数の突起が設けられているとともに後端部に棒状部材が取付可能となっているため、削孔を行った後に穴の最深部に残される削孔ビットの後端部に棒状部材を取り付けた後、この削孔ビットから筒状部材を取り外すだけでよいため取り扱いが容易となり、かつ、削孔ビットの直径の大きさが筒状部材の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっているため、掘削される穴の直径の大きさを筒状部材の直径の大きさと略同一とすることができ、よって削孔ビットの直径の大きさが筒状部材の直径よりも十分に大きい場合と比較して掘削される穴の直径をできるだけ小さくすることができる。より詳細には、筒状部材の直径の大きさを60.5mm以下とすることができ、このため掘削される穴の直径も比較的小さくすることができる。このように、掘削される穴の直径が小さくなると、この穴に注入されるセメントミルク等の硬化剤の量を減らすことができる。また、特許第5256385号に開示される穿孔用ビットではパイプロッドの直径の大きさが60.5mm以下であるときに埋設されるべき鉄筋の直径の大きさによってはビット本体(アウタービット)の製作が構造上困難になる場合があるが、本考案による削孔器具では削孔ビットを筒状部材に直接取り付けることによりビット本体(アウタービット)を設ける必要がないため、埋設されるべき鉄筋の直径の大きさにかかわらず筒状部材の直径の大きさを60.5mm以下とすることができる。なお、削孔ビットの直径の大きさが筒状部材の直径の0.9倍乃至1.05倍の範囲内の大きさとなっていることがより好ましく、削孔ビットの直径の大きさが筒状部材の直径の0.95倍乃至1.05倍の範囲内の大きさとなっていることが更に好ましい。これらの場合には、筒状部材の直径に対する削孔ビットの直径がより小さくなるため、掘削される穴の直径を更に小さくすることができる。
本考案の削孔器具においては、前記削孔ビットの前記後端部には、棒状部材の先端に設けられた雄ネジ部分が着脱自在に螺合される雌ネジ部分が設けられていてもよい。
本考案の削孔器具においては、前記筒状部材の先端には被取付部が設けられており、前記削孔ビットの後端には前記被取付部に係合可能な取付部が設けられていてもよい。
本考案の削孔器具においては、前記筒状部材の直径の大きさが60.5mm以下であってもよい。
本考案の削孔器具においては、互いに接続された2つの前記筒状部材を係合状態でロックするロック部が設けられていてもよい。
本考案の削孔器具によれば、削孔を行った後に削孔ビットの後端部に棒状部材を取り付けてこの削孔ビットから筒状部材を取り外すだけでよいため取り扱いが容易となり、かつ、掘削される穴の直径をできるだけ小さくすることができ、よって穴に注入されるセメントミルク等の硬化剤の量を減らすことができる。
以下、図面を参照して本考案の実施の形態について説明する。図1乃至図10は、本実施の形態に係る削孔器具およびこのような削孔器具を用いた削孔方法を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による削孔器具の構成を示す側面図であり、図2は、図1に示す削孔器具の縦断面図である。また、図3は、図1に示す削孔器具における削孔ビットの正面図であり、図4は、図3に示す削孔ビットの側面図であり、図5は、図3に示す削孔ビットのA−O−Aライン矢視による縦断面図である。また、図6は、図3に示す削孔ビットの後端部を示す背面図であり、図7は、図3に示す削孔ビットの後端部に鉄筋等の棒状部材の雄ネジ部分が取り付けられたときの状態を示す縦断面図である。また、図8は、図1に示す削孔器具においてパイプロッド同士を接続する前の状態を示す斜視図であり、図9は、図1に示す削孔器具においてパイプロッド同士を接続した後の状態を示す斜視図である。また、図10(a)〜図10(e)は、図1に示す削孔器具を用いた削孔方法を順に示す縦断面図である。
図1や図2等に示すように、本実施の形態による削孔器具は、中空の筒状部材であるパイプロッド10と、このパイプロッド10の先端(具体的には、図1や図2における左側の端部)に着脱自在に取り付けられ、先端側に複数の刃体等の突起22が設けられている削孔ビット20とを備えている。ここで、パイプロッド10の後端(具体的には、図1における右側の端部)はアダプター40を介して掘削機(図示せず)に取付可能となっており、パイプロッド10がアダプター40を介して掘削機に取り付けられたときに当該掘削機により打撃力および回転力がパイプロッド10に与えられるようになっている。このような削孔器具の各構成部材の詳細について以下に説明する。
上述したように、パイプロッド10は中空の筒状部材からなり、このパイプロッド10の先端側の内周面には雌ネジ部分等の被取付部18が形成されており、この被取付部18には、後述する削孔ビット20の後端側に設けられた雄ネジ部分等の取付部28が着脱自在に取り付けられるようになっている。また、パイプロッド10の後端側の外周面には雄ネジ部分等の取付部16が形成されており、この取付部16は、掘削機に取り付けられたアダプター40の先端側に設けられた雌ネジ部分等の被取付部46に着脱自在に取付可能となっている。ここで、パイプロッド10がアダプター40を介して掘削機に取り付けられると、当該掘削機により打撃力および回転力がパイプロッド10に与えられるとともに、このパイプロッド10の中空部分に高圧エアもしくは高圧エアおよび水が掘削機からアダプター40を介して供給され、この供給された高圧エアもしくは高圧エアおよび水は当該パイプロッド10の先端に取り付けられた削孔ビット20の吐出孔26(後述)から吐出されるようになっている。また、本実施の形態による削孔器具により掘削される穴が深く、複数のパイプロッド10を直列につなげる場合には、図8および図9に示すように、あるパイプロッド10の一端側に設けられた取付部16を、他のパイプロッド10の他端側に設けられた被取付部18に取り付けることができるようになっている。なお、図8は、図1に示す削孔器具においてパイプロッド10同士を接続する前の状態を示す斜視図であり、図9は、図1に示す削孔器具においてパイプロッド10同士を接続した後の状態を示す斜視図である。また、パイプロッド10の外周面における被取付部18の近傍には、パイプロッド10同士が接続されたときにこれらのパイプロッド10を棒状のロックピン50により係合状態でロックするための2つのロック穴19が形成されている。パイプロッド10同士を接続した後に各ロック穴19にロックピン50を通すことにより、一方のパイプロッド10に対して他方のパイプロッド10が回転してしまうことを防止することができるようになる。本実施の形態では、これらのロック穴19およびロックピン50により、互いに接続された2つのパイプロッド10を係合状態でロックするロック部が構成されている。
図2等に示すように、削孔ビット20はその後端面が開口するような中空形状のものとなっており、この削孔ビット20の後端側の外周面には、パイプロッド10の先端側に設けられた雌ネジ部分等の被取付部18に着脱自在に取付可能な雄ネジ部分等の取付部28が設けられている。また、図3および図4に示すように、削孔ビット20の側面には6つの削孔粉粒(切削屑)の排出溝24が設けられている。図3に示すように、各排出溝24は円弧形状となっている。
また、削孔ビット20の先端面20aには、例えば超硬チップから形成される刃体等の突起22が複数設けられている。より詳細には、削孔ビット20の周縁部の近傍では、先端面20aを削孔ビット20の後端側(すなわち、図4における下側)に傾斜させることにより傾斜面20bを形成している。そして、図3に示すように、複数の突起22のうち一部の突起22は先端面20aに設けられ、別の一部の突起22は傾斜面20bに設けられている。ここで、各突起22は溶接または黄銅ろう付けによって削孔ビット20の先端面20aや傾斜面20bに取り付けられるようになっている。あるいは削孔ビット20の本体部分および各突起22が鋳造により一体的に製造されるようになっていてもよい。
また、削孔ビット20の先端面20aには、当該削孔ビット20の後端に取り付けられたパイプロッド10から供給される高圧エアもしくは高圧エアおよび水を吐出するための吐出孔26が設けられている。
また、図6および図7に示すように、削孔ビット20の中空部分における奥側の内周面には、ロックボルトや鉄筋等の棒状部材30の雄ネジ部分が着脱自在に螺合される雌ネジ部分29が形成されている。このことにより、削孔ビット20の後端部にロックボルトや鉄筋等の棒状部材30を着脱自在に取り付けることができるようになる。
また、本実施の形態では、削孔ビット20の直径の大きさはパイプロッド10の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっており、好ましくは、削孔ビット20の直径の大きさはパイプロッド10の直径の0.9倍乃至1.05倍の範囲内の大きさとなっており、更に好ましくは、削孔ビット20の直径の大きさはパイプロッド10の直径の0.95倍乃至1.05倍の範囲内の大きさとなっている。ここで、図1乃至図7に示すような構成の削孔器具では、削孔ビット20の直径の大きさはパイプロッド10の直径と略同一の大きさとなっている。しかしながら、本実施の形態ではこのような態様に限定されることはなく、削孔ビット20の直径の大きさがパイプロッド10の直径よりもわずかに小さくなっていたり、あるいは削孔ビット20の直径の大きさがパイプロッド10の直径よりもわずかに大きくなっていたりしてもよい。このように、削孔ビット20の直径の大きさがパイプロッド10の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっている場合には、本実施の形態による削孔器具により掘削される穴の直径の大きさをパイプロッド10の直径の大きさと略同一とすることができ、よって削孔ビット20の直径の大きさがパイプロッド10の直径よりも大きい場合と比較して掘削される穴の直径をできるだけ小さくすることができる。より詳細には、本実施の形態では、パイプロッド10の直径の大きさを60.5mm以下とすることができ、このため掘削される穴の直径も比較的小さくすることができる。また、特許第5256385号に開示される穿孔用ビットではパイプロッドの直径の大きさが60.5mm以下であるときに埋設されるべき鉄筋の直径の大きさによってはビット本体(アウタービット)の製作が構造上困難になる場合があるが、本実施の形態では削孔ビット20をパイプロッド10に直接取り付けることによりビット本体(アウタービット)を設ける必要がないため、埋設されるべきロックボルトや鉄筋等の棒状部材30の直径の大きさにかかわらずパイプロッド10の直径の大きさを60.5mm以下とすることができる。なお、削孔ビット20の直径の大きさがパイプロッド10の直径の1.05倍以下の大きさとなっている場合には、掘削される穴の直径を更に小さくすることができる。
また、パイプロッド10はアダプター40を介して掘削機に取り付けられるようになっており、掘削機によってパイプロッド10に打撃力および回転力が与えられることによりこのパイプロッド10の先端に取り付けられた削孔ビット20によって地盤に穴が掘削されるようになっている。ここで、アダプター40の先端側の内周面には、パイプロッド10の後端側に設けられた雄ネジ部分等の取付部16が取り付けられる雌ネジ部分等の被取付部46が形成されている。また、アダプター40の内部には、パイプロッド10が取り付けられたときに当該パイプロッド10の中空部分に掘削機から高圧エアもしくは高圧エアおよび水を送るための通路42が形成されている。
次に、このような削孔器具を用いて地盤を削孔する動作について図10(a)〜図10(e)に示す図を用いて説明する。
まず、パイプロッド10の先端に削孔ビット20を取り付けるとともに、このパイプロッド10の後端をアダプター40により掘削機に取り付ける。そして、図10(a)に示すように、掘削機によってパイプロッド10に打撃力および回転力を与えることによりパイプロッド10の先端に取り付けられた削孔ビット20によって地盤に穴を掘削する。この際に、掘削機からアダプター40の通路42を介してパイプロッド10の中空部分に高圧エアもしくは高圧エアおよび水が供給されることにより削孔ビット20の吐出孔26から地盤に向かって高圧エアもしくは高圧エアおよび水が吐出されるようになる。また、本実施の形態による削孔器具により掘削される穴が深い場合には、図8および図9に示すように複数のパイプロッド10を直列につなげていく。具体的には、パイプロッド10の先端に取り付けられた削孔ビット20によって当該パイプロッド10の長さ分の穴が掘削される度に、別のパイプロッド10を直列に順次つなげていく。この際に、パイプロッド10同士を接続した後に各ロック穴19にロックピン50を通すことにより、一方のパイプロッド10に対して他方のパイプロッド10が回転してしまうことを防止することができるようになり、よってパイプロッド10同士が外れてしまうことを防止することができるようになる。
本実施の形態による削孔器具によって所定の深さの穴が地盤に掘削されると、パイプロッド10の後端から掘削機を取り外し、代わりにロックボルトや鉄筋等の棒状部材30を先端側のパイプロッド10の中空部分に挿入する(図10(b)参照)。そして、図10(c)に示すように、地盤に掘削された穴の最深部に残される削孔ビット20の後端部に棒状部材30の先端を取り付ける。具体的には、棒状部材30の先端に設けられた雄ネジ部分を削孔ビット20の後端部に設けられた雌ネジ部分29に螺合させる。その後、図10(d)に示すように、パイプロッド10の先端を削孔ビット20から取り外す。具体的には、棒状部材30を作業者が手動で回転させることにより、先端側のパイプロッド10から削孔ビット20を取り外すようにする。なお、作業者が手動で棒状部材30を回転させても先端側のパイプロッド10から削孔ビット20が外れない場合には、掘削機に取り付けられた図示しない別のアダプター(例えば、鉄筋用アダプター)に棒状部材30に取り付け、掘削機で棒状部材30を叩いて回すようにする。また、上述したように、各ロック穴19にロックピン50を通すことにより、一方のパイプロッド10に対して他方のパイプロッド10が回転してしまうことがないため、先端側のパイプロッド10から削孔ビット20を取り外す際に、先端側のパイプロッド10が他のパイプロッド10から外れてしまうことを防止することができる。その後、地盤に掘削された穴から全てのパイプロッド10を完全に取り出すようにする(図10(e)参照)。このようにして、地面に掘削された穴にロックボルトや鉄筋等の棒状部材30が挿入された状態とすることができるようになり、本実施の形態の削孔器具を用いた削孔動作が完了する。
以上のような構成からなる本実施の形態の削孔器具およびこのような削孔器具を用いた削孔方法によれば、パイプロッド10(筒状部材)に着脱自在に取り付けられる削孔ビット20の先端側に複数の突起22が設けられているとともに後端部にはロックボルトや鉄筋等の棒状部材30が取付可能となっており、また、削孔ビット20の直径の大きさはパイプロッド10の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっている。このように、削孔ビット20の先端側に複数の突起22が設けられているとともに後端部にパイプロッド10が取付可能となっているため、削孔を行った後に削孔ビット20の後端部に棒状部材30を取り付けてこの削孔ビット20からパイプロッド10を取り外すだけでよいため取り扱いが容易となり、かつ、削孔ビット20の直径の大きさがパイプロッド10の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっているため、掘削される穴の直径の大きさをパイプロッド10の直径の大きさと略同一とすることができ、よって削孔ビット20の直径がパイプロッド10の直径よりも十分に大きい場合と比較して掘削される穴の直径をできるだけ小さくすることができる。このことにより、パイプロッド10の直径の大きさを60.5mm以下とすることができ、このため掘削される穴の直径も比較的小さくすることができる。このように、掘削される穴の直径が小さくなると、この穴に注入されるセメントミルク等の硬化剤の量を減らすことができる。
とりわけ、本実施の形態の削孔器具では、削孔ビット20の直径の大きさがパイプロッド10の直径と略同一の大きさとなっていることが好ましい。この場合には、掘削される穴の直径の大きさをパイプロッド10の直径の大きさと略同一とすることができるとともに、このような直径の穴を削孔ビット20により確実に掘削することができるようになる。
また、本実施の形態の削孔器具においては、上述したように、削孔ビット20の後端部には、棒状部材30の先端に設けられた雄ネジ部分が着脱自在に螺合される雌ネジ部分29が設けられている。この場合には、作業者は削孔ビット20の後端部に棒状部材30の先端を容易に着脱することができるようになる。
また、本実施の形態の削孔器具においては、上述したように、パイプロッド10の先端には被取付部18が設けられており、削孔ビット20の後端には被取付部18に係合可能な取付部28が設けられている。この場合には、作業者はパイプロッド10の先端に削孔ビット20を容易に着脱することができるようになる。
また、本実施の形態の削孔器具においては、上述したように、互いに接続された2つのパイプロッド10を係合状態でロックするロック部としてロック穴19およびロックピン50が設けられている。このようなロック部が設けられていることにより、一方のパイプロッド10に対して他方のパイプロッド10が回転してしまうことがないため、先端側のパイプロッド10から削孔ビット20を取り外す際に、先端側のパイプロッド10が他のパイプロッド10から外れてしまうことを防止することができる。
なお、本実施の形態による削孔器具やこのような削孔器具を用いた削孔方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、削孔ビット20の後端部にロックボルトや鉄筋等の棒状部材30を取付可能とするにあたり、削孔ビット20の後端部に雌ネジ部分29を設ける代わりに、ロックボルトや鉄筋等の棒状部材30の先端が挿入されるとこの先端が固定されるような挿入穴を設けてもよい。この場合にも、地盤に掘削された穴の最深部に残される削孔ビット20の後端部に棒状部材30を取り付けることができるようになる。
また、削孔ビット20として、傾斜面20bが設けられていないようなものが用いられてもよい。この場合には、全ての突起22が削孔ビット20の本体部分の先端面20aに設けられるようになる。また、削孔ビット20の更に他の例として、側面に削孔粉粒(切削屑)の排出溝24が設けられていないような形状のものが用いられてもよい。
10 パイプロッド
16 取付部
18 被取付部
19 ロック穴
20 削孔ビット
20a 先端面
20b 傾斜面
22 突起
24 排出溝
26 吐出孔
28 取付部
29 雌ネジ部分
30 棒状部材
40 アダプター
42 通路
46 被取付部
50 ロックピン
16 取付部
18 被取付部
19 ロック穴
20 削孔ビット
20a 先端面
20b 傾斜面
22 突起
24 排出溝
26 吐出孔
28 取付部
29 雌ネジ部分
30 棒状部材
40 アダプター
42 通路
46 被取付部
50 ロックピン
Claims (5)
- 掘削機に取付可能となっており、前記掘削機に取り付けられたときに当該掘削機により打撃力および回転力が与えられる中空の筒状部材と、
前記筒状部材に着脱自在に取り付けられ、先端側に複数の突起が設けられているとともに後端部には棒状部材が取付可能となっている削孔ビットと、
を備え、
前記削孔ビットの直径の大きさは前記筒状部材の直径の0.9倍乃至1.1倍の範囲内の大きさとなっている、削孔器具。 - 前記削孔ビットの前記後端部には、棒状部材の先端に設けられた雄ネジ部分が着脱自在に螺合される雌ネジ部分が設けられている、請求項1記載の削孔器具。
- 前記筒状部材の先端には被取付部が設けられており、
前記削孔ビットの後端には前記被取付部に係合可能な取付部が設けられている、請求項1または2記載の削孔器具。 - 前記筒状部材の直径の大きさが60.5mm以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の削孔器具。
- 互いに接続された2つの前記筒状部材を係合状態でロックするロック部が設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の削孔器具。
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